JP3925926B2 - 高変倍ズームレンズ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高変倍ズームレンズに関し、特に、バックフォーカスに制限の少ないコンパクトカメラ用の撮影レンズに適した高変倍ズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、最も簡単なズームレンズの方式としては、群数が2群であるいわゆる2群ズームレンズ方式が知られている。この方式は、鏡枠構造が簡素になる等の利点がある反面、収差変動が大きいため、変倍比をあまり大きくできないという欠点がある。
【0003】
ところで、近年、ズームレンズの高変倍化が強く望まれているが、この2群ズームレンズ方式を用いて高変倍比を目指したものとしては、特許文献1等のものがあり、この中で変倍比は2.8倍程度を達成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−218013号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の先行例の構成を用いて更なる高変倍比を達成しようとすると、単色収差、色収差の両面で破綻をきたし、結像性能上実用レベルのものを達成できない。
【0006】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2群ズームレンズ方式という簡素な構成を採用しながら、3倍クラスの高変倍比であり、さらに良好に収差補正されたズームレンズを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の高変倍ズームレンズは、物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有し、
前記第2レンズが以下の条件を満足することを特徴とするものである。
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。
【0008】
本発明のもう1つの高変倍ズームレンズは、物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有し、
以下の条件を満足することを特徴とするものである。
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。
【0009】
【作用】
以下に、本発明において上記構成を採用する理由とその作用について説明する。
【0010】
まず、第1レンズ群中の構成についてであるが、高変倍比化を達成するためには、色収差の各群での発生量を少なくすることが必要であるため、少なくとも1つの負のレンズ成分と正のレンズ成分を有することが必要となってくる。
【0011】
また、正群+負群の2群ズームレンズにおいては、特に、広角化を目指したときにバックフォーカスが短くなるという欠点がある。
【0012】
そのために、機械的な干渉の問題等が生じやすくなり、好ましくなかったが、本発明の構成のように、負レンズを物体側に配置する構成をとることにより、比較的長大なバックフォーカスを確保することが可能となる。
【0013】
次に、物体側から順に、負レンズ、物体側に凸の負メニスカスレンズの構成を採用することが、良い理由を述べる。
【0014】
第1レンズ群は、負レンズ群+正レンズ群の構成である。ここで、第1レンズ群全体としては正レンズ群であるので、群内では相対的に正レンズ群のパワーが強くなる。そのために、ここで発生するアンダーの球面収差等の発生量が多くなってしまう。また、本発明のズームレンズのように、3倍クラスの高変倍比にする際には、特に、中間ズーム状態での非点収差の発生量が多くなる問題が生じ、像周辺部の結像性能が著しく低下していた。このような問題は、群のパワーを強くして全長を短縮化した際にさらに顕著となる。
【0015】
そこで、この正レンズ群で発生する諸収差を打ち消すために、まず、特に、球面収差やコマ収差に関しては、物体側に凸の負メニスカスレンズを設けることによってオーバーの球面収差等を多く発生させ、打ち消しの作用により全体として収差の発生量を小さくすることができる。
【0016】
また、非点収差や歪曲収差の補正に関しては、次の(1)の条件式を満たすレンズを設ける構成がよい。
【0017】
(1) −5<SFL1<0
ここで、SFL1は第1レンズ群内の第1レンズのシェイピングファクタであり、第1レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr1 、r2 とするとき、SFL1=(r1 +r2 )/(r1 −r2 )で与えられるパラメータである。
【0018】
すなわち、(1)式は、負の第1レンズの形状を規定したものであり、この式(1)によれば、第1レンズは第1面が第2面よりも比較的大きな曲率を持つ構成になっている。したがって、この式の範囲に規定することにより、非点収差や歪曲収差の発生量を多くして、正の群で発生する分を打ち消す作用を持つことができる。また、このレンズの主平面位置が物体側寄りになるため、メニスカス形状の負レンズによる像側への主平面位置のシフトをキャンセルし、広画角化あるいは第1レンズ群内の軸上厚みの減少という効果もある。上記(1)式の上限値0、あるいは、下限値−5を越えると、上記の非点収差や歪曲収差の打ち消す作用が達成されず、また、広画角化あるいは第1レンズ群内の軸上厚みの減少をさせることが困難になる。
【0019】
さらに、上記2つの負レンズの配置順についてであるが、非点収差や歪曲収差等の収差を多く発生させるレンズは、軸外光線の高い場所、すなわち、像面側寄りに配置し、球面収差やコマ収差の発生量が多いレンズは相対的に軸上光線が高い所、すなわち、物体側寄りに配置する構成を採用することにより、第1レンズ群の構成としては収差補正上最も効率的な配置となる。
【0020】
以上の構成により、諸収差の良好に補正された高変倍比のズームレンズを得ることができる。また、(1)式に関しては、
(1)’−2<SFL1<−0.1
の範囲に定めることにより、非点収差や歪曲収差の発生量のバランスが最適となり、無理なく高画質な像が得られるため、好ましい。
【0021】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群内の第2レンズの物体側に凸の負メニスカスの形状を以下の(2)式のように定めることにより、さらに望ましいものとなる。
【0022】
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。
【0023】
すなわち、(2)式の上限値10を越えると、同一のパワーを保つためには、曲率半径が小さくなりすぎてしまい、高次収差の発生量が多くなる等、好ましくない。逆に、下限値1を越えると、上記で規定したようなメニスカス形状でなくなるため、その収差補正上の効果が現れず、好ましくない。
【0024】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズの第1面の曲率半径の範囲を以下の(3)式のように定めることにより、収差補正上の観点からさらに望ましい構成となる。
【0025】
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。
【0026】
すなわち、(3)式の上限値の−0.6を越えると、軸外光線に対する入射角度が小さすぎ、所望の収差補正能力が得られないが、反対に、下限値の−2を越えると、第1面の曲率が小さくなりすぎてこの面での収差の発生量が多くなりすぎ、特に非点収差や像面湾曲収差量が増大して、好ましくない。
【0027】
また、(3)式に関しては、特に、
(3)’−1.6<fW /r1 <−0.8
の範囲に納めることにより、第1面での収差の発生量が最適な範囲となり、レンズ枚数や非球面数が抑えられるため、さらに望ましい。
【0028】
また、さらに、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群の第1レンズと第2レンズの焦点距離の比について、以下のように定めればより望ましい。
【0029】
(4) 0.2<fL1/fL2<1
ここで、fL1は第1レンズ群の第1レンズの焦点距離、fL2は第1レンズ群の第2レンズの焦点距離である。
【0030】
すなわち、上記条件式(4)の範囲内に規定することにより、負メニスカスレンズのパワーに対して、負パワーの第1レンズのパワーを強くすることによって、主平面位置の像面側へのシフト、ひいてはバックフォーカスの確保につながり、好ましい。
【0031】
また、(4)式に関しても、
(4)’0.2<fL1/fL2<0.6
の範囲に納めれば、パワー比のバランスが最適となる。
【0032】
また、さらに、本発明のズームレンズにおいては、この第1レンズ群中の何れかの面に非球面を用いることによって、諸収差の全系トータルの発生量を小さくすることができるようになるため、枚数の削除や強パワー化による小型化に効果がある。
【0033】
さらに、本発明のズームレンズは、以下のような構成を採用しても、簡素で高変倍比のズームレンズを提供することができる。
【0034】
すなわち、物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、第2レンズ群が、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズの順に配置されたズームレンズとする。
【0035】
これは、主として第2レンズ群の構成についてであるが、2群ズームレンズにおいては、特に第2レンズ群のみしか変倍作用を持たないため、軸上色収差の変動を小さくするには、この群の色収差の発生量を減らすことが重要である。そこで、レンズ配置に関しては、まず、少なくとも1枚の負レンズ群と、正レンズ群を設ける必要があり、像側に相対的に強いパワーの負レンズ群を配置する構成が主平面位置を像面側に位置させ、バックフォーカス確保につながり好ましい。
【0036】
また、ここで、倍率の色収差の補正の観点から、負レンズにアッベ数の大きな硝材を使用するのが好ましい。しかし、上記の硝材使用法では、高変倍化したときには軸上色収差の変動が大きくなってしまう。
【0037】
そこで、この補正のために、軸上光線が高いところ、すなわち、正レンズの物体側に負レンズを設けることによって、倍率、軸上両方の色収差の変動を小さくすることができ、望ましい。
【0038】
また、上記構成を採用する際に、次の条件式(5)を満足すれば、負レンズ群の色消しとしては軸上色収差の発生量を小さくすることができ、望ましい。
【0039】
(5) ν1 >ν2
ここで、ν1 は第2レンズ群の負パワーの第1レンズのアッベ数、ν2 は第2レンズ群の正パワーの第2レンズのアッベ数である。
【0040】
このように、負、正、負3枚のレンズを用いれば、上記の効果が達成できるが、製造上の観点から、この何れかの組み合わせを接合レンズとすることが、偏心の影響を小さくすることができるため望ましい。
【0041】
また、さらに、以下の条件式(6)を満たすことによって、より高性能なズームレンズを得ることができるので、これを説明する。
【0042】
(6) −3<f22/f21<0
ここで、f21は第2レンズ群の負パワーの第1レンズの焦点距離、f22は第2レンズ群の正パワーの第2レンズの焦点距離である。
【0043】
(6)式は、第2レンズ群の物体側の負レンズと正レンズの屈折力の比について規定したもので、(6)式の範囲に納めることにより、色収差発生量を一般的な硝材を用いる範囲において小さくすることができるためである。ここで、条件式(6)の下限値の−3を越えることは、第2レンズのパワーが相対的に強くなりすぎ、正レンズでの色消し作用が十分でなくなり、逆に、上限値の0を越えると、物体側の負レンズを設けた効果がなくなってしまい、特に軸上色収差の変動を小さくすることが困難となってしまう。
【0044】
以上のように、上記の構成を採用することによっても、高変倍なズームレンズを得ることができることが説明されたわけであるが、さらに、この第2レンズ群に関しても、何れかの面に非球面を設けることは、前述した第1レンズ群中における非球面と同様の効果があり、望ましいものである。
【0045】
なお、これらの非球面の形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直角する方向にとると、下記の式にて表される。
【0046】
ただし、rは近軸曲率半径、Pは円錐係数、A4、A6、A8、A10 はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。
【0047】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群の構成が、物体側より順に、負のパワーを持つ第1レンズ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズ、及び、それに続く正のパワーを持つレンズ群を有し、さらに、第2レンズ群が、物体側より順に、負レンズ、正レンズ、負レンズの順に配置された構成を採用することによっても、前述してきたような効果を得ることができ、高変倍化を達成するのに十分である。
【0048】
【実施例】
次に、本発明のズームレンズの実施例1〜3について説明する。
【0049】
図1〜図3は、それぞれ実施例1〜3の広角端、中間焦点距離、望遠端でのレンズ群配置を対比して示す断面図である。各実施例の数値データは後記するが、以下に各実施例の構成を説明する。
【0050】
第1レンズ群G1の構成は、実施例1〜3共に、両凹レンズの第1レンズL1 、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズの第2レンズL2 、及び、それに続く、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズでなる正レンズ群LP からなる。なお、絞りが第1レンズ群G1の最も像面側に一体に移動するように配置されている。
【0051】
第2レンズ群G2の構成は、実施例1の場合、物体側より順に、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズから構成され、実施例2の場合、物体側より順に、両凹レンズと両凸レンズの接合レンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズから構成され、実施例3の場合、両凹レンズ、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズから構成されている。
【0052】
非球面は、実施例1〜3共に、第1レンズ群G1の第2レンズL2 の物体側の面、第2レンズ群G2の最も物体側の面の2面に用いられている。
【0053】
以下に、上記各実施例の数値データを示すが、記号は上記の外、fは全系焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角、fB はバックフォーカス、r1 、r2 …は各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は各レンズのアッベ数である。なお、非球面形状は、前記(a)式にて表す。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
次に、上記実施例1の無限遠合焦時の広角端、中間焦点距離、望遠端での収差図をそれぞれ図4〜図6に、実施例2の同様な収差図を図7〜図9に、実施例3の同様な収差図を図10〜図12に示す。各収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)は倍率色収差を示す。
【0058】
以上の本発明の高変倍ズームレンズは、例えば次のように構成することができる。
〔1〕 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とを備え、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔2〕 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とを備え、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔3〕 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とを備え、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔4〕 上記〔1〕又は〔3〕において、前記第1レンズが以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0059】
(1) −5<SFL1<0
ここで、SFL1は第1レンズ群内の第1レンズのシェイピングファクタであり、第1レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr1 、r2 とするとき、SFL1=(r1 +r2 )/(r1 −r2 )で与えられるパラメータである。
〔5〕 上記〔1〕又は〔3〕において、前記第2レンズが以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0060】
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。
〔6〕 上記〔1〕又は〔3〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0061】
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。
〔7〕 上記〔1〕、〔3〕又は〔6〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0062】
(4) 0.2<fL1/fL2<1
ここで、fL1は第1レンズ群の第1レンズの焦点距離、fL2は第1レンズ群の第2レンズの焦点距離である。
〔8〕 上記〔2〕又は〔3〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0063】
(5) ν1 >ν2
ここで、ν1 は第2レンズ群の負パワーの第1レンズのアッベ数、ν2 は第2レンズ群の正パワーの第2レンズのアッベ数である。
〔9〕 上記〔2〕、〔3〕又は〔8〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0064】
(6) −3<f22/f21<0
ここで、f21は第2レンズ群の負パワーの第1レンズの焦点距離、f22は第2レンズ群の正パワーの第2レンズの焦点距離である。
〔10〕 上記〔1〕において、前記第1レンズ群内の正のレンズ群が正レンズと接合正レンズとからなることを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔11〕 上記〔2〕又は〔3〕において、前記第2レンズ群内の物体側の負レンズと正レンズとが接合されていることを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔12〕 上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕において、少なくとも1つの非球面を含むことを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔13〕 上記〔1〕又は〔3〕において、前記第1レンズと第2レンズとの間隔が、前記第2レンズとこれに続く正のパワーを持つレンズ群との間隔より狭いことを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、2群ズームレンズ方式という簡素な構成を採用しながら、3倍クラスの高変倍比であり、さらに良好に収差補正された高変倍ズームレンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の高変倍ズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端での群配置を対比して示すレンズ断面図である。
【図2】実施例2の高変倍ズームレンズの図1と同様なレンズ断面図である。
【図3】実施例3の高変倍ズームレンズの図1と同様なレンズ断面図である。
【図4】実施例1の無限遠合焦時の広角端での収差図である。
【図5】実施例1の無限遠合焦時の中間焦点距離での収差図である。
【図6】実施例1の無限遠合焦時の望遠端での収差図である。
【図7】実施例2の無限遠合焦時の広角端での収差図である。
【図8】実施例2の無限遠合焦時の中間焦点距離での収差図である。
【図9】実施例2の無限遠合焦時の望遠端での収差図である。
【図10】実施例3の無限遠合焦時の広角端での収差図である。
【図11】実施例3の無限遠合焦時の中間焦点距離での収差図である。
【図12】実施例3の無限遠合焦時の望遠端での収差図である。
【符号の説明】
G1…第1レンズ群
G2…第2レンズ群
L1 …第1レンズ群の第1レンズ
L2 …第1レンズ群の第2レンズ
LP …第1レンズ群の正レンズ群
【産業上の利用分野】
本発明は、高変倍ズームレンズに関し、特に、バックフォーカスに制限の少ないコンパクトカメラ用の撮影レンズに適した高変倍ズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、最も簡単なズームレンズの方式としては、群数が2群であるいわゆる2群ズームレンズ方式が知られている。この方式は、鏡枠構造が簡素になる等の利点がある反面、収差変動が大きいため、変倍比をあまり大きくできないという欠点がある。
【0003】
ところで、近年、ズームレンズの高変倍化が強く望まれているが、この2群ズームレンズ方式を用いて高変倍比を目指したものとしては、特許文献1等のものがあり、この中で変倍比は2.8倍程度を達成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−218013号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の先行例の構成を用いて更なる高変倍比を達成しようとすると、単色収差、色収差の両面で破綻をきたし、結像性能上実用レベルのものを達成できない。
【0006】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2群ズームレンズ方式という簡素な構成を採用しながら、3倍クラスの高変倍比であり、さらに良好に収差補正されたズームレンズを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の高変倍ズームレンズは、物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有し、
前記第2レンズが以下の条件を満足することを特徴とするものである。
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。
【0008】
本発明のもう1つの高変倍ズームレンズは、物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有し、
以下の条件を満足することを特徴とするものである。
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。
【0009】
【作用】
以下に、本発明において上記構成を採用する理由とその作用について説明する。
【0010】
まず、第1レンズ群中の構成についてであるが、高変倍比化を達成するためには、色収差の各群での発生量を少なくすることが必要であるため、少なくとも1つの負のレンズ成分と正のレンズ成分を有することが必要となってくる。
【0011】
また、正群+負群の2群ズームレンズにおいては、特に、広角化を目指したときにバックフォーカスが短くなるという欠点がある。
【0012】
そのために、機械的な干渉の問題等が生じやすくなり、好ましくなかったが、本発明の構成のように、負レンズを物体側に配置する構成をとることにより、比較的長大なバックフォーカスを確保することが可能となる。
【0013】
次に、物体側から順に、負レンズ、物体側に凸の負メニスカスレンズの構成を採用することが、良い理由を述べる。
【0014】
第1レンズ群は、負レンズ群+正レンズ群の構成である。ここで、第1レンズ群全体としては正レンズ群であるので、群内では相対的に正レンズ群のパワーが強くなる。そのために、ここで発生するアンダーの球面収差等の発生量が多くなってしまう。また、本発明のズームレンズのように、3倍クラスの高変倍比にする際には、特に、中間ズーム状態での非点収差の発生量が多くなる問題が生じ、像周辺部の結像性能が著しく低下していた。このような問題は、群のパワーを強くして全長を短縮化した際にさらに顕著となる。
【0015】
そこで、この正レンズ群で発生する諸収差を打ち消すために、まず、特に、球面収差やコマ収差に関しては、物体側に凸の負メニスカスレンズを設けることによってオーバーの球面収差等を多く発生させ、打ち消しの作用により全体として収差の発生量を小さくすることができる。
【0016】
また、非点収差や歪曲収差の補正に関しては、次の(1)の条件式を満たすレンズを設ける構成がよい。
【0017】
(1) −5<SFL1<0
ここで、SFL1は第1レンズ群内の第1レンズのシェイピングファクタであり、第1レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr1 、r2 とするとき、SFL1=(r1 +r2 )/(r1 −r2 )で与えられるパラメータである。
【0018】
すなわち、(1)式は、負の第1レンズの形状を規定したものであり、この式(1)によれば、第1レンズは第1面が第2面よりも比較的大きな曲率を持つ構成になっている。したがって、この式の範囲に規定することにより、非点収差や歪曲収差の発生量を多くして、正の群で発生する分を打ち消す作用を持つことができる。また、このレンズの主平面位置が物体側寄りになるため、メニスカス形状の負レンズによる像側への主平面位置のシフトをキャンセルし、広画角化あるいは第1レンズ群内の軸上厚みの減少という効果もある。上記(1)式の上限値0、あるいは、下限値−5を越えると、上記の非点収差や歪曲収差の打ち消す作用が達成されず、また、広画角化あるいは第1レンズ群内の軸上厚みの減少をさせることが困難になる。
【0019】
さらに、上記2つの負レンズの配置順についてであるが、非点収差や歪曲収差等の収差を多く発生させるレンズは、軸外光線の高い場所、すなわち、像面側寄りに配置し、球面収差やコマ収差の発生量が多いレンズは相対的に軸上光線が高い所、すなわち、物体側寄りに配置する構成を採用することにより、第1レンズ群の構成としては収差補正上最も効率的な配置となる。
【0020】
以上の構成により、諸収差の良好に補正された高変倍比のズームレンズを得ることができる。また、(1)式に関しては、
(1)’−2<SFL1<−0.1
の範囲に定めることにより、非点収差や歪曲収差の発生量のバランスが最適となり、無理なく高画質な像が得られるため、好ましい。
【0021】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群内の第2レンズの物体側に凸の負メニスカスの形状を以下の(2)式のように定めることにより、さらに望ましいものとなる。
【0022】
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。
【0023】
すなわち、(2)式の上限値10を越えると、同一のパワーを保つためには、曲率半径が小さくなりすぎてしまい、高次収差の発生量が多くなる等、好ましくない。逆に、下限値1を越えると、上記で規定したようなメニスカス形状でなくなるため、その収差補正上の効果が現れず、好ましくない。
【0024】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズの第1面の曲率半径の範囲を以下の(3)式のように定めることにより、収差補正上の観点からさらに望ましい構成となる。
【0025】
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。
【0026】
すなわち、(3)式の上限値の−0.6を越えると、軸外光線に対する入射角度が小さすぎ、所望の収差補正能力が得られないが、反対に、下限値の−2を越えると、第1面の曲率が小さくなりすぎてこの面での収差の発生量が多くなりすぎ、特に非点収差や像面湾曲収差量が増大して、好ましくない。
【0027】
また、(3)式に関しては、特に、
(3)’−1.6<fW /r1 <−0.8
の範囲に納めることにより、第1面での収差の発生量が最適な範囲となり、レンズ枚数や非球面数が抑えられるため、さらに望ましい。
【0028】
また、さらに、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群の第1レンズと第2レンズの焦点距離の比について、以下のように定めればより望ましい。
【0029】
(4) 0.2<fL1/fL2<1
ここで、fL1は第1レンズ群の第1レンズの焦点距離、fL2は第1レンズ群の第2レンズの焦点距離である。
【0030】
すなわち、上記条件式(4)の範囲内に規定することにより、負メニスカスレンズのパワーに対して、負パワーの第1レンズのパワーを強くすることによって、主平面位置の像面側へのシフト、ひいてはバックフォーカスの確保につながり、好ましい。
【0031】
また、(4)式に関しても、
(4)’0.2<fL1/fL2<0.6
の範囲に納めれば、パワー比のバランスが最適となる。
【0032】
また、さらに、本発明のズームレンズにおいては、この第1レンズ群中の何れかの面に非球面を用いることによって、諸収差の全系トータルの発生量を小さくすることができるようになるため、枚数の削除や強パワー化による小型化に効果がある。
【0033】
さらに、本発明のズームレンズは、以下のような構成を採用しても、簡素で高変倍比のズームレンズを提供することができる。
【0034】
すなわち、物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、第2レンズ群が、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズの順に配置されたズームレンズとする。
【0035】
これは、主として第2レンズ群の構成についてであるが、2群ズームレンズにおいては、特に第2レンズ群のみしか変倍作用を持たないため、軸上色収差の変動を小さくするには、この群の色収差の発生量を減らすことが重要である。そこで、レンズ配置に関しては、まず、少なくとも1枚の負レンズ群と、正レンズ群を設ける必要があり、像側に相対的に強いパワーの負レンズ群を配置する構成が主平面位置を像面側に位置させ、バックフォーカス確保につながり好ましい。
【0036】
また、ここで、倍率の色収差の補正の観点から、負レンズにアッベ数の大きな硝材を使用するのが好ましい。しかし、上記の硝材使用法では、高変倍化したときには軸上色収差の変動が大きくなってしまう。
【0037】
そこで、この補正のために、軸上光線が高いところ、すなわち、正レンズの物体側に負レンズを設けることによって、倍率、軸上両方の色収差の変動を小さくすることができ、望ましい。
【0038】
また、上記構成を採用する際に、次の条件式(5)を満足すれば、負レンズ群の色消しとしては軸上色収差の発生量を小さくすることができ、望ましい。
【0039】
(5) ν1 >ν2
ここで、ν1 は第2レンズ群の負パワーの第1レンズのアッベ数、ν2 は第2レンズ群の正パワーの第2レンズのアッベ数である。
【0040】
このように、負、正、負3枚のレンズを用いれば、上記の効果が達成できるが、製造上の観点から、この何れかの組み合わせを接合レンズとすることが、偏心の影響を小さくすることができるため望ましい。
【0041】
また、さらに、以下の条件式(6)を満たすことによって、より高性能なズームレンズを得ることができるので、これを説明する。
【0042】
(6) −3<f22/f21<0
ここで、f21は第2レンズ群の負パワーの第1レンズの焦点距離、f22は第2レンズ群の正パワーの第2レンズの焦点距離である。
【0043】
(6)式は、第2レンズ群の物体側の負レンズと正レンズの屈折力の比について規定したもので、(6)式の範囲に納めることにより、色収差発生量を一般的な硝材を用いる範囲において小さくすることができるためである。ここで、条件式(6)の下限値の−3を越えることは、第2レンズのパワーが相対的に強くなりすぎ、正レンズでの色消し作用が十分でなくなり、逆に、上限値の0を越えると、物体側の負レンズを設けた効果がなくなってしまい、特に軸上色収差の変動を小さくすることが困難となってしまう。
【0044】
以上のように、上記の構成を採用することによっても、高変倍なズームレンズを得ることができることが説明されたわけであるが、さらに、この第2レンズ群に関しても、何れかの面に非球面を設けることは、前述した第1レンズ群中における非球面と同様の効果があり、望ましいものである。
【0045】
なお、これらの非球面の形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直角する方向にとると、下記の式にて表される。
【0046】
ただし、rは近軸曲率半径、Pは円錐係数、A4、A6、A8、A10 はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。
【0047】
また、本発明のズームレンズにおいては、第1レンズ群の構成が、物体側より順に、負のパワーを持つ第1レンズ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズ、及び、それに続く正のパワーを持つレンズ群を有し、さらに、第2レンズ群が、物体側より順に、負レンズ、正レンズ、負レンズの順に配置された構成を採用することによっても、前述してきたような効果を得ることができ、高変倍化を達成するのに十分である。
【0048】
【実施例】
次に、本発明のズームレンズの実施例1〜3について説明する。
【0049】
図1〜図3は、それぞれ実施例1〜3の広角端、中間焦点距離、望遠端でのレンズ群配置を対比して示す断面図である。各実施例の数値データは後記するが、以下に各実施例の構成を説明する。
【0050】
第1レンズ群G1の構成は、実施例1〜3共に、両凹レンズの第1レンズL1 、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズの第2レンズL2 、及び、それに続く、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズでなる正レンズ群LP からなる。なお、絞りが第1レンズ群G1の最も像面側に一体に移動するように配置されている。
【0051】
第2レンズ群G2の構成は、実施例1の場合、物体側より順に、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズから構成され、実施例2の場合、物体側より順に、両凹レンズと両凸レンズの接合レンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズから構成され、実施例3の場合、両凹レンズ、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズから構成されている。
【0052】
非球面は、実施例1〜3共に、第1レンズ群G1の第2レンズL2 の物体側の面、第2レンズ群G2の最も物体側の面の2面に用いられている。
【0053】
以下に、上記各実施例の数値データを示すが、記号は上記の外、fは全系焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角、fB はバックフォーカス、r1 、r2 …は各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は各レンズのアッベ数である。なお、非球面形状は、前記(a)式にて表す。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
次に、上記実施例1の無限遠合焦時の広角端、中間焦点距離、望遠端での収差図をそれぞれ図4〜図6に、実施例2の同様な収差図を図7〜図9に、実施例3の同様な収差図を図10〜図12に示す。各収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)は倍率色収差を示す。
【0058】
以上の本発明の高変倍ズームレンズは、例えば次のように構成することができる。
〔1〕 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とを備え、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔2〕 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とを備え、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔3〕 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とを備え、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔4〕 上記〔1〕又は〔3〕において、前記第1レンズが以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0059】
(1) −5<SFL1<0
ここで、SFL1は第1レンズ群内の第1レンズのシェイピングファクタであり、第1レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr1 、r2 とするとき、SFL1=(r1 +r2 )/(r1 −r2 )で与えられるパラメータである。
〔5〕 上記〔1〕又は〔3〕において、前記第2レンズが以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0060】
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。
〔6〕 上記〔1〕又は〔3〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0061】
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。
〔7〕 上記〔1〕、〔3〕又は〔6〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0062】
(4) 0.2<fL1/fL2<1
ここで、fL1は第1レンズ群の第1レンズの焦点距離、fL2は第1レンズ群の第2レンズの焦点距離である。
〔8〕 上記〔2〕又は〔3〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0063】
(5) ν1 >ν2
ここで、ν1 は第2レンズ群の負パワーの第1レンズのアッベ数、ν2 は第2レンズ群の正パワーの第2レンズのアッベ数である。
〔9〕 上記〔2〕、〔3〕又は〔8〕において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0064】
(6) −3<f22/f21<0
ここで、f21は第2レンズ群の負パワーの第1レンズの焦点距離、f22は第2レンズ群の正パワーの第2レンズの焦点距離である。
〔10〕 上記〔1〕において、前記第1レンズ群内の正のレンズ群が正レンズと接合正レンズとからなることを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔11〕 上記〔2〕又は〔3〕において、前記第2レンズ群内の物体側の負レンズと正レンズとが接合されていることを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔12〕 上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕において、少なくとも1つの非球面を含むことを特徴とする高変倍ズームレンズ。
〔13〕 上記〔1〕又は〔3〕において、前記第1レンズと第2レンズとの間隔が、前記第2レンズとこれに続く正のパワーを持つレンズ群との間隔より狭いことを特徴とする高変倍ズームレンズ。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、2群ズームレンズ方式という簡素な構成を採用しながら、3倍クラスの高変倍比であり、さらに良好に収差補正された高変倍ズームレンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の高変倍ズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端での群配置を対比して示すレンズ断面図である。
【図2】実施例2の高変倍ズームレンズの図1と同様なレンズ断面図である。
【図3】実施例3の高変倍ズームレンズの図1と同様なレンズ断面図である。
【図4】実施例1の無限遠合焦時の広角端での収差図である。
【図5】実施例1の無限遠合焦時の中間焦点距離での収差図である。
【図6】実施例1の無限遠合焦時の望遠端での収差図である。
【図7】実施例2の無限遠合焦時の広角端での収差図である。
【図8】実施例2の無限遠合焦時の中間焦点距離での収差図である。
【図9】実施例2の無限遠合焦時の望遠端での収差図である。
【図10】実施例3の無限遠合焦時の広角端での収差図である。
【図11】実施例3の無限遠合焦時の中間焦点距離での収差図である。
【図12】実施例3の無限遠合焦時の望遠端での収差図である。
【符号の説明】
G1…第1レンズ群
G2…第2レンズ群
L1 …第1レンズ群の第1レンズ
L2 …第1レンズ群の第2レンズ
LP …第1レンズ群の正レンズ群
Claims (11)
- 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有し、
前記第2レンズが以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(2) 1<SFL2<10
ここで、SFL2は第1レンズ群内の第2レンズのシェイピングファクタであり、第2レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr3 、r4 とするとき、SFL2=(r3 +r4 )/(r3 −r4 )で与えられるパラメータである。 - 物体側より順に、正のパワーの第1レンズ群と、負のパワーの第2レンズ群とからなり、これらのレンズ群の間隔を変化させることにより全系の焦点距離を変化させるズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、負のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負パワーを持つ第2レンズと、正のパワーを持つレンズ群とを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、正レンズと、負レンズとを有し、
以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(3) −2<fW /r1 <−0.6
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。 - 請求項2において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(4) 0.2<fL1/fL2<1
ここで、fL1は第1レンズ群の第1レンズの焦点距離、fL2は第1レンズ群の第2レンズの焦点距離である。 - 請求項2において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(5) ν1 >ν2
ここで、ν1 は第2レンズ群の負パワーの第1レンズのアッベ数、ν2 は第2レンズ群の正パワーの第2レンズのアッベ数である。 - 請求項2又は4において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(6) −3<f22/f21<0
ここで、f21は第2レンズ群の負パワーの第1レンズの焦点距離、f22は第2レンズ群の正パワーの第2レンズの焦点距離である。 - 請求項2において、前記第2レンズ群内の物体側の負レンズと正レンズとが接合されていることを特徴とする高変倍ズームレンズ。
- 請求項2において、少なくとも1つの非球面を含むことを特徴とする高変倍ズームレンズ。
- 請求項2において、前記第1レンズと第2レンズとの間隔が、前記第2レンズとこれに続く正のパワーを持つレンズ群との間隔より狭いことを特徴とする高変倍ズームレンズ。
- 請求項2において、前記第1レンズが以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(1)’−2<SFL1<−0.1
ここで、SFL1は第1レンズ群内の第1レンズのシェイピングファクタであり、第1レンズの物体側面及び像側面の曲率半径をr1 、r2 とするとき、SFL1=(r1 +r2 )/(r1 −r2 )で与えられるパラメータである。 - 請求項2において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(3)’−1.6<fW /r1 <−0.8
ここで、fW は全系の広角端での焦点距離、r1 は第1レンズの第1面の曲率半径である。 - 請求項2において、以下の条件を満足することを特徴とする高変倍ズームレンズ。
(4)’0.2<fL1/fL2<0.6
ここで、fL1は第1レンズ群の第1レンズの焦点距離、fL2は第1レンズ群の第2レンズの焦点距離である。
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