JP3945281B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、これらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、より詳しくは、複数の定着装置の構成及び制御の改良に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記電子写真方式を適用した画像形成装置、例えば、カラー複写機やカラープリンター等のカラー画像形成装置としては、感光体ドラムを1つのみ備え、当該感光体ドラム上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)等の各色のトナー像を順次形成し、上記感光体ドラム上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)等の各色のトナー像を、記録シート上に多重に転写した後、これらのトナー像を加熱して記録シート上に定着することにより、カラー画像を形成するように構成したものがある。また、上記カラー画像形成装置としては、感光体ドラム上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)等の各色のトナー像を、一旦中間転写体上に多重に一次転写した後、当該中間転写体上に多重に転写された各色のトナー像を、記録シート上に一括して二次転写し、これらのトナー像を加熱して記録シート上に定着することにより、カラー画像を形成するように構成したものもある。
【0003】
さらに、上記カラー画像形成装置としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)等の各色に対応した複数の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットの感光体ドラム上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)等の各色のトナー像を、記録シート上に多重に転写するか、又は一旦中間転写体上に多重に一次転写した後、当該中間転写体上に多重に転写された各色のトナー像を、記録シート上に一括して二次転写した後、これらのトナー像を加熱して記録シート上に定着することによりカラー画像を形成するように構成したものがある。
【0004】
ところで、上記記録シート上に転写・定着されるカラートナーは、通常、バインダー樹脂中に顔料や染料等からなる着色剤を分散又は溶融混合して構成され、粒子径は、数μm〜数十μmに設定される。このようなカラートナーは、普通紙や一般の印刷用紙等のコート紙上に、複数層重ね合わせた状態で転写された後、加熱溶融された状態で普通紙や一般の印刷用紙等のコート紙上に定着される。その際、上記カラー画像の表面には、トナー層の高低によって、例えば10〜100μm程度の凹凸が形成され、光沢のムラが発生する。その結果、普通紙や一般の印刷用紙等のコート紙上に形成されたカラー画像は、入射する照明光を乱反射し、肉眼で観察すると、光沢性に劣る画像に見える。
【0005】
ここで光沢性に優れた画像を得る技術としては従来から次のような手法が提案されている。
【0006】
すなわち、転写体の表面に透明樹脂層を存在させ、この透明樹脂層上にカラートナーを定着してカラー画像を形成する方法において、色調が豊富で色再現性に優れ、高解像力で、光沢性に優れたカラー画像が得られるカラー画像形成方法について、特開平5−127413号公報に提案されている。この特開平5−127413号公報に係るカラー画像形成方法は、カラートナーを転写体上に溶融、固着してカラー画像を形成するカラー画像形成方法において、前記転写体の表面に20〜200μm厚の少なくとも熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を存在させ、この透明樹脂層上に体積平均粒径3〜9μmのカラートナーを1色当り0.2〜4.0mg/cm2 の付着量を付着させ、これを加熱、溶融、固着してカラー画像を形成するように構成したものである。
【0007】
また、特公平4−031389号公報、特公平4−031393号公報に提案されている。この特公平4−031389号公報、特公平4−031393号公報に係わる画質向上方法・画質向上処理装置では、画像形成装置から排出された定着済みトナー画像にシートを重ねて加熱加圧し、冷却剥離することで、シート表面の形状をレプリカすることにより高光沢な画像を形成するように構成したものである。
【0008】
このように、光沢性に優れたカラー画像が得られるカラー本発明の画像形成装置としては、既存のカラー複写機・カラープリンターなど画像形成手段により記録シート上に未定着トナー画像を形成し、定着手段により定着した後に記録シートをさらに定着し、トナー画像を高光沢化処理する第2定着手段を備える構成が考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1定着手段と第2定着手段とを備える画像形成装置においては、以下のような消費電力の問題が生じる。
【0010】
通常、カラー複写機やカラープリンター等は、より高い普通紙生産性を確保するために、商用電源の電力を許容限界の1.5kVA(100V 15A)まで使用することが多い。この消費電力の内訳を見ていくと、トナーを熱エネルギーにより加熱溶融することにより定着を行う定着器の消費電力が占める割合は大きく、一般的に600〜1,000W程度使用している。定着手段以外の画像処理部および画像形成部で800W程度使用している。
【0011】
ここに高光沢処理のために、第2定着手段として、さらに700〜1,300Wの加熱源を使用し、さらに高画質用の画像処理装置に250Wと、第2定着手段のドライブ・冷却ファンに50Wを使用すると、第1定着手段と第2定着手段が同時動作した場合、装置全体の最大電力が1.5kVAを大きく超え、3.0kVA近く必要としてしまう。
【0012】
仮に、商用電源を2コンセント用意した場合でも、一般的なオフィス・家庭等の使用環境では、元電源が20Aブレーカーであり、最大でも2.0kVA以下とする必要がある。2.0kVA以上の電力を使用するためには、使用環境に大規模な電源工事を必要とするため好ましくない。
【0013】
そこで、この発明では、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電源容量を増大することなく、高光沢な画像を得ることを可能とした画像形成装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決する第1の発明は、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、当該未定着トナー像を保持した記録シートを定着する第一定着手段と、当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一定着手段のみで記録シートを定着する第一定着モードと第一及び第二定着手段で記録シートを定着する第二定着モードとを選択する制御手段とを有する画像形成装置において、第二定着手段で定着可能な記録シートの幅は、第一定着手段で定着可能な記録シートの幅よりも狭いものである。例えば、第二定着手段で定着可能な記録シートの幅(例えば、A4長辺)が、第一定着手段で定着可能な記録シートの幅の半分以下(例えば、葉書幅、写真のLサイズ幅)などの場合である。
【0015】
第2の発明は、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、当該未定着トナー像を保持した記録シートを所定の設定温度で定着する第一定着手段と、当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一定着手段のみで記録シートを定着する第一定着モードと第一及び第二定着手段で記録シートを定着する第二定着モードとを選択する制御手段とを有する画像形成装置において、当該制御手段は、第二定着モードにおける第一定着手段の設定温度を、第一定着モードにおける第一定着手段の設定温度よりも低く設定するものである。
【0016】
第3の発明は、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、第一加熱源を備え当該未定着トナー像を保持した記録シートを定着する第一定着手段と、第二加熱源を備え当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一及び第二加熱源に供給する電力を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、当該制御手段は、第一加熱源に電力を供給するタイミングと第二加熱源に電力を供給するタイミングとが重ならないように制御するものである。
【0017】
第4の発明は、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、第一加熱源を備え当該未定着トナー像を保持した記録シートを所定の設定温度で定着する第一定着手段と、第二加熱源を備え当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに所定の設定温度で定着する第二定着手段と、第一及び第二加熱源に供給する電力を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、第一定着手段の温度と第二定着手段の温度とが共に各設定温度を下回った場合に、当該制御手段は第一定着手段と第二定着手段のうち、熱容量の小さい方の定着手段の加熱源に対してのみ電力を供給するものである。ここで、第一定着手段は第二定着手段に比べて熱容量が小さくなるように構成することができる。
【0018】
第5の発明は、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、第一加熱源を備え当該未定着トナー像を保持した記録シートを定着する第一定着手段と、第二加熱源を備え当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一及び第二加熱源に供給する電力を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、当該第二加熱源は複数の加熱源により構成され、当該制御手段は、第一加熱源に電力を供給するタイミングでは、第一加熱源に電力を供給しないタイミングよりも、第二加熱源の発熱量がより小さくなるように第二加熱源に電力を供給するものである。
【0019】
なお、第二加熱源が複数の加熱源で構成される場合には、第一加熱源に電力を供給するタイミングでは、第一加熱源に電力を供給しないタイミングよりも、第二加熱源全体の発熱量がより小さくなるように第二加熱源を構成する各加熱源に電力を供給することができる。例えば、前記第二加熱源は発熱量の異なる二つの加熱源により構成され、前記制御手段は、第一加熱源に電力を供給するタイミングでは、第二加熱源を構成する加熱源のうち発熱量の小さい方の加熱源に電力を供給するとともに、第一加熱源に電力を供給しないタイミングでは、第二加熱源を構成する加熱源のうち発熱量の大きい方の加熱源に電力を供給するものが挙げられる。
【0020】
また、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、第一加熱源を備え当該未定着トナー像を保持した記録シートを定着する第一定着手段と、第二加熱源を備え当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一及び第二加熱源に供給する電力を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、当該第二加熱源は3つの加熱源により構成され、当該制御手段は、第一熱源と一の第二熱源とに電力を供給するタイミングが重ならないように制御すると共に、残りの二の第二熱源に電力を供給するタイミングが重ならないように制御することもできる。ここで、第一熱源と一の第二熱源との最大消費電力を(実質的に)等しく構成し、残りの二の第二熱源の最大消費電力を(実質的に)等しく構成することが好ましい。なお、一の第二熱源は、残りの二の第二熱源よりも最大消費電力が大きいことが好ましい。
【0021】
第6の発明は、記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、第一加熱源を備え当該未定着トナー像を保持した記録シートを定着する第一定着手段と、第二加熱源を備え当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一及び第二加熱源に供給する電力を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、当該制御手段は、第一加熱源と第二加熱源との両方に同時に電力を供給する場合には、供給電力の総和が所定の設定電力値以下となるように各加熱源に対してカットオフ電力を供給するものである。
【0022】
例えば、▲1▼前記所定の設定電力値は、前記第一加熱源の最大消費電力値と前記第二加熱源の最大消費電力値とのうち、より大きい方の最大消費電力値以下となるように構成してもよいし、▲2▼前記所定の設定電力値は、前記第一加熱源の最大消費電力値と前記第二加熱源の最大消費電力値とのうち、より大きい方の最大消費電力値となるように構成してもよいし、さらに▲3▼前記第一加熱源の最大消費電力値と前記第二加熱源の最大消費電力値とが等しくなるように構成してもよい。
【0023】
これら第1〜6の発明を適宜組み合わせて画像形成装置を構成することも出来る。例えば、第1の発明と第2の発明との組み合わせ、第3の発明と第4の発明との組み合わせ、第1及び/又は第2の発明と第3及び/又は第4の発明との組み合わせ、第1及び/又は第2の発明と第5の発明との組み合わせ、第1及び/又は第2の発明と第6の発明との組み合わせ、などにより画像形成装置を構成することもできる。
【0024】
なお、前記第二定着手段は、複数のロールと、当該ロールに張架され回転される無端状ベルトとを備え、記録シートを当該無端状ベルト表面に密着させ、冷却し、剥離するベルト定着装置として構成してもよい。
【0025】
【発明の実施による形態】
以下に、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
実施の形態 図1はこの発明の一実施形態に係るカラー画像形成装置1及び二次定着ユニット50を備える画像形成装置システムを示す構成図である。なお、本実施態様では、二次定着ユニット50はカラー画像形成装置1の側部に設けられているが、これに限らず、例えば、カラー画像形成装置1の上部に設けることもできる。
【0027】
このカラー画像形成装置1には、図示しないパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータから送られてくるカラー画像情報や、図示しない原稿読取装置によって読み取られたカラー原稿のカラー画像情報などが入力される。そして、上記カラー画像形成装置1では、入力されたカラー画像情報に対し、画像処理装置2により、必要に応じて、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。
【0028】
そして、上記の如く画像処理装置2で所定の画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)(各8bit)の4色の色材階調データとしてROS3(Raster Output Scanner)に送られ、このROS3では、原稿色材階調データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。
【0029】
上記カラー画像形成装置1の内部には、色の異なる複数のトナー像を形成可能な画像形成手段が配設されている。この画像形成手段は、主として、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム(画像形成手段)7と、前記感光体ドラム7の表面を所定の電位に一様に帯電する帯電装置としてのスコロトロン(画像形成手段)8と、前記感光体ドラム7の表面に画像露光を施す画像露光手段としてのROS(画像形成手段)3と、前記感光体ドラム7上に形成された静電潜像を現像して色の異なる複数のトナー像を形成可能な現像手段としてのロータリー方式の現像装置(画像形成手段)9とから構成されている。
【0030】
上記ROS3は、図1に示すように、図示しない半導体レーザーを原稿再現色材階調データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを階調データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡4によって偏向走査され、f・θレンズ5及び反射ミラー6を介して像担持体としての感光体ドラム7上に走査露光される。
【0031】
上記ROS3によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム7は、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動されるようになっている。この感光体ドラム7の表面は、予め一次帯電用の帯電装置としてのスコロトロン8によって、所定の極性(例えば、マイナス極性)及び電位に帯電された後、原稿再現色材階調データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって静電潜像が形成される。
【0032】
上記感光体ドラム7上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色の現像器9Y、9M、9C、9BKを備えたロータリー方式の現像装置9によって、例えば、感光体ドラム7の帯電極性と同極性のマイナス極性に帯電したトナー(帯電色材)によって反転現像され、所定の色のトナー像となる。上記ロータリー方式の現像装置9の各現像器9Y、9M、9C、9BKでは、例えば、平均粒径が5.5μmの球形トナーが用いられる。尚、上記感光体ドラム7上に形成されたトナー像は、必要に応じて転写前帯電器10によってマイナス極性の帯電を受け、電荷量が調整されるようになっている。
【0033】
上記感光体ドラム7上に形成された各色のトナー像は、当該感光体ドラム7の下部に配置された中間転写体としての中間転写ベルト(画像形成手段)11上に、第1の転写手段としての一次転写ロール(画像形成手段)12によって多重に転写される。この中間転写ベルト11は、駆動ロール13、従動ロール14a、テンションロール14b及び二次転写手段の一部を構成する対向ロールとしてのバックアップロール15によって、感光体ドラム7の周速と同一の移動速度で矢印方向に沿って回動可能に支持されている。
【0034】
上記中間転写ベルト11上には、形成する画像の色に応じて、感光体ドラム7上に形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色のすべて又はその一部のトナー像が、一次転写ロール12によって順次重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト11上に転写されたトナー像は、所定のタイミングで二次転写位置へと搬送される記録媒体としての記録シート16上に、中間転写ベルト11を支持するバックアップロール15と、当該バックアップロール15に圧接する第2の転写手段の一部を構成する二次転写ロール(画像形成手段)17の圧接力及び静電吸引力によって転写される。
【0035】
上記記録シート16は、図2に示すように、カラー画像形成装置1内の下部に配置された転写シート収容部材としての給紙カセット18から、所定のサイズのものがフィードロール18aによって給紙される。給紙された記録シート16は、複数の搬送ロール22及びレジストロール23によって、所定のタイミングで中間転写ベルト11の二次転写位置まで搬送される。そして、上記記録シート16には、上述したように、2次転写手段としてのバックアップロール15と二次転写ロール17とによって、中間転写ベルト11上から所定の色のトナー像が一括して転写されるようになっている。
【0036】
また、上記中間転写ベルト11上から所定の色のトナー像が転写された記録シート16は、中間転写ベルト11から分離された後、搬送ベルト24によって第1定着装置(第一定着手段)25へと搬送され、この第1定着装置25によって熱及び圧力でトナー像が記録シート16上に定着される。
【0037】
第1定着装置25は、図2に示すような小熱容量の定着ロール25aと、加圧ベルト25b・加圧パッド25cからなる加圧ベルト式定着装置である。定着ロール25aは、アルミニウムからなる肉厚1.5mm、外径25mm、長さ380mmのコア表面に、ゴム硬度(JIS-A)が33°のシリコーンゴムからなる弾性層を厚さ0.5mm、長さ320mmに被覆し、さらに弾性体層の表面に厚さ30μmのPFAチューブからなる離型層を被覆して形成されている。定着ロール25aの内部には、加熱源として650Wのハロゲンランプ25dが配設されており、定着ロール25aの表面温度が所定の設定温度TS1となるように内部から加熱される。なお、定着ロール25aの表面にはその温度を検知する温度センサ25eが付勢されている。
【0038】
加圧ベルト25bは厚さ75μm、外径30mm、長さ330mmのポリイミドベルトの表面に、厚さ30μmのPFAチューブからなる離型層が形成されている。加圧ベルト25b内部には、加圧ベルト25bを定着ロール25aに押圧しニップを形成する固定のパッド25cが配置されている。固定パッド25cの押圧荷重は33kgで、ニップ幅は6.5mmである。なお、加圧ベルト25b・パッド25c側には熱源を持たない。
【0039】
ところで、この実施の形態では、図1に示すようにフルカラーのトナー画像が転写され定着された記録シート16は、再度、二次定着ユニット50内の定着ベルト式の第2定着装置(第二定着手段)58によって、二次定着を受け得るように構成されている。
【0040】
この実施の形態では、第2定着装置58は、加熱ロールを含む複数のロールにより定着ベルトを回動可能に支持するとともに、前記加熱ロールに定着ベルトを介して加圧ロールを圧接させ、前記定着ベルトと加圧ロールの圧接部を、定着ベルト側にトナー画像が位置するように記録シートを通過させて、トナー画像を加熱加圧することにより定着し、記録シートを定着ベルトに付着させ、前記定着ベルトがある程度冷却された状態で、当該定着ベルトから記録シートを剥離するように構成されている。
【0041】
この二次定着ユニット50は、カラー画像形成装置1内の第1定着装置から排出される記録シート16が導入される導入口51を備えており、この導入口51の内部には、記録シート16の搬送路を切り替える切替ゲート52が設けられている。上記カラー画像形成装置1から排出される記録シート16に対して、第2定着を施さず、そのまま外部の第1の排出トレイ上に排出する場合には、切替ゲート52によって搬送路が上方の第1の搬送路53に切り替えられ、排出ロール54によって第1の排出トレイ55上に排出される。また、上記カラー画像形成装置1から排出される記録シート16に対して、第2定着処理を施す場合には、切替ゲート52によって搬送路が下方の第2の搬送路56に切り替えられ、複数の搬送ロール57によって、第2定着装置58に搬送され、当該第2定着装置58により高光沢化処理を受けて、排出ロール59によって第2の排出トレイ60上に排出される。
【0042】
この第2定着装置58は、図3に示すように、加熱ロール61と、当該加熱ロール61を含む複数のロール62、63により回動可能に支持された定着ベルト64と、前記加熱ロール61に定着ベルト64を介して圧接する加圧ロール65とを備えている。
【0043】
上記加熱ロール61としては、スチールからなる肉厚4mm、外径50mm、長さ180mmの金属製コアの表面に、厚さ30μmのPFAチューブ等からなる離型層を被覆して、形成したものが用いられる。この加熱ロール61の内部には、加熱源として650Wのハロゲンランプ69が配設されており、当該加熱ロール61の表面温度が所定温度TS2となるように内部から加熱される。また、上記加圧ロール65としては、スチールからなる肉厚2mm、外径46mm、長さ180mmの金属製コアの表面に、ゴム硬度(JIS−A)が40°のシリコーンゴム等からなる弾性体層を厚さ2mmに被覆し、更に当該弾性体層の表面に厚さ30μmのPFAチューブ等からなる離型層を被覆して、所定の外径(例えば、50mm)に形成したものが用いられる。
【0044】
上記加熱ロール61と加圧ロール65は、例えば、定着ベルト64を介して、図示しない加圧手段により、圧接部(ニップ部)の幅が6.5cm、10kg/cm2 の荷重で互いに圧接するように構成されている。
【0045】
さらに、上記定着ベルト64は、加熱ロール61と、剥離ロール62と、ウオーク制御ロール63からなる複数のロールにより回動可能に支持されており、図示しない駆動源によって回転駆動される加熱ロール61により、所定の移動速度(50mm/sec)で回転駆動される。この定着ベルト64としては、例えば、厚さ80μm、周長528mm、幅130mmの熱硬化型ポリイミド製の無端状フィルム上に、厚さ35μmのシリコーンゴム層を被覆したものが用いられる。消費電力の面からはベルトは薄いものが望ましいが、強度的な観点からポリイミド基材は75μm以上、画質的な観点からシリコーンゴム層は30μm以上が必要である。
【0046】
また、上記定着ベルト64の内面側には、加熱ロール61と剥離ロール62との間に、当該定着ベルト64を強制的に冷却する冷却用のヒートシンク70が配設されており、この冷却用ヒートシンク70によって転写シート16の冷却及びシート16の搬送を行う冷却・シート搬送部が構成されている。なお、上記冷却用ヒートシンク70と加熱ロール61との間には、定着ベルト64に一定のテンションを付与する小径のテンションロール71が配設されている。
【0047】
このように、本実施態様に係る画像形成装置システムでは、記録シート上に未定着トナー画像を形成し、その第1定着装置25により定着した後に記録シートを装置1外に排出する既存のカラー複写機・カラープリンターなどの画像形成装置1と、排出されたトナー画像を高光沢化処理する第2定着装置58を含む二次定着ユニット50を外付けする構成を選択している。
【0048】
このような構成を選択した第一の理由としては、既存のカラー複写機・カラープリンターなどの画像形成装置1に設計変更を加える必要がなく、開発コストを抑えつつ、光沢性に優れたカラー画像が得られ画像形成装置システムを得ることができるためである。第二の理由としては、第2定着装置28は、専用紙を使用すれば光沢性に優れたカラー画像を得ることができる反面、普通紙に対して適正が乏しいためである。
【0049】
すなわち、第2定着装置28のベルト表面離型材料として、PFAやPTFE, FEPなどのフッ素系樹脂と、シリコーンゴムやフッ素系ゴムなどのゴム系材料が挙げられるが、PFA等のフッ素系樹脂は軟らかいため、普通紙の用紙エッジにより数十枚通紙しただけで、PFA表面に傷が付き、その傷がトナー画像表面にレプリカされてしまう。また、シリコーンゴムやフッ素系ゴム等のゴム系材料を離型層に採用した場合に、その弾性のため傷は付かないが、記録シートとして普通紙を使用した場合、紙粉がゴムに堆積し、離型低下や光沢性低下を引き起こしてしまう。なお、透明樹脂層を有する専用光沢紙上にトナーを形成して使用する場合には、紙粉が離型層に接することがないため、離型低下・光沢低下の問題は生じない。また、加熱溶融後に冷却して剥離するシステムを採用することで、上記材料は共に剥離性の問題は生じない。
【0050】
このような理由から、本実施態様に係る画像形成装置システムでは、第1定着装置25と第2定着装置58との2つの定着装置を有し、記録シート16として普通紙16aが選択された場合には、第1定着装置25のみにより定着を行い、記録シート16として専用光沢紙16bが選択された場合には、第1定着装置25を通過後、第2定着装置58により再定着し、高光沢化処理を行うこととしている。
【0051】
ここで、本画像形成装置システムに適した専用光沢紙16bの構成と、その専用光沢紙16bが第2定着装置58により再定着される様子を図4、図5を用いて説明する。
【0052】
図4、図5に示すように、専用光沢紙16bとしては、支持体の表裏両面にコート層を設けたコート紙基材42をベースとし、当該コート紙基材42の片面(表面)に、ポリエステル等からなる熱可塑性樹脂を主成分としたものを、厚さ5〜20μmの範囲で、例えば10μmの厚さに被覆した透明な受像層(透明樹脂層)43を設けている。
【0053】
そして、上記第2定着装置58では、図4に示すように、表面にカラートナー画像T(1)が転写・定着された専用光沢紙16bが、加熱ロール61と当該加熱ロール61に定着ベルト64を介して圧接する加圧ロール65との圧接部72(ニップ部)に、カラートナー画像T(1)が加熱ロール61側に位置するようにして導入される。ここで、第1定着装置25から排出後、かつニップ部72に導入される前の専用光沢紙16bの状態は、図5(a)に示される。すなわち、一旦はカラートナー画像T(1)が受像層43内に埋没されるが、その後、徐々に専用光沢紙16b表面にトナー画像T(1)が僅かに浮き上がってきている。
【0054】
そして、第2定着装置58の加熱ロール61と加圧ロール65との圧接部72を専用光沢紙16bが通過する間に、カラートナー画像Tが記録シート16上に加熱溶融されて定着される。その際、上記記録シート16の表面に形成されている受像層43も、加熱されて軟化し、定着ベルト64の表面に密着した状態となる。
【0055】
上記加熱ロール61と加圧ロール65との圧接部72において、例えば、トナーが実質的に130〜150℃程度の温度に加熱、溶融されて、カラートナー画像Tが受像層43上に定着された専用光沢紙16bは、その表面の受像層43が定着ベルト64の表面に密着したまま状態で、当該定着ベルト64と共に搬送される。その間、上記定着ベルト64は、冷却用のヒートシンク71によって強制的に冷却され、カラートナー画像T及び受像層43が融解温度以下に冷却され固化した後、剥離ロール62によって記録シート16自身のコシ(剛性)によって剥離される。
【0056】
第2定着装置58から排出後の専用光沢紙16bの状態は、図5(b)に示される。すなわち、カラートナー画像T(2)が受像層43内に埋没され、十分に冷却、固化されているため、専用光沢紙16b表面の平滑性が高く、優れた光沢性を発現する。
【0057】
図6は、この画像形成装置システムの制御系を説明するブロック図である。まず、この制御系の構成を説明する。この制御系は、制御部80を中心に構成されており、制御部80の計測対象は、画像形成装置システム外のパーソナルコンピュータPCから送信される通常プリントモード(第一定着モード)と高光沢プリントモード(第二定着モード)との別を示すモード情報と、第1定着装置25の加熱ロール25aの表面に付勢される温度センサ25eからの温度情報T1、第2定着装置58の定着ベルト64の表面に付勢される温度センサ61aからの温度情報T2などが挙げられる。また、制御部80の制御対象は、第1定着装置25から排出される記録シート16の搬送経路を選択する切替ゲート52の動作、第1定着装置25の加熱源であるハロゲンランプ25dに供給する電力W1、第2定着装置58の加熱源であるハロゲンランプ69に供給する電力W2などが挙げられる。
【0058】
そして、パーソナルコンピュータPC、制御部80、経路選択部材52により記録シート16の経路制御系が形成されており、温度センサ25e、制御部80、ハロゲンランプ25dにより第1定着装置25の温度制御系が形成されており、温度センサ61a、制御部80、ハロゲンランプ69により第2定着装置58の温度制御系が形成されている。
【0059】
次に、この制御系の動作を説明する。パーソナルコンピュータPCから制御部80へモード情報が送信されると、そのモード情報の別により、それぞれ次のような制御が行われる。
【0060】
送信させるモード情報が通常プリントモードの場合には、制御部80は、図示しない記録シート搬送手段に制御命令を送信し、用紙カセット18に収容されている普通紙16aを搬送する。この普通紙16aには上述の電子写真プロセスにより、カラートナー画像Tが二次転写される。そして、この普通紙16aは、第1定着装置25により定着される。この際、上述の第1定着装置25の温度制御系により、第1定着装置25の加熱ロール25aの表面温度が、予め制御部80に記憶されている設定温度TS1(1)となるように、ハロゲンランプ25dに電力W1(1)が供給されている。第1定着装置25から排出された普通紙16aは、切替ゲート52に沿って搬送され、第1の排出トレイ55へ排出される。
【0061】
送信させるモード情報が高光沢プリントモードの場合には、制御部80は、図示しない記録シート搬送手段に制御命令を送信し、手差しカセット34にセットされている専用光沢紙16bを搬送する。この専用光沢紙16bには上述の電子写真プロセスにより、カラートナー画像Tが二次転写される。そして、この専用光沢紙16bは、第1定着装置25により定着される(図5(a)参照)。この際、上述の第1定着装置25の温度制御系により、第1定着装置25の加熱ロール25aの表面温度が、予め制御部80に記憶されている設定温度TS1(2)となるように、ハロゲンランプ25dに電力W1(2)が供給されている。
【0062】
第1定着装置25から排出された専用光沢紙16bは、切替ゲート52に沿って搬送され、第2定着装置58により再定着される(図5(b)参照)。この際、上述の第2定着装置58の温度制御系により、第2定着装置58の定着ベルト64の表面温度が、予め制御部80に記憶されている設定温度TS2となるように、ハロゲンランプ69に電力W2が供給されている。
【0063】
このように、通常プリントモードでは、普通紙16aやコート紙などを第1定着装置25のみ通過させることで、低・中光沢な画像を得ている。一方、高光沢プリントモードが選択された場合には、透明な受像層43を設けた専用光沢紙16bを用い、第1定着装置25で仮定着した後に、第2定着装置58を通過させることで、全面にほぼ均一な高光沢画像を得ている。
【0064】
表1は、本実施態様に係る画像形成装置システムの通常プリントモード、高光沢プリントモードにおける出力画像の光沢度をまとめたものである。
【0065】
【表1】
高光沢な画像としては、入射角20°グロスで80以上(入射角75°グロスで100以上)が望ましい光沢度であり、普通紙上の画像は75°グロスで35〜45が望ましい光沢度である。本実施態様に係る画像形成装置システムの通常プリントモード、高光沢プリントモードにおける出力画像の光沢度は、これらの条件を満足するものである。
【0066】
このような画像形成装置システムでは、二つの定着装置25、58を備えるため、消費電量が過大となりがちである。以下、消費電力を抑えつつ、高光沢なカラー画像を得る技術をそれぞれ実施例1〜3として説明する。
【0067】
◎実施例1
第一の措置として、本実施例では、消費電力を抑えるため、第2定着装置58のサイズ、特に定着ベルト64のベルト幅を狭くしている。
【0068】
本実施例の第2定着装置58では、記録シート16(専用光沢紙16b)を定着ベルト64と共に加熱し冷却するサイクルを繰り返すため、一般にその消費電力が非常に大きくなる。
【0069】
図7は、第2定着装置58の空回転時(8ppm)の消費電力と定着ベルト64との関係を説明するグラフである。定着ベルト64のベルト幅がそれぞれ異なる4種類(ベルト幅130mm、180mm、240mm、330mm)の第2定着装置58の空回転時の消費電力を測定し、各ベルト幅における消費電力をグラフ上にプロットし、そのプロット点を結んだ。このグラフから明らかなように、消費電力はベルト幅に比例しており、定着ベルト64による電力ロスが大きいことが分かる。
【0070】
図8は、第2定着装置58の記録シート16定着時(8ppm)の消費電力と定着ベルト64との関係を説明するグラフである。定着ベルト64のベルト幅がそれぞれ異なる4種類(ベルト幅130mm、180mm、240mm、330mm)の第2定着装置58の(各定着ベルト64に対してその最大幅の)記録シート16定着時の消費電力を測定し、各ベルト幅における消費電力を記録シート加熱による消費電力と定着ベルト64の加熱及び冷却サイクルによる消費電力とを棒グラフにより表している。このグラフから明らかなように、ここでも消費電力はベルト幅及び記録シート幅に比例しており、第2定着装置58による電力ロスが大きいことが分かる。
【0071】
例えば、第2定着装置58の最大用紙サイズをA4横送りとすると、第2定着装置58だけで約1,000Wの電力が必要となる。未定着トナー像形成部と第1定着装置25で1,500W必要とするため、画像形成装置システム合計で2.5kW以上の電力が必要になってしまう。
【0072】
そこで、本実施例では、第二定着装置58で定着可能な記録シート16のシート幅を、第一定着装置25で定着可能な記録シート16のシート幅よりも狭く設計している。具体的には、高光沢な画像としてニーズの強いハガキや写真のL版(89mm×127mm)に限定した構成として第2定着装置58を設計することにより、第2定着装置58の消費電力を380Wと抑えることを可能とした。なお、第一定着装置25における最大用紙サイズはA3サイズまで対応している。
【0073】
第二の措置として、本実施例では、消費電力を抑えるため、第1定着装置25の設定温度TS1を低く設定している。
【0074】
すなわち、高光沢プリントモードにおける第1定着装置25の役割は、カラートナー画像がオフセットしない程度に仮定着していれば良く、必ずしも完全に定着を行う必要はない。一方、第1定着装置25の設定温度を低く設定すれば、それだけ消費電力を抑えることができる。
【0075】
表2は、第1定着装置25の設定温度TS1を170℃(=TS1(1))、140℃(=TS1(2))とした場合の、通常プリントモードと高光沢プリントモードにおける出力画像の光沢度をまとめたものである。
【0076】
【表2】
表2に示すように、確かに、通常プリントモードにおいて第1定着装置25の設定温度を(比較的)低くすると出力画像の光沢度が低下してしまうものの、甲光沢プリントモードにおいて第1定着装置25の設定温度を(比較的)低くしても第2定着後の出力画像の光沢度に影響を及ぼさないことが分かる。したがって、本実施例では、高光沢プリントモードにおける第1定着装置25の設定温度TS1(2)を、通常プリントモードにおける第1定着装置25の設定温度TS1(1)よりも低く設定した。具体的には、TS1(1)=170℃、TS1(2)=140℃としている。
【0077】
図9は、第1定着装置25の設定温度TS1と第1定着装置25の消費電力との関係を説明するグラフである。第1定着装置25の設定温度TS1を、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃と変化させ、その際の第1定着装置25の消費電力を計測したものである。図9に示すように、第1定着装置25の温度は、通常プリントモードのTS1(1)=170℃から、高光沢モードでは仮定着可能なTS1(1)=140℃へと設定を変更すると、第1定着装置25の高光沢モードでの消費電力は、274Wから210Wへと削減されることがわかる。
【0078】
第三の措置として、本実施例では、消費電力を抑えるため、高光沢プリントモードにおける生産性を、通常プリントモードにおける生産性よりも(例えば、半分以下に)低下させている。具体的には、通常プリントモードでの生産性は22ppmであるのに対し、高光沢プリントモードでの生産性は8ppmとしている。
【0079】
表3は、これら第一〜第三の措置を適用した通常プリントモード、高光沢プリントモードにおける第1及び第2の定着装置25、58の消費電力をまとめたものである。
【0080】
【表3】
通常プリントモードでは富士ゼロックス社製J紙(普通紙16a)を22ppmで画像形成した場合に第1定着装置25で必要な消費電力を、高光沢プリントモードでは専用光沢紙16bを8ppmで通紙した際の第1定着装置25および第2定着装置58で必要な消費電力を示す。表3に示すように、通常プリントモードよりも高光沢プリントモードの方が、かえって全体の(平均)消費電力を抑えることができる。
【0081】
さらに第四の措置として、本実施例では、消費電力を抑えるため、第1定着装置25(のハロゲンランプ25d)に電力を供給するタイミングと、第2定着装置58(のハロゲンランプ69)に電力を供給するタイミングとが重ならないようにしている。図10は、第1及び第2定着装置25、58に電力を供給するタイミングが重なる例を、図11は、第1及び第2定着装置25、58に電力を供給するタイミングが重ならない例を示しており、図10、図11とも、その上から順に、第1定着装置25の最大消費電力、第2定着装置58の最大消費電力、第1及び第2定着装置25、58の最大消費電力の時間遷移をそれぞれ表している。
【0082】
ここで、第1定着装置25は通常プリントモードの普通紙22ppmの消費電力にあわせ650Wのハロゲンランプ25dを内蔵している。高光沢プリントモードでは、第2定着装置58の消費電力は380Wとなるため、従来の電力制御方式では、加熱源として400W程度のランプ69を内蔵すればよい。一方、高光沢プリントモードでの第1定着装置25のハロゲンランプ25dの平均消費電力としては210W程度でよいが、650WランプのON/OFF制御となる。
【0083】
したがって、図10に示す通り、第1及び第2定着装置25、58に電力を供給するタイミングが重なる場合には、あるタイミングで両ランプ25d、69が同時点灯すると、最大1,050W(650W+400W)の電力を要する。さらに、画像形成装置全体としては、定着装置以外の未定着トナー像形成部で800W程度使用しているため、(平均の消費電力としては1.5kW以下となっているものの)、最大時に1.5kWを超える電力が必要になる。
【0084】
これに対し、本実施例では図11に示す通り、第1及び第2定着装置25、58に電力を供給するタイミングが重ならないため、第1及び第2定着装置25、58の合計の電力としても650Wを超えることはない。よって、未定着トナー像形成部の800Wを加算しても、1.5kWを超えることはない。さらに、本実施例では、第2定着装置58の加熱源に第1定着装置25の加熱源と等しい650Wのハロゲンランプを用いている。
【0085】
表4は、従来の画像形成装置システム、上記第一〜第三の措置を適用した画像形成装置システム、上記第一〜第四の措置を適用した画像形成装置システムの各サブユニット、全体の消費電力をまとめたものである。
【0086】
【表4】
表4に示すように、従来の画像形成装置システム、上記第一〜第三の措置を適用した画像形成装置システム、上記第一〜第四の措置を適用した画像形成装置システムの順に、消費電力が低減されることが分かる。
【0087】
さらに、本実施例では、第四の措置を適用するにあたり、高光沢プリントモードにおいて、第1定着装置25の加熱ロール25aと、第2定着装置58の加熱ロール61の温度(T1、T2)が共に所定の設定温度(TS1(2)、TS2)を下回った場合には、より熱容量が小さい加熱ロールの加熱源に対してのみ、電力を供給する。具体的には、第1定着装置25の加熱ロール25aの熱容量を小さくし(約28cal/℃)、熱応答を良く設計し、第2定着装置58の加熱ロール61の熱容量は大きくし(230cal/℃)、温度変動は小さいように設計している。そして、第1定着装置25の加熱ロール25aと、第2定着装置58の加熱ロール61の温度が共に所定の設定温度を下回った場合には、熱容量が小さい加熱ロール、この場合は第1定着装置25の加熱源25dに電力を供給する。
【0088】
表5は、実施例1の各定着装置25,58の温度、設定温度における温度制御ロジックをまとめたものである。
【0089】
【表5】
このように、第1定着装置25の加熱ロール25aの温度を優先して制御することにより、一方で第1定着装置25の温度制御は通常プリントモードと同等の温度変動範囲とし、他方で第2定着装置58は熱応答を敢えて鈍感にすることにより、例えば、20秒間点灯禁止となった場合でも、温度ドループが10℃以下と小さくするようにしている。以上により、表5に示すように、2.0kVA以下で動作可能なシステム構成を確立した。
【0090】
◎実施例2
次に、この発明の第2の実施例について説明する。
【0091】
本実施例は、実施例1の合計電力1,750Wの構成に加え、第2定着装置58の加熱ロール61に(650Wのハロゲンランプ69の他に)新たに200Wのハロゲンランプ69aを追加し、加圧ロール65にも200Wのハロゲンランプ69bを配している。そして、第1定着装置25のハロゲンランプ25a(650W)と第2定着装置58のハロゲンランプ69(650W)が同時点灯しないように制御すると共に、この加熱ロール61のハロゲンランプ69a(200W)と加圧ロール65のハロゲンランプ69b(200W)も同時点灯しないように制御する。
【0092】
表6は、このときの温度制御ロジックを示すものである。表7は、実施例1と実施例2との全体の消費電力をまとめたものである。
【0093】
【表6】
【表7】
第1定着装置25のハロゲンランプ25aと第2定着装置58の加熱ロール61のハロゲンランプ69との対(いずれも650W)、第2定着装置58の加熱ロール61と加圧ロール65のハロゲンランプ対69a、b(いずれも200W)をそれぞれ排他的に制御するため、表7に示すように最大電力は1,950Wと2.0kVA以下に抑えられている。ここで、第1定着装置25のハロゲンランプ25aと第2定着装置58の加熱ロール61のハロゲンランプ69とのランプ対(650W)の制御方法は表5に示すものと同じであり、それを補填するように第2定着装置58の加熱ロール61と加圧ロール65のランプ対69a、b(200W)の点灯を制御する。
【0094】
表6に示すように、第2定着装置25の加熱ロール25aの650Wランプが点灯禁止時には、第2定着装置58の加熱ロール61の200Wランプ69aが優先的に点灯するように制御することで、ベルト加熱により消費電力が大きい第2定着装置58の加熱ロール61の温度変動が小さくなるようにしている。また、第2定着装置58の加熱ロール61の650Wランプ69が点灯可能時には、第2定着装置58の加圧ロール65の200Wランプ69bが優先的に点灯するように制御する。以上により、表7に示すように、2.0kVA以下でより安定的に温度を制御できる動作可能なシステム構成を確立した。
【0095】
実施例3
次に、この発明の第3の実施例について説明する。
【0096】
本実施例に係る画像形成装置システムは、実施例1で説明した消費電力低減のための第一〜第三の措置に加え、第五の措置として、第1定着装置25のハロゲンランプ25dと第2定着装置58のハロゲンランプ69の両方に同時に電力を供給する場合には、供給電力の総和が所定の設定電力値以下となるように各ハロゲンランプ25d、69に対してカットオフ電力を供給するものである。
【0097】
図12は、650VAの電源電圧を200msecを1周期とし、カットオフ時間を10〜190msecまで変化させて、出力電力を測定した結果を示すグラフである。このグラフが示すように、カットオフ時間を調整することで、任意の電力を供給することができる。
【0098】
図13は、第1定着装置25の最大消費電力、第2定着装置58の最大消費電力、第1及び第2定着装置25、58の最大消費電力の時間遷移をそれぞれ表している。第1定着装置25と第2定着装置58の加熱源25d、69を同時点灯する際には200msecの内120msecをカットオフし、650VAの電力を308Wまで低下させて(図12参照)、両加熱源25d、69の電力の和を650W以下になるように制御している。
【0099】
本実施例においては、実施例1と異なり、第1定着装置25と第2定着装置58の加熱ロール25a、61の温度が共に設定温度(TS1(2)、TS2)を下回った場合でも、同時に両方のハロゲンランプ25d、69を点灯するため、実施例1の画像形成装置システムに比べて、加熱ロール61の温度ドループをより小さくすることができる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、装置の最大消費電力を大幅に増やすことなく、第1定着手段と第2定着手段とにより高光沢な画像を得るカラー画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、この発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置システムを示す構成図である。
【図2】 図2は、この発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置のロール式の第1定着装置を示す構成図である。
【図3】 図3は、この発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置のベルト式の第2定着装置を示す構成図である。
【図4】 図4は、第2定着装置の高光沢処理のプロセスを示す図である。
【図5】 図5は、通常プリントモード及び高光沢モードのサンプル表面形状を示す断面図である。
【図6】 図6は、この発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置システムの制御系を説明するブロック図である。
【図7】 図7は、第2定着装置のスタンバイ時の消費電力を示す図である。
【図8】 図8は、第2定着装置の定着動作中の消費電力を示す図である。
【図9】 図9は、第1定着手段の設定温度と消費電力の関係を示す図である。
【図10】 図10は、従来の電力制御ロジックチャートを示す図である。
【図11】 図11は、本発明実施例1の電力制御ロジックチャートを示す図である。
【図12】 図12は、電力のカットオフ制御時の電力変化を示す図である。
【図13】 図13は、本発明実施例2の電力制御ロジックチャートを示す図である。
【符号の説明】
1…カラー画像形成装置(画像形成手段)、25…第1定着装置(第一定着手段)、25d…ハロゲンランプ(第一熱源)、25a…加熱ロール、58…第2定着装置(第2定着手段)、69、69a、69b…ハロゲンランプ(第二熱源)、61…加熱ロール、64…定着ベルト、80…制御部(制御手段)、16…記録シート、16a…普通紙、16b…専用光沢紙
Claims (2)
- 記録シート上に未定着トナー像を形成する画像形成手段と、当該未定着トナー像を保持した記録シートを定着する第一定着手段と、当該第一定着手段により定着された記録シートをさらに定着する第二定着手段と、第一定着手段のみで記録シートを定着する第一定着モードと第一及び第二定着手段で記録シートを定着する第二定着モードとを選択する制御手段とを有する画像形成装置において、
第二定着手段で定着可能な記録シートの幅は、第一定着手段で定着可能な記録シートの幅よりも狭いことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第二定着手段は、複数のロールと、当該ロールに張架され回転される無端状ベルトとを備え、記録シートを当該無端状ベルト表面に密着させ、冷却し、剥離する請求項1に記載の画像形成装置。
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