JP7280075B2 - スパッタリングターゲット材及びその製造方法並びに薄膜 - Google Patents
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ストロンチウム源、ランタン源及びスズ源を含む仮成形体の表面をタンタルからなる箔で被覆した状態下に、該仮成形体をホットプレスする工程を有するスパッタリングターゲット材の製造方法を提供するものである。
d1=[(C1)/(C2-C3)]×d2
d1:嵩密度(g/cm3)C1:乾燥重量(g) C2:飽水重量(g)
C3:水中重量(g) d2:試験時の水の密度(g/cm3)
なおSr1-xLaxSnO3で表される酸化物の真密度は、xの値によるが、理論的には6.433g/cm3~6.437g/cm3の範囲である。
P=[(C2-C1)/(C2-C3)]×100
P:開気孔率(%) C1:乾燥重量(g) C2:飽水重量(g)
C3:水中重量(g)
ρ=(πt/ln2)(VM/IS)
ρ:体積抵抗(Ω・cm)
t:サンプルの厚み(cm)
VM:測定される電圧(V)
IS:印加される電流(A)
<原料粉末>
ストロンチウム源としてSrCO3の粉末を用いた。スズ源としてSnO2粉末を用いた。ランタン源としてLa2O3を用いた。
<原料粉末の秤量>
本実施例では、Sr1-xLaxSnO3(x=0.0010)の原子比になるように、各原料の粉末を電子天秤によって秤量した。SrCO3粉末は494.3g、SnO2粉末は505.2g、La2O3粉末は0.5g用いた(表1に示す他の実施例及び比較例でもSr1-xLaxSnO3(x=0.0010~0.10)の原子比になるように各原料の粉末の秤量を行った。)。
<原料粉末の混合>
ボールミルを用いて各原料粉末を混合した。ポリプロピレン製のポットにSrCO3粉末、SnO2粉末、及びLa2O3粉末、エタノール、並びにΦ10mmのジルコニアボールを投入し、15時間にわたって混合を行った。
<原料粉末の濾過及び乾燥>
前記のポットからスラリーを取り出し、濾紙を用いて濾過を行い、原料粉末を分離した。この原料粉末を乾燥機で乾燥させた。
<仮焼>
乾燥させた原料粉末を高温炉中に入れ1050℃で3時間仮焼し、脱炭酸を行った。
<仮成形>
超硬ダイスを用い原料粉末をプレスして円板状の仮成形体を得た。プレス圧力は20MPaとした。
<ホットプレス>
仮成形体の上下面及び側面を、厚さ10μmのタンタル箔で被覆した。被覆後の仮成形体を、カーボンダイスを用いてホットプレスした。プレス条件は、窒素雰囲気下、昇温速度400℃/h、焼結温度1200℃、焼結時間3時間、プレス圧力35MPaに設定した。これによって目的とする酸化物半導体の焼結体、すなわちターゲット材を得た。
<降温>
焼結が完了したら、焼結体への加熱及び加圧を停止して、焼結体を冷却させた。このようにして得られたターゲット材の表面を研削して表面粗さを0.5μmにした後に、無酸素銅からなるバッキングプレートにインジウムはんだを用いてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。XRDによる同定で、このターゲット材はペロブスカイト構造を有することが確認された(以下に述べる実施例についても同様であった。)。
以下の表1に示す条件を採用した以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。
本比較例は、原料粉末としてLa2O3を用いなかった例である。これ以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。
本比較例は、仮焼を行わず、ホットプレスにおいて仮成形体の表面をタンタル箔で被覆せず、且つホットプレスの昇温速度を実施例1よりも低くし、冷却時に加圧した例である。また、La2O3粉末の量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。
本比較例は、加圧を行わずに焼結を行った例である。また、La2O3粉末の量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。
本比較例は、ホットプレスの焼結温度を実施例1よりも低くし、且つ焼結時間を実施例よりも短くした例である。また、La2O3粉末の量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。
本比較例は、ホットプレスの焼結温度を実施例1よりも低くした例である。また、La2O3粉末の量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてターゲット材及びスパッタリングターゲットを得た。
実施例及び比較例で得られたターゲット材について、嵩密度、開気孔率及び27℃での体積抵抗を測定し、また外観の良否を評価した。その結果を表1に示す。また、温度変化に対するターゲット材の体積抵抗値の変化を図1に示す。外観の良否は、以下の基準で評価した。
A:焼結が充分であり、且つ割れが観察されない。
B:焼結が不十分であるか、又は割れが観察され、嵩密度が6.00g/cm3未満である。
また、ホットプレスの温度が1200℃の実施例3と、1000℃の比較例4とを比較すると、実施例3の方が、嵩密度が高い。このことからホットプレスの温度がターゲット材の密度に影響を与えることが判った。
比較例2は、金属Snが生成してターゲット材が多数の破片に割れており、円板状でなく破片化していたため、以降の工程及び評価に使用できなかった。
比較例3は、ホットプレス時のゲージ圧を0MPaとして圧力をかけていなかったため、ターゲット材の焼結が充分でなく、アルキメデス密度測定中にターゲット材が粉砕され、以降の工程及び評価に使用できなかった。
比較例4は、焼結温度が1000℃と低く、焼結時間も1hと短いため嵩密度が低く、焼結が不十分である。
比較例5は、焼結時間は3hと充分であるが、焼結温度が900℃と低いため嵩密度が低く、焼結が不十分である
図1において、La添加量がX=0.001、0.020、0.035、0.050、0.100であるSr1-xLaxSnO3の焼結体はいずれも、温度上昇に伴って体積抵抗値が低下する傾向を示しており、温度上昇に伴い体積抵抗が上昇する金属的性質ではなく半導体的性質であることが判る。
実施例4及び実施例11並びに比較例4及び比較例5で得られたターゲット材について、スパッタリングを行い、厚さ200nmの薄膜をガラス基板上に製造した。成膜条件は以下に示すとおりとした。
・電力:1.53W/cm2
・圧力:0.4Pa
・基板温度:室温
・酸素分圧:0%
スパッタリング時に発生したパーティクルの観察を走査型電子顕微鏡によって行った。倍率は1000倍で3視野を撮影した。走査型電子顕微鏡像からパーティクル数を測定し、以下の基準で分類し、3視野の平均でのパーティクル数を算出した。その結果を表2に示す。また、図2に比較例4と比較例5で得られた薄膜の走査型電子顕微鏡観察による薄膜表面の拡大像を示す。
A:パーティクルの最大径が3μm以上
B:パーティクルの最大径が5μm以上
C:パーティクルの最大径が10μm以上
Claims (11)
- Sr1-xLaxSnO3(xは0.0010以上0.10以下の数を表す。)で表され、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなり、嵩密度が6.00g/cm3以上6.50g/cm3以下であるスパッタリングターゲット材。
- xが0.050を超え0.10以下の数である請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
- 27℃における体積抵抗が40.0Ω・cm以下である請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット材。
- 温度上昇に伴って体積抵抗が低下する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材。
- 直径が10mm以上の円板状である請求項1ないし4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット材。
- 請求項1に記載のスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
ストロンチウム源、ランタン源及びスズ源を含む仮成形体の表面をタンタルからなる箔で被覆した状態下に、該仮成形体をホットプレスする工程を有し、
昇温速度を200℃/h以上400℃/h以下に設定し、且つ焼結温度を1050℃以上1300℃以下に設定して前記ホットプレスを行う、スパッタリングターゲット材の製造方法。 - 前記ストロンチウム源として炭酸ストロンチウムを用い、
前記ストロンチウム源、前記ランタン源及び前記スズ源を含む粉体原料を仮焼して前記ストロンチウム源を脱炭酸し、
脱炭酸後の前記粉体原料を仮成形して前記仮成形体を得る、請求項6に記載の製造方法。 - 焼結終了後、加圧を解除した状態下に降温する請求項6又は7に記載の製造方法。
- Sr 1-x La x SnO 3 (xは0.0010以上0.10以下の数を表す。)で表され、ペロブスカイト構造を有する酸化物からなり、嵩密度が6.00g/cm 3 以上6.50g/cm 3 以下である酸化物をスパッタリングする、ストロンチウム、ランタン及びスズを含む酸化物のアモルファスからなり、800℃以上で加熱することで結晶化が可能な薄膜の製造方法。
- 単結晶SrTiO 3 基板上に形成される、800℃以上で加熱することで単結晶化が可能な請求項9に記載の薄膜の製造方法。
- 厚さが300nm以下である、請求項9又は10に記載の薄膜の製造方法。
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