JP3809983B2 - 消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、略定速度で送給される消耗電極と被溶接物との間に、略定電圧の交流電圧を供給して溶接を行う消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
直流の正極性(以下、EN極性という。)ではワイヤ先端に大粒の溶滴が形成され易く、アークは不安定で大粒のスパッタが発生し、溶け込みも浅いため、EN極性だけで溶接を行うことはほとんどない。一方、直流の逆極性(以下、EP極性という。)では溶滴が小さく、アークは安定であり、溶け込みも深い。そして、アーク長が長い大電流溶接だけでなく、アーク長を短くし小電流で短絡とアークを頻繁に繰り返しながら溶接を行ういわゆる短絡移行溶接においても良好な溶接結果が得られるため、多用されている。また、交流出力を用いる消耗電極式のガスシールド溶接方法および装置としては特許第2666315号に開示された技術がある。この技術では、円滑な溶滴移行をさせるため、適切なピンチ力が得られるEP極性電流値とその期間を消耗電極であるワイヤの材質および直径・シールドガス成分等に応じて設定し、ワイヤ送給速度と一元的に出力電圧の周波数およびEN極性電流値を設定することにより、最適溶接条件の範囲が広くなり、高周波、高電圧あるいはパルス等を重畳しなくても極性反転時の再点弧が確実に行われ、安定な消耗電極式の交流ガスシールド溶接を可能にしている。
【0003】
そして、安定な消耗電極式の交流ガスシールド溶接を可能にする溶接装置として、出力電流値に対応してワイヤ送給速度設定信号を出力するワイヤ送給速度設定回路と、ワイヤ送給速度設定信号を入力して出力電圧の周波数に相当する出力電圧周波数信号を出力する出力電圧周波数信号発生回路と、ワイヤの材質および直径・シールドガス成分等の条件により予め設定する設定信号に対応してEP極性期間通電信号を出力するEP極性期間信号発生回路と、前記設定信号に対応してEP極性電流信号を出力するEP極性電流信号発生回路と、前記EP極性期間通電信号を入力としてEN極性期間通電信号を出力するEN極性期間信号発生回路と、前記出力電流に対応したワイヤ送給速度設定信号を入力してEN極性電流信号を出力するEN極性電流信号発生回路と、前記EN極性電流信号と前記EP極性電流信号とを入力としてEN極性電流値およびEP極性電流値を制御する出力電流値制御回路と、前記EN極性期間通電信号と前記EP極性期間通電信号とを入力としてEN極性電流通電期間およびEP極性電流通電期間を制御する出力電流通電期間制御回路とを設け、溶接出力を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記交流出力を用いる従来技術は、臨界電流値以上のEP極性電流による電磁ピンチ力を利用してワイヤ先端に形成される溶滴を非接触で母材に移行させる溶接方法であり、アーク長を短くして短絡が生じるようになるとアークの安定性は損なわれる。また、溶接電流値すなわちワイヤ送給速度が早くなると、EN極性電流期間が短くなるため、浅い溶け込み、高ワイヤ溶融量などのEN期間の溶接特性を活用できなくなる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、短絡が頻繁に発生するアーク長の短い溶接においても安定なアーク状態が得られ、総ての溶接電流値に対して交流周波数ならびに極性比率を任意に設定できるようにして、交流アーク溶接の特長である浅い溶け込み、高ワイヤ溶融量などの特性を広範囲に活用できる消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、第1の手段は、消耗電極と被溶接物との間に略定電圧の交流電圧を供給し、消耗電極の先端に形成される溶滴を短絡移行させる消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置において、消耗電極を略定速度で送給するワイヤ送給制御回路と、EP極性の期間T EP の設定器と、EN極性の期間T EN の設定器と、前記期間T EP に出力される出力電圧値V EP の設定器と、前記期間T EN に出力される出力電圧値V EN の設定器と、前記出力電圧V EP の設定器および出力電圧V EN の設定器から出力される信号に基づいてそれぞれの電圧レベルを制御する出力電圧制御回路と、前記期間T EP および前記期間T EN の設定器から出力される信号に基づいてそれぞれの極性時間を制御する極性時間制御回路とを設けて溶接出力を制御すると共に、溶接電流値の下限値を補償する最小電流補償回路とリアクタを直列に接続した回路を出力回路と並列に接続したことを特徴とする。
第2の手段は、第1の手段において、平均溶接電圧値Vavの設定器と、前記出力電圧値V EP と前記出力電圧値V EN の差αの設定器とを設け、V EP =Vav、V EN =Vav−αとして、前記出力電圧値V EP および前記出力電圧値V EN のレベルを設定することを特徴とする。
第3の手段は、第1または第2の手段において、交流周波数f AC を設定する交流周波数f AC 設定器と、前記期間T EP の時間比率δを設定する時間比率δ設定器を設け、T EP =δ/f AC 、T EN =(1−δ)/f AC として前記期間T EP および期間T EN の時間を設定することを特徴とする。
第4の手段は、第2の手段において、前記ワイヤ送給制御回路から出力されるワイヤ送給速度信号に基づいて前記出力電圧値V EP と前記出力電圧値V EN の差αの値を増減させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
始めに、本発明の溶接原理を説明する。
ワイヤ送給速度WFを一定としてEP極性だけで短絡移行溶接をする場合、設定する出力電圧VEPの大きさにより、ワイヤ送給速度WFがワイヤ溶融速度MREPよりも速い電圧不足域と、ワイヤ送給速度WFとワイヤ溶融速度MREPがほぼ等しい安定アーク域、およびワイヤ溶融速度MREPがワイヤ送給速度WFよりも大きい電圧過大域に大別される。同様にEN極性だけで短絡移行溶接をする場合も、設定する出力電圧VENの大きさにより、ワイヤ送給速度WFがワイヤ溶融速度MRENよりも大きい電圧不足域とワイヤ送給速度WFとワイヤ溶融速度MRENがほぼ等しい安定アーク域およびワイヤ溶融速度MRENがワイヤ送給速度WFよりも大きい電圧過大域に大別されるが、EN極性のみでの適正電圧範囲は、EP極性のみでの適正電圧範囲とほぼ同じかあるいは多少低電圧側(0Vに近い側。以下、電圧の高低は絶対値で表示する。)にずれる。そして、EN極性の場合でも、短絡移行溶接が可能なアーク電圧域まで出力電圧を下げてアーク長を短くすると、大粒のスパッタの発生はかなり抑制され、アークもそれほど不安定にはならず、溶け込みが浅い溶接が可能になる。
【0014】
図1は、上記安定アーク域の同一出力電圧におけるEN極性とEP極性の溶接電流値とワイヤ溶融速度の関係を示す図である。なお、ワイヤは直径0.6mmのYGW12であり、シールドガスはAr+20%CO2、ワイヤ突出し長さは12mmである。同図から、同一溶接電流値に対するワイヤ溶融速度はEN極性の方がEP極性よりも早い。したがって、ワイヤ送給速度を一定、またEN極性とEP極性の出力電圧を同一の値で交流アーク溶接を行うと、EN極性時にはワイヤが過大に溶融され、交流周期に同期したアーク長変動が発生するため、安定な交流アーク溶接を行うことができない。また、EN極性とEP極性のワイヤ溶融速度の差は溶接電流の増加と共に大きくなる傾向があることが分かる。
【0015】
図2は、本発明の原理をまとめて示す図であり、EP極性だけで短絡移行溶接をした時に設定した出力電圧VEPを横軸に、EN極性だけで溶接した時に設定した出力電圧VENを縦軸に配置して交流の場合の溶接特性をまとめたものである。
EN極性とEP極性を交互に繰り返す交流アーク溶接では、EP極性時の電圧を適正値に設定して、ワイヤ送給速度WFとEP極性時のワイヤ溶融速度MREPをバランスさせる必要がある。そこで、EP極性の出力電圧VEPを適正な値に設定(すなわちワイヤ送給速度WF≒ワイヤ溶融速度MREP)して溶接を行うものとする。この場合、EN極性の出力電圧VENが低過ぎたり高過ぎたりすると、EP極性時のワイヤ溶融速度MRENの過不足が生じ、安定した交流アークは得られないから、少なくともEP極性あるいはEN極性のみでの適正電圧範囲である図2のABCDの範囲内に設定をする必要がある。
【0016】
定電圧の交流電圧を供給する場合、EP極性、EN極性のいずれにおいても、ワイヤ溶融速度は出力電圧の設定値によって決まる。そして、図1に示したように、ワイヤ送給速度WF≒ワイヤ溶融速度MREP<ワイヤ溶融速度MRENであるため、出力電圧VEP≦出力電圧VENとすると、EN極性時にワイヤが過大に溶融され、交流周期に同期したアーク長の変動が生じるため安定な交流アーク溶接を行うことができない。したがって、安定な交流アークが維持できるのは、図2の斜線で示す三角形の領域、すなわち出力電圧VEPが出力電圧VENよりも大きい範囲になる。そして、この領域では、ワイヤ送給速度WF≒ワイヤ溶融速度MREP≒ワイヤ溶融速度MRENとなり、ワイヤを一定の速度で送給しても、極性によるアーク長の変動が少ない安定した交流アークを実現でき、交流周波数や極性比率の制約を受けることもない。
【0017】
次に、本発明を実施するための装置を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る溶接装置の構成図である。図で、1は一次側整流器で入力側は商用の交流電源に、出力側は一次側インバータ2の入力側に接続されている。3は溶接変圧器で、入力側は一次側インバータ2の出力側に、出力側は二次側整流器4の入力側に接続されている。二次側整流器4の出力側は直流リアクタ5を介して二次側インバータ6の入力側に接続されている。二次側インバータ6の出力側はワイヤ7と母材8に接続されている。9は最小電流補償回路で、略定電流特性の電源であり、一端は二次側整流器4の入力側に、他端はリアクタ10を介して二次側整流器4の出力側に接続されている。
【0018】
11はPWM制御回路で、入力側は出力電圧制御回路12に、出力側は一次側インバータ2に接続されている。13はEP極性における出力電圧VEPの設定器、14はEN極性における出力電圧VENの設定器で、それぞれ出力電圧制御回路12に接続されている。15は極性時間制御回路で、一次側インバータ2および出力電圧制御回路12に接続されている。16はEP極性の期間TEPの設定器、17はEN極性の期間TENの設定器であり、それぞれ極性時間制御回路15に接続されている。18はワイヤ送給制御回路で、図示しないモータを駆動してローラ19を回転させる。
【0019】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
予め、設定器13および設定器14により出力電圧VEPおよび出力電圧VENを設定すると共に、設定器16および設定器17により期間TEPおよび期間TENをそれぞれ設定しておく。また、ワイヤ送給速度を設定することにより溶接電流を設定しておく。溶接が開始されると、極性時間制御回路15は設定器16および設定器17に設定された時間が経過する毎に出力電圧制御回路12および二次側インバータ6に信号を出力する。出力電圧制御回路12は、期間TEPでは設定器13に、また期間TENでは設定器14に設定された電圧をそれぞれ選択し、選択した電圧値に見合った制御信号をPWM制御回路11に出力する。PWM制御回路11はワイヤ7と母材8間の電圧が出力電圧VEPまたは出力電圧VENになるように、一次側インバータ2を制御する。また、二次側インバータ6は出力電圧制御回路12からの信号により極性を切り換える。また、最小電流補償回路9は溶接電流値が所定の値以下に低下することを防止する。さらにリアクタ10は極性反転時に高いスパイク電圧を発生し、電圧の設定値が比較的低く、かつ短絡とアークを頻繁かつ不規則に繰り返すために極性反転時の状況が一定にならない場合でも、極性反転時のアーク切れを防止し、スムーズな再アークを実現する。
【0020】
なお、設定器14で設定する出力電圧VENを設定器13で設定する出力電圧VEPよりも1〜2V程度低くすると、極性の変化によって生じる溶接中のアーク長変動を抑制することができる。
【0021】
図4は本発明の実施の形態に係る他の溶接装置の構成図であり、図3と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して説明を省略する。図で、22は交流周波数fAC(=1/(TEP+TEN))の設定器であり、期間TEPの演算器16aおよび期間TENの演算器17aに接続されている。23はEP極性の時間比率δ(=TEP/(TEP+TEN))の設定器であり、演算器16aおよび演算器17aに接続されている。30は平均溶接電圧Vavの設定器で、設定器13と設定器31およびワイヤ送給制御回路18に接続されている。ここで、設定器31は設定器13で設定された出力電圧VEPから設定器31で設定するαを減じた電圧の指令値を設定器14に入力する。
【0022】
以下、動作を説明する。予め、設定器22、23、30により交流周波数fAC、時間比率δおよび平均溶接電圧Vavを設定すると共に、ワイヤ送給速度を設定することにより溶接電流を設定しておく。溶接が開始されると、極性時間制御回路15は演算器16aおよび演算器17aで演算された期間TEPおよび期間TENが経過する毎に出力電圧制御回路12および二次側インバータ6に信号を出力する。出力電圧制御回路12は、期間TEPでは平均溶接電圧Vav30で設定された電圧を、また期間TENでは平均溶接電圧Vav設定器30から設定器31で設定されたαだけ減じた電圧をそれぞれ選択し、選択した電圧値に見合った制御信号をPWM制御回路11に出力する。
【0023】
この実施の形態では、上記の実施の形態に比べて設定する項目が少ないから、より条件設定が容易である。なお、設定器13および設定器14を設けず、設定器30および設定器31を直接出力電圧制御回路12に接続しても良い。
【0024】
また、平均溶接電圧Vavおよび差αを溶接電流あるいはワイヤ送給速度の関数とし、図中に破線で示すように、ワイヤ送給速度制御回路19からの信号に基づいて一元的に設定するようにしてもよい。
【0025】
なお、図4で説明した機能は、必ずしも総て使用しなければならないことはなく、必要に応じて選択することができる。
【0026】
〔実施例〕
図5は、本発明の実施の形態に係る溶接結果の代表例を示す図である。図から明らかなように、ワイヤ径、シールドガス組成、ワイヤ送給速度、交流周波数fACおよびEP極性時間比率δを種々変化させたが、いずれの場合も良好な溶接結果が得られた。
【0027】
図6は、EP極性時間比率δの効果についての説明図である。ここでは直径が0.6mmのYGW12ワイヤを用い、ワイヤ送給速度を7.6m/min一定とし、シールドガス組成がAr+20%CO2のマグ溶接で、板厚が0.7mmの亜鉛めっき鋼板上に、平ビード溶接した例を示している。なお、EP電圧VEPは17.5V、EN電圧VENは16.5V、交流周波数は3.3Hzとし、EP極性時間比率δは50%および17%とした。いずれの溶接速度においても、δを小さくすることによって、表面ビード幅ならびに裏ビード幅が減少し、凸形で溶込みが少ないビード形状となった。また、δ=50%の交流溶接においても、上記の傾向は、図中に示す従来の直流EP極性より顕著である。
【0028】
図7は、ワイヤ送給速度とα(=VEP−VEN)の関係を示す図である。ここでは直径が0.6mmのYGW12ワイヤを用い、シールドガス組成がAr+20%CO2のマグ溶接で、交流周波数fACを3.3Hz、EP極性時間比率δを50%一定にした時のワイヤ送給速度と、出力電圧VEPと出力電圧VENの差αの関係を示す図であり、図中黒い部分が少ない記号ほど良好なアーク状態であることを示している。なお、出力電圧VEPとαの値を種々変化させたが、いずれの場合も適正な溶接結果が得られる範囲はα>0の領域であり、その上限はワイヤ送給速度の増加と共に大きい値になることが分かった。
【0029】
図8は、板厚が0.7mmの亜鉛めっき鋼板を用いて、ルートギャップ2mmの重ねすみ肉溶接を行った結果の外観および断面を示す図で、(a)は本発明による溶接結果を(b)は従来の直流EP極性の溶接結果である。図から明らかなように、本発明の消耗電極式の交流マグ溶接(交流周波数fAC=3.3Hz、EP極性時間比率δ=50%)では、良好なすみ肉ビードが形成されると共に、裏面への溶込みも少なく、溶落ちに対する考慮は全く必要としないと思われる形状を呈した。一方、従来溶接では、板厚が極めて薄くかつルートギャップが板厚の約3倍もあるために溶落ちを生じ、良好なすみ肉ビードを形成できなかった。
【0030】
すなわち、溶接開始直後(図中イの位置)は下板が冷えているため、溶融したワイヤが下板上に堆積し、溶融金属は表面張力によって徐々に盛り上がる。そして、溶融金属が上板に届くと、上板と下板が融合して良好なスミ肉ビードが形成される。溶接の進行と共に下板の温度が上昇すると、下板上の溶融金属は盛り上がらずに、幅方向に拡がって平坦になる。このため、上板は溶融されない(図中ロの位置)。さらに、イの状態が続くと、過大な熱が蓄積された下板は完全に溶融して溶け落ち、下板に穴が明く(図中ハの位置)。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、EN極性とEP極性におけるワイヤ溶融速度をほぼ等しくでき、短絡が頻繁に発生するような短いアーク長でも安定した消耗電極式の交流ガスシールド溶接が行え、しかも交流周波数や極性時間比率に対する制約を受けないから、用途に応じて、交流溶接の特徴である高ワイヤ溶融速度、浅い溶込みあるいは凸形の余盛形状などを任意に選択できる。この結果、例えば板厚が1mm以下の極薄板で、かつルートギャップが板厚の3倍程度ある重ねすみ肉継手においても、穴あきや溶落ちなどを生じることなく、良好な溶接ビードを形成することができ、溶接可能範囲を大幅に拡大させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】安定アーク域の同一設定電圧におけるEN極性とEP極性の溶接電流値とワイヤ溶融速度の関係を示す図である
【図2】本発明の原理をまとめて示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る溶接装置の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る他の溶接装置の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る溶接結果の代表例を示す図である。
【図6】EP極性時間比率δの効果についての説明図である。
【図7】ワイヤ送給速度と差αの関係を示す図である。
【図8】極薄板の重ねすみ肉溶接結果の一例である。
【符号の説明】
VEP EP極性の出力電圧値
VEN EN極性の出力電圧値
Claims (4)
- 消耗電極と被溶接物との間に略定電圧の交流電圧を供給し、消耗電極の先端に形成される溶滴を短絡移行させる消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置において、消耗電極を略定速度で送給するワイヤ送給制御回路と、EP極性の期間T EP の設定器と、EN極性の期間T EN の設定器と、前記期間T EP に出力される出力電圧値V EP の設定器と、前記期間T EN に出力される出力電圧値V EN の設定器と、前記出力電圧V EP の設定器および出力電圧V EN の設定器から出力される信号に基づいてそれぞれの電圧レベルを制御する出力電圧制御回路と、前記期間T EP および前記期間T EN の設定器から出力される信号に基づいてそれぞれの極性時間を制御する極性時間制御回路とを設けて溶接出力を制御すると共に、溶接電流値の下限値を補償する最小電流補償回路とリアクタを直列に接続した回路を出力回路と並列に接続したことを特徴とする消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置。
- 平均溶接電圧値Vavの設定器と、前記出力電圧値V EP と前記出力電圧値V EN の差αの設定器とを設け、V EP =Vav、V EN =Vav−αとして、前記出力電圧値V EP および前記出力電圧値V EN のレベルを設定することを特徴とする請求項1に記載の消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置。
- 交流周波数f AC を設定する交流周波数f AC 設定器と、前記期間T EP の時間比率δを設定する時間比率δ設定器を設け、T EP =δ/f AC 、T EN =(1−δ)/f AC として前記期間T EP および期間T EN の時間を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置。
- 前記ワイヤ送給制御回路から出力されるワイヤ送給速度信号に基づいて前記出力電圧値V EP と前記出力電圧値V EN の差αの値を増減させることを特徴とする請求項2に記載の消耗電極式の交流ガスシールド溶接装置。
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