JP3987677B2 - 押抜き・型打ち機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1に発明の上位概念として規定したように、機械架台、ポンチ、ダイス及びワークを収容するためのワークホルダーを備えた形式の押抜き・型打ち機に関する。
【0002】
【従来の技術】
押抜き・型打ち機は多種多様の実施形態で多年来公知になっている。このような機械の主工具は、原則としてダイスの上に載置されているか又は該ダイスに当接しているワークに対して高圧下で打撃又は貫通させられるポンチである。前者の打撃の場合は型打ち加工であり、後者の貫通の場合は押抜き加工である。押抜き加工の場合には材料は、ポンチもしくはダイスの形状でワークから除去され、型打ち加工の場合にはワーク内で当該材料の塑性変形が行われる。その中間的な存在として、例えば最初は閉じられたワーク表面からU形状区域を形成しようとする混成加工がある。その場合当該区域は、ポンチによって部分的にワークから押抜かれるが、それにも拘わらずブリッジを介してワークと結合されて残留している。
【0003】
このような機械ではワークとして殊に金属が加工され、この加工の場合は、材料の塑性変形又は分離を得るためにポンチによって発生すべき力が著しく大でなければならないという条件が付く。
【0004】
ところで前記力は、従来慣用のように機械的には偏心輪軸を介して、或いは油圧によってポンチに伝達される。従来慣用の機械式の押抜き・型打ち機は、力がポンチの部位の直ぐ傍で形成されて伝達されねばならないので概して著しく大きな寸法を有しており、かつ大形の単独部品を加工するのに適している。油圧式の押抜き・型打ち機は、圧力形成がポンチから隔離して行われるので、より小さく構成することもでき、かつ比較的小形の部品を加工するのに適している。
【0005】
ところで円筒形の中空体を加工する場合、ワークの寸法が部分的に著しく小さいことに起因した問題が発生する一方、特に円筒形ワークの円周に沿って、しばしば規則的間隔をおいて位置する部位を加工しようとする場合にポンチ及びダイスの位置決めに起因した問題が発生する。
【0006】
ワークを内部から外部へ向かって加工するために慣用されている機械式の機械は、ポンチのストローク運動が大であるため小形のワークのためには使用できない。それというのは前記ストローク運動は、ワークの内部域では実施できないからである。同一の問題は、外部から内部へ向かってワークを加工する機械の場合にも発生する。それというのはワークの内部域ではダイスは必要なストローク運動を行なえないからである。
【0007】
それ故にこの適用分野では一般に油圧式の機械が使用される。この場合、短ストロークのポンチ及びダイスは共通の案内に沿ってガイドされはするが、しかし互いに強制結合されてガイドされるのではない。このことが殊に最大作業速度を制限し、このような事態は特に、ワーク円周に沿って多数の押抜き操作又は打抜き操作を実施せねばならないようなワークの場合に生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特に中空円筒形ワークの迅速かつ確実な押抜き又は型打ちを可能にする押抜き・型打ち機を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の構成手段は、特許請求の範囲の請求項1の特徴部に記載したように、ダイスフレームと機械架台とに連結された制御円板が、ダイスフレームと機械架台との間のシフト運動を伝達するために配置されており、この場合、ダイスフレーム内に回転可能に軸支された偏心輪軸と前記制御円板が互いに直結されかつ駆動軸と結合されており、しかも、制御円板が少なくとも1つの制御軌道を有しており、該制御軌道内に、機械架台に配置された送り込みキャリッジのピンが係合しており、駆動軸は、制御円板の制御軌道と送り込みキャリッジのピンとの位置関係により、ワーク軸線に関して半径方向でシフト可能であり、ダイスが、機械架台に対してワークホルダのワーク軸線に関して半径方向で所定のガイド内をシフト可能にガイドされるダイスフレーム内に保持されており、ワークホルダのワーク軸線に関してやはり半径方向でシフト可能にガイドされ且つダイスの軸方向でシフト可能にガイドされるポンチが、前記ダイスのダイスフレーム内に回転可能に軸支された偏心輪軸と連結されている点にある。
【0010】
本発明による押抜き・型打ち機の有利な実施形態は、請求項2〜9に記載した構成手段に基づいて明らかである。
【0011】
本発明では、このような押抜き・型打ち機は、請求項10及び請求項11に記載したように使用される。
【0012】
ダイス運動とポンチ運動との強制結合並びに、被加工ワークもしくはワークホルダーに対する前記両運動の重畳によって、ポンチとワークとの間の相対運動が極く僅かであっても、ワークに対する確実にして申し分のない押抜き作用もしくは型打ち作用が得られる。この結果、比較的小さな内径の中空円筒形ワークの内側から外側へ向かってもポンチを作用させることが可能になる。それにも拘わらずポンチはその場合、高い加工速度の場合でも折損又は変形の危険無しに動力伝達を可能にするのに充分な大きさに設計することができる。同等のことは、ワークの内側にダイスを配置して外側からワークを加工する場合にも当て嵌まり、この場合ダイスを有利には同じく充分な大きさに設計することが可能である。更にまたポンチとダイスとの強制結合によって、型打ち加工又は押抜き加工の高い精度が得られる。
【0013】
制御円板は、ワークホルダーもしくはワークに対する運動を要求に適合させるために、相対的な回動角度を調整可能に偏心輪軸と結合されているのが有利である。制御円板の形状もやはり要求に適合させられる。こうして本発明の押抜き・型打ち機は、例えば必要に応じて又は適用に応じて使用される種々異なった制御円板をセットにして配備することができる。
【0014】
殊に偏心輪軸の駆動が制御式のサーボ軸を介して行われる場合には、精度及び調整可能性が更に高められ、かつ、殊に有利にはサーボモータを介して回転可能に構成されたワークホルダーの作動制御と同期化させて、高い加工速度で高い精度をもって、ワーク円周に沿って中空円筒形ワークの型打ち加工又は押抜き加工を実施することが可能になる。
【0015】
このような押抜き・型打ち機を用いれば中空円筒形ワークが特に有利に加工できるとは云え、本発明の使用はこの目的のみに限定されるものではない。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説する。
【0017】
図1には本発明の押抜き・型打ち機が概略的な縦断面図で示されている。加工すべきワーク1は、機械架台16と結合されたワークホルダー15を介して図示位置にワーク軸線Aを中心として回転可能に保持されている。例えばカルダン軸として構成された駆動軸3を介して偏心輪軸4が駆動される。該偏心輪軸4を基準とする制御円板5の回動角度は無段階式又は不連続段階式に調整可能であるのが有利である。この調整は、おおむね押抜き・型打ち機の所属装置によって行われるが、運転中又は運転中断時に作動されるモータ制御式調整装置も考えられる。図示の実施例では偏心輪軸4は制御円板5と共軸に配置されているが、別個の偏心ユニットであることも可能である。
【0018】
制御円板5はその下面側に、円環溝6の形の制御軌道を有している。円環溝6は例えば、偏心輪軸4の回転軸線に対して偏心的に形成された円形溝又は楕円形溝として形成されていてもよく、或いは任意の閉じた形状を有することもできる。この円環溝6内には、送り込みキャリッジ2と結合されたピン7が係合している。
【0019】
送り込みキャリッジ2の送り込みは、機械架台16に固定結合された機械式又は電気式の駆動装置19からねじスピンドル18を介して、ワーク1に対して半径方向に調整される。該送り込みキャリッジは、所望の、もしくは加工すべきワーク径に機械を適合させるために使用される。
【0020】
前記偏心輪軸4はダイスフレーム8内に軸支されており、該ダイスフレームは、ワーク軸線Aに対して半径方向に摺動可能に機械架台16内でガイドされている。ところで駆動軸3の駆動時にダイスフレーム8は、制御円板5の円環溝6の構成に相応して周期的に案内に沿って往復動し、この往復動によって、ダイスフレーム8の端部に配置されたダイス9は、ワーク1の縁部に当接させられるか、又は該縁部から離間させられる。円環溝6の構成に相応して、この運動は比較的大きな行程又は比較的小さな行程をもって、1回転につき1回ずつ行われる。
【0021】
偏心輪軸4の偏心ピン17には連接棒10が配置されており、該連接棒は例えば連結ピン11を介してポンチ腕12と連結されている。該ポンチ腕12はワーク軸線Aに対してやはり半径方向にシフト可能にダイスフレーム8内に配置されている。従って偏心輪軸4が回転すると、ポンチ腕12も各回転当り1回往復動し、ひいては、ポンチ腕12の端部に配置されたポンチ13も往復動する。
【0022】
偏心輪軸4と制御円板5と偏心ピン17とを図示のように配置したことによって、ダイス9並びにポンチ13の結合されて強制案内される運動が行われ、その場合、制御円板5の円環溝6の構成と配置とに応じて、ワーク軸線Aに対するポンチ13の相対運動を、偏心ピン17のストロークに対比して著しく小さくすることが可能になる。
【0023】
従って今やポンチ腕12のポンチヘッド14は事実上、ワーク1の全内部空間を占めることができ、これによって、偏心ピン17のストロークに相当するポンチ13の本来のストロークが影響されることもなくなる。今やこの構成によって、ポンチ腕12が、発生する押抜き力もしくは型打ち力に対応して充分剛性的に形成され、ひいては運転中の損傷が回避される一方、押抜き又は型打ちが、反復可能な著しく高い精度で実施されるという決定的な利点が得られることになる。
【0024】
図示の構成は、ポンチ13を外側からワーク1に作用させ、その場合図2に示したようにダイス9をワーク1の内面に当接させるために使用することも勿論可能である。この場合の構造は、基本的には図1の場合と同様であるが、ただダイスフレーム8とポンチ腕12は相応に変化して形成されている。
【0025】
図3のa)〜c)には、先に説明した本発明の押抜き・型打ち機の作業領域が概略的な平面図で図示されている。図3のa)では、図1でも同じく示したようにダイス9並びにポンチ13が被加工ワーク1の表面に対して最大間隔をとる機械初期位置が示されている。ワークホルダー15もしくはワーク1はこの場合、機械架台16に対して定置に配置されており、ダイスフレーム8はその最後方位置(つまり図面では左手寄り位置)に在り、かつポンチ腕12はその最前方位置(つまり右手寄り位置)に在る。
【0026】
駆動軸3が逆時計回り方向に回動されると、該駆動軸は、制御円板5もしくは円環溝6の構成に基づいて、図3のb)に図示したようにワーク1の方に右寄りにシフトされる。制御円板5の円環溝6は、ダイス9がワーク1の外周壁と丁度当接するようなシフト量を生ぜしめるように設計されている。この当接位置は、初期位置から約90゜〜110゜回動するとすでに得られるのが有利であり、かつ該当接位置は次いで維持される。この当接位置の維持は、当接角度に続く角度範囲では円環溝6が駆動軸3の軸線に対して一定の半径を有すること、要するに同心円の形状に形成されることによって得られる。ところで偏心ピン17の相応の運動によって同時にポンチ13は、ポンチ腕12と連接棒10とを介してダイスフレーム8に対して左手へ向かってシフトされているが、ワーク1のワーク軸線Aに関しては事実上なお元の部位に位置している。従ってポンチ13とダイス9との間には、押抜き加工又は型打ち加工にとって必要な相対運動が、発生トルクに応じて必要なストロークと共にすでに準備されている訳である。
【0027】
駆動軸3の半回転の最終範囲において初めて今やポンチ13はワーク1に対しても左手へ向かって動かされ、かつ、図3のc)において不作用位置から180゜だけ半回転した位置で図示したように、規定の加工を行なう。
【0028】
それに続く更なる180゜回転によって初期位置へ戻る場合、ポンチ13とダイス9は、前記とは逆の順序でワーク1から解離される。その場合ワーク1は加工要求に応じて例えばワーク軸線Aを中心として次の加工位置へ回動することができる。
【0029】
ところで駆動軸3の駆動装置として制御式のサーボ軸が有利に使用される場合には、制御装置は、前記サーボ軸並びにワークホルダー15の回転を共に正確に作動制御することができる。これによって著しく高い精度と高い作業速度をもって中空円筒形のワークに内側から押抜き加工又は型打ち加工を施すことが可能になる。
【0030】
制御円板5の円環溝6の形状は、偏心ピン17のストローク、加工方式、ポンチヘッド14のサイズ及びワーク1の断面形状と形態に関連して決定され、かつ基本的には卵形の対称的な形態を有することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押抜き・型打ち機を、ポンチによって内側から加工される中空円筒形ワークと共に示した概略縦断面図である。
【図2】本発明の押抜き・型打ち機を、ポンチによって外側から加工される中空円筒形ワークと共に示した概略縦断面図である。
【図3】図1に示した押抜き・型打ち機の作業領域を3つの異なった位置a),b),c)で示した概略的な平面図である。
【符号の説明】
1 ワーク、 2 送り込みキャリッジ、 3 駆動軸、 4 偏心輪軸、 5 制御円板、 6 制御軌道としての円環溝、 7 ピン、 8 ダイスフレーム、 9 ダイス、 10 連接棒、 11 連結ピン、 12 ポンチ腕、 13 ポンチ、 14 ポンチヘッド、 15ワークホルダー、 16 機械架台、 17 偏心ピン、 18 ねじスピンドル、 19 駆動装置、 A ワーク軸線
Claims (11)
- 機械架台(16)、ポンチ(13)、ダイス(9)及びワーク軸線(A)を有するワーク(1)を収容するためのワークホルダー(15)を備えた形式の押抜き・型打ち機において、
ダイスフレーム(8)と機械架台(16)とに連結された制御円板(5)が、ダイスフレーム(8)と機械架台(16)との間のシフト運動を伝達するために配置されており、この場合、ダイスフレーム(8)内に回転可能に軸支された偏心輪軸(4)と前記制御円板(5)が互いに直結されかつ駆動軸(3)と結合されており、しかも、制御円板(5)が少なくとも1つの制御軌道(6)を有しており、該制御軌道内に、機械架台(16)に配置された送り込みキャリッジ(2)のピン(7)が係合しており、駆動軸(3)は、制御円板(5)の制御軌道(6)と送り込みキャリッジ(2)のピン(7)との位置関係により、ワーク軸線(A)に関して半径方向でシフト可能であり、ダイス(9)が、機械架台(16)に対してワークホルダ(15)のワーク軸線(A)に関して半径方向で所定のガイド内をシフト可能にガイドされるダイスフレーム(8)内に保持されており、ワークホルダ(15)のワーク軸線(A)に関してやはり半径方向でシフト可能にガイドされ且つダイス(9)の軸方向でシフト可能にガイドされるポンチ(13)が、前記ダイス(9)のダイスフレーム(8)内に回転可能に軸支された偏心輪軸(4)と連結されていることを特徴とする、押抜き・型打ち機。 - 制御円板(5)が、偏心輪軸(4)の軸線上に直接配置されている、請求項1記載の押抜き・型打ち機。
- 制御円板(5)が偏心輪軸(4)に対して回動角度を調整可能に構成されている、請求項2記載の押抜き・型打ち機。
- 制御円板(5)が少なくとも1つの円環溝(6)を有している、請求項1又は2記載の押抜き・型打ち機。
- ポンチ(13)が連接棒(10)を介して偏心輪軸(4)と連結されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の押抜き・型打ち機。
- ポンチ(13)が、リニア・シフト可能にガイドされるポンチ腕(12)に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の押抜き・型打ち機。
- ポンチ腕(12)がダイスフレーム(8)内をガイドされている、請求項6記載の押抜き・型打ち機。
- 偏心輪軸(4)がダイスフレーム(8)内に軸支されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の押抜き・型打ち機。
- 偏心輪軸(4)が、NCサーボモータのような電動モータ又は油圧モータと連結されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の押抜き・型打ち機。
- 中空円筒形のワーク(1)を加工するために使用される請求項1から9までのいずれか1項記載の押抜き・型打ち機。
- 中空円筒形のワーク(1)を内側又は外側からポンチ(13)で加工するために使用される請求項1から9までのいずれか1項記載の押抜き・型打ち機。
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