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JP3891086B2 - 連続鋳造用浸漬ノズル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造時におけるノズルの閉塞を抑制することが可能な浸漬ノズルに関し、詳しくは、耐火物に希土類元素の酸化物を含有させた浸漬ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
溶鋼の連続鋳造において、鋳型内に溶鋼を供給する手段として耐火物製の浸漬ノズルが用いられている。この場合、溶鋼中の成分と浸漬ノズルを構成する耐火物中の成分とが化学反応を起こして、溶鋼と接触する浸漬ノズルの内壁面に反応生成物が生成するとともに、溶鋼中に存在する介在物が、この反応生成物に付着することが多い。連続鋳造量が増大するにつれて、溶鋼中の成分と浸漬ノズルを構成する耐火物中の成分との反応により生成する反応生成物量は増加するとともに、この反応生成物に付着する溶鋼中の介在物の量も増加する。
【0003】
これらの反応生成物量および介在物量が増加するにつれて、浸漬ノズルの内壁の形状が不均一に変形し、例えば2孔ノズルの場合には、各孔から鋳型内に供給される溶鋼量や孔からの吐出流速が不均等となり、鋳型内の溶鋼の流動が乱れ、メニスカスのレベル変動を助長したり、メニスカスにおける溶鋼流速を変動させる場合が生じる。このような乱れが生じると、溶鋼がモールドフラックスを巻き込んだり、初期凝固シェルの成長が不均一となって、スラブの表面割れが発生し、スラブの品質が低下する。
【0004】
また、浸漬ノズルの内径の減少により、所定量の溶鋼を鋳型内に供給することが困難となり、鋳造速度を低下させるか、あるいは鋳造を中止しなければならなくなる場合も発生する。
【0005】
特許文献1には、溶鋼と接触する浸漬ノズルの内孔部が1〜10重量%のカーボン含有耐火材料で構成され、カーボン以外の耐火材料が420μm以下の粒度からなる連続鋳造用ノズルであって、内孔部位を形成する耐火材料が、ノズルの成形時において同時に成形された一体構造を有し、その厚さが2〜12mmである連続鋳造用ノズルが開示されている。
【0006】
同公報では、カーボン濃度が1重量%未満となると、ノズルの耐熱スポール性が著しく低下して鋳造時に割れが発生する危険性が高まり、一方、カーボン濃度が10重量%を超えると、アルミナの付着防止効果が著しく低下するとされている。また、浸漬ノズルを構成する耐火材料に5〜70重量%のコーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)を含有させることが好ましいとされている。この鉱物相のコーディエライトの融点は、約1460℃であって、溶鋼温度よりも約100℃低く、鋳造中にコーディエライトが溶融することにより、内孔部材質表面や内部に液相を生成し、ノズル本体からのSiOガスやCOガスの拡散が抑えられるようになり、Alの生成が抑制されるとされている。
【0007】
しかし、この浸漬ノズルは、通常の炭素鋼やステンレス鋼の連続鋳造への適用を想定したものであって、希土類元素を含有した溶鋼の鋳造は対象とされておらず、したがって、希土類元素を含有した溶鋼の連続鋳造における浸漬ノズルの閉塞問題の解決にはなっていない。
【0008】
特許文献2には、酸化精錬後、Siおよび/またはAlにてスラグ中のCrの還元を行い、引き続きAlで仕上げ脱酸を行った後、鋼中Al濃度による制約量以下の範囲内で希土類元素を添加することにより、希土類元素の酸化物を含有する介在物の生成を抑制した溶鋼を、少なくとも内壁がSiOを含有しないZrO−CaO質からなる浸漬ノズルを用いて鋳造する希土類元素含有ステンレス鋼の製造方法が開示されている。
【0009】
しかし、この方法は、ZrOと希土類元素が反応するため、ノズルの閉塞を起こすこと、また、含有されるCaOが空気中のCOと反応してCaCOを形成して脆くなり、特に高温状態においてはその傾向が顕著であることから、操業上の取り扱いが難しく、希土類元素を含有した溶鋼の連続鋳造において浸漬ノズルの閉塞問題を解決するには至っていない。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−118747号公報(特許請求の範囲、段落[0021]〜[0026])
【特許文献2】
特開2001−192723号公報(特許請求の範囲)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その課題は、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造時におけるノズルの閉塞を抑制可能な浸漬ノズルを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために、前記した従来技術の問題点について検討を行い、以下の(a)〜(c)の知見を得た。
【0013】
(a)希土類元素を含有する溶鋼では、溶鋼中のAlよりも還元力の強い希土類元素が溶存しているため、耐火物を構成するアルミナおよび溶鋼中のアルミナが還元されて希土類酸化物が生成し、この希土類酸化物が浸漬ノズルの内孔面に付着し、ノズルを閉塞する。
【0014】
(b)上記の(a)の現象は、反応の熱力学的な平衡関係に基づいていることから、標準生成自由エネルギーの絶対値がアルミナよりも大きい希土類酸化物を浸漬ノズルの材質として用いれば、アルミナに起因するノズルの閉塞を抑制できる。また、標準生成自由エネルギーの絶対値が大きな希土類酸化物を用いるほど、その効果は大きい。
【0015】
(c)浸漬ノズルを構成する耐火物中に希土類酸化物を配合することにより、溶鋼中の希土類元素と浸漬ノズル中のアルミナとの反応界面積が減少し、浸漬ノズルの閉塞が抑制される。
【0016】
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズルにある。
【0017】
(1)アルミナを主成分とする浸漬ノズルであって、該浸漬ノズルを構成する耐火物に希土類元素の酸化物を含有させた、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
【0018】
(2)アルミナを主成分とする浸漬ノズルであって、該浸漬ノズルの内孔表面に、希土類元素の酸化物のコーティング層を設けた、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
【0019】
(3)アルミナを主成分とする浸漬ノズルであって、該浸漬ノズルを構成する耐火物に存在する気孔中に希土類元素の酸化物を含浸させた、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
【0020】
本発明において、「アルミナを主成分とする」とは、アルミナ含有率が75質量%以上であることを意味し、その他の成分として、例えば、グラファイトを5質量%以上、シリカを5質量%以上含有することができる。
「希土類元素の酸化物」とは、周期表の3A族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)などからルテチウム(Lu)に至る17元素のそれぞれの酸化物のうちの1種以上を意味する。
【0021】
「含浸」とは、希土類元素の酸化物を液状物質として、耐火物の気孔中にしみこませることを意味する。例えば、希土類元素の酸化物を含む溶液中に多孔質の耐火物を浸漬し、耐火物の気孔中に希土類元素の酸化物を運び込み、残留させることをいう。
【0022】
【発明の実施の形態】
1)通常溶鋼の鋳造時におけるノズルの閉塞機構
希土類元素を含有しない通常の溶鋼を連続鋳造した場合に発生する浸漬ノズルの閉塞は、以下の機構による。
【0023】
一般に、浸漬ノズルの材質としては、主としてアルミナグラファイトが用いられることが多い。この材質中には、シリカが含有されている。鋳型に供給される溶鋼により浸漬ノズルが高温にさらされると、浸漬ノズルの内部において、ノズルを構成する前記のシリカとグラファイトとが下記の▲1▼式により表される反応を起こし、SiOガスやCOガスを発生する。
SiO(s)+C(s)=SiO(g)+CO(g) ・・・▲1▼
ここで、(s)は固体状態の成分であることを表し、(g)はガス状態の成分であることを表す。
【0024】
上記▲1▼式の反応により発生したガスは、浸漬ノズルと溶鋼との界面に移動し、下記の▲2▼式および▲3▼式により表される反応によって浸漬ノズル内孔の表面にアルミナを生成する。
【0025】
SiO(g)+(2/3)×[Al]=(1/3)×Al+[Si]・・▲2▼
CO(g)+(2/3)×[Al]=(1/3)×Al+[C] ・・・▲3▼
ここで、[Al]、[Si]および[C]は、それぞれ溶鋼中に溶存している成分であることを表す。
【0026】
上記のようにして生成したアルミナが起点になり、これに溶鋼中に存在するアルミナが付着してその量を増大し、浸漬ノズルを閉塞させる。
【0027】
2)希土類元素含有溶鋼の鋳造時におけるノズルの閉塞機構とその抑制
希土類元素を含有する溶鋼を連続鋳造する場合には、前記の[Al]よりも還元力の強い希土類元素が溶存しているため、耐火物を構成するアルミナおよび溶鋼中のアルミナが還元されて希土類酸化物が生成し、この希土類酸化物が浸漬ノズルの内孔面に付着して、ノズルを閉塞する。また、溶鋼中の希土類元素の濃度が低下し、希土類元素の歩留りも低下する。
【0028】
上記の現象は、酸化物の熱力学的な安定度の大小関係に基づいているから、反応の自由エネルギーの絶対値を比較して、溶鋼中の希土類元素により還元されない酸化物を耐火物の材質として選択すればよいことになる。すなわち、浸漬ノズルの材質として、標準生成自由エネルギーの絶対値がアルミナよりも大きい希土類酸化物を用いれば、アルミナに起因するノズルの閉塞を抑制することが可能となる。
【0029】
そこで、希土類酸化物の熱力学データである標準生成自由エネルギーを比較した。
【0030】
図1は、各種の希土類酸化物の標準生成自由エネルギーを比較した図である。なお、標準生成自由エネルギーの値は1550℃における値をその絶対値により表示した。
【0031】
同図の結果によれば、希土類酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値は、アルミナの標準生成自由エネルギーの絶対値よりも大きく、したがって、浸漬ノズルの材質として希土類酸化物を使用すれば、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造時にアルミナに起因するノズルの閉塞を抑制できることがわかる。
【0032】
また、希土類酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値は、希土類酸化物の種類により大きく異なる。標準生成自由エネルギーの絶対値が大きいほど、酸化物は熱力学的に安定であることから、浸漬ノズルの材質としては標準生成自由エネルギーの絶対値の大きい希土類酸化物を用いるほど、その効果は大きい。
浸漬ノズルの耐火物中に希土類酸化物を配合することにより、溶鋼中の希土類元素と浸漬ノズル中のアルミナとの反応界面積が減少し、浸漬ノズルの閉塞が抑制されるという効果もある。
【0033】
3)好ましい態様
希土類酸化物の含有率:
希土類酸化物を浸漬ノズルの耐火物中に含有させる場合、その含有率は、15〜50質量%とするのが好ましい。その含有率が15質量%未満では、浸漬ノズルの閉塞を抑制する効果が小さく、一方、その含有率が50質量%を超えると、希土類元素酸化物の含有効果が飽和するとともに、浸漬ノズルの製造コストが上昇するので好ましくない。
【0034】
希土類酸化物のコーティング厚さ:
希土類酸化物を浸漬ノズル内孔表面にコーティングする場合、その厚さは、1.5〜5mmとするのが好ましい。その厚さが1.5mm未満では、浸漬ノズルの閉塞を抑制する効果が少なく、一方、その厚さが5mmを超えると、希土類元素酸化物によるコーティングの効果が飽和するとともに、コーティングが剥離しやすくなるので好ましくない。
【0035】
浸漬ノズルを構成する耐火物の気孔率および気孔径:
希土類酸化物を含浸させる場合の耐火物の気孔率は、2〜20体積%とするのが好ましい。気孔率が2体積%未満では、含浸する希土類酸化物の量が少なく含浸の効果が小さい。一方、気孔率が20体積%を超えると、浸漬ノズル本体の気孔率が大きくなり、ノズルの機械的強度が低下する。
耐火物の厚さ方向における気孔率の分布については、ノズルの内孔表面から10mmの深さまでの気孔率を10〜20体積%とするのが好ましい。耐火物の内孔表面から深さ10mm程度の範囲まで希土類酸化物を含浸させるのに効果的である。
【0036】
また、耐火物の気孔径は、10〜300μmであることが好ましい。気孔径が10μm未満では、希土類酸化物の粒子が気孔内に浸入しにくくなり、一方、300μmを超えると、浸漬ノズルに発生するクラックの起点となりやすい。
希土類酸化物の粒子径:
希土類酸化物を含浸させる場合の希土類酸化物の粒子径は、含浸される耐火物の気孔径未満であればよいが、3〜100μmとすることが好ましい。希土類酸化物の粒子径が3μm未満では、粒子の製造が困難であり、また、100μmを超えると、浸漬ノズルの気孔内に浸入しにくくなる。
【0037】
【実施例】
本発明の浸漬ノズルを構成する耐火物への付着物の付着試験を行い、さらに、本発明の浸漬ノズルを用いた連続鋳造試験によりノズル閉塞抑制試験を行って、本発明の効果を確認した。
【0038】
〔試験方法〕
実施例1〜3については、浸漬ノズル用耐火物サンプルを用い、下記の回転浸食試験を行った。
【0039】
なお、表1に、溶解した溶鋼の成分組成を、また、表2に、希土類元素の添加に用いたミッシュメタルの成分組成をそれぞれ示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003891086
【0041】
【表2】
Figure 0003891086
【0042】
(1)浸漬ノズル用耐火物サンプル:外径30mm、長さ200mmの円筒、
(2)溶鋼の溶解炉:タンマン炉、
(3)溶鋼溶解量:10kg、溶鋼温度:1550℃、
(4)溶解鋼種:極低炭素鋼:鋼番号1および2(鋼成分組成を表1に示す)、
(5)溶鋼中の希土類元素濃度:ミッシュメタルを0.02質量%添加、ミッシュメタル番号1および2、(ミッシュメタルの成分組成を表2に示す)、
(6)試験雰囲気:アルゴンガス、大気圧雰囲気、
(7)回転浸食:サンプルを200rpmで回転、
(8)試験時間:6h、
(9)付着率の測定:付着厚みを測定し、比較例の値を1.0として指数化。
【0043】
(実施例1)
希土類酸化物の試薬を配合して種々の成分組成を有する上記形状の浸漬ノズル用耐火物サンプルを焼成し、上記の試験方法にて溶鋼と接触させ、耐火物表面に付着する付着物の付着状況を調査した。
表3に、試験に供した耐火物の成分組成および試験後の付着率を示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003891086
【0045】
試験番号1−1〜1−5は、本発明例で、希土類酸化物の種類を変化させて配合した耐火物を使用した試験である。試験番号1−6は、比較例であり、希土類酸化物を配合しない耐火物を使用した試験である。
【0046】
また、表中の鋼番号は、前記の表1に示した成分組成を有する鋼番号を示し、表中のミッシュメタル番号は、表2に示し成分組成を有するミッシュメタル番号を示す。
表3の結果によれば、本発明例の浸漬ノズルを用いた試験番号1−1〜1−5では、比較例の試験番号1−6に比べて付着物の付着率が小さくなっており、浸漬ノズルの閉塞を抑制することが可能であることがわかる。
【0047】
試験番号1−1〜1−4の付着率に比べて試験番号1−5の付着率は、一段と小さくなっている。これは、試験番号1−5では、試験番号1−1〜1−4の場合に比べて、標準生成自由エネルギーの絶対値の大きな希土類酸化物であるTbを含有する耐火物を使用したため、溶鋼中に添加したミッシュメタルの成分であるCe、La、Nd、Prなどの希土類元素成分によるアルミナ耐火物の還元が進みにくかったためである。
【0048】
これに対して、試験番号1−1〜1−4においては、試験番号1−5と比べて標準生成自由エネルギーの絶対値が小さいNd、Y、LaおよびCeを含有する耐火物を使用したため、溶鋼中に含有される希土類元素のPrなどにより、アルミナ耐火物が一部還元され、試験番号1−5に比べて付着率が
やや大きくなっている。
【0049】
(実施例2)
浸漬ノズル用耐火物サンプルに種々の希土類酸化物の試薬を塗布法によってコーティングし、前記の試験方法にて溶鋼と接触させ、耐火物表面に付着する付着物の付着状況を調査した。
表4に、供試サンプルにおいてコーティングされた希土類酸化物の種類、コーティング厚さおよび試験結果の付着率を示す。
【0050】
【表4】
Figure 0003891086
【0051】
試験番号2−1〜2−4は、希土類酸化物をコーティングした耐火物を使用した本発明例の試験である。試験番号2−1〜2−3は、Ndのコーティング厚さを変化させた試験であり、試験番号2−4は、Tbをコーティングした試験である。試験番号2−5は、比較例であり、希土類酸化物をコーティングしない耐火物を使用した試験である。
【0052】
表4の結果によれば、本発明例の浸漬ノズルを用いた試験番号2−1〜2−4では、比較例の試験番号2−5に比べて付着物の付着率が小さくなっており、浸漬ノズルの閉塞抑制効果が認められる。
希土類酸化物のコーティング厚さが同じであれば、Ndをコーティングした場合よりもTbをコーティングした場合の方が付着率は減少しており、付着抑制効果が大きくなっている。これは、標準生成自由エネルギーの絶対値は、Ndが小さく、Tbの方が大きいからである。
【0053】
また、試験番号2−1〜2−3によれば、希土類酸化物のコーティング厚さの増加にともなって付着物の付着抑制効果が増加することがわかる。なお、希土類酸化物のコーティング厚さが1.5mm以上において好ましい付着抑制効果が得られ、5mmを超えるとその効果は飽和することがわかっている。
【0054】
(実施例3)
浸漬ノズル用耐火物サンプルに種々の希土類酸化物を含浸させた後、前記の試験方法にて溶鋼と接触させ、耐火物表面に付着する付着物の付着状況を調査した。
含浸は、以下の方法により行った。平均粒径50μmの希土類酸化物の試薬を体積比で1:1のエタノールに溶解し、この溶液をステンレス容器に装入した。その溶液中に前記の浸漬ノズル用耐火物サンプルを装入し、容器全体を真空容器内に装入した。真空ポンプにより13.3Paまで減圧し、1h保持し、その後、耐火物サンプルを取り出し、自然乾燥させた。
【0055】
なお、浸漬ノズル用耐火物サンプルは、気孔率20体積%のものを使用した。また、上記の含浸法による含浸深さは、耐火物表面から5mmであった。
比較例の試験では、希土類酸化物を含浸させなかったサンプルを用いた。
【0056】
表5に、供試サンプルに含浸させた希土類酸化物の種類、および試験結果の付着率を示す。
【0057】
【表5】
Figure 0003891086
【0058】
表5の結果によれば、本発明例の浸漬ノズル耐火物を用いた試験番号3−1〜3−6では、比較例の試験番号3−7に比べて付着物の付着率が小さくなっており、浸漬ノズルへの付着物の付着抑制効果が認められる。
また、試験番号3−1〜3−6のうちで、特に、Tbを含浸させた試験番号6は、付着率が著しく低くなっており、付着抑制効果が顕著である。これは、Tbの標準生成自由エネルギーの絶対値が、他の希土類酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値よりも大きいからである。
(実施例4)
希土類酸化物を含浸させた浸漬ノズルを用いて連続鋳造試験を実施し、付着物の付着状況を調査した。浸漬ノズルは、外径150mm、内径80mm、長さ800mmで吐出孔を2孔有する浸漬ノズルに、希土類酸化物のPrを含浸させたものを用いた。
【0059】
含浸は、以下の方法により行った。平均粒径50μmの希土類酸化物の試薬を体積比で1:1のエタノールに溶解し、溶液を作成した。この溶液を、吐出孔をテープにて閉塞し直立させた浸漬ノズル内に注入し、この浸漬ノズルを真空容器内に装入した。真空ポンプにより13.3Paまで減圧し、1h保持し、その後、浸漬ノズルを取り出し、自然乾燥させた。なお、浸漬ノズルは、気孔率20体積%のものを使用した。また、含浸深さは、ノズル内孔面から5mmであった。
【0060】
連続鋳造には、垂直曲げ型連続鋳造装置を使用し、厚さ250mm、幅1600mmの鋳片を鋳造した。なお、鋳造速度は、1.5m/min、溶鋼量は300tとし、5hの鋳造試験を実施した。溶鋼温度は、1550℃とし、鋼種としては、鋼番号1の極低炭素鋼に、ミッシュメタル番号1のミッシュメタルを0.02質量%添加することにより希土類元素を含有させた溶鋼を用いた。
一方、比較例の試験は、含浸を施さない上記の浸漬ノズルを使用し、他は同条件とした。
鋳造試験後、浸漬ノズルを冷却し、ノズルを長手方向に3箇所で直径方向に切断して、ノズルの直径方向断面を観察するとともに、付着物の付着率を求めた。
【0061】
その結果、本発明例の浸漬ノズルにおける付着物の付着率は、比較例における付着率を1.0とした場合、0.1であり、極めて良好なノズル閉塞抑制効果が確認された。
【0062】
【発明の効果】
本発明のとおり、希土類酸化物を含有、被覆または含浸させた浸漬ノズルによれば、希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造時におけるノズルの閉塞を抑制することができ、連続鋳造の安定操業が可能になるとともに、鋳片の品質向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】希土類酸化物の標準生成自由エネルギーを比較した図である。

Claims (3)

  1. アルミナを主成分とする浸漬ノズルであって、該浸漬ノズルを構成する耐火物に希土類元素の酸化物を含有させたことを特徴とする希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  2. アルミナを主成分とする浸漬ノズルであって、該浸漬ノズルの内孔表面に、希土類元素の酸化物のコーティング層を設けたことを特徴とする希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  3. アルミナを主成分とする浸漬ノズルであって、該浸漬ノズルを構成する耐火物の気孔中に希土類元素の酸化物を含浸させたことを特徴とする希土類元素を含有する溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
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