JP3988117B2 - 垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録媒体の製造方法に関し、より詳細には、優れた電磁変換特性と良好な耐久性とを具え、かつ、生産性に優れた垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある。
【0003】
垂直磁気記録媒体用の磁気記録層用材料としては、現在、主にCoCr系合金結晶質膜が検討されており、垂直磁気記録に用いるために、六方最密充填(hcp)構造をもつCoCr系合金のc軸が膜面に垂直(c面が膜面に平行)になるように結晶配向を制御している。CoCr系合金の今後の更なる高密度化に対し、このCoCr系結晶粒の微細化、粒径分布の低減、粒間の磁気的な相互作用の低減等の試みが行なわれている。
【0004】
一方、長手記録媒体の高密度化のための磁性層構造制御の一方式として、例えば特開平8−255342号公報や米国特許5679473号明細書において、一般にグラニュラ磁性層と呼ばれる、磁性結晶粒の周囲を酸化物や窒化物のような非磁性非金属物質で囲んだ構造をもつ磁性層が提案されている。このようなグラニュラ磁性膜は、非磁性非金属の粒界相が磁性粒子を物理的に分離するため、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低下し、記録ビットの遷移領域に生じるジグザグ磁壁の形成を抑制するので、低ノイズ特性が得られると考えられており、垂直磁気記録媒体の記録層として、グラニュラ磁性層を用いることが提案されている。例えば、IEEE Trans., Mag., Vol. 36, 2393(2000) には、Ruを下地層とし、グラニュラ構造をもつCoPtCrO合金を磁性層とした垂直記録媒体が記載されており、グラニュラ磁性層の下地層であるRu層の膜厚を増加させるにしたがってc軸配向性が向上し、それに伴い優れた磁気特性と電磁変換特性が得られている。
【0005】
一方、浮上型磁気ヘッドを用いた磁気記録装置においては、その磁気ヘッドと磁気記録媒体との間の距離が数10nmと非常に小さいため、ヘッド−媒体間の摩擦磨耗特性が装置の耐久性に強く影響する。そのため、媒体表面に分子量数千の液体潤滑材を塗布することで、ヘッドとの摩擦磨耗特性を向上させることが一般に行われている。ここで、媒体の磁性層に含まれているCo原子が媒体表面に析出した場合、そのCo原子は媒体表面の液体潤滑材の分解を促進し、媒体の耐久性を著しく劣化させてしまうことが知られている。そこでこのようなCo原子の析出を防ぐため、媒体保護膜の膜厚や膜質の管理及び媒体表面粗さの制御等が、媒体を作製する上で必要不可欠となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの検討によると、磁性層としてグラニュラ磁性層を使用した場合には、磁性層に含まれるCo原子が媒体表面に容易に析出することが判明した。特に、優れた磁気特性と電磁変換特性を得るためにスパッタ成膜時のArガス圧を増加させた場合にCo溶出量はより顕著になる。Co原子が媒体表面に析出すると、そのCo原子が媒体表面の液体潤滑材分子を分解することにより、媒体の摩擦磨耗耐久性を著しく劣化させてしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、グラニュラ磁性層からのCoの溶出を抑制して優れた電磁変換特性と良好な耐久性とを両立させ、更に、生産性に優れた垂直磁気記録媒体並びにその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と、中間層と、CoCr系合金層の磁性層と、保護層と、液体潤滑剤層とが順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、前記磁性層は、前記中間層側に設けられたグラニュラ構造の第1の磁性層と、前記保護層側に設けられた非グラニュラ構造の第2の磁性層とから構成されると共に、前記第1の磁性層及び第2の磁性層は、非加熱の前記非磁性基体上にスパッタ法により成膜され、前記第1の磁性層の成膜時のガス圧が10mTorr以上100mTorr以下で、かつ、前記第2の磁性層の成膜時のガス圧が15mTorr以下であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の垂直磁気記録媒体において、前記中間層が、六方最密充填(hcp)の結晶構造を有するTi、Re、Ru、Osのいずれかの金属、又は、Ti、Re、Ru、Osのうちの少なくとも一種の金属を含む合金で構成されていることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体において、前記非磁性基体と前記軟磁性裏打ち層との間に、前記非磁性基体側の下地層と前記軟磁性裏打ち層側の磁区制御層を順次積層させたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、垂直磁気記録媒体の製造方法であって、非加熱の非磁性基体上に軟磁性裏打ち層を成膜する工程と、該軟磁性裏打ち層上に中間層を成膜する工程と、該中間層上にグラニュラ構造を有するCoCr系合金層の第1の磁性層をスパッタ法により成膜する工程と、該第1の磁性層上に非グラニュラ構造を有するCoCr系合金層の第2の磁性層をスパッタ法により成膜する工程と、該第2の磁性層上に保護層を成膜する工程と、該保護層上に液体潤滑剤層を成膜する工程とを少なくとも備え、前記第1の磁性層の成膜時のガス圧が10mTorr以上100mTorr以下で、かつ、前記第2の磁性層の成膜時のガス圧が15mTorr以下であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記第2の磁性層の成膜後に、成膜装置内において前記非磁性基体を加熱処理する工程を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記非磁性基体の加熱処理後に、成膜装置内において前記非磁性基体を急冷する工程を備えることを特徴とする。
【0014】
更に、請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法において、前記非磁性基体の直上に下地層を成膜する工程と、該下地層の直上に磁区制御層を成膜する工程とを備えることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を説明するための図で、垂直磁気記録媒体は、非磁性基体11上に、軟磁性裏打ち層12、中間層13、第1の磁性層14、第2の磁性層15、及び、保護層16が順次積層され、更に、保護層16の上には液体潤滑剤層17が形成されて構成されている。
【0017】
また、図2は、本発明の垂直磁気記録媒体の他の構成例を説明するための図で、垂直磁気記録媒体は、非磁性基体21上に、複数層で構成された多層下地層22、磁区制御層23、軟磁性裏打ち層24、中間層25、第1の磁性層26、第2の磁性層27、及び、保護層28が順次積層され、更に、保護層28の上には液体潤滑剤層29が形成されて構成されている。
【0018】
本発明の垂直磁気記録媒体において、非磁性基体11、21としては、通常の磁気記録媒体用に用いられるNiPメッキを施したAl合金や強化ガラス、或いは結晶化ガラス等を用いることができ、磁区制御層23としては、Mnを含む合金系からなるPtMn、IrMnなどの反強磁性膜、或いは非磁性基体21の半径方向に磁化を配向させたCoCrTa、CoCrPt、CoCrPtB膜などの硬質磁性膜を用いることができる。なお、この磁区制御層23は、5〜300nm程度の膜厚とすることが好ましい。
【0019】
多層下地層22としては、磁区制御層23としてMn合金系の反強磁性膜を用いる場合には、面心立方(fcc)構造を有するCu、Irなどの非磁性単金属、あるいはNiFeCrなどの非磁性合金などを用いることが望ましい。この場合、さらにその下層に、これらの非磁性単金属膜あるいは非磁性合金膜の微細構造を制御するために、3〜30nmの膜厚のTa、Zr、Nbなどの層を設けることとしてもよい。また、磁区制御層23として硬質磁性膜を用いた場合には、多層下地層22としては、CrMo、CrWなどのCr合金などを用いることができる。この場合にも、さらにその下層に、これらのCr合金膜の微細構造を制御するために下地層を設けてもよい。なお、この多層下地層22は、必ずしも複数の層から構成された多層下地層である必要はなく、所望により、単層の下地層であってもよい。
【0020】
軟磁性裏打ち層12、24としては、NiFe合金、センダスト(FeSiAl)合金等を用いることができるが、非晶質のCo合金、例えばCoNbZr、CoTaZrなどを用いることにより良好な電磁変換特性を得ることができる。なお、軟磁性裏打ち層12、24の膜厚の最適値は、磁気記録に用いる磁気ヘッドの構造や特性によって変化するが、生産性との兼ね合いから10nm以上300nm以下であることが望ましい。
【0021】
中間層13、25としては、第1の磁性層14、26の結晶配向性、結晶粒径及び、粒界偏析を好適に制御するための材料を適宜用いることができ、特に、第1の磁性層14、26の結晶配向制御の観点からは、六方最密充填(hcp)の結晶構造を有するTi、Re、Ru、Osのいずれかの金属、またはTi、Re、Ru、Osのうちの少なくとも一種の金属を含む合金であることが望ましい。なお、その膜厚は特に限定されるものではないが、記録再生分解能の向上や生産性の観点からは、第1の磁性層14、26の結晶構造制御のために必要とされる最小限の膜厚とすることが望ましい。
【0022】
第1の磁性層14、26は、強磁性を有するCoCr系合金結晶粒とそれを取り巻く非磁性粒界からなり、かつ、その非磁性粒界が金属の酸化物または窒化物からなる、いわゆるグラニュラ磁性層である。このグラニュラ構造は、例えば、非磁性粒界を構成する酸化物を含有する強磁性金属をターゲットとしたスパッタリングや、酸素を含有するArガス雰囲気中で強磁性金属をターゲットとした反応性スパッタリングによって作製することができる。なお、グラニュラ磁性層として良好な特性を得るためには、成膜時のガス圧を10mTorr以上にする必要がある。
【0023】
ここで、強磁性を有する結晶を成膜するための材料としてはCoCr系合金が好適に用いられ、特に、優れた磁気特性と記録再生特性を得る観点からは、CoCr合金にPt、Ni、Taのうちの少なくとも1つの元素を添加することが望ましい。一方、非磁性粒界を構成する材料としては、安定なグラニュラ構造を形成する観点から、Cr、Co、Si、Al、Ti、Ta、Hf、Zrのうちの少なくとも1つの元素の酸化物を用いることが望ましく、その膜厚は、記録再生分解能を高めるために、30nm以下とすることが望ましい。
【0024】
第2の磁性層15、27は、非磁性粒界には金属の酸化物や窒化物を含有しない非グラニュラ構造のCoCr系合金結晶質膜で構成されている。このCoCr系合金結晶質膜の成膜に使用可能な材料の例としては、CoCr、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPtTa、CoCrPtB等の合金系材料を挙げることができる。なお、耐久性に優れた垂直磁気記録媒体を作製するためには、第2の磁性層14、27を成膜する際のガス圧は15mTorr以下にする必要があり、その膜厚は20nm以下であることが望ましい。
【0025】
すなわち、本発明の垂直磁気記録媒体では、磁気記録を行なうための磁性層を2層で構成し、非磁性基体側の第1の磁性層を、その非磁性粒界が金属の酸化物または窒化物からなるグラニュラ構造のCoCr系合金で構成し、この上に設けられる第2の磁性層を、非磁性粒界に金属の酸化物や窒化物を含有しない非グラニュラ構造のCoCr系合金で構成している。これらの磁性層のうち、第1の磁性層が、そのグラニュラ構造に起因する良好な電磁変換特性を担保する一方、第2の磁性層は、第1の磁性層の非磁性粒界から溶出してくるCo原子をブロックして媒体の高い耐久性を担保するように構成されている。
【0026】
保護層16、28は、従来より使用されている保護膜を用いることができ、例えば、カーボンを主体とする保護膜を用いることができる。また、液体潤滑剤層17、29も、従来より使用されている材料を用いることができ、例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を用いることができる。なお、保護層16、28の膜厚等の条件や、液体潤滑剤層17、29の膜厚等の条件は、通常の磁気記録媒体で用いられる諸条件をそのまま用いることができる。
【0027】
以下に本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法の実施例について説明する。なお、これらの実施例は、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法を好適に説明するための代表例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
非磁性基体として、表面が平滑な化学強化ガラス基板(例えばHOYA社製N−5ガラス基板)を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、CoZrNb非晶質軟磁性裏打ち層を200nm、Ru中間層を30nm積層させた後、CoCrPt−SiO2ターゲットを用いたRFスパッタ法により第1の磁性層を20nm成膜し、更に、CoCrPtBターゲットを用いて第2の磁性層を10nm成膜させた。ここで、第1の磁性層及び第2の磁性層は、ガス圧を種々変化させた条件で成膜している。最後にカーボンからなる保護層5nmを成膜後、真空装置から取り出し、その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑剤層2nmをディップ法により形成して垂直磁気記録媒体とした。なお、成膜に先立つ基板加熱、並びに、磁性層成膜後の加熱・急冷処理は行なっていない。
【0029】
このようにして作製した垂直磁気記録媒体を、85℃で80%RHの高温高湿環境下に96時間放置した後に50mlの純水中で3分間揺動して溶出したCoを抽出し、その濃度をICP発光分光分析法によって測定した。なお、第1及び第2の磁性層成膜後の媒体の磁化曲線を振動試料型磁力計で測定して磁気特性を評価すると共に、全層を成膜した媒体の電磁変換特性をGMRヘッドを備えたスピンスタンドテスターにより評価した。
【0030】
表1は、第1並びに第2の磁性層を成膜する際のガス圧を種々変化させて作製した垂直磁気記録媒体のCo溶出量を纏めた結果である。
【0031】
【表1】
【0032】
この表から明らかなように、第1の磁性層、第2の磁性層共に、成膜時のガス圧を低下させることにより、Coの溶出量を抑制することができる。特に、第2の磁性層のガス圧を15mTorr以下とした場合には、第1の磁性層のガス圧によらず、Coの溶出量を10μg/m2以下に抑えることが可能である。
【0033】
表2は、第1並びに第2の磁性層の成膜時のガス圧を種々変化させて作製した垂直磁気記録媒体の350kFClにおけるSNR(電磁変換特性の信号とノイズの比)を纏めた結果である。
【0034】
【表2】
【0035】
この表から分かるように、第1の磁性層成膜時のガス圧を15mTorr以上とした場合には、第2の磁性層の成膜時のガス圧によらず、15dB以上の良好な電磁変換特性が得られている。また、第2の磁性層成膜時のガス圧が15mTorr以下の領域においては、第1の磁性層成膜時のガス圧が10mTorr以上の媒体においても15dB以上の値が得られている。
【0036】
このように、Co溶出量を10μg/m2以下に抑制し、かつ、記録密度350kFClでのSNR値を15dB以上にするためには、第1の磁性層の成膜時のガス圧を10mTorr以上とし、かつ、第2の磁性層の成膜時のガス圧を15mTorr以下にする必要があることが分かる。
【0037】
(実施例2)
成膜に先立つ基板加熱(前加熱)、及び、第2の磁性層成膜後の加熱(後加熱)、並びに、急冷処理を同一装置内で行って作製したこと以外は上述した実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。但し、第1の磁性層成膜時のガス圧を50mTorr、第2の磁性層成膜時のガス圧を5mTorr一定とした。
【0038】
表3は、前加熱温度を200℃、後加熱温度200℃、後加熱処理に連続して行う冷却処理工程は10秒後の基板温度が100℃となるように調整を行い、それぞれの処理の有無による保磁力(Hc)並びにSNR値の値を纏めた結果である。
【0039】
【表3】
【0040】
この表から分かるとおり、前加熱処理を行うことにより、磁気特性並びにSNRが急激に低下しており、第1の磁性層であるグラニュラ磁性層を成膜する際は、事前に加熱せずに成膜プロセスを行なう必要がある。また、後加熱処理を行った場合には磁気特性とSNRの値が大幅に増加している。これは、後加熱処理により第2の磁性層であるCoCr系合金結晶質膜の特性が改善されたためである。更に、後加熱処理に連続して急冷処理を行うことにより、さらに特性が向上していることが分かる。
【0041】
(実施例3)
表4は、中間層として各種の材料を用い、その膜厚を30nmとした以外は実施例1と同様にして作製した磁気記録媒体の、磁性層のhcp(002)回折線をX線回折法により求めたロッキングカーブの半値幅Δθ50値を纏めた結果である。なお、比較のため、中間層として体心立方(bcc)構造をもつTa、及びCrを使用した場合についても示している。
【0042】
【表4】
【0043】
この表から、非磁性下地層としてbcc構造をもつTaやCrを使用した場合に比べ、hcp構造をもつ各種材料を用いた場合にΔθ50が改善され、磁性層の結晶配向制御が有効に行なわれることがわかる。
【0044】
(実施例4)
実施例1に記載の製造方法において、非磁性基板と軟磁性裏打ち層との間に、Taターゲットを用いTaの第1下地層を5nm、NiFeCrターゲットを用いNiFeCrの第2下地層を5nm、及び、IrMnの磁区制御層を10nm成膜したことを除き実施例1と同様の手順で磁気記録媒体を作製した。
【0045】
この方法にて作製した垂直磁気記録媒体と、実施例1の方法にて作製した垂直磁気記録媒体において、磁気特性並びにSNRに関しては、特に差異が認められなかった。
【0046】
図3は、これらの各々の方法で作成した垂直磁気記録媒体のスピンスタンドテスターによる1周分の出力波形を比較したものである。下地層並びに磁区制御層を備えない構造の実施例1に示した方法で作製した垂直磁気記録媒体では、全周に渡り不均一にスパイクノイズが発生しているのに対し、下地層並びに磁区制御層を備える構成とすることにより、スパイクノイズは顕著に減少していることが分かる。これは、非磁性基板上に下地層並びに磁区制御層を備えることにより、これらに続いて積層される軟磁性裏打ち層に磁壁が形成されないようになるためである。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の垂直磁気記録媒体では、磁気記録を行なうための磁性層を2層で構成し、非磁性基体側の第1の磁性層を、その非磁性粒界が金属の酸化物または窒化物からなるグラニュラ構造のCoCr系合金で構成し、この上に設けられる第2の磁性層を、非磁性粒界に金属の酸化物や窒化物を含有しない非グラニュラ構造のCoCr系合金で構成している。これらの磁性層のうち、第1の磁性層が、そのグラニュラ構造に起因する良好な電磁変換特性を担保する一方、第2の磁性層は、第1の磁性層の非磁性粒界から溶出してくるCo原子をブロックして媒体の高い耐久性を担保するように構成したので、優れた磁気特性と電磁変換特性を有し、かつ、85℃で80%RHの高温高湿環境下に96時間以上放置しても、50mlの純水中で3分間揺動して抽出したCoの量をICP発光分光分析によって測定した値が、ディスクの面積1m2あたり10μg以下に抑制され、充分な長期信頼性を有する媒体が実現できる。
【0048】
さらに、非磁性基体と軟磁性裏打ち層との間に、1層あるいは複数層からなる下地層並びに磁区制御層を付与することにより軟磁性裏打ち層に起因して発生するスパイクノイズを大幅に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を説明するための図である。
【図2】本発明の垂直磁気記録媒体の他の構成例を説明するための図である。
【図3】本発明の垂直磁気記録媒体のスピンスタンドテスターによる1周分の出力波形説明するための図である。
【符号の説明】
11、21 非磁性基体
12、24 軟磁性裏打ち層
13、25 中間層
14、26 第1の磁性層
15、27 第2の磁性層
16、28 保護層
17、29 液体潤滑剤層
22 多層下地層
23 磁区制御層
Claims (7)
- 非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と、中間層と、CoCr系合金層の磁性層と、保護層と、液体潤滑剤層とが順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、前記中間層側に設けられたグラニュラ構造の第1の磁性層と、前記保護層側に設けられた非グラニュラ構造の第2の磁性層とから構成されると共に、前記第1の磁性層及び第2の磁性層は、非加熱の前記非磁性基体上にスパッタ法により成膜され、
前記第1の磁性層の成膜時のガス圧が10mTorr以上100mTorr以下で、かつ、前記第2の磁性層の成膜時のガス圧が15mTorr以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。 - 前記中間層が、六方最密充填(hcp)の結晶構造を有するTi、Re、Ru、Osのいずれかの金属、又は、Ti、Re、Ru、Osのうちの少なくとも一種の金属を含む合金で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記非磁性基体と前記軟磁性裏打ち層との間に、前記非磁性基体側の下地層と前記軟磁性裏打ち層側の磁区制御層を順次積層させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体。
- 非加熱の非磁性基体上に軟磁性裏打ち層を成膜する工程と、該軟磁性裏打ち層上に中間層を成膜する工程と、該中間層上にグラニュラ構造を有するCoCr系合金層の第1の磁性層をスパッタ法により成膜する工程と、該第1の磁性層上に非グラニュラ構造を有するCoCr系合金層の第2の磁性層をスパッタ法により成膜する工程と、該第2の磁性層上に保護層を成膜する工程と、該保護層上に液体潤滑剤層を成膜する工程とを少なくとも備え、
前記第1の磁性層の成膜時のガス圧が10mTorr以上100mTorr以下で、かつ、前記第2の磁性層の成膜時のガス圧が15mTorr以下であることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。 - 前記第2の磁性層の成膜後に、成膜装置内において前記非磁性基体を加熱処理する工程を備えることを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
- 前記非磁性基体の加熱処理後に、成膜装置内において前記非磁性基体を急冷する工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
- 前記非磁性基体の直上に下地層を成膜する工程と、該下地層の直上に磁区制御層を成膜する工程とを備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
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