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JP3977909B2 - 回収式蒸気冷却ガスタービン - Google Patents

回収式蒸気冷却ガスタービン Download PDF

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JP3977909B2
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  • Engine Equipment That Uses Special Cycles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回収式蒸気冷却ガスタービンに関し、ガスタービンの起動時に燃焼器壁面、動翼、静翼、ロータ等の蒸気冷却用の通路を暖気し、蒸気投入時の結露の発生を防止すると共に、停止時においても凝縮する蒸気により発生する錆を防止するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電プラントの高効率化の要請によりガスタービンの燃焼ガスも高温化しており、そのためにガスタービンの高温の排ガスを排熱回収ボイラに導き、これを加熱して蒸気を発生させ、その蒸気で蒸気タービンを駆動する複合発電プラントが開発されている。このような複合発電プラントにおいては、ガスタービンの高温部品の冷却を空気冷却方式に代り、冷却性能の優れた蒸気冷却方式を採用することが提案されている。
【0003】
は上記に説明したガスタービンの蒸気冷却方式の一例を示し、起動時の運転方法の例である。図において、70はガスタービン、71−1、71−2、71−3は静翼、72−1、72−2、72−3は動翼、73はガスタービン70の軸である。74,75,76,77はそれぞれ三方弁、80は蒸気供給管、81は空気供給管で図示省略の圧縮機から空気が導かれる。82は空気戻り管、83,84は静翼71−1〜71−3にそれぞれ空気又は蒸気の冷却媒体を供給し、回収する配管である(図では静翼71−1のみ図示し、その他は省略している)。85,86は動翼72−1〜72−3にそれぞれ冷却媒体を供給し、回収する配管であり、同じく動翼72−1のみ図示し、その他は省略している。87は三方弁77と75とを接続する配管である。
【0004】
このような構成のガスタービンにおいて、ガスタービンの起動時には、三方弁77を切替えて、蒸気配管80側を閉とし、圧縮機からの冷却空気を配管81から、87,三方弁75を経て83を通り静翼71−1〜71−3へ導き、静翼内を流通させて、配管84、三方弁74、三方弁76より配管82から圧縮機側に戻している。又、同時に空気は三方弁75から配管85を通り、動翼72−1〜72−3に導き、動翼内を流通させ、配管86、三方弁74、三方弁76を通り、配管82から圧縮機側へ戻している。
【0005】
静翼71−1〜71−3及び動翼72−1〜72−3が空気により暖められて蒸気を流通するのに適した温度になると、三方弁77,76を切替えて空気の配管81,82側を閉とし、蒸気供給管80を開として空気の代りに蒸気を供給し、静翼71−1〜71−3及び動翼72−1〜72−3に蒸気を流通させて通常の運転に入る。
【0006】
このように、ガスタービンのスタートには、高温部品を冷却する冷却媒体として冷却空気を流通させ、冷却媒体流通路の温度が蒸気の流通に際して結露しない温度以上になったときに、前記三方弁を切換えて冷却空気の流通を停止し、冷却蒸気を流通させるようにしている。
【0007】
は蒸気冷却方式を採用したガスタービンの起動方法を示す他の例であり、図において、ガスタービン系統101は圧縮機104と、この圧縮機104に連結された燃焼器106と、この燃焼器106から燃焼ガスを受けて回転駆動されるガスタービン108とによって構成されている。圧縮機104とガスタービン108とは一軸連結構造とされ、発電機100aが連結されている。
【0008】
蒸気タービン系統102は、ガスタービン108から排ガス通路111を介して排ガスを導入する排熱回収ボイラ112と、このボイラ112から蒸気通路113a,113bを介して送られる蒸気で回転駆動される蒸気タービン114と、この蒸気タービン114の排蒸気(気液2相流)を排蒸気通路115を介して導入し水に戻す復水器116とによって構成されており、復水器116で発生した復水は復水ポンプ117および復水配管118を介して排熱回収ボイラ112に還流するようになっている。蒸気タービン114には発電機100bが連結されている。これらの蒸気通路113a,113bには調整弁119a,119bおよび逆止弁200a,200bがそれぞれ設けられている。また、排蒸気通路115には調整弁121が設けられている。
【0009】
冷却蒸気系統103は、主系統122aと補助系統122bからなっている。主系統122aは、一方の蒸気通路113aの途中をガスタービン系統101の高温部位123である静翼または動翼に導くように迂回させたものであり、蒸気源は排熱回収ボイラ112である。
【0010】
補助系統122bは、蒸気発生部が主系統122aの一方の蒸気通路113aに、逆止弁125および調整弁126を有する補助蒸気通路127によって連結され、ガスタービン108の高温部位123に補助蒸気を供給するようになっている。補助蒸気は高温部位123を冷却した後、蒸気タービン114に送られ、排蒸気通路115に排出される。この排蒸気通路115に補助還流通路128が連結され、排蒸気はこの補助還流通路128を介して補助ボイラ124に還流するようになっている。補助還流通路128には、流れの方向に沿って、調整弁129、復水器130および補助復水ポンプ131が設けられている。
【0011】
プラントの起動に際しては、まず、補助ボイラ124を立ち上げた状態のもとで、ガスタービン108を起動し、最初の間補助蒸気通路127の調整弁126を開き、冷却用の補助蒸気を補助ボイラ124から逆止弁125を介してガスタービン108内の高温部位123に送り、冷却した蒸気は、蒸気タービン114、補助還流通路128の調整弁129を経て復水器130に入り、水となって補助復水ポンプ131により補助ボイラ124に戻る。
【0012】
排熱回収ボイラ112から発生する蒸気は、一方の蒸気通路113aの調整弁119aを閉止して蒸気冷却用としては使用しないようにし、他方の蒸気通路113bの調整弁119bを開いて、その程度の蒸気でも十分使用可能である蒸気タービン114に供給する。一方、主系統122aの排熱回収ボイラ112の蒸気発生量が増加して良好な蒸気が得られる一定時間後に、一方の蒸気通路113aの調整弁119aを開き、排熱回収ボイラ112の蒸気を冷却用蒸気として使用する。起動後、補助ボイラ124は停止する。
【0013】
その後の運転時においては、ガスタービン108の高温の排気ガスは排熱回収ボイラ112に送られて水との熱交換によって水蒸気を発生する。発生した水蒸気の一部は調整弁119aを通り、ガスタービン静翼の冷却用蒸気として使用された後、蒸気タービン114に送られ、他の一部は、調整弁119bを通って直接蒸気タービン114に送られて膨張し、動力を発生する。蒸気タービン114を出た水蒸気は復水器116にて水に変り、復水ポンプ117により排熱回収ボイラ112に循環する。ガスタービン104および蒸気タービン114は発電機100a,100bを駆動する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来の蒸気冷却方式を採用したガスタービンにおいては、起動時には圧縮機からの空気をガスタービン高温部に流し、この高温部が蒸気を流通するのに適した温度となると弁を切替えて蒸気を流して通常運転に入る方式や、又、起動時には補助ボイラからの蒸気を高温部へ流して運転を立上げ、その後排熱回収ボイラからの蒸気に切替えて通常運転に入る方式等がある。
【0015】
ガスタービンの起動時には、ガスタービンの排気熱が低温で、かつ排熱回収ボイラ配管の熱容量もあるため適切な温度の冷却蒸気が得られず、そのために上記のような起動時に圧縮機からの空気や補助ボイラからの蒸気を用いて運転を開始している。この起動時の間にはガスタービンで発生する燃焼ガスから各蒸気冷却部を保護し、高温ガスが蒸気冷却部に侵入しないようにする必要がある。
【0016】
上記の従来の方法ではこのような目的を達成するものであるが、本発明においては、更にこのような目的を確実に達成するために、補助ボイラのような大がかりな設備を用いることなく、起動時に蒸気冷却部を暖気すると共に、冷却蒸気投入時のドレンの発生を防止し、高温の燃焼ガスの侵入も確実に防ぐと共に、更に停止時においても蒸気の残留をなくして残留蒸気の凝縮による錆発生を防止することのできる設備を付加した回収式蒸気冷却ガスタービンを提供することを課題としてなされたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の(1)乃至()の手段を提供する。
【0018】
(1)圧縮機、燃焼器、およびタービンロータと動翼と静翼を具えたガスタービンを備えるガスタービン系統と、排熱回収ボイラによりガスタービンの排熱を回収し蒸気タービンを駆動するための回収システムと、前記燃焼器を通る冷却蒸気通路系統、一部の前記動翼を通る冷却蒸気通路系統、一部の前記静翼を通る冷却蒸気通路系統、前記タービンロータを通る冷却蒸気通路系統を含む複数の冷却蒸気通路系統と、前記回収システムから前記複数の冷却蒸気通路系統へ冷却蒸気を流す蒸気系統と、前記複数の冷却蒸気通路系統の少なくとも一部の冷却蒸気通路系統を通るように前記冷却蒸気に代えて前記ガスタービンの圧縮機以外の媒体供給源からの所定の媒体を供給する媒体供給系統と、同媒体供給系統から媒体を供給される冷却蒸気通路系統へ流す媒体の温度を動翼の温度上昇と合わせるように調節するために起動時の間作動する温度調節装置とを有してなり、前記媒体供給系統は、前記媒体供給源からの媒体を加圧する別置の圧縮装置と同圧縮装置で昇圧された媒体が流入するアキュムレータを備え、前記温度調節装置は、前記アキュムレータに設けられた第1の加熱器と、同アキュムレータと前記冷却蒸気通路系統の間の前記媒体供給系統に設けられた第2の加熱器とを備え、前記媒体を供給される冷却蒸気通路系統は、その冷却蒸気通路系統を暖めるためにガスタービンの起動時の間、または、その冷却蒸気通路系統から蒸気をパージするためにガスタービンの停止時の間の少なくとも一つの間は、個々に前記蒸気系統から遮断されるように構成されてなり、ガスタービン起動時に、前記冷却蒸気通路系統を燃焼ガス圧力より高くして燃焼ガスが通路系統へ漏洩しないようにし、前記冷却蒸気通路系統に流す前記媒体として燃焼ガスより高圧の媒体を用い、前記媒体供給系統は、起動時の前半と後半とで媒体の温度を変化させ、後半は前半より高温とすることを特徴する回収式蒸気冷却ガスタービン。
【0024】
)上記(1)の発明において、前記媒体は不活性ガスであることを特徴とする回収式蒸気冷却ガスタービン。
【0025】
)上記(1)の発明において、前記媒体供給系統は、ガスタービン停止時に前記冷却蒸気通路系統に乾燥空気を流し、同冷却蒸気通路系統内の残留蒸気をパージして系外に排出可能であることを特徴とする回収式蒸気冷却ガスタービン。
【0026】
)ガスタービンの排熱で蒸気タービンを駆動すると共に、同蒸気タービンの蒸気系統から蒸気を一部抽気して前記ガスタービンの高温部の冷却蒸気通路系統に導いてこれを冷却し、冷却後の蒸気を前記蒸気タービンの蒸気系統に戻して回収する回収式蒸気冷却ガスタービンにおいて、ガスタービンの起動時又は停止時に、前記冷却蒸気通路系統の入口側と出口側に接続し、同冷却蒸気通路系統に蒸気以外の媒体を流す媒体供給系統を設けたことを特徴とする上記(1)の発明の回収式蒸気冷却ガスタービン。
【0027】
ガスタービンの起動時においては、ガスタービンの排気熱はまだ低温であり、又、排熱回収ボイラ配管の熱容量も大きく、蒸気を流しても適切な温度の蒸気が得られず、この間に冷却蒸気通路系統に結露が生じたり、又、高温の燃焼ガスが冷却蒸気通路系統内に入り込んでしまう。そこで本発明の(1)では、起動時には冷却蒸気通路系統を個々に蒸気系統から遮断し、又、()の発明では冷却蒸気通路系統の入口側と出口側に弁等で切替えのできる媒体供給系統を接続し、蒸気以外の媒体、例えば、ガスタービンの圧縮機以外の媒体供給源からの空気等を流し、暖気を行う。この暖気を行い、冷却蒸気通路系統を蒸気温度に近づけ、その後弁を切替えて冷却蒸気通路系統を蒸気系に接続し、蒸気を流して通常運転時の冷却を行う。
【0028】
このような起動時の暖気を行うことより、蒸気投入時に冷却蒸気通路系統に結露が生ずることなく、結露の発生によるロータのアンバランスや振動を防止することができる。又、暖気運転中には冷却蒸気通路系統には媒体が流れているので高温の燃焼ガスの侵入が防止される。
【0029】
また、本発明の()では、流通する媒体の圧力を外部の燃焼ガスの圧力よりも高くするので、起動時に冷却蒸気通路系統に高温ガスが侵入するのを確実に防ぐことができ、ガスによる通路内の酸化等を防止できる。
【0030】
また、媒体供給系統は、媒体供給源からの媒体を加圧する別置の圧縮装置と、圧縮装置で昇圧された媒体が流入するアキュムレータと、温度調節装置を備え、温度調節装置は、アキュムレータに設けられた第1の加熱器と、アキュムレータと冷却蒸気通路系統の間の媒体供給系統に設けられた第2の加熱器とを有しており、媒体の加圧を行い、媒体が流通しやすいようにし、又、第1の加熱器と第2の加熱器により媒体の温度を暖気の温度に適するように、絶えずに適正な温度の調節することができる。
【0031】
そして、起動時初期にはタービンの動翼は常温〜300℃程度の低温であり、媒体の温度もこの温度に合せて暖気を行い、起動の後半にはタービン動翼も高温となり、温度も300℃〜500℃程度となるので、媒体の温度も、これに合せて上昇させて暖気を行う。従って動翼の温度上昇に合せて媒体の温度を維持しながら暖気を行うので、動翼と媒体との間の温度差がなく起動中はもちろん、蒸気投入時においても結露が生ずることがなく、結露による回転のアンバランスや振動を確実に防ぐことができる。
【0032】
本発明の(2)では媒体としてガスタービンの系外の不活性ガスを用いることができるので、不活性ガス供給源が設備されている場合には容易に媒体として使用でき、ガスタービンの起動時の暖気用の媒体の利用範囲が広がるものである。
【0033】
更に、ガスタービンの停止時には冷却蒸気通路系統内には蒸気が残留し、この残留蒸気が凝縮して錆等の発生の原因となるが、本発明の()においては、停止時に乾燥した空気を冷却蒸気通路系統内に流通させ、残留蒸気をパージすることができるので、停止後には常に蒸気の残留によるドレーンの発生を確実に防止できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係り本発明者が検討した第1検討例の回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。図において1はガスタービンで内部に動翼冷却蒸気通路4a、静翼冷却蒸気通路4bを有している。2は圧縮機、3は燃焼器である。5は温度調節器でありクーラ等からなり、圧縮機2から抽気した空気の温度を調節する。6は媒体供給源であり、空気やN2 等の不活性ガスを供給するものであり、空気の場合には圧縮機2以外の空気供給源から供給される。
【0035】
7,8は流量調節弁で、それぞれ冷却媒体の供給側、排出側に設けられている。9,10はそれぞれ動翼冷却蒸気通路4a、静翼冷却蒸気通路4bに連通する冷却蒸気配管であり、図示省略しているが、排熱回収ボイラで発生した蒸気か又は、蒸気タービンを通る蒸気の内適切な圧力、温度の蒸気が導かれ、冷却後の蒸気を排熱回収ボイラ側へ戻して回収するものである。
【0036】
11,12は三方弁であり、それぞれ動翼、静翼冷却蒸気配管9,10の流入側に設けられる。13,14も同じく三方弁であり、それぞれ動翼、静翼冷却蒸気配管9,10の流出側に設けられている。15,16,17は媒体をON/OFFする弁であり、それぞれ15,16は圧縮機3からの空気を、17は媒体供給源6からの冷却媒体の流れを開閉する。
【0037】
上記構成の第1検討例において、起動時には三方弁11,12,13,14の蒸気流入、流出側をそれぞれ閉じ、圧縮機2からの空気を流通させる場合には、弁15,16を開き、弁17を閉じる。その後、圧縮機2からの空気を、流量調節弁7で調節して三方弁11,12を介して動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4b内に流入させ、三方弁13,14、流量調節弁8を介して流出させ、所定の時間流す。この際、空気の温度は温度調節器5により調節し、温度を徐々に上げて定常運転時の蒸気温度に近づけて暖気運転する。
【0038】
次に、媒体供給源6により外部からの冷却媒体で暖気する場合には、同じく三方弁11,12,13,14の蒸気流入、流出側を閉じ、弁15,16も閉じ、弁17を開けて媒体供給源6から外部の空気又はN2 等の不活性ガスを流量調節弁7、三方弁11,12を介して動翼、静翼蒸気通路4a,4bに流し、三方弁13,14、流量調節弁8を介して流出させ、所定の時間暖気する。
【0039】
上記の動翼、静翼に流す圧縮機2からの空気、又は媒体供給源6からの外部の空気あるいは不活性ガスの流入圧力は、燃焼ガスよりも圧力を高く設定し、起動時に動翼、静翼冷却通路4a,4b内に高温の燃焼ガスが侵入しないようにする。
【0040】
導入する空気又は不活性ガスの温度は、起動初期にはガスタービンの動翼は低温(常温〜300℃)であるために、これに合せて常温から300℃に温度調節する。又、起動後期にはタービン動翼は高温(300℃〜500℃)となるため、これに合せて300℃〜500℃に調節して流す。
【0041】
上記の条件の圧力、温度の空気、又は不活性ガスを起動時に所定時間流し、ガスタービンの動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bの温度が通常運転時の蒸気温度に近づくと、三方弁11,12,13,14を切替えて暖気用の流路を閉じ、冷却蒸気配管9,10の流入側と流出側とをそれぞれ連通させて蒸気を流し、通常運転時の蒸気冷却を行う。
【0042】
このような起動時の暖気を行うことにより、ガスタービンプラントのコールドスタート時には結露を生ずることが防止され、結露によるロータのアンバランスや振動の発生を防止することができ、ガスタービンの動翼や静翼の酸化や腐食を防止することができる。
【0043】
上記のように起動時にガスタービンの動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bの流路を暖気し、その後通常運転を行うが、ガスタービンの停止時には次のように冷却蒸気通路4a,4bに残留する蒸気をパージして停止後の残留蒸気による凝縮を防止する。
【0044】
即ち、暖気運転時と同じように、三方弁11〜14を切替え、冷却蒸気配管9,10の蒸気流入側と流出側とを閉じ、暖気と同じ要領で三方弁11,12を介して乾燥した空気を所定時間動翼、静翼蒸気通路4a,4bに流入させ、三方弁13,14、流量調節弁8を介して流出させる。これにより通路4a,4b内に残留する蒸気を外部に流出させる。通路4a,4b内の残留蒸気をパージすると三方弁を元の状態に戻し、冷却蒸気通路9,10の流入側と流出側を連通させ、暖気側の流路を閉じる。
【0045】
なお、図示していないが、燃焼器3の壁面も同様に蒸気冷却する場合にも、動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bと同じように停止後に空気を流して残留蒸気をパージし、停止後の蒸気の凝縮を防止するようにするものである。
【0046】
図2は本発明の実施の第形態に係る回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。図において、第1検討例と異なる部分は圧縮機2からの空気の抽気系統をなくし、媒体供給源6からの媒体供給のみとした構成である。このため媒体供給系統に、別置の小型圧縮機(別置の圧縮装置)23、(第1の)加熱器22を設け前記小型圧縮機23からの媒体が流入するアキュムレータ21、アキュムレータ21の下流側に設けられた(第2の)加熱器20を備えており、その他の構成は第1検討例と同じである。
【0047】
上記構成の実施の第形態において、起動時には三方弁11〜14を切替えて冷却蒸気通路9,10の蒸気流入側と流出側を閉じ、暖気流路側と動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bとをそれぞれ連通させ、媒体供給源6より外部の空気又はN2 等の不活性ガスを圧縮機23で所定の圧力に上昇させてアキュムレータ21へ流入させる。
【0048】
アキュムレータ21は内部圧力を充分高めるまで流入し、必要に応じて加熱器22で加熱して必要温度を維持しておく。ガスタービンの冷却蒸気通路4a,4bにおいてはその供給通路の途中や、翼内部への供給口、回収口等で媒体が多少洩れるので、これらの洩れ量が多い場合にはこのようなアキュムレータ21を設け、リーク量が多くても高圧を維持できるので、効果的である。
【0049】
アキュムレータ21からの媒体は加熱器20で温度調節がなされ、三方弁11,12を介して動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bに流入し、三方弁13,14、流量調節弁8を介して外部に流出して、所定時間蒸気通路4a,4bを暖気する。この暖気の圧力、温度の条件や調整は前述の第1検討例と同じ条件で行うのでその説明は省略する。
【0050】
暖気終了後には冷却蒸気通路4a,4bがこの冷却蒸気温度に近づいているので、三方弁11〜14を切替えて冷却蒸気配管9,10から動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bに蒸気を流して通常運転時の冷却を行い、ガスタービン停止後には第1検討例と同様に残留蒸気のパージを行う。従って実施の第形態においても第1検討例と同様の効果が得られる。
【0051】
図3は本発明の実施の第形態に係る回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。図において、実施の第形態と異なる部分は、別置の循環用の小型圧縮機30と、弁31,32、逆止弁33とを設け、媒体供給源6からの媒体供給系に加えて、更に媒体を循環できるようにした構成である。
【0052】
上記の実施の第形態の構成において、まず三方弁11〜14の蒸気流入側と流出側とを閉じると共に、弁32を閉じ、媒体供給源6からアキュムレータ21を介して導入された空気又は不活性ガスはしばらくの間流量調節弁8を介して外部へ放出し、その後、弁31を閉じて弁32を開け、圧縮機30で媒体を加圧して動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bを通って循環させる。媒体を循環させると共に、加熱器20で媒体を加熱し、温度調整し、循環による対流を促進させて冷却蒸気通路4a,4bを暖気する。
【0053】
暖気の圧力、温度の条件、等は上記の第1検討例、実施の第1形態と同じであり、ガスタービン停止後の残留蒸気のパージも上記と同様であるので説明は省略する。
【0054】
図4は本発明に係り本発明者が検討した第2検討例、図5は第3検討例の回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図であり、図4は図2における実施の第形態からアキュムレータ21及び加熱器22を取除いたものであり、図5は図4の第2検討例に別置の小型圧縮機30、弁31,32及び逆止弁33を設け、媒体の循環系を追加した構成としたものである。
【0055】
図4、図5においてはそれぞれ図2の構成からアキュムレータ21を除去し、かつ図5においては媒体を循環させたもので、図2の構成では蒸気量のリークが多い場合にアキュムレータ21を設け、大きな圧力が得られるように構成しているが、図4、図5においては、このようなリーク量が少なく、必要圧力が充分に確保できる場合に適用されるものである。
【0060】
又、上記に説明の実施の第1形態においては、ガスタービンの起動時に、圧縮機2以外の媒体供給源6からの空気又は不活性ガス等を燃焼ガス圧力よりも高い圧力として動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bに流して暖気をするようにし、その後蒸気を流して通常の蒸気冷却を行うようにしたので、蒸気投入時の結露をなくすると共に、高温の燃焼ガスが動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4b内に侵入するのが防止される。
【0061】
更に、ガスタービン運転停止後に、動翼、静翼冷却蒸気通路4a,4bに空気を流し、残留している蒸気をパージすることができるので、停止後の残留蒸気の凝縮による錆発生を防止することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の(1)の回収式蒸気冷却ガスタービンは、圧縮機、燃焼器、およびタービンロータと動翼と静翼を具えたガスタービンを備えるガスタービン系統と、排熱回収ボイラによりガスタービンの排熱を回収し蒸気タービンを駆動するための回収システムと、前記燃焼器を通る冷却蒸気通路系統、一部の前記動翼を通る冷却蒸気通路系統、一部の前記静翼を通る冷却蒸気通路系統、前記タービンロータを通る冷却蒸気通路系統を含む複数の冷却蒸気通路系統と、前記回収システムから前記複数の冷却蒸気通路系統へ冷却蒸気を流す蒸気系統と、前記複数の冷却蒸気通路系統の少なくとも一部の冷却蒸気通路系統を通るように前記冷却蒸気に代えて前記ガスタービンの圧縮機以外の媒体供給源からの所定の媒体を供給する媒体供給系統と、同媒体供給系統から媒体を供給される冷却蒸気通路系統へ流す媒体の温度を動翼の温度上昇と合わせるように調節するために起動時の間作動する温度調節装置とを有してなり、前記媒体供給系統は、前記媒体供給源からの媒体を加圧する別置の圧縮装置と同圧縮装置で昇圧された媒体が流入するアキュムレータを備え、前記温度調節装置は、前記アキュムレータに設けられた第1の加熱器と、同アキュムレータと前記冷却蒸気通路系統の間の前記媒体供給系統に設けられた第2の加熱器とを備え、前記媒体を供給される冷却蒸気通路系統は、その冷却蒸気通路系統を暖めるためにガスタービンの起動時の間、または、その冷却蒸気通路系統から蒸気をパージするためにガスタービンの停止時の間の少なくとも一つの間は、個々に前記蒸気系統から遮断されるように構成されてなり、ガスタービン起動時に、前記冷却蒸気通路系統を燃焼ガス圧力より高くして燃焼ガスが通路系統へ漏洩しないようにし、前記冷却蒸気通路系統に流す前記媒体として燃焼ガスより高圧の媒体を用い、前記媒体供給系統は、起動時の前半と後半とで媒体の温度を変化させ、後半は前半より高温とすることを特徴としている。又、()の発明の回収式蒸気冷却ガスタービンは、ガスタービンの排熱で蒸気タービンを駆動すると共に、同蒸気タービンの蒸気系統から蒸気を一部抽気して前記ガスタービンの高温部の冷却蒸気通路系統に導いてこれを冷却し、冷却後の蒸気を前記蒸気タービンの蒸気系統に戻して回収する回収式蒸気冷却ガスタービンにおいて、ガスタービンの起動時又は停止時に、前記冷却蒸気通路系統の入口側と出口側に接続し、同冷却蒸気通路系統に蒸気以外の媒体を流す媒体供給系統を設けたことを特徴とする上記(1)の回収式蒸気冷却タービンである。本発明の(1)の構成により蒸気投入時に冷却蒸気通路系統に結露が生ずることなく、結露の発生によるロータのアンバランスや振動を防止することができ、ガスタービン停止時において凝縮する蒸気により発生する錆を防止できる。又、()の発明ではさらに暖気運転中には冷却蒸気通路系統には媒体が流れているので高温の燃焼ガスの侵入が防止される。
【0063】
また、本発明の()は、ガスタービン起動時に、前記冷却蒸気通路系統を燃焼ガス圧力より高くして燃焼ガスが冷却蒸気通路系統へ漏洩しないようにし、前記冷却蒸気通路系統に流す前記媒体として燃焼ガスより高圧の媒体を用いたので、起動時には冷却蒸気通路系統に高温ガスが侵入するのを確実に防ぐことができる。
【0064】
記媒体供給系統は、前記媒体供給源からの媒体を加圧する別置の圧縮装置と、同圧縮装置で昇圧された媒体が流入するアキュムレータと、温度調節装置とを備え、同温度調節装置は、前記アキュムレータに設けられた第1の加熱器と、同アキュムレータと前記冷却蒸気通路系統の間の前記媒体供給系統に設けられた第2の加熱器とを有しており、媒体が流通しやすいようになり又、第1の加熱器と第2の加熱器により媒体の温度を暖気の温度に適するように絶えず適正な温度に調節することができる。
【0065】
そして、前記媒体供給系統は、起動時の前半と後半とで媒体の温度を変化させ、後半は前半より高温とするので、動翼と媒体との間の温度差がなく起動中はもちろん、蒸気投入時においても結露が生ずることがなく、結露による回転のアンバランスや振動を確実に防ぐことができる。
【0066】
本発明の()は、上記(1)の発明において、前記媒体は不活性ガスであることを特徴としているので、ガスタービンの起動時の暖気用の媒体の利用範囲が広がるものである。
【0067】
本発明の()は、上記(1)の発明において、前記媒体供給系統は、ガスタービン停止時に前記冷却蒸気通路系統に空気を流し、同冷却蒸気通路系統内の残留蒸気をパージして系外に排出可能であることを特徴としている。このような構成により、停止後には常に蒸気の残留によるドレーンの発生を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係り本発明者が検討した第1検討例の回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。
【図2】 本発明の実施の第形態に係る回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。
【図3】 本発明の実施の第形態に係る回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。
【図4】 本発明に係り本発明者が検討した第2検討例の回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。
【図5】 本発明に係り本発明者が検討した第3検討例の回収式蒸気冷却ガスタービンの系統図である。
【図6】 従来の蒸気冷却方式を採用した複合発電プラントの系統図である。
【図7】 従来の蒸気冷却ガスタービンの別の例を示す系統図である。
【符号の説明】
1,41 ガスタービン
2,42 圧縮機
3,62 燃焼器
4a,44a 動翼冷却蒸気通路
4b,44b 静翼冷却蒸気通路
5 温度調節器
6 媒体供給源
7,8 流量調節弁
9,10 冷却蒸気配管
11,12,13,14 三方弁
15,16,17 弁
(第2の)加熱器
22 (第1の)加熱器
21 アキュムレータ
圧縮機(別置の圧縮装置)
30 圧縮機
31,32

Claims (4)

  1. 圧縮機、燃焼器、およびタービンロータと動翼と静翼を具えたガスタービンを備えるガスタービン系統と、
    排熱回収ボイラによりガスタービンの排熱を回収し蒸気タービンを駆動するための回収システムと、
    前記燃焼器を通る冷却蒸気通路系統、一部の前記動翼を通る冷却蒸気通路系統、一部の前記静翼を通る冷却蒸気通路系統、前記タービンロータを通る冷却蒸気通路系統を含む複数の冷却蒸気通路系統と、
    前記回収システムから前記複数の冷却蒸気通路系統へ冷却蒸気を流す蒸気系統と、
    前記複数の冷却蒸気通路系統の少なくとも一部の冷却蒸気通路系統を通るように前記冷却蒸気に代えて前記ガスタービンの圧縮機以外の媒体供給源からの所定の媒体を供給する媒体供給系統と、
    同媒体供給系統から媒体を供給される冷却蒸気通路系統へ流す媒体の温度を動翼の温度上昇と合わせるように調節するために起動時の間作動する温度調節装置とを有してなり、
    前記媒体供給系統は、前記媒体供給源からの媒体を加圧する別置の圧縮装置と同圧縮装置で昇圧された媒体が流入するアキュムレータを備え、
    前記温度調節装置は、前記アキュムレータに設けられた第1の加熱器と、同アキュムレータと前記冷却蒸気通路系統の間の前記媒体供給系統に設けられた第2の加熱器とを備え、
    前記媒体を供給される冷却蒸気通路系統は、その冷却蒸気通路系統を暖めるためにガスタービンの起動時の間、または、その冷却蒸気通路系統から蒸気をパージするためにガスタービンの停止時の間の少なくとも一つの間は、個々に前記蒸気系統から遮断されるように構成されてなり、
    ガスタービン起動時に、前記冷却蒸気通路系統を燃焼ガス圧力より高くして燃焼ガスが通路系統へ漏洩しないようにし、
    前記冷却蒸気通路系統に流す前記媒体として燃焼ガスより高圧の媒体を用い、
    前記媒体供給系統は、起動時の前半と後半とで媒体の温度を変化させ、後半は前半より高温とすることを特徴とする回収式蒸気冷却ガスタービン。
  2. 前記媒体は不活性ガスであることを特徴とする請求項1記載の回収式蒸気冷却ガスタービン。
  3. 前記媒体供給系統は、ガスタービン停止時に前記冷却蒸気通路系統に乾燥空気を流し、同冷却蒸気通路系統内の残留蒸気をパージして系外に排出可能であることを特徴とする請求項1記載の回収式蒸気冷却ガスタービン。
  4. ガスタービンの排熱で蒸気タービンを駆動すると共に、同蒸気タービンの蒸気系統から蒸気を一部抽気して前記ガスタービンの高温部の冷却蒸気通路系統に導いてこれを冷却し、冷却後の蒸気を前記蒸気タービンの蒸気系統に戻して回収する回収式蒸気冷却ガスタービンにおいて、ガスタービンの起動時又は停止時に、前記冷却蒸気通路系統の入口側と出口側に接続し、同冷却蒸気通路系統に蒸気以外の媒体を流す媒体供給系統を設けたことを特徴とする請求項1記載の回収式蒸気冷却ガスタービン。
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