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JP2005352389A - 定着装置 - Google Patents

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JP2005352389A
JP2005352389A JP2004175629A JP2004175629A JP2005352389A JP 2005352389 A JP2005352389 A JP 2005352389A JP 2004175629 A JP2004175629 A JP 2004175629A JP 2004175629 A JP2004175629 A JP 2004175629A JP 2005352389 A JP2005352389 A JP 2005352389A
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Takeshi Fujino
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Abstract

【課題】連続的に定着処理工程を行うタンデム定着装置100において、定着速度を変えることなく、均一な所望の光沢度を持った画像を出力させる。
【解決手段】タンデム定着装置100において、第1の定着ユニットAの温度変化を補償するように第2の定着ユニットBの目標温調温度を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式の複写機、レーザービームプリンター等の画像形成装置に用いられる定着装置に関するものである。
従来、電子写真装置の出力した画像についてユーザーの印象を左右する要因の一つに光沢度がある。ユーザーの好む光沢度はユーザー毎に異なり、また出力画像によっても違う。一般に、文章等のテキスト画像は光沢度が低い方が好まれ、写真等のグラフィック画像では光沢度が高い方が好まれる。しかしながら、従来の定着後の画像の光沢度は装置毎固有のものでユーザーが細かな選択をすることはできなかった。
ここで、光沢度は定着後のトナー画像の表面性で決まるのだが、従来の画像形成装置では、その表面性はトナーの材質、定着装置の構成等で決まってしまう。詳しく説明すると、定着後のトナー画像の表面性は、定着分離時に決まる。即ち、定着時に充分に溶かされたトナーは定着ローラの表面性と同等の表面性を持って分離し、光沢度は高くなる。また、定着時に完全には溶かされない状態で分離した場合には表面が粗く、光沢度も低くなる。しかし、定着時に充分に溶かすようにすると高温オフセットが生じやすく、また完全には溶かさないようにすると定着不良が生しやすい。
一般に定着性を決める要因は、定着温度、ニップ幅(定着ニップ部の被記録材搬送方向に幅寸法)、定着速度等がある。従って、定着不良と高温オフセットが生じないように定着装置を設定すると、それに応じて光沢度も決まってしまう。実際には定着不良と高温オフセットが生じないような定着装置の設定幅は非常に狭く、例えば定着温度については10℃程度しかないため、この範囲で変えても光沢度はほとんど変わらない。
また、従来には定着速度を切り替えることにより異なる光沢度を選択できる画像形成装置もある。しかし、この場合には選択できる光沢度の数は定着速度の数のみであり、定着速度が2種類の場合には光沢度の選択も2種類となる。そして、その2種類についてもあらかじめ装置構成で決められた2種類の光沢度を選択するしかない。また、定着速度を遅くした場合には、出力までの時間がかかってしまうという問題も生じる。
このような問題に対応するため、本出願人は特許文献1で示される、所謂タンデム定着と呼ばれる構成を提示している。これは、第1の加熱部材と第1の加圧部材により構成され第1のニップ部を形成する第1の定着ユニットと、該第1の定着ユニットの下流に位置し、第2の加熱部材と第2の加圧部材により構成され第2のニップ部を形成する第2の定着ユニットと、前記第1及び第2の定着ユニットの温度を制御する温調手段と、を有し前記被記録材を前記ニップ部に順次搬送させることにより前記被記録材上のトナー画像を定着する定着装置と、を有する画像形成装置において、前記第2の定着ユニットの温調目標温度を変えることにより定着後の画像の光沢度を変えることを特徴とするものである。
詳しく説明すると、特許文献1の発明においては、図14に示すように、2つの定着ユニットA、Bを被記録材Pの搬送方向の上流側と下流側に順に縦列(タンデム)に配置し、上流に配置された第1の定着ユニットAにおいて被記録材P上のトナー画像tを定着させ、下流に配置された第2の定着ユニットBにおいて画像の光沢度を調整する。光沢度の調整は、温調目標温度を変えることにより実行される。即ち、まず第1の定着ユニットAは定着することを目的とし、上述した高温オフセットや定着不良が生じないような設定をする。従って、第1の定着ユニットAを被記録材Pが通過することによりトナー画像tは既に定着されている。この時の表面性、光沢度は常にある値になっている。
そして、第2の定着ユニットBは光沢度を調整することを目的とし、再定着させる。この時、温調目標温度を変えることにより、再定着時の定着性を変えることができ、目標温度を低く設定した場合には表面性をあまり変えずに再定着し、目標温度を高く設定すれば再定着後の表面性は高くなる。これにより、定着スピードを変えることなく光沢度を変えることができる。
第1の定着ユニットAの加熱部材としての定着ローラ1は、外径36mm、内径32mmのアルミニウムの芯金11の上に厚み2.0mmのシリコンゴムの弾性層12を設け、更にその上に厚み50μmのPEAの離型層13を設けたものを用いた。また、加圧部材としての加圧ローラ2も定着ローラ1と同様、外径36mm、内径32mmのアルミニウムの芯金21の上に厚み2.0mmのシリコンゴムの弾性層22を設け、更にその上に厚み50μmのPFAの離型層23を設けたものを用い、従来公知の加圧手段(不図示)により総圧40kg重で定着ローラ1に加圧されている。
そして、定着ローラ1、加圧ローラ2は、熱源としてローラ内部に450Wのハロゲンヒータ14、24が配置される。また、それぞれサーミスタ15、25により検出された温度に基づいて不図示の温調手段により温調制御される。
また、第2の定着ユニットBの加熱部材としての定着ローラ3は、外径18mm、内径14mmのアルミニウムの芯金31の上に厚み1.0mmのシリコンゴムの弾性層32を設け、更にその上に厚み50μmのPFAの離型層33を設けたものを用いた。また、加圧部材としての加圧ローラ4は外径18mm、内径14mmのアルミニウムの芯金41の上に厚み50μmのPFAの離型層43を設けたものを用い、従来公知の加圧手段(不図示)により総圧20kg重で定着ローラ3に加圧されている。
そして、定着ローラ3、加圧ローラ4は、熱源としてローラ内部に450Wのハロゲンヒータ34、44が配置される。また、それぞれサーミスタ35、45により検出された温度に基づいて不図示の温調手段により温調制御される。
特開2002−365967号公報
本出願人の先の提案発明である特許文献1の発明によれば、第1の定着ユニットAにおいてトナーの被記録材に対する固着力を維持しつつ、第2の定着ユニットBにおいてトナーのグロスを任意に制御することが画像形成速度を低下させることなく可能となった。このようなタンデム定着装置を備えた画像形成装置は、均一なグロス特性と、より高速化可能な利点を利用して、現在では電子写真方式を採用したより低コストかつ高画質な印刷装置の代替機として市場に提供されつつある。
本発明はこの先の提案発明の更なる改善発明であり、連続的に定着処理工程を行うタンデム定着装置において、定着速度を変えることなく、均一な所望の光沢度を持った画像を出力させることを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る定着装置の代表的な構成は、第1の加熱部材と第1の加圧部材により構成され第1のニップ部を形成する第1の定着ユニットと、該第1の定着ユニットの下流に位置し、第2の加熱部材と第2の加圧部材により構成され第2のニップ部を形成する第2の定着ユニットと、前記第1及び第2の定着ユニットをそれぞれ加熱する加熱源と、前記第1及び第2の定着ユニットの各々の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知結果を用いて前記第1及び第2の定着ユニットの各々の加熱源を制御することにより前記第1及び第2の定着ユニットの各々の温度を制御する温調手段と、を有し、被記録材を前記ニップ部に順次搬送させることにより被記録材上のトナー画像を定着する定着装置において、前記第1の定着ユニットの温度変化を補償するように第2の定着ユニットの目標温調温度を制御することを特徴とする定着装置、である。
本発明により、連続的に定着処理するタンデム定着装置において、第1の定着ユニットの温度変化を補償するように第2の定着ユニットの温度を制御することで、第1の定着ユニットの温度が低下した場合でも、その逆に上昇した場合でも、定着速度を変えることなく、均一な所望の光沢度を持った画像を出力させることが可能となる。
また、第1の定着ユニットの温度変化を補償するように第2の定着ユニットの外部加熱部材の温度を制御することで、より早い温度変化に対しても対応することが可能となる。
更に、前記温度制御テーブルが、被記録材の坪量、含水分量、被記録材のグロス値、等の属性情報を元に制御動作を行うことにより、より高精度に、定着速度を変えることなく、均一な所望の光沢度を持った画像を出力させることが可能となる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセスを用いたカラーレーザプリンタである。
この画像形成装置内には第1、第2、第3、第4の4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdが併設され、各々異なった色のトナー像(シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像)が潜像、現像、転写のプロセスを経て形成される。
各画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdは、それぞれ専用の像担持体、本例では電子写真感光ドラム71a・71b・71c・71dを具備し、各感光ドラム上に各色のトナー像が形成される。各感光ドラムに隣接して中間転写体(中間転写ベルト)77が設置され、感光ドラム上に形成された各色のトナー像が、中間転写体77上に各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd1の1次転写ニップ部T1にて順次に重畳転写され、2次転写ニップ部T2で被記録材P上に一括して2次転写される。さらにトナー像が転写された記録材Pは、定着装置100に導入されてトナー像の定着処理を受けてカラー画像形成物として装置外の排紙トレイ87に排出される。定着装置100は第1と第2の2つの定着ユニットAとBを有するタンデム定着装置である。この定着装置100については後述する。
感光ドラム71a・71b・71c・71dの外周には、それぞれドラム帯電器72a・72b・72c・72d、レーザスキャナ73a・73b・73c・73d、現像器74a・74b・74c・74d、1次転写帯電器75a・75b・75c・75d及びクリーナ76a・76b・76c・76dが設けられている。
感光ドラム71a・71b・71c・71dは矢印の反時計方向に回転駆動され、その周面がドラム帯電器72a・72b・72c・72dにより所定の極性・電位に一様に1次帯電される。その各感光ドラムの一様帯電面に対してレーザスキャナ73a・73b・73c・73dから出力される、画像信号に応じて変調されたレーザ光La・Lb・Lc・Ldによる走査露光がなされて、各感光ドラム上に画像信号に応じた潜像が形成される。すなわち、レーザスキャナは、それぞれ、光源装置、ポリゴンミラー等が設置されていて、光源装置から発せられたレーザ光をポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光ドラムの母線上に集光して露光することにより、感光ドラム上に画像信号に応じた潜像が形成される。
現像器74a・74b・74c・74dには、現像剤としてそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーが供給装置により所定量充填されている。現像器74a・74b・74c・74dは、それぞれ感光ドラム71a・71b・71c・71d上の潜像を現像して、シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像として可視化する。
中間転写体77は3本の並行ローラ78・79・80間に懸回張設したエンドレスベルト部材であり、矢示の時計方向に感光ドラム71a・71b・71c・71dと同じ周速度をもって回転駆動されている。
第1の画像形成部Paの感光ドラム71a上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像は、感光ドラム71aと中間転写体77とのニップ部である1次転写ニップ部T1を通過する過程で、1次転写器75aから中間転写体77に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と圧力により、中間転写体77の外周面に1次転写されていく。
以下、同様に、第2、第3、第4の画像形成部Pb、Pc、Pdの感光ドラム71b・71c、71d上に形成担持された、第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が1次転写ニップ部T1において順次に中間転写体77上に重畳転写され、中間転写体77上に目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
81は2次転写ローラであり、中間転写体57を懸回張設させた3本のローラ78・
79・80のうちのローラ79に対して中間転写体57を挟ませて圧接させて中間転写体77との間に2次転写ニップ部T2を形成している。
一方、給紙カセット82から被記録材Pが1枚分離給紙されて、シートパス83、シートパス84、レジストローラ85を通過して中間転写体77と2次転写ローラ81との当接部である2次転写ニップ部T2に所定のタイミングで給送され、同時に2次転写バイアスがバイアス電源からに印加される。これにより、中間転写体77上に重畳転写された合成カラートナー画像の被記録材Pへの2次転写がなされる。
2次転写ニップ部T2にて合成カラートナー画像の転写を受けた被記録材Pは中間転写体77から分離されて、定着装置100に導入され、先ず第1の定着ユニットAに、次いで第2の定着ユニットBに導入され、該直列2つの定着ユニットAと定着ユニットBを順次に通ることで被記録材にトナー像が熱圧定着される。
1次転写が終了した感光ドラム71a・71b・71c・71dは、それぞれのクリーナ76a・76b・76c・76dにより転写残トナーをクリーニング、除去され、引き続き次の潜像の形成以下に備えられる。
転写ベルト77上に残留したトナー及びその他の異物は、転写ベルト77の表面にウエブクリーニング装置76のクリーニングウエブ(不織布)を当接して、拭い取るようにしている。
両面コピーモードが選択されている場合には、定着装置100を出た第1面側画像形成済みの被記録材Pがフラッパ88により再循環搬送機構側のシートパス89側に導入され、さらにスイッチバックシートパス90内に入り、次いで該シートパス90から引き出されて再搬送シートパス91に誘導され、該シートパス91から、シートパス84、レジストローラ85を通過して2次転写ニップ部T2に表裏反転状態で所定のタイミングで再導入される。これにより、被記録材Pの第2面側に対して、中間転写体77上のトナー画像の2次転写がなされる。2次転写ニップ部T2にて第2面に対するトナー画像の2次転写を受けた被記録材Pは中間転写体77から分離されて定着装置100へ再導入され、トナー画像の定着処理を受けて両面コピーとして装置外の排紙トレイ87に排出される。
(2)定着装置100
図2は定着装置100部分の拡大模式図である。この定着装置100は、第1の加熱部材と第1の加圧部材により構成され第1ニップ部NAを形成する第1の定着ユニットAと、該第1の定着ユニットAの下流に位置し、第2の加熱部材と第2の加圧部材により構成され第2のニップ部NBを形成する第2の定着ユニットBと、第1及び第2の定着ユニットAとBの温度を制御する温調手段(図3)と、を有し、被記録材Pを前記第1と第2のニップ部NAとNBに順次搬送させることにより被記録材P上のトナー画像tを定着する、タンデム定着方式の定着装置である。
1)第1の定着ユニットA
第1の定着ユニットAにおいて、第1の加熱部材は、厚み1.0mmのアルミニウムの芯金11の上に厚み500umのシリコンゴムの弾性層12を設け、更にその上に厚み20umのPFAチューブの離型層13を設けた直径45mmの第1定着ローラ1と、該第1定着ローラ1の内部に配置された加熱源であるハロゲンヒータ14と、該第1定着ローラ1の表面の温度を検知する検知手段であるサーミスタ15によって構成される。
また、第1の加圧部材は、厚み1.0mmのアルミニウムの芯金21の上に厚み500umのシリコンゴムの弾性層22を設け、更にその上に厚み20umのPFAチューブの離型層23を設けた直径30mmの第1加圧ローラ2と、該第1加圧ローラ2の内部に配置された加熱源であるハロゲンヒータ24と、該第1加圧ローラ2の表面の温度を検知する検知手段であるサーミスタ25によって構成される。
第1定着ローラ1と第1加圧ローラ2を従来公知の加圧手段(不図示)により圧接させ、第1の定着ユニットA側の第1の定着ニップ部NAを形成させる。第1定着ローラ1と第1加圧ローラ2は矢印の方向に駆動機構(不図示)により回転駆動される。
図3において、10は温調回路であり、この温調回路10は、上記のサーミスタ15・25と、電源回路16・26を介してハロゲンヒータ14・24と電気的に接続され、通常時は、サーミスタ15の検知結果をもってハロゲンヒータ14を、サーミスタ25の検知結果をもってハロゲンヒータ25をそれぞれ制御し、第1定着ローラ1と第1加圧ローラ2の温度制御を行う。
ハロゲンヒータ14・24のAC100V印加時のワッテージは、ハロゲンヒータ14は800W、ハロゲンヒータ24は400Wのものを用いた。
2)第2の定着ユニットB
第2の定着ユニットBにおいて、第2の加熱部材3は、厚み1.0mmのアルミニウムの芯金31の上に厚み500umのシリコンゴムの弾性層32を設け、更にその上に厚み20umのPFAチューブの離型層33を設けた第2定着ローラ3と、該第2定着ローラ3の内部に配置された加熱源であるハロゲンヒータ34と、該第2定着ローラ3の表面の温度を検知する検知手段であるサーミスタ35によって構成される。
また、第2の加圧部材4は、厚み1.0mmのアルミニウムの芯金41の上に厚み500umのシリコンゴムの弾性層42を設け、更にその上に厚み20umのPFAチューブの離型層43を設けた第2加圧ローラ4と、該第2加圧ローラ4の内部に配置された加熱源であるハロゲンヒータ44と、該第2加圧ローラ4の表面の温度を検知する検知手段であるサーミスタ45によって構成される。
上記第2の定着ユニットB側の第2定着ローラ3と第2加圧ローラ4の径は、第1の定着ユニットA側の第1定着ローラ1と第1加圧ローラ2の径と同様に直径45mmと直径30mmである。
第2定着ローラ3と第2加圧ローラ4を従来公知の加圧手段(不図示)により圧接させ、第2の定着ユニットB側の第2の定着ニップ部NBを形成させる。第2定着ローラ3と第2加圧ローラ4は矢印の方向に駆動機構(不図示)により回転駆動される。
温調回路10は、サーミスタ35・45と、電源回路36・46を介してハロゲンヒータ34・44と電気的に接続され、通常時は、サーミスタ35の検知結果をもってハロゲンヒータ34を、サーミスタ45の検知結果をもってハロゲンヒータ45をそれぞれ制御し、第2定着ローラ3と第2加圧ローラ4の温度制御を行う。
ハロゲンヒータ34・44のAC100V印加時のワッテージは、ハロゲンヒータ34は800W、ハロゲンヒータ44は400Wのものを用いた。
第1の定着ユニットAと第2の定着ユニットBは縦列に配置され、各々の定着ユニットA・Bの間には従来公知の紙搬送ガイド部材(不図示)が存在し、第1の定着ユニットAの第1の定着ニップ部NAを挟持搬送されて通過した被記録材Pはガイド部材にそって第2の定着ユニットBの第2の定着ニップ部NBを挟持搬送されて通過し、その後排出されるようになっている。
3)第1と第2の定着ユニットA・Bの温度制御
ここで、第1の定着ユニットAの温調と、第2の定着ユニットBの温調をそれぞれ独立して190℃になるように制御させた場合の第1定着ローラ1と第2定着ローラ3の温度推移を図4に示す。また、通紙させた画像のトナー部の光沢度推移のグラフを図5に示す。
定着処理条件は、A4サイズの坪量100gの普通紙を被記録材とし、その被記録材の上にシアン色のトナーを縦2cm・横5cmの色パッチとして形成させた。そのトナー画像をプロセススピード120mm/s、30PPMで連続通紙させた。実験は室温20℃、相対湿度55%の温湿度環境下で行った。光沢度は定着処理後の画像のシアントナーのパッチ部を、(株)日本電色のグロス計PG−1M(75°)を用いて計測した。
図4のグラフからわかるように、第1定着ローラ1の温度は、通紙開始直後から急激に低下し始め、通紙7,8枚目で最下点に達し、その後徐々に復帰して最終的に190℃前後で推移するようになる。また、第2定着ローラ3の温度は、第1定着ローラ1の温度に比べると温度変動が少なく、ほぼ190℃近辺で推移する。
その結果、図5のグラフから、1枚目の光沢度に比べて、第1定着ローラ1の温度の最下点近傍付近では約5程度低下し、その後徐々に光沢度約20〜22の範囲に収束していくことが分かる。すなわち、第1定着ローラ1の温度が約190℃前後に収束した後の状態ではレンジで約2程度の変動幅で済むのに対し、収束する前の状態では、光沢度の変動幅が倍以上あるのである。
このような光沢度の変化が、第1定着ローラ1と第2定着ローラ3の温度変動に応じていることを示すグラフが図4である。
図4は、第1定着ローラ1と第2定着ローラ3の温度を任意に変え、タンデム定着させた場合の光沢度を表したグラフで、グラフの各線が第1定着ローラ1の温度を、横軸が第2定着ローラ3の温度、縦軸が光沢度を示している。
逆に考えると、この図6のグラフから、既に説明した条件下において、第1定着ローラ1の温度を170℃から230℃まで変化させた場合に、第2定着ローラ3の温度が何度であればある所望の光沢度(本実施例では、第1定着ローラ1が190℃、第2定着ローラ3が190℃の場合の光沢度である約21.5)となるかが判明するわけである。
このようなグラフから、基準グロスを21.5としたときの、第1定着ローラ1の温度と第2定着ローラ3の温度の関係を導き出したものが図7のグラフである。
図7のグラフから近似すると、光沢度21.5を導き出すための変換式は、以下のように求められる。
(第2定着ローラ温度)=−0.42×(第1定着ローラ温度)+269.8(℃)
・・・・式1
すなわち、第1定着ローラ1の温度推移に対して、式1で求められる第2定着ローラ3の温度になるように温度制御を行うことで、第1定着ローラ1の温度によらず、一定の光沢度となる画像を提供することが可能となるのである。
ここで、本発明の特徴である、第1の定着ユニットAの温度変動を補償するように第2定着ユニットBの温度を制御する方法について述べる。図8はこの制御する方法のフロー図である。今後、本発明の制御状態を「グロス補正温調モード」と呼称する。
温調回路10は、サーミスタ15によって検知した第1定着ローラ1の表面温度をT1、第1定着ローラ1の目標温調温度をT2とすると、その差分を第1定着ローラ1の温度変動値「α=T1−T2」として求める機能を持つ。
次に、第1定着ローラ1の温度変動値αが第1定着ローラ1の非通紙時の通常温調状態で持つ温度リップルを超えた場合、グロス補正温調モードに入る。ここで、温度リップルが大きい装置の場合、その分だけグロス補正温調モードに入るかどうかの温度マージンが必要となる。逆に言えば、グロス変動の最大振れ幅の目標値から、最大許容し得る温度リップルを算出し、それ以内に温度リップルが入るような定着装置構成を設計する必要がある。ここで、一般的に温度リップルは定着ローラの熱容量および熱伝導率に大きく依存するため、より低熱容量な構成を採る事が望ましく、またより高い熱伝導率であることが望ましい。本発明では一般的な定着ローラのゴム厚みよりも更に薄い500umのシリコンゴムを用い、アルミニウムの芯金も1.0mmに抑えることで、通常状態での温度リップルを3℃以下に抑えることで、結果としてグロス補正モード時でのグロス変動の最大振れ幅を目標値以下に抑えることが可能になっている。また、本発明では具体的な構成について述べないが、例えばハロゲンヒータを熱応答性の優れたIHヒータ(電磁誘導加熱)にすることや、温度検知手段であるサーミスタをより応答性の高い非接触式の赤外線検知センサーを用いることや、より低熱量化するために加圧ローラをエンドレスベルトにすることで、本発明の効果を得ることが可能であることは当然である。
本実施例では、αが絶対値で3℃以上になった場合、すなわちαが−3℃以下か3℃以上となった場合に、グロス補正温調モードに入ることにする。また、グロス補正温調モードに入った後、連続した定着処理が終了するか、第1定着ローラ温度変動値αが1.5℃以下になった場合、速やかに通常モードに復帰する。
ここで、第2定着ローラ3の通常状態での目標温調温度をT4とすると、グロス補正温調モードにおいては、第2定着ローラ3の本来の目標温調温度T4に第2定着ローラ3の温度補正値βを加算した値(T4+β)℃で第2定着ローラ3の温調制御を行う。
すなわち、式1を補正値α、βで表すと、本実施例においては以下の式となる
T4+β=−0.42×T1+269.8
T4+β=−0.42×(α+T2)+269.8
ここで、本実施例ではα=190℃、β=190℃であるため、
β=−0.42×α・・・・式2
ここで、温調回路10は温度制御の関係上、1℃刻みの整数値で計算されるため、実際の制御では小数点以下は四捨五入される。
温調回路10は、第1定着ローラ1の温度推移をチェックし、連続通紙時の目標温調温度T2とサーミスタ15によって検知した温度T1との差分である温度変動値αの絶対値が3以上になった場合に、第2定着ローラ3の通常状態での目標温調温度T4と、換算式β=−0.42αで求められる補正値から、第2定着ローラ3の温度が(T4+β)となるように温度制御を行うことで、第1定着ローラ1の温度によらず、一定の光沢度となる画像を提供することが可能となるのである。
ここで、換算式のβとαの関係を表す係数である−0.42は、第1定着ローラ1と第2定着ローラ3の各々の温調温度やニップ幅、被記録材の光沢度、被記録材の坪量、トナーの溶融性などの様々な要因の複合により決定される係数であり、所定の条件で実験することにより得られる固有の値、すなわち条件係数kである。
すなわち、これを式で表現すると
β=k・α+L・・・・式3
ここでLは近似化する際の誤差を調整する係数である。
よって、例えば被記録材の坪量のみを変え、他の条件を固定化させて条件係数kを導き出し、被記録材の坪量毎に最適化してフィードバックすることにより、異なる坪量を持つ被記録材を用いて連続で定着処理を行っても、それぞれ均一な所望の光沢度をもった画像を出力させることが可能となる。
以上の制御によって、実際の第1定着ローラ1と第2定着ローラ3の温度推移や、光沢度の変動の実験結果がどのようになるかを以下に説明する。
第1の定着ユニットAの通常状態での目標温調温度T2を190℃、第2の定着ユニットBの通常状態での目標温調温度T4を190℃として、グロス補正温調モードを実施した場合の、第1と第2の定着ローラ1・3の温度推移T1とT3を図9のグラフに示す。また、グロス補正温調モードを実施した場合の通紙させた画像のトナー部の光沢度推移のグラフを図10に示す。
図9から分かるように、第2定着ローラ3の表面温度T3は、第1定着ローラ1の表面温度T1が下がった場合に、最終的な光沢度を維持するために通常状態の目標温調温度T4よりも温度補正値βだけ高い温度を維持しようとする。また、本実施例では説明しないが、逆にオーバーシュートで第1定着ローラ1の表面温度T1が目標温調温度T2よりも高くなった場合は、通常状態の目標温調温度T4よりも温度補正値βだけ低い温度を維持しようとする。
但し、より厳密には第2定着ローラ3の持つ熱時定数による温度上昇の遅れや、被記録材が通紙されることによって若干表面温度が低下するため、グロス補正温調モードでの目標温調温度(T4+β)と表面温度T3には若干のズレがあるが、既に説明した条件係数L(本実施例では0という値)を微調整することにより最適化することが可能である。
ここで、図10から分かるように、既に説明したグロス補正温調モード制御を行うことで、本発明の制御を行っていない場合の光沢度の推移である図3に比べて、安定した所望の光沢度、本実施例では約21.5±0.7、が得られた。
以上説明したように、本実施例で説明した、第1の定着ユニットAの温度変動を補償するように第2の定着ユニットBの温度を制御する方法である「グロス補正温調モード」を用いることで、連続定着処理の間において、各々のトナー画像のグロスがほぼ均一とすることが可能となった。
また、本実施例では詳しく説明しないが、光沢度だけではなく、被記録材に対するトナーの定着性も同様に安定した所望の状態を維持できている。これは、グロス補正温調モードにより最終的に被記録材とトナーに与えられる熱量が常にほぼ同等であることから得られる当然の結果である。
本実施例では、加熱部材、加圧部材をそれぞれ回転体として構成したが、例えばいずれか一方、もしくは両方ともエンドレスベルトを用いたベルト定着部材、もしくはベルト加圧部材であっても良い。また、加熱部材もしくは加圧部材のいずれか、もしくは両方に外部加熱部材を接触させて加熱させる構成をとっても良い。また、本実施例では加熱源としてハロゲンヒータで構成されているが、いかなる種類の加熱源であったとしてもほぼ同様の効果を得ることが可能である。
図11は本実施例における定着装置100の拡大模式図である。図12はこの定着装置の温調系のブロック図である。本実施例における定着装置100は、前述の図2の定着装置100において、第1定着ローラ1と第2定着ローラ3に対してそれぞれ更に第1外部加熱装置5と第2外部加熱装置6を具備させたものである。
第1外部加熱装置5は、第1定着ローラ1を外部から加熱する装置であり、厚み2.0mmのアルミニウムの円筒状基体からなる第1外部加熱ローラ51と、この第1外部加熱ローラ51の内部に配置された600Wのハロゲンヒータ52と、第1外部加熱ローラ51の表面温度を検知して温調回路10に電気的に接続されるサーミスタ53から構成される。
また、第2外部加熱装置6は、第2定着ローラを外部から加熱する装置であり、厚み2.0mmのアルミニウムの円筒状基体からなる第2外部加熱ローラ61と、この第2外部加熱ローラ61の内部に配置された600Wのハロゲンヒータ62と、第2外部加熱ローラ61の表面温度を検知して温調回路10に電気的に接続されるサーミスタ63から構成される。
それ以外の部材の説明に関しては、特に記載が無い限り前記実施例1に倣う。また、第1外部加熱装置5および第2外部加熱装置6は、第1定着ローラ1および第2定着ローラ3に対して、不図示の加圧機構を用いて離脱状態と接触状態に可変可能となるように構成されている。また、各々の外部加熱装置5・6と定着ローラ1・3によって形成される外部加熱ニップ部は、接触状態においてはある所定の幅を持つように構成されている。
本実施例の特徴は、第1定着ローラ1の表面温度T1と通常状態の目標温調温度T2の差分である第1定着ローラ温度変動値αと所定の変換式から温度補正値βを算出し、第2定着ローラ3の目標温調温度T4と、第2外部加熱ローラ61の目標温調温度T8にそれぞれフィードバックすることで、連続定着処理の間で均一なグロスを持った画像を出力することにある。
ここで、外部加熱装置5・6が必要な理由を詳しく説明すると、前記実施例1においては、第1定着ローラ1および第2定着ローラ3の加熱源が、ローラ内部にあるハロゲンヒータ14および34のみで構成されている。ここで、市場のニーズに対応するため、より定着処理を高速化させようとした場合、被記録材によって奪われる熱量は速度に応じて増大するため、定着ローラ1・3の表面温度を維持するためには、加熱量を上げる必要がある。よって、定着ローラ1・3の内部だけではなく、外部からも加熱することにより、より効率的に加熱量の増加を図ることが望ましい。また、定着ローラ内部の発熱量を処理速度に応じて単純に上げても、定着ローラの弾性層が持つ熱容量や熱時定数により、表面の温度は速やかには回復しない。更に、内部の発熱量が高すぎると、定着ローラの芯金の温度が高温となり、定着ローラの芯金と弾性層を架橋しているプライマー層が破壊されて定着ローラの寿命が短くなるといった弊害もある。
一方で、従来の外部加熱装置を用いたタンデム定着装置においては、第1の定着ユニットと第2の定着ユニットの温度制御がそれぞれ独立であるため、実施例1で既に説明したように、連続した定着処理を施す場合に第1定着ローラ1の温度変動があるため、所望の均一なグロスを持った画像を出力するには問題がある。
そこで、本実施例においては、まず実施例1と同様に、所定の定着処理速度、所定の被記録材の種類、第1定着ローラ1の表面温度T1、第2定着ローラ3の表面温度T3、等の条件において、所望の光沢度を得ることが可能な第1定着ローラ温度変動値αと温度補正値βの条件係数kを導きだす。
更に、温調回路10が、第1定着ローラ1の温度推移をチェックし、連続通紙時の目標温調温度T2とサーミスタ15によって検知した温度T1との差分である温度変動値αの絶対値が所定の値以上になった場合に、第2定着ローラ3の通常状態での目標温調温度T4と、換算式β=k・αで求められる補正値から、第2定着ローラ3の表面温度が(T4+β)となるように、第2外部加熱ローラ61の目標温調温度を(T8+β)、第2定着ローラ2の目標温調温度を(T4+β)で温度制御を行うことで、第1定着ローラ1の温度によらず、一定の光沢度となる画像を提供することが可能となるのである。
本実施例の特徴は、前記実施例2において、第1の定着ユニットAの第1定着ローラ(加熱部材)1、第1外部加熱ローラ(外部加熱装置)51、第1加圧ローラ(加圧部材)2の少なくとも一つの温度変化を補償するように、前記第2の定着ユニットBの第2定着ローラ(加熱部材)3、第2外部加熱ローラ(外部加熱装置)61、第2加圧ローラ(加圧部材)4の少なくとも一つの目標温調温度を制御する際に必要とされる条件係数k、Lを、被記録材の坪量、含水分量、被記録材の光沢度、等の属性情報を元に作られた温度制御テーブルから導き出し、画像形成装置にそれらの情報が入力された場合に、適切な条件係数k、Lから作成された温調制御テーブルをもって温度制御を行うことにある。
詳しく説明すると、既に実施例1で説明したように、第1定着ローラ1の表面温度T1と第2定着ローラ3の表面温度T3に応じた画像の光沢度の関係は、図5で示されるようなグラフで導くことが可能である。更に、図5のグラフから、ある所定の光沢度を得る場合に必要な第1定着ローラ1と第2定着ローラ3の温度は、図6で示されるような近似式である
β=k・α+L・・・・式3
から導くことが可能となる。
よって、例えば被記録材の坪量を80g/ m2、100g/m2、160g/m2、200g/m2と4段階に振り、既に説明した方法を用いて図5および図6のような特性グラフを作成することで、各々の坪量毎の条件係数k1〜k4、L1〜L4を得ることが可能である。
実際に、実施例1において説明した構成において、光沢度21.5の画像を得る場合の、被記録材の4段階の坪量と、被記録材の3段階の含水分量から導かれた条件係数k、Lのテーブルを図13に示す。
このような条件係数k、Lのテーブルを、あらかじめ画像形成装置が所望の光沢度や被記録材の坪量、被記録材の光沢度、含水分量毎に持ち、更に画像形成装置がそれらの情報を検知する機能を持ってフィードバックしたり、またはユーザーが所望の光沢度を入力したり、使用する被記録材の情報を入力または選択する等の方法によって、常に最適の条件を導き出し、定着装置が温度制御処理を行うことによって、様々な条件下においても、連続した定着処理を施す際に、常に一定の所望の光沢度をもった画像を出力することが可能となる。
以上説明したように、連続的に定着処理工程を行うタンデム定着装置において、第1の定着ユニットの温度変動を補償するように第2定着ユニットの目標温調温度を制御することによって、定着速度を変えることなく、均一な所望の光沢度を持った画像を得ることが可能となる。
より多様化する市場のニーズに対応するため、印刷機と同等の機能を目指して、画像形成速度を向上させて被記録材を連続的に定着処理させる、または、坪量の異なる被記録材(薄紙と厚紙など)を混在させて連続で定着処理させようとすると、第1の定着ユニットAは最低限の定着性を確保するために、室温から例えば140℃以上(画像形成速度やトナーの融点によってこの値は変わる)にまで加熱する必要があるため、多大な加熱力が必要となる。ここで、定着ユニットAが常にいかなる状態でも一定の温度を維持できれば良いが、実際には連続して定着処理を施した場合の温度変化を抑制することは、より高速化、連続化されればされるほど困難になっていく。すなわち、第1の定着ユニットAは、画像形成を行わない、いわゆるスタンバイ状態においては、内部の熱源は加熱力をあまり必要せず、熱源は常時点灯していないため、蓄熱量は低い。その一方で、画像形成が行われ連続的に通紙されている状態においては、加熱部材の表面温度を維持するために加熱源が連続的に点灯しており、加熱部材の表面温度がスタンバイ状態と同じであっても定着ローラ内部の蓄熱量は高くなる。この状態変化に応じた蓄熱量の差は、より高速化・連続化することにより顕著になっていく。
そのため、スタンバイ状態から画像形成状態に移行し、被記録材によって第1の定着ユニットに蓄熱されていた熱が奪われ始めると、加熱源がフル点灯し始めてその熱が加熱部材表面に達する一定時間の間は、第1の定着ユニットAはその蓄熱量差分だけ温度降下するため、第1定着ユニットAの加熱部材の表面温度は目標温調温度を一時的に下回ってしまう。これを回避するためには、加熱部材のスタンバイ状態の蓄熱量を連続通紙状態の蓄熱量と同じにする必要があるが、当然ながらスタンバイ状態では加熱部材の熱を奪う被記録材が存在しないため、加熱部材表面の温度が上昇し過ぎてしまい、最初に通紙させる被記録材のトナーが過溶融されて、ホットオフセットや溶けすぎによるグロス変動が大きくなってしまい、本来の目的を達成することが不可能となる。
これとは反対に、一時的に通紙工程が停止した場合(例えば、画像調整処理など)、定着ローラ表面の熱を奪う被記録材が無いため、定着ローラの温度が温調温度を超えて上昇する所謂オーバーシュートが発生してしまい、通紙工程が再度スタートした時点でオーバーシュートが回復していないと、第1の定着ユニットAの加熱部材の表面温度は目標温調温度を一時的に上回ってしまう場合もある。これを回避するためには、例えばオーバーシュートが完全に回復するまで通紙工程を停止させ続けるといった方法があるが、この方法は当然ながら画像形成装置の生産性が低下し、ユーザーの利益を損なうことに繋がる。
また、坪量の異なる被記録材(厚紙と薄紙など)が混在して定着処理を行う場合、定着ユニットAの維持温度はそのような被記録材の状態(紙の重量や含水分量等)に応じて上下することは自明である。そのため、坪量の異なる被記録材が混在した場合においては、第1の定着ユニットAにおいて一回定着処理を施された被記録材を、第2の定着ユニットBで一定の温度で通紙させると、実際には第1定着ユニットAの温度変化に応じてグロスや定着性が変化してしまうという問題が発生する。この問題を解決するためには、例えば連続して定着処理を施す被記録材の坪量や含水分量を均一にして定着ユニットAの温度変化を少なくすることが最も簡単な解決策であるが、坪量の異なる被記録材を混在させない場合、例えば製本加工処理(本やカタログ、マニュアル等の坪量の異なる被記録材を一括して画像形成する)において、表紙を坪量の大きな光沢紙を用い、仲挿しの被記録材を坪量の低くてページのめくりやすいものを用いるといった複雑な画像形成を一括で行えなくなり、印刷装置として製本加工処理機能を使用したいユーザーの要求を満たせなくなる。
本発明によれば、連続的に定着処理工程を行うタンデム定着装置において、定着速度を変えることなく、均一な所望の光沢度を持った画像を出力させることが可能である。このような本発明の優れた効果は、タンデム定着装置以外の手段では達成することが困難であり、また第1定着ユニットと第2定着ユニットの温度制御を関連づける手段を持たないタンデム定着装置においても達成することが困難である。
画像形成装置の一例の概略構成模型図。 定着装置部分の拡大模型図。 定着装置の温調系のブロック図。 従来のタンデム定着装置における第1定着ローラと第2定着ローラの表面温度推移を表すグラフ。 従来のタンデム定着装置における出力画像の光沢度の推移を表すグラフ。 実施例1の第1定着ローラと第2定着ローラの表面温度を変化させた場合の光沢度の特性を表すグラフ。 実施例1の所定の光沢度を得る場合の第1定着ローラ温度と第2定着ローラ温度と条件係数k、Lの関係を導いたグラフ。 第1の定着ユニットの温度変動を補償するように第2定着ユニットの温度を制御する方法方法のフロー図。 実施例1のグロス補正温調モードをONした場合の第1定着ローラと第2定着ローラの表面温度推移を表すグラフ。 本発明に関わる実施例1のグロス補正温調モードをOFFした場合とONした場合の光沢度の推移を表したグラフ。 実施例2の定着装置部分の拡大模型図。 実施例2の定着装置の温調系のブロック図。 実施例1において説明した構成において、光沢度21.5の画像を得る場合の、被記録材の4段階の坪量と、被記録材の3段階の含水分量から導かれた条件係数k、Lのテーブル。 従来のタンデム定着装置概略構成模型図。
符号の説明
A・・第1の定着ユニット、B・・第2の定着ユニット、1・・第1定着ローラ、2・・第1加圧ローラ、3・・第2定着ローラ、4・・第2加圧ローラ、5・・第1の外部加熱装置、6・・第2の外部加熱装置、10温調回路、11,21,31,41・・・芯金、12,22,32,42・・・弾性層、13,23,33,43・・・離型層、14,24,34,44・・・ハロゲンヒータ、15,25,35,45・・・サーミスタ、51,61・・・外部加熱ローラ、52,62・・・ハロゲンヒータ、53,63・・・サーミスタ

Claims (6)

  1. 第1の加熱部材と第1の加圧部材により構成され第1のニップ部を形成する第1の定着ユニットと、該第1の定着ユニットの下流に位置し、第2の加熱部材と第2の加圧部材により構成され第2のニップ部を形成する第2の定着ユニットと、前記第1及び第2の定着ユニットをそれぞれ加熱する加熱源と、前記第1及び第2の定着ユニットの各々の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知結果を用いて前記第1及び第2の定着ユニットの各々の加熱源を制御することにより前記第1及び第2の定着ユニットの各々の温度を制御する温調手段と、を有し、被記録材を前記ニップ部に順次搬送させることにより被記録材上のトナー画像を定着する定着装置において、
    前記第1の定着ユニットの温度変化を補償するように第2の定着ユニットの目標温調温度を制御することを特徴とする定着装置。
  2. 前記第1の定着ユニットの目標温調温度に対して第1の温度検知手段で検知した温度が所定の値だけ下回った場合に、前記第1の定着ユニットの目標温調温度と検知温度との差分を補償するように、前記第2の定着ユニットの温度を上げることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記第1の定着ユニットの目標温調温度に対して第1の温度検知手段で検知した温度が所定の値だけ上回った場合に、前記第1の定着ユニットの目標温調温度と検知温度との差分を補償するように、前記第2の定着ユニットの温度を下げることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 第1及び第2の定着ユニットの少なくとも一方が、各々の加熱部材を外部から加熱する外部加熱手段を有し、第1の加熱部材もしくは第1の外部加熱手段の少なくとも一方の温度変化を補償するように、第2の加熱部材もしくは第2の外部加熱手段の少なくとも一方の目標温調温度を制御することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の定着装置。
  5. 前記第1の定着ユニットの加熱部材、外部加熱手段、加圧部材の少なくとも一つの温度変化を補償するように、前記第2の定着ユニットの加熱部材、外部加熱手段、加圧部材の少なくとも一つの目標温調温度を制御することを可能とする温度制御テーブルを持つことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の定着装置。
  6. 前記温度制御テーブルが、被記録材の坪量、含水分量、被記録材のグロス値、等の属性情報を元に制御動作を行うことを特徴とする請求項5記載の定着装置。
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