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JP3993005B2 - ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、ハーフトーン型位相シフトマスク及びその製造方法、並びにパターン転写方法 - Google Patents

ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、ハーフトーン型位相シフトマスク及びその製造方法、並びにパターン転写方法 Download PDF

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JP3993005B2 JP2002082021A JP2002082021A JP3993005B2 JP 3993005 B2 JP3993005 B2 JP 3993005B2 JP 2002082021 A JP2002082021 A JP 2002082021A JP 2002082021 A JP2002082021 A JP 2002082021A JP 3993005 B2 JP3993005 B2 JP 3993005B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、ハーフトーン型位相シフトマスク及びその製造方法等に関し、特に、次世代の短波長露光光源であるArFエキシマレーザ(193nm)及びF2エキシマレーザ(157nm)に使用するに適したハーフトーン型位相シフトマスク及びその素材となるブランク等に関する。
【0002】
【従来の技術】
DRAMは、現在256Mbitの量産体制が確立されており、今後Mbit級からGbit級への更なる高集積化がなされようとしている。それに伴い集積回路の設計ルールもますます微細化しており、線幅(ハーフピッチ)0.10μm以下の微細パターンが要求されるのも時間の問題となってきた。
パターンの微細化に対応するための手段の一つとして、これまでに、露光光源の短波長化によるパターンの高解像度化が進められてきた。その結果、現在の光リソグラフィ法における露光光源はKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)が主に使用されている。
しかし、露光波長の短波長化は解像度を改善する反面、同時に焦点深度が減少するため、レンズをはじめとする光学系の設計への負担増大や、プロセスの安定性の低下といった悪影響を与える。
【0003】
そのような問題に対処するため、位相シフト法が用いられるようになった。位相シフト法では、微細パターンを転写するためのマスクとして位相シフトマスクが使用される。
位相シフトマスクは、例えば、マスク上のパターン部分を形成する位相シフター部と、位相シフター部の存在しない非パターン部からなり、両者を透過してくる光の位相を180°ずらすことで、パターン境界部分において光の相互干渉を起こさせることにより、転写像のコントラストを向上させる。位相シフター部を通る光の位相シフト量φ(rad)は位相シフター部の複素屈折率実部nと膜厚dに依存し、下記数式(1)の関係が成り立つことが知られている。
φ=2πd(n−1)/λ …(式1)
ここでλは露光光の波長である。したがって、位相を180°ずらすためには、膜厚dを
d= λ/{2(n−1)} …(式2)
とすればよい。この位相シフトマスクにより、必要な解像度を得るための焦点深度の増大が達成され、露光波長を変えずに解像度の改善とプロセスの適用性を同時に向上させることが可能となる。
【0004】
位相シフトマスクはマスクパターンを形成する位相シフター部の光透過特性により完全透過型(レベンソン型)位相シフトマスクと、ハーフトーン型位相シフトマスクに実用的には大別することができる。前者は、位相シフター部の光透過率が、非パターン部(光透過部)と同等であり、露光波長に対してほぼ透明なマスクであって、一般的にラインアンドスペースの転写に有効であるといわれている。一方、後者のハーフトーン型では、位相シフター部(光半透過部)の光透過率が非パターン部(光透過部)の数%から数十%程度であって、コンタクトホールや孤立パターンの作成に有効であるといわれている。
【0005】
ハーフトーン型位相シフトマスクのうちには、主に透過率を調整する層と主に位相を調整する層からなる2層型のハーフトーン型位相シフトマスクや、構造が簡単で製造が容易な単層型のハーフトーン型位相シフトマスクがある。
単層型は、加工性の容易さから現在主流となっており、ハーフトーン位相シフター部がMoSiNあるいはMoSiONからなる単層膜で構成されているものがほとんどである。一方2層型は、前記ハーフトーン位相シフター部が、主に透過率を制御する層と、主に位相シフト量を制御する層との組み合わせからなり、透過率に代表される分光特性と、位相シフト量(位相角)の制御を独立して行うことが可能となる。
【0006】
一方、LSIパターンの微細化に伴い、露光光源の波長(露光光波長)は、現行のKrFエキシマレーザ(248nm)から、ArFエキシマレーザ(193nm)へ、さらに将来的にはF2エキシマレーザ(157nm)へと短波長化が進むと予想される。また、現行のハーフトーン型位相シフトマスクでは、ハーフトーン位相シフター部の露光光透過率が6%付近となるように膜設計がなされているものが主流であるが、さらなる高解像化に向けて透過率が高いものが要求されつつあり、将来的には15%以上の透過率が必要とも言われている。このような露光光源の短波長化や高透過率化に伴い、所定の透過率及び位相シフト量を満足するようなハーフトーン位相シフター部の材料の選定の幅が狭まる方向にある。また、透過率の高透過率化に伴ない光透過性の高い材料の必要性、又は露光光源の短波長化に伴い、従前の波長でみた場合に光透過性の高い材料の必要性により、パターン加工の際に石英基板とのエッチング選択性が小さくなるという問題がある。2層以上の多層型のハーフトーン位相シフター部は、多層膜或いは2層膜の組合せで位相差及び透過率をコントロールでき材料選定が容易であるという利点、及び上層のエッチングストッパーの役割を果たすような材料を下層として選択できるという利点がある。
【0007】
さらに、作製された位相シフトマスクは、露光光における反射率をある程度まで低減する必要があり、さらにパターン外観を検査する工程では、通常は露光光波長よりも長波長の光が検査光波長として用いられ、通常透過型欠陥検査装置(例えばKLA300シリーズ等)を用いた検査が行われているため、検査波長(例えば、露光波長がKrFエキシマレーザ(248nm)の場合、検査波長は488nm又は364nm)に対する透過率が高すぎる(例えば40%以上)と検査が困難となる。特に、露光波長の短波長化に伴ない上述のように光透過性の高いハーフトーン位相シフター部が必要となるが、光透過性の高い材料は、波長の長波長側への変化に対する透過率の増加率が大きくなるという傾向があるため、単層のハーフトーン位相シフターでは、検査光波長に対する光透過率を所定の範囲に下げることが一層難しくなってきている。、さらに、欠陥検査装置においては、透過光と反射光を用いた検査方式が新たに開発され、この方式で検査を行う場合の検査波長における透過率は透過光のみを用いた検査を行う場合に比べて若干高くてもよい(例えば50〜60%)が、検査波長における反射率が透明基板とある程度の差(例えば3%以上)となるように制御する必要がある。
このような状況のもと、ハーフトーン位相シフター部を2層以上の多層型とすることによって、露光光と検査光における反射特性、透過特性の制御を容易にすることができるという利点がある。
【0008】
2層型のハーフトーン型位相シフトマスクとしては、例えば、特開平4−140635号公報記載の薄いCrと塗布ガラスの2層構造のハーフトーン位相シフター部を有するものがある(従来例1)。また、多層構造としながら、同一装置で作成でき、同一のエッチャントでエッチングすることができるハーフトーン位相シフター部として、特開平6−83034号公報に記載されているような、同一元素を含む多層構造(例えば、Si層とSiN層の2層構造)からなるハーフトーン位相シフター部を有するものがある(従来例2)。さらに、検査光波長に対する透過率を低減させる技術として、特開平7−168343号公報に記載されているような、単層型のハーフトーン位相シフターとして知られているMoSiO又はMoSiONのような単層膜と、単層膜との組合せにおいて透過率の波長依存性が小さい透過膜とを含む、2層構造とすることにより、露光光(KrFエキシマレーザ)と検査光(488nm)の双方に対して、所望の透過率が得られるものがある(従来例3)。さらにまた、タンタルシリサイド系材料に注目した多層構造の位相シフター部として、特開2001−174973号公報に記載のタンタル、シリコン、及び酸素を主成分とする上層と、タンタルを主成分としてシリコンを含まない下層の2層構造で構成されたハーフトーン型位相シフター部を有するもの(従来例4)、及び特開2001−337436号公報に記載のタンタル、シリコン、及び酸素を主成分とする上層と、クロム又はクロムタンタル合金を主成分とする下層の2層構造で構成されたハーフトーン型位相シフター部を有するもの(従来例5)等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来例においては、次のような問題点があった。
通常、ハーフトーン位相シフター膜上には、ハーフトーン位相シフター膜のエッチングマスク層として用いると共に、その後マスク上の所望の箇所に遮光部を形成するために、遮光Cr層を形成するのが一般的である。従来例1のような塗布ガラス/薄いCr層/ガラス基板においては、塗布ガラス上に遮光Cr層が形成されることになる。この場合、パターン加工の際に一般に用いられるレジストパターンを転写した遮光Cr層/塗布ガラス/薄いCr層の3層構造のマスクパターンが作製され、その後遮光Cr層を通常ウエットエッチングにて選択的に除去するのであるが、遮光Cr層と薄いCr層とは材質が共通している点から遮光Cr層の選択的除去プロセスにおいて薄いCr層への影響が課題となる。具体的には、薄いCr層がエッチングされ、リフトオフと同様の原理でパターンが根こそぎ取れてしまうことがあり、薄いCr層がサイドエッチングされるとパターンエッジ付近の透過率が変化する等の問題が生じる。
【0010】
次に、従来例2においては、例えばSi層とSiN層は同一のスパッタリング装置で同じSiをターゲットとして用いて連続成膜が可能であるが、SiN層をSiターゲット及び窒素を含むスパッタリング雰囲気を用いた反応性スパッタリングを用いて成膜を行った場合、反応性スパッタリングによるターゲットのポイズニングが発生し、再現性が取れず、生産性に問題点があった。さらに、SiNを用いたのでは、近年の露光波長の短波長化に伴い透過率が低すぎてしまうという問題点があった。
【0011】
次に、従来例3においては、単層膜(上層)の材料としてMoSiO又はMoSiONを用いているが、金属を含有することで透過率が小さくなり近年の露光波長の短波長化に適さず、また金属の含有量を小さくすると屈折率が小さくなり、ハーフトーン位相シフターの膜厚が厚くなり、微細加工する上で不利である。
さらに、従来例4及び従来例5においては、上層の材料としてTaSiOを用いているが、金属を含有することで透過率が小さくなり近年の露光波長の短波長化に適さず、また金属の含有量を小さくすると屈折率が小さくなり、ハーフトーン位相シフターの膜厚が厚くなり、微細加工する上で不利である。また、これらの従来例では、下層が上層のフッ素系ガスによるドライエッチングに対するエッチングストッパーの役割を果たし、その後塩素系ガスによるドライエッチングにより下層のエッチングを行っているが、従来例4のタンタルからなる下層では、上層のフッ素系ドライエッチングに対するエッチング選択比が不充分であり、従来例5のクロムタンタル合金では、塩素系ガスでのエッチングレートが遅く、高精度のパターンが得られないという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記背景の下になされたものであり、次の▲1▼〜▲3▼の全てを満足するようなハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクを提供することを目的とする。
▲1▼露光光と検査光の光学特性の制御が可能である。
▲2▼ハーフトーン位相シフター部を形成するためのエッチングの際の微細加工性に優れる。
▲3▼露光光源が短波長化した場合、特に140nm〜200nmの露光波長領域、具体的には、F2エキシマレーザの波長である157nm付近、及びArFエキシマレーザの波長である193nm付近における高透過率品(透過率8〜30%)で使用可能である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、SiNxは、Si−N結合が膜のマトリックスを緻密にするため、露光光に対する照射耐性や洗浄液等に対する耐薬品性が高く、また、SiOxは、短波長側においても比較的高い透過率を有することができるという事実に基づき、両材料系の利点を生かしたSiOxNyに注目し、さらにSiOxNyにおいて、組成を制御すれば、短波長の露光光に使用するのに適した位相シフター膜が得られることを見出し、さらに、ハーフトーン位相シフター膜をSiOxNy膜(上層)とエッチングストッパー膜(下層)との2層構造とすることにより、露光光照射耐性、耐薬品性に加え、パターンの加工性が良好な位相シフター膜を実現できることについて、先に出願を行っている(特願2001−261025)。ここで、エッチングストッパー膜とは、SiOxNy膜のエッチングの進行を阻止する機能を有する材料からなる膜、もしくは位相シフター膜のエッチングの終点検出を容易にする機能、もしくはその両方の機能を有する材料からなる膜である。
また、ハーフトーン位相シフター膜をSiOxNy膜(上層)とエッチングストッパー膜(下層)との2層構造とした場合のハーフトーン位相シフター膜の微細加工性に関し、上層のフッ素系ドライエッチングに耐性を有し、さらに塩素系ドライエッチングにて容易に除去できるエッチングストッパー膜の材料群についても、先に出願を行っている(特願2002−47051)。
本発明は、さらに本発明者らが開発を進めた結果、上記目的に最も適したハーフトーン位相シフター膜を見出したものであり、下記構成を特徴とするものである。
【0014】
(構成1) 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせるハーフトーン位相シフター部を有し、前記光透過部とハーフトーン位相シフター部の境界部近傍にて各々を透過した光が互いに打ち消し合うように光学特性を設計することで、被露光体表面に転写される露光パターン境界部のコントラストを良好に保持、改善できるようにしたハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記ハーフトーン位相シフター部を形成するためのハーフトーン位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記ハーフトーン位相シフター膜が、珪素、酸素、及び窒素とから実質的になる材料からなる上層と、タンタル及びハフニウムとから実質的になる材料からなる下層とからなることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。(構成2) 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせるハーフトーン位相シフター部を有し、前記光透過部とハーフトーン位相シフター部の境界部近傍にて各々を透過した光が互いに打ち消し合うように光学特性を設計することで、被露光体表面に転写される露光パターン境界部のコントラストを良好に保持、改善できるようにしたハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記ハーフトーン位相シフター部を形成するためのハーフトーン位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記ハーフトーン位相シフター膜が、珪素、酸素、及び窒素とから実質的になる材料からなる上層と、珪素及びハフニウムとから実質的になる材料からなる下層とからなることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成3) 下層におけるハフニウムの含有量は、2〜50原子%以上であることを特徴とする構成1又は2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成4) 前記珪素、酸素、及び窒素とから実質的になる材料からなる上層は各々原子百分率において珪素を35〜45%、酸素を1〜60%、窒素を5〜60%含むことを特徴とする構成1〜3の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成5) ハーフトーン位相シフター膜上にクロムを主成分とする遮光膜が形成されていることを特徴とする構成1〜4の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成6) 構成1〜5の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおけるハーフトーン位相シフター膜にエッチング加工を施すことにより、透明基板上に光透過部と光半透過部からなるマスクパターンが形成されたこと特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
(構成7) 構成6に記載のハーフトーン型位相シフトマスクを製造する方法において、 前記上層をフッ素系ガスを用いたドライエッチングによりエッチングし、下層を塩素系ガスを用いたドライエッチングによりエッチングするハーフトーン位相シフター膜エッチング加工工程を含むことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクの製造方法。
(構成8) 構成6に記載されたハーフトーン型位相シフトマスクを用いて、パターン転写を行うことを特徴とするパターン転写方法。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、透明基板上に形成されたハーフトーン位相シフター層の内、透明基板側の膜を下層、下層の上に形成されている膜を上層とする。
上層の材料としては、珪素、酸素、及び窒素とから実質的になる材料からなる。即ち、上層は、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とする膜からなる。この材料は、露光光が短波長化した場合でも、下層との組み合わせにおいて、所望の透過率及び位相差を制御でき、かつ、露光光に対する照射耐性や洗浄液等に対する耐薬品性が高い。さらに、屈折率を比較的大きくすることができるため、所望の位相差を得るためのハーフトーン位相シフター膜全体の膜厚を抑えることができ、ハーフトーン位相シフター膜の微細加工性に優れている。
上記上層材料については、複素屈折率実部nについてはn≧1.7の範囲に、そして複素屈折率虚部kについてはk≦0.450の範囲に調整、制御することが好ましい。そうすることで、露光光の単波長化に伴なうハーフトーン型位相シフトマスクとしての光学特性を満たすのに有利である。なお、F2エキシマレーザ用では、k≦0.40の範囲が好ましく、0.07≦k≦0.35の範囲がさらに好ましい。ArFエキシマレーザ用では、0.10≦k≦0.45の範囲が好ましい。また、F2エキシマレーザ用では、n≧2.0の範囲が好ましく、n≧2.2の範囲がさらに好ましい。ArFエキシマレーザ用では、n≧2.0の範囲が好ましく、n≧2.5の範囲がさらに好ましい。
【0016】
上記光学特性を得るため、前記構成元素の組成範囲を、珪素については35〜45原子%、酸素については1〜60原子%、窒素については5〜60原子%とした。すなわち、珪素が45%より多い、あるいは窒素が60%より多いと、膜の光透過率が不十分となり、逆に窒素が5%未満、あるいは酸素が60%を超えると、膜の光透過率が高すぎるため、ハーフトーン型位相シフター膜としての機能が失われる。また珪素が35%未満、あるいは窒素が60%を上回ると膜の構造が物理的、化学的に非常に不安定となる。
なお、上記と同様の観点から、F2エキシマレーザ用では、前記構成元素の組成範囲を、珪素については35〜40原子%、酸素については25〜60原子%、窒素については5〜35原子%とすることが好ましい。同様にArFエキシマレーザ用では、前記構成元素の組成範囲を、珪素については38〜45原子%、酸素については1〜40原子%、窒素については30〜60原子%とすることが好ましい。尚、上記組成の他に、微量の不純物(金属、炭素、フッ素等)を含んでも良い。
本発明による上層は、シリコンから実質的になるターゲットを用い、希ガス及び窒素及び酸素を含む反応性ガスを用いたスパッタリング雰囲気を用いた反応性スパッタリングを用いて成膜することができる。シリコンから実質的になるターゲットは、金属シリサイド等の混合ターゲットを用いた場合に比べ、数密度や純度が高い安定したターゲットが得られるため、得られた膜のパーティクル発生率が少なくなるという利点がある。
【0017】
また、本発明における下層の材料としては、タンタル及びハフニウムとから実質的になる材料(構成1)、又は珪素及びハフニウム(構成2)とから実質的になる材料からなる。
本発明においては、検査波長における上層の膜の屈折率が下層の膜の屈折率よりも小さい。そのため、検査光に対する反射率を調整可能とすることができる。また露光波長においても上層の膜の屈折率が下層の膜の屈折率よりも小さくなる。そのため、露光光に対する反射率も要求値以下となるように調整可能とすることができる。
具体的には、露光光の透過率は、3〜20%、好ましくは6〜20%、露光光反射率は30%、好ましくは20%とすることがパターン転写上好ましい。また、検査光透過率は40%以下とすることがマスクの透過光を用いた欠陥検査を行う上で好ましく、検査光透過率を60%以下及び検査光反射率を12%以上とすることにより、マスクの透過光と反射光を用いた欠陥検査を行う上で好ましい。
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを用いる際の露光光としては、特に140nm〜200nmの露光波長領域、具体的には、F2エキシマレーザの波長である157nm付近、及びArFエキシマレーザの波長である193nm付近を用いることができる。ハーフトーン位相シフター部を高透過率に設定(透過率8〜30%)した高透過率品も作製することができる。
【0018】
また、本発明においては、上層が主に位相シフト量を調整する機能を果たす層(位相調整層)とし、下層が主に透過率を調整する機能を果たす層(透過率調整層)となるように膜設計が行われる。
即ち、上層(位相調整層)を通過する、波長λの露光光の位相シフト量φ(deg)をφとすると、位相調整層の膜厚dは、
d=(φ/360)×λ/(n−1) …(式3)
で表される。ここで、nは波長λの光に対する位相調整層の屈折率である。
ハーフトーン位相シフター部の位相シフト量Φは、下層(透過率調整層)の位相シフト量をφ’としたときに、
Φ=φ+φ’=180°
となるように設計する必要がある。φ’の値は、概ね−20°≦φ’≦20°の範囲である。すなわちこの範囲の外だと下層の膜厚が厚すぎて、露光光の透過率を大きくすることができない。したがって、上層の膜厚dは
0.44×λ/(n−1)≦d≦0.56×λ/(n−1) …(式4)
の範囲で設計される。
具体的には、下層の膜厚は1〜20nmとすることができ、さらに好ましくは1〜15nmとすることができ、その結果、ハーフトーン位相シフター膜の層膜厚を120nm以下、さらに好ましくは100nm以下に抑えることが可能である。
尚、ハーフトーン位相シフター膜の位相シフト量は、理想的には180°であるが、実用上は180°±5°の範囲に入ればよい。
また、本発明における透明基板としては、合成石英基板等を用いることができ、特にF2エキシマレーザを露光光として用いる場合は、Fドープ合成石英基板、フッ化カルシウム基板等を用いることができる。
【0019】
また、本発明における下層材料は、フッ素系ドライエッチングガスに対し耐性を有し、かつ塩素系ドライエッチングガスによって除去できるものである。これにより、ハーフトーン位相シフト膜の加工方法(エッチング方法)として、上層をフッ素系ガスを用いたドライエッチングによりエッチングし、下層を塩素系ガスを用いたドライエッチングにより行うことができる。
具体的には、タンタル又は珪素は、単体でも透明基板に対しダメージを与えない塩素系ガスを用いたドライエッチングを用いてエッチング可能な材料であるが、上層のフッ素系ガスを用いたドライエッチングに対する耐性についてはさほど優れていない。一方、ハフニウム単体は、上層のフッ素系ガスを用いたドライエッチングに対する耐性に優れ、かつ塩素系ガスを用いたドライエッチングを用いてエッチング可能な材料であり、タンタル又は珪素にハフニウムを添加することで、添加する前よりもフッ素系ガスを用いたドライエッチングに対する耐性を向上することができ、かつ塩素系ガスに対してエッチング特性を保持又は向上した材料となる。タンタル又は珪素へのハフニウムの添加量は、2原子%以上とすることが、フッ素系ドライエッチングガスへの耐性を得るという観点から好ましい。
【0020】
尚、下層がフッ素系ガスに対する耐性を有することによって、上層をフッ素系ガスを用いてドライエッチング加工を進めていき下層表面が露出しても下層の膜減りが遅いため、パターン疎密差等で生ずるエッチング分布から生じる上層の残膜の除去を考慮した十分な上層のオーバーエッチング時間を設定することができる。その結果、マスクパターンに忠実なパターン形成が可能となり、寸法精度の向上が見込める。下層の上層に対するフッ素系ドライエッチングガスに対するエッチング選択比は、0.5以下であることが好ましく、さらには0.3以下であることが好ましい。
また、下層が塩素系ガスを用いたドライエッチングを用いてエッチング可能な(塩素系ガスに対してある程度のエッチングレートを有するような)材料であることによって、下層を例えば塩素系ガスを用いてドライエッチング加工を進めていき透明基板表面が露出しても透明基板表層の掘り込みが殆どない。したがって、基板表層の掘り込みによる位相差変動及びエッチングばらつきによる面内位相差ばらつきを回避でき、高い位相差制御性を得ることができる。これは位相シフトマスクの基板として多く用いられる石英基板は下層材料に比べて下層除去のドライエッチングに対してエッチングレートが小さいためである。下層は透明基板に対して塩素系ドライエッチングガスに対するエッチング選択比は3以上であることが好ましく、さらには5以上であることが好ましい。
【0021】
ここで、フッ素系ガスとしては、例えばCxFy(例えば、CF4、C26、C38)、CHF3、SF6これらの混合ガス又はこれらに添加ガスとしてO2、希ガス(He,Ar,Xe)を含むもの等が挙げられる。塩素系ガスとしては、Cl2、BCl3、HCl、これらの混合ガス又はこれらに添加ガスとして希ガス(He,Ar,Xe)を含むもの等が挙げられる。尚、フッ素とフッ素以外のガスを同時に含むガスを用いることもできるがその場合は、プラズマ中の活性種における励起種の割合が多い方を優位とし、フッ素励起種が多い場合はフッ素系ガスと規定し、塩素励起種が多い場合は塩素系ガスと規定する。また、単体ガス組成においてフッ素とそれ以外のハロゲン元素を含む場合(例えばClF3等)については、フッ素系ガスとする。
【0022】
また、本発明においては、下層に含まれるハフニウムの添加量は50原子%以下とすることが好ましい。その理由は、タンタル又は珪素からなる光半透過膜は、露光波長における透過率と検査波長における透過率との差があまりないか、露光波長における透過率よりも検査波長における透過率の方が大きく、光学特性(露光光と検査光の透過率及び/又は反射率)を設計する上で適しているため、タンタル又は珪素を十分含ませることで、光学特性の設計が行い易いからである。
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、ハーフトーン位相シフター膜の成膜後に熱処理又はレーザアニールを施したものであってもよい。熱処理を行うことで、膜応力の緩和、耐薬性及び照射耐性の向上、透過率の微調整等の効果が得られる。熱処理温度は200℃以上、好ましくは380℃以上とすることが好ましい。
【0023】
また、本発明においては、ハーフトーン位相シフター膜上にクロムを主成分とする遮光膜を形成することができる。この遮光膜は、ハーフトーン位相シフター膜のエッチングマスク層として用い、その後選択的に除去することにより、ハーフトーン型位相シフトマスク上の所望の箇所又は領域に遮光部を形成することができる。クロムを主成分とする遮光膜としては、クロム、クロムの他に酸素、窒素、炭素、フッ素等を含有する一層又は多層(連続的な組成傾斜のある膜を含む)構造の膜が挙げられる。尚、表層部に酸素を含む反射防止膜(露光波長における反射防止)を設けることが好ましい。
ハーフトーン型位相シフトマスクのハーフトーン位相シフター膜上にクロムを主成分とする遮光膜を形成する場合は、転写領域の外周に遮光帯として形成された遮光膜、アライメントマーク等のマークのコントラストを増加させるためにマークの形成箇所に形成された遮光膜、位相シフト効果を得た上でサイドローブ光を低減するために、光半透過部の境界近傍を除く領域に形成された遮光膜等を形成することができる。
【0024】
【作用】
本発明のハーフトーン位相シフトマスクブランクによれば、ハーフトーン位相シフター膜の上層の材料にSiOxNy膜を用いて、下層の材料に、タンタル及びハフニウムとから実質的になる材料、又は珪素及びハフニウムとから実質的になる材料を用いているので、上層と下層それぞれの組成及び膜厚の制御を行うことにより、露光光に対する位相シフト量、透過率、及び反射率、検査光に対する透過率、必要な場合に反射率について所定の値に制御することが可能である。しかも、上層及び下層を異なるターゲットを用いてスパッタリング成膜を行うことができることから、再現性も良好である。
【0025】
また、本発明のハーフトーン位相シフトマスクブランクによれば、ハーフトーン位相シフター膜を上記のような材料としているので、ハーフトーン位相シフト膜の膜厚を薄くすることができ、かつハーフトーン位相シフト膜のエッチング特性も良好であり、かつ下層材料がハーフトーン位相シフト膜上の遮光Cr層と異なる材料であるために遮光Cr層のエッチングにより下層がダメージを受けることも防止できることから、ハーフトーン位相シフト膜の微細加工性に有利である。
【0026】
さらに、本発明のハーフトーン位相シフトマスクブランクによれば、ハーフトーン位相シフター膜を上記のような材料としているので、露光光源が短波長化した場合、特に140nm〜200nmの露光波長領域、具体的には、F2エキシマレーザの波長である157nm付近、及びArFエキシマレーザの波長である193nm付近における高透過率品(透過率8〜30%)に対応可能なハーフトーン型位相シフトマスクを作製することができる。
また、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクによれば、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクを素材として用いることによって、位相シフトマスクとしての要求光学特性を満たし、検査が可能で、高精度なパターンを有し、F2エキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等短波長の露光光源にも対応できるため、高精度な転写パターンを転写することが可能である。
さらに、本発明のパターン転写方法によれば、特にF2エキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等短波長の露光光源を用いるための位相シフトマスクとしての要求光学特性を満たし、高精度なパターンを有し、確実な検査工程を経ることができた本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを用いることによって、高精度な転写パターンを転写することができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3、6及び比較例1〜2は、露光光にF2エキシマレーザ(波長157nm)、検査光に波長257nmの光を用いることを前提に作製した位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクである。実施例4及び5は、露光光にArFエキシマレーザ(波長193nm)、検査光に波長364nmの光を用いることを前提に作製した位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクである。
【0028】
図1(1)は、上記実施例及び比較例によるハーフトーン型位相シフトマスクブランク、図1(2)は、上記実施例及び比較例によるハーフトーン型位相シフトマスクの断面を示す。
図1(1)において、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク1は、透明基板2とその上に、下層3及び下層の直上に形成された上層4とからなるハーフトーン位相シフター膜5とにより構成されている。
図1(2)において、ハーフトーン型位相シフトマスク1’は、透明基板2上に、下層部3’及び下層部3’の直上に形成された上層部4’からなるハーフトーン位相シフター部5’とにより構成されており、ハーフトーン位相シフター部が形成されている光半透過部6とハーフトーン位相シフター部が形成されていない光透過部7とからなるマスクパターン8が形成されている。ハーフトーン位相シフター膜5及びハーフトーン位相シフター膜5’は、露光光に対して所望の透過率を有し、かつ位相シフト角が略180度とされている。また、検査波長における透過率、又は透過率と反射率が所望の範囲となるように設計されている。
【0029】
次に図2及び図3を参照しながら、本発明の製造工程について説明する。
まず合成石英からなる透明基板2上に、表3に示した組成のターゲット(但し、比較例1及び3については、それぞれタンタル及び珪素単体)、及び希ガス(アルゴンガス)をスパッタリングガスとして用いて、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて下層3を成膜した。
次に、Siをターゲットとし、Ar,O2,N2をスパッタガスとした反応性スパッタリング法によりSiON膜を下層3の直上にDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて上層4を成膜した(図2(1))。
次に、上記で得られたハーフトーン型位相シフトマスクブランクを400℃で1時間の熱処理を行った。
【0030】
次に、上記2層膜の上にクロムを主成分とする遮光膜9、電子線描画レジスト10を順に積層した(図2(2))。そしてレジスト上に電子線によるパターン描画を行なった後、浸漬法による現像及びベークを行うことで、レジストパターン10’を形成した(図2(3))。続いて、そのレジストパターンをマスクとし、Cl2+O2ガスでのドライエッチングにより、遮光帯膜パターン9’形成を行った。さらに、ガスを変えて、ハーフトーン位相シフター部のパターン形成を行った。その際、上層4のエッチングにはSF6+He、下層3のエッチングにはCl2ガスを用いた(図2(4))。但し、比較例3については、下層もSF6+Heでエッチングされてしまったため、Cl2ガスを用いたエッチングは行わなかった。
次に、形成されたパターン上のレジストを剥離し(図3(1))、再度全面にレジスト11を塗布(図3(2))した後、レーザ描画・現像プロセスを経て、レジストパターン11’を形成した(図3(3))。そして、ウエットエッチングにより、転写領域Iを除く非転写領域に遮光帯12を形成した。次いで、レジストパターンを剥離して、ハーフトーン型位相シフトマスクを得た(図3(4))。
尚、透明基板材料、上層の組成、膜厚、露光光及び検査光の光学特性、エッチング特性等については、表1〜表4に示す通りである。尚、下層の組成については、ターゲットの組成と実質的に同じである。
【0031】
【表1】
Figure 0003993005
【表2】
Figure 0003993005
【表3】
Figure 0003993005
【表4】
Figure 0003993005
【0032】
図4及び図5は、それぞれ実施例1及び実施例2の波長に対する透過率曲線及び反射率曲線を示すものである。実施例1、2においては、露光光(F2エキシマレーザ)に対する透過率としてそれぞれ標準品(6%)付近、及び高透過率品(9%付近)を実現したものであり、かつ露光光の反射率が低く、要求範囲(20%以下)を満たすものであった。また、検査光の透過率も要求値の上限よりも低く(40%以下)、十分検査に対応できるものであった。
【0033】
また、実施例3においては、露光光(F2エキシマレーザ)に対する高透過率(15%付近)を実現したものであり、かつ露光波長の反射率が低く、要求範囲(20%以下)を満たすものであった。また、検査波長の透過率についてはやや高かったが、透過光と反射光を用いた検査を行うための要求値(透過率60%以下、反射率が10%以上)を満足するため、透過光と反射光を用いた検査には、十分検査に対応できるものであった。
【0034】
また、実施例4においては、露光光(ArFエキシマレーザ)に対する高透過率(15%付近)を実現したものであり、かつ露光波長の反射率が低く、要求範囲(20%以下)を満たすものであった。また、検査光の透過率も要求値の上限よりも低く(40%以下)、十分検査に対応できるものであった。
また、実施例5及び実施例6は、下層の材料を、上記実施例1〜4のTaHfではなく、HfSiとしたものであり、実施例5は、露光光(ArFエキシマレーザ)に対する高透過率(15%付近)、実施例6は、露光光(F2エキシマレーザ)に対する高透過率品(11%付近)を実現し、かつ露光波長の反射率が低く、要求範囲(30%以下)を満たすものであった。また、検査光の透過率も要求値の上限よりも低く(40%以下)、十分検査に対応できるものであった。
【0035】
また、上記実施例1〜6の何れの実施例においても、下層は上層に対してSF6+Heドライエッチングガスに対するエッチング選択比は小さく、上層のエッチングに対し下層が十分な耐性を有し、かつ下層は透明基板に対してCl2ドライエッチングガスに対するエッチング選択比が大きいことから、下層の除去の際に透明基板へのダメージが少なくて済むので、極めて良好な断面形状でかつ透明基板のオーバーエッチングによる光学特性の変化が極力抑えられたハーフトーン型位相シフトマスクを形成することができた。
【0036】
尚、比較例1及び比較例3は、それぞれ、下層材料としてハフニウムを含まない、タンタル単体及び珪素単体とした場合の例である。これらの比較例では下層は上層に対してSF6+Heドライエッチングガスに対するエッチング選択比が大きく、上層をフッ素系ガスを用いてドライエッチング加工を進めていき下層表面が露出しても下層の膜減りが速く、パターン疎密差等で生ずるエッチング分布から生じる上層の残膜の除去を考慮した十分なオーバーエッチング時間の設定が困難である。即ち、十分なオーバーエッチングを行わない場合は、良好な断面形状のパターンを形成することができず、十分なオーバーエッチングを行った場合は、下層もエッチングされた上に透明基板も掘り込まれて光学特性が変化してしまう。比較例1においては、上層の十分なオーバーエッチングを行わなかった結果、良好な断面形状のパターンが得られなかった。比較例3においては、下層の上層に対するSF6+Heドライエッチングガスに対するエッチング選択比が非常に大きく、上層の十分なオーバーエッチングを行った結果、透明基板も掘り込まれてしまい、位相シフト量が変化してしまった。
また、比較例2は、Cl2ドライエッチングガスに対するエッチング選択比が小さいことから、下層除去の際の基板へのダメージが大きく、光学特性が変化してしまった。
【0037】
ハーフトーン型位相シフトマスクのハーフトーン位相シフター部上に遮光膜を形成した他の例としては、図6に示すように、光半透過部6光透過部7との境界近傍を除く所望の領域に遮光層13形成したものがある。このように遮光膜13を形成することによって、位相シフト効果を得た上でサイドローブ光を低減することができる。ハーフトーン位相シフター部の透過率が高い場合にサイドローブ光の影響が懸念されるため、この構造は、特に高透過率品(ハーフトーン位相シフター部の透過率が8〜30%)の場合に有効である。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、次の▲1▼〜▲3▼の全てを満足するようなハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクを得ることができる。
▲1▼露光光と検査光の透過率及び/又は反射率の制御が可能である。
▲2▼ハーフトーン位相シフター部を形成するためのエッチングの際の微細加工性に優れる。
▲3▼露光光源が短波長化した場合、特に140nm〜200nmの露光波長領域、具体的には、F2エキシマレーザの波長である157nm付近、及びArFエキシマレーザの波長である193nm付近における高透過率品(透過率8〜30%)で使用可能である。
その結果、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを用いることにより、高精度な転写パターンを転写することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクの断面図である。
【図2】本発明の実施例に係るハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型ハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程図である。
【図3】本発明の実施例に係るハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型ハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程図(続き)である。
【図4】本発明の実施例1に係るハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光学特性のスペクトル図である。
【図5】本発明の実施例2に係るハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光学特性のスペクトル図である。
【図6】本発明の実施例に係る変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 ハーフトーン型位相シフトマスクブランク
1’ ハーフトーン型位相シフトマスク
2 透明基板
3 下層
4 上層
5 ハーフトーン位相シフター膜
6 光半透過部
7 光透過部
9 遮光膜

Claims (7)

  1. 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせるハーフトーン位相シフター部を有し、前記光透過部とハーフトーン位相シフター部の境界部近傍にて各々を透過した光が互いに打ち消し合うように光学特性を設計することで、被露光体表面に転写される露光パターン境界部のコントラストを良好に保持、改善できるようにしたハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記ハーフトーン位相シフター部を形成するためのハーフトーン位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
    前記ハーフトーン位相シフター膜が、珪素、酸素、及び窒素とから実質的になる材料からなる上層と、タンタル及びハフニウムとから実質的になる材料からなる下層とからなることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
  2. 下層におけるハフニウムの含有量は、2〜50原子%以上であることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
  3. 前記珪素、酸素、及び窒素とから実質的になる材料からなる上層は各々原子百分率において珪素を35〜45%、酸素を1〜60%、窒素を5〜60%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
  4. ハーフトーン位相シフター膜上にクロムを主成分とする遮光膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
  5. 請求項1〜の何れかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおけるハーフトーン位相シフター膜にエッチング加工を施すことにより、透明基板上に光透過部と光半透過部からなるマスクパターンが形成されたこと特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
  6. 請求項に記載のハーフトーン型位相シフトマスクを製造する方法において、
    前記上層をフッ素系ガスを用いたドライエッチングによりエッチングし、下層を塩素系ガスを用いたドライエッチングによりエッチングするハーフトーン位相シフター膜エッチング加工工程を含むことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクの製造方法。
  7. 請求項に記載されたハーフトーン型位相シフトマスクを用いて、パターン転写を行うことを特徴とするパターン転写方法。
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