JP3963491B2 - 結晶マルトシルグルコシドとその製造方法並びに用途 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規結晶糖質とその製造方法並びに用途に関し、詳細には、結晶マルトシルグルコシドとその製造方法並びに用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルトトリオースは、式:O−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−O−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−D−グルコピラノースで示される三糖類で、水飴、粉飴などに含まれる甘味糖質として古くから知られている。この糖質は、低甘味を特徴に各種飲料、加工食品、嗜好物などの組成物に利用されている。
【0003】
しかしながら、マルトトリオースは、還元性糖質であるため、飲料、加工食品、嗜好物などに含まれるタンパク質やアミノ酸などと褐変反応し易く、変質、劣化を起こし易い欠点がある。そこで、本発明者等は、この欠点を解消すべく鋭意研究し、先に特願平5−349216号明細書で記載したグルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する酵素(本明細書においては、本酵素を単に「非還元性糖質生成酵素」と略称することがある。)を作用させることにより、マルトトリオースから非還元性のマルトシルグルコシドを生成することを見いだした。しかしながら、この非還元性糖質マルトシルグルコシドの粉末は、非晶質で物理的に不安定であって、より安定な結晶の確立が望まれる。
【0004】
一方、マルトシルグルコシド自体については、例えば、フォン・ヴェルナー・フィッシャー(Von Werner Fischer)等が、『ホッペーザイラース・ツァイトシュリフト・フュル・フィジオロジッセ・ヘミー(Hoppe−Seyler’s Zeitshrift fur Physiologishe Chemie)』、第350巻、第1137乃至1147頁(1969年)で報告している微生物菌体から抽出する方法や、シンキチ・コト(Shinkiti Koto)等が、『ブリティン・オブ・ケミカル・ソサイエティー・オブ・ジャパン(Bulletin of Chemical Society of Japan)』、第59巻、第411乃至414頁(1986年)で報告し、またハンス・ピーター・ベッセル(Hans Peter Wessel)等が、『ヘルベティカ・キミカ・アクタ(Helvetica ChimicaActa)』、第74巻、第682乃至695頁(1991年)で報告している化学的合成法などでその調製方法が知られているものの、その結晶については何らの記載もなく、未だ知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結晶マルトシルグルコシドの確立と結晶マルトシルグルコシドの製造方法並びにその用途を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究を続けてきた。その結果、還元性澱粉部分分解物であるマルトペンタオースに非還元性糖質生成酵素を作用させて、マルトペンタオースを非還元性のマルトテトラオシルグルコシドに変換させ、次いで、これにβ−アミラーゼを作用させて得られるマルトシルグルコシド含有液を塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけ、精製して得られるマルトシルグルコシド高含有液を濃縮し、冷室に保存していたところ、結晶が析出する現象を見いだし、更に、本結晶が結晶マルトシルグルコシドであることを解明して、新規結晶マルトシルグルコシドを確立するとともに、その製造方法並びに用途を確立して本発明を完成した。併せて、結晶マルトシルグルコシドとして、含水結晶と無水結晶の存在を解明し、その製造方法並びに用途を確立して本発明を完成した。
【0007】
結晶マルトシルグルコシドの製造方法としては、本結晶が製造できる方法であればよく、通常、マルトシルグルコシド含有溶液からこれを晶出、採取する。
【0008】
マルトシルグルコシドを製造するには、化学的合成法であってもよいが、一般的には、糖転移酵素又は非還元性糖質生成酵素などを用いる生化学的方法が有利である。
【0009】
糖転移酵素を用いる方法としては、例えば、トレハロースとα−グルコシル糖質とを含有する水溶液に糖転移酵素を作用させて、例えば、マルトシルグルコシド、マルトトリオシルグルコシド、マルトテトラオシルグルコシドなどのα−D−オリゴグルコシルグルコシドを生成させればよく、必要に応じて、これにβ−アミラーゼ又はβ−アミラーゼとともにプルラナーゼ、イソアミラーゼなどの澱粉枝切酵素を作用させて、マルトシルグルコシドの含量を高めることも有利に実施できる。
【0010】
この際、α−グルコシル糖質としては、使用される糖転移酵素によってトレハロースへグルコース残基をα−1,4結合で1個又は2個以上糖転移できる糖質であればよく、例えば、澱粉、糊化澱粉、液化澱粉、可溶性澱粉、アミロース、アミロペクチン、還元性澱粉部分分解物、澱粉糖転移物、シクロデキストリン、デキストリン、マルトオリゴ糖、蔗糖などのα−グルコシル結合を有する糖質から選ばれる1種又は2種以上の糖質が適宜採用される。
【0011】
通常、糖転移酵素がシクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)、α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)の場合には、例えば、澱粉、糊化澱粉、アミロペクチン、アミロース、還元性澱粉部分分解物、シクロデキストリン、デキストリン、マルトオリゴ糖などが好適であり、また、α−グルコシダーゼの場合には、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースなどのマルトオリゴ糖、デキストリン、蔗糖などが好適である。
【0012】
また、非還元性糖質生成酵素を用いて、マルトシルグルコシドを生成させるには、高純度マルトトリオースに該酵素を作用させてもよいが、一般的には、グルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物に非還元性糖質生成酵素を作用させて、末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質、例えば、マルトシルグルコシド、マルトトリオシルグルコシド、マルトテトラオシルグルコシドなどのα−D−オリゴグルコシルグルコシドを生成させればよい。この方法も糖転移酵素を利用する場合と同様に、必要に応じて、更にβ−アミラーゼ又はβ−アミラーゼとともに澱粉枝切酵素を作用させて、マルトシルグルコシドの含量を高めることも有利に実施できる。
【0013】
還元性澱粉部分分解物としては、非還元性糖質生成酵素によってマルトシルグルコシドを生成するか、又はマルトシルグルコシド構造を含む糖質を生成しうるものであればよく、一般的には、澱粉、糊化澱粉、液化澱粉、溶性澱粉、アミロペクチン、アミロース、デキストリン、DE1乃至40の還元性澱粉部分分解物、グルコース重合度3以上のマルトオリゴ糖などが有利に利用できる。
【0014】
本発明に用いる非還元性糖質生成酵素としては、例えば、本発明者等が、先に、特願平5−349216号明細書で記載したように、既に茨城県つくば市東1丁目1番3号にある通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、特許微生物寄託センターに寄託しているリゾビウム・スピーシーズ(Rhizobium sp.)M−11『受託番号、微工研条寄第4130号(FERM BP−4130)』やアルスロバクター・スピーシーズ(Arthrobacter sp.)Q36『受託番号、FERM BP−4316』などの微生物、更には、公知の、例えば、ブレビバクテリウム・ヘロボルム(Brevibacterium helovolum)ATCC11822、フラボバクテリウム・アクアティレ(Flavobacterium aquatile)IFO3772、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)IFO3064、ミクロコッカス・ロゼウス(Micrococcus roseus)ATCC186、クルトバクテリウム・シトレウム(Curtobacterium citreum)IFO15231、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)ATCC19420、テラバクター・ツメスセンス(Terrabacter tumescens)IFO12960などの非還元性糖質生成酵素産生能を有する微生物を栄養培地に培養し、この培養物を採取し、利用することもできるが、必要ならば、公知の方法で適宜精製して利用してもよい。
【0015】
このようにして得られる非還元性糖質生成酵素は、グルコース重合度3以上から選ばれる1種又は2種以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する作用を有する。
【0016】
これらの酵素反応条件は、目的の酵素反応が進む限り採用することができるが、一般的には、基質濃度約1乃至50w/w%(以下、本明細書では、特にことわらない限り、w/w%を%で示す。)、反応温度約20乃至80℃、反応pHは、約4乃至10、反応時間は、約1乃至100時間から選ばれる条件から採用される。これら反応に利用される酵素は、必要に応じて、担体結合法、架橋法、包括法などの公知方法により固定化して、連続反応に利用することも、回分反応で繰り返し利用することも随意である。
【0017】
以上述べたような酵素反応には、通常、固形物当たりマルトシルグルコシドを1乃至67%程度含有している。この反応液から結晶マルトシルグルコシドを製造するには、一般的には、夾雑物質を分離、精製して、マルトシルグルコシド高含有液とし、これを濃縮し、晶出せしめた結晶マルトシルグルコシドを採取するのが有利である。
【0018】
その分離、精製方法としては、例えば、酵母発酵法、膜濾過法、分別沈澱法、アルカリ処理法、クロマトグラフィー法などが適宜採用できる。とりわけ、特開昭58−23799号公報、特開昭59−148794号公報などに開示されている塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにより、夾雑糖質を除去してマルトシルグルコシド高含有液を採取する方法が有利に実施できる。この際、公知の固定床方式、移動床方式、擬似移動床方式のいずれの方法を採用することも随意である。
【0019】
このようにして得られたマルトシルグルコシド高含有溶液からマルトシルグルコシドを晶出させるには、結晶の種類によって、それぞれ適当な条件が選ばれる。晶出条件としては、マルトシルグルコシドの過飽和溶液であって、結晶マルトシルグルコシドが析出すればよく、マルトシルグルコシド自体の製造方法は問わない。
【0020】
具体的に述べれば、純度60%以上のマルトシルグルコシドを、濃度約65乃至95%又はこれ以上の濃度とし、その溶液の温度は、溶液が凍結せず、また結晶の融点以下でマルトシルグルコシドの褐変、分解の懸念の少ない温度、例えば、含水結晶の場合、水分約10%以上の溶液を約10乃至90℃で、無水結晶の場合、水分約10%未満の溶液を約90乃至150℃で晶出させればよい。また、無水結晶は、含水結晶を減圧乾燥又は加熱乾燥することによっても容易に製造することができる。また、晶出させるに際して、溶液の過飽和度、粘度などを調整するために、例えば、メタノール、エタノール、アセトンなどを共存させることも随意である。
【0021】
晶出方法は、通常、比較的高温の過飽和マルトシルグルコシド含有溶液を助晶缶にとり、これに種晶を、望ましくは、0.1乃至20%共存せしめて、ゆっくり攪拌しつつ、徐冷し、晶出を促してマスキットにすればよい。
【0022】
晶出したマスキットから結晶マルトシルグルコシドを製造する方法は、結晶マルトシルグルコシドが採取できればよく、例えば、分蜜方法、ブロック粉砕方法、流動造粒方法、噴霧乾燥方法などの公知の方法を利用すればよい。
【0023】
例えば、分蜜方法は、通常、バスケット型遠心分離機にかけ、結晶マルトシルグルコシドと蜜とを分離する方法で、必要により、該結晶に少量の冷水をスプレーして洗浄することも容易であり、より高純度の結晶マルトシルグルコシドを製造するのに好適である。他の三つの方法は、蜜を分離しないので、得られる結晶製品に純度の向上は見られないものの製品収量の多い特長を有している。したがって、本製品の場合には、通常、結晶製品に、マルトシルグルコシド以外に原料又は製造工程由来の糖質、例えば、トレハロース、グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなどの澱粉糖が含まれる。
【0024】
噴霧乾燥方法の場合には、通常、晶出率約25乃至60%のマスキットを高圧ポンプでノズルから噴霧し、結晶粉末が溶融しない温度、例えば、約60乃至100℃の熱風で乾燥し、次いで、温風で乾燥熟成すれば、非吸湿性又は難吸湿性の結晶含有粉末が容易に製造できる。
【0025】
また、ブロック粉砕方法は、通常、晶出率約10乃至60%のマスキットを約0.5乃至5日間静置して全体をブロック状に晶出固化させ、これを粉砕又は切削などの方法によって破砕し、乾燥すれば、非吸湿性、難吸湿性の結晶含有粉末が容易に製造できる。
【0026】
また、マルトシルグルコシド含有水溶液を、常法に従い、水分5%未満に加熱濃縮して、溶融状態とした過飽和マルトシルグルコシド含有溶液とし、この溶液に種晶を結晶の融点以下の温度で混捏し、これを各種形状、例えば、粉体、顆粒、棒状、板状、立方体などに成形して、非吸湿性又は難吸湿性の結晶含有固体を製造することも随意である。
【0027】
このようにして得られる結晶マルトシルグルコシドは、そのマルトシルグルコシドの純度によって、その非吸湿性は多少変動するが、実質的に非吸湿性であり、流動性であり、粘着、固着の懸念も少なく取扱い容易であり、その包装、輸送、貯蔵などの管理に要する物的、人的経費が大幅に削減できる。
【0028】
また、本発明の結晶マルトシルグルコシドは、実質的に非吸湿性乃至難吸湿性の粉末で、耐熱性が高く、安定性もよいので、従来、極めて困難とされていた粉末混合甘味料、チョコレート、チューインガム、即席ジュース、即席スープ、顆粒、錠剤などの賦形剤、増量剤、粉末基剤などとして、例えば、飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物、更には試薬、化学工業用原料などの各種用途に有利に利用できる。
【0029】
また、結晶マルトシルグルコシドは、その純度の違いにより、融点、比旋光度などの理化学的性質が変化する。このうち融点は、マルトシルグルコシドの純度が低下するにともなって低下し、融点の幅も広くなる。例えば、純度88.6%の結晶マルトシルグルコシドの融点は、138乃至146℃である。したがって、結晶マルトシルグルコシドは、必要性に応じて、その純度を適宜選択して利用すればよい。
【0030】
また、本発明の結晶マルトシルグルコシドは、水に溶け、良質で中程度の甘味を有している。また、経口摂取により、消化吸収され、カロリー源として利用される。更に、虫歯誘発菌などによって、発酵されにくいことより、虫歯を起こしにくい甘味料としても利用できる。また、良質な甘味料、賦形剤であることより、プルラン、ヒドロキシエチルスターチなどの結合剤と併用して、錠剤の糖衣剤として利用することも有利に実施できる。その他、ボディー付与性、照り付与性、保湿性、粘性、耐熱性、耐酸性、非還元性乃至低還元性などの性質を具備している。
【0031】
結晶マルトシルグルコシドの持つこれら諸性質は、食品、嗜好物、飼料、餌料などの飲食物、更には、化粧品、医薬品、成形物など各種組成物の製造に有利に利用できる。
【0032】
本発明の結晶マルトシルグルコシドは、そのままで甘味付けのための調味料として使用することができる。必要ならば、例えば、粉飴、ブドウ糖、マルトース、蔗糖、異性化糖、蜂蜜、メープルシュガー、ソルビトール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α−グリコシルステビオシド、レバウディオシド、グリチルリチン、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル、サッカリン、グリシン、アラニンなどのような他の甘味料の1種又は2種以上の適量と混合して使用してもよく、また必要ならば、デキストリン、澱粉、乳糖などのような増量剤と混合して使用することもできる。
【0033】
また、結晶マルトシルグルコシド粉末品は、実質的に難吸湿性の粉末で、耐熱性が大きく、安定性も良いので、増量剤、賦形剤、粉末基剤なとどとして、そのままで、又は必要に応じて、他の増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤など各種形状に成形して使用することも随意である。また、本粉末品は、小麦粉、コーングリッツ、澱粉などの粉類の一部に置き換えて、例えば、製菓材料、製パン材料、シリアル材料などに利用することも有利に実施できる。
【0034】
また、結晶マルトシルグルコシドの甘味は、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味などの他の呈味を有する各種物質とよく調和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、一般の飲食物の甘味付け、呈味改良に、また品質改良などに有利に利用できる。例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなど各種調味料として有利に使用できる。さらに、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、あん類、羊羮、水羊羮、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンデーなどの各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、スプレッドなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果などの果実、野菜の加工食品類、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、ふぐみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造されるつくだ煮類、煮豆、ポテトサラダ、こんぶ巻などのそう菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜のビン詰、缶詰類、合成酒、洋酒などの酒類、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席しるこ、即席スープなどの即席食品、更には、離乳食、治療食、ドリンク剤などの各種飲食物への甘味付けに、呈味改良に、また、品質改良などに有利に利用できる。
【0035】
また、家畜、家禽、その他蜂、蚕、魚などの飼育動物のために飼料、餌料などの嗜好性を向上させる目的で使用することもできる。その他、タバコ、練歯磨、口紅、リップクリーム、内服薬、トローチ、錠剤、肝油ドロップ、口中清涼剤、口中香剤、うがい薬など各種固形状、ペースト状、液状などで嗜好物、化粧品、医薬品などの口中使用物への甘味剤として、又は呈味改良剤、矯味剤として、更には品質改良剤として有利に利用できる。
【0036】
また、結晶マルトシルグルコシドは、例えば、石鹸、スキンクリーム、ボディシャンプー、ヘアクリーム、リップクリーム、美肌剤、育毛剤などへの安定剤、浸透圧調節剤、賦形剤、保湿調節剤、粘度調節剤、品質改良剤などとして化粧品製造に有利に利用できる。
【0037】
更に、生理活性物質、例えば、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ツモア・ネクロシス・ファクター−α、ツモア・ネクロシス・ファクター−β、リンホトキシン、マクロファージ遊走阻止因子、コロニー刺激因子、トランスファー・ファクター、インターロイキン2などのサイトカイン、インシュリン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、卵胞刺激ホルモンなどのホルモン、BCGワクチン、日本脳炎ワクチン、はしかワクチン、ポリオ生ワクチン、痘苗、破傷風菌トキソイド、ハブ抗毒素、ヒト免疫グロブリンなどのワクチン、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生物質、チアミン、リボフラビン、L−アスコルビン酸、肝油、カロチノイド、エルゴステロール、トコフェロールなどのビタミン、リパーゼ、エステラーゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、グルカナーゼなどの酵素、薬用人参エキス、スッポンエキス、クロレラエキス、プロポリス、ローヤルゼリーなどのエキス類、ウイルス、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母などの生菌類などの有効成分、活性の安定剤として、更には、浸透圧調節剤、賦形剤、経管栄養剤、シロップ剤などとして医薬品製造に有利に利用できる。以上述べたような飲食物、化粧品、医薬品、成形物など各種組成物に本発明の結晶マルトシルグルコシドを含有せしめる方法は、その組成物が完成するまでの工程に含有せしめればよく、例えば、混和、混捏、溶解、融解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、固化、晶出など公知の方法が適宜選ばれる。その含有せしめる量は、組成物によっても異なるが、一般的には、結晶マルトシルグルコシドとして、0.1%以上、望ましくは0.5%以上の量が好適である。このようにして得られる組成物は、経口的又は非経口的に利用される飲食物、化粧品、医薬品、成形物のみならず、それ以外にも、例えば、生活用品、農林水産用品、化学工業用品など広範な用途を有する。
【0038】
次に、実験により本発明を更に詳細に説明する。
【0039】
まず、実験Aで、非還元性糖質生成酵素の一例として、リゾビウム・スピーシーズ M−11からの酵素の生産、精製及び性質について説明し、その後、該酵素を用いた還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質及びトレハロースの調製例について説明する。次に、実験Bで、本発明の結晶マルトシルグルコシドの調製例とその理化学的性質について述べる。
【0040】
【実験A−1 リゾビウム・スピーシーズ M−11からの非還元性糖質生成酵素の生産】
マルトース2.0w/v%、ペプトン0.5w/v%、酵母エキス0.1w/v%、リン酸二ナトリウム0.1w/v%、リン酸一カリウム0.1w/v%及び水からなる液体培地をpH7.0に調整した。500ml容三角フラスコにこの培地を約100mlずつ入れ、オートクレーブで120℃で20分間滅菌し、冷却して、リゾビウム・スピーシーズ M−11(FERM BP−4130)を接種し、27℃、130rpmで24時間培養したものを種培養液とした。
【0041】
容量30lのファーメンターに種培養の場合と同組成の培地約20lを入れて滅菌、冷却して温度30℃とした後、種培養液1v/v%を接種し、温度30℃、pH6.0乃至8.0に保ちつつ、約24時間通気撹拌培養した。培養液の本酵素活性は約1.5単位/mlであった。培養液の一部を採り遠心分離して菌体と培養液上清とに分離し、更に菌体を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で元の培養液と同じ液量の懸濁液とした後、菌体懸濁液と培養液上清の酵素活性を測定したところ、菌体懸濁液には約0.6単位/mlの酵素活性が、また、培養液上清には約0.9単位/mlの酵素活性が認められた。
【0042】
非還元性糖質精製酵素の活性測定方法は、基質としてマルトペンタオース1.25w/v%(50mMリン酸緩衝液、pH7.0)4mlに酵素液を1ml加え40℃で60分間反応させた後、100℃で10分間加熱して反応を停止させ、その反応液を正確に脱イオン水で10倍に希釈し、その希釈液の還元力をソモギー・ネルソン法にて測定する。対照として、あらかじめ100℃で10分間加熱させることにより失活させた酵素液を用いて同様に測定する。上記の測定方法を用いて、1分間に1μmoleのマルトペンタオースに相当する還元力を減少させる酵素量を1単位と定義した。
【0043】
【実験A−2 酵素の精製】
実験A−1で得られた培養液約18lを超高圧菌体破砕装置ミニラボ(大日本製薬株式会社製)で処理し、含まれる菌体を破砕した。処理液を遠心分離(10,000rpm、30分間)することにより、約16lの上清を得た。その液に飽和度0.2になるように硫安を溶解させ、4℃、1時間放置した後、遠心分離(10,000rpm、30分間)することにより上清を回収した。
【0044】
更に、その液に飽和度0.6になるように硫安を溶解させ、4℃、24時間放置した後、遠心分離(10,000rpm、30分間)して硫安塩析物を回収した。得られた硫安塩析物を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解させた後、同じ緩衝液に対して24時間透析し、遠心分離(10,000rpm、30分間)して不溶物を除いた。その透析液(360ml)を2回に分けて、DEAE−トヨパールゲル(東ソー株式会社製造)を用いたイオン交換カラムクロマトグラフィー(ゲル量300ml)を行った。
【0045】
本酵素はDEAE−トヨパールゲルに吸着し、食塩を含む同緩衝液でカラムから溶出した。得られる酵素活性画分を、2M硫安を含む同緩衝液に対して透析し、その透析液を遠心分離(10,000rpm、30分間)して不溶物を除き、得られる上清をブチルトヨパール650ゲル(東ソー株式会社製造)を用いた疎水カラムクロマトグラフィー(ゲル量300ml)を行った。吸着した本酵素を硫安2Mから0Mのリニアグラジエントによりカラムから溶出させ、酵素活性画分を回収した。続いて、トヨパールHW−55樹脂(東ソー株式会社製造)を用いたゲル濾過クロマトグラフィー(ゲル量300ml)を行い、酵素活性画分を回収した。精製の各工程における酵素活性量、比活性、収率を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の工程でゲル濾過溶出液として得られた精製酵素標品をポリアクリルアミドゲル(ゲル濃度7.5w/v%)を用いる電気泳動法で純度を検定したところ、蛋白バンドは単一であることが示され、得られた酵素標品は電気泳動的に単一な純度の高い標品であった。
【0048】
【実験A−3 酵素の性質】
実験A−2で得られた精製酵素標品をSDS−ポリアクリルアミドゲル(ゲル濃度10w/v%)を用いる電気泳動法に供し、同時に泳動した分子量マーカー(日本バイオ・ラド・ラボラトリーズ株式会社製)と比較して本酵素の分子量を測定したところ、分子量約77,000乃至87,000ダルトンであった。
【0049】
精製酵素標品をポリアクリルアミドゲル(2w/v%アンフォライン含有、スウエーデン国、ファルマシア・エルケイビー社製)を用いる等電点電気泳動法に供し、泳動後、ゲルのpHを測定して本酵素の等電点を求めたところ、等電点は約3.6乃至4.6であった。
【0050】
本酵素活性に対する温度の影響、pHの影響は活性測定方法に準じて調べた。結果を図1(温度の影響)、図2(pHの影響)に示した。酵素の至適温度は、pH7.0、60分間反応で、40℃付近、至適pHは、40℃、60分間反応で、約7.0であった。本酵素の温度安定性は、酵素溶液(50mMリン酸緩衝液を含む、pH7.0)を各温度に60分間保持し、水冷した後、残存する酵素活性を測定することにより求めた。また、pH安定性は、本酵素を各pHの50mM緩衝液中で25℃、16時間保持した後、pHを7に調整し、残存する酵素活性を測定することにより求めた。それぞれの結果を図3(温度安定性)、図4(pH安定性)に示した。本酵素の温度安定性は40℃付近まで安定であり、pH安定性は約6乃至9であった。
【0051】
【実験A−4 非還元性糖質の調製】
基質として、グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、又はマルトヘプタオースの20%水溶液を調製し、それぞれに実験A−2で得られた精製酵素標品を基質固形物グラム当たり2単位の割合で加え、40℃、pH7.0で48時間作用させた後、脱塩し、ワコービーズ WB−T−330カラム(和光純薬工業株式会社製)を用いた高速液体クロマトグラフィーで反応生成物を分析した。高速液体クロマトグラフィーは、室温下で行い、溶離液として水を流速0.5ml/分で流し、示差屈折計RI−8012(東ソー株式会社製造)で分析した。その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2の結果から明らかなように、反応物中には残存するそれぞれの基質と新たに生成したそれぞれの糖質PI、PII、PIII、PIV、PVからなり、それ以外の糖質はほとんど検出されない。それぞれの生成率はグルコース重合度3のPIが比較的低いものの、グルコース重合度4以上のPII、PIII、PIV、PVは85%以上の高い生成率であることが判明した。なお、グルコース、マルトースからは、新たな糖質を生成しないことが判明した。
【0054】
それぞれの反応物から新たに生成した糖質を精製するため、脱色、脱塩、濃縮後、アルカリ金属型強酸性カチオン交換樹脂(XT−1016、Na+型、架橋度4%、東京有機化学工業株式会社製造)を用いたカラム分画を行った。樹脂を内径2.0cm、長さ1mのジャケット付きステンレス製カラム3本に充填し、直列につなぎ、カラム内温度を55℃に維持しつつ、反応糖液を樹脂に対して5v/v%加え、これに55℃の温水をSV0.13で流して分画し、新たに生成した糖質含量97%以上の高純度画分を採取した。得られた高純度画分を真空乾燥し、それぞれ高純度糖質標品を調製した。基質原料に対する収率は、固形物換算で、それぞれPIで約9%、PIIで約65%、PIIIで約82%、PIVで約80%、PVで約77%であった。その純度は、それぞれPIで97.5%、PIIで98.6%、PIIIで99.5%、PIVで98.4%、PVで98.4%であった。
【0055】
またこれらの新たに生成した高純度糖質標品の還元力をソモギー・ネルソン法で測定し、DEで表した。結果は表3にまとめた。
【0056】
【表3】
【0057】
表3の結果から明らかなように、いずれの標品にも僅かな還元力しか認めらなかった。その僅かな還元力は、その標品中に微量に混入、残存している基質由来の還元性マルトオリゴ糖に起因するものと推定され、新たに生成した糖質はいずれも実質的に非還元性であると判断される。
【0058】
【実験A−5 グルコアミラーゼによる酵素分解】
実験A−4において調製した非還元性糖質標品、PI、PII、PIII、PIV又は、PVのそれぞれ50mgを、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)1mlに溶解し、1単位のグルコアミラーゼ(生化学工業株式会社製造)を加え、40℃で6時間保ち、酵素分解した後、高速液体クロマトグラフィーで分解物を分析したところ、いずれの標品からも分解物としてグルコースとトレハロースのみが検出された。検出されたグルコース含量、トレハロース含量、その組成モル比の結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
表4の結果から明らかなように、グルコアミラーゼにより、非還元性糖質PIはグルコース1分子とトレハロース1分子に分解され、非還元性糖質PIIはグルコース2分子とトレハロース1分子に分解され、非還元性糖質PIIIはグルコース3分子とトレハロース1分子に分解され、非還元性糖質PIVはグルコース4分子とトレハロース1分子に分解され、非還元性糖質PVはグルコース5分子とトレハロース1分子に分解されることが判明した。
【0061】
また、グルコアミラーゼの反応特性を考慮すると、これら非還元性糖質の構造はトレハロース分子にグルコース分子がα−1,4結合、もしくはα−1,6結合で結合した糖質で、それぞれ、PIはトレハロース1分子にグルコース1分子が結合したグルコース重合度3の非還元性糖質で、PIIはトレハロース1分子にグルコース2分子が結合したグルコース重合度4の非還元性糖質で、PIIIはトレハロース1分子にグルコース3分子が結合したグルコース重合度5の非還元性糖質で、PIVはトレハロース1分子にグルコース4分子が結合したグルコース重合度6の非還元性糖質で、PVはトレハロース1分子にグルコース5分子が結合したグルコース重合度7の非還元性糖質であると判断される。なお、同様に、非還元性糖質標品、PI、PII、PIII、PIV、又はPVにβ−アミラーゼを作用させたところ、非還元性糖質PI、PIIは分解されず、PIIIはマルトースの1分子とPIの1分子に分解され、PIVはマルトースの1分子とPIIの1分子に分解され、PVはマルトースの2分子とPIの1分子に分解されることが判明した。
【0062】
以上の結果から、本発明の非還元性糖質生成酵素による反応は、基質の低分子化及び高分子化を伴わない、換言すれば、グルコース重合度の変化を伴わない、分子内変換反応と判断され、また、この非還元性糖質生成酵素によって生成した非還元性糖質、PI、PII、PIII、PIV及びPVは、それぞれ、α−グルコシルトレハロース(別名、α−マルトシルグルコシド)、α−マルトシルトレハロース(別名、α−マルトトリオシルグルコシド)、α−マルトトリオシルトレハロース(別名、α−マルトテトラオシルグルコシド)、α−マルトテトラオシルトレハロース(別名、α−マルトペンタオシルグルコシド)及びα−マルトペンタオシルトレハロース(別名、α−マルトヘキサオシルグルコシド)で示されるα−グリコシルトレハロース(Gn−T:但し、Gはグルコース残基を意味し、nは1以上の整数を意味し、Tはα,α−トレハロースを意味する。)であると判断される。
【0063】
【実験A−6 末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質とトレハロースの調製】
澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)40重量部を水60重量部に加熱溶解し、この溶液を45℃、pH6.5に調整した後、実験A−2の方法で調製した非還元性糖質生成酵素を還元性澱粉部分分解物g当たり1単位の割合になるように加えて96時間反応させ、末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成させ、次いで100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。本反応液を濃度約20%まで希釈し、グルコアミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名グルコチーム)を澱粉部分分解物g当たり10単位加えて40時間反応させ、次いで加熱して、酵素を失活させた。本溶液を、常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂にて脱塩し、濃度約60%に濃縮した。本糖液中には固形物当たり29.5%のトレハロースを含有していた。この濃縮液を塩型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社販売、商品名CG6000、Na型)が充填されたジャケット付きステンレス製カラムに、60℃、SV 0.4でチャージし、トレハロース高含有画分を採取した。本高含有液は、固形物当たり約90%のトレハロースを含有していた。本溶液を濃度約75%に濃縮した後、助晶缶にとり、種晶としてトレハロース含水結晶を約2%加えて徐冷し、晶出率約45%のマスキットを得た。本マスキットを乾燥塔上のノズルより150kg/cm2の高圧にて噴霧した。これと同時に85℃の熱風を乾燥塔の上部より送風し、底部に設けた移送金網コンベア上に結晶粉末を補集し、コンベアの下より45℃の温風を送りつつ、該粉末を乾燥塔外に徐々に移動させて、取り出した。この結晶粉末を熟成塔に充填して温風を送りつつ、10時間熟成させ、結晶化と乾燥を完了し、トレハロース含水結晶粉末を得た。
【0064】
【実験B−1 マルトシルグルコシドの調製】
純度98%のマルトペンタオース(株式会社林原生物化学研究所製造)5重量部を水10重量部に加熱溶解し、pH7.0、温度40℃に調整し、これに実験A−2の方法で調製した非還元性糖質生成酵素をマルトペンタオースグラム当たり2単位になるように加えた。48時間反応させた後、100℃で20分間加熱して、酵素を失活させた。本溶液中には、マルトテトラオシルグルコシドを固形物当たり約88%含有していた。
【0065】
このマルトテトラオシルグルコシド含有溶液を、pH5.5、温度40℃に調整し、β−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名#1500)を固形物グラム当たり20単位になるように加えて、24時間反応させた後、100℃で20分間加熱して、酵素を失活させた。本液には、マルトシルグルコシドを固形物当たり約53%含有しており、その他に、マルトース、マルトトリオースが含まれていた。
【0066】
本液は、常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、固形物濃度約50%に濃縮した。次いで、この濃縮液を、実験A−6の方法に準じて、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけてマルトシルグルコシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約81%のマルトシルグルコシドを含有していた。
【0067】
更に、純度を高めるために、この溶液に、水酸化ナトリウムを0.1Nとなるように加え、100℃で2時間加熱し、還元性糖質を分解した。この反応液は、常法にしたがって、脱色、脱塩し、固形物濃度約50%に濃縮した。本液は、固形物当たり約94%のマルトシルグルコシドを含有していた。採取されたマルトシルグルコシド高含有液を、更にオクタデシルシリカゲルを担体とした分取用液体クロマトグラフィー(株式会社YMC製造、分取用カラムYMC−Pack R−355−15)にかけ、マルトシルグルコシド純度約99%以上の高含有画分を採取した。
【0068】
この画分を常法にしたがって、更に精製し、濃度78%に濃縮し、ビーカーに入れ、4℃の冷室に放置したところ、結晶の析出が認められた。本結晶を遠心分離して集め、少量の水で洗浄し、純度99.9%の含水結晶を得た。また、本品を100℃で一夜減圧乾燥して、無水結晶を得た。
【0069】
これら結晶の理化学的性質を調べたところ、次の通りであった。
(1)元素分析(無水物として)
含水結晶 C=42.4% H=6.8%
無水結晶 C=42.6% H=6.7%
理論値 C=42.86% H=6.39%
(2)質量分析(無水物として)
MW=504(分子式C18H32016)
(3)水分
カールフィッシャー法にて測定
含水結晶 9.9%(マルトシルグルコシド1モルに水3モル)
無水結晶 0.3%
(4)融点
マルトシルグルコシドの含水結晶又は無水結晶を融点測定器に入れ、昇温速度を毎分1℃で融点を観察したところ、いずれの結晶も180℃で融解した。このことは、両結晶の融点が必ずしも同一であることを意味しているとは限らず、例えば、含水結晶の場合には、加熱昇温中に外観上変化することなく、含水結晶から無水結晶に変わり、この無水結晶の融解現象を観察していることが考えられる。
(5)比旋光度(無水物として)
含水結晶、無水結晶とも、
[α]D 20 +207.9°(c=5.0、H2O)
(6)紫外線吸収スペクトル
含水結晶、無水結晶とも、水溶液にして測定すると特徴ある吸収は示さない。
(7)赤外線吸収スペクトル
含水結晶又は無水結晶の粉末2mgをそれぞれ乾燥KBr 200mgと攪拌、混合して透明なタブレットを作成し、赤外線吸収スペクトルを測定した。結果は、含水結晶、無水結晶ともほぼ同一のパターンを示した。図5に含水結晶の結果を示す。
(8)溶解度(無水物として)
含水結晶、無水結晶ともに、25℃で水100mlに対し、約163g溶解する。
(9)甘味度(無水物として)
マルトシルグルコシド25%水溶液の甘味は、蔗糖10%水溶液のそれとほぼ同等であることから、蔗糖の約40%の甘味度である。なお、その甘味の質は、極めて優れている。
(10)呈色反応
含水結晶、無水結晶ともアントロン−硫酸反応で緑色を呈し、フェーリング氏液還元反応、よう素反応は陰性。
(11)構造(無水物として)
(a)1N−硫酸で加水分解するとD−グルコースのみを生成する。
(b)グルコアミラーゼの作用により、グルコース1モルとトレハロース1モルを生成した。
(c)炭素核磁気共鳴分析(13C−NMR)の結果を図6に示す。
クラウス・ボック(KLAUS BOCK)等が『アドバンス・イン・カーボハイドレート・ケミストリー・アンド・バイオケミストリー(Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry)』、第42巻、第193乃至225頁(1984年)で報告している標準物質、α−D−グルコピラノース、α,α−トレハロース及びマルトオリゴ糖の化学シフトより、各炭素を帰属し、本物質は、O−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル α−D−グルコピラノシドすなわちマルトシルグルコシドの構造を有していると判断される。
(12)粉末X線回折
エフ・エイチ・ストドーラ(F.H.Stodola)等が、『ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)』、第78巻、第2514乃至2518頁(1956年)に報告されている方法に準じて、結晶マルトシルグルコシドのCuKα線を使用した粉末X線回折図形を測定した。含水結晶の結果を図7に、無水結晶の結果を図8に示した。図7、図8の結果より明らかなように含水結晶は粉末X線回折法における主な回折角(2θ)として7.9°、13.2°、17.2°及び22.6°を有し、また、無水結晶は7.7°、13.5°、17.6°及び23.6°を有する。
【0070】
以上の事実より本発明の結晶は、従来全く知られていないマルトシルグルコシドの結晶であると判断される。
【0071】
【実験B−2 結晶マルトシルグルコシドと非晶質マルトシルグルコシドに及ぼす吸湿性とその影響】
含水結晶マルトシルグルコシド、無水結晶マルトシルグルコシド及び非晶質マルトシルグルコシドをそれぞれ、粉末状態で約1gずつポリエチレン製容器にとり、相対湿度90.1%の高湿度雰囲気に放置して、経時的にそれらの水分を測定し、粉末の状態の変化を観察した。試料としては、含水結晶及び無水結晶は、実験B−1の方法で調製したものを用い、非晶質は、その含水結晶を脱イオン水で溶解し、真空乾燥して調製した。結果は、表5にまとめた。
【0072】
【表5】
【0073】
表5の結果から明らかなように、非晶質マルトシルグルコシドは、著しく吸湿して固結し、容易に流動性を失うことが判明した。これに対して、含水結晶は、吸湿が少なく、流動性を保持して、取扱い容易であることが判明した。また、無水結晶は、吸湿するものの、外観上変化なく、流動性を保持することから、無水結晶から含水結晶に変化して、安定しているものと考えられる。
【0074】
【実験B−3 急性毒性試験】
マウスを使用して、実験B−1の方法で調製したマルトシルグルコシドの含水結晶及び無水結晶をそれぞれに経口投与して急性毒性テストを行った。その結果、これら結晶マルトシルグルコシドは低毒性の物質で、投与可能な最大投与量においても死亡例は認められなかった。したがって、正確な値はいえないが、そのLD50値は、いずれも50g/kg以上であった。
【0075】
以下、本発明の結晶マルトシルグルコシドの製造方法を実施例Aで、その用途を実施例Bで示す。
【0076】
【実施例A−1】
純度95%のマルトペンタオース(株式会社林原生物化学研究所製造)50重量部を水200重量部に加熱溶解し、pH7.0、温度40℃に調整した後、実験A−2の方法で調製した非還元性糖質生成酵素を、マルトペンタオースグラム当たり5単位になるように加え、24時間反応させた。この反応液を加熱して、酵素を失活させた。本液には、マルトテトラオシルグルコシドを固形物当たり約83%含有していた。本液を固形物濃度約50%に濃縮し、冷室に放置し、マルトテトラオシルグルコシドの結晶を析出させ、濾過して、結晶マルトテトラオシルグルコシドを採取した。
【0077】
本結晶マルトテトラオシルグルコシド10重量部を水100重量部に加熱溶解し、pH5.5、温度50℃に調整し、β−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名#1500)を固形物グラム当たり20単位になるように加えた。24時間反応させた後、100℃で20分間加熱して、酵素を失活させた。本液にはマルトシルグルコシドを固形物当たり約58%含有しており、その他にマルトースと少量のマルトトリオースが含まれていた。
【0078】
本液は、常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、固形物濃度約50%に濃縮した。この濃縮液を塩型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製造、商品名XT−1016、Na型)を充填したジャケット付きステンレス製カラム(5.4cm×4mを4本直列に接続)に、60℃、SV0.4でチャージし、ついで、60℃温水で溶出してマルトシルグルコシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約92%のマルトシルグルコシドを含有していた。
【0079】
本液は、常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、固形物濃度約80%に濃縮し、これを助晶缶にとり、結晶マルトシルグルコシドを種晶として2%添加し、徐冷しつつ、ゆっくり攪拌しながら助晶した。得られたマスキットは、バスケット型遠心機で分蜜し、少量の水で洗浄したのち、乾燥した。純度99.4%の含水結晶マルトシルグルコシドを採取した。
【0080】
本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0081】
【実施例A−2】
炭酸カルシウム0.1%を含む濃度約20%の馬鈴薯澱粉を、pH6.0に調整した後、α−アミラーゼ(ノボノルディスク インダストリー社製造、商品名ターマミール60L)を澱粉固形物グラム当たり0.3%加え、95乃至100℃に加熱して、澱粉を糊化、液化した後、酵素を加熱失活させてDE19.5の液化液を得た。
【0082】
本液をpH6.2、温度40℃に調整し、これに実験A−2の方法で調製した非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり3単位、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を1,000単位の割合となるように加え、72時間反応させた。この反応液を加熱して酵素を失活させた後、冷却し、pHを5.5、温度50℃に調整した後、β−アミラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製造、商品名#1500)を澱粉固形物グラム当たり50単位になるように加え、24時間反応させた。この反応液を加熱して、酵素を失活させた。本液には、マルトシルグルコシドを固形物当たり約21%含有していた。
【0083】
これを実施例A−1と同様に精製、濃縮し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけて、マルトシルグルコシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約89%のマルトシルグルコシドを含有していた。
【0084】
本液は常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、固形物濃度約85%に濃縮し、結晶マルトシルグルコシドを、種結晶として2%添加し、徐冷しつつゆっくり攪拌しながら、助晶した。得られたマスキットは、バスケット型遠心機で分蜜し、少量の水で洗浄した後、乾燥した。純度98.1%の含水結晶マルトシルグルコシドを採取した。
【0085】
本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0086】
【実施例A−3】
澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)を用いて、濃度20%、pH5.5、温度45℃に調整し、イソアミラーゼを澱粉部分分解物グラム当たり500単位加え、24時間反応し、澱粉由来のα−1,6結合を分解した。反応液を100℃に加熱し、10分間保った後、40℃に冷却し、pHを6.5に調整した。これに実験A−2の方法で調製した非還元性糖質生成酵素を固形物グラム当たり5単位加え、48時間反応させ、その反応液を100℃に加熱し、10分間保った後、冷却した。温度を50℃に調整した後、β−アミラーゼを固形物グラム当たり50単位、α−アミラーゼを10単位となるように加え、24時間反応させた後、100℃で20分間加熱し、酵素を失活させた。本液には、マルトシルグルコシドを固形物当たり約24%含有していた。
【0087】
これを実施例A−1と同様に、精製、濃縮し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけてマルトシルグルコシド高含有画分を採取した。本液は、固形物当たり約91%のマルトシルグルコシドを含有していた。
【0088】
本液は、常法にしたがって、活性炭にて脱色し、イオン交換樹脂(H型及びOH型)にて脱塩し、固形物濃度約85%に濃縮し、結晶マルトシルグルコシドを、種晶として3%添加し、ゆっくり攪拌しながら助晶し、晶出率約45%のマスキットを得た。
【0089】
本マスキットを乾燥塔上のノズルより150kg/cm2の高圧で噴霧した。 これと同時に85℃の熱風を乾燥塔の上部より送風し、乾燥塔底部に設けた移送金網コンベア上に結晶粉末を捕集し、コンベアの下より45℃の温風を送りつつ、該粉末を乾燥塔外に徐々に移動させて取りだした。この粉末結晶を熟成塔に充填し、温風を送りつつ、10時間熟成させ、結晶化と乾燥を完了し、含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末を得た。
【0090】
本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定化剤、賦形剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0091】
【実施例A−4】
実施例A−3と同様の方法で澱粉部分分解物にイソアミラーゼ、非還元性糖質生成酵素、次いで、β−アミラーゼとα−アミラーゼを作用させた後、分離、精製して得られたマルトシルグルコシド高含有液を濃度約80%まで濃縮した。この濃縮液を助晶缶にとり、結晶マルトシルグルコシドを種晶として2%加え、ゆっくり攪拌しながら助晶し、次いで、バットに取り出し、ブロックを作製した。ブロックは、約25℃で2日間静置し、熟成させた後、切削型粉砕機で粉砕し、流動乾燥し、分級し、含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末を得た。
【0092】
本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定化剤、賦形剤などとして飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0093】
【実施例A−5】
実施例A−1の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシドを100℃で一夜減圧乾燥して、水分約0.2%の無水結晶マルトシルグルコシドを得た。
【0094】
本品は、室内に放置すると吸湿し、水分約10%の含水結晶マルトシルグルコシドに容易に戻り安定化する。本無水結晶マルトシルグルコシドは、種晶として有利に用いることができる他、吸湿剤、脱水剤、化学原料などとして利用することも有利に用いることができる。更に、飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物に有利に用いることができる。
【0095】
【実施例A−6】
トレハロース1重量部及び澱粉部分分解物(松谷化学工業株式会社製造、商品名パインデックス#4)1重量部を水3重量部に加熱溶解し、温度65℃、pH6.0に調整し、これにバチルス・ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を澱粉部分分解物グラム当たり10単位加えて24時間反応の後、酵素を加熱失活させた。次いで、温度55℃に調整し、これにプルラナーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)及びβ−アミラーゼを澱粉部分分解物グラム当たりそれぞれ25単位、50単位加えて、24時間反応させて、これら酵素を加熱失活させた。この反応液には、マルトシルグルコシドを固形物当たり約25%含有していた。
【0096】
これを実施例A−1と同様に精製し、塩型強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけてマルトシルグルコシド高含有画分を得、これを脱色、脱塩し、濃縮、助晶し、バットに取り出してブロックを作製した。本ブロックを切削、乾燥、分級して、含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末を原料当たり収率約17%で得た。
【0097】
本品は、実質的に吸湿性を示さず、取扱いが容易であり、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形剤などとして、飲食物、化粧品、医薬品、成形物などの各種組成物に有利に利用できる。
【0098】
【実施例B−1 甘味料】
実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド1重量部に、α−グリコシルステビオシド(東洋精糖株式会社販売、商品名αGスイート)0.05重量部を均一に混合し、顆粒成形機にかけて、顆粒状甘味料を得た。本品は、甘味の質が優れ、蔗糖の約2倍の甘味度を有し、甘味度当たりカロリーは、蔗糖の約1/2に低下している。本甘味料は、低カロリー甘味料として、カロリー摂取を制限している肥満者、糖尿病者などのための低カロリー飲食物などに対する甘味付けに好適である。また、本甘味料は、虫歯誘発菌による酸の生成が少なく、不溶性グルカンの生成も少ないことより、虫歯を抑制する飲食物などに対する甘味付けに好適である。
【0099】
【実施例B−2 ハードキャンデー】
55%蔗糖溶液100重量部に実施例A−3の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末30重量部を加熱混合し、次いで減圧下で水分2%未満になるまで加熱濃縮し、これにクエン酸1重量部及び適量のレモン香料と着色料とを混和し、常法にしたがって成形し、製品を得た。本品は、歯切れ、呈味良好で、蔗糖の晶出も起こらない高品質のハードキャンデーである。
【0100】
【実施例B−3 いちごジャム】
生いちご150重量部、蔗糖60重量部、マルトース20重量部、実施例A−4の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド粉末40重量部、ペクチン5重量部及びクエン酸1重量部をなべで煮詰め、ビン詰して製品を得た。本品は、風味、色調とも良好なジャムである。
【0101】
【実施例B−4 クリームウエファース】
実施例A−5の方法で得た高純度無水結晶マルトシルグルコシド2,000重量部、ショートニング1,000重量部、レシチン1重量部、レモンオイル1重量部、バニラオイル1重量部を、常法により配合して得たクリームを加温して40乃至45℃に保ちウエファースに挟んでクリームウエファースを製造した。本品は、クリームの溶け具合がなめらかで風味も良好である。
【0102】
【実施例B−5 加糖練乳】
原乳100重量部に実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド5重量部を溶解し、プレートヒーターで加熱殺菌し、次いで濃度約70%に濃縮し、無菌状態で缶詰して製品を得た。本品は、温和な甘味で、風味もよく、乳幼児食品、フルーツ、コーヒー、ココア、紅茶などの調味用に有利に利用できる。
【0103】
【実施例B−6 乳酸飲料】
脱脂乳10重量部を80℃で20分間加熱殺菌した後、40℃に冷却し、これにスターター0.3重量部を加えて約37℃で10時間醗酵させた。次いで、これをホモゲナイズした後、実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド5重量部及び異性化糖シラップ2重量部を加えて70℃に保って殺菌した。これを冷却し、適量の香料を加え、ビン詰して製品を得た。本品は、風味、甘味が酸味とよく調和した高品質の乳酸飲料である。
【0104】
【実施例B−7 粉末ジュース】
噴霧乾燥により製造したオレンジ果汁粉末33重量部に対し、実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド50重量部、蔗糖10重量部、無水クエン酸0.65重量部、リンゴ酸0.1重量部、L−アスコルビン酸0.1重量部、クエン酸ソーダ0.1重量部、プルラン0.5重量部、粉末香料適量をよく混合撹拌し、粉砕し微粉末にしてこれを流動層造粒機に仕込み、排風温度40℃とし、これに、実施例A−2の方法で得た高含有マルトシルグルコシド濃縮液をバインダーとしてスプレーし、30分間造粒し、計量、包装して製品を得た。本品は、果汁含有率約30%の粉末ジュースである。また、本品は異味、異臭がなく、吸湿固結も起こさず長期に安定であった。
【0105】
【実施例B−8 チョコレート】
カカオペースト40重量部、カカオバター10重量部、蔗糖20重量部、実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド30重量部を混合してレファイナーに通して粒度を下げた後、コンチェに入れて50℃で2昼夜練り上げる。この間に、レシチン0.5重量部を加え充分に混和分散させた。次いで、温度調節機で31℃に調節し、バターの固まる直前に型に流し込み、振動機でアワ抜きを行い、10℃の冷却トンネルを20分間くぐらせて固化させた。これを型抜きして包装し製品を得た。本品は、吸湿性がなく、色、光沢共によく、内部組織も良好で、口中でなめらかに溶け、上品な甘味とまろやかな風味を有する。
【0106】
【実施例B−9 チューインガム】
ガムベース3重量部を柔らかくなる程度に加熱溶融し、これに無水結晶マルチトール(株式会社林原商事販売 登録商標マビット)4重量部及び実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド3重量部とを加え、更に適量の香料と着色料とを混合し、常法にしたがって、ロールにより練り合わせ、成形、包装して製品を得た。本品は、テクスチャー、風味とも良好なチューインガムである。
【0107】
【実施例B−10 カスタードクリーム】
コーンスターチ100重量部、実施例A−3の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末100重量部、マルトース(株式会社林原商事販売 登録商標サンマルト)80重量部、蔗糖20重量部及び食塩1重量部を充分に混合し、鶏卵280重量部を加えて撹拌し、これに沸騰した牛乳1,000重量部を徐々に加え、更に、これを火にかけて撹拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。本品は、なめらかな光沢を有し、温和な甘味で美味である。
【0108】
【実施例B−11 ういろうの素】
米粉90重量部に、コーンスターチ20重量部、実施例A−6の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末120重量部、プルラン4重量部を均一に混合してういろうの素を製造した。ういろうの素と適量の抹茶と水とを混練し、これを容器に入れて60分間蒸し上げて抹茶ういろうを製造した。本品は、照り、口当たりも良好で、風味も良い。また、澱粉の老化も抑制され、日持ちもよい。
【0109】
【実施例B−12 即席コーンポタージュスープ】
α−化コーン粉末30重量部、α−化小麦粉5重量部、α−化ポテトスターチ4重量部、α−化ワキシーコーンスターチ12重量部、実施例A−3の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末8重量部、グルタミン酸ナトリウム5重量部、食塩8.5重量部、脱脂粉乳7重量部、オニオンパウダー0.5重量部を磨砕してよく混合した後、これにソルビタン脂肪酸エステル0.5重量部と植物性硬化油9重量部とを加熱融解したものを添加して混合し、更に、乳糖10重量部を加えて混合し、これを実施例B−7と同様に流動層造粒機に仕込んで少量の水をスプレーし、造粒した後、70℃の熱風で乾燥し、篩別して即席コーンポタージュスープを製造した。本品は、熱湯を注げば、容易に溶解、分散し、風味の優れたスープとなる。
【0110】
【実施例B−13 べったら漬の素】
実施例A−4の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末4重量部、甘草製剤0.05重量部、リンゴ酸0.008重量部、グルタミン酸ナトリウム0.07重量部、ソルビン酸カリウム0.03重量部及びプルラン0.2重量部を均一に混合してべったら漬の素を製造した。大根30kgを常法にしたがって、食塩により下漬し、次いで蔗糖で中漬したものを、本べったら漬の素4kgで調製した調味液に漬けてべったら漬を製造した。本品は、色、艶、香気ともに良好で、適度の甘味を有し、歯切れもよかった。また、本品は、酸敗しにくく長期間安定であった。
【0111】
【実施例 B−14 経管栄養剤】
実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド20重量部、グリシン1.1重量部、グルタミン酸ナトリウム1重量部、乳酸カルシウム0.4重量部、炭酸マグネシウム0.1重量部、チアミン0.01重量部及びリボフラビン0.01重量部からなる配合物を調製する。この配合物24gずつをラミネートアルミ製小包に充填し、ヒートシールして製品を得た。本品は、1袋分を約33乃至500mlの水に溶解して栄養補給液とし、経管方法により、鼻腔、胃腸などへ投与して使用する。本品は、ヒトのみならず、家畜などへの非経口的栄養補給液としても有利に利用できる。
【0112】
【実施例B−15 経管栄養剤】
実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド580重量部、乾燥卵黄190重量部、脱脂粉乳209重量部、塩化ナトリウム4.4重量部、塩化カリウム1.85重量部、硫酸マグネシウム4重量部、チアミン0.01重量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1重量部、ビタミンEアセテート0.6重量部及びニコチン酸アミド0.04重量部からなる配合物を調製する。この配合物25gずつを、ラミネートアルミ製小包に充填し、ヒートシールして製品を得た。本品は、1袋分を約150乃至300mlの水に溶解して、栄養補給液とし、経管方法により鼻腔、食道、胃などへ投与して使用する。
【0113】
【実施例B−16 外傷治療用膏薬】
実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド300重量部及び結晶マルトース200重量部に、ヨウ素3重量部を溶解したメタノール50重量部を加え混合し、更に10%プルラン水溶液200重量部を加えて混合し、適度の延び、付着性を示す外傷治療用膏薬を得た。本品は、治癒期間が短縮され、創面もきれいに治る。
【0114】
【実施例B−17 インターフェロン液剤】
ヒト天然型インターフェロン−γ標品(株式会社林原生物学研究所製造、コスモ・バイオ株式会社販売)を、常法にしたがって、固定化抗ヒトインターフェロン−γ抗体カラムにかけ、該標品に含まれるヒト天然型インターフェロン−γを吸着させ、安定剤である牛血清アルブミンを素通りさせて除去し、次いで、pHを変化させて、ヒト天然型インターフェロン−γを実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシドを7%含有する生理食塩水を用いて溶出した。本液を精密濾過し、無菌的にバイアルビンに充填して、ml当たりヒト天然型インターフェロン−γを105単位含有する液剤を得た。本品は、1日当たり、大人 1乃至20ml程度が経口的又は非経口的に投与され、ウイルス性疾患、アレルギー性疾患、リューマチ、糖尿病、悪性腫瘍などの治療に有利に利用できる。本品は、マルトシルグルコシドが安定剤として作用し、4℃又は25℃で20日間放置しても、その活性をよく維持している。
【0115】
【実施例B−18 ツモア・ネクロシス・ファクター液剤】
ヒト天然型ツモア・ネクロシス・ファクター−α標品(株式会社林原生物化学研究所製造、コスモ・バイオ株式会社販売)を、常法にしたがって、固定化抗ヒトツモア・ネクロシス・ファクター−α抗体カラムにかけ、該標品に含まれるヒト天然型ツモア・ネクロシス・ファクター−αを吸着させ、安定剤である牛血清アルブミンを素通りさせて除去し、次いで、pHを変化させて、ヒト天然型ツモア・ネクロシス・ファクター−αを実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシドを10%含有する生理食塩水を用いて溶出した。本液を精密濾過し、無菌的にバイアルビンに充填して、ml当たりヒト天然型ツモア・ネクロシス・ファクター−αを104単位含有する液剤を得た。本品は、1日当たり、大人1乃至20ml程度が経口的又は非経口的に投与され、ウイルス性疾患、アレルギー性疾患、リューマチ、糖尿病、悪性腫瘍などの治療に有利に利用できる。本品は、マルトシルグルコシドが安定剤として作用し、4℃又は25℃で20間放置しても、その活性をよく維持している。
【0116】
【実施例 B−19 インターフェロン錠剤】
ヒト天然型インターフェロン−α標品(株式会社林原生物化学研究所製造、コスモ・バイオ株式会社販売)を、常法にしたがって、固定化抗ヒトインターフェロン−α抗体カラムにかけ、該標品に含まれるヒト天然型インターフェロン−αを吸着させ、安定剤である牛血清アルブミンを素通りさせて除去し、次いでpHを変化させて、ヒト天然型インターフェロン−αを実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシドを5%含有する生理食塩水を用いて溶出した。本液を精密濾過し、約20倍量の無水結晶マルトース粉末(株式会社林原商事販売、商品名ファイントースT)に加えて脱水、粉末化し、これを打錠機にて打錠し、1錠(約200mg)当たりヒト天然型インターフェロン−αを約150単位含有する錠剤を得た。本品は、舌下錠などとして、1日当たり、大人1乃至10錠程度が経口的に投与され、ウイルス性疾患、アレルギー性疾患、リューマチ、糖尿病、悪性腫瘍などの治療に有利に利用できる。とりわけ、近年、患者数の急増しているエイズ、肝炎などの治療剤として有利に利用できる。本品は、マルトシルグルコシドと共にマルトースが安定剤として作用し、室温で放置してもその活性を長期間よく維持する。
【0117】
【実施例B−20 糖衣錠】
重量150mgの素錠を芯剤とし、これに実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド45重量部、プルラン(平均分子量20万)2重量部、水30重量部、タルク25重量部及び酸化チタン3重量部からなる下掛け液を用いて錠剤重量が約230mgになるまで糖衣し、次いで、同じ含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末65重量部、プルラン1重量部及び水34重量部からなる上掛け液を用いて糖衣し、更に、ロウ液で艶出しして光沢のある外観の優れた糖衣錠を得た。本品は、糖衣掛け時の作業性が優れているだけでなく、耐衝撃性にも優れており、高品質を長期間維持する。
【0118】
【実施例B−21 乳液】
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重量部、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール1重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ベヘニールアルコール0.5重量部、アボガド油1重量部、実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド3.5重量部、α−グリコシルルチン1重量部、ビタミンE及び防腐剤の適量を、常法にしたがって加熱溶解し、これに1,3−ブチレングリコール5重量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部及び精製水85.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ、乳化し、乳液を製造した。本品は、保湿性ある乳液で、日焼け止め、色白剤などとして有利に利用できる。
【0119】
【実施例B−22 スキンクリーム】
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2重量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5重量部、α−グリコシルルチン2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン酸グリセリル10重量部、実施例A−1の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド1重量部、マルチトール3重量部及び防腐剤の適量を、常法にしたがって加熱溶解し、これに1,3−ブチレングリコール5重量部及び精製水66重量部を加え、ホモゲナイザーにかけて乳化し、更に、香料の適量を加えて撹拌混合し、クリームを製造した。本品は、伸びの良いクリームで、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に使用できる。
【0120】
【実施例B−23 練歯磨】
第二リン酸カルシウム45重量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5重量部、グリセリン25重量部、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート0.5重量部、実施例A−2の方法で得た高純度含水結晶マルトシルグルコシド15重量部、サッカリン0.02重量部及び防腐剤0.05重量部を水13重量部と混合して練歯磨を得た。本品は、光沢、洗浄力も良好で、練歯磨として好適である。
【0121】
【実施例B−24 肥料杭】
配合肥料(N=14%、P2O5=8%、K2O=12%)、プルラン、実施例 A−6の方法で得た含水結晶マルトシルグルコシド含有粉末、硫酸カルシウム及び水の割合を重量でそれぞれ70、5、5、15及び5として充分混合した後、押出機(L/D=20、圧縮比=1.8、ダイスの口径=30mm)で80℃に加熱して肥料杭を製造した。本品は、肥料用容器が不要で取扱い容易であり、全層施肥に適した強度を有し、更に配合割合を変えることにより肥料成分の溶出速度を調節できる。必要ならば、この肥料杭に植物ホルモン、農業用薬剤及び土壌改良剤等の混合も容易である。
【0122】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明の結晶マルトシルグルコシドは、実質的に非吸湿性乃至難吸湿性で流動性良好であって取扱い易く、水に溶解し易い物質であり、適度な粘性を有し、良質な甘味を有している。また、結晶マルトシルグルコシドは、化学的に安定であり、褐変反応を起こし易いアミノ酸、オリゴペプチド、更には、有効成分、活性の失われ易い生理活性物質などを安定化し得る性質を有している。加えて、浸透圧調節性、賦活性、照り付与性、保湿性、他の糖の晶出防止、難発酵性、澱粉の老化防止性などの性質を具備している。これら諸性質は、飲食物、化粧品、医薬品、成形物など各種組成物の製造に有利に利用できる。
【0123】
したがって、本発明の結晶マルトシルグルコシドとその製造方法並びに用途の確立は、飲食物、化粧品、医薬品分野における産業的意義が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非還元性糖質生成酵素の活性に及ぼす温度の影響を示す図である。
【図2】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非還元性糖質生成酵素の活性に及ぼすpHの影響を示す図である。
【図3】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非還元性糖質生成酵素の温度安定性を示す図である。
【図4】リゾビウム・スピーシーズ M−11由来の非還元性糖質生成酵素のpH安定性を示す図である。
【図5】含水結晶マルトシルグルコシドの赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図6】マルトシルグルコシドの炭素核磁気共鳴分析結果を示す図である。
【図7】含水結晶マルトシルグルコシドの粉末X線回折図形を示す図である。
【図8】無水結晶マルトシルグルコシドの粉末X線回折図形を示す図である。
Claims (8)
- 結晶α−マルトシルα−グルコシド。
- 粉末X線回折法における主な回折角(2θ)として7.9°、13.2°、17.2°及び22.6°を有する含水結晶の形態にある請求項1記載の結晶α−マルトシルα−グルコシド。
- 粉末X線回折法における主な回折角(2θ)として7.7°、13.5°、17.6°及び23.6°を有する無水結晶の形態にある請求項1記載の結晶α−マルトシルα−グルコシド。
- 純度60w/w%以上のα−マルトシルα−グルコシドを含有する濃度約65w/w%以上の糖質水溶液を、結晶α−マルトシルα−グルコシドの種結晶存在下で晶出せしめ、晶出した結晶α−マルトシルα−グルコシドを採取することを特徴とする結晶α−マルトシルα−グルコシドの製造方法。
- α−マルトシルα−グルコシドが、トレハロースと、澱粉、糊化澱粉、液化澱粉、可溶性澱粉、アミロース、アミロペクチン、還元性澱粉部分分解物、澱粉糖転移物、シクロデキストリン、デキストリン、マルトオリゴ糖、及び蔗糖から選ばれる1種又は2種以上の糖質とを含有する水溶液に糖転移酵素を作用させるか若しくはその糖転移酵素を作用させた後に加水分解酵素を作用させるか、又は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物に、グルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する非還元性糖質生成酵素を作用させるか若しくはその非還元性糖質生成酵素を作用させた後に加水分解酵素を作用させて生成されたものであることを特徴とする請求項4記載の結晶α−マルトシルα−グルコシドの製造方法。
- 加水分解酵素が、β−アミラーゼであるか、又は、β−アミラーゼと澱粉枝切酵素であることを特徴とする請求項5記載の結晶α−マルトシルα−グルコシドの製造方法。
- トレハロースと、澱粉、糊化澱粉、液化澱粉、可溶性澱粉、アミロース、アミロペクチン、還元性澱粉部分分解物、澱粉糖転移物、シクロデキストリン、デキストリン、マルトオリゴ糖、及び蔗糖から選ばれる1種又は2種以上の糖質とを含有する水溶液に糖転移酵素を作用させるか若しくはその糖転移酵素を作用させた後に加水分解酵素を作用させるか、又は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物に、グルコース重合度3以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する非還元性糖質生成酵素を作用させるか若しくはその非還元性糖質生成酵素を作用させた後に加水分解酵素を作用させて得られるα−マルトシルα−グルコシドを含有する水溶液を、アルカリ処理するか、又は、クロマトグラフィーにかけてα−マルトシルα−グルコシド高含有液とし、これを濃縮し、晶出、採取することを特徴とする結晶α−マルトシルα−グルコシドの製造方法。
- 純度60w/w%以上のα−マルトシルα−グルコシドを含有する濃度約65w/w%以上の糖質水溶液を、請求項1記載の結晶α−マルトシルα−グルコシドの種結晶存在下で晶析することを特徴とするα−マルトシルα−グルコシドの精製方法。
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