JP3830258B2 - 半導体記憶装置及びデータ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体記憶装置、特に電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの改良技術に関し、例えばフラッシュメモリ及びそれをプログラムメモリとして内蔵するマイクロコンピュータに適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不揮発性半導体記憶素子(メモリセル)をアレイ状に配置し、メモリセル群のコントロールゲート共通線すなわち、同一ワード線に接続する当該メモリセル群(セクタ)の電気的書き換え(電気的消去、電気的書き込み)を行う不揮発性メモリにおいて、ワード線に正及び負の高電圧を印加することにより、ワード線単位の消去を可能とする方式が提案されている。これについては例えば、「Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers pp77-78 1991」、「Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers pp85-86 1991」に記載され、さらに書き込み動作時に正及び負の高電位をワード線に印加する方式としては、「Technical Digest of International Electron Device Meeting pp.599-602 1992、同誌991-9931992」に記載されている。
【0003】
また、ワード線を駆動するワードデコーダ回路を階層化構造、すなわち、メインデコーダ回路とサブワードデコーダ回路により構成する方式が提案されている。これについては、「International Solid-State Circuits Conference Digest of Technical Papers pp97-98 1993」に記載されている。
【0004】
さらに、高電圧を取り扱う回路では、レベル変換回路を用いて信号レベルを変換する必要があり、それについて記載された文献の例としては、「ISSCC91/SESSION 16/NON-VOLATILE AND SPECIALTY MEMORY/PAPER FA 16.1」がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
フラッシュメモリなどの不揮発性メモリはデータの書き込み/消去に高電圧が必要なことから高耐圧トランジスタを使わざるを得ない。MOSトランジスタの高耐圧化のためには、ゲート酸化膜が厚くされたり、ゲート電極SGと高濃度拡散層間、及び高濃度拡散層とLOCOS(ロコス)間に低濃度拡散層が形成されたりする。しかしそのように高耐圧化されたMOSトランジスタは、電流が流れ難く、駆動能力が低いため、動作速度は、高耐圧化されていないMOSトランジスタに比べてどうしても低下してしまう。このため、ワード線選択の高速化が困難となる。また、フラッシュメモリでは、データ読み出し経路にレベル変換回路や書き換え制御回路などが存在するため、そこでの信号遅延が大きい。このことも、フラッシュメモリのアクセスタイムの短縮化を阻害する要因とされる。
【0006】
本発明の目的は、半導体記憶装置における読み出し動作の高速化を図ることにある。
【0007】
本発明の別の目的は、そのように高速化された半導体記憶装置を備えたデータ処理装置を提供することにある。
【0008】
本発明の上記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、半導体記憶装置(FMRY)において、1本のワード線毎に、それを駆動するための第1ドライバ回路(DPE)及び第2ドライバ回路(DR)を設け、上記第1ドライバ回路を形成するトランジスタのゲート酸化膜厚と、上記第2ドライバ回路を形成するトランジスタのゲート酸化膜とを異ならせる。
【0011】
上記した手段によれば、第2ドライバ回路を形成するトランジスタのゲート酸化膜が第1ドライバ回路を形成するトランジスタのゲート酸化膜よりも薄いものとすると、第2ドライバ回路は第1ドライバ回路に比べて高速動作が可能とされ、データ読み出しの際のワード線を高速に駆動することができる。このことが、半導体記憶装置における読み出し動作の高速化を達成する。
【0012】
ワード線に供給された高電圧が低耐圧系ドライバ回路に印加されないようにするため、上記第2ドライバ回路と上記ワード線との間に、上記メモリセルへのデータ書き換えの際に上記第2ドライバ回路を上記ワード線から切り離すスイッチ回路(SW)を設けることができる。
【0013】
上記スイッチ回路は、上記第1のゲート酸化膜厚から成るトランジスタにより、あるいは、第1ゲート及び第2ゲートを含む2層ゲートトランジスタにより構成することができる。上記2層ゲートトランジスタの第1ゲートはダイオード接続されたトランジスタを介して電源に接続され、上記2層ゲートトランジスタの第2ゲートは上記第2ドライバの出力端子に結合される。
【0014】
上記第2ドライバ回路は、第1のアドレス信号群から生成されるブロック選択信号と、第2のアドレス信号群から生成される行選択信号とのアンド論理を得る論理回路(DR1〜DRi)を含んで構成することができる。
【0015】
上記論理回路は、上記第1のアドレス信号群から生成されるブロック選択信号や、上記第2のアドレス信号群から生成される行選択信号のレベルよりも高いレベルに変換する電圧レベル変換回路を含んで構成することができる。また、外部から供給された電源電圧に基づいて内部昇圧された電圧を動作用電源として上記論理回路に供給することができる。
【0016】
ワード線駆動を読み出しサイクルに同期させるため、1度選択されたワード線を次のリードサイクルが始まる前に強制的に非選択状態にするための制御回路(Az−Dr)を含めることができる。このとき、上記制御回路は、入力されたスタンバイ信号に応じて上記第2ドライバの出力論理をローレベルに固定することで、対応するワード線の蓄積電荷を放出するモードを設けることができる。
【0017】
また、上記構成の半導体記憶装置(FMRY)を含んでマイクロコンピュータ(10)を構成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図27には、本発明にかかるデータ処理装置の一例であるシングルチップマイクロコンピュータが示される。同図に示されるシングルチップマイクロコンピュータ10は、フラッシュメモリFMRY、CPU12、DMAC13、バスコントローラ(BSC)14、ROM15、RAM16、タイマ17、シリアルコミュニケーションインタフェース(SCI)18、第1乃至第9入出力ポートIOP1〜IOP9、クロック発振器(CPG)19の機能ブロック乃至はモジュールから構成され、公知の半導体製造技術により1つの半導体基板上に半導体集積回路として形成される。
【0019】
上記シングルチップマイクロコンピュータ10は、電源端子として、グランドレベル端子Vss、電源電圧レベル端子Vcc、フラッシュメモリFMRYの書き込み消去用高電圧端子Vpp、その他専用制御端子として、リセット端子RES、スタンバイ端子STBY、モード制御端子MODE、クロック入力端子EXTAL、XTALを有する。それらは外部端子である。
【0020】
フラッシュメモリFMRYの書き込み消去用高電圧を電源電圧レベル端子Vccから供給される5Vのような電圧を内部昇圧で得る場合には当該高電圧専用の外部端子Vppを省略できる。クロック入力端子EXTAL、XTALに接続される、図示はされない水晶振動子に基づいて、クロック発振器9が生成するシステムクロックに同期して、シングルチップマイクロコンピュータ10は動作する。あるいは外部クロックをEXTAL端子に入力してもよい。システムクロックの1周期を1ステートと呼ぶ。
【0021】
上記機能ブロックは、内部バスによって相互に接続される。内部バスはアドレスバス・データバスの他、リード信号、ライト信号、さらにバスサイズ信号、そしてシステムクロックなどを含む制御バスなどによって構成される。内部アドレスバスには、IAB、PABが存在し、内部データバスにはIDB、PDBが存在する。IAB、IDBはフラッシュメモリFMRY、CPU12、ROM15、RAM16、バスコントローラ14、入出力ポートIOP1〜IOP9の一部に接続される。PAB、PDBはバスコントローラ14、タイマ17、SCI18、入出力ポートIOP1〜9に接続される。IABとPAB、IDBとPDBは、それぞれバスコントローラ14でインタフェースされる。特に制限されないが、PABとPDBはそれが接続されている機能ブロック内のレジスタアクセスに専ら用いられる。
【0022】
入出力ポートIOP1〜IOP9は、外部バス信号と、入出力回路の入出力信号との入出力に兼用とされている。これらは、動作モードあるいはソフトウエアの設定により、機能を選択されて、使用される。外部アドレス、外部データは、それぞれ、これらの入出力ポートに含まれる図示しないバッファ回路を介してIAB、IDBと接続されている。PAB、PDBは入出力ポートやバスコントローラ14などの内蔵レジスタをリード/ライトするために使用され、外部バスとは直接の関係はない。
【0023】
上記リセット端子RESにシステムリセット信号が加えられると、モード制御端子MODEで与えられる動作モードを取り込み、シングルチップマイクロコンピュータ(以下単にマイクロコンピュータとも記す)10はリセット状態にされる。動作モードは、特に制限はされないものの、内蔵ROM15の有効/無効、アドレス空間を16Mバイトまたは1Mバイト、データバス幅の初期値を8ビット、16ビットあるいは32ビットの何れにするかなどを決定する。必要に応じてモード制御端子MODEは複数端子とされ、これらの端子への入力状態の組合せで動作モードが決定される。
【0024】
リセット状態を解除すると、CPU12は、スタートアドレスをリードして、このスタートアドレスから命令のリードを開始するリセット例外処理を行なう。上記スタートアドレスは、特に制限はされないものの0番地から始まる領域に格納されているものとする。その後、CPU12は上記スタートアドレスから順次命令を実行する。
【0025】
このマイクロコンピュータ10においてフラッシュメモリFMRYはユーザプログラム、チューニング情報、データテーブルなどを適宜格納する。ROM15は、特に制限されないが、OSのようなシステムプログラムが格納される。
【0026】
ここで、CPU12によるフラッシュメモリFMRYの動作制御について説明する。フラッシュメモリFMRYは内部バスIAB,IDBに結合され、CPU12などによってアクセス可能にされる。すなわち、CPU12は、書き込み/消去制御レジスタWEREGに対する制御情報の設定、メモリセルMCからデータを読み出すための読み出し動作を指示するときの上記制御信号READの供給、アドレス信号の供給、書き込みデータの供給を制御する。消去ベリファイ及び書き込みベリファイのためのリード動作の指示はCPU12が行い、読み込んだデータをCPU12がベリファイする。
【0027】
リセット端子RESへのリセットの指示はシステム上に配置されたリセット回路から与えられる。当該図示しないリセット回路は、パワーオンリセット又は図示しないシステム上に配置されたリセットボタンの押下操作、あるいはマイクロコンピュータ10からに指示に基づいて、リセット端子RESへのリセットを指示する。
【0028】
特に制限されないが、マイクロコンピュータ10は、複数ビットから成るモード信号MODEが所定の値にされるとフラッシュメモリFMRYに対する外部からの直接アクセスを可能にする動作モードが設定される。この動作モードにおいて、CPU12は外部に対する実質的な制御動作が停止若しくはCPU12と内部バスIDB,IABとの接続が切り離され、フラッシュメモリFMRYは例えば入出力ポートIOP1及びIOP2を介して外部から直接アクセス可能にされる。この動作モードにおいてマイクロコンピュータは見掛けフラッシュメモリFMRYの単体チップと等価にされる。したがって、フラッシュメモリFMRYに対する上記全てのアクセス制御情報は図示しない外部のデータプロセッサなどから供給されることになる。
【0029】
したがって、マイクロコンピュータ10に内蔵されたフラッシュメモリFMRYに対してプログラムやデータを最初に書込む動作は、EPROMライタのような書き込み装置を用いて能率的に行ったり、あるいは内蔵CPU12の制御で行ったりすることができる。後者にあってはマイクロコンピュータが回路基板に実装された状態(オンボード状態)でも書換えが可能であることを意味する。
【0030】
図28には上記フラッシュメモリFMRYの構成例が示される。同図に示されるフラッシュメモリFMRYは、8ビットのデータ入出力端子D0〜D7を有し、各データ入出力端子毎にメモリアレイARY0〜ARY7を備える。各メモリアレイARY0〜ARY7は同じ様に構成され、それらによって一つのメモリセルアレイを成す。
【0031】
それぞれのメモリアレイARY0〜ARY7にはそれぞれ2層ゲート構造の絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって構成されたメモリセルがマトリクス配置されて成るメモリセル群SMを有する。
【0032】
同図においてW11〜Wij全てのメモリアレイARY0〜ARY7に共通のワード線である。同一行に配置されたメモリセルのコントロールゲートは、それぞれ対応するワード線に接続される。
【0033】
上記ソース線SLにはインバータ回路のような電圧出力回路VOUTから消去に利用される高電圧Vppが供給される。電圧出力回路VOUTの出力動作は、消去制御回路ECONTから出力される消去信号ERASE*(信号*は信号反転もしくはローイネーブルを示す)によって制御される。すなわち、消去信号ERASE*のローレベル期間に、電圧出力回路VOUTは高電圧Vppをソース線SLに供給して全てのメモリセルMC及びMC−Rのソース領域に消去に必要な高電圧を供給する。これによって、フラッシュメモリFMRYは全体が一括消去可能にされる。
【0034】
上記ワード線W11〜Wijの選択は、XアドレスラッチXALATを介して取り込まれるXアドレス信号AXをXアドレスデコーダXADECが解読することによって行われる。ワードドライバWDRVはXアドレスデコーダXADECから出力される選択信号に基づいてワード線を駆動する。データ読み出し動作においてワードドライバWDRVは、電圧選択回路VSELから供給される3Vのような電圧Vccと0Vのような接地電位とを電源として動作され、選択されるべきワード線を電圧Vccによって選択レベルに駆動し、非選択とされるべきワード線を接地電位のような非選択レベルに維持させる。データの書き込み動作においてワードドライバWDRVは、−9Vのような電圧Vppと0Vのような接地電位とを電源として動作され、選択されるべきワード線を−9Vのような書き込み用高電圧レベルに駆動する。データの消去動作においてワードドライバWDRVの出力は9Vとされる。
【0035】
それぞれのメモリアレイARY0〜ARY7において上記データ線DL0〜DL7はY選択スイッチYS0〜YS7を介して共通データ線CDに共通接続される。Y選択スイッチYS0〜YS7のスイッチ制御は、YアドレスラッチYALATを介して取り込まれるYアドレス信号AYをYアドレスデコーダYADECが解読することによって行われる。YアドレスデコーダYADECの出力選択信号は全てのメモリアレイARY0〜ARY7に共通に供給される。したがって、YアドレスデコーダYADECの出力選択信号のうちの何れか一つが選択レベルにされることにより、各メモリアレイARY0〜ARY7の共通データ線CDには1本のデータ線が接続される。
【0036】
メモリセルMCから共通データ線CDに読み出されたデータは選択スイッチRSを介してセンスアンプSAに与えられ、ここで増幅されて、データ出力バッファDOBを介してデータバスに出力される。上記選択スイッチRSは読み出し信号READによってスイッチ制御される。
【0037】
外部から供給される書き込みデータはデータ入力バッファDIBを介してデータ入力ラッチDILに保持される。データ入力ラッチDILに保持されたデータが”0”のとき、書き込み回路WRは選択スイッチWSを介して共通データ線CDに書き込み用の高電圧を供給する。この書き込み用高電圧はY選択スイッチYS0〜YS7によって選択された何れかのデータ線を通して、ワード線によってコントロールゲートに高電圧が印加されるメモリセルのドレインに供給され、これによって当該メモリセルが書き込みされる。上記選択スイッチWSは制御信号WRITEによってスイッチ制御される。書き込みの各種タイミングや電圧の選択制御のような書き込み動作手順は書き込み制御回路WCONTが制御する。この書き込み制御回路WCONTに対する書き込み動作の指示や書き込みベリファイ動作の指示、そして上記消去制御回路ECONTに対する消去動作の指示や消去ベリファイ動作の指示は、書き込み/消去用の制御レジスタWEREGが与える。この制御レジスタWEREGはデータバスに接続可能にされ、外部から制御データの書き込みが可能にされる。
【0038】
上記制御レジスタWEREGは、Vppビット、PVビット、Pビット、及びEビットを有する。Pビットは書き込み動作の指示ビットとされる。Eビットは消去動作の指示ビットとされる。Vppビット及びEビットが設定されることによって、これを参照する消去制御回路ECONTが所定の手順に従って消去のための内部動作を制御する。また、Vppビット及びPビットが設定されることにより、これを参照する書き込み制御回路WCONTが所定の手順に従って書き込みのための内部動作を制御する。消去及び書き込みのための内部動作は所定レベルの電圧を形成することによって行われる。消去ベリファイ動作は消去されたメモリセルに対して読み出し動作を行って消去が完了したか否かを検証する動作とされ、書き込みベリファイ動作は書き込みされたメモリセルから当該書き込みデータを読み出してこれを書き込みデータと比較することによって書き込みが完了したか否かを検証する動作とされる。これらベリファイ動作は外部のCPU又はデータプロセッサがフラッシュメモリに対するリードサイクルを起動して行われる。
【0039】
図1には、上記ワードドライバWDRV付近の構成例が示される。
【0040】
ワードドライバWDRVは、XデコーダXADECの出力信号に基づいてワード線を駆動するための低耐圧系ドライバ回路DRや、XデコーダXADECの出力信号に基づいてワード線を駆動するための高耐圧系ドライバ回路DPE、さらにはデータ書き込みの際に低耐圧系ドライバ回路DRに高電圧が印加されないようにするための分離切り換えスイッチSWとを含む。
【0041】
ここで、高耐圧系ドライバ回路DPEを構成するMOSトランジスタには高耐圧化されたものが適用される。MOSトランジスタの高耐圧化のためには、ゲート酸化膜が厚くされたり、ゲート電極SGと高濃度拡散層間、及び高濃度拡散層とLocas(ロコス)間に低濃度拡散層が形成されたりする。しかしそのように高耐圧化されたMOSトランジスタは、電流が流れ難く、駆動能力が低いため、動作速度は、高耐圧化されていないMOSトランジスタに比べてどうしても低下してしまう。フラッシュメモリの書き込み動作速度は、記憶情報の読み出し速度よりも遅くなる。しかし、シングルチップマイクロコンピュータ10に内蔵されるフラッシュメモリFMRYの場合、記憶情報の読み出しがほとんどであり、しかもこの記憶情報がプログラムであることを考えると、書き込み動作よりも読み出し動作の高速化が重要となる。そこで、高耐圧系ドライバDPEとは別に低耐圧系ドライバDRを設け、読み出し動作の場合にのみ低耐圧系ドライバDRを使うようにする。また、高耐圧系ドライバDPEが使用されるとき、低耐圧系ドライバDRを構成するMOSトランジスタに高電圧が印加されて当該MOSトランジスタが破損しないようにするため、分離切り換えスイッチSWを設け、低耐圧系ドライバDRを構成するMOSトランジスタへの高電圧印加防止を図っている。
【0042】
図2には、上記低耐圧系ドライバ回路DR、高耐圧系ドライバ回路DPE、及び分離切り換えスイッチSWの詳細な構成例が示される。
【0043】
ブロック分割にかかる複数個のワードドライバWDRV1〜WDRViが設けられ、それに対応してメモりセル群SM1〜SMiが設けられている。
【0044】
ワードドライバWDRV1〜WDRViは互いに同一構成とされ、そのうちの一つであるワードドライバWDRV1についての構成が代表的に示される。
【0045】
ワードドライバWDRV1は、読み出し専用である低耐圧系ドライバDR1〜DRiと、それに対応して配置された分離切り換えスイッチSW1〜SWiと、書き込み専用である高耐圧系ドライバDPE1〜DPEi、及びレベル変換回路(BP−Dr,BN−Dr)を含む。
【0046】
低耐圧系ドライバDR1〜DRiは、それぞれブロック選択信号AD1〜ADiと、プリデコーダAz−Drの出力信号とのアンド論理を得るアンド回路とされ、低耐圧MOSトランジスタ(高耐圧化されていないMOSトランジスタ)によって構成される。この低耐圧系ドライバDR1〜DRiの出力信号は、それぞれ後段の分離切り換えスイッチSW1〜SWiを介して、対応するワード線W11〜W1iに結合される。分離切り換えスイッチSW1〜SWiは、切り換え制御信号SELによってオンオフ制御される。切り換え制御信号SELによって分離切り換えスイッチSW1〜SWiがオンされた状態でのみ、低耐圧系ドライバDR1〜DRiによるワード線駆動が可能とされる。
【0047】
高耐圧系ドライバDPEは、それぞれワード線W11〜W1iに対応して配置された高耐圧系ドライバDPE1〜DPEiによって構成される。高耐圧系ドライバDPE1〜DPEiは、高耐圧化されたPチャンネル型MOSトランジスタと高耐圧化されたnチャンネル型MOSトランジスタとが直列接続されて成る。高耐圧系ドライバDPE1〜DPEiにおいて、Pチャンネル型MOSトランジスタのソース電極はレベル変換回路BP−Dr,BN−Drの第1出力端子B1Pに結合され、nチャンネル型MOSトランジスタのソース電極はレベル変換回路BP−Dr,BN−Drの第2出力端子B1Nに結合される。Pチャンネル型MOSトランジスタとnチャンネル型MOSトランジスタとの直列接続箇所がそれぞれ対応するワード線W11〜W1iに結合される。高耐圧系ドライバDPE1〜DPEiにおいてPチャンネル型MOSトランジスタ、及びnチャンネル型MOSトランジスタのウェルには、それぞれ所定のウェル電位VBP、及びVNNが印加される。また、高耐圧系ドライバDPE1〜DPEiにおいてPチャンネル型MOSトランジスタのゲート電極には、レベル変換回路Gj−Drの出力信号GP1〜GPiが供給され、nチャンネル型MOSトランジスタのゲート電極にはレベル変換回路Gj−Drの出力信号GN1〜GNiが供給される。
【0048】
レベル変換回路BP−Dr,BN−Drはブロック選択信号によって選択/非選択の切り換えが行われ、読み出し書き換え制御信号RWCによって出力電圧の切り換えが行われる。
【0049】
図24にはメモリセル群SM1〜SMiの構成例が示される。
【0050】
一般にメモりセルをMijmで示すと、添え字のiはワード線を選択する第1の信号群から生成されるブロック選択アドレス信号に、jはワード線を選択する第2のアドレス信号群から生成されるゲート選択アドレス信号、mはデータ線を選択するアドレス信号に、それぞれ対応している。
【0051】
図24に示される構成はNOR(ノア)型と称されるもので、ワード線Wijにはメモリセルij1〜Mijmが接続され、データ線Dmには、メモリセルM11m〜Mijmが接続されている。また、メモリセルのソース線は共通ソース線CSに接続されている。
【0052】
図11にはレベル変換回路BP−Dr,BN−Drに入力される電圧が示され、図12にはレベル変換回路BP−Dr,BN−Drの出力状態例が示される。
【0053】
レベル変換回路BP−Dr,BN−Drには、特に制限されないが、高電位側電源Vcc、9V、0V、−9Vが入力れ、読み出し書き込み制御信号RWCnによって読み出し、書き込み、消去が指示されるとき、レベル変換回路BP−Dr,BN−Drの第1出力電圧BiP、第2出力電圧BiNは、それぞれ図12に示されるようになる。
【0054】
読み出し状態において、選択ブロックでは第1出力電圧BiPは高電位側電源Vccレベル、第2出力電圧BiNは0Vとされ、非選択ブロックでは第1出力電圧BiP及び第2出力電圧BiNはともに0Vとされる。
【0055】
書き込み状態において、選択ブロックでは第1出力電圧BiPは0V、第2出力電圧BiNは−9Vとされ、非選択ブロックでは第1出力電圧BiP及び第2出力電圧BiNはともに0Vとされる。
【0056】
消去状態において、選択ブロックでは第1出力電圧BiPは9V、第2出力電圧BiNは0Vとされ、非選択ブロックでは第1出力電圧BiP及び第2出力電圧BiNはともに0Vとされる。
【0057】
上記分離切り換えスイッチSW1〜SWiは、特に制限されないが、それぞれ図13(a),(b)及び図14に示されるように構成することができる。
【0058】
例えば図13(a)に示されるように、nチャンネル型MOSトランジスタ121とPチャンネル型MOSトランジスタ122とが並列接続されて成るCMOSトランスファゲートにより分離切り換えスイッチSW1〜SWiを構成することができる。nチャンネル型MOSトランジスタ121のゲート電極には、ゲート電位Vgが、また、Pチャンネル型MOSトランジスタ122のゲート電極にはVgと相補レベルの電位Vg*が入力されるゲート電位Vg,Vg*は、切り換え制御信号SELに基づいてチップ内で形成される。Vwはワード線の電位、Vdはブロック選択信号AD1〜ADiの電位である。
【0059】
また、図13(b)に示されるように1個のn型MOSトランジスタ131により構成することができる。ここで、Vgは、nチャンネル型MOSトランジスタ131を確実にオンさせるために、高電位電源Vccよりもnチャンネル型MOSトランジスタのしきい値以上高い電位とされ、それは切り換え制御信号SELに基づいてチップ内で形成される。
【0060】
さらに、図14に示されるように、ブートストラップ昇圧機能を利用して分離切り換えスイッチSW1〜SWiを構成することができる。第1ゲートG1及び第2ゲートG2を有する2層ゲートMOSトランジスタ142が設けられる。この2層ゲートMOSトランジスタ142の第1ゲート電極G1はnチャンネル型OSトランジスタ141を介して高電位側電源Vccに結合され、第2ゲート電極G2にはドライバ出力電圧Vdが供給される。図15に示されるように、ドライバ出力電圧Vdが0VからVccに切り換わることにより、第1ゲート電極G1の電圧V1gが(Vcc−Vthn)から(2Vcc−Vthn)に変化され、ワード線電位Vwが0VからVccに変化される。つまり、ドライバ出力電圧VdがVccに切り換わることで2層ゲートMOSトランジスタ142がオンされてワード線にVccが供給される。ここで、書き換え時は第1ゲートを基板と同電位とすることで、ワード線に高電圧が供給されても2層ゲートMOSトランジスタ142はオンされない。PWはPウェルであり、このPウェルには所定のウェル電圧が供給される。
【0061】
図16には、図14に示される分離切り換えスイッチを適用した場合の読み出し、書き込み、消去の際の状態例が示される。
【0062】
先ず選択ブロックについて説明する。
【0063】
読み出し状態において、第1ゲート電圧G1の電圧V1g、ドライバ出力電圧Vd、及びワード線電位VwはVccレベルとされる。ウェル電位Vbは0Vとされる。書き込状態においては高耐圧系ドライバを介して高電圧供給が行われるので、第1ゲート電圧G1の電圧V1g、ウェル電位Vb、及びワード線電位Vwは−9Vとされる。ドライバ出力電圧Vdは0Vであり、ワード線の高電圧が低耐圧系ドライバに印加されずに済む。消去状態において、第1ゲートG1の電圧V1g、ドライバ出力電圧Vd、ウェル電位Vbは0Vとされ、ワード線電位は9Vとされる。
【0064】
次に非選択ブロックについて説明する。
【0065】
別のブロックが選択された場合の読み出し状態においては、第1ゲート電圧G1の電圧V1g、ドライバ出力電圧Vd、ウェル電位Vb、及びワード線電位Vwは0Vとされる。また、別ブロックが選択されたの書き込み状態において、第1ゲートG1の電圧V1g、ウェル電位Vbは−9Vとされ、ドライバ出力電圧Vd、ワード線電圧Vwは0Vとされる。ウェル電位Vbは−9Vとされる。消去状態において、第1ゲートG1の電圧V1g、ドライバ出力電圧Vd、ウェル電位Vb、及びワード線電位は0Vとされる。
【0066】
図6にはレベル変換回路BP−Dr,BN−Dr、Gj−Drの構成例が示される。
【0067】
レベル変換回路BP−Dr,BN−Dr、Gj−Drは、特に制限されないが、それ自体公知のラッチ型電圧変換回路を含んで構成される。ブロック選択アドレス信号B1Nを駆動するドライバ回路の前段の回路が2段の構成をとっているのは、トランジスタの最小ソース・ドレイン間耐圧を確保するためである。電圧VFFの電位はメモリセルのしきい値を下げる動作中(ベリファイ動作を含む)には、負の電圧とし、それ以外の動作では接地電位Vssである。AXBは第1のアドレス信号群を入力とするアドレスバッファの出力信号の相補アドレス信号である。WWVはメモリセルのしきい値を下げる動作中(ベリファイ動作を含む)、ハイレベルに活性する信号であり、WWVBはその否定信号である。WVBは低いしきい値をベリファイする動作と電圧切り換え動作で、ローレベルに活性する信号である。REVは読み出し動作中でハイレベルに活性し、ワード線を選択前にnチャンネル型MOSトランジスタを介して接地電位Vssにリセットする信号である。
【0068】
図7には、入力アドレスとデコーダ及びそれに対応する低耐圧系ドライバの階層化構成例が示される。説明の便宜上、アドレスを4本としている。
【0069】
尚、図7ではメモリセル群SM1に対応する回路の構成例が代表的に示される。
【0070】
低耐圧系ドライバDR1〜DR4の前段には、第1のアドレス群をデコードするためのアンドゲート71〜74が設けられ、低耐圧系ドライバDR1〜DR4は、それぞれ各アンドゲート71〜74の出力信号と、第2のアドレス群をデコードするデコーダ回路Az−Drの出力信号とのナンド論理を得るナンドゲート75、及びその出力信号を反転するインバータ76とを含んで成る。低耐圧系ドライバDR1〜DR4において各インバータ76の出力信号が対応する分離切り換えスイッチSW1〜SW4を介してワード線WL11〜WL14に入力される。メモリセル群SM2〜SM4に対応する回路も同様に構成される。図8には入力アドレス信号A0,A1,A2,A3の論理の組み合わせと、それによって選択されるワード線WLとの関係が示される。A0〜A3の論理組み合わせによって1本のワード線が選択される。
【0071】
図7の例では1本のワード線例えばWL11に対して、スイッチ回路SW1が1個、ドライバ回路DR1が1個、及びアンドゲート71が1個必要とされるが、上記第2のデコード回路Az−Drはメモリマット一つ当たり一組で良い。
【0072】
図9及び図10には上記低耐圧系ドライバDR1の階層化構造が示される。
【0073】
図9に示される構成例では、低耐圧系ドライバについての構成が代表的に示されるように、nチャンネル型MOSトランジスタ91,92が並列接続され、nチャンネル型MOSトランジスタ92にpチャンネル型MOSトランジスタ93が直列接続されて成る。アドレス信号のナンド論理出力Noutがハイレベルのとき、ブロック選択が行われ、Az−Drの出力がローレベルにされたところのドライバ出力によって、対応するワード線が選択レベルに駆動される。
【0074】
図9に示される例では、ワード線WL11に対してSW1、DR1がそれぞれ1個必要であるが、前段のナンドゲート、インバータはワード線32本に1組のみで良い。
【0075】
また、図10に示される構成例では、上記低耐圧系ドライバDR1についての構成例が代表的に示されるように、pチャンネル型MOSトランジスタ101とnチャンネル型MOSトランジスタ102とが直列接続され、上記pチャンネル型MOSトランジスタ101にnチャンネル型MOSトランジスタ103が並列接続されて成る。アドレス信号のアンド論理出力Aoutがローレベルのとき、ブロック選択が行われ、Az−Drの出力がハイレベルにされたところのドライバ出力によって、対応するワード線が選択されるようになっている。
【0076】
上記した例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0077】
(1)低耐圧系ドライバを構成する素子として、耐圧が低いトランジスタを使用しており、それは高耐圧化されたものに比べて動作速度が速いから、そのようなトランジスタを使用する低耐圧系ドライバを使うことで、データ読み出しの際のワード線選択の高速化を図ることができ、半導体記憶装置における読み出し動作の高速化を図ることができる。
【0078】
(2)上記メモリセルへのデータ書き込みの際に上記低耐圧系ドライバ回路を上記ワード線から切り離すためのスイッチ回路を設けることにより、ワード線に供給された高電圧によって低耐圧系ドライバ回路が破損するのを防止することができる。
【0079】
(3)アドレスデコーダ回路を階層化することによりメモリモジュール全体としての回路規模及びレイアウト面積を低減及び縮小することができる。
【0080】
(4)そのようなフラッシュメモリをプログラムメモリとして搭載するデータ処理装置においては、プログラムを高速に読み出すことができるので、処理の高速化を図ることができる。
【0081】
以上本発明者によってなされた発明を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0082】
例えば、図3に示されるように高耐圧系ドライバDPEを構成することができる。すなわち、レベル変換回路BP−Dr,BN−Drの出力信号B1P,B1Nが、高耐圧系ドライバDPE1〜DPEjを構成するMOSトランジスタのゲート電極に入力され、また、レベル変換回路Gj−Drの出力信号GP1〜GPi,GN1〜GNiが、高耐圧系ドライバDPE1〜DPEjを構成するMOSトランジスタのソース電極に入力されるようになっている。このように構成しても、レベル変換回路BP−Dr,BN−Drの出力信号B1P,B1Nの出力信号に基づいてワード線を選択レベルに駆動することができる。
【0083】
メモリセル群SM1〜SMiには種々の構成がある。
【0084】
図25に示されるメモリセル群SM1〜SMiは、データ線を階層化したもので、少なくとも二つ以上のメモリセルを1ブロックとし(例えばM111〜M1j1)、そのドレインをローカルドレイン配線DL11,DL1m,DLi1,SiDmを介してデータ線D1〜Dmに接続して成る。
【0085】
図26に示されるメモリセル群SM1〜SMiは、データ線に加え、ソース線も階層化したものである。メモリセルと共通ソース線CSとの接続を階層化した構成で、一つのブロックを構成するメモリセルのソースをローカルソース配線SL11,SL1m,SLi1,SLimに接続し、これらのローカルソース線と共通ソース線CSとの接続信号線S1S、SiSをゲート入力とするソース選択トランジスタS1S1,S1Sm,SiS1,SiSmを介して行った構成となっている。
【0086】
図25に示されるようにメモリセル群が構成されるとき、図4に示されるように、ドレイン側選択トランジスタのゲート信号線S1D〜SiDを形成するためのドライバZDPEが設けられる。ドライバZDPEは、Pチャンネル型MOSトランジスタ、及びnチャンネル型MOSトランジスタが直列接続されて成り、高電圧VZN,VZPが印加される。この場合、読み出し書き換え制御信号RWCに基づいて高耐圧系ドライバZDPEを駆動するためのレベルシフタC1P,C1Nが設けられる。データ書き換えの際にはレベルシフタC1P,C1Nの出力信号に基づいてドライバZDPEが駆動されることにより、ドレイン側選択トランジスタのゲート信号線S1Dが選択レベルに駆動される。このとき、低耐圧系ドライバDR1Zに高電圧が印加されるのを防ぐため、切り換え制御信号SELによって分離切り換えスイッチSWC1がオフされる。
【0087】
それに対してデータ読み出しの際には、切り換え制御信号SELによって分離切り換えスイッチSWC1がオンされ、さらに低耐圧系ドライバDR1Zによってドレイン側選択トランジスタのゲート信号線S1Dが選択レベルに駆動されて高電圧が印加される。
【0088】
このように、ワード線駆動のための低耐圧系ドライバSW1などや分離切り換えスイッチSW1などに加えて、ドレイン側選択トランジスタのゲート信号線S1Dを駆動するための低耐圧系ドライバDR1Zや、それに高電圧が印加されるのを防ぐための分離切り換えスイッチSWC1を設けることができる。そして、SWC1によってDR1Zへの高電圧印加が阻止されるので、DR1Zは、低耐圧MOSトランジスタを使用することができ、ゲート信号線S1D駆動の高速化を図ることができる。
【0089】
また、図26に示されるようにメモリセルが構成されるとき、図5に示されるように、ローカルソース線と共通ソース線CSとの接続信号線S1Sを駆動するのに高耐圧系ドライバZDPEが設けられ、データ書き換えのためにこの高耐圧系ドライバZDPEを駆動するためのレベルシフタD1P,D1Nが設けられる。DR1SはS1Sを駆動するための低耐圧系ドライバであり、この低耐圧系ドライバDR1Sに高電圧が印加されるのを防ぐため、切り換え制御信号SELによって分離切り換えスイッチSWD1がオフされる。データ読み出しの際には切り換え制御信号SELによって分離切り換えスイッチSWD1がオンされ、さらに低耐圧系ドライバDR1Sによってドレイン側選択トランジスタのゲート信号線S1Sが選択レベルに駆動される。分離切り換えスイッチSWD1がオフされることで、DR1Sへ高電圧が印加されるのが防止されるため、分離切り換えスイッチSWD1には低耐圧MOSトランジスタを適用することができる。低耐圧MOSトランジスタは高速動作が可能であるから、読み出し時のゲート信号線S1Sの駆動を高速に行うことができ、メモリアクセスの高速化を図ることができる。
【0090】
このようにローカルソース線と共通ソース線CSとの接続信号線S1Sを駆動するための低耐圧系ドライバDR1Sや、それに高電圧が印加されるのを防ぐための分離切り換えスイッチSWD1を設けることができる。
【0091】
図17には、低耐圧系ドライバ付近の別の構成例が示される。
【0092】
図17に示される構成では、プリデコーダAz−Drが、2入力ナンドゲート171と、その出力信号を反転するためのインバータ172とを含んで構成される。上記ナンドゲート171の一方の入力端子にはクロック信号CKが入力され、他方の入力端子にはアドレス信号あるいはアドレスデコード信号が入力される。
【0093】
図18には、図17に示される回路の動作タイミングが示される。
【0094】
上記ナンドゲート171により、クロック信号CKとアドレスあるいはアドレスデコード信号とのナンド論理が得られ、それに基づいてワード線駆動が行われるようになっているので、クロック信号の1サイクル毎にワード線駆動が行われ、それは、ワード線デコード及び駆動、ビット線プリチャージ、メモリセルからの読み出し信号の電流センス、及び読み出しデータ出力という一連の動作において、読み出し信号のセンス期間の後半から読み出しデータ出力期間においては、ワード線WLが非選択状態とされる。換言すれば、1度選択されたワード線は次のリードサイクルが始まる前に強制的に非選択状態とされる。すなわち、図18の例では、選択ワード線にハイレベルが印加されている期間は約1/2サイクルとなる。そのようにすると、ワード線を1サイクル分選択する従来方式に比べてワード線WLの選択期間を可能な限り短くすることができる。特にマイクロコンピュータに内蔵されるようなフラッシュメモリでは、読み出し動作回数が非常に多く、この読み出し動作に対するディスターブ耐性を向上させることが重要とされる。図17に示される構成では、上記のようにワード線WLの選択期間を可能な限り短くすることができるので、ディスターブ耐性の向上を図ることができる。
【0095】
また、図19に示されるように、低耐圧系ドライバDR1に、レベル変換回路兼用ワード線ドライバを適用することができる。すなわち、pチャンネル型MOSトランジスタ192,195、及びnチャンネル型MOSトランジスタ193,194,196が結合されて成るレベルシフト回路と、pチャンネル型MOSトランジスタ197とnチャンネル型MOSトランジスタ198とが直列接続されて成るインバータとを含んで低耐圧系ドライバDR1を構成する。低耐圧系ドライバDR1の前段に配置された回路例えばインバータ191やプリデコーダAz−Drの動作用電源電圧をVccとするとき、低耐圧系ドライバDR1の動作用電源電圧はVccの変動範囲の上限に設定されたVcrとされる。電圧Vcrは、電圧Vccに基づいて昇圧回路(図示せず)で昇圧されたものであり、電圧Vccがある程度変動しても電圧Vcrは変動しない。特に制限されないが、電圧Vccを3Vとするとき、電圧Vcrは4Vとすることができ、この程度の電圧であれば、低耐圧系ドライバDR1を構成するMOSトランジスタを高耐圧化する必要はない。つまり、低耐圧系ドライバDR1に高速動作可能な低耐圧MOSトランジスタを適用することができる。
【0096】
図20には、図19に示される回路の動作タイミングが示される。低耐圧系ドライバDR1の動作用電源として、電圧Vcrが供給されるため、ノードN1,N2の振幅は、図20に示されるようにVcrとなる。電圧Vcrが、電圧Vccに基づいて昇圧回路で(図示せず)昇圧されたものであり、電圧Vccがある程度変動しても電圧Vcrは変動しないため、ノードN1,N2の振幅の安定化を図ることができる。ここで、デコーダAz−Drの出力信号であるAzN信号がローレベルになると、選択されたブロック信号(ADi=ハイレベル)とでノードN2がローレベルに引かれ、pチャンネル型MOSトランジスタ197がオンされ、nチャンネル型MOSトランジスタ198がオフされ、ノードN2がハイレベルにされてワード線WLが立ち上げられる。図20においても図18と同様にADiの切り換えより前にワード線すなわちノードN2を立ち下げている。また、Vccではなく、それを昇圧した電圧Vcrをワード線に供給することにより、フラッシュメモリセルの電流を増やすことができるので、センスアンプでのセンス期間を短くすることができる、という利点もある。
【0097】
図21には、スタンバイ時におけるワード線ディスチャージを考慮した場合の構成が示される。
【0098】
デコーダAz−Drは、クロック信号CKと、アドレス又はアドレスデコード信号と、スタンバイ信号STBYN*とのナンド論理を得るナンドゲート211と、それの後段に配置されたインバータ212とを含んで成る。アドレス又はアドレスデコード信号と、スタンバイ信号STBYN*とのナンド論理を得るようにしているため、スタンバイ信号STBYN*がローレベルにアサートされた場合に、低耐圧系ドライバDR1がローレベル出力となって、ワード線の電荷が速やかに放出される。
【0099】
図22には、図21に示される構成の動作タイミングが示される。
【0100】
スタンバイ信号STBYN*がハイレベルの期間においては、クロック信号CKに同期してワード線WLが駆動される。しかし、スタンバイ信号STBYN*がローレベルにされた期間では、ナンドゲート211の出力端子がハイレベルに固定されることから、ワード線WLは選択されない。このワード線非選択期間は、ワード線WLのディスチャージ期間であり、このディスチャージ期間において、それまでワード線に蓄積されていた電荷が、低耐圧系ドライバDR1の最終段インバータを介してディスチャージされる。通常スタンバイ信号STBYN*はクロック信号に非同期でアサートされるが、そのように非同期でアサートされた場合でも、ワード線に蓄積されていた電荷を放出することができる。
【0101】
図23にはワード線ディスチャージを考慮した場合の別の構成が示される。
【0102】
例えば高耐圧系ドライバDPE1がpチャンネル型MOSトランジスタ231とnチャンネル型MOSトランジスタ232とが結合されて成るとき、このnチャンネル型MOSトランジスタ232を介してワード線WLの電荷をディスチャージすることができる。すなわち、スタンバイ信号STBYN*がローレベルにアサートされることにより、レベル変換回路Gj−Drの出力信号GjN,GjPがハイレベルにされ、それにより、pチャンネル型MOSトランジスタ231がオフされ、nチャンネル型MOSトランジスタ232がオンされるため、nチャンネル型MOSトランジスタ232を介してワード線WLの電荷がディスチャージされる。
【0103】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるフラッシュメモリに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、EEPROMやEPROMなどの不揮発性メモリ、さらには揮発性メモリなどの各種半導体記憶装置及びそれを含むデータ処理装置に広く適用することができる。
【0104】
本発明は少なくとも複数のメモリセルを含むことを条件に適用することができる。
【0105】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0106】
すなわち、第2ドライバ回路を形成するトランジスタのゲート酸化膜が第1ドライバ回路を形成するトランジスタのゲート酸化膜よりも薄いものとすると、第2ドライバ回路は第1ドライバ回路に比べて高速動作が可能とされ、それをデータ読み出しの際のワード線駆動に使用することで、データ読み出しの際のワード線を高速に駆動することができる。それにより、半導体記憶装置における読み出し動作の高速化を図ることができる。
【0107】
上記第2ドライバ回路と上記ワード線との間に、上記メモリセルへのデータ書き換えの際に上記第2ドライバ回路を上記ワード線から切り離すスイッチ回路を設けることで、ワード線に供給された高電圧が第2ドライバ回路に印加されて第2ドライバ回路が破損されるのを防止することができる。
【0108】
さらに、上記半導体記憶装置をプログラムメモリとして搭載するデータ処理装置においては、プログラムを高速に読み出すことができるので、処理の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる半導体記憶装置の一例であるフラッシュメモリにおけるワードドライバ付近の構成例ブロック図である。
【図2】上記フラッシュメモリにおけるワードドライバ付近の構成例回路図である。
【図3】上記フラッシュメモリにおけるワードドライバ付近の別の構成例回路図である。
【図4】上記フラッシュメモリにおけるワードドライバ付近の別の構成例回路図である。
【図5】上記フラッシュメモリにおけるワードドライバ付近の別の構成例回路図である。
【図6】図2に示されるブロックの詳細な回路図である。
【図7】図2に示される低耐圧系ドライバの論理構成図である。
【図8】図7に示される回路においてアドレス信号と選択されるワード線との関係説明図である。
【図9】上記低耐圧系ドライバの構成例回路図である。
【図10】上記低耐圧系ドライバの別の構成例回路図である。
【図11】図2に示される主要ブロックの入力電圧及び入力信号説明図である。
【図12】図11に示されるレベル変換回路の読み出し/書き込み/消去の状態例説明図である。
【図13】図2に示される分離切り換えスイッチの構成例回路図である。
【図14】図2に示される分離切り換えスイッチの別の構成例回路図である。
【図15】図14に示される分離切り換えスイッチの動作波形図である。
【図16】図14に示される分離切り換えスイッチの読み出し/書き込み/消去の状態例説明図である。
【図17】図2に示される主要ブロックの内部構成例回路図である。
【図18】図11に示される回路の動作タイミング図である。
【図19】図2に示される主要ブロックの内部構成例回路図である。
【図20】図19に示される回路構成の動作タイミング図である。
【図21】図2に示される別の主要ブロックの内部構成例回路図である。
【図22】図21に示される回路構成の動作タイミング図である。
【図23】図2に示される別の主要ブロックの内部構成例回路図である。
【図24】図2に示されるメモリセル群の構成例回路図である。
【図25】図2に示されるメモリセル群の別の構成例回路図である。
【図26】図2に示されるメモリセル群の別の構成例回路図である。
【図27】上記フラッシュメモリを含むマイクロコンピュータの構成例ブロック図である。
【図28】上記フラッシュメモリの全体的な構成例ブロック図である。
【符号の説明】
10 マイクロコンピュータ
12 CPU
13 DMAC
14 BSC
15 ROM
16 RAM
17 タイマ
18 SCI
19 CPG
FMRY フラッシュメモリ
WDRV ワードドライバ
DP 低耐圧系ドライバ回路
DPE 高耐圧系ドライバ回路
SW 分離切り換えスイッチ
Claims (9)
- 複数のワード線と、上記ワード線に結合されたメモリセルと、
第1のゲート酸化膜厚のトランジスタにより形成され、上記メモリセルのデータ書き換えのために対応するワード線を選択的に駆動するための第1ドライバ回路と、
上記第1のゲート酸化膜厚よりも薄い第2のゲート酸化膜のトランジスタにより形成され、上記メモリセルからのデータ読み出しのために対応するワード線を選択的に駆動するための第2ドライバ回路と、を含む半導体記憶装置であって、
上記第2ドライバ回路と上記ワード線との間に設けられ、上記メモリセルへのデータ書き換えの際に上記第2ドライバ回路を上記ワード線から切り離すためのスイッチ回路を含み、
上記スイッチ回路は、第1ゲート及び第2ゲートを含む2層ゲートトランジスタで構成され、
上記2層ゲートトランジスタの第1ゲートはダイオード接続されたトランジスタを介して電源に接続され、上記2層ゲートトランジスタの第2ゲートは上記第2ドライバの出力端子に結合されて成ることを特徴とする半導体記憶装置。 - 上記スイッチ回路の2層ゲートトランジスタの基板電位が、当該スイッチ回路に結合されるワード線の非選択時の電位と同電位に制御されて成る請求項1記載の半導体記憶装置。
- 上記第2ドライバ回路は、第1のアドレス信号群から生成されるブロック選択信号と、第2のアドレス信号群から生成される行選択信号とのアンド論理を得る論理回路を含む請求項1又は2記載の半導体記憶装置。
- 上記論理回路は、上記第1のアドレス信号群から生成されるブロック選択信号や、上記第2のアドレス信号群から生成される行選択信号のレベルよりも高いレベルに変換する電圧レベル変換回路を含む請求項3記載の半導体記憶装置。
- 上記論理回路は、外部から供給された電源電圧に基づいて内部昇圧された電圧が動作用電源として供給される請求項3又は4記載の半導体記憶装置。
- 1度選択されたワード線を次のリードサイクルが始まる前に強制的に非選択状態にするための制御回路を含む請求項1乃至5のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
- 上記制御回路は、入力されたスタンバイ信号に応じて上記第2ドライバの出力論理をローレベルに固定することで、対応するワード線の蓄積電荷を放出するモードを有する請求項6記載の半導体記憶装置。
- 上記メモリセルは、コントロールゲートとフローティングゲートとを含む不揮発性メモリセルとされた請求項1乃至7のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
- プログラムメモリと、上記プログラムメモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置とを含んで1チップ化されたデータ処理装置において、上記プログラムメモリとして請求項1乃至8のいずれか1項記載の半導体記憶装置を適用したことを特徴とするデータ処理装置。
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