JP3897453B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置、特に、記録ヘッドのインク吐出口面を拭き取るワイピング部材を有するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機等のインクジェット記録装置においては、記録ヘッドのインク吐出口部分の目詰まりや、インク吐出口面に付着したインク等が原因となってインク吐出不良が生じることがあるので、これを防止するために記録ヘッドのインク吐出口面の付着物を拭き取るワイピング部材を設けることが行われている。このために、例えば、複数個の記録ヘッドを有するシリアルスキャン方式による記録装置の場合に、図11に示すように、記録紙の幅方向に往復動する記録ヘッド115BK、115Y、115M、115Cがクリーニングブレード500を通過するたび毎に、順に記録ヘッド115BK、115Y、115M、115Cのインク吐出面にクリーニングブレード500が当接して、インク吐出面のワイピングを行って付着物を拭き取っている。
【0003】
更にまた、図12に示すように、記録ヘッド120C、120M、120Y、120BKのインク吐出口の配列方向と全く同一方向にワイピング部材550を移動させて記録ヘッド120C、120M、120Y、120BKのインク吐出面のワイピングを行って付着物を拭き取っているものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような図11に示される従来の方式によれば、特に、インクジェット記録装置における1個のワイピング部材500に、複数個の記録ヘッド115BK、115Y、115M、115Cが順に当接するために、1個目の記録ヘッド115BKのインク吐出口面をワイピングしてワイピング部材500に付着した付着物が、2個目以降の記録ヘッド115Y、115M、115Cに付着する場合があり、ワイピング(拭き取り)の効果が十分に得られないことが屡々見られる。
【0005】
また、カラー記録の場合には、複数個の記録ヘッド115BK、115Y、115M、115Cは夫々黒、シアン、イエロー、マゼンタ等の複数種類のインクを使用することになるが、この場合にも同様な理由によってワイピング部材500に付着した最初の記録ヘッド115BKのインクが他の記録ヘッド115Y、115M、115Cに付いて、所謂混色の問題を引き起こすことがある。
【0006】
これに対して、図12に示されるような方式では、前述した問題は回避できるが、ワイピング部材550の同じ部分が記録ヘッド120M、120Y、120BKのインク吐出口面に当接し続けるために、ワイピング部材550自体に付着したインク等の付着物が多くなり、特に、長尺の記録ヘッドの場合には、ワイピングを始める部分のインク吐出口面に比べて、ワイピング終了付近のインク吐出口面は完全なワイピングが行われ難くなるという欠点が見られる。
【0007】
従って、本発明の目的はこのような従来における問題を解決するために、記録ヘッドのインク吐出口面を、常にワイピング部材のインク付着物のない部分で行って、混色等の問題を発生させることもなく、また常に良好なワイピング作用がワイピング部材によって行える記録ヘッドを有するインクジェット記録装置を提供することにある。
【0008】
【発明が解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、主走査方向に移動可能なキャリッジに配された、それぞれ前記主走査方向と直交する方向にインク吐出口を配列した複数のインク吐出口列のインク吐出口からインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記複数のインク吐出口列の前記インク吐出口の配列に沿って移動することにより前記複数のインク吐出口列をワイピングする1つのワイピング部材を備え、前記ワイピング部材がそれぞれの前記インク吐出口列の長さだけ移動する間に、前記キャリッジは隣接するインク吐出口列の間隔より小さい距離だけ移動することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
この様に、本発明によれば、インクジェット記録装置は、上記のような構成によって、ワイピング部材を記録ヘッドのインク吐出口の配列方向に移動させると同時に、インク吐出口の配列方向と直角方向に相対的に移動させながらワイピング作用を行うようにしたので、記録ヘッドのインク吐出口のワイピング作用を常にワイピング部材のインク付着物のない部分で行うことができ、かつ複数個の記録ヘッドがある場合でも混色等の問題を発生させることもなく常に良好なワイピング作用を行うことができる。
【0012】
本発明のその他の目的や特徴および利点は添付図面に沿っての以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明のインクジェット記録装置の好ましい実施の形態に就いて図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の第1の実施例におけるインクジェット記録装置の全体構成の概要を示す斜視図であり、図2乃至図7は、そのワイピング手段の動作の説明図であり、図8および図9はそのワイピング手段に付加されたワイピング部材自体の洗浄手段の説明図である。
【0015】
図1乃至図3に示されるように、本発明のインクジェット記録装置は布帛等の被プリント媒体2が巻かれた巻出ロール1と、巻出ロール1から巻出された被プリント媒体2を搬送する搬送装置4と、プリントされた被プリント媒体2を巻取る巻取ローラ8と、被プリント媒体2に所要の模様や柄等をプリントするプリンタ部10とから主に構成されており、被プリント媒体2が巻出ロール1から巻出されてガイドロール3を経て搬送装置4の搬送ベルト4aによってプリンタ部10に送られ、このプリンタ部10において所定のプリントが行われて、巻取ローラ8によって被プリンタ媒体2が巻取られる。
【0016】
搬送装置4は、図示しない駆動装置によって駆動される駆動ローラ5と、この駆動ローラ5に対応する従動ローラ6と、駆動ロール5および従動ローラ6に掛けられたエンドレスベルトである搬送ベルト4aとから成るベルトコンベヤであって、搬送ベルト4aの表面に粘着材が施された金属あるいはゴム等を主体として作られているベルトコンベヤである。布帛等の被プリント媒体2は、搬送装置4のエンドレスベルトの表面に貼り付けられて駆動ローラ5によって1プリント幅づつ間欠送りされて、プリンタ部10において後述する記録ヘッド10a、10b、10c、10dによってシリアルスキャン方式によりプリントされて巻取ローラ8に巻取られる。また、搬送装置4のエンドレスベルトである搬送ベルト4aはプラテンローラ7によって支持されており、布帛等の被プリント媒体2と記録ヘッド10a〜10dとの間の適切な間隔を維持している。
【0017】
図3に示されるように、本発明のインクジェット記録装置におけるプリンタ部10は、被プリント媒体2の搬送方向と直角な方向に位置されるよう主フレームF上に載置された長方形状のフレームfを有しており、このフレームfの内側にフレームfの長手方向に延びる一対の平行に間隔を置いた主走査レール12に沿って移動可能にヘッドキャリッジ9が設けられている。このヘッドキャリッジ9には、夫々黒、シアン、マゼンタ、イエロー等の各色のインクによるプリントを行うための記録ヘッド10a、10b、10c、10dが設けられており、スライドベアリング11によって主走査レール12に沿って滑動可能に支持されて、図示しない駆動手段によって矢印Pの方向にヘッドキャリッジ9を往復動しながら、上述の搬送装置4によって間欠送りされる被プリント媒体2と同期して、被プリント媒体2に1プリント幅づつの所要の柄または模様あるいは画像等のプリントが行われるように成っている。
【0018】
図示されるように、本発明のインクジェット記録装置におけるプリンタ部10は、ヘッドキャリッジ9の記録ヘッド10a、10b、10c、10dのインク吐出口の乾燥を防止するためのキャップゴム14が設けられたキャッピングユニット13を有しており、図1乃至図3に示されるホームポジションにヘッドキャリッジ9が位置する場合には、エアシリンダ15によってキャップゴム14がヘッドキャリッジ9に押し付けられている。
【0019】
また、プリント動作を行う際には、図5に示されるように、例えばエアシリンダ15の空気を抜いて、これによってキャッピングユニット13を矢印D方向に降下させて、キャッピングユニット13をヘッドキャリッジ9から離した後に、ヘッドキャリッジ9を被プリント媒体2の方向(矢印P方向)に走査させる。図2においては、記録ヘッド10a、10b、10c、10dのインク吐出口面10a′、10b′、10c′、10d′とその配列方向(矢印E)が夫々示されている。
【0020】
更に、図1乃至図3に示されるように、本発明のインクジェット記録装置のプリンタ部10には、記録ヘッド10a、10b、10c、10dのインク吐出口面10a′、10b′、10c′、10d′のワイピング手段としてのワイピング部材16と、ワイピング部材16を作動するエアシリンダ17とが設けられていると共に、ワイピング部材16を洗浄するよう洗浄液を噴射する洗浄ノズル18と、洗浄液タンク(図示しない)から洗浄ノズル18に供給される洗浄液の供給を制御するための電磁弁19とが設けられており、記録ヘッド10a、10b、10c、10dを洗浄する洗浄手段を構成している。また、ワイピング部材16はエアシリンダ17によって記録ヘッド10a〜10dの主走査方向(矢印P方向)と直交する方向、すなわちインク吐出口の配列方向(矢印E方向)とほぼ平行に移動できるように設置されている。更に、エアシリンダ17は図示しない制御機構によってヘッドキャリッジ9の移動と併せてワイピング部材16を適宜移動できるように構成されている。
【0021】
図1において、ワイピング部材16を洗浄する洗浄液(本実施例では純水を使用)は、洗浄液タンク(図示しない)からの洗浄液を電磁弁19のオン・オフ作用により洗浄ノズル18の下方に移動してきたワイピング部材16に掛けることによって、ワイピング部材16に付いていたインク等の付着物を洗い流してワイピング部材16をインク等の付着のない状態に清掃して戻すように作用する。また、本実施例におけるワイピング部材16は可撓性を有する多孔質体材料を用いて作ることによってワイピング作用および効果を一層高めている。
【0022】
このようにして、ワイピング部材16の洗浄ノズル18によって洗浄液が掛けられたワイピング部材16は、吸引ノズル20および吸引ポンプ21により、その洗浄液を適宜吸引することによって再び良好なワイピング作用と効果が再生されるべく期待できる。更に、図1乃至図3に示されるように、エアシリンダ17に隣接して予備吐出箱22が設けられており、被プリント媒体2に吐出することの少ない記録ヘッド10a〜10dにおけるインク吐出ノズルのインク吐出を行い、プリント動作中の吐出ノズルの乾燥を防止することができる。
【0023】
次に、このような本発明に係るインクジェット記録装置の記録ヘッド10a〜10dのワイピング手段に就いて、図3乃至図7に基づいて以下に説明する。
【0024】
先ず、図4は1プリント幅Lのプリントを終了した記録ヘッド10a〜10dがワイピング開始位置まで移動した状態を示す図である。すなわち、ヘッドキャリッジ9は、一旦、最も被プリント媒体2寄りの記録ヘッド10aのインク吐出口列面10a′の中心がワイピング部材16の最も被プリント媒体2寄りの端部から距離S1の位置に移動する。ここで、隣接する記録ヘッド10a〜10dのピッチをAとすると、図4から明らかなように、距離S1とピッチAの関係はS1>Aである。また、ワイピング部材16の全長Sは、S≧S1+3Aであることは云うまでもなく、図面からも容易に理解できよう。(但し、記録ヘッドが4個で、各記録ヘッドの間隔をAとする)。続いて、ワイピングブレード16は、前述の制御機構によって矢印W1の方向に移動を開始して、図中、位置w1のところまで移動することによって、ワイピングブレード16とインク吐出口面10a′、10b′、10c′、10d′との当接が図5に示されるように始まる。
【0025】
この時点で、いままで停止していたヘッドキャリッジ9が前述の制御機構によって図4中で矢印P1の方向への移動を始める。この際に、両者の相対移動速度は、図6に示したようにワイピング部材16がW1の方向に位置w1から位置w2まで、すなわち1プリント幅Lだけ移動する間に、ヘッドキャリッジ9は隣接する記録ヘッド間の間隔Aに対してB≦Aとなるように移動すべく設定されている。
【0026】
このように、記録ヘッド10a〜10dのインク吐出口の配列方向へのワイピング作動中に、ヘッドキャリッジ9を距離B≦Aだけ移動させるようにしたので、各インク吐出口面10a′〜10d′のインク吐出口は常にワイピング部材16の新しいワイピング面で拭き取られ、且つ隣接する記録ヘッド10a〜10dのインクとの混色も発生しないので、良好なワイピングが行われるようになる。
【0027】
更に、本実施例では図8、図9に示したように、ワイピング部材16がエアシリンダ17によって矢印W1の方向に移動し、ワイピング部材16が洗浄ノズル18の下部に位置した時点で、前述のように洗浄水がワイピング部材16に掛けられて、ワイピング部材16に付いていたインク等の付着物が洗い流されるようにしてあるので、2回目以降の記録ヘッドのインク吐出口面10a′〜10d′のワイピングも良好に行うことができる。
【0028】
また、前述のように、本実施例では、ワイピング部材16に多孔質体材料を用いているが、掛けられた洗浄水はワイピング部材16のホルダー部16aに設けた吸引溝16bと吸引孔16c、およびこの吸引孔16cが密着するように設けられた弾性体から成る吸引ノズル20および吸引ポンプ21によって適宜吸引され、最もワイピング作用に適した濡れ具合に調整できるようになっている。
【0029】
このように、洗浄、吸引されて清浄にされたワイピング部材16は、ヘッドキャリッジ9がプリント動作のために被プリント媒体2上を移動している間に図8の矢印W2の方向に移動して、次のワイピング作用に備えることができる。
【0030】
図10は本発明の参考例のワイピング手段の説明図で、図示されるように、ワイピング部材16による記録ヘッドのインク吐出口面のワイピング動作中は、ヘッドキャリッジ9を停止したままとし、代わりにワイピング部材16の移動方向を同図において、
【0031】
【数1】
θ=tan-1 B/L B≦A
但し、L=インク吐出口列の長さ
A=隣接する記録ヘッド間隔
の傾斜角度だけ予め傾けて設置したもので、1つの記録ヘッドのインク吐出口列面を、ワイピング部材16の或る長さ部分に亘ってワイピングすることができるものである。このようにしても先の第1の実施例と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
また、前述したワイピング部材16の洗浄、吸引の手段を同様に盛り込むことができるのも言うまでもない。
【0033】
尚、実施例、参考例とも布帛等の被プリント媒体の記録装置として説明したが、紙やシート等のその他の媒体にも応用できる。また、ワイピングブレードを多孔質材料で説明したが、所謂ゴムブレードでも応用できることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1記載のインクジェット記録装置は、記録ヘッドのインク吐出口面を拭き取る可撓性のワイピング部材を有し、ワイピング部材をインク吐出口の配列方向と直角方向に相対的に移動させながらワイピングを行うようにしたので、複数個の記録ヘッドをワイピングしても何等全く混色等の心配もなく、長尺の記録ヘッドも常に新しいワイピング面でワイピングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクジェット記録装置の実施例の全体斜視図である。
【図2】 本発明の実施例のワイピング手段の説明図である。
【図3】 本発明の実施例のワイピング手段の説明図である。
【図4】 本発明の実施例のワイピング手段の説明図である。
【図5】 本発明の実施例のワイピング手段の説明図である。
【図6】 本発明の実施例のワイピング手段の説明図である。
【図7】 本発明の実施例のワイピング手段の説明図である。
【図8】 本発明の実施例のワイピングブレードの付加されたブレードの洗浄手段の説明図である。
【図9】 本発明の実施例のワイピングブレードの付加されたブレードの洗浄手段の同様な説明図である。
【図10】 本発明の参考例のワイピング手段の説明図である。
【図11】 従来例における複写機の記録ヘッド部分の斜視図である。
【図12】 別の従来例における複写機の記録ヘッド部分の斜視図である。
【符号の説明】
1 巻出ロール
2 被プリント媒体
3 ガイドロール
4 搬送装置
4a 搬送ベルト
5 駆動ローラ
6 従動ローラ
7 プラテンローラ
8 巻取ローラ
9 ヘッドキャリッジ
10 プリンタ部
11 スライドベアリング
12 主走査レール
13 キャッピングユニット
14 キャップゴム
15 エアシリンダ
16 ワイピング部材
17 エアシリンダ
18 洗浄ノズル
19 電磁弁
20 吸引ノズル
21 吸引ポンプ
22 予備吐出箱
F 主フレーム
f フレーム
Claims (6)
- 主走査方向に移動可能なキャリッジに配された、それぞれ前記主走査方向と直交する方向にインク吐出口を配列した複数のインク吐出口列のインク吐出口からインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記複数のインク吐出口列の前記インク吐出口の配列に沿って移動することにより前記複数のインク吐出口列をワイピングする1つのワイピング部材を備え、
前記ワイピング部材がそれぞれの前記インク吐出口列の長さだけ移動する間に、前記キャリッジは隣接するインク吐出口列の間隔より小さい距離だけ移動することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記ワイピング部材を作動するエアシリンダを備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ワイピング部材の付着物を洗い流す洗浄手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記洗浄手段は洗浄ノズルを有し、該洗浄ノズルによって前記ワイピング部材に掛けられた洗浄液を吸引するための吸引ノズルおよび吸引ポンプを備えることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドから吐出された前記インクを受けるための予備吐出箱を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドから前記インクを吐出して布帛に記録を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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