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JP3821524B2 - 誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲット Download PDF

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JP3821524B2 JP35326396A JP35326396A JP3821524B2 JP 3821524 B2 JP3821524 B2 JP 3821524B2 JP 35326396 A JP35326396 A JP 35326396A JP 35326396 A JP35326396 A JP 35326396A JP 3821524 B2 JP3821524 B2 JP 3821524B2
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正裕 小寺
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、LSIメモリー等の半導体装置に用いられる誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIメモリー等におけるメモリーセルの高集積化に伴い、誘電体に比誘電率の大きな材料を用いることが要望されており、その好ましい材料として、例えば、PZT等の強誘電体を用いることが提案されている。
【0003】
従来、このような強誘電体は、例えば、常圧焼結法(Cip and Sinter)、熱間等方加圧法(Heat Isostatic Pressing)、ホットプレス法等によってターゲットを形成しておき、このターゲットを用いたスパッタリングによって基板上に薄膜を形成することにより得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のスパッタリングターゲットの場合、Siウェハー等の半導体基板上において均一な電気的特性を有する誘電体薄膜を形成することは困難であるという問題があった。
【0005】
特に、近年、半導体基板の大径化が進展しているが、従来のスパッタリングターゲットを用いて基板上に誘電体薄膜を形成した場合には、基板の周縁部分において残留分極値が低下するという問題があった。
【0006】
また、従来のスパッタリングターゲットの場合、特に、分割型のものにおいては、突き合わせ部分におけるパーティクルや欠けの発生に起因して、成膜上にパーティクルと呼ばれる異物が付着しやすいという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、電気的特性が均一で、かつ、異物の付着の少ない誘電体薄膜を形成しうる誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スパッタリングターゲットを高密度化し、かつ、大径一体化とすることが、成膜された誘電体薄膜の電気的特性が均一になり、しかも異物の付着が減少することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
かかる知見に基づいてなされた請求項1記載の発明は、化学式ABO3 で表されるペロブスカイト型のスパッタリングターゲットであって、Aが鉛(Pb)であり、Bにジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)を含み、相対密度(結晶構造から導き出される理論的な密度に対する実際の密度)が95%以上であることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項1記載の発明は、上述した構成を有し、ターゲットの直径が300mm以上500mm以下であるものである。
【0011】
また、請求項記載の発明のように、請求項1記載の発明において、化学式Pb(Zr,Ti)O3で表されるスパッタリングターゲットであって、当該鉛(Pb)が、理論含有量に比べて0.05〜0.5モル過剰に添加されている場合にも効果的ある。
【0012】
この場合、好ましくは鉛(Pb)が0.1〜0.2モル添加されていることがより効果的である。また、ターゲットにおける濃度分布の精度が±0.01モル、好ましくは±0.005モル以下である場合により効果的ある。
【0013】
一方、請求項記載の発明のように、請求項1又は2のいずれかに記載の発明において、一体型成形のスパッタリングターゲットである場合にも効果的である。
【0014】
さらに、請求項記載の発明のように、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、ターゲットの表面粗さ(RY)が10μm以下、好ましくは5μm以下である場合にも効果的である。
【0015】
かかる構成を有する発明においては、スパッタリングの際、強誘電体の原子が分散せずに均一の状態で基板の全域にわたって到達し、強誘電体の薄膜が均一な状態で形成される。その結果、本発明によれば、従来のもののような基板の周縁部における残留分極値の低下は生じなくなり、また、相対的に異物の混入する割合も低下する。
【0016】
特に、化学式Pb(Zr,Ti)O 3 で表されるスパッタリングターゲットであって、当該鉛(Pb)が、理論含有量に比べて0.05〜0.5モル過剰に添加されている場合には、より均一な強誘電体の薄膜が形成される。
【0017】
一方、鉛(Pb)の当該過剰添加量が0.05モルより少ないと、基板の終縁部における残留分極値が低下し、0.5モルより多くても、同じく基板の終縁部における残留分極値が低下する。
【0018】
また、発明において、一体型成形のスパッタリングターゲットである場合には、スパッタリングの際に、分割型の場合のように突き合わせ部分におけるパーティクルや欠けが発生することはない。
【0019】
本発明に係る誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲットは、例えば、以下に述べるような方法によって製造することが好ましい。
【0020】
まず、使用原料の仮焼及び粉砕によって粒径を制御した粉末を用いて焼結工程を行う。すなわち、大きな粒子の空間を小さな粒子が埋めることにより、粒子の充墳率を上げる。特に、PZTターゲットについては、PbO粉末の粒径はPZT粉末より小さくなるように制御された原料を用いることが好ましい。
【0021】
また、本発明においては、ホットプレス法を用いることが好ましい。
すなわち、真空ホットプレスは真空中での焼結であるため、内部の残留空間(クローズドポア)は、真空またはターゲットの構成元素の蒸気が存在するのみであり、高純度の製品が期待される方法の一つである。炉内の型及び押型は、カーボンダイスを用いることが好ましい。そして、カーボン型の内側を例えばカーボンシートで内張りし、閉空間(クローズド化)とし、PZT原料及びPbO原料等の焼結工程での蒸発を極力抑えるようにする。
【0022】
さらに、焼結温度は原料粉末が溶融する程度の低い温度で行うことが好ましい。
特に、PZT及びPbO粉末の型込後のホットプレスは、PbOの融点(880℃)直上の約900℃で行う。この低い温度でもPbO、ZrO2、TiO2の各原料を前もって仮焼工程と粉砕工程でPZT粉末にしてあるため、過剰に添加した酸化鉛による液相焼結が可能である。
【0023】
しかも、一軸加圧方式のホットプレスにおいては、このような液相を利用すれば全体に均一に加圧され、直径が300mm以上の大型品に対しても容易に高密度化を図ることができる。特に、真空ホットプレスにおいては、前述の構成元素の蒸発を極力押さえる養生を行うことにより、密度95%以上のオープンポアのない緻密なPZTターゲットが得られる。
【0024】
また、ターゲットの大きさについては、本発明のような酸化物ターゲットの場合、厚みが8mm以上では、スパッタ面で発熱する一方、反対側の冷却面側からの冷却効率が金属ターゲットの場合と比較して良くないため熱が蓄積され、ターゲットの剥がれ、割れ等の発生の危険が大きくなる。
【0025】
その一方、酸化物のターゲットであるため、3mm以下では製作上困難であることのほかに、強度上の観点から割れやすい。また、ターゲットの使用効率の面からも実用的でない。
したがって、ターゲットの厚みは、3mmから8mmの間とすることが好ましい。
【0026】
他方、ターゲットの直径については、250mm以下の円板状のものであれば比較的容易に高密度の焼結品が得られるが、300mm以上のものは望まれてはいるものの、従来、一体物での高密度品は得られていない。
【0027】
殊に、2分割以上の分割タイプでは、スパッタリングによる成膜において、突き合わせ部におけるパーティクルの発生や欠けの発生等、成膜にとって好ましくない現象が現れるため、一体物のターゲットが望まれている。
【0028】
上述の方法によれば、直径300mm以上の高密度品が得られるようになる。特に、本発明の場合、液相を利用するため、直径500mmまで高密度のものを作製することが可能である。ただし、それ以上の直径のものについては、厚みとの関係から高密度で一体物を作製することは困難である。
【0029】
ところで、この種のターゲットにおいては、相対密度95%を境に、それ以上の高密度では5%未満の内部空間が存在するが、これはクローズドポアと呼ばれ、外部とは独立した閉じた空間となっていることが知られている。
【0030】
これに対し、95%に満たない低密度では、5%以上の空間が外部とつながって存在しており、これはオープンポアと呼ばれている。このことは一体成形品のターゲットにおいて、95%以下では水分等の吸着が表面のみならず、内部でも生じていることを意味している。これは、またターゲット表面の研削加工や洗浄処理等において液体を使用する場合は、液体の種類や純度、使用条件が制限されてしまうことになる。すなわち、高純度ターゲットにおいては、相対密度85%程度の低密度では、湿式工程の導入は不可能である。
【0031】
研磨加工によれば、たとえ前工程で微少クラックの発生があったとしても除去することが可能である。ターゲットの表面状態はスパッタリングによる成膜に大きな影響を与える。特に、スパッタリングの初期においては、ターゲットの表面状態が強く反映されるので、基本的にはターゲット内部と同じ状態が望ましくクラックは無論のこと、表面の加工変質層も可能な限り薄い方が良い。したがって、表面粗さも小さい方が良く、切削加工により普通に得られる表面での最大高さ(JIS・B・0601にRYで規定されている。)、すなわち、谷底から山頂の高さは、大略50〜100μm位であるが、スパッタリングターゲットでは10μm以下にすることが望ましい。
【0032】
本発明の場合は、上述したように、相対密度が95%以上であり、オープンボアが存在しないため、湿式の研削及び研磨加工が可能である。
【0033】
そして、湿式の研削及び研磨加工によれば、ターゲットの表面粗さ(RY)を10μm以下、好ましくは5μm以下とすることができ、これにより、加工変質層を薄く押さえることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲットの好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態に係るPZTターゲットの製造工程の一例の概略を示すものである。
まず、PZTターゲットPb1.1(Zr0.5Ti0.5)O3.1を製作するにあたり、PbO,ZrO2及びTiO2の粉末原料を、所望の組成になるように用意し、これら原料をよく混合する(工程1)。
【0036】
次いで、この粉末原料を約1000〜1300℃程度の温度で大気仮焼を行った(工程2)後に粉砕し、PZT粉末を所定量調製する。この粉末に0.1モルのPbOを加えて十分に混合し(工程3)、本焼前原料粉末とする。そして、この原料粉末をカーボン型にセットし、以下に述べるような真空ホットプレス法によって、原料粉末の本焼を行う(工程4)。
【0037】
図2は、本実施の形態において本焼を行うための真空ホットプレス装置を示すものである。
この真空ホットプレス装置1は、真空容器1A内に、上下一対のホットプレス2、3を有し、真空バルブ4を介して図示しない真空排気系に連結されている。なお、真空容器1A内には、図示しない加熱装置が設けられている。
【0038】
図2(a)(b)に示すように、カーボン製の中空円筒状の成形型5と、この成形型5と同じ直径を有するカーボン製の円盤状の底型6とを用意し、下型ホットプレス3上に底型6を設置し、その底型6の上に成形型5を設置する。なお、この際、上側ホットプレス2は上昇させておく。
【0039】
そして、底型6の表面上に、厚み約0.5〜3mm、好ましくは2mm程度のカーボン製の箔(カーボンシート)7を内張りするとともに、成形型5の内側壁にも全周にわたってカーボンシート8を配置し、これらのカーボンシート7、8の一部が重なるように配置する。
【0040】
さらに、成形型5の空間部内に原料粉末10を充填した後、その原料粉末10の上側にカーボンシート9の一部が、成形型5の内側壁1のカーボンシートと側壁で重なるように設置する。
【0041】
すなわち、図2(c)に示すように、原料粉末10がカーボンシート7、8、9によって完全に包み込まれた状態にする。そして、カーボンシート9の上にカーボン型の上板11を設置し、上側ホットプレス2を下降させ、上下のホットプレス2、3間を20〜50MPa程度の加圧状態としながら、図示しない加熱装置により温度約900〜1000℃程度で約2時間の真空ホットプレスを行い、円板状の焼結体を作製する。
なお、この真空ホットプレスにおいては、真空容器1A内の圧力を約10-1Pa程度に保持する。
【0042】
その後、このようにして得られたターゲットの表面に湿式による研削及び研磨加工を加えて平面度を上げ(工程5)、目的とするターゲットを得る(工程6)。
【0043】
以上述べたような本実施の形態の方法によれば、底型6及び成形型5の部分のカーボンシート7、8及び9による気密性向上により酸化鉛(PbO)の蒸発が極力押さえられ、ほぼ仕込原料と同一組成の焼結体を得ることができる。
【0044】
このような方法によれば、相対密度が95%以上であり、しかも、直径が300mm以上の大径のスパッタリングターゲットを作製することができる。
そして、かかるスパッタリングターゲットによれば、スパッタリングの際、PZTの原子が分散せずに均一の状態で基板の全域にわたって到達するようになる。その結果、従来のもののような基板の周縁部における残留分極値の低下は生じなくなり、均一な電気的特性を有するPZT薄膜を形成することができる。また、相対的に異物の混入する割合も低下するため、成膜上の異物を大幅に減少させることができる。
【0045】
一方、本実施の形態によれば、一体型成形の大径のスパッタリングターゲットが得られるため、スパッタリングの際に、分割型の場合のような突き合わせ部分におけるパーティクルや欠けが発生せず、異物の少ない成膜を行うことができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明に係る誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲットの実施例を比較例とともに詳細に説明する。
【0047】
〔実施例〕
以下に述べるような方法によって、PZTターゲットPb1.1(Zr0.5Ti0.5)O3.1を製作した。
【0048】
まず、PbO、ZrO2、TiO2の粉末原料をPb(Zr0.5Ti0.5)O3の組成になるように、すなわち、PbO:ZrO2:TiO2=1(モル):0.5(モル):0.5(モル)に相当する量の各粉末原料を用意した。そして、これらの原料をよく混合し、約1000〜1300℃の温度で大気仮焼を行った後に粉砕し、PZT粉末を約10Kg得た。
【0049】
この粉末にPbOの粉末を0.1モル加えて十分に混合し、本焼前原料粉末とした。この原料粉末を、図2(b)(c)に示すように、厚みが約2mmのカーボンシート7、8、9によって原料粉末が完全に包み込まれた状態で、下型ホットプレス3上の底型6の上に設置した成形型5の空間部内にセットした。なお、成形型5としては、内径が350mmのものを用いた。
【0050】
そして、カーボンシート9の上からカーボン型の上板11を設置し、その上方から上側ホットプレス2を下降させ、上下のホットプレス2、3間を20〜50MPaの加圧状態としながら、図示しない加熱装置により温度約900〜1000℃で約2時間の真空ホットプレスを行い、円板状の焼結体を作製した。
なお、真空ホットプレスにおける真空容器1内の圧力は約10-1Paとした。
【0051】
得られたターゲットは、直径が330mm、厚さが6mmの一体物であり、密度は95%と高密度(相対密度)であった。このターゲットの表面に湿式による研削及び研磨加工を加えて平面度を上げた。このターゲットについて表面粗さ計によって表面粗さ(RY)を測定したところ、最大5μmであった。
【0052】
また、このターゲットの表面についてX線回折法による分析を行ったところ、その回折像において、PZTの結晶系と過剰鉛のピークが観察された。
【0053】
本焼結工程において、炉内の型及び押型の部分のカーボンシートによる気密性向上により酸化鉛の蒸発が極力押さえられ、ほぼ仕込原料と同一組成の焼結体が得られる。
【0054】
図3は、本実施例の方法によって形成されたPZTターゲットにおける表面及び内部での酸化鉛の分布を示すものである。
この場合、PZTターゲットとして、直径350mm、厚み8mmの円板状のものを作製し、その表面において、ターゲットの中心部と、中心部から直径方向に±80mm、及び±160mm離れた計5ヶ所の地点において、直径20mm、厚み2mmの範囲を削り出して分析用試料とした。
【0055】
さらに、ターゲット内部の酸化鉛の分布を確認するため、上述のターゲットの表面を3mm削って厚さを5mmとし、上述した5ヶ所の地点において、直径20mm、厚み2mmの範囲を削り出して分析用試料を採取した。
このようにして、ターゲット表面とターゲット厚みの1/2の内部について、酸化鉛の分布をICP分析法にて分析・評価した。
【0056】
本実施例は、酸化鉛を0.1モル添加した場合、したがって、全体としてPbOが1.1モル存在する場合であるが、図3に示すように、ターゲットの表面及び内部において、±0.01モル以内の均一性の良い酸化鉛の分布が得られていることが理解される。
【0057】
なお、このターゲットの表面付近の試料の断面の電子顕微鏡写真を図4(a)に示す。
【0058】
図5は、本実施例のターゲットを用いて6インチサイズのSiウェハーにPZT薄膜を形成した場合に付着する異物の数を示すものである。
図5に示すように、本実施例の場合、Siウェハー上に付着するパーティクルと呼ばれる異物の数は、平均して約10個程度で非常に少なかった。
【0059】
図6(a)(b)は、本実施例のターゲットを用いてSiウェハー上に形成したPZT薄膜の電気的特性を測定する方法を示す説明図である。
図6(a)に示すように、6インチサイズのSiウェハー12の全面に、スパッタリングによって、厚み100〜200nmの白金(Pt)からなる電極13を形成し、この電極13の全面に、本実施例のターゲットを用い、スパッタリングによって、厚み200〜300nmのPZT薄膜14を形成した。
【0060】
さらに、図6(a)(b)に示すように、このPZT薄膜14上に、その直径方向に並び、かつ、中心部を通る位置(1〜5)に、スパッタリングによって、厚み100〜200nmの白金(Pt)からなる電極15を形成した。そして、各位置における残留分極値Pr(μc/cm2)を測定した。その結果を図7に示す。
【0061】
図7に示すように、Siウェハー12上の各位置における残留分極値は、約20μc/cm2と安定しており、位置による差は認められなかった。よって、本実施例のスパッタリングターゲットによれば、均一な電気的特性を有するPZT薄膜を形成できることが明らかになった。
【0062】
〔比較例1〕
以下に述べるような方法によって、PZTターゲットPb1.1(Zr0.5Ti0.5)O3.1を作製した。
【0063】
まず、上述の実施例の場合と同様に、PbO、ZrO2、TiO2の粉末原料をPb(Zr0.5Ti0.5)O3の組成になるように、即ち、PbO:ZrO2:TiO2=1(モル):0.5(モル):0.5(モル)に相当する量の各粉末原料を用意した。そして、これらの原料をよく混合し、約1000〜1300℃の温度で大気仮焼を行った後に粉砕し、PZT粉末を約10Kg得た。
【0064】
この粉末にPbOの粉末を0.1モル加えて十分に混合し、本焼前原料粉末とした。この原料粉末を、上記実施例の場合と同様に、カーボンシート7、8、9によって原料粉末が完全に包み込まれた状態で、下型ホットプレス3上の底型6の上に設置した内径350mmの成形型5の空間部内にセットした。
【0065】
そして、カーボンシート9の上からカーボン型の上板11を設置し、真空容器1内の圧力を約10-1Paとして、上板11の上方から上側ホットプレス2を下降させ、上下のホットプレス2、3間を20〜50MPaの加圧状態としながら、図示しない加熱装置により温度約850〜870℃で約2時間の真空ホットプレスを行い、円板状の焼結体を作製した。
【0066】
このようにして得られたターゲットは、直径が330mm、厚さが6mmの一体物であるが、密度(相対密度)は85%と低密度であった。
【0067】
このターゲットの表面に対しては湿式による研削加工が使用できないため、切削加工仕上げを行った。そして、このターゲットについて表面粗さ計によって表面粗さ(RY)を測定したところ、最大70μmと実施例の場合よりもかなり大きかった。
【0068】
一方、このターゲットの表面についてX線回折法による分析を行ったところ、その回折像において、PZTの結晶系と過剰鉛のピークが観察された。
【0069】
なお、このターゲットの表面付近の試料の断面の電子顕微鏡写真を図4(b)に示す。
【0070】
また、このターゲットを用いて6インチサイズのSiウェハーに実施例と同一の条件で成膜を行ったところ、図5に示すように、Siウェハー上に付着する異物の数は、平均で約50個と非常に多かった。
【0071】
一方、図6(a)(b)に示すように、上記実施例と同様の方法により、各位置における残留分極値Pr(μc/cm2)を測定したところ、図7に示すように、Siウェハー12の外周に近い部分において、残留分極値Prが低くなる傾向が現れ、ウエハー内での電気特性の不均一性が認められた。
【0072】
〔比較例2〕
常圧焼結法によって、PZTターゲットPb1.1(Zr0.5Ti0.5)O3.1を作製した。このターゲットは、直径が330mm、厚さが6mmの一体物であるが、密度(相対密度)は75%であった。
【0073】
このターゲットを用いて6インチサイズのSiウェハーに上記実施例と同一の条件で成膜を行ったところ、図5に示すように、Siウェハー上に付着する異物の数は、平均で約100個と非常に多かった。
【0074】
また、図6(a)(b)に示すように、上記実施例と同様の方法により、各位置における残留分極値Pr(μc/cm2)を測定したところ、図7に示すように、Siウェハー12の外周に近い部分において、残留分極値Prが低くなる傾向が現れ、しかも、相対密度が85%の比較例1の場合よりも残留分極値Prの値が小さく、ウエハー内での電気特性の不均一性が認められた。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るスパッタリングターゲットによれば、スパッタリングの際、強誘電体の原子が分散せずに均一の状態で基板の全域にわたって到達するようになるため、従来のもののような基板の周縁部における残留分極値の低下は生じなくなり、均一な電気的特性を有する強誘電体薄膜を形成することができる。
【0076】
また、本発明によれば、スパッタリングの際に、相対的に異物の混入する割合も低下するため、成膜上の異物を大幅に減少させることができる。
【0077】
しかも、本発明によれば、一体型成形の大径のスパッタリングターゲットが得られるため、スパッタリングの際に、分割型の場合のような突き合わせ部分におけるパーティクルや欠けが発生せず、異物の少ない成膜を行うことができる。
【0078】
さらにまた、本発明によれば、ターゲットの表面粗さ(RY)を10μm以下とすることにより、加工変質層を薄く押さえることができ、成膜の均一性を高めることができる。
【0079】
このように、本発明によれば、スパッタリングによって誘電体薄膜を形成する場合の製造歩留りを大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るPZTターゲットの製造工程の一例の概略を示す工程図
【図2】 (a):同実施の形態において本焼を行うための真空ホットプレス装置を示す概略構成図
(b):同実施の形態における原料粉末の成形型及び底型を示す斜視図
(c):同実施の形態において原料粉末を包み込む状態を示す説明図
【図3】 本発明の実施例のPZTターゲットにおける表面及び内部での酸化鉛の分布を示すグラフ
【図4】 (a):本発明の実施例に係るPZTターゲットの表面付近の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
(b):本発明の比較例に係るPZTターゲットの表面付近の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
【図5】 本発明の実施例のPZTターゲットを用いて6インチサイズのSiウェハーにPZT薄膜を形成した場合に付着する異物の数を示すグラフ
【図6】 同実施例のPZTターゲットを用いてSiウェハー上に形成したPZT薄膜の電気的特性を測定する方法を示す説明図で、図6(a)は正面図、図6(b)は平面図
【図7】 同実施例及び比較例のPZTターゲットを用いてSiウェハー上に形成したPZT薄膜の電気的特性を示すグラフ
【符号の説明】
1……真空ホットプレス装置 1A……真空容器 2……上側ホットプレス
3……下側ホットプレス 5……成形型 6……底型 7、8、9……カーボンシート 10……原料粉末 11……上板 12……Siウェハー
13、15……白金電極 14……PZT薄膜

Claims (4)

  1. 化学式ABO3 で表されるペロブスカイト型のスパッタリングターゲットであって、
    Aが鉛(Pb)であり、Bにジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)を含み、相対密度が95%以上であり、ターゲットの直径が300mm以上500mm以下であることを特徴とする誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲット。
  2. 化学式Pb(Zr,Ti)O3で表されるスパッタリングターゲットであって、当該鉛(Pb)が、理論含有量に比べて0.05〜0.5モル過剰に添加されていることを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲット。
  3. 一体型成形のスパッタリングターゲットであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲット。
  4. ターゲットの表面粗さ(RY)が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の誘電体薄膜形成用スパッタリングターゲット。
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