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JP3981430B2 - 純粋なアルカンスルホン酸の製造方法 - Google Patents

純粋なアルカンスルホン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酸化水素とアルキルメルカプタンとの反応によるアルキルスルホン酸の製造方法に関し、特に高純度のアルカンスルホン酸をより高収率、低コストで製造する方法に関する。
【0002】
一般式
R−(CH2 )xCH2 −SO3
(但し、Rは水素又は−OH基であり、xは0≦x≦8の整数である)によって表されるアルカンスルホン酸は公知であり、種々の用途に用いられている。特に上記一般式に含まれるヒドロキシアルカンスルホン酸、就中2−ヒドロキシエタンスルホン酸はイセチオン酸とも称されその利用分野は多岐に亘っている。
たとえばアクリル酸やメタクリル酸とのエステルは、反応性乳化剤として使用されており、またその単独重合体やビニルモノマーとの共重合体は、凝集剤、分散剤、増粘剤、さらには難燃化剤等として使用されている。
また長鎖アルキルカルボン酸とのエステルは、界面活性化剤としても優れた作用をもつことから、洗浄剤、化粧品の分野でも広く用いられている。
さらに最近では、塩基性色素定着剤、接着剤、錫及びハンダメッキ電解浴のための添加剤として期待される等、その用途分野は広範囲に及んでいる。
【0003】
【従来の技術】
2−ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)を典型例とするアルカンスルホン酸類を製造する方法としては、従来から種々の方法が提案されている。
例えば、BaumstarkらのChem.Ber.,1867,586頁には、エチレンをクロロスルホン酸の様なスルホン化剤で処理する方法や、エチレンオキシドを亜硫酸ガスで処理する方法が提案されている。
しかしながら、これら方法によって製造されるアルカンスルホン酸は、有機塩素化物や硫酸、有機硫酸塩の様な好ましくない不純物を混入しており、界面活性剤や高分子添加剤向け等、多くの応用分野に不向きな製品であることが判明している。
その為、不純物含有量の少ないアルカンスルホン酸類を製造すべく多くの研究がなされることとなった。
例えば、Koenigらは、米国特許第2,892,852号で有機チオエーテル又はチオ酢酸エステルを、酢酸溶媒中で過酢酸と反応させることにより相当するスルホン酸を製造する方法を、またJornal Praktiche Chemie,(4),(2),vol.27,(1955),241−242頁では酸化剤としてオゾン又は過マンガン酸塩を用いる方法を提案している。しかしこれらの方法では酸化剤が高価であると共に到達収率が低い等の問題があり、工業的には殆ど利用されていない。
また、Longleyらによる米国特許第4,499,028号や、伊藤らによる特開平2−32049号には、エチレンオキシドと重硫酸アルカリ塩とを公知の方法によって反応させて得られる純度の高いイセチオン酸アルカ塩に、アルコールの様な水溶性溶媒中で無水塩化水素を接触させる方法が提案されている。しかしこの方法は腐食性のガスを使用すると共に、副生する無機塩を除去する手間が掛かる欠点を有しており、工業的に不利な方法である。
また米国特許第2,727,920号には、メチルメルカプタンを電解酸化するか又は硝酸酸化する方法が提案されているが、前者は収率が低く、後者は加速度的に上昇する反応温度を制御しなければならず、工業的に不向きである。
【0004】
過酸化水素は、他の多くの酸化剤に比べ、安価に入手できること、安全に取り扱えること及び反応後には水しか副生しないこと等の好条件を有している為、上記の方法に加え、メルカプタンのスルホン化反応に利用する方法の検討も多く行なわれてきた。
例えば、Showellらは、Journal of Organic Chemistry,vol.27,(1962),2853−2858頁で、有機過酸を生成するのに充分な量の有機酸を含有させた系に於いて過酸化水素を用いることによってメルカプタンを酸化し、スルホン酸を製造する方法を提案している。しかしこの方法で得られる生成物には残存カルボン酸及び過カルボン酸を共存している。
また、アルカンスルホン酸、特にイセチオン酸は、各種溶剤への溶解度、沸点、極性等の固有の物性の為、こうした不純物を除去するのに用いられる溶媒抽出法や蒸留法といった汎用の分離技術を使用して精製することも困難である為、工業的に上記の様なInsitu過酸酸化を行なうのは非常に不利である。
Deschrijverらは、フランス特許第2,616,786号で、モリブデンやタングステンの誘導体である触媒を使用し、アルキルメルカプタンを過酸化水素で酸化することによってアルカンスルホン酸を製造する方法を提案している。しかしこの方法では、共存させた触媒によって、製品が着色するという問題がでる他、後の応用分野への利用を妨げる結果となる。
【0005】
McGeeらは、米国特許第4,910,330号及び第4,987,250号に於いて、上記記載の問題点、例えば有機酸や触媒を混入させずにアルキルメルカプタンを過酸化水素で酸化してアルカンスルホン酸を製造する方法を提案している。
McGeeらの方法は、製品を汚染する様な好ましくない添加剤を混入することなくアルカンスルホン酸を製造できるという点に於いて優れているが、激しい反応熱の除去を目的として、先ず濃過酸化水素水を水で希釈(例えば約30重量%まで)し、続いて減圧下でその希釈水(及び反応で副生する水)を留去することによって温度制御を行う等、手間の掛かる工程を要する。また原料と酸化剤の接触にあっては、反応に要する過酸化水素の一部を張り込んだものに、原料のアルキルメルカプタンに対して化学量論量により近似した極めて限られた範囲の過剰量の中で、常時H2 2 が過剰になるように流量調整をすべく厳密な分析を行ってアルキルメルカプタンと過酸化水素を同時にフィードしなければならず、非常に反応工程が複雑である為、その結果得られる製品の収率及び純度共にばらつきが多い欠点を有している。
更には、実質上60℃を越える反応温度で酸化を行っている為、硫酸や有機酸の様な好ましくない不純物の副生も多く、またアルキルメルカプタンに対し理論的に若干過剰量の過酸化水素を使用しているものの、上記の様な反応条件下において、アルキルメルカプタンの酸化を完結させる為には過酸化水素の使用量が事実上不足している為、ジスルフィドの様な反応中間体の残存もあり、製品を汚染しているのが現状である。
この為、この方法で製造された製品は、一般的なアルカンスルホン酸、特にヒドロキシエタンスルホン酸の用途に使用するには、製品純度が不十分である。
この様に、米国特許第4,910,330及び第4,987,250号に記載の方法は、大型設備による生産を行うには上記のような致命的な問題を抱えており、工業的には決して満足のいく方法ではなかった。
【0006】
【発明が解決しよとする課題】
本発明者らは、アルキルメルカプタンと過酸化水素とを反応させる方法に関し、従来の方法にある問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、製品を汚染する様な不純物の生成を排除して、利用価値の大きいアルカンスルホン酸を複雑な操作を要することなく高純度且つ高収率で製造する方法を発見し本発明に至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式:
R−(CH2 )xCH2 −SH (1)
(但し、Rは水素又は−OH基であり、xは0≦x≦8の整数である)によって表されるアルキルメルカプタンのメルカプト基を過酸化水素を用いて酸化し、対応する下記一般式:
R−(CH2 )xCH2 −SO3 H (2)
(但し、R及びxは前記のとおりである)によって表されるアルカンスルホン酸を製造するに際し、50重量%以上のH2 2 濃度をもつ過酸化水素水溶液であってアルキルメルカプタン1モル当り3.10モル以上のH2 2 量をもつ過酸化水素水溶液の全量を予め反応槽に仕込み、常時50℃を越えない反応温度に於いて該アルキルメルカプタンを反応槽に実質上連続的にフィードした後に熟成期間を設け、引き続き反応液を沸騰蒸留処理し、次いで該反応液を陰イオン交換体と接触させることを特徴とする純粋なアルカンスルホン酸の製造方法である。
【0008】
本発明により、低コスト、高収率且つ高純度で目的とするアルカンスルホン酸を得ることができる。
本発明に使用する過酸化水素は市販で入手可能なものでよいが、その濃度が50重量%以上、通常90重量%以下、好ましくは55〜65重量%の水溶液が用いられる。これにより最終製品であるアルカンスルホン酸濃度を極めて高い状態にする濃縮工程に於けるエネルギーコストを最小限にすることができると共に、より高い製品収率を実現することができる。
一般式(1)で示されるアルキルメルカプタンの具体例としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヒドロキシメチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、4−メルカプトブタノール等の単品、これらアルキルメルカプタン類の混合物が挙げられる。それらを用いて得られる酸化生成物は、一般式(2)で示され、各々に相当するメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸、4−ヒドロキシブタンスルホン酸等である。
【0009】
本発明方法は、特にアルキルメルカプタンが2−メルカプトエタノールであり、その酸化生成物が2−ヒドロキシエチルスルホン酸(イセチオン酸)である時、最も優れた結果をもたらす、それ故以下ではこの態様について詳しく説明する。
2−メルカプトエタノールと過酸化水素との反応は、50℃以下、通常10℃〜50℃の範囲内において常圧で実施するが、30℃〜50℃、特に40〜45℃での反応が望ましい。これにより、硫酸や低級脂肪酸の様な、H2 2 による酸化分解により副生する不純物の生成を抑制することができる。
2−メルカプトエタノールと過酸化水素とを反応させるに当たり、2−メルカプトエタノールと過酸化水素は、通常純分基準で化学量論量、即ち2−メルカプトエタノール1モル当たり過酸化水素3モルの使用を要するが、過酸化水素量を過大にすることが、好ましくない反応中間体の残存を抑制する為に重要であり、本発明では2−メルカプトエタノール1モル当たり、3.10モル以上通常4.0モル以下、好ましくは3.10〜3.5モルの範囲で用いられる。製造コストの観点から特に3.15〜3.20モルの範囲での使用がより望ましい。
【0010】
本発明では、予め反応溶液に過酸化水素の全量を張り込み、適切な攪拌の下に2−メルカプトエタノールを定量フィードする。その際の添加流速は、反応槽の冷却能力に応じて所定の反応温度に維持できる範囲であればよく、具体的には3〜10時間、望ましくは4〜8時間、特に約6時間程度かけて添加することが好ましい。これにより複雑な操作を避け、また定常的な温度制御を確保することができる。
本発明においては、2−メルカプトエタノールの添加終了後熟成期間を設けることを要する。熟成期間は、通常3〜20時間、望ましくは6〜10時間、特に約8時間程度が好ましい。これにより製品を汚染する好ましくない不純物の生成を抑制することができる。熟成温度は、副反応や生成するイセチオン酸の過剰酸化を誘発しない温度、特に2−メルカプトエタノールのフィード時の温度範囲内の温度である20〜50℃の温度が操作の容易さ及びコストの面から望ましい。
この段階で、過酸化水素は初期仕込量の通常90〜95%が消費され、また2−メルカプトエタノールを基準とした収率としてイセチオン酸85〜90%、硫酸2〜6%、酢酸やアセトアルデヒドの様な低分子量化合物1〜5%及びイセチオン酸未達の中間体(例えばジスルフィド体の部分酸化物等)3〜8%の生成が確認できる。
【0011】
熟成を終えた反応液は、次いで沸騰蒸留処理に供される。これは反応液を常圧下で反応液の沸騰を維持する様な温度、例えば100〜120℃の範囲の温度で通常1〜7時間、好ましくは2〜4時間加熱することによって行われる。これにより好ましくない残存する反応中間体を製品へと転化し高純度のイセチオン酸を得ることができる。
上記加熱処理の間、反応系内に空気、水蒸気又は窒素のような不活性ガスから選ばれた少なくとも一つの気体を吹き込んで(フラッシング)、還流する蒸気の全量か又はその一部を系外に留去することが望ましい。これは、より高濃度のイセチオン酸を得るために有効であると共に、特に上記組成を有する液中に存在する低沸点の低級脂肪酸、低級アルコール及びアルデヒドを完全に排除するために重要である。
この沸騰蒸留処理により、低級脂肪酸の排除の他、残存する反応中間体をイセチオン酸に完全変換することもでき、収率がさらに向上するという利点がある。
本発明では、かくして酸化反応を終了したイセチオン酸を含む高濃度の水溶液を、陰イオン交換体、特に弱塩基性イオン交換体と接触させることを要する。
通常イセチオン酸濃度40〜60重量%及び硫酸濃度1.8〜2.5重量%の組成をもつ本発明の酸化反応で得られる水溶液は、弱塩基性イオン交換体と接触させることにより、フラッシング蒸留では除去できない硫酸やスルホン酢酸のようなイセチオン酸以外の酸分のみを選択的に吸着させ、精製することができる。
【0012】
本発明で好ましく用いられる弱塩基性イオン交換体は、第三級アミン又はポリアミンを交換基とする弱塩基性イオン交換である。ここで三級アミンとは、例えば、下記一般式:
Figure 0003981430
で表されるものであり、Qはアクリル系、スチレン系又はフェノール系の高分子基を示し、R1 及び/又はR2 は同種或いは異種のアルキル基を示す。ポリアミンとしては、一般式(3)でR1 が水素であってR2 がエチレンジアミンを構成単位とする任意の直鎖又は分鎖アミンであるものが好ましい。弱塩基性イオン交換体の形状は入手可能なものであればいかなる形状のものでも使用可能であるが、汎用性から、短繊維状、解砕物、ビーズ状樹脂が推奨される。
【0013】
本発明で使用するに適するイオン交換体を具体的に商品名で示せば、「デュオライト」A−561;「デュオライト」A−568;「デュオライト」A−375;「デュオライト」A−368;「デュオライト」A−378;「デュオライト」A−7;「ダイアイオン」WA10;「ダイアイオン」WA11;「ダイアイオン」WA20;「ダイアイオン」WA21;「ダイアイオン」WA30;「アンバーライト」IRA−35;「アンバーライト」IRA−60E;「アンバーライト」IRA−68;「アンバーライト」IRA−93ZU及び「アンバーライト」IRA−94S等が挙げられる。
処理液の通液速度SVは0.1〜2と一般的に使用される範囲内でよいが、目的のイセチオン酸の純度がより高い所で回収する為には、SV0.2〜1.0の範囲、特にSV0.4〜0.6が望ましい。
弱塩基性イオン交換体との接触方法は特に限定されるものではなく、通常用いられる方法、例えば樹脂塔に均一に充填した該樹脂にイセチオン酸を含む反応液をダンフロー又はアップフローで通液する方法等が用いられる。
操作温度も特に限定されるものではなく、常温で十分に高い収率、純度をもつ目的物が得られる。
生成物は通常、この段階で、既知のあらゆる用途に使用可能であるが、樹脂の劣化に伴うイセチオン酸溶液の着色が確認される場合には、この処理の後に有機物吸着樹脂、例えば「アンバーライト」XAD−4に通液して脱色することができる。
本発明によれば、常時イセチオン酸を95〜97%の高収率、99%以上の高純度で得ることができる。
【0014】
かくして得られるイセチオン酸は、その製造の容易性と確実性に鑑み安価にして、高濃度及び高純度であり、高分子工業分野、有機工業分野において各種用途に有効に利用しうる。
前記したとおり本発明方法は一般式(1)のアルキルメルカプタンから一般式(2)のアルカンスルホン酸の製造に同様に適用される。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
【0015】
【実施例】
実施例−1
内部冷却器、攪拌装置、溶媒留去の為の開閉コックの付いた冷却器及び液体導入装置を備えたガラス製反応装置に、60重量%の過酸化水素357g(6.3mol)の全量を加えた後、反応液を激しく攪拌しつつ、156g(2.0mol)の2−メルカプトエタノールを0.4mL/min.で液体導入口から連続でフィードした。この間、液温は冷却器への冷却水量を調節して45℃に保持した。
2−メルカプトエタノールの添加終了後、室温で10時間攪拌を継続した。この段階で、43.2重量%のイセチオン酸水溶液(収量221.8g:収率88%)を得た。又、この溶液中には1.1重量%の硫酸(収量5.6g)、2.5重量%(収量12.8g)の過酸化水素の他、2−ヒドロキシエチルジスルフィドのポリ酸化物、アセトアルデヒド、酢酸の様な低沸点化合物が混入していた。
この反応液を、激しい攪拌の下に常圧で110℃に加熱した。この際、試料導入管より窒素ガスを吹き込み、蒸気の一部を系外に除去した。
5時間経過後、55.0重量%のイセチオン酸水溶液(収量241.9g:収率96.0%)を得た。この濃イセチオン酸水溶液には、生成率にして2.8%の硫酸と0.2%のスルホン酢酸以外には副生物の含有は確認されなかった。
この反応液を、アルカリ水溶液で再生した「デュオライト A−561」(住友化学製)200mLを充填した35mmφの塔に、塔頂より(ダウンフロー)SV0.5で通液した。
イセチオン酸と硫酸濃度をイオンクロマトグラフィー及び中和滴定で定量分析を行った。
54.0重量%のイセチオン酸水溶液(収量241.6g:収率95.9%)には、硫酸0.1重量%(イセチオン酸純度99.9%)の含有量でしかなかった。
【0016】
実施例−2
2−メルカプトエタノール添加時の酸化反応温度を25℃に変えた以外は実施例1と同様に行った。
50.2重量%のイセチオン酸水溶液(収量234.4g:収率93.0%)を得た。硫酸残存量は、0.1重量%以下(イセチオン酸純度99.8%)であった。
【0017】
比較例−1
2−メルカプトエタノール添加終了後の熟成期間を設けなかった以外は、実施例1と同様な反応を行った。
イセチオン酸収量221.8g(収率88.0%)であった。低沸点物の混入は見られなかったが、樹脂処理後の溶液中に2−ヒドロキシエチルスルフィドや2−ヒドロキシエチルジスルフィドのモノ又はポリ酸化物等の混入が確認された。又、溶液は若干黄褐色に着色していた。
【0018】
比較例−2
2 2 /2−メルカプトエタノールの反応比率を3.05/1.0(モル/モル)に変えた以外は、実施例1と同様な反応を行った。
イセチオン酸収量209.2g(収率83.1%)であった。この溶液中には、反応中間体である2−ヒドロキシエチルジスルフィド及び、そのモノ又はポリ酸化物等の不純物の混入が確認された。又、溶液は若干黄褐色に着色していた。
【0019】
比較例−3
過酸化水素濃度を35重量%、酸化反応温度を66℃に変え、又樹脂処理を行わなかった他は実施例1と同様に行った。
イセチオン酸収量204.1g(収率81.0%)であった。硫酸の副生が生成率にして9.7%と多かった以外にも、反応中間体である2−ヒドロキシエチルジスルフィド及びその酸化物、スルホン酢酸等の不純物の混入が確認された。
又、溶液が茶褐色に着色していた。

Claims (6)

  1. 一般式:
    R−(CH)xCH−SH
    (但し、Rは水素又は−OH基であり、xは0≦x≦8の整数である)によって表されるアルキルメルカプタンのメルカプト基を過酸化水素を用いて酸化し、対応する下記一般式:
    R−(CH)xCH−SO
    (但し、R及びxは前記のとおりである)によって表されるアルカンスルホン酸を製造するに際し、50重量%以上のH濃度をもつ過酸化水素水溶液であってアルキルメルカプタン1モル当り3.10モル以上のH量をもつ過酸化水素水溶液の全量を予め反応槽に仕込み、50℃を越えない反応温度に於いて該アルキルメルカプタンを反応槽に実質上連続的にフィードした後に3〜20時間熟成を行い、引き続き反応液を沸騰蒸留処理し、次いで反応液を陰イオン交換体と接触させることを特徴とする純粋なアルカンスルホン酸の製造方法。
  2. アルキルメルカプタンの連続フィード終了後の熟成を、25〜50℃の範囲内の温度で6時間以上実施する請求項1記載の方法。
  3. 熟成終了後の沸騰蒸留を、空気、水蒸気及び窒素から選ばれた少なくとも一つの気体を反応槽中にフラッシングしながら100〜120℃の温度で行なう請求項1又は2記載の方法。
  4. 陰イオン交換体が第三級アミン又はポリアミンを交換基とする弱塩基性陰イオン交換樹脂である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 反応液を陰イオン交換体と接触させた後、有機物吸着樹脂と接触させる請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. アルキルメルカプタンが2−メルカプトエタノールであり、アルキルスルホン酸が2−ヒドロキシエチルスルホン酸である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
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