JP3888915B2 - エポキシ樹脂硬化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エポキシ樹脂の硬化剤として、酸無水物、アミン系化合物、イミダゾール化合物、ノボラック型フェノール樹脂等が使用されてきたが、半導体封止材用エポキシ樹脂の硬化剤としては、成形時の成形性、硬化後のエポキシ樹脂の耐熱性、耐湿性、電気的特性が優れていることからノボラック型フェノール樹脂が広く利用されている。
【0003】
近年、集積回路の高集積化に伴い、半導体チップが大型化している。また、回路基板への実装方法が挿入法から表面実装法に移行するのに伴い、封止成形材の薄型化が進んでいる。このため、半導体チップを樹脂封止材で封止する際に従来以上に優れた成形性が必要となっている。また、大型の半導体チップが薄い封止成形材に封止された状態で高温にさらされても、封止成形材にクラックの発生がないように、封止材に一層の耐熱性が要求されている。
【0004】
封止材の耐熱性向上の為に、エポキシ樹脂硬化剤としてキシレン変性ノボラック型フェノール樹脂の使用(特開昭59−105017号公報)、含フッ素ノボラック型フェノール樹脂の使用(特開昭64−74215号公報)等が検討された。また、4−アルキルフェノールあるいは4−アリールフェノールのジメチロール誘導体とフェノールとを縮合させてエポキシ樹脂硬化剤用のポリヒドロキシ化合物を製造する方法も公開されている(特開昭62−119220号公報)。しかしながら、これらはいずれも成形性、耐熱性が依然として不十分であり、エポキシ樹脂封止材用硬化剤としては充分満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ樹脂との硬化反応において良好な硬化性を示し、成形時の成形性、及び硬化物の耐熱性が優れており、特に、半導体封止材用エポキシ樹脂硬化剤として好適に使用されうるエポキシ樹脂硬化剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(4)により達成される。
(1)下記一般式[1a]及び[1b]で表される構造単位が共重合してなり、一般式[1a]で表される構造単位数(m)と一般式[1b]で表される構造単位数(n)との比率(m/n)が0.1〜1.0であり、GPC測定による重量平均分子量が1000〜10000であることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤。
【化2】
一般式[1a]及び[1b]中、
Xは、一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類から選ばれる1種類以上、
Aは、一般式[3]又は[4]で表されるフェノール類から選ばれる1種類以上、
Bは、一般式[5]又は[6]で表される基から選ばれる1種類以上、である。
一般式[2]中、
a、bは各々1〜3の整数を示し、かつ、(a+b)は2〜4の整数である。
一般式[3]中、
R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、c、dは各々1〜3の整数を示し、かつ、(c+d)は2〜4の整数である。
一般式[4]中、
eは1又は2である。
一般式[5]中、
R2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、fは1〜4の整数を示す。
一般式[6]中、
R3、R4は各々水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、
g、hは各々1〜4の整数を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
(2)前記一般式[1a]において、Xがサリチル酸である上記(1)に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
(3)前記一般式[1b]において、Aがフェノール及び/又は1−ナフトールである上記(1)または2に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
(4)前記一般式[1a]及び[1b]において、Bがパラキシリレン基及び/又は4,4’−ジメチレンビフェニル基である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のエポキシ樹脂硬化剤について説明する。本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、一般式[1a]及び[1b]で表される構造単位が共重合してなり、一般式[1a]で表される構造単位数(m)と一般式[1b]で表される構造単位数(n)との比率(m/n)が0.1〜1.0であり、GPC測定による重量平均分子量が1000〜10000であることを特徴とする。
まず、一般式[1]中の各成分について詳しく説明する。
【0008】
一般式[1a]中のXは、一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類から選ばれる1種類以上である。
一般式[2]中、a、bは各々1〜3の整数を示し、かつ、(a+b)は2〜4の整数である。
一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類としては、例えばサリチル酸、メタヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、モノヒドロキシイソフタル酸、ジヒドロキシイソフタル酸、モノヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸等が挙げられる。これらの中でも、特にエポキシ樹脂との硬化性が優れ、経済的にも有利なサリチル酸が好ましい。
【0009】
一般式[1b]中のAは、一般式[3]又は[4]で表されるフェノール類から選ばれる1種類以上である。
一般式[3]中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、c、dは各々1〜3の整数を示し、かつ、(c+d)は2〜4の整数である。
また、一般式[4]中、eは1又は2である。
一般式[3]で表されるフェノール類としては例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等が挙げられる。
また、一般式[4]で表されるフェノール類としては例えば、1−ナフトール、2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、特にエポキシ樹脂との硬化性が優れ、経済的にも有利なフェノール、あるいは多芳香環構造を持ち耐熱性に優れる1−ナフトール、2−ナフトールが好ましい。
【0010】
一般式[1a]及び[1b]中のBは、一般式[5]又は[6]で表される基から選ばれる1種類以上である。
一般式[5]中、R2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、fは1〜4の整数を示す。
また、一般式[6]中、R3、R4は各々水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、g、hは各々1〜4の整数を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。一般式[5]で表される基としては例えば、パラキシリレン基、オルソキシリレン基、メタキシリレン基、2,6−ジメチルパラキシリレン基、テトラメチルパラキシリレン基、テトラメチルオルソキシリレン基、テトラメチルメタキシリレン基等が挙げられる。
また一般式[6]で表される基としては例えば、4,4’−ジメチレンビフェニル基、3,4’−ジメチレンビフェニル基、3,3’−ジメチル−4,4’−ジメチレンビフェニル基、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジメチレンビフェニル基等が挙げられる。
これらの基の中でも、特にエポキシ樹脂との成形性、耐熱性に優れるパラキシリレン基、4,4’−ジメチレンビフェニル基が好ましい。
【0011】
一般式[5]で表される基を含む化合物としては、例えば、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、パラキシリレングリコール、メタキシリレングリコールジメチルエーテル、メタキシリレングリコール、オルソキシリレングリコールジメチルエーテル、オルソキシリレングリコール、2,6−ジメチルパラキシリレングリコールジメチルエーテル、2,6−ジメチルパラキシリレングリコール、テトラメチルパラキシリレングリコールジメチルエーテル、テトラメチルパラキシリレングリコール、テトラメチルオルソキシリレングリコールジメチルエーテル、テトラメチルオルソキシリレングリコール、テトラメチルメタキシリレングリコールジメチルエーテル、テトラメチルメタキシリレングリコール等のグリコール類、また、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,2−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,2−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ジ(フルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(クロロメチル)−2,6−ジメチルンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジ(クロロメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ(フルオロメチル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、1,2−ジ(クロロメチル)−3,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,2−ジ(ブロモメチル)−3,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,2−ジ(フルオロメチル)−3,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ジ(クロロメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ジ(ブロモメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン、1,3−ジ(フルオロメチル)−2,4,5,6−テトラメチルベンゼン等のハロゲノメチル化合物類などが挙げられる。これらの中でも、Bとしてパラキシリレン基を導入する場合は、フェノール類との反応性に優れ,経済的にも有利なパラキシリレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼンを用いることが好ましい。
【0012】
また、一般式[6]で表される基を含む化合物としては、例えば、4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、3,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(ブロモメチル)ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ(フルオロメチル)ビフェニルなどが挙げられる。これらの中でも、Bとして4,4’−ジメチレンビフェニル基を導入する場合は、フェノール類との反応性に優れる4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニルを用いることが好ましい。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤においては、一般式[1a]で表される構造単位数(m)と一般式[1b]で表される構造単位数(n)との比率(m/n)が0.1〜1.0である。この比率が0.1未満の場合、エポキシ樹脂硬化剤中においてXの割合、すなわちカルボキシル基の割合が少なくなり、エポキシ樹脂との硬化反応において架橋密度が充分に高くならず、耐熱性が低下するようになる。また、硬化性の低下により成形時の離型不良など作業上の問題を生じることもある。一方、1.0を超えるとカルボキシル基が過剰になり、これにより吸湿水分が増加し成形時の外観不良等の原因となることがある。前記比率は、特に0.2〜0.8であることが好ましい。これにより、封止材の硬化性をより良好なものにできる。
なお、前記比率は、例えばエポキシ樹脂硬化剤のフェノール性水酸基当量(g/eq)より求めることができる。フェノール性水酸基当量は、エポキシ樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基をピリジン溶媒中で過剰量の無水酢酸でアセチル化し、アセチル化反応に消費されなかった余剰の無水酢酸を水酸化ナトリウム水溶液で滴定することにより求められる。
【0014】
また、本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、GPC測定による重量平均分子量が1000〜10000である。重量平均分子量が10000を越えると、硬化剤の粘度が増加するようになるため、これを配合してなる樹脂組成物を成形する際の流動性が低下し、成形性が低下することがある。また、1000未満ではエポキシ樹脂との硬化反応速度が遅く硬化が不十分な成形品となり耐熱性が低下することがある。重量平均分子量は、特に2000〜8000であることが好ましい。これにより封止材の成形性をより良好なものにすることができる。
なお、重量平均分子量は東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件でGPC測定し、標準ポリスチレンにより換算して求めた。
【0015】
次に、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を製造する方法について説明する。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、酸触媒の存在下、一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類、一般式[3]又は[4]で表されるフェノール類、及び一般式[5]又は[6]で表される基を含む化合物を反応させることにより得ることができる。
一般式[2]で示されるカルボキシル基含有フェノール類と、一般式[3]又は[4]で示されるフェノール類とのモル比(カルボキシル基含有フェノール類/フェノール類)は、0.1〜1.0となるようにすることが好ましい。
また、前記2種類のフェノール類と、一般式[5]又は[6]で表される基を含む化合物との反応モル比(一般式[5]又は[6]で表される基を含む化合物/2種類のフェノール類の合計)は、0.1〜0.8となるようにすることが好ましい。
これらの各成分を反応させる順序は特に限定されない。すなわち、一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類と一般式[5]又は[6]で表される基を含む化合物との反応、及び、一般式[3]又は[4]で示されるフェノール類と一般式[5]又は[6]で表される基を含む化合物との反応は、逐次行ってもよいし、一括して行うこともできる。本発明のエポキシ樹脂硬化物を効率よく得るためには一括反応で行うことが好ましい。
【0016】
反応時に使用される酸触媒としては特に限定されないが、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、パラトルエンスルホン酸、蓚酸等の有機酸や、硫酸、ジエチル硫酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸触媒は単独または2種以上を組み合わせて使用しても良い。これらの酸触媒の中でパラトルエンスルホン酸、ジエチル硫酸が好ましい。
【0017】
反応は溶媒を使用せずに行うこともできるが、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては反応に不活性な種々の有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。反応温度、時間は反応成分の種類に応じて選択できるが、各々100〜200℃、1〜10時間程度である。反応終了後、未反応モノマーを減圧蒸留等により適宜除去することが好ましい。また必要により不純物を水洗等により除去してもよい。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類を用いる。これにより、共重合体骨格中にカルボキシル基が導入され、エポキシ樹脂硬化剤として用いた場合にエポキシ樹脂との硬化反応が速やかに進行するとともに、硬化物の架橋構造が3次元網目構造となりやすい。これらの効果により、従来のエポキシ樹脂硬化剤と比較して、エポキシ樹脂との硬化反応においてより良好な硬化性を示し、かつ成形時の成形性、及び硬化物の耐熱性に優れ、半導体封止材用として好適に使用できるものである。
【0019】
なお、本発明のエポキシ樹脂硬化剤は単独で用いても良いが、他のエポキシ樹脂硬化剤の1種以上と併せて用いてもよい。好ましくは用いる硬化剤全体に対して、本発明の硬化剤が60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上使用することにより、本発明の硬化剤の特長であるエポキシ樹脂との硬化性、成形時の成形性、及び硬化物の耐熱性が効果的に発現する。他のエポキシ樹脂硬化剤としては例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・ジシクロペンタジエン樹脂、フェノール・キシリレン化合物樹脂、フェノール・アルキルベンゼン樹脂等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、添加割合は所望の要求に合わせて適宜設定することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、製造例、実施例及び比較例に記載されている「部」及び「%」は、すべて「重量部」及び「重量%」を示す。
【0021】
1.エポキシ樹脂硬化剤の製造
(1)実施例1
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器にフェノール1000部、サリチル酸440部(フェノールのモル数に対して0.3の割合)を仕込み、内温が100℃以下となるように加熱しサリチル酸をフェノールに溶解させ均一液とした。ジエチル硫酸4部を仕込みパラキシリレングリコールジメチルエーテル1148部(フェノールとサリチル酸のモル数合計に対して0.5の割合)を1時間かけて添加した。その後常圧脱水しながら徐々に昇温し、温度が150℃に達してから120分間常圧脱水反応を行った。次に系内を650mmHgの真空下で脱水させながら、系内の温度が230℃に昇温したところで反応器より取り出して、軟化点が88℃、フェノール性水酸基当量が292g/eqの樹脂1200部を得た。フェノール性水酸基当量値より(m/n)を算出すると、(m/n)=0.4であった。また、GPC測定による重量平均分子量は4120であった。
【0022】
(2)実施例2
実施例1と同様の反応装置に1−ナフトール1000部、サリチル酸192部(1−ナフトールのモル数に対して0.2の割合)、及び溶媒としてメチルイソブチルケトン700部を仕込み、内温が100℃以下となるように加熱し1−ナフトールとサリチル酸をメチルイソブチルケトンに溶解させ均一液とした。ジエチル硫酸4部を仕込みパラキシリレングリコールジメチルエーテル553部(1−ナフトールとサリチル酸のモル数合計に対して0.4の割合)を1時間かけて添加した。その後実施例1と同様の方法で反応させたところ、軟化点が94℃、フェノール性水酸基当量が318g/eqの樹脂840部を得た。フェノール性水酸基当量値より(m/n)を算出すると、(m/n)=0.3であった。また、GPC測定による重量平均分子量は4680であった。
【0023】
(3)実施例3
実施例1と同様の反応装置にフェノール1000部、サリチル酸440部(フェノールのモル数に対して0.3の割合)を仕込み、内温が100℃以下となるように加熱しサリチル酸をフェノールに溶解させ均一液とした。ジエチル硫酸4部を仕込み4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル1673部(フェノールとサリチル酸のモル数合計に対して0.5の割合)を1時間かけて添加した。その後常圧脱水しながら徐々に昇温し、温度が150℃に達してから120分間常圧脱水反応を行った。その後実施例1と同様の方法で反応させたところ、軟化点が82℃、フェノール性水酸基当量が430g/eqの樹脂1340部を得た。フェノール性水酸基当量値より(m/n)を算出すると、(m/n)=0.5であった。また、GPC測定による重量平均分子量は5200であった。
【0024】
(4)実施例4
実施例1と同様の反応装置に1−ナフトール1000部、サリチル酸192部(1−ナフトールのモル数に対して0.2の割合)、及び溶媒としてメチルイソブチルケトン700部を仕込み、内温が100℃以下となるように加熱し1−ナフトールとサリチル酸をメチルイソブチルケトンに溶解させ均一液とした。ジエチル硫酸4部を仕込み4,4’−ジ(メトキシメチル)ビフェニル807部(1−ナフトールとサリチル酸のモル数合計に対して0.4の割合)を1時間かけて添加した。その後実施例1と同様の方法で反応させたところ、軟化点が90℃、フェノール性水酸基当量が417g/eqの樹脂1440部を得た。フェノール性水酸基当量値より(m/n)を算出すると(m/n)=0.3であった。また、GPC測定による重量平均分子量は5810であった。
【0025】
(5)比較例1
実施例1と同様の反応装置にフェノール1000部、パラキシリレングリコールジメチルエーテル883部(フェノールのモル数に対して0.5)、ジエチル硫酸3部を仕込み、常圧脱水しながら徐々に昇温し、温度が150℃に達してから120分間常圧脱水反応を行った。その後実施例1と同様の方法で反応させたところ、軟化点が85℃の樹脂870部を得た。GPC測定による重量平均分子量は3860であった。
【0026】
(6)比較例2
実施例1と同様の反応装置に1−ナフトール1000部、パラキシリレングリコールジメチルエーテル576部(1−ナフトールのモル数に対して0.5)、ジエチル硫酸3部を仕込み、内温が100℃以下で1−ナフトールをパラキシリレングリコールジメチルエーテルに溶解させ均一液とした。その後常圧脱水しながら徐々に昇温し、温度が150℃に達してから120分間常圧脱水反応を行った。その後実施例1と同様の方法で反応させたところ、軟化点が95℃の樹脂720部を得た。GPC測定による重量平均分子量は5170であった。
【0027】
2.エポキシ樹脂硬化剤の評価(実施例5〜8,比較例3〜4)
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた樹脂と、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製・EOCN−1020−65)、トリフェニルホスフィン、溶融シリカ(電気化学製・FB−74X)及びステアリン酸を表1の配合量(重量部)で混合し、90℃の加熱ロールで15分間混練して成形材料を得た。この成形材料を175℃、100kg/cm2 で、成形時間を3分間、5分間、10分間の3水準でプレス成形し、大きさ80×10×4mmの成形品を得た。
この成形品について、プレス成形後の金型離型性と成形性を確認した。また、10分間プレス成形したものについて、さらに180℃、6時間の条件で後硬化して硬化成形物とし、これについてガラス転位温度、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
3.測定、及び評価方法
(1)金型離型性と成形性:成形後の金型離型性と成形性を目視により評価した。
◎:成形物外観不良なく、離型性良好
○:成形物外観不良なく、離型性は実用上問題なし
△:成形物外観不良わずかにあり
×:成形物外観不良あり、金型に一部付着
(2)ガラス転移温度:熱機械分析装置(TMA)を用いて測定した。
(3)曲げ強度及び曲げ弾性率:JIS K6911に従い測定した。
【0030】
実施例1〜4は、カルボキシル基含有フェノール類を用いて製造した本発明のエポキシ樹脂硬化剤であり、比較例1〜2はカルボキシル基含有フェノール類を用いないで製造した樹脂である。実施例5〜8及び比較例3〜4において、これらの樹脂をエポキシ樹脂硬化剤として用いてエポキシ樹脂硬化成形物を評価した結果、実施例5〜8はいずれも比較例と比べて、短い成形時間でも良好な金型離型性と成形性を示し、曲げ弾性率を維持したまま、曲げ強度が向上しており、耐熱性に優れたものであった。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、カルボキシル基含有フェノール類が共重合体内に所定の比率で含有されていることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤である。本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化成形物は、金型離型性、成形性、機械的強度、耐熱性に優れたものであり、従来と比較して硬化性を向上させることができたものである。このことから本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、高性能な電子部品のエポキシ樹脂封止材料に特に好適である。さらにはエポキシ樹脂粉体塗料、及びエポキシ樹脂積層板用などに好適であり、電子部品の性能向上に寄与するものと期待される。
Claims (4)
- 下記一般式[1a]及び[1b]で表される構造単位が共重合してなり、一般式[1a]で表される構造単位数(m)と一般式[1b]で表される構造単位数(n)との比率(m/n)が0.1〜1.0であり、GPC測定による重量平均分子量が1000〜10000であることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤。
Xは、一般式[2]で表されるカルボキシル基含有フェノール類から選ばれる1種類以上、
Aは、一般式[3]又は[4]で表されるフェノール類から選ばれる1種類以上、
Bは、一般式[5]又は[6]で表される基から選ばれる1種類以上、である。
一般式[2]中、
a、bは各々1〜3の整数を示し、かつ、(a+b)は2〜4の整数である。
一般式[3]中、
R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、c、dは各々1〜3の整数を示し、かつ、(c+d)は2〜4の整数である。
一般式[4]中、
eは1又は2である。
一般式[5]中、
R2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、fは1〜4の整数を示す。
一般式[6]中、
R3、R4は各々水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる1種類以上であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、
g、hは各々1〜4の整数を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。 - 前記一般式[1a]において、Xがサリチル酸である請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
- 前記一般式[1b]において、Aがフェノール及び/又は1−ナフトールである請求項1または2に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
- 前記一般式[1a]及び[1b]において、Bがパラキシリレン基及び/又は4,4’−ジメチレンビフェニル基である請求項1ないし3のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
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