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JP3943660B2 - 空冷４サイクル汎用エンジン - Google Patents

空冷４サイクル汎用エンジン Download PDF

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  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケース蓋を含むクランクケースの両側に配した転がり軸受によりクランク軸を両持ち支持させ、該クランク軸の一側を出力軸とする空冷４サイクル汎用エンジンに係り、より具体的には空冷４サイクル汎用エンジンのクランクケース内の軸受構成に関する。
【０００２】
【従来の技術】
空冷４サイクル汎用エンジンではそのエンジンを搭載する作業機によって異なる要求事項が課せられるが、例えば圧縮機や軸流ポンプ、プロペラ軸直結船外エンジン等においては高速の要求の為に、クランク軸を出力軸とし、農業機械関係では低速の出力の要求が多い為にクランク軸の回転速度の１／２等に減速したカム軸を出力軸とするエンジンが多用されている。
そして前者のクランク軸を出力軸するエンジンクランク軸の軸受は、シリンダヘッド内の燃焼ガス圧力によりピストンが受けるラジアル負荷と、出力軸として加えられる外部のラジアル及びスラスト負荷に対応できる負荷容量の玉軸受により両持ち支持構成であるが、その玉軸受は中程度負荷用の標準玉軸受が一般的であり、部品や加工の共通性のため玉軸受はクランク軸の両側とも同じサイズのものを使用する場合が多い。
【０００３】
また、汎用エンジンには回転数を調整するためのガバナ装置が欠かせないものであるが、通常の機械的なガバナ装置はクランクケース内に収納されクランク軸に直接駆動される構成となっており、このようなガバナ装置について、特開平５−４４５２２号に開示されたものを例として取り上げ、下記図３に基づいて構成の概略を説明する。
図３はクランクケース内の内部構成を示し、図中クランク軸５はクランクシャフト５ａ1 、５ａ2 、クランク腕５ｂ及びクランクピン５ｃからなり、該シャフト５ａ1 、５ａ2 はクランクケース１７とケース蓋１８夫々に取付けた同一外径の玉軸受４０ａ、４０ｂにより両持ち支持されており、該クランク軸５の出力側シャフト５ａ1 にタイミング歯車３を軸着し、カム歯車８を介してカム軸７にクランク軸５の回転力を伝達可能に構成されている。カム軸７はクランクケース１７とケース蓋１８夫々に取付けた同一外径のすべり軸受７０ａ、７０ｂにより両持ち支持されている。
【０００４】
そして本従来技術においては、特にガバナ駆動歯車２を、タイミング歯車３よりもクランクシャフト５ａ1 軸端よりに配設し、且つ、このガバナ駆動歯車２をタイミング歯車３の外周囲に着脱自在に装備した構成を取るとともに、小型化したガバナ機構１０をクランクケース１７の出力側シャフト５ａ1 下方とクランクケース１７及び蓋１８底部との間を下方に延在した空間７０に収納し、クランクケースの拡大を僅かにとどめ小型化の要請を可能としたものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記クランク軸の出力軸に対する負荷、特に例えば軸流ポンプ、プロペラ軸直結船外エンジン等のように出力軸を引く方向のスラスト負荷が大きい場合は、前記従来技術に示すようにクランク軸を両持ち支持する玉軸受に同一外径のものを用いる軸受共用の軸受構成では軸受容量が不十分で、長期の耐久性を維持出来ない。
一方外径の大きな軸受を使用すると、クランク軸とカム軸との距離が増大するのでクランクケースが必然的に大きくなり、小型化の要請に反する。
【０００６】
このような場合に軸受径を変えずに材質を変え、軸受部品の嵌合を厳しくして軸受容量を増大した特殊な軸受を使用することもできるが、クランク軸との嵌合精度を高くする必要があり、選択嵌合となるため組み立ての自動化が困難となる。また、標準仕様の玉軸受とサイズが同一であるため、組立間違いを生じる恐れもある。
また、前記従来技術のように、クランク軸の出力軸側にカム歯車／カム軸受けとともに、調速ガバナ／ガバナ駆動歯車が出力側に設置する構成をとるために、例え極力小型化を図るにしてもクランクケース７及び蓋８底部との間を下方に延在した空間７０を必要とし、クランクケースが過大となる不具合を生じる。
【０００７】
本発明はクランクケースの小型化の要請を達成しつつ、特殊な軸受を使用せず、大型の標準精度の玉軸受を使用して軸受容量を増大することの出来、更には、加工の容易化と組み立ての自動化が可能となり、この結果、加工、組立コストが安上がりとなるとともに組立間違いを生じる恐れもない空冷４サイクル汎用エンジンを提供する事を目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項１においては、一対のクランク腕により挟まれる中央側にクランクピンを有し、該クランク腕より軸端側に位置するシャフト部をケース蓋を含むクランクケースの両側に配した転がり軸受により両持ち支持させ、該クランク軸の一側を出力軸とする空冷４サイクル汎用エンジンにおいて、
前記クランク軸の出力側に配した第一の転がり軸受（好ましくは玉軸受）の外径を、他側に配した第二の転がり軸受（好ましくは玉軸受）の外径より大に、前記第一の転がり軸受の外径を、前記クランク腕回転軌跡の外側に位置するカム軸と前記クランク軸との軸距離と同一かそれより大きい外径に設定するとともに、該クランク軸により駆動されるカム軸の軸受をすべり軸受（プレーンベアリング、平軸受）とし、前記クランク軸の出力側の前記シャフト部に前記カム軸駆動用歯車が、その反対側に位置する冷却ファン側の前記シャフト部にガバナ駆動歯車が夫々軸着され、前記ガバナ駆動歯車により駆動される回転調整ガバナを、クランク軸のシャフト部を挟んでカム軸の反対側に位置するクランクケース内に収容したことを特徴とする。
【０００９】
かかる発明によれば、例えば軸流ポンプ等のスラスト負荷が大きい作業機を取付けた場合でも、クランク軸出力軸側に大外径の大負荷容量の玉軸受を取付けているために、十分な軸受容量と耐久性を確保出来る。
一方外径の大きな軸受を使用すると、クランク軸とカム軸との距離が増大するのでクランクケースが必然的に大きくなるが、本発明においてはカム軸の軸受をすべり軸受とすることで軸受径を小さくすることが出来、これにより容易に小型化が達成し得る。
【００１１】
さらに、かかる発明によれば、クランク軸の出力軸側にはカム歯車／カム軸受けが、その反対側に位置する冷却ファン側には調速ガバナ／ガバナ駆動歯車が、クランクピンを中心に左右に振分けられてクランクケース内に配列されているために、クランクケースに特別な空間を延在させる等の不具合を生じることなく容易に小型化が達成される。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、図１及び図２を参照して、シリンダが傾斜した汎用４サイクル単筒エンジンに、本発明を適用した好適な実施形態について例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図１は、本発明の実施の形態に係る４サイクル単筒エンジンの側面断面図で、図２は図１のＡ−Ａ断面図である。
これらの図において、１はシリンダが傾斜した４サイクル単筒エンジン全体を示し、５はクランク軸で、クランクシャフト５ａ1 、５ａ2 、クランク腕５ｂ及びクランクピン５ｃからなり、該シャフト５ａ1 、５ａ2 はクランクケース１７とケース蓋１８夫々に取付けた玉軸受２５、２６により両持ち支持されており、そして該クランク軸５の出力軸の反対側にはフライホイールマグネットを兼用する冷却ファン２８が取付けてある。
【００１３】
かかる点は前記従来技術と同様であるが、本実施形態では、前記クランク軸５の出力側の即ちケース蓋１８に取付けた玉軸受２５の外径を、冷却ファン２８側に配した玉軸受２６の外径より大に、好ましくはクランク軸５の出力軸側、即ち、ケース蓋１８に取付けた玉軸受２５はクランク軸５とカム軸７の軸距離と同一か若しくはより大きい外径を有する大負荷容量の玉軸受２５に設定する。
冷却ファン２８側に配した玉軸受２６は従来技術と同様な並のサイズの玉軸受２６に設定する。
【００１４】
従って玉軸受２５はピストン３０が受けるシリンダ燃焼ガス圧力によるラジアル負荷に加え、出力軸としてクランク軸５が直接受ける大きなラジアル負荷及び出力軸を引く方向の大きなスラスト負荷にも耐えられる重負荷用とすることが出来る。
【００１５】
一方、前記クランク軸５の出力側シャフト５ａ1 にカム駆動歯車１４が、又その反対側に位置する冷却ファン２８側シャフト５ａ2 には、ガバナ駆動歯車１３が夫々軸着されており、カム駆動歯車１４はカム歯車８に歯合されカム軸７にクランク軸５の回転力を伝達可能に構成されている。
カム軸７はクランクケース１７とケース蓋１８夫々に取付けた同一外径のすべり軸受７ａ、７ｂにより両持ち支持されている。
【００１６】
すべり軸受７ａ、７ｂは、クランクケース１７及びクランクケース蓋１８に開けられた軸穴をそのまま又はメタルやブッシュを嵌入してカム軸７より僅かに大径の平軸受（プレーンベアリング）としている。
ガバナ装置１５は冷却ファン２８側シャフト５ａ2 下方のクランクケース１７内に配設され、そして該ガバナ装置１５は、クランク軸５に軸着するガバナ駆動歯車１３により駆動される歯車１６ａを備えた回転筒１６と、該回転筒１６に対称に固設された複数の軸２３と、軸２３に回転可能に支持された複数の重錘２２と、クランクケース１７に固設されたガバナ１９と、フランジを備えた移動筒２０と、ガバナ作動取出軸２１とにより構成され、クランク軸５の回転がガバナ駆動歯車１３及び歯車１６ａを介して回転筒１６に伝えられると、回転筒１６と共に回転する重錘２２が遠心力の作用で移動筒２０を押し出し、移動筒２０の変位をアーム２１ａによりガバナ作動取出軸２１の角度変位としてクランクケース１７の外へ伝達する。
【００１７】
ガバナ作動取出軸２１のクランクケース１７の外に突き出した部分には、アーム２１ａを押し戻す方向にバネ（不図示）により付勢された不図示のレバーが取付けられ、不図示の気化器のスロットルバルブに連動している。この不図示のレバーに取付けられているバネの付勢力を加減することにより、エンジンの回転数を調整することができる。
尚、図中６はピストン３０とクランクピン５ｃ間を連設するコネクチングロッド、３１はシリンダ、３２はシリンダヘッド、 ３５はヘッドカバー、３６は給油タンク、３４はカム軸７に軸着されたカム、３３は前記カムにより往復動するプッシュロッドで、吸／排気弁の開閉制御を行なう動弁機構の一部をなす。かかる構成は周知であるためにその詳細な説明は省略する。
【００１８】
次に係る実施形態の作用を説明すると、クランク軸５の出力側シャフト５ａ1 に重負荷用の大径の玉軸受２５を設けたので、クランク軸５を出力軸として、大きいラジアル荷重に対しては勿論、軸流ポンプ、プロペラ軸直結船外エンジン等の出力軸を引っ張る方向の大きなスラスト荷重が掛かる外部の負荷と直結しても、十分にその負荷に耐えて適合することができる。
【００１９】
又クランクケース蓋１８のシャフト５ａ1 取付け場所付近の空間が、大型の玉軸受２５により占領されても、クランクケース蓋１８の軸穴（必要によりメタルやブッシュを嵌め込んでもよい）はすべり軸受７ａ、７ｂとしてカム軸７と同一か僅かに大径（ブッシュを用いた構成の場合）の構成でカム軸７を直接支持することにより、クランク軸５とカム軸７の間隔を広げる必要が無く、また、ガバナ装置１５を、図２に示すように、クランクケース１７の出力軸反対側の冷却ファン２８側に収容することによりクランクケース容積を増大しないようにすることができる。
【００２０】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、クランク軸の出力側の玉軸受を大外径サイズで大負荷容量のものにしている為に、エンジンのクランク出力軸に、大きな振動負荷や、出力軸を引っ張る方向のスラスト負荷の大きい被動機を直結した場合でも、軸受の負荷能力は十分で、耐久性を確保することができるとともに、軸受容量を増大した特殊な軸受を使用せず、大型の標準精度の玉軸受を使用しているので、標準の嵌合公差で加工することができ、組み立ての自動化が可能となるので、かえって部品コストや加工、組立コストが安上がりとなる。また、組立間違いを生じる恐れもない。
また、クランク軸の出力側に大外径の玉軸受を使用しても、カム軸の軸受をクランクケース若しくはクランクケース蓋１８に開けられた軸穴をそのまま（又はブッシュを嵌入して）すべり軸受とすることにより軸間距離が長くならないで済む。さらにまた、クランク軸に駆動される回転速度ガバナを前記出力側と反対側の冷却ファン２８側に収容することにより、クランクケースの大型化を防ぐことができる。
【００２１】
この結果、本発明はクランクケースの小型化の要請を達成しつつ、特殊な軸受を使用せず、大型の標準精度の玉軸受を使用して軸受容量を増大することの出来、更には、加工の容易化と組み立ての自動化が可能となり、この結果、加工、組立コストが安上がりとなるとともに組立間違いを生じる恐れもない空冷４サイクル汎用エンジンを得る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態に係る４サイクル単筒エンジンの側面断面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。
【図３】従来の４サイクル単筒エンジンのガバナ位置を示す断面図である。
【符号の説明】
１ ４サイクル単筒エンジン
５ クランク軸
１５ ガバナ装置
１７ クランクケース
１８ クランクケース蓋
２５ 玉軸受（転がり軸受）
２６ 平軸受（すべり軸受）
２８ 冷却ファン

Claims (1)

  1. 一対のクランク腕により挟まれる中央側にクランクピンを有し、該クランク腕より軸端側に位置するシャフト部をケース蓋を含むクランクケースの両側に配した転がり軸受により両持ち支持させ、該クランク軸の一側を出力軸とする空冷４サイクル汎用エンジンにおいて、
    前記クランク軸の出力側に配した第一の転がり軸受の外径を、他側に配した第二の転がり軸受の外径より大に、前記第一の転がり軸受の外径を、前記クランク腕回転軌跡の外側に位置するカム軸と前記クランク軸との軸距離と同一かそれより大きい外径に設定するとともに、該クランク軸により駆動されるカム軸の軸受をすべり軸受とし、前記クランク軸の出力側の前記シャフト部に前記カム軸駆動用歯車が、その反対側に位置する冷却ファン側の前記シャフト部にガバナ駆動歯車が夫々軸着され、前記ガバナ駆動歯車により駆動される回転調整ガバナを、クランク軸のシャフト部を挟んでカム軸の反対側に位置するクランクケース内に収容したことを特徴とする空冷４サイクル汎用エンジン。
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