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JP4641086B2 - ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス、及びハーフトーン位相シフトフォトマスクとその製造方法 - Google Patents

ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス、及びハーフトーン位相シフトフォトマスクとその製造方法 Download PDF

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JP4641086B2 JP2000154687A JP2000154687A JP4641086B2 JP 4641086 B2 JP4641086 B2 JP 4641086B2 JP 2000154687 A JP2000154687 A JP 2000154687A JP 2000154687 A JP2000154687 A JP 2000154687A JP 4641086 B2 JP4641086 B2 JP 4641086B2
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    • G03F1/26Phase shift masks [PSM]; PSM blanks; Preparation thereof
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、超LSI等の高密度集積回路等の製造に用いられるフォトマスク及びそのフォトマスクを製造するためのフォトマスクブランクに関し、特に、微細寸法の投影像が得られるハーフトーン位相シフトフォトマスクと、この位相シフトフォトマスクを製造するためのハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスに関する。
【0002】
【従来の技術】
IC,LSI,超LSI等の半導体集積回路は、フォトマスクを使用したリソグラフィー工程を繰り返すことによって製造されるが、特に微細寸法の形成には、例えば、特開昭58−173744号公報、特公昭62−59296号公報等に示されているような位相シフトフォトマスクの使用が検討されている。
位相シフトフォトマスクには様々な構成のものか提案されているが、その中でも、例えば特開平4−136854号公報、米国特許第4,890,309号等に示されるような、ハーフトーン位相シフトフォトマスクが早期実用化の観点から注目を集めている。
そして、特開平5−2259号公報、特開平5−127361号公報等に記載のように、製造工程数の減少による歩留りの向上、コストの低減等が可能な構成、材料について、いくつか提案がされている。
【0003】
ここで、ハーフトーン位相シフト法およびハーフトーン位相シフトフォトマスクを図に基づいて簡単に説明する。
図6はハーフトーン位相シフト法の原理を示す図、図7は従来法を示す図である。
図6(a)及び図7(a)はフォトマスクの断面図、図6(b)及び図7(b)はフォトマスク上の光の振幅、図6(c)及び図7(c)はウエーハー上の光の振幅、図6(d)及ぴ図7(d)はウエーハー上の光強度をそれぞれ示し、911及び921は基板、922は100%遮光膜、912は入射光の位相を実質的に180度ずらし、かつ、透過率が1%〜50%の範囲であるハーフトーン位相シフト膜、913及び923は入射光である。
従来法においては、図7(a)に示すように、石英ガラス等からなる基板921上にクロム等からなる100%遮光膜922を形成し、所望のパターンの光透過部を形成してあるだけであり、ウエーハー上での光強度分布は図7(d)に示すように裾広がりとなり、解像度が劣ってしまう。
一方、ハーフトーン位相シフトシフト法では、ハーフトーン位相シフト膜912を透過した光とその開口部を透過した光とでは位相が実質的に反転するので、図6(d)に示すように、ウエーハー上でパターン境界部での光強度が0になり、その裾広がりを抑えることかでき、したがって、解像度を向上させることができる。
【0004】
ハーフトーン位相シフトフォトマスクのハーフトーンの位相シフト膜912には、位相反転と透過率調整という2つの機能が要求される。
このうち、位相反転機能については、ハーフトーン位相シフト膜912を透過する露光光と、その開口部を透過する露光光との間で、位相が実質的に反転するようになっていればよい。
ここで、ハーフトーン位相シフト膜(ハーフトーン位相シフト層とも言う)912を、たとえばM.Born、E.Wolf著「Principles ofOptics」628〜632頁に示される吸収膜として扱うと、多重干渉を無視できるので、垂直透過光の位相変化φは、以下の式で計算され、φがnπ±π/3(nは奇数)の範囲に含まれるとき、上述の位相シフト効果が得られる。
【0005】
【数式3】
Figure 0004641086
ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフトーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおきる位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長である。
ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は空気とする。
【0006】
一方、ハーフトーン位相シフト効果か得られるための、ハーフトーン位相シフト膜912の露光光透過率は、転写パターンの寸法、面積、配置、形状等によって決定され、パターンによって異なる。
実質的に、上述の効果を得るためには、ハーフトーン位相シフト膜912の露光光透過率を、パターンによって決まる最適透過率を中心として、最適透過率士数%の範囲内に含まれるようにしなければならない。
通常、この最適透過率は、開口部を100%としたときに、転写パターンによって1%〜50%という広い範囲内で大きく変動する。
すなわち、あらゆるパターンに対応するためには、様々な透過率を有するハーフトーン位相シフトフォトマスクが要求される。
実際には、位相反転機能と透過率調整機能とは、ハーフトーン位相シフト膜を構成する材料(多層の場合は、各層を構成する各材料)の複素屈折率(屈折率と消衰係数)と膜厚とによって決定される。
つまり、ハーフトーン位相シフト膜の膜厚を調整し、前記式により求まる位相差φがnπ±π/3(nは奇数)の範囲に含まれるような材料が、ハーフトーン位相シフトフォトマスクのハーフトーン位相シフト層として使える。
【0007】
ところで、一般的にフォトマスクパターン用の薄膜材料としては、例えば特開昭57−64739号公報、特公昭62−51460号公報、特公昭62−51461号公報に示されるようなタンタル系の材料が知らており、その加工特性、加工後の化学的安定性等が極めて優れていることから、例えば特開平5−134396号公報、特開平7−134396号公報、特開平7−281414号公報に挙げられるように、タンタルを酸化または窒化することで、ハーフトーン位相シフト膜へ応用する試みが盛んに検討された。
また、LSIパターンの微細化に伴う露光波長の短波長化が進むに従い、例えば特開平6−83027号公報に示されされるような、より短波長露光に対応した、タンタルシリサイド系の材料を用いる研究も進められた。
【0008】
しかしながら、一般的にタンタルシリサイドは、CF4 、CHF3 、SF6 、C2 6 、NF3 、CF4 +H2 、CBrF3 などのフツ素系のエツチングガスを用いてドライエッチングを行うが、この際に、基板材である合成石英などの透明基板もエッチングされ、高精度なドライエッチングが出来ない、という問題点があった。
一般的に、ハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造に関しては、その位相角の高精度制御が不可欠であるが、上述の通り、ハーフトーン位相シフト膜のエツチングの際に石英基板もエツチングされてしまうと、その掘られた分だけ位相差に誤差が生じてしまう。
また、ハーフトーン位相シフト膜のエッチングは、パターン寸法の制御にも重要な役割を持つため、出来る限り良好なパターン寸法の均一性、再現性が得られるように条件設定したいところであるが、石英とのエッチング選択比という新たなパラメータが加わることにより、条件設定の裕度が狭くなってしまう、とい
う問題点もある。
これは、寸法制御にとっての最適エッチングプロセスと、上記位相差制御を重視した最適エッチングプロセスとは必ずしも一致しないため生じる問題である。
すなわち、タンタルシリサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料は、それ自体は優れた加工特性、加工後の化学的安定性を示すが、位相差の高精度制御も考慮に入れると、高精度のパターニングが困難になってしまう、と言う問題点である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、LSIパターンの微細化に伴う露光波長の短波長化に伴い、より短波長露光に対応した、タンタルシリサイド系の材料を、ハーフトーン位相シフト膜へ適用する試みが行われているが、タンタルシリサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料は、それ自体は優れた加工特性、加工後の化学的安定性を示すが、位相差の高精度制御も考慮に入れると、高精度のパターニングが困難になってしまう、と言う問題点があり、この対応が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、タンタルシリサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料を用い、且つ、タンタルシリサイド系材料の優れた加工特性、加工後の化学的安定性等を維持しつつ、石英基板とのエツチング選択比を向上させた構造のハーフトーン位相シフトフォトマスクを提供しようとするものである。
同時に、そのようなハーフトーン位相シフトフォトマスクの作製を可能とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、透明基板上のハーフトーン位相シフト層が、タンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする一層と、クロムタンタル合金を主成分とする一層とを少なくとも含む多層膜で構成されているものであって、透明基板上にクロムタンタル合金を主成分とする一層が形成され、その上にタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層が形成されており、更に、ハーフトーン位相シフト層の上に、クロムを主成分とする遮光膜が形成されていることを特徴とするものである。
そして、上記のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が、シリコンを含むことを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が、酸素、フツ素、または、窒素を含むことを特徴とするものである。
また、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、ハーフトーン位相シフト層が、透明基板上に、以下の式により求まる位相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるように形成されていることを特徴とするものである。
【数式4】
Figure 0004641086
ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフトーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおきる位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長である。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は空気とする。
また、上記いずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、ハーフトーン位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光に対する前記透明基板の透過率を100%としたときに、1〜50%となるような膜厚で前記透明基板上に形成されていることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、ハーフトーン位相シフト層が形成された表面の露光光に対する絶対反射率が、0〜30%であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスクは、透明基板上のハーフトーン位相シフト層がタンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする一層と、クロムタンタル合金を主成分とする一層とを少なくとも含む多層膜で構成されているものであって、透明基板上にクロムタンタル合金を主成分とする一層が形成され、その上にタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層が形成されており、更に、ハーフトーン位相シフト層の上に、クロムを主成分とする遮光膜が形成されていることを特徴とするものである。
そして、上記のハーフトーン位相シフトフォトマスクであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が、シリコンを含むことを特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフォトマスクであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が酸素、フッ素、または、窒素を含むことを特徴とするものである。
また、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフフォトマスクであって、ハーフトーン位相シフト層が、透明基板上に、以下の式により求まる位相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるように形成されていることを特徴とするものである。
【数式5】
Figure 0004641086
ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフトーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおきる位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長である。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は空気とする。
また、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフフォトマスクであって、ハーフトーン位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光に対する前記ハーフトーン位相シフト層の開口部透過率を100%としたときに、1〜50%であることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフフォトマスクであって、ハーフトーン位相シフト層か形成された表面の露光光に対する絶対反射率か、0〜30%であることを特徴とするものである。
また、本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法は、上記いずれかのハーフトーン位相シフトフトフォトマスク用ブランクスを用いたハーフトーン位相シフトフトフォトマスクの製造方法であって、順に、ハーフトーン位相シフトフトフォトマスク用ブランクスの遮光膜上にレジストを所望の形状に形成する工程と、塩素系ガスを含むプラズマにより、前記遮光膜をドライエッチングする工程と、フッ素系ガスを含むプラズマにより、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層をドライエッチングする工程と、塩素系ガス含むプラズマによりにより、透明基板上のクロムタンタル合金を主成分とする一層をドライエッチングする工程と、前記レジストを除去した後、新たにハーフトーン位相シフト層を露出させたい領域のみを開口させたレジストを形成し、硝酸セリウムを含むウェットエッチャントにより遮光膜を選択的に除去する工程とを、備えることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、このような構成にすることにより、タンタルシリサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料を用い、且つ、タンタルシリサイド系材料の優れた加工特性、加工後の化学的安定性等を維持しつつ、石英基板とのエツチング選択比を向上させた構造のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製することができるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの提供を可能としている。
タンタル系材料に特有の化学的安定性、加工特性加え、シリサイド系に特有の短波長適用性を維持しつつ、合成石英などの透明基板とのエッチング選択比が十分に取れるため、高精度なパターニングが可能で、かつ、マスク加工後の安定性に優れた、ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの提供を可能としている。
ハーフトーン位相シフト膜を多層膜で構成し、そのうちの一層(クロムタンタル合金を主成分とする一層)を、透明基板と十分に大きなエツチング選択比がとれる材料で構成することによって、高精度加工を可能可能にしている。
具体的には、透明基板上のハーフトーン位相シフト層が、タンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする一層と、クロムタンタル合金を主成分とする一層とを少なくとも含む多層膜で構成されているものであって、透明基板上にクロムタンタル合金を主成分とする一層が形成され、その上にタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層が形成されており、更に、ハーフトーン位相シフト層の上に、クロムを主成分とする遮光膜が形成されているこことにより、これを達成している。
【0013】
即ち、ハーフトーン位相シフト層として、タンタル、シリコン、及び、酸素を主体とする層を含むハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスで、クロムを主成分とする一層を設けることにより、高精度パターニングを可能としている。
クロムタンタル合金を主成分とする膜は、Cl2 、CH2 Cl2 、あるいはこれにO2 を加えたガスなどの塩素系のエッチングガスでもエチングをすることか出来るが、これら塩素系ガスでは、合成石英などの透明基板は実質上エッチングされない。
ここで、クロムタンタル合金を主成分とする膜は、その役割上、透明基板の直ぐ上に第一層として成膜されることが望ましい。
例えば、合成石英上に、まずクロムタンタル合金を主成分とする膜を形成し、その上にタンタル、シリコン、及び、酸素を主体とする膜を形成し、これら2層でハーフトーン位相シフト膜とした場合、パターニングにおいては、まずフツ素系のドライエツチングガスでタンタル、シリコン、及び、酸素を主体とする膜エッチングし、続けて、塩素系のドライエッチングガスで、基板との十分なドライエツチング選択比を維持しなからパターニングをすることにより、高精度な位相差制御が可能となる。
【0014】
また、このハーフトーン位相シフト膜は、タンタル系薄膜の特徴である優れた化学的安定性、加工性を有し、またシリサイド膜を用いているため、フッ化クリプトンエキシマレーザーリソグラフィー(露光波長:248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザーリソグラフィー(露光波長:193nm)に対しても十分な透光性を有するため、ハーフトーン位相シフト膜として使用できる。
【0015】
ところで、一般的にハーフトーン位相シフトリソグラフィーでは、隣接するショットの重なりでのレジストの感光を防ぐために、ハーフトーン位相シフト層に加え、遮光膜によって形成される層を設けることが多いが、本願請求項1の発明においても、該遮光膜を配している。
この遮光膜は、上記目的のほかに、転写形成するパターンの転写特性の調整用に用いられることもある。
この遮光膜には、クロムを主体とする膜が、その製版特性や耐久性が優れているという理由などから使用され、ハーフトーン位相シフト膜パターンを形成した後、製版を硝酸セリウム系のウェットエッチャントで行う場合がある。
ところが、本発明のハーフトーン位相シフトマスク用ブランクスにおいては、ハーフトーン位相シフト膜にクロムタンタル合金を主成分とする膜が含まれるため、この膜が硝酸セリウム系のウェットエッチャントに侵され(後述する処理の図5(d)を参照)、パターンに不具合が生じることが懸念されるが、本発明におけるクロムタンタル合金を主成分とする膜に、酸素、フツ素、または、窒素等を含有させたり、また、シリコン、タンタルなど、他の金属との合金とすることにより、耐食性を向上させることができる。
尚、一般的には、このクロムタンタル合金を主成分とする膜は、膜厚が薄いため、図5に示されるように侵される可能性は低い。
あるいは、侵されたとしても実質的に転写特性に間題を生じないレベルであると予想される。
【0016】
本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスクは、このような構成にすることにより、高精度なパターニングが可能で、かつ、マスク加工後の安定性に優れ、且つ、フッ化クリプトンエキシマレーザー(波長:248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザー(波長:193nm)等の短波長の露光にも適用できるハーフトーン位相シフトフォトマスクの提供を可能としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を図に基づいて説明する。
図1(a)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第1の例の断面図で、図1(b)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第2の例の断面図で、図2(a)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスクの実施の形態の第1の例の断面図で、図2(b)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスクの実施の形態の第2の例の断面図で、図3は図2(a)に示すハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造工程断面図で、図4はテストピースの断面図で、図5は第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法の説明と、エッチング形状を説明するための断面図である。
図1中、110は透明基板、120はハーフトーン位相シフト層、121はクロムを主成分とする層(以降第1の層とも言う)、122はタンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする層(以降第2の層とも言う)、125はハーフトーンパタン領域(シフト層パタン領域)、130は遮光性層(実質的な遮光膜とも言う)、140はレジスト層、140Aは開口、145はレジスト層、145Aは開口である。
【0018】
はじめに、本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第1の例を、図1(a)に基づいて説明する。
本例のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、タンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする第2の層122と、クロムを主成分とする第1の層121からなる多層膜をハーフトーン位相シフト層120とするもので、合成石英からなる透明基板110上に、順に、クロムを主成分とする第1の層121、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122を形成している。
そして、タンタル系材料に特有の化学的安定性、加工特性を有し、フォトマスク作製の際、クロムを主成分とする第1の層121を塩素系のガスでエッチング加工する場合には、合成石英からなる透明基板110とのエッチング選択比が十分に取れる。
これにより、フォトマスク作製の際に、高精度なパターニングが可能である。
尚、本例のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスのハーフトーン位相シフト層120に、タンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする第2の層122を設けており、これより作製されたフォトマスクは、フッ化クリプトンエキシマレーザー(波長:248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザー(波長:193nm)等の短波長の露光光にも適用できる。
【0019】
そして本例においては、ハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製した際に、位相シフト効果が得られるように、ハーフトーン位相シフト層120は、透明基板110上に、以下の式で、m=4とし、求まる位相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるように形成されている。
【数式6】
Figure 0004641086
ここで、φは透明基板110上に2層のハーフトーン位相シフト層120が構成されているフォトマスクを垂直に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおきる位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層を構成する材料(タンタル層121、金属シリサイド酸化膜122)の屈折率と膜厚、λは露光光の波長である。
ただし、k=1の層は透明基板110、k=4の層は空気とする。
【0020】
また、ハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製した際に、実質的に、位相シフト効果が得られるために、ハーフトーン位相シフト層120の露光光に対する透過率が、その露光光に対する透明基板110の透過率を100%としたときに、1%〜50%の範囲となるような膜厚で透明基板110上に形成されている。
【0021】
クロムを主成分とする第1の層121としては、塩素系のガスでエッチングが可能なクロム層、酸化クロム層、窒化クロム層、酸化窒化クロム層が挙げられる。
クロムを主成分とする第1の層121についても、従来からフォトマスク用薄膜の成膜に使用されてきたスパッタリング法で容易に形成できる。
ターゲツトとして、金属クロムを使用し、スパッタガスとしてのアルゴンガスに酸素、窒素を混合すれば、酸化クロム膜、窒化クロム膜が得られる。
屈折率の調整は、ガスの混合比のほか、スパツタ圧力、スパツタ電流などによっても制御できる。
また、このクロム系膜は、スパッタリング法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術を用いても成膜できる。
タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122は、従来からフォトマスク用薄膜の成膜に使用されてきたスパッタリング法で容易に形成できる。
例えば、タンタルシリサイド酸化膜は、ターゲツトとして、タンタルシリサイドを使用し、スパッタガスとしてアルゴンガスに酸素を混合して、タンタルシリサイド酸化膜が得られる。
タンタルシリサイド酸化膜122の屈折率の調整は、ガスの混合比のほか、スパッタ圧力、スパッタ電流などによっても制御できる。
尚、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122は、スパッタリング法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術を用いても成膜できる。
透明基板110としての合成石英は、フッ化クリプトンエキシマレーザー(波長:248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザー(波長:193nm)等の短波長の露光光にも透明で、フォトマスク作製の際、クロムを主成分とする第1の層121を塩素系のガスでエッチング加工する場合には、第1の層121と透明基板110とのエッチング選択比が十分に取れる。
【0022】
次いで、本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第2の例を、図1(b)に基づいて説明する。
第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、第1の例の位相シフト層120上に遮光性層130を設けたものである。
遮光性層130層は、ハーフトーンパタン領域(シフト層パタン領域)125の周辺に設け、ウエハ露光における隣接するショット同志の多重露光による感光を防いだり、アライメントマークなどを形成する等のための、実質的に遮光性の膜である。
遮光性層130層としては、クロム単層、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム層等のクロム系の金属層が一般的であるが、これに限定はされない。
これらクロム系膜は、スパッタリング法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術を用いても成膜できる。
【0023】
尚、ハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製する際、硝酸セリウム系のウェットエッチャントを用い、遮光性層130層をウェットエッチングを行う場合のブランクスとしては、クロムを主成分とする第1の層121に、酸素、フツ素、または、窒素等を含有させたり、また、シリコン、タンタルなど、他の金属との合金とすることにより、耐食性を向上させたものが好ましい。
【0024】
第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス、第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの変形例としては、第1の層121を塩素系のガスでエッチング加工なクロムタンタル合金を主成分とする膜としたものも挙げられる。
クロムタンタル合金のを主成分とする膜も、スパッタリング法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術を用いても成膜できる。
【0025】
次に、本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスクの実施の形態の第1の例を、図2(a)に基づいて説明する。
本例は、図1(a)に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用いて作製されたもので、位相シフト層120が所定の形状にパタンニングされている。
各層の材質や光学特性については、図1(a)に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスの説明に代え、ここでは説明を省く。
【0026】
次に、本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスクの実施の形態の第2の例を、図2(b)に基づいて説明する。
本例は、図1(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用いて作製されたもので、位相シフト層120が所定の形状にパタンニングされ、且つ、位相シフト効果を得るハーフトーンパタン領域(シフト層パタン領域)125と、実質的な遮光効果を得る遮光性パタン領域135を設けたものである。
各層の材質や光学特性については、図1(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスの説明に代え、ここでは説明を省く。
【0027】
第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスク、第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの変形例としては、第1の層121を塩素系のガスでエッチング加工可能なクロムタンタル合金を主成分とする膜とした、先に述べた、変形例のブランクスを用いたフォトマスクで、図2(a)、図2(b)に示す形態と同様の形態のフォトマスクが挙げられる。
【0028】
次いで、第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法の1例を図3に基づいて説明する。
先ず、図1(a)に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用意し(図3(a))、ハーフトーン位相シフト層120上にレジスト層140を塗布、乾燥した(図3(b)後、電子線描画装置等を用いレジスト層140の所定領域のみを感光させ、現像して、作製するハーフトーン位相シフト層120のパタン形状に合せ、レジスト層140を形成する。(図3(c))
レジスト層140を形成するレジストとしては、処理性が良く、所定の解像性を有し、耐ドライエッチング性の良いものが好ましいが、限定はされない。
次いで、レジスト層140を耐エッチングマスクとして、順次、フッ素系のガス、塩素系のガスを用いて、ハーフトーン位相シフト層120のタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122とクロムを主成分とする第1の層121とを続けてエッチングし(図3(d))、レジスト層140を剥離して、ハーフトーン位相シフト層パタンを得る。(図3(e))
【0029】
次いで、第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法の1例を図5に基づいて説明する。
ここでは、遮光性層130をクロム系の遮光層とする。
先ず、図1(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用意し、図3に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法と同様に、レジスト層を遮光性層130上に所定形状に形成し、レジスト層を耐エッチングマスクとして、塩素系のガスを用いて遮光性層130を、フッ素系のガスを用いて、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122を、塩素系のガスを用いてクロムを主成分とする第1の層121を続けてエッチングする。
次いで、レジスト層を剥離し、新たに、遮光性層130上に、所定形状の開口145Aを有するレジスト層145を、同様にして形成し(図5(a))、レジスト層145を耐エッチングマスクとして、硝酸セリウム系のウェットエッチャントを用い、ウェットエッチングを行い(図5(b))、レジスト層145を剥離して、図2(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを得る。
【0030】
ウェットエッチングの際、図5(a)のクロムを主成分とする第1の層121は、エッチングされて、拡大視すると図5(d)のようになり、パターンに不具合が生じることが懸念されるが、前にも述べたように、一般的には、このクロムを主成分とする膜121は、膜厚が薄いため、図5(d)に示されるように侵される可能性は低い。
あるいは、侵されたとしても実質的に転写特性に問題を生じないレベルであると予想される。
尚、図5(a)のD1部、図5(b)のD2部を拡大して示したのが、それぞれ、図5(c)、図5(d)である。
クロムを主成分とする膜121に、酸素、フツ素、または、窒素等を含有させたり、また、シリコン、タンタルなど、他の金属との合金とすることにより、耐食性を向上させることができる。
即ち、図5(d)に示す、W0をきわめて小とすることができ、確実に転写特性に問題を生じないようにできる。
【0031】
変形例のハーフトーン位相シフトフォトマスクについても、基本的に同様に、第1の例の製造方法あるいは第2の例の製造方法により、作製することができる。
【0032】
【実施例】
参考実施例1
参考実施例1は、図1(a)に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用い、図3に示す製造方法により、図2(a)に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを形成した例である。
以下、図1、図2、図3に基づいて説明する。
はじめに、以下のようにして、透明基板110上に、順に、クロムを主成分とする第1の層121、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122からなるハーフトーン位相シフト膜120を形成した、ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを作製した。
作製したハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、KrF露光用のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製するためのもので、6インチ角、0.25インチ厚の高純度合成石英基板を透明基板110としている。
まず、光学研磨され、よく洗浄された透明基板110の一面上に、以下に示す条件でハーフトーン位相シフト層120のクロムを主成分とする第1の層121を膜厚約10nmに形成した。
<第1の層121のスパッタ条件>
成膜装置:プレーナー型DCマグネトロンスパツター装置
ターゲツト:金属クロム
ガス及び流量:アルゴンガス70sccm
スパッター圧力:0.35パスカル
スパツター電流:5.0アンペア
次に、続けてこの上にハーフトーン位相シフト層120のタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122を、以下の条件で形成した。
ここで膜厚は約140nmとした。
<第2の層122のスパッタ条件>
成膜装置:プレーナー型DCマグネトロンスパツター装置
ターゲット:タンタル:シリコン=1:3(原子比)
ガス及び流量:アルゴンガス50sccm+酸素ガス50sccm
スパツター圧力:0.3パスカル
スパツター電流:3.5アンペア
これにより、図1(a)に示す第1の例のKrFエキシマレーザー露光用(透過率6%)のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを得た。
【0033】
尚、同一条件でテープでマスキングをした合成石英基板上に成膜し、成膜後にマスキングを剥離するリフトオフ法で段差を形成したサンプル(図4に示すテストピース)を作製し、これを用い、248nm光に対する位相差、透過率を市販の位相差測定装置(レーザーテツク社製MPM248)で計測したところ、それぞれ179.22度、5.88%であった。
【0034】
次いで、上記のようにして得られたハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを用いて、以下のようにして、図2(a)に示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製した。
先ず、得られたハーフトーン位相シフトマスク用ブランクス(図3(a))のハーフトーン位相シフト層120上に、有機物を主成分とするレジスト、ZEP7000(日本ゼオン社製)140を、塗布し、乾燥を行い(図3(b))、電子線描画装置にて、レジストの所定領域のみを露光し、現像して、所望形状のレジスト層140を得た。(図3(c))
次に、市販のフォトマスク用ドライエッチャー(PTI社製VLR700)を用い、レジスト層140から露出されたハーフトーン位相シフト層120を、高密度プラズマに曝すことにより選択的にドライエッチングし、所望のハーフトーン位相シフト層120のパターンを得た。(図3(d))
ここでは、ハーフトーン位相シフト層120のタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122とクロムを主成分とする第1の層121とを続けてエッチングした。
尚、用いたドライエッチャーはエツチング処理室を2個有し、以下のエッチング条件1、エッチング条件2は別々の処理室で実施した。
<エッチング条件1>
エツチングガス CF4
ガス圧力 10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 950W
バイアスパワー(引き出しパワー) 50W
時間 360秒
<エッチング条件2>
エッチングガスCl2 +O2 ガス(2:3)
圧力 100mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W
バイアスパワー(引き出しパワー) 25W
時間 200秒
次に、残ったレジスト層140を常法により剥離し、ハーフトーン位相シフト層の、248nm光の透過率か6%であるハーフトーン位相シフトフォトマスクを得た。(図3(e))
【0035】
ここで注目すべきは、エッチング条件2のエッチングでは、透明基板110である合成石英がほとんどエツチングされず、極めて高精度の位相差制御が可能であることである。
得られたハーフトーン位相シフトフォトマスクは、除去された部分の寸法精度、断面形状、膜厚分布、透過率分布、膜の基板への密着性等、全てで実用に供することができるものであった。
【0036】
実施例1
実施例1は、図1(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用い、図3ないし図5に示す製造方法により、図2(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを形成した例である。
以下、図1、図2、図3、図5に基づいて説明する。
はじめに、以下のようにして、透明基板110上に、順に、クロムを主成分とする第1の層121、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122からなるハーフトーン位相シフト膜120、クロムからなる遮光性層130を形成した、ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを作製した。
ここでは、ハーフトーン位相シフト膜を構成する2層のうち、クロムを主成分とする膜(第1の層121)にタンタルを混入することにより耐食性の向上を実現している。
即ち、ハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製する際の、クロムからなる遮光性層130を、硝酸セリウム系のウェットエッチャントを用い、ウェツトエツチヤントする際の、ウェットエッチャントに対する耐食性を向上させた。
実施例1の場合も、作製したハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、KrF露光用のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製するためのもので、6インチ角、0.25インチ厚の高純度合成石英基板を透明基板110としている。
【0037】
まず、光学研磨され、よく洗浄された透明基板110の一面上に、以下に示す条件でハーフトーン位相シフト層120のロムを主成分とする第1の層121を膜厚約10nmに形成した。
<第1の層121のスパッタ条件>
成膜装置:プレーナー型DCマグネトロンスパツター装置
ターゲット:金属タンタル:クロム=1:9合金
ガス及び流量:アルゴンガス70sccm
スパツター圧力:0.35パスカル
スパッター電流:5.0アンペア
次に、続けてこの上にハーフトーン位相シフト層120タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122を、以下の条件で形成した。
ここで膜厚は約90nmとした。
<第2の層122のスパッタ条件>
成膜装置:プレーナー型DCマグネトロンスパツター装置
ターゲット:タンタル:シリコン=1:3(原子比)
ガス及び流量:アルゴンガス50sccm+酸素ガス50sccm
スパツター圧力:0.3パスカル
スパッター電流:3.5アンペア
次いで、ハーフトーン位相シフト層120タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122上に、遮光性層130を下記条件にて、厚さ1000Åにスパッタ形成した。
<遮光性層層130のスパッタ条件>
成膜装置:プレーナー型DCマグネトロンスパツター装置
ターゲット:金属クロム
ガス及び流量:アルゴンガス50sccm
スパツター圧力:0.3パスカル
スパッター電流:3.5アンペア
これにより、KrFエキシマレーザー露光用;透過率6%のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクを得た。
【0038】
尚、同一条件でテープでマスキングをした合成石英基板上に成膜し、成膜後にマスキングを剥離するリフトオフ法で段差を形成したサンプル(図4に示すテストピース)を作製し、これを用い、248nm光に対する位相差、透過率を市販の位相差測定装置(レーザーテツク社製MPM248)で計測したところ、それぞれ、180.12度、6.33%であった。
この膜を市販のクロムエッチャント(インクテック社製MR−ES)に室温で240秒間浸漬したサンプルを準備し、そのパターン断面をSEM観察したところ、図5(d)に示すような侵食は認められなかった。
比較のため、実施例1において作製したサンプルを、同様に、市販のクロムエッチャント(インクテック社製MR一ES)に室温で180秒間、及び、240秒問浸漬し、そのパターン断面をSEM観察したところ、180秒のサンプルの断面形状には図5(d)に示すような侵食は認められなかったが、240秒の断面には若干の侵食が観察された。
これより、実施例2の組成の第1の層の方が、実施例1の組成の第1の層よりも、クロムエッチャントに対する耐食性が向上していることが分かる。
【0039】
次いで、上記のようにして得られたハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを用いて、以下のようにして、図2(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製した。
先ず、得られたハーフトーン位相シフトマスク用ブランクス(図1(b))の遮光性層130上に、有機物を主成分とするレジスト、ZEP7000(日本ゼオン社製)を、塗布し、乾燥を行い、実施例1と同様にして、電子線描画装置にて、レジストの所定領域のみを露光し、現像して、所望形状のレジスト層140を得た後、市販のフォトマスク用ドライエッチャー(PTI社製VLR700)を用い、レジスト層から露出されたハーフトーン位相シフト層120を、高密度プラズマに曝すことにより選択的にドライエッチングし、所望のハーフトーン位相シフト層120のパターンを得た。
ここでは、遮光性層130、ハーフトーン位相シフト層120のタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする第2の層122、クロムを主成分とする第1の層121を続けて、順に、それぞれ、エッチング条件1、エッチング条件2、エッチング条件3の条件下でエッチングした。
なお、用いたドライエッチヤーはエツチング処理室を2個有し、以下のエッチング条件1、エッチング条件2、エッチング条件3は処理室を変えて実施した。
<エッチング条件1>
エッチングガスCl2 +O2 ガス(2:3)
圧力 100mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W
バイアスパワー(引き出しパワー) 25W
時間 200秒
<エッチング条件2>
エツチングガス CF4
ガス圧力 10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 950W
バイアスパワー(引き出しパワー) 50W
時間 360秒
<エッチング条件3>
エッチングガスCl2 +O2 ガス(2:3)
圧力 100mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W
バイアスパワー(引き出しパワー) 25W
時間 200秒
【0040】
次に、この上に、再度、レジスト、IP3500(東京応化工業株式会社製)を塗布し、フォトリソグラフィー法により、ハーフトーン膜を露出させたい領域のみを開口したレジスト層145を得た(図5(a))後、以下の条件でドウエットエッチングを行い、レジスト層145から露出した領域の遮光性層130を選択的に除去した。(図5(b))
次に、残ったレジスト層145を常法により剥離し、ハーフトーン位相シフト層の、248nm光の透過率か6%であるハーフトーン位相シフトフォトマスクを得た。(図2(b))
このようにして得られたハーフトーン位相シフトフォトマスクについては、まったく、図5(d)に示すようなクロムを主成分とする第1の層121の侵食はによる不具合はみられなかった。
【0041】
実施例2でも、実施例1と同様、エッチング条件3のエッチングでは、透明基板110である合成石英がほとんどエッチングされず、極めて高精度の位相差制御が可能であった。
得られたハーフトーン位相シフトフォトマスクは、除去された部分の寸法精度、断面形状、膜厚分布、透過率分布、膜の基板への密着性等、全てで実用に供することができるものであった。
【0042】
実施例2
実施例2も、実施例1と同様、図1(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用い、図3ないし図5に示す製造方法により、図2(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを形成した例で、実施例1において、第1層の成膜条件、および第1層のエッチング条件(実施例1の条件3に相当)を、以下の通りとしたものである。
それ以外については実施例1と同じで、説明は省く。
<第1の層121のスパッタ条件>
成膜装置:プレーナー型DCマグネトロンスパツター装置
ターゲット:金属タンタル:クロム=97:3合金
ガス及び流量:アルゴンガス95sccm
スパツター圧力:1. 0パスカル
スパッター電流:1アンペア
<第1層のエッチング条件>
エッチングガス Cl2
圧力 3mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 250W
バイアスパワー(引き出しパワー) 25W
時間 250秒
このブランクの光学特性スペクトルを図8に示す。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、タンタルシリサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料を用い、且つ、タンタルシリサイド系材料の優れた加工特性、加工後の化学的安定性等を維持しつつ、石英基板とのエツチング選択比を向上させた構造のハーフトーン位相シフトフォトマスクの提供を可能とした。
同時に、そのようなハーフトーン位相シフトフォトマスクの作製を可能とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの提供を可能とした。
特に、タンタル系材料に特有の化学的安定性、加工特性に加え、シリサイド系に特有の短波長適用性も維持しつつ、合成石英などの透明基板とのエッチング選択比が十分に取れるため、高精度なパターニングが可能で、かつ、マスク加工後の安定性に優れた、理想的なマスク部材を実現することか出来る。
このことにより、高精度のハーフトーン位相シフトフォトマスクが、歩留まり良く、低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第1の例の断面図で、図1(b)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第2の例の断面図である。
【図2】 図2(a)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスクの実施の形態の第1の例の断面図で、図2(b)は本発明に関わるハーフトーン位相シフトフォトマスクの実施の形態の第2の例の断面図である。
【図3】 図2(a)に示すハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造工程断面図
【図4】 テストピースの断面図である。
【図5】 第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法の説明と、エッチング形状を説明するための断面図である。
【図6】 ハーフトーン位相シフト法を説明するための図である。
【図7】 従来法のマスクを用いた転写法(投影露光法)を説明するための図である。
【図8】 実施例3のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクの光学特性スペクトルの図である。
【符号の説明】
110 透明基板
120 ハーフトーン位相シフト層
121 クロムを主成分とする層(以降第1の層とも言う)
122 タンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする層(以降第2の層とも言う)
125 ハーフトーンパタン領域(シフト層パタン領域)
130 遮光性層(実質的な遮光膜とも言う)
140 レジスト層
140A 開口
145 レジスト層
145A 開口

Claims (13)

  1. 透明基板上のハーフトーン位相シフト層が、タンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする一層と、クロムタンタル合金を主成分とする一層とを少なくとも含む多層膜で構成されているものであって、透明基板上にクロムタンタル合金を主成分とする一層が形成され、その上にタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層が形成されており、更に、ハーフトーン位相シフト層の上に、クロムを主成分とする遮光膜が形成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス。
  2. 請求項1に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が、シリコンを含むことを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス。
  3. 請求項1ないし2のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が、酸素、フツ素、または、窒素を含むことを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、ハーフトーン位相シフト層が、透明基板上に、以下の式により求まる位相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるように形成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス。
    【数式1】
    Figure 0004641086
    ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフトーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおきる位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長である。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は空気とする。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、ハーフトーン位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光に対する前記透明基板の透過率を100%としたときに、1〜50%となるような膜厚で前記透明基板上に形成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスであって、ハーフトーン位相シフト層が形成された表面の露光光に対する絶対反射率が、0〜30%であることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス。
  7. 透明基板上のハーフトーン位相シフト層がタンタル、シリコン、及び、酸素を主成分とする一層と、クロムタンタル合金を主成分とする一層とを少なくとも含む多層膜で構成されているものであって、透明基板上にクロムタンタル合金を主成分とする一層が形成され、その上にタンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層が形成されており、更に、ハーフトーン位相シフト層の上に、クロムを主成分とする遮光膜が形成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。
  8. 請求項7に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスクであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が、シリコンを含むことを特徴とするハ一フトーン位相シフトフォトマスク。
  9. 請求項7ないし8のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフォトマスクであって、クロムタンタル合金を主成分とする一層が酸素、フッ素、または、窒素を含むことを特徴とするハーフトーン位相シフトフフォトマスク。
  10. 請求項7ないし9のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフフォトマスクであって、ハーフトーン位相シフト層が、透明基板上に、以下の式により求まる位相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるように形成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。
    【数式2】
    Figure 0004641086
    ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフトーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおきる位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長である。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は空気とする。
  11. 請求項7ないし10のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフフォトマスクであって、ハーフトーン位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光に対する前記ハーフトーン位相シフト層の開口部透過率を100%としたときに、1〜50%であることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。
  12. 請求項7ないし11のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフフォトマスクであって、ハーフトーン位相シフト層か形成された表面の露光光に対する絶対反射率か、0〜30%であることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。
  13. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のハーフトーン位相シフトフトフォトマスク用ブランクスを用いたハーフトーン位相シフトフトフォトマスクの製造方法であって、順に、ハーフトーン位相シフトフトフォトマスク用ブランクスの遮光膜上にレジストを所望の形状に形成する工程と、塩素系ガスを含むプラズマにより、前記遮光膜をドライエッチングする工程と、フッ素系ガスを含むプラズマにより、タンタル、シリコン、及び、酸素とを主成分とする一層をドライエッチングする工程と、塩素系ガス含むプラズマによりにより、透明基板上のクロムタンタル合金を主成分とする一層をドライエッチングする工程と、前記レジストを除去した後、新たにハーフトーン位相シフト層を露出させたい領域のみを開口させたレジストを形成し、硝酸セリウムを含むウェットエッチャントにより遮光膜を選択的に除去する工程とを、備えることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスクの製造方法。
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