JP3934459B2 - 内視鏡用嘴状処置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、嘴状に開閉する嘴状処置片を先端に有する内視鏡用嘴状処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用嘴状処置具としては、生検鉗子、把持鉗子、止血鉗子或いは鋏鉗子その他多くのものがある。
【0003】
図9は内視鏡用生検鉗子の先端部分を示しており、可撓性シース91内に挿通配置された操作ワイヤ92を手元側から軸線方向に進退操作することによって、可撓性シース91の先端に配置された一対の嘴状処置片93が支軸94を中心に嘴状に開閉する構成になっている。
【0004】
そのような内視鏡用嘴状処置具においては、嘴状処置片93の嘴状部分を直接開閉駆動するように構成するのは困難なので、嘴状処置片93には軸支部から後方に延出する駆動腕部93aが一体に連結形成されていて、その駆動腕部93aを駆動することにより嘴状処置片93が支軸94を中心に嘴状に開閉するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示されるように、処置具を内視鏡の処置具挿通チャンネル50内に通す際に、処置具挿通チャンネル50が曲がっている場所では、嘴状処置片93が処置具挿通チャンネル50の曲がりに沿って支軸94を中心に首を振った状態に曲げられる。
【0006】
すると、嘴状処置片93に一体に連結形成されている駆動腕部93aが支軸94の後方で回動することになり、それによって側方に押し出される駆動腕部93aの突端部分が処置具挿通チャンネル50の内壁面に強く擦り付けられて処置具挿通チャンネル50を傷つけてしまう場合がある。
【0007】
そこで本発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルが曲がっている部分を通過させても処置具挿通チャンネルを傷つける恐れのない安全な内視鏡用嘴状処置具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用嘴状処置具は、シースの先端に配置された一対の嘴状処置片が、シース内に挿通配置された操作ワイヤを手元側から軸線方向に進退操作することによって嘴状に開閉するように構成された内視鏡用嘴状処置具において、嘴状処置片が真っ直ぐに前を向いた閉状態から開き方向と反対方向に移動するのを規制するための首振り規制ストッパを設けたものである。
【0009】
なお、一対の嘴状処置片の後方には各々、シースの先端に取り付けられた支持本体内に位置する駆動腕部が一体に連結形成されていて、首振り規制ストッパは、一方の嘴状処置片が他方の嘴状処置片の駆動腕部の突端部を支持本体から押し出さないように一方の嘴状処置片の移動を規制するものであればよい。
【0010】
また、一対の嘴状処置片を個別に回転自在に支持する二つの支軸が互いの間の間隔をあけて平行に設けられると共に、二つの支軸により保持された一つのスペーサが一対の嘴状処置片の間に配置されていて、首振り規制ストッパがスペーサに形成されていると、コストをかけずに十分な強度が得られる。
【0011】
そして、スペーサは、左右両側面が互いに食い違った位置において略半部ずつ凹んだ形状に形成されていて、その凹んだ部分に一対の嘴状処置片の駆動腕部が分かれて配置され、凹んでいない部分に首振り規制ストッパが形成されていてもよい。
【0012】
なお、操作ワイヤが互いに電気的に絶縁された二本の導電線であって、スペーサが一対の嘴状処置片の間を電気的に絶縁する絶縁部材によって形成されており、二本の導電線を高周波電源に接続することにより一対の嘴状処置片が高周波処置具の正電極と負電極になるものであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は本発明が適用された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の側面部分断面図、図3は平面断面図である。ただし、各図においては、各々断面位置が相違する複数の部分を一つの図面に図示してある。
【0014】
1は、図示されてない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される、直径が2〜3mm程度で長さが1〜2m程度の可撓性シースであり、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のような電気絶縁性のチューブによって形成されている。
【0015】
可撓性シース1の先端には、電気絶縁性の例えば硬質プラスチック又はセラミック等からなる支持本体2が連結固着されており、その支持本体2には、先側に開口するスリット3が一定の幅で形成されている。
【0016】
スリット3の先端部分には、支持本体2の中心軸線を挟んでその両側に離れた位置において各々スリット3を横断する状態に、ステンレス鋼棒製の二つの支軸5が平行に固着されている。
【0017】
そして、ステンレス鋼等のような導電性金属からなる一対の嘴状電極4(嘴状処置片)が、嘴状に開閉自在に二つの支軸5によって互いに独立して支持本体2に支持されている。9は、支軸5が回転自在に嵌合するように嘴状電極4に形成された回転支持孔である。なお、図2においては、嘴状電極4が閉じている状態が実線で示され、開いた状態が二点鎖線で示されている。
【0018】
支持本体2に形成されたスリット3の先端部分内には、一対の嘴状電極4の間を電気的に絶縁するための絶縁スペーサ6が、両嘴状電極4の間に位置するように配置されている。
【0019】
各嘴状電極4の後方部分は、回転支持孔9より後方に駆動腕部4aが一体に延出形成されており、その駆動腕部4aの突端近傍に形成された連結孔7に、二本の導電線8の先端が通されて連結されている。
【0020】
各導電線8は、電気絶縁被覆が全長にわたって施されており、先端部分においてだけ露出した導線8aが、各々嘴状電極4に接触する状態で連結孔7に係合している。
【0021】
二本の導電線8は、軸線方向に進退自在に可撓性シース1内に全長にわたって挿通配置されていて、図8に示されるように、可撓性シース1の基端に連結された操作部10において操作輪11により軸線方向に進退操作される。
【0022】
したがって、導電線8は嘴状電極4を遠隔操作によって開閉させるための操作ワイヤとしても機能しており、可撓性シース1内においては二本の導電線8を一体的に結束しておくとよい。
【0023】
二本の導電線8の基端部は、操作部10において高周波電源20の正極と負極の電源コードに分かれて接続されており、高周波電源20をオンにすることによって、一対の嘴状電極4の一方が高周波電流の正電極になり、他方が負電極になる。
【0024】
図4と図5に単体の状態が向きを変えて図示されている絶縁スペーサ6は、例えば硬質の四フッ化エチレン樹脂又はその他のプラスチック材或いはセラミック等からなる一つの部品で形成されていて、二本の支軸5が通される支持孔6aが左右方向に平行に貫通穿設され、左右両側面には互いに食い違った位置を略半部ずつ凹ませて電極通過部6bが形成されている。
【0025】
そして、図2におけるVI−VI断面を図示する図6に示されるように、絶縁スペーサ6の各支持孔6aには支軸5が通されており、それによって絶縁スペーサ6が支持本体2のスリット3内に安定して保持された状態になっている。図7は、その部分の斜視断面図である。
【0026】
また、絶縁スペーサ6の左右両面に凹んで形成された電極通過部6bには、一対の嘴状電極4の駆動腕部4aの回転支持孔9の周辺部分が各々固定されない状態に嵌め込まれていて、各嘴状電極4が回転支持孔9に通された支軸5を中心にして回転自在に支持されている。
【0027】
このように構成された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具は、一対の嘴状電極4の間に血管を挟み込んで高周波電流を通電することにより、一対の嘴状電極4の間に位置する組織だけに高周波電流が流れて、組織を焼灼凝固して止血或いは切開等をすることができる。
【0028】
絶縁スペーサ6には、図4及び図5に示されるように、左右両側面に電極通過部6bが凹んで形成されているが、その底面から立ち上がる壁部が、嘴状電極4に対する首振り規制ストッパ6sとして形成されている。
【0029】
首振り規制ストッパ6sは、図2に示されるように、嘴状電極4が真っ直ぐに前を向いた閉状態から開き方向と反対方向に移動しようとする際に、駆動腕部4aが当接することにより嘴状電極4の首振りを規制する。
【0030】
ただし、各嘴状電極4が真っ直ぐな閉状態から開き方向と逆方向に全く首振りできないようにする必要はなく、図1に示されるように、首振り規制ストッパ6sは、一方の嘴状電極4が外力Fによって押された時に、他方の嘴状電極4′の駆動腕部4a′の突端部4z′が支持本体2の外接線100から押し出されないように、一方の嘴状電極4の移動を規制するものであればよい。
【0031】
そのようにすることによって、処置具が内視鏡の処置具挿通チャンネル(図示せず)を通る際に、駆動腕部4aの突端部4zが処置具挿通チャンネルの内周面に触れないので、処置具挿通チャンネルが曲がっている部分を通過させても処置具挿通チャンネルを傷つける恐れがない。
【0032】
そして、この実施例においては、二本の支軸5を通すことによって支持本体2の先端部分に保持された絶縁スペーサ6に首振り規制ストッパ6sを一体に形成したので、部品コストや組み立てコストが余分に発生することなく、十分な強度のストッパにすることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば本発明は高周波を用いない各種の通常処置具にも適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、嘴状処置片が真っ直ぐに前を向いた閉状態から開き方向と反対方向に移動するのを規制するための首振り規制ストッパを設けたことにより、内視鏡の処置具挿通チャンネルが曲がっている部分を通過させても処置具挿通チャンネルを傷つける恐れがなく、安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の拡大側面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の側面複合断面図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の平面複合断面図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の絶縁スペーサの単体斜視図である。
【図5】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の絶縁スペーサの単体斜視図である。
【図6】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の図6に示される断面部分の斜視図である。
【図8】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の全体構成図である。
【図9】従来の内視鏡用嘴状処置具の先端部分の側面図である。
【図10】従来の内視鏡用嘴状処置具が内視鏡の処置具挿通チャンネルの曲がっている部分を通過する状態の先端部分の側面図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 支持本体
3 スリット
4 嘴状電極(嘴状処置片)
4a 駆動腕部
4z 突端部
5 支軸
6 絶縁スペーサ
6s 首振り規制ストッパ
8 操作ワイヤ
Claims (4)
- 一対の嘴状処置片が、シースの先端に配置された支持本体に前方に向かって嘴状に開閉するように互いに独立して回転自在に支持されて、上記一対の嘴状処置片を開閉駆動するように上記各嘴状処置片に一体に連結形成された駆動腕部が、上記支持本体に形成されたスリット間であって上記一対の嘴状処置片の回転中心軸より後方位置に配置され、上記シース内に挿通配置された操作ワイヤを手元側から軸線方向に進退操作することにより、上記一対の嘴状処置片が閉じて上記駆動腕部が上記支持本体内に収まった状態と、上記一対の嘴状処置片が開いて上記駆動腕部が上記支持本体から突出した状態とが切り換わるように構成された内視鏡用嘴状処置具において、
上記一対の嘴状処置片が閉じた状態の時に、一方の嘴状処置片が開き方向と反対方向に移動することにより他方の嘴状処置片を押してその他方の嘴状処置片に一体に連結形成された駆動腕部の突端部が上記支持本体外に押し出されないように、上記各嘴状処置片が真っ直ぐに前を向いた閉状態から開き方向と反対方向に移動する動作を規制するための首振り規制ストッパ、を設けたことを特徴とする内視鏡用嘴状処置具。 - 上記一対の嘴状処置片を個別に回転自在に支持する二つの支軸が互いの間の間隔をあけて平行に設けられると共に、上記二つの支軸により保持された一つのスペーサが上記一対の嘴状処置片の間に配置されていて、上記首振り規制ストッパが上記スペーサに形成されている請求項1記載の内視鏡用嘴状処置具。
- 上記スペーサは、左右両側面が互いに食い違った位置において略半部ずつ凹んだ形状に形成されていて、その凹んだ部分に上記一対の嘴状処置片の駆動腕部が分かれて配置され、凹んでいない部分に上記首振り規制ストッパが形成されている請求項2記載の内視鏡用嘴状処置具。
- 上記操作ワイヤが互いに電気的に絶縁された二本の導電線であって、上記スペーサが上記一対の嘴状処置片の間を電気的に絶縁する絶縁部材によって形成されており、上記二本の導電線を高周波電源に接続することにより上記一対の嘴状処置片が高周波処置具の正電極と負電極になる請求項2又は3記載の内視鏡用嘴状処置具。
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