JP3838808B2 - 再剥離型感圧接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は粘着性微球粒子を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物に関し、更に詳しくは紙、金属、プラスチック類などの各種被着体に対し良好な接着性を有し、且つ被着体から剥がす際に被着体を汚さず、圧力、熱、湿度等の条件の変化によっても一定の品質が得られ、貼着−剥離を繰り返し行うことのできる再剥離性粘着シート等の粘着剤として有用な再剥離型感圧接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
上質紙などの基材の一部に感圧接着剤層が形成された再剥離性メモ用紙パッドや開閉自在封筒がオフィスなどで利用されている。例えば感圧接着剤層を有する上記メモ用紙は、再剥離性が良好であり、接着対象物(被着体)から剥離後再び他の接着対象物に接着させることも可能である。このような用途に使用される感圧接着剤は、初期接着力に優れ、且つ再剥離性の良好であることが必要である。つまり、基材に該接着剤の層が形成されたシートを被着体に軽く押しつけて接着させたときの接着力が比較的高く、且つ強く押しつけて接着させたときにも接着力がそれほど上昇せず比較的小さな力で剥離され得ることが望まれる。さらに、再剥離した時に被着体上に感圧接着剤の一部が転着して残る(糊残り)ことがなく、且つ再び他の非接着体に良好な接着性をもって接着しうることが望まれる。
【0003】
このような貼着−剥離を繰り返し行うことのできる再剥離性粘着シートあるいは再剥離粘着ラベル、再剥離粘着紙において、接着面が平滑であるとその面全体が例えば再剥離粘着紙と接触して接着力が高くなり、紙の繊維を剥離したり、あるいはシートが剥がれなくなる場合がある。このため、面接着ではなく、被着体と点接着させて剥離を容易にするために、懸濁重合により得られる粘着性重合体微球粒子を含んだ接着剤の層が形成されたシートが、例えば特開昭50−2736号公報、特開昭54−41988号公報に開示されている。
【0004】
粘着性微球粒子としては、変形し易いものは一般に接着性が大きく紙等の被着体に対する接着性は確実になるが、このような変形し易い粘着性微球粒子は、基材の表面に付着せしめる作業中或いはその後の経時により該粘着性微球粒子が潰れて扁平もしくはなだらかな凹凸状に変形し易く、更には完全に潰れて連続した平坦に近い状態となり易い。特に圧力、熱、湿度等の条件の変化によって変形が顕著で目的の再剥離性が上記開示された技術では不十分であり、一定の品質を維持させることは困難であった。
【0005】
そこで、かかる欠点を解消するべく粘着性微球粒子の硬度を上げて高凝集力かつ低タックを保持させ、潰れにくくすると、今度は被着体への接着力が著しく低下し、特に、段ボールなどの粗面へ軽い圧力で貼着する時やポリエチレン等のポリオレフィン系の被着体に対して、これら被着体から剥がれやすく自然に脱落するなど商品価値が消失してしまうという問題があった。
【0006】
一方、特開昭53−69233号公報には金属イオンにより架橋することにより粘着性微小粒子の内部凝集力を高め変形を防ぐことが提案されている。特開昭61−148278号公報、特開昭61−258854号公報には多官能性モノマー、あるいは、油溶性架橋剤を用いて粘着性微細球あるいは重合体微小球を内部架橋することにより耐溶剤性に優れた粒子として、これらを有機溶剤に再分散して紙基材等に塗布することが可能で、更に内部架橋されていることにより球状の形態の保持性が良好であると述べられている。また、特開昭61−261381号公報には粘着性微小球の構造を硬質核と該核を被覆する粘着剤から構成される二重構造とすることを提案し、微小球の変形をおさえ、特に高い圧力・熱・湿度条件下において特性上差が生じないと記載されている。
【0007】
しかしながら何れの方法においても前述した如く再剥離性と接着力のバランスの優れた再剥離型感圧接着剤得ることが困難であり、再剥離性を良くするために微球粒子の変形を押さえるべく手法を重視すると初期接着力が十分でなく、また、感圧接着剤の支持体である基材との密着が低下し、貼着−剥離の繰り返しにより粘着性微球粒子が被着体に転移し糊残りするという新たな欠点が発生する等の問題があった。
【0008】
糊残りを解消する方法として、特開昭50−2736号公報には特定の粘着性微球体を、該微球体の一部が表面に露出するように結合剤で基材上に結合した構造体が開示され、微球体が結合剤と物理的ソケット効果により微球体の被着体への転着が有効に防止されると説明されている。更に特開昭61−152779号公報には、粘着性微球体中に含まれるカルボキシル基と結合剤中に含まれる反応性基とに反応する基を1分子中に2個以上有する架橋剤を粘着剤組成物中に含有させ、化学的結合効果により粘着性微球体と結合剤の密着性、基材への密着性を上げることを記載している。
【0009】
また、特開昭61−261382号公報には弾性微小球である共重合体及び該微小球の全表面を被覆している粘着剤である共重合体のそれぞれの分子中に官能基を結合させ、且つ該官能基と反応しうる架橋剤を配合することにより、粘着剤及び微小球とが化学結合し、また、粘着剤及び微小球と基材とが化学結合ないしはアンカー効果により結合して、被着体への残留が有効に防止されると記載されている。
【0010】
しかしながら上記方法では微球粒子の固着は十分でなく被着体の種類や、環境条件により糊残りが発生する問題があった。さらに結合剤量及び架橋剤量を多くすることで被着体への糊残りが押さえられる反面、単位面積当たりの微球粒子数減少、微球粒子の弾性変形の低下により被着体への接触面積が低下するため比較的高い初期接着力を維持したまま再剥離・再接着性を両立することが困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の欠点を解決するものであり、その目的とするところは、初期接着性及び再剥離性に優れた一定品質の再剥離性粘着シートが得られる再剥離型感圧接着剤組成物を提供することにある。より具体的に、本発明の目的は、粘着性微球粒子を含有する再剥離型感圧接着剤組成物であって、種々の被着体に適度な初期接着性を有し、接着力変化及び再剥離性の低下が少なく糊残り性も良好で、且つ基材密着の優れた高品質な上記従来の課題を解決した再剥離型感圧接着剤組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、粘着性微球粒子を含有してなる再剥離型感圧接着剤において、特定範囲のゲル分及び分子量を有する粘着性微球粒子が変形と回復のバランスをコントロールでき、さらに基材及び結合剤との密着性を向上させることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、(a−1)一般式CH 2 =CHCOOR 1 (但し、R 1 は炭素数4〜10の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示されるアクリル酸エステル系単量体60〜99.9重量%、
(b−1)カルボキシル基を有する不飽和単量体0.1〜10重量%、
(c−1)上記単量体(a−1)及び(b−1)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜40重量%
を水性媒体中、界面活性剤又は界面活性剤と懸濁安定剤の存在下で懸濁重合することにより得られる、
ゲル分70%〜95%を有し、且つテトラヒドロフラン可溶成分のGPC測定において、重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000且つMw/Mn(但し、Mnは数平均分子量を表す)が4〜12であり、
ガラス転移温度−40℃以下のアクリル系共重合体からなる粘着性微球粒子(A)と、
(a−2)一般式CH 2 =CR 2 COOR 3 (但し、R 2 はHまたはCH 3 、R 3 は炭素数1〜12の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示される(メタ)アクリル酸エステル系単量体50〜99.9重量%
(b−2)カルボキシル基を有する不飽和単量体0.1〜10重量%
(c−2)上記単量体(a−2)及び(b−2)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜50重量%を共重合してなる、
ガラス転移温度が−40℃〜60℃であるアクリル系共重合体からなるアクリル系水性エマルション(B)と、
一般式R 4 −O(CH 2 −CH 2 −O−)n−Y(但し、R 4 は炭素数8〜18のアルキル基、炭素数10〜18のアルケニル基、または、炭素数10〜30のアルキルフェニル基もしくはジアルキルフェニル基;YはH、炭素数8〜18のアルキル基、炭素数10〜18のアルケニル基、または、炭素数10〜30のアルキルフェニル基もしくはジアルキルフェニル基;nは3〜80の自然数である。)で示される可塑剤(C)と、
石油系樹脂、ロジン系樹脂またはテルペン系樹脂よりなるタッキファイヤー(D)を含有してなり、且つ
上記(A)、(B)の固形分重量比が(A)/(B)=95/5〜65/35、上記(A)、(C)、(D)の固形分重量比が(A)/(C)=99.5/0.5〜85/15、(A)/(D)=99.9/0.1〜90/10であることを特徴とする再剥離型感圧接着剤組成物を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。本発明の粘着性微球粒子(A)は、ゲル分70%〜95%を有し、且つテトラヒドロフラン(以下THFという)可溶成分のGPC測定において、重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000且つMw/Mn(但し、Mnは数平均分子量を表す)が4〜12である。
【0015】
本発明の粘着性微球粒子(A)はそれ自体が使用温度において粘着性を有する高分子重合体からなる微球粒子であり、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されるものではないが、得られる再剥離型感圧接着剤組成物の諸物性の優秀さより、アクリル系共重合体からなることが好ましく、下記単量体(a−1)〜(c−1)
(a−1)一般式 CH2=CHCOOR1(但し、R1は炭素数4〜10の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示されるアクリル酸エステル系単量体60〜99.9重量%(b−1)カルボキシル基を有する不飽和単量体 0.1〜10重量%(c−1)上記単量体(a−1)及び(b−1)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜 40重量%を共重合してなるガラス転移温度−40℃以下のアクリル系共重合体であることが特に好ましい。
【0016】
前記(a−1)の単量体は、式CH2=CHCOOR1で表されるアクリル酸エステルであり、そのR1は炭素数4〜10の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、このようなアクリル酸エステルの具体例としては、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレートなどを例示することができ、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート等の使用が好ましい。
【0017】
前記単量体(a−1)であるアクリル酸エステルの使用量は(a−1)〜(c−1)の合計100重量%中、通常、60〜99.9重量%、好ましくは65〜99.8重量%、特に好ましくは70〜99.5重量%である。該アクリル酸エステル単量体(a−1)を上記下限量以上使用することにより優れた接着力ならびに優れた粘着性と優れた凝集力の良好なバランスが達成される、また、上記上限量以下使用することにより粘着性微球粒子(A)の分散液の機械安定性(せん断力を加えた時の分散液の安定性)が良く、また凝集力においても優れており、従って、上記使用量範囲において適宜選択利用することにより、優れた接着力ならびに優れた粘着性と優れた凝集力の良好なバランスが達成される。
【0018】
一方、前記(b−1)のカルボキシル基を含有する単量体としては、α,β
−不飽和モノ−もしくはジ−カルボン酸単量体を挙げることができ、炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−もしくはジ−カルボン酸単量体の使用が好ましい。このような単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などを例示できる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸の使用がより好ましい。
【0019】
前記単量体(b−1)の使用量は、(a−1)〜(c−1)の合計100重量%中、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。上記単量体(b−1)の使用量が上記下限量以上の場合には、粘着性微球粒子(A)の分散液の機械安定性及び凝集力が優秀であり、また、上記上限量以下使用することによって粘着性及び耐水性を良好に保持できるので、上記範囲量において適当に選択利用するのがよい。さらに、粘着性及び凝集力のバランス、接着力の経時安定性や耐熱湿劣化性なども考慮に入れて、必要ならば、予め実験的に好適範囲量を上記範囲量内で選択することができる。
【0020】
さらに、単量体(a−1)及び単量体(b−1)と共重合可能なその他の不飽和単量体(c−1)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜3のアクリル酸エステル、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルマレート、ジ−n−オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレート、ジ−n−オクチルフマレート等のマレイン酸エステルもしくはフマル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類を挙げることができる。また、単量体(c−1)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリルより選ばれた単量体も同様に利用でき、さらに、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルメルカプタン、アリルメルカプタン、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート等のアミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、水酸基、エポキシ基、メルカプト基、ラジカル重合性不飽和基などの官能性基を1分子中に少なくとも1個含有する不飽和単量体(以下官能性単量体と称することがある)で前記単量体(b−1)以外の官能性単量体も必要に応じて使用することができる。この他、単量体(c−1)としては、特に制限されたものではなく、種々の不飽和単量体を、本発明の卓越した効果が損なわれない範囲において適宜使用することができる。
【0021】
上記単量体(c−1)の使用量は、(a−1)〜(c−1)の合計100重量%中、通常、0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜25重量%である。該単量体(c−1)の使用量は、該単量体の種類によっても変わり得るので一義的には使用量は決められないが、接着力とタックのバランス及びこれらと凝集力とのバランスなどを所望に応じて調整するのに役立つので、そのような目的に合致するように上記範囲量で適宜に選択するすることができる。該単量体(c−1)の使用量が上記範囲量の上限を越えて多量すぎると粘着性が過小となり初期接着性、特に段ボールなどの粗面、ポリエチレン等のポリオレフィン系の被着体に対しての接着力が著しく低下するので、単量体(c−1)を使用する場合には、上記範囲内で適当に選択利用するのがよい。
【0022】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、好ましくはアクリル系単量体混合物を重合して得られるアクリル系共重合体の粘着性微球粒子(A)を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物であって、該アクリル系共重合体のガラス転移温度が−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下がより好ましい。
【0023】
また、該粘着性微球粒子は通常0.1〜500μm、好ましくは1〜300μm、特に好ましくは1〜200μmの範囲内の粒子径を有し、その体積平均粒子径は10〜100μm、好ましくは20〜80μm、特に好ましくは30〜70μmである。
【0024】
本発明に係る上記アクリル系共重合体のガラス転移温度が−40℃を越えて高温の場合には、粘着性が過小となり初期接着性が低下するなどの不利益がある。尚、本発明において、アクリル系共重合体のガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できるが、該共重合体の調製に使用する単量体の種類及びその単量体混合物中における重量分率から、例えば、Lawrence E. Nielsen著小野木重治訳「高分子の力学的性質」(第1版第9刷,1970年,化学同人)26〜27頁の記載に従い下記式によって算出することができ、それによって、実際に共重合を行う前に、得られる共重合体のおおよそのガラス転移温度を推定することができることは当該分野ではよく知られていることである。
1/Tg=Wt1/Tg1+Wt2/Tg2+・・・・・・+Wtn/Tgn 但し上記式において、Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tg1:単量体1の単独重合体のガラス転移温度(K)
Tg2:単量体2の単独重合体のガラス転移温度(K)
Tgn:単量体nの単独重合体のガラス転移温度(K)
Wt1:単量体1の重量分率Wt2:単量体2の重量分率Wtn:単量体nの重量分率をそれぞれ表す。
【0025】
ここで用いられる単量体の単独重合体のガラス転移温度としては、例えば、J.Brandrup, E.H.Immergut 編 POLYMER HANDBOOK, Second Edition III−144〜155に記載されている値を用いることができる。
【0026】
本発明において使用される粘着性微球粒子(A)は、ゲル分70%〜95%、好ましくは75%〜95%、さらに好ましくは80〜95%有し、且つTHF可溶成分のGPC測定において、重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000、好ましくは100,000〜400,000、さらに好ましくは150,000〜350,000且つMw/Mn(但し、Mnは数平均分子量を表す)が4〜12である。
【0027】
本発明におけるゲル分とは、粘着性微球粒子の約1gを精秤(W1g)し、THF約200g中に室温で1日間攪拌浸漬した後予め秤量した東洋濾紙(株)製円筒濾紙(W2g)により濾過した後、濾紙上の残さを濾紙と共に2時間風乾しさらに100℃で1時間乾燥する。乾燥後の重量W3を測定して、ゲル分=(W3−W2/W1)×100(%)
として求められる値である。ここに、粘着性微球粒子とは、前述の粘着性微球粒子の懸濁重合液または粘着性微球粒子を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物を適宜脱イオン水にて希釈後、東洋濾紙(株)製定性濾紙No.101により濾過分離し乾燥されたものをいう。
【0028】
前記ゲル分が70%未満では、粘着性微球粒子(A)が外圧等により変形しやすく、例えば粘着シートの巻き取り保管時等では粘着性微球粒子(A)が扁平化して、品質低下が発生し、製品の保存安定性が欠ける。又、ゲル分が95%を越えると、例えば粘着ラベルとしては段ボールなどの粗面へ軽い圧力で粘着したときは被着体への接着性に乏しく、自然に脱落するなどの問題が生じる。
【0029】
ゲル分との関連において、前記Mwが100,000未満では接着性が乏しく、500,000を越えると外圧により過度に変形し易くなり好ましくない。また、Mw/Mnが4未満では、各種被着体の接着力が低下する傾向にあり、Mw/Mnが12を越えると糊残りが生じやすくなる。
【0030】
本発明に好適に用いられる前記アクリル系共重合体からなる粘着性微球粒子(A)を製造する方法には、乳化重合法で得た樹脂粒子を凝集させて製造する方法、あるいは塊状、フィルム状の樹脂を粉砕して得る方法など、種々の方法があるが、前記アクリル系単量体混合物を水性媒体中で懸濁重合することにより製造するのが好都合である。方法としては、公知の懸濁重合法が用いられるが、例えば、水性媒体中、界面活性剤及び必要に応じて懸濁安定剤の存在下で、重合開始剤を溶解した単量体混合物を一定時間攪拌し所望の粒子径範囲の単量体乳化液を得た後、一定攪拌回転数下で昇温し重合反応を開始させることができる。
【0031】
上記懸濁重合時には、アクリル系単量体が重合し主鎖を形成すると同時に、生じたアクリル系共重合体と界面活性剤、懸濁安定剤、重合開始剤ラジカルとの間の複雑な反応により架橋反応が起こると考えられる。しかし、この架橋反応による、本発明の一定のゲル分を有する安定した品質を得るためには重合開始時の初期反応のコントロールが重要であり、例えば、酸素等の重合禁止効果のある物質存在下で上記昇温を行い、目的の温度で窒素パージ等による置換を行うことで該初期反応のコントロールを行うことができ、更には(c−1)成分に示した架橋性単量体を少量併用することもできる。
【0032】
前記の「水性媒体中」とは水中または水溶性有機溶剤の水溶液中を意味する。このような水溶性有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性アルコール類;アセトン等の水溶性ケトン類;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール等の水溶性エーテル類;等を挙げることができる。これらは単独または複数混合して使用することが可能であり、その使用量は、水溶液中の水溶性有機溶剤の濃度として0〜約30重量%程度を例示することができる。該有機溶剤は、前記アクリル系共重合体からなる粘着性微球粒子(A)のゲル分及び分子量を調製する目的で使用できるが、該粘着性微球粒子を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物の放置安定性、機械安定性等の観点より、実質的にこれら有機溶剤を含まない水中で懸濁重合を行なうのがより好ましい。
【0033】
本発明において上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤をそれぞれ単独あるいは併用して使用することができ、特に安定に懸濁液を製造するためには、アニオン系界面活性剤が多い方が好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ソーダ等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ソーダ等のアルキル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ソーダ等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ソーダ等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;等を例示することができる。また、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;等を例示することができる。
【0034】
これらの界面活性剤を重合用乳化剤として用いる場合には、これらを適宜組み合わせて使用することができ、その使用量としては一般に単量体混合物100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部程度を例示できる。
【0035】
さらに、本発明において上記界面活性剤のほかに必要に応じて懸濁重合安定剤を使用することができる。該懸濁重合安定剤としては、水溶性保護コロイドの使用が好ましく、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール(以下、PVAと称すことがある)類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体類;等が挙げられる。
【0036】
該懸濁重合安定剤の使用量としては一般に単量体混合物100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部程度を例示できる。
【0037】
本発明において上記重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート等の油溶性重合開始剤の使用が好ましい。該油溶性重合開始剤の使用量は前記単量体混合物100重量部に対して0.1〜1.2重量部、好ましくは0.2〜1.0重量部、特に好ましくは0.3〜0.8重量部である。また、必要に応じて水溶性重合開始剤を使用することができる。
【0038】
上記油溶性重合開始剤の使用量が上記下限量以上の場合には、重合開始時の初期反応のコントロールがし易く、本発明のゲル分、分子量を有する安定した粘着性微球粒子が得られ、また、上記上限量以下使用することによって、分子量が低くなり過ぎる等の不具合が生ずることがないので好ましい。
【0039】
さらに、また、水性懸濁重合に際して、ゲル分、分子量をコントロールする方法として、所望により、連鎖移動剤を使用することができ、かかる連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、トリクロロブロモメタン等を挙げることができる。その使用量としては前記単量体混合物100重量部に対して例えば0.001〜0.01重量部の如き使用量を例示できる。
【0040】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物に含有される粘着性微球粒子(A)は、前記の如きゲル分70〜95%及びTHF可溶成分のMw100,000〜500,000且つMw/Mn4〜12の要件を満足する必要がある。このような要件を満足させるための粘着性微球粒子の製造方法としては、特に限定されるものでなく、前述の如き方法において、多種の重合条件を適宜選択し、これらを組み合わせて行うことができる。
【0041】
本発明の粘着性微球粒子(A)を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物は、アクリル系水性エマルション(B)を含有することができる。該アクリル系水性エマルション(B)は前記粘着性微球粒子(A)の分散安定性を更に向上せしめる目的として、また該粘着性微球粒子(A)を基材に物理的に固着する結合剤として必要に応じて使用される。
【0042】
上記アクリル系水性エマルション(B)は特に限定されるものではないが、得られる再剥離型感圧接着剤組成物の諸物性の優秀さより、下記単量体(a−2)〜(c−2)
(a−2)一般式 CH2=CR2COOR3(但し、R2はHまたはCH3、R3炭素数1〜12の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示される(メタ)アクリル酸エステル系単量体50〜99.9重量%(b−2)カルボキシル基を有する不飽和単量体 0.1〜10重量%(c−2)上記単量体(a−2)及び(b−2)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜50重量%を共重合してなるアクリル系共重合体であることが好ましく、さらに該アクリル系共重合体のガラス転移温度が−40℃〜60℃であることが特に好ましい。
【0043】
前記(a−2)の単量体は、式CH2=CR2COOR3で表される(メタ)アクリル酸エステルであり、そのR2は水素またはメチル基であり、そのR3は炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐アルキル基を示し、このような(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
【0044】
記単量体(a−2)である(メタ)アクリル酸エステルの使用量は(a−2)〜(c−2)の合計100重量%中、通常、50〜99.9重量%、好ましくは55〜99.8重量%、特に好ましくは60〜99.5重量%である。上記使用量範囲において適宜選択利用することにより、結合剤として優れた機能を有し、諸物性に優れた再剥離型感圧接着剤組成物を得ることができる。
【0045】
一方、前記(b−2)のカルボキシル基を含有する単量体としては、前述した前記(b−1)の単量体を挙げることができ、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸の使用が好ましい。上記単量体(b−2)の使用量は、(a−2)〜(c−2)の合計100重量%中、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。上記範囲量において適当に選択利用するのがよい。
【0046】
さらに、単量体(a−2)及び単量体(b−2)と共重合可能なその他の不飽和単量体(c−2)としては、例えば、ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルマレート、ジ−n−オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレート、ジ−n−オクチルフマレート等のマレイン酸エステルもしくはフマル酸エステル類を挙げることができる。また、単量体(c−2)として、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニルエステル類を挙げることができる。また、単量体(c−2)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリルより選ばれた単量体も同様に利用できる。さらに、前記(c−1)の単量体で例示した官能性単量体で前記単量体(a−2)、(b−2)以外の官能性単量体も必要に応じて使用することができる。この他、単量体(c−2)としては、特に制限されたものではなく、種々の不飽和単量体を、本発明の卓越した効果が損なわれない範囲において適宜使用することができる。
【0047】
上記単量体(c−2)の使用量は、(a−2)〜(c−2)の合計100重量%中、0〜50重量%、好ましくは0〜40重量%、特に好ましくは0〜35重量%である。上記アクリル系水性エマルション(B)は、例えば以上に詳しく述べた如き単量体組成(a−2)〜(c−2)の合計100重量%からなるアクリル系単量体混合物を水性乳化重合して得られるアクリル系共重合体の水性分散物であって、該アクリル系共重合体のガラス転移温度が−40℃〜60℃であることが好ましい。また、該水性分散物の体積平均粒子径は通常0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。該アクリル系共重合体のガラス転移温度が−40℃未満であると再剥離性が劣る傾向にあり、一方60℃を越えると接着性が低下してくる。
【0048】
このような上記アクリル系共重合体の水性分散物の好適な製造方法としては、例えば、前記(a−2)〜(c−2)の単量体混合物を、適当な界面活性剤を重合用乳化剤として用いて、水性媒体中で乳化共重合する態様を挙げることができる。界面活性剤としては、前述の如きアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤をそれぞれ単独あるいは併用して使用することができ、さらに、乳化重合に際しては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、前述の如き有機過酸化物類、過酸化水素などの重合開始剤を使用することができる。また、水性乳化重合に際して、所望により、還元剤を併用することができる。
【0049】
本発明に係る上記アクリル系水性エマルション(B)は前記粘着性微球粒子(A)に対してその固形分重量比で(A)/(B)は100/0〜60/40、好ましくは95/5〜65/35、特に好ましくは95/5〜70/30で使用することができる。本発明では、粘着性能をより向上させるためにアクリル系水性エマルジョン(B)を前記範囲で適宜用いる。また、上記アクリル系水性エマルジョン(B)は1種または、2種以上併用して使用することができる。
【0050】
本発明の粘着性微球粒子(A)を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物は、可塑剤(C)及び/またはタッキファイヤー(D)を含有することができる。該可塑剤(C)及び/またはタッキファイヤー(D)は本発明の再剥離型感圧接着剤組成物の初期接着性、特に軽圧着条件下での段ボール等の粗面被着体、ポリエチレン等の非極性被着体に対する接着性を向上せしめる目的で使用される。
【0051】
本発明に用いることのできる可塑剤(C)としては、前記粘着性微球粒子(A)を可塑化する可塑剤としての機能を有しているものであれば特に限定されるものでないが、得られる再剥離型感圧接着剤組成物の再剥離性及び諸物性の優秀さより、構造的に一定の大きさの親水基、疎水基を分子内に持つ両親媒性の化合物が好ましく、下記一般式(1)で示される可塑剤であることが特に好ましい。
R4−O(CH2−CH2−O−)n−Y ・・・ (1)
(但し、R4は炭素数8〜18のアルキル基、炭素数10〜18のアルケニル基、または、炭素数10〜30のアルキルフェニル基もしくはジアルキルフェニル基;YはH、炭素数8〜18のアルキル基、炭素数10〜18のアルケニル基、または、炭素数10〜30のアルキルフェニル基もしくはジアルキルフェニル基;nは3〜80の自然数である。)
【0052】
このような可塑剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンジ(ステアリル)エーテル等のポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジ(ノニル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジ(ノニルフェニル)エーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類;等を挙げることができる。
【0053】
これらの可塑剤のうち、水に対する溶解性、粘着性微球粒子(A)との相溶性の観点から、前記(1)式のnの値が3〜80、好ましくは4〜50、特に好ましくは6〜20程度のものであり、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance;親水性、疎水性の強さのバランスを示す尺度)は6〜18、好ましくは8〜15、特に好ましくは8〜14程度のものを選択することができる。
【0054】
本発明に用いることのできるタッキファイヤー(D)としては、石油樹脂、天然樹脂またはそれらの誘導体を挙げることができる。該石油樹脂、天然樹脂またはそれらの誘導体としては、例えば、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体等のテルペン系樹脂;例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂等の石油系樹脂;例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル等のロジン系樹脂;その他、フェノール樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等を例示することができる。特に、石油系樹脂、ロジン系樹脂またはテルペン系樹脂の使用が好ましい。
【0055】
本発明に用いることのできるタッキファイヤー(D)の軟化点は、70〜180℃、好ましくは100〜160℃、特に好ましくは120〜150℃であり、その重量平均分子量(Mw)が、5000以下、特には2000〜4000であることが望ましい。
【0056】
本発明に用いることのできるタッキファイヤー(D)は水系媒体中においては分散液として安定に分散されるものであることが望ましく、分散粒子の体積平均粒子径は、0.4μm以下であることが好ましく、0.05〜0.35μmであることが特に好ましい。
【0057】
本発明に係る上記可塑剤(C)及び上記タッキファイヤー(D)は前記粘着性微球粒子(A)に対してその固形分重量比でそれぞれ(A)/(C)は99.5/0.5〜85/15、好ましくは99/1〜90/10で、(A)/(D)は99.9/0.1〜90/10、好ましくは99.5/0.5〜95/5で使用することができる。該可塑剤(C)および該タッキファイヤー(D)の使用量が該下限値以上であれば、優れた初期接着性(特に軽圧着条件下での段ボール等の粗面被着体、ポリエチレン等の非極性被着体に対する接着性)を有し、一方、該上限値以下であれば外圧が長期間加わった状態でも性能を維持することができ、より好ましい。
【0058】
本発明の粘着性微球粒子(A)を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物は、架橋剤(E)を含有することができる。該架橋剤(E)は前記粘着性微球粒子(A)のゲル分及び分子量の調整の他、該粘着性微球粒子の結合剤との密着性、基材への密着性を向上せしめる目的で使用される。
【0059】
上記架橋剤(E)は上記粘着性微球粒子(A)及びアクリル系水性エマルション(B)中に含まれる官能性基と反応する基を一分子中に二個以上有するものであれば特に限定されるものではないが、粘着剤組成物中に硬化剤を添加してしばらくすると粘着剤と反応してゲル化したり、凝集物が発生するものは好ましくない。すなわち、架橋剤(E)は、水性分散体である粘着剤組成物中では化学的に安定(貯蔵安定性があるもの)であり、粘着剤塗工時に分散媒が揮発、もしくは粘着剤組成物を乾燥させるための熱エネルギーなどの手段により不可逆的に架橋することが望ましい。得られる再剥離型感圧接着剤組成物の諸物性の優秀さより、一分子中にオキサゾリン基を二個以上含有する化合物が好ましく、オキサゾリン基含有水溶性ポリマーが特に好ましい。
【0060】
このような架橋剤の具体例としては、エポクロスWS−300、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700、エポクロスK−1010E、エポクロスK−1020E、エポクロスK−1030E(全て(株)日本触媒製)などが挙げられる。
【0061】
本発明に係る上記架橋剤(E)は前記粘着性微球粒子(A)に対してその固形分重量比で(A)/(E)は99.99/0.01〜95/5、好ましくは99.95/0.05〜95/5、特に好ましくは99.9/0.1〜97/3で使用することができる。
【0062】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物は、例えば前記の懸濁重合により得られた粘着性微球粒子(A)の水性分散液にアクリル系水性エマルション(B)、可塑剤(C)及び/またはタッキファイヤー(D)、架橋剤(E)等を添加し、また、必要に応じて他の助剤を添加混合し、水性塗工液として作製することができる。他の助剤としては、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤等を挙げることができる。
【0063】
かくして得られた本発明の再剥離型感圧接着剤の水性塗工液は一般に、固形分含有量10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、さらに好ましくは20〜45重量%であり、B型回転粘度計による20℃、60rpmにおける粘度が100〜10000cps、好ましくは500〜5000cpsさらに好ましくは1000〜3000cps、pH4〜8.5、好ましくはpH6〜8.5、さらに好ましくはpH6.5〜8.5である。特に前記架橋剤(E)がオキサゾリン基含有水溶性ポリマーの場合、硬化性と塗工液の安定性の観点からpH調整剤をアンモニア水とすることが好ましく、pH7〜8.5、特にはpH7.5〜8.5とすることが好ましい。
【0064】
塗工方法としては、通常の塗工機、例えばナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター及びスクリーン印刷等によって行うことができる。この場合の感圧接着剤の塗布面は、表面基材の裏面であり、剥離シート側に粘着剤を表面基材へ転写するいわゆる転写法とは違い、表面基材へ直接塗布する直接法が好ましい。この場合の感圧接着剤層の塗布量は、乾燥固形分重量で5〜50g/m2、好ましくは7〜30g/m2である。
【0065】
使用される表面基材としては、紙、合成紙、布、不織布、金属フォイル、各種高分子フィルム等が挙げられ、表面基材の裏面に天然または合成の樹脂層を設けたものでもよい。
【0066】
【実施例】
以下に実施例、比較例、参考例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。尚、試験片の作製、並びに各種物性試験は以下の試験方法に従った。
【0067】
<試験方法>再剥離性粘着シートの作製基材は、上質紙81.4g/m2(王子製紙(株)製)を用い、ワイヤーバーにて乾燥後の塗工量が15g/m2となるように、感圧接着剤組成物を基材に直接塗工、105℃、50秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、感圧接着剤組成物塗布面と剥離紙剥離剤塗布面を貼り合わせて再剥離性粘着シートを得た。
【0068】
(2)試験片の作製試験片は、再剥離性粘着シート加工直後の試験片を初期物性における試験片とし、加圧処理後の試験片としては、再剥離性粘着シートの5×10cm2に50kgの加重(1kg/cm2に相当)を40℃にて24時間かけたものを準備し、それぞれ評価した。
【0069】
(3)対ダンボール粘着力(関連規格JIS−Z−0237、180゜ピール法)
JIS−Z−0237、180゜ピール法に準じて、粘着力を測定した。被着体は、表面紙がK7ライナーのダンボール(王子製紙(株)製)を使用した。圧着条件として100g圧着直後は、100gの圧着ローラーで、300mm/分、1往復圧着した直後に測定し、2kg圧着30分後は、2kgの圧着ローラーで、300mm/分、1往復圧着し、30分経過後に測定した。
【0070】
粘着力測定には、定速伸張型引張り試験機を使用し、各圧着条件にてラベルを貼付した後、剥離速度300mm/分で180゜ピールした。平均荷重を粘着力(単位;gf/25mm)とし、n=3の平均値を試験片の測定値とした。なお、再剥離性粘着シートの実用適性(ダンボールから脱落しない粘着力)を考慮すると、100g圧着直後で30g/25mm以上、2kg圧着30分後で100g/25mm以上が必要である。
【0071】
(4)再剥離性被着体として、表面紙がK7ライナーのダンボール(王子製紙(株)製)を使用し、圧着条件として2kgの圧着ローラーで、300mm/分、1往復圧着した後、40℃の環境で7日間、さらに22℃、65%RHの環境に2時間放置後、再剥離性粘着シートをダンボールから剥がし、再剥離性能を下記評価基準により評価した。
[評価基準]○:再剥離性粘着シート、ダンボールの紙やぶれ、糊残りなく良好○△:再剥離性粘着シート、ダンボールの紙やぶれがないが、一部の糊残りあり△:再剥離性粘着シート、ダンボールの紙やぶれがないが、糊残りあり×:再剥離性粘着シート、ダンボールの紙やぶれがあり、きれいに剥がすことができない
【0072】
(5)再貼着性再剥離性粘着シートを16mm×20mmの大きさに調整し、被着体は、表面紙がK7ライナーのダンボール(王子製紙(株)製)の平滑面を使用し、圧着条件として2kgの圧着ローラーで、300mm/分、1往復圧着した後、40℃の環境で7日間放置後、再剥離性粘着シートをダンボールから剥がし、直径50mmの円筒状のKライナー紙(王子製紙(株)製)側面に再剥離性粘着シートを20mm部分が湾曲するように再貼着させ、24時間後の浮き、剥がれ具合を下記評価基準により評価した。
[評価基準]○:再剥離性粘着シートの浮き、剥がれなく良好。
○△:再剥離性粘着シートの浮き、剥がれのないラベル面積が80%以上100%未満△:再剥離性粘着シートの浮き、剥がれのないラベル面積が50%以上80%未満×△:再剥離性粘着シートの浮き、剥がれのないラベル面積が30%以上50%未満×:再剥離性粘着シートの浮き、剥がれのないラベル面積が30%未満、もしくは剥がれる。
【0073】
(6)糊面観察再剥離性粘着シートの粘着剤剤塗工面を走査型電子顕微鏡にて観察し、粘着剤剤塗工面の粘着性微球粒子の形状を観察した。(観察条件:Au蒸着、傾斜角70゜、倍率150倍)
[評価基準]○:再粘着性微球粒子が扁平せず形状を保持している。
△:再粘着性微球粒子が一部扁平する。
×:再粘着性微球粒子が扁平し、粘着剤塗工面が平坦になる。
【0074】
〈粘着性微球粒子(A)の製造〉参考例1温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水730重量部、5%重量濃度の部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液131重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルソーダ塩型アニオン系界面活性剤水溶液(不揮発分27重量%)を13重量部を仕込み充分攪拌した。次に2−エチルヘキシルアクリレート(以下2EHAと略称することがある)320重量部、メタクリル酸(以下MAAと略称することがある)6.5重量部、過酸化ベンゾイル(以下BPOと略称することがある)1.2重量部を別の容器にて攪拌溶解した。次いでこの単量体混合液を先に準備された反応器中の水溶液に添加して、攪拌500rpm前後で1時間攪拌した後、昇温を開始した。内温が約70℃になった時に窒素による置換を行った。75〜80℃で重合反応が始まり、急激に90℃前後まで発熱した。その後、冷却し80℃で更に5時間反応を行った。その後生成した水性懸濁重合液を30℃まで冷却させ25%アンモニア水を約0.7重量部添加しpH8〜9とした。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0075】
参考例2参考例1において、単量体混合液として、2EHA320重量部、MAA6.5重量部、BPO2.4重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0076】
参考例3参考例1において、単量体混合液として、2EHA320重量部、MAA6.5重量部、ジビニルベンゼン(DVB)0.16重量部、BPO1.0重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0077】
参考例4参考例1において、単量体混合液として、2EHA320重量部、MAA6.5重量部、エチレングリコールジメタクリレート(ED)0.24重量部、n−ドデシルメルカプタン(NDM)0.065重量部、BPO1.0重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0078】
参考例5参考例1において、単量体混合液として、2EHA294重量部、メチルメタクリレート(MMA)26重量部、MAA6.5重量部、BPO1.2重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0079】
参考例6参考例1において、単量体混合液として、2EHA320重量部、MAA6.5重量部、BPO0.3重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0080】
参考例7参考例1において、単量体混合液として、2EHA320重量部、MAA6.5重量部、DVB0.65重量部、BPO0.4重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0081】
参考例8参考例1において、単量体混合液として、2EHA320重量部、MAA6.5重量部、BPO3.3重量部を用いる以外は参考例1と同様にして水性懸濁重合液を得た。得られた水性懸濁重合液及び粘着性微球粒子の各種物性値を表1に示した。
【0082】
〈アクリル系水性エマルション(B)の製造〉参考例9温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水330重量部を仕込み内温を80℃に昇温させた。一方、別の容器にイオン交換水195重量部並びにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルソーダ塩型アニオン系界面活性剤水溶液(不揮発分27重量%)66重量部を仕込み攪拌して溶解し、次いでこれに2EHA297重量部、MMA297重量部、アクリル酸(以下、AAと略称することがある)6重量部よりなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体乳化液を得た。反応器の内容物を窒素気流下に攪拌しながら加熱し、反応器内の水温が80℃に達した時点で重合開始剤及び還元剤として過硫酸アンモニウム及びメタ重亜硫酸ソーダ各々0.4重量部添加した後、単量体乳化液及び8%重量濃度の過硫酸アンモニウム水溶液60重量部を逐次添加して80℃で約3時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で約1時間攪拌を継続してから冷却し、25%アンモニア水を4重量部添加してpH調整しアクリル系水性エマルションを得た。この水性エマルションは固形分50.3重量%、pH7.5、粘度60cps(25℃、BH型回転粘度計20rpm)、体積平均粒子径0.2μmであり、共重合体のTgは−4℃であった。
【0083】
参照例1
参考例1の水性懸濁重合液357重量部(粘着性微球粒子約100重量部)に参考例9のアクリル系水性エマルション30重量部(固形分約15重量部)を添加し、次いで増粘剤及びアンモニア水を添加してpH7.5、粘度約1500cps(25℃、BL型回転粘度計60rpm)の再剥離型感圧接着剤組成物を得た。この組成物を用いて、前記試験片の作製方法に従い試験片の感圧接着シートを作成し、以下試験方法(3)〜(6)に従って感圧接着シートの物性測定を行った。感圧接着剤組成物の配合組成、その物性を表2に感圧接着シートの諸物性を表3に示した。
【0084】
参照例2〜5及び比較例1〜3
参照例1において、参考例1の水性懸濁重合液の代わりに参考例2〜8の水性懸濁重合液をそれぞれ用いる以外は同様にして再剥離型感圧接着剤組成物を作製し、以下同様にして各種試験を行った。組成物の配合組成、その物性を表2に感圧接着シートの諸物性を表3に示した。
【0085】
参照例6
参考例1の水性懸濁重合液357重量部(粘着性微球粒子約100重量部)に可塑剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(付加モル数10.5、HLB12)5重量部を加えて、ホモミキサーで十分攪拌混合後、増粘剤及びアンモニア水を添加してPH7.6、粘度約1450cpsに調整し、参照例1と同様に各種試験を行い、諸物性を表2、表3に示した。
【0086】
実施例1
参考例1の水性懸濁重合液357重量部(粘着性微球粒子約100重量部)に参考例9のアクリル系水性エマルション30重量部(固形分約15重量部)、可塑剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(付加モル数10.5、HLB12)5重量部、タッキファイアーとして石油系炭化水素樹脂水性分散液(固形分約50重量%、軟化点125℃、体積平均粒子径約0.3μm)4重量部を加え、増粘剤及びアンモニア水を添加してPH7.4、粘度約1650cpsに調整し、参照例1と同様に各種試験を行い、諸物性を表2、表3に示した。
【0087】
実施例2
参考例2の水性懸濁重合液355重量部(粘着性微球粒子約100重量部)に参考例9のアクリル系水性エマルションを40重量部(固形分約20重量部)、実施例1で使用した可塑剤を10重量部、タッキファイアーを6重量部(固形分約3重量部)を添加混合し、粘度、PHを調整した後、各試験を行い、諸物性を表2、表3に示した。
【0088】
参照例7
参照例1に架橋剤としてオキサゾリン基含有ポリマー水溶液(固形分約40重量%、オキサゾリン基濃度4.5mmol/g・solid)5重量部を更に添加する以外は参照例1と同様にした。
【0089】
参照例8
参考例1の水性懸濁重合液357重量部(粘着性微球粒子約100重量部)に参考例9のアクリル系水性エマルション40重量部(固形分約20重量部)、実施例1で使用した可塑剤5重量部、参照例7で使用した架橋剤5重量部(固形分約2重量部)を添加混合した。PH7.8、粘度約1590cpsに調整し、参照例1と同様に各種試験を行い、諸物性を表2、表3に示した。
【0090】
実施例1〜2及び参照例1〜8においては、表3に示したように、いずれも被着体に対して初期物性、加圧処理後の物性とも極めて優れていることがわかった。
【0091】
【表1】
@0001
【0092】
【表2】
@0002
【0093】
【表3】
@0003
【0094】
【発明の効果】
本発明は、粘着性微球粒子を含有してなる再剥離型感圧接着剤組成物であって、粘着性微球粒子のゲル分、テトラヒドロフラン可溶成分の重量平均分子量及びMw/Mnを特定範囲に抑制することによって、粘着性シートに適用した場合は、種々の被着体に適度な初期接着性及び優れた一定品質の再剥離性、接着力変化、及び再剥離性の低下が少なく、糊残り性も良好な再剥離粘着シートを製造できる、優れた再剥離型感圧接着剤組成物を提供する。
Claims (3)
- (a−1)一般式CH 2 =CHCOOR 1 (但し、R 1 は炭素数4〜10の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示されるアクリル酸エステル系単量体60〜99.9重量%、
(b−1)カルボキシル基を有する不飽和単量体0.1〜10重量%、
(c−1)上記単量体(a−1)及び(b−1)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜40重量%
を水性媒体中、界面活性剤又は界面活性剤と懸濁安定剤の存在下で懸濁重合することにより得られる、
ゲル分70%〜95%を有し、且つテトラヒドロフラン可溶成分のGPC測定において、重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000且つMw/Mn(但し、Mnは数平均分子量を表す)が4〜12であり、
ガラス転移温度−40℃以下のアクリル系共重合体からなる粘着性微球粒子(A)と、
(a−2)一般式CH 2 =CR 2 COOR 3 (但し、R 2 はHまたはCH 3 、R 3 は炭素数1〜12の直鎖または分岐アルキル基を表す)で示される(メタ)アクリル酸エステル系単量体50〜99.9重量%
(b−2)カルボキシル基を有する不飽和単量体0.1〜10重量%
(c−2)上記単量体(a−2)及び(b−2)と共重合可能なその他の不飽和単量体0〜50重量%を共重合してなる、
ガラス転移温度が−40℃〜60℃であるアクリル系共重合体からなるアクリル系水性エマルション(B)と、
一般式R 4 −O(CH 2 −CH 2 −O−)n−Y(但し、R 4 は炭素数8〜18のアルキル基、炭素数10〜18のアルケニル基、または、炭素数10〜30のアルキルフェニル基もしくはジアルキルフェニル基;YはH、炭素数8〜18のアルキル基、炭素数10〜18のアルケニル基、または、炭素数10〜30のアルキルフェニル基もしくはジアルキルフェニル基;nは3〜80の自然数である。)で示される可塑剤(C)と、
石油系樹脂、ロジン系樹脂またはテルペン系樹脂よりなるタッキファイヤー(D)を含有してなり、且つ
上記(A)、(B)の固形分重量比が(A)/(B)=95/5〜65/35、上記(A)、(C)、(D)の固形分重量比が(A)/(C)=99.5/0.5〜85/15、(A)/(D)=99.9/0.1〜90/10であることを特徴とする再剥離型感圧
接着剤組成物。 - 前記再剥離型感圧接着剤組成物が、架橋剤(E)を含有する請求項1に記載の組成物。
- 架橋剤(E)が1分子中にオキサゾリン基を2個以上含有する化合物である請求項2記載の組成物。
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