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JP3824814B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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JP3824814B2
JP3824814B2 JP23871399A JP23871399A JP3824814B2 JP 3824814 B2 JP3824814 B2 JP 3824814B2 JP 23871399 A JP23871399 A JP 23871399A JP 23871399 A JP23871399 A JP 23871399A JP 3824814 B2 JP3824814 B2 JP 3824814B2
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隆雄 服部
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌効果を有する冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
冷蔵庫において野菜等の食品の鮮度保持向上のためには、恒温高湿での保存が望ましいが、冷蔵庫内の湿度が高くなることにより菌繁殖のおそれがある。また、冷蔵室は頻繁に開閉されるため、扉を開いた場合の冷蔵室(連通する野菜室含む)の温度上昇、外部からの菌侵入のおそれがある。特に熱い食品を入れた場合、冷蔵室内の温度が上昇し、急激な菌繁殖のおそれがある。
【0003】
このような菌の繁殖を防止するため、従来より、冷蔵庫内に抗菌処理を施す場合がある。従来の冷蔵庫内の抗菌処理としては、庫内収納部材(主としてプラスチック成形部品)に無機系抗菌材を練り込んだり、無機系抗菌材を含む塗料を収納部材に塗布する方式がある。
【0004】
しかしながら、これらの方式では、収納部材の汚染が進行すると抗菌材の効果は部材表面に行き渡らなくなり、菌の繁殖が始まってしまうという欠点がある。
【0005】
また、この方式では冷蔵庫内の雰囲気全体に渡って抗菌効果を及ぼすことは不可能であり、抗菌材処理を施した収納部材に接触した近傍にしか抗菌効果は期待できず、食品に付着した菌、庫内を浮遊する菌に対する効果はなかった。
【0006】
そこで、このような従来の問題を解消するために、揮発性を有する抗菌材を冷蔵庫内に設置し、冷蔵庫内を抗菌材雰囲気にすることで食品に付着した菌や浮遊菌の増殖を防ぐことがなされている。
【0007】
例えば、図9に示す冷蔵庫100では、上段が冷蔵室101、中段が冷凍室102、下段が野菜室103となっており、これら各室の後面にダクト104が設けられ、このダクト104内に1組の冷却器105及びファン106が配されている。そして、冷却器105からの冷気が、ダクト104から冷蔵室101に吹出され更に野菜室103を通って循環するとともに、ダクト104から冷凍室102にも吹出されて循環され、これにより、庫内全体が1つの冷却器105で冷却されるようになっている。この冷蔵庫100においては、冷蔵室101内に揮発性抗菌材107が配されており、これにより冷蔵室101及び野菜室103での抗菌効果を得ようとしている。
【0008】
しかしながら、1つの冷却器105で温度差の大きい冷蔵室101と冷凍室102を冷却する場合、冷却器105の温度を冷凍室102の冷却に合わせる必要があるため、冷却器105の温度が−40℃程度と低く、そのため、揮発した抗菌材が冷却器105に付着しやすい。また、冷蔵室101が冷凍室102と連通しており、この冷凍室102の温度が通常−20℃程度と低いため、冷凍室102内への抗菌材の付着も大きい。そのため、冷蔵室101内の抗菌材濃度の低下が大きく、また、抗菌材のロスも大きい。
【0009】
一方、抗菌効果の面では、抗菌材濃度は高い程有利であるが、ユーカリ油やわさび成分などの揮発性抗菌材は強い臭気を持つものが多く、濃度の変動が大きくなると、臭気や食品への移臭等の弊害がある。
【0010】
そこで、本発明は、揮発性抗菌材の濃度変動を低減し、菌繁殖を防止することで、食品の鮮度を長持ちさせることができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明冷蔵庫は、冷蔵室を含む冷蔵温度帯の冷蔵ゾーンと、冷凍室を含む冷凍温度帯の冷凍ゾーンを備え、前記冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンは冷気が互いに循環しないように独立して設けられるとともに、前記冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンにそれぞれ冷却器が配され、前記冷蔵ゾーンに揮発性抗菌材が配されたことを基本構成とする。
【0012】
ここで、揮発性抗菌材とは、ユーカリ油(シネオール)や、わさび成分(イソチオシアン酸アリル)等の、通常、常温で液体もしくは固体で蒸発、昇華しやすく抗菌効果を有するものである。
【0013】
この冷蔵庫では、揮発性抗菌材が配された冷却ゾーンが、温度帯の異なる他の冷却ゾーンから分離され、専用の冷却器で所定の温度帯に保たれているので、当該冷却ゾーンにおける抗菌材濃度の変動を抑えることができる。すなわち、揮発性抗菌材の配された冷却ゾーンがより低い温度帯の冷却ゾーンと連通されていると、当該低い温度帯の冷却ゾーンに抗菌材が集中してしまい、本来抗菌効果を得ようとしている冷却ゾーンでは抗菌材濃度が低くなってしまうが、本発明によればこれを防止することができる。また、他の冷却ゾーンに抗菌材をとられることによる抗菌材のロスをなくすことができる。
【0015】
また、上記構成であると、揮発性抗菌材が配された冷蔵ゾーンが、より温度帯の低い冷凍ゾーンから分離され、専用の冷却器で所定の温度帯に保たれているので、冷蔵ゾーンにおける抗菌材濃度の変動を抑えることができ、また、抗菌材のロスをなくすことができる。なお、ここでいう冷蔵室には野菜室やチルド室なども含まれる。
【0018】
本発明の請求項記載の冷蔵庫は、上記基本構成において、前記冷蔵ゾーンが、冷蔵室と該冷蔵室に冷気を循環させるためのダクトからなり、該ダクト内に前記冷却器と該冷却器を除霜するための除霜ヒータが配され、該ダクトにおける冷却器と冷蔵室への冷気吹出口との間に当該ダクトを開閉するダンパが配され、前記除霜ヒータへの通電時に前記ダンパを閉じ、前記除霜ヒータへの通電終了後、前記ダンパを遅延させて開くことを特徴とする。
【0019】
除霜ヒータへの通電による冷却器温度の急激な上昇により、除霜時には、冷却器に付着していた抗菌材が揮発して、多量の抗菌材がダクトを通じて冷蔵室内に侵入し、冷蔵室内の抗菌材濃度が必要以上に高くなってしまう場合がある。このような高濃度状態時にたまたま冷蔵室の扉を開けると、抗菌材の強い臭気を感じるおそれがある。請求項の冷蔵庫によれば、除霜時に、冷却器とダクト出口との間をダンパで閉じてダクトを遮断するので、冷却器から揮発した抗菌材の冷蔵室内への多量侵入を防止することができ、冷蔵室内の抗菌材濃度の変動を抑えることができる。
【0021】
また、請求項記載の冷蔵庫によれば、次の作用効果が奏される。すなわち、除霜ヒータの通電終了直後は、ダクト内部の抗菌材濃度が高くなっているため、すぐにダンパを開くと冷蔵室内の抗菌材濃度が上昇してしまうおそれがある。そこで、請求項1のように、除霜ヒータへの通電終了後、ダンパを所定遅延させて開くことで、冷蔵室内の抗菌材濃度の変動をより低減することができる。
【0022】
本発明の請求項記載の冷蔵庫は、上記基本構成において、前記冷蔵ゾーンの冷却器に付着した霜を蒸発させて冷蔵室内に送るためのファンを備えるとともに、前記揮発性抗菌材を前記冷蔵室内の冷気に対して開放と閉鎖の切り替えが可能な切り替え手段を設けて、前記冷蔵ゾーンの冷却器の動作時に前記切り替え手段を開放し、該冷却器の停止時であって前記ファンの動作時に前記切り替え手段を閉鎖することを特徴とする。
【0023】
この場合、冷蔵室内の抗菌材濃度が低いときには、切り替え手段により抗菌材を冷蔵室内の冷気に対して開放状態とし、冷蔵室内の抗菌材濃度が高いときには、切り替え手段により抗菌材を冷蔵室内の冷気に対して閉鎖状態とすることにより、冷蔵室内の抗菌材濃度の変動を抑えることができる。これにより、常に一定の抗菌効果を確保することができる。
【0027】
また、請求項2記載の冷蔵庫によれば、次の作用効果が奏される。すなわち、冷却器の動作時には揮発した抗菌材が冷却器に付着するため、冷蔵室内の抗菌材濃度が低下し、一方、冷却器の停止時には冷却器に付着していた抗菌材が揮発するため、冷蔵室内の抗菌材濃度が上昇する傾向にある。そこで、請求項のように冷却器の動作に連動させて切り替え手段を開閉することにより、運転モードによる抗菌材濃度の変動を抑制することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0033】
(第1の実施例(参考例)
図1は、本発明の第1の実施例に係る冷蔵庫10の断面図である。この冷蔵庫10は、上段に冷蔵室12と下段に冷凍室14とを有する冷凍冷蔵庫であり、中段に、ユーカリ油(シネオール)を使用した揮発性抗菌材32が配された冷却室である抗菌室24が設けられている。
【0034】
上段の冷蔵室12と下段の冷凍室14は、ダクト20により冷気が互いに循環するように接続されており、該ダクト20内に配した1組の冷却器16及びファン18により冷却されるようになっている。すなわち、冷蔵室12と冷凍室14は、1つの冷却器16により冷却される1の冷却ゾーン(冷凍冷蔵ゾーン)を構成している。
【0035】
中段の抗菌室24は、その後方に設けられたダクト30内に専用の冷却器26とファン28を配して、これら冷却器26及びファン28により、上記冷凍冷蔵ゾーンとは独立した所定の温度範囲に保たれている。すなわち、この抗菌室24は、ダクト30とともに、上記冷凍冷蔵ゾーンとは異なる温度帯(冷蔵温度帯)を有し、冷気が互いに循環しないように独立した冷却ゾーンを構成している。
【0036】
この冷蔵庫10においては、抗菌室24において揮発性抗菌材32が揮発し、室24内が抗菌材雰囲気になる。そのため、食品に付着した菌や庫内を浮遊する菌の増殖を防止することができる。
【0037】
そして、この揮発性抗菌材32が配された抗菌室32を含む冷却ゾーンが、異なる温度帯の冷凍冷蔵ゾーンと連通されていないので、抗菌室24内における抗菌材濃度の変動を抑えることができる。すなわち、この抗菌室24が、冷凍室14を含む上記冷凍冷蔵ゾーンと連通されていると、より温度の低い冷凍室14に抗菌材が凝縮してとられてしまうおそれがあるが、上記のように抗菌室32を含む冷却ゾーンを分離独立させることで、これを防止して抗菌材濃度の低下を抑制することができ、また、抗菌材のロスをなくすことができる。
【0038】
以上のように、この実施例の冷蔵庫10によれば、抗菌材濃度の変動を抑えて、有効に抗菌効果を発揮させることができ、よって、食品の鮮度保持を向上させることができる。また、抗菌材のロスを低減して、抗菌材の量を低減し、コスト低減を図ることができる。
【0039】
なお、上記においては揮発性抗菌材32を抗菌室24の室内に設けているが、これに限らず、抗菌材32はダクト30内に配してもよい。また、冷却器26は、上記のようにファンクールによる間接冷却方式に限られず、例えば、壁面冷却による直列冷却方式でも、あるいはまた、ペルチェ素子による電子冷却でもよい。
【0040】
(第2の実施例(参考例)
図2は、本発明の第2の実施例に係る冷蔵庫40の断面図である。この冷蔵庫40は、上段に冷蔵室42、中段に野菜室44、下段に冷凍室46を有する冷凍冷蔵庫であり、冷蔵室42及び野菜室44と、冷凍室46とは、温度差が大きいため、それぞれ別の冷却器50,56を持ち、独立して所定の温度帯に保つことができるようになっている。
【0041】
詳細には、上段の冷蔵室42と中段の野菜室44は互いに連通されて、後方のダクト48内に配した1組の冷却器50及びファン52により冷却されるようになっている。すなわち、冷蔵室42と野菜室44は、ダクト48とともに、1つの冷却器50より冷却される冷蔵温度帯の冷却ゾーン(冷蔵ゾーン)43を構成している。
【0042】
下段の冷凍室46は、その後方のダクト54内に配した1組の冷却器56及びファン58により上記冷蔵ゾーン43とは独立して冷却されるようになっている。すなわち、冷凍室46は、上記冷蔵ゾーン43によりも低い冷凍温度帯を有し、冷気が互いに循環しないように独立した冷却ゾーン(冷凍ゾーン)を構成している。
【0043】
そして、冷蔵ゾーン43のダクト48内にユーカリ油(シネオール)を使用した揮発性抗菌材60が配されている。これにより、冷蔵室42と野菜室44を含む冷蔵ゾーン43内が抗菌材雰囲気になり、これら両室42,44内に存在する菌が食品に付着した菌や庫内を浮遊する菌を含めてその増殖が防止される。
【0044】
この冷蔵庫40においては、各冷却ゾーン43,46の温度制御を独立して行うことで温度変動が小さく抑えられる。また、冷蔵室42及び野菜室44においては、冷蔵室用冷却器50の停止時に、この冷却器50に付着した霜をファン52により蒸発させて室42,44内に戻すことにより、室42,44内を高い湿度にすることができる(以下、この運転モードを「うるおい運転」という)。
【0045】
この冷蔵庫40によれば、揮発性抗菌材32が配された冷蔵ゾーン43が、より温度帯の低い冷凍ゾーン46から分離され、専用の冷却器50で所定の温度帯に保たれているので、第1の実施例と同様に、冷蔵ゾーン43における抗菌材濃度の変動を抑えることができ、また、抗菌材のロスをなくすことができる。
【0046】
さらに、この冷蔵庫40によれば、上記うるおい運転により、冷却器50に付着した抗菌材を再び揮発させ、冷蔵室42及び野菜室44内に戻すことができる。
【0047】
図3は、この第2の実施例の冷蔵庫40における冷蔵室42内の抗菌材濃度の変化を示すグラフであり、図9に示す従来の冷蔵庫100における冷蔵室101内の抗菌材の濃度変化(比較例)と比較して示している。
【0048】
図3に示すように、第2の実施例において、冷却器50の動作時には、揮発した抗菌材が冷却器50に付着してしまうため、冷蔵室42内の抗菌材濃度は低下するが、うるおい運転時にこの付着した抗菌材を再び揮発させて冷蔵室42内に戻すことができるため、抗菌材濃度は上昇し、結局、冷蔵室42内の抗菌材濃度の変動はある一定の範囲内に抑えられている。
【0049】
これに対して、比較例においては、温度差の大きな冷蔵室101と冷凍室102とが1つの冷却器105で冷却されるため、冷却器105の温度が−40℃程度と低く、そのため抗菌材が冷却器105に付着しやすい。また、冷凍室102も通常−20℃ 程度であるため冷凍室102内への付着も大きい。さらに、第2の実施例の場合のようなうるおい運転はなく、一度冷却器105に付着した抗菌材は除霜時に除霜水とともに流出してしまう。そのため、抗菌材濃度の低下が大きく、抗菌材のロスも大きい。
【0050】
以上のように、この実施例の冷蔵庫40によれば、冷蔵室42と野菜室44内の抗菌材濃度の変動を低減することができるので、揮発性抗菌材60による抗菌効果を有効に発揮させて、食品の鮮度保持を向上させることでき、また、抗菌材による臭気や食品への移臭を低減することができる。また、抗菌材のロスを少なくすることができ、抗菌材の量低減、コスト低減に結びつく。
【0051】
なお、揮発性抗菌材60は、ダクト48内に限らず、冷蔵室42内(チルド室の奥側)や野菜室44内など、冷蔵室42と野菜室44の冷気循環経路中であればどこに配してもよい。また、冷却器50は、上記のようにファンクールによる間接冷却方式に限られず、例えば、壁面冷却による直列冷却方式でも、あるいはまた、ペルチェ素子による電子冷却でもよい。
【0052】
(第3の実施例)
図4は、第3の実施例に係る冷蔵庫における冷蔵ゾーンのダクト内部を示す断面図である。この実施例は、上述した図2に示す第2の実施例の冷蔵庫40において、ダクト構成に変更を加えたものである。なお、この実施例では揮発性抗菌材60は冷蔵室42内に配している。
【0053】
冷蔵室42及び野菜室44の後方に設けられた冷蔵ゾーン43のダクト48内には、冷却器50と冷蔵室42及び野菜室44への冷気吹出口49との間に、ダクト48を開閉するダンパ68が配されている。
【0054】
このダンパ68は、冷却器50の除霜時、すなわち、冷却器50を除霜する除霜ヒータ66の通電時に閉じて、ダクト48を遮断するように制御されている。
【0055】
図5に除霜時における冷蔵室42内の抗菌材濃度の変化を示している。図5において、Aで示すように、除霜時にダンパ68を開けたままにしていると、除霜ヒータ66への通電による冷却器50の急激な温度上昇により、冷却器50に付着していた抗菌材が揮発して、ファン52を停止していても、多量の抗菌材がダクト48を通じて冷蔵室42内に侵入し、冷蔵室42内の抗菌材濃度が必要以上に高くなる。このような高濃度状態時にたまたま冷蔵室42や野菜室44の扉62,63を開けると、抗菌材の強い臭気を感じるおそれがある。
【0056】
これに対し、本実施例においては、図5においてBで示すように、除霜時にダンパ68を閉じるので、冷却器50から揮発した抗菌材の冷蔵室42内への多量侵入を防止することができ、冷蔵室42内の抗菌材濃度の変動を抑えることができる。
【0057】
この第3の実施例の冷蔵庫においては、さらに、除霜ヒータ66への通電終了後、ダンパ68を遅延させて開くように制御することが好ましい。
【0058】
除霜ヒータ66の通電終了直後は、ダクト48内部の抗菌材濃度が高くなっているため、すぐにダンパ68を開くと、図5においてBで示すように、冷蔵室42内の抗菌材濃度が少し上昇する。そこで、図5においてCで示すように、除霜ヒータ66への通電終了後、ダンパ68を遅延させて開くことで、冷蔵室42内の抗菌材濃度の変動をより低減することができる。
【0059】
このようにダンパ68を遅延させて開く制御方法としては、除霜ヒータ66がOFFになってから所定の時間(例えば、5分)が経過した後にダンパ68を開いたり、あるいは、冷却器50の温度が所定の温度(例えば、−20℃)以下になってからダンパ68を開いたりする方法がある。
【0060】
以上のように、本実施例によれば、除霜時に冷却器50から揮発した抗菌材の室42,44内への多量侵入を防止できることから、抗菌材濃度の変動を抑えて、臭気や食品への移臭を低減できる。また、同時に除霜時における室42,44内の温度上昇を防止できる。
【0061】
(第4の実施例)
第4の実施例に係る冷蔵庫は、上記第2の実施例の冷蔵庫40において、揮発性抗菌材60を冷蔵室42及び野菜室44内の冷気に対して開放と閉鎖の切り替えが可能な切り替え手段を追加したものである。
【0062】
切り替え手段は、この実施例では、図6に示すように、冷蔵ゾーン43のダクト48を、常に開放状態である第1ダクト48aと、ダンパ70により開閉可能な第2ダクト48bとの2つの冷気流路に分け、この第2ダクト48b内に揮発性抗菌材60を配することにより構成されている。なお、揮発性抗菌材60は、この実施例では、ダンパ70の上流側、即ち、冷蔵室42への冷気吹出口49とは反対側の冷却器50側に配されている。
【0063】
図6(a)に示すように、ダンパ70を開くことにより第2ダクト48bが開いて上記切り替え手段は開放状態となり、揮発した抗菌材がこの第2ダクト48bから冷蔵室42及び野菜室44に送り込まれるようになる。そして、図6(b)に示すように、ダンパ70を閉じることにより第2ダクト48bが閉じて上記切り替え手段は閉鎖状態となり、揮発した抗菌材が冷蔵室42及び野菜室44に送り込まれないようになる。
【0064】
この切り替え手段を用いて、冷蔵室42内の抗菌材濃度が低いときには抗菌材60を室内の冷気に対して開放状態とし、冷蔵室42内の抗菌材濃度が高いときには抗菌材60を室内の冷気に対して閉鎖状態となるように制御することにより、冷蔵室42内の抗菌材濃度の変動を抑え、常に一定の抗菌効果を確保することができる。
【0065】
以下に、この切り替え手段の制御例について説明する。
【0066】
図7(a)は、制御例1(参考例)に係るブロック図である。制御例1は、この切り替え手段を冷蔵室42及び野菜室44の扉62,63の開閉と連動させる。
【0067】
図7(a)に示すように、切り替え手段の開閉を制御する制御部80には、冷蔵室扉62の開閉を検知する冷蔵室扉センサ(例えばドアスイッチ)81と、野菜室扉63の開閉を検知する野菜室扉センサ(例えばドアスイッチ)82と、ダンパ70と、タイマー83が接続されている。
【0068】
制御部80は、扉センサ81,82が扉62,63の開状態を検知したときにダンパ70を閉じ、その状態から扉62,63が閉状態になったことを検知したときにダンパ70を開けるように制御する。そして、その後、タイマー83により一定時間経過後にダンパ70を閉じるように制御する。
【0069】
この制御例1によれば、扉62,63を開くと抗菌材が庫外に流出してしまうので、扉62,63を開いた状態ではダンパ70を閉じて室42,44内への抗菌材の発生を停止することにより、抗菌材の庫外への流出を低減することができる。そして、扉62,63を開けたことにより抗菌材濃度が低下するため、扉62,63を閉じたときにダンパ70を開いて室42,44内に抗菌材を発生させることにより、扉開閉による抗菌材濃度の低下を補うことができる。さらに、その後、一定時間経過後にダンパ70を閉じることにより、不在時や夜間等における濃度上昇を防止することができる。
【0070】
図7(b)は、制御例2に係るブロック図である。制御例2は、上記切り替え手段を冷蔵ゾーン43の運転モードと連動させる。
【0071】
図7(b)に示すように、この場合、制御部80には、冷却器50とダンパ70が接続されており、冷却器50の動作時にダンパ70を開き、冷却器50の停止時にダンパ70を閉じるように制御されている。
【0072】
制御例2によれば、冷却器50の動作時には、揮発した抗菌材が冷却器50に付着して室42,44内の抗菌材濃度が低下しようとするが、ダンパ70を開いて揮発性抗菌材60を室42,44内に対して開放するため、抗菌材濃度の低下を抑制することができる。一方、冷却器50の停止時である上記うるおい運転時や除霜時には、冷却器50に付着していた抗菌材が再揮発して室42,44内の抗菌材濃度が上昇しようとするが、ダンパ70を閉じて抗菌材の発生を防止するため、室42,44内における抗菌材濃度の更なる上昇を抑えることができる。以上より、運転モードによる抗菌材濃度の変動を抑制することができる。
【0073】
図7(c)は、制御例3(参考例)に係るブロック図である。制御例3は、制御例2と同様、上記切り替え手段を冷蔵ゾーン43の運転モードと連動させる。
【0074】
図7(c)に示すように、この場合、制御部80には、冷却器50の温度を検知する冷却器温度センサ84とダンパ70が接続されており、冷却器50の温度が所定温度(例えば、0℃)以下となったときにダンパ70を開き、所定温度以上となったときにダンパ70を閉じるように制御されている。
【0075】
冷却器50の動作時には、冷却器50の温度が低下し、抗菌材が冷却器50に付着するので、冷却器50の温度が所定温度以下に下がったときに、ダンパ70を開いて冷蔵室42内に抗菌材を発生させることにより、抗菌材濃度の低下を抑制することができる。一方、うるおい運転時や除霜時には、冷却器50の温度が上昇して付着した抗菌材が再揮発するので、冷却器50の温度が所定温度以上になったときに、ダンパ70を閉じて抗菌材の発生を停止することにより、抗菌材濃度の更なる上昇を抑えることができる。
【0076】
図7(d)は、制御例4(参考例)に係るブロック図である。制御例4は、ファン52の動作に連動させるものであり、制御部80には、冷蔵ゾーン43のファン52とダンパ70が接続されている。そして、ファン52の停止時にダンパ70を閉鎖するように制御する。
【0077】
ファン52を停止させて冷気の循環がなくなると、特に冷蔵室42や野菜室44内に揮発性抗菌材60を配した場合、室42,44内の抗菌材濃度が局部的に高くなってしまうおそれがあるが、制御例4によれば、ファン52停止時にダンパ70を閉じて抗菌材の発生を停止することにより、このような局部的な濃度上昇を防ぐことができる。
【0078】
なお、以上のような制御に替えて、又はこれら制御に加えて、上記切り替え手段を常に開放状態又は閉鎖状態にするスイッチ(不図示)を、例えば冷蔵庫前面などに設けてもよい。この場合、このスイッチを押すことにより、ダンパ70を常に開放状態あるいは閉鎖状態とすることができる。例えば、土の付いた野菜等のように抗菌が必要なものを入れる場合に常に開放状態とし、その後、一定時間経過後に自動に閉鎖したり、あるいはまた、熱い食品を入れたときの急速冷蔵に連動することができる。また、抗菌剤の臭いが気になる場合に強制的に閉鎖にすることもできる。
【0079】
(第5の実施例)
第5の実施例に係る冷蔵庫は、上記第4の実施例のダンパ70による切り替え手段に替えて、揮発性抗菌材60の発生源である抗菌材収納容器に開放と閉鎖の切り替えが可能な切り替え手段を設けたものである。
【0080】
図8に示すように、揮発性抗菌材60の容器本体71の前面には、揮発した抗菌材を放出させるための複数の放出開口72が設けられており、この放出開口72はシャッター部材74により開閉可能になっている。図8(a)に示すように、シャッター部材74を開くことにより放出開口72が開放状態となり、揮発した抗菌材が室42,44内の雰囲気に供給される。そして、図8(b)に示すように、シャッター部材74を閉じることにより放出開口72が閉鎖状態となり、揮発した抗菌材が室42,44内に供給されないようになる。
【0081】
この第5の実施例の切り替え手段は、上述した第4の実施例の切り替え手段と同様に制御することができ、これにより、冷蔵室42及び野菜室44内の抗菌材濃度の変動を抑え、一定の抗菌効果を確保することができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の冷蔵庫によれば、揮発性抗菌材が配された冷却ゾーンが、温度帯の異なる他の冷却ゾーンから分離され、専用の冷却器で所定の温度帯に保たれているので、当該冷却ゾーンにおける抗菌材濃度の変動を抑えることができる。そのため、揮発性抗菌材の抗菌効果を効果的に発揮させることができ、よって、食品の鮮度保持を向上させることができる。また、抗菌材のロスを低減して、抗菌材の量を低減し、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る冷蔵庫の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る冷蔵庫の断面図である。
【図3】第2の実施例の冷蔵庫における冷蔵室内の抗菌材濃度の変化を示すグラフである。
【図4】第3の実施例に係る冷蔵庫における冷蔵ゾーンのダクト内部を示す断面図である。
【図5】第3の実施例の冷蔵庫における除霜時の冷蔵室内の抗菌材濃度変化を示すグラフである。
【図6】第4の実施例に係る冷蔵庫における切り替え手段を示すダクトの断面図であり、(a)は開放状態を、(b)は閉鎖状態をそれぞれ示している。
【図7】第4の実施例における切り替え手段の制御例を示すブロック図であり、(a)は制御例1、(b)は制御例2、(c)は制御例3、(d)は制御例4の各ブロック図を示している。
【図8】第5の実施例に係る冷蔵庫における切り替え手段を示す揮発性抗菌材の斜視図であり、(a)は開放状態を、(b)は閉鎖状態をそれぞれ示している。
【図9】従来の冷蔵庫の断面図である。
【符号の説明】
10,40……冷蔵庫
16,26,50,56……冷却器
24……抗菌室
32,60……揮発性抗菌材
42……冷蔵室
43……冷蔵ゾーン
44……野菜室
46……冷凍室
48……ダクト
49……冷気吹出口
52……ファン
62,63……扉
66……除霜ヒータ
68,70……ダンパ
74……シャッター部材

Claims (2)

  1. 冷蔵室を含む冷蔵温度帯の冷蔵ゾーンと、冷凍室を含む冷凍温度帯の冷凍ゾーンを備え、前記冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンは冷気が互いに循環しないように独立して設けられるとともに、前記冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンにそれぞれ冷却器が配され、前記冷蔵ゾーンに揮発性抗菌材が配された冷蔵庫であって、
    前記冷蔵ゾーンが、冷蔵室と該冷蔵室に冷気を循環させるためのダクトからなり、該ダクト内に前記冷却器と該冷却器を除霜するための除霜ヒータが配され、該ダクトにおける冷却器と冷蔵室への冷気吹出口との間に当該ダクトを開閉するダンパが配され、
    前記除霜ヒータへの通電時に前記ダンパを閉じ、前記除霜ヒータへの通電終了後、前記ダンパを遅延させて開く
    ことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 冷蔵室を含む冷蔵温度帯の冷蔵ゾーンと、冷凍室を含む冷凍温度帯の冷凍ゾーンを備え、前記冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンは冷気が互いに循環しないように独立して設けられるとともに、前記冷蔵ゾーンと冷凍ゾーンにそれぞれ冷却器が配され、前記冷蔵ゾーンに揮発性抗菌材が配された冷蔵庫であって、
    前記冷蔵ゾーンの冷却器に付着した霜を蒸発させて冷蔵室内に送るためのファンを備えるとともに、前記揮発性抗菌材を前記冷蔵室内の冷気に対して開放と閉鎖の切り替えが可能な切り替え手段を設けて、
    前記冷蔵ゾーンの冷却器の動作時に前記切り替え手段を開放し、
    該冷却器の停止時であって前記ファンの動作時に前記切り替え手段を閉鎖する
    ことを特徴とする冷蔵庫。
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