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JP3887757B2 - シアノベンゼンスルホニルクロリドの製造方法 - Google Patents

シアノベンゼンスルホニルクロリドの製造方法 Download PDF

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JP3887757B2
JP3887757B2 JP28976594A JP28976594A JP3887757B2 JP 3887757 B2 JP3887757 B2 JP 3887757B2 JP 28976594 A JP28976594 A JP 28976594A JP 28976594 A JP28976594 A JP 28976594A JP 3887757 B2 JP3887757 B2 JP 3887757B2
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仁志 狩野
博 五田
純一 坂本
英明 西口
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、シアノベンゼンスルホニルクロリドの新規な製造方法に関する。シアノベンゼンスルホニルクロリドは、医薬中間体などの原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、シアノベンゼンスルホニルクロリドの製造方法に関しては、下記に挙げる方法などが知られている。
【0003】
▲1▼ 4−アミノスルホニル安息香酸を5塩化リンと反応させる方法
【化3】
Figure 0003887757
【0004】
▲2▼ 4−シアノベンゼンリチウムを二酸化硫黄と反応させ、引き続き塩化スルフリルと反応させる方法
【化4】
Figure 0003887757
【0005】
しかしながら、これらの方法は、次のような欠点を有している。すなわち、▲1▼の方法は、原料として用いる4−アミノスルホニル安息香酸の安価な製造方法に問題がある上、公害面で問題のある5塩化リンを用いなければならない。▲2▼の方法は、高価で取り扱いにくいリチウム化合物を用いることから、工業的に有利な方法とは言い難い。このように、公知のいずれの製造方法も、工業的に満足できるものではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記欠点を排除して、工業的に安価にかつ容易にシアノベンゼンスルホニルクロリドを製造する方法を提供すべく鋭意検討した。
【0007】
その結果、下記のように、一般式(1)で表わされるシアノチオフェノール、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物を、水の存在下で塩素化剤と反応させることにより、一般式(3)で表わされるシアノベンゼンスルホニルクロリドが容易に得られることを見出した。
【化5】
Figure 0003887757
【0008】
本発明において、塩素化剤としては、塩素、塩化スルフリル、オキシ塩化リン、5塩化リン等を使用することができる。工業的には、経済的見地から、塩素が好ましく用いられる。
【0009】
塩素化剤の使用量は、原料として用いるシアノチオフェノール、ジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物の組成により異なり、一概には言えないが、シアノチオフェノール、ジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物に対し、2〜8倍モル、好ましくは3〜7倍モルの範囲が選択される。
【0010】
この工程における水の添加量は、特に限定されるものではないが、シアノチオフェノール、ジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物に対し、0.3〜20倍重量であると好結果が得られる。
【0011】
反応温度は、通常、約−20〜約50℃、好ましくは約−5〜約30℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり収率低下の原因となる。
【0012】
溶媒は、特に必要ではなく、水溶媒の反応が可能であるが、本反応において不活性である溶媒を使用することができる。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、DMF、DMSO等の極性溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類を挙げることができる。溶媒を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、シアノチオフェノール、ジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物に対して0.1〜10倍重量である。
【0013】
反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜30時間の範囲である。
【0014】
このようにして生成した一般式(3)で表わされるシアノベンゼンスルホニルクロリドは、常法に従い、晶析等により単離することができる。
【0015】
本発明で得られるシアノベンゼンスルホニルクロリドとしては、2−シアノベンゼンスルホニルクロリド、3−シアノベンゼンスルホニルクロリド、4−シアノベンゼンスルホニルクロリドを挙げることができる。
【0016】
本発明で用いられる一般式(1)で表わされるシアノチオフェノール、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物は、特に限定されるものではない。例えば、下記のように、メチルチオベンゾニトリルを原料として容易に製造することができる。すなわち、工業的に容易に入手できる一般式(4)で表わされるメチルチオベンゾニトリルをハロゲン化して、一般式(5)で表わされるハロゲン化メチルチオベンゾニトリルとなし、さらに加水分解して得ることができる。
【化6】
Figure 0003887757
【0017】
上記の一般式(5)で表わされるハロゲン化メチルチオベンゾニトリルのXはCl、BrまたはIを、mは1、2または3を表わすが、XはClが好ましい。また、加水分解を円滑に進行させるため、mは2、3またはそれらの混合物が好ましい。
【0018】
ハロゲン化剤としては、塩素、塩化スルフリル、臭素、臭化スルフリル等を使用することができるが、経済的見地からは、塩素が好ましい。
【0019】
ハロゲン化剤の使用量は、一般式(4)で表わされるメチルチオベンゾニトリルに対して1.5〜7倍モル、好ましくは2〜5倍モルである。
【0020】
溶媒は、特に限定されるものではなく、無溶媒反応も可能であるが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類を挙げることができる。溶媒を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(4)で表わされるメチルチオベンゾニトリルに対して0.1〜10倍重量である。
【0021】
ハロゲン化の反応温度は、通常、約−20〜約100℃、好ましくは約−5〜約60℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり収率低下の原因となる。
【0022】
このようにして生成したハロゲン化メチルチオベンゾニトリルを、単離することも可能であるが、単離することなく反応液のまま、加水分解工程に用いることができる。
【0023】
加水分解は、単に水を加え、加熱することにより進行し、目的とする一般式(1)で表わされるシアノチオフェノールに導くことができる。この加水分解反応は、酸の存在下に行なうと、円滑に反応が進行する。酸としては、特に限定されるものではないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸が経済的に用いられる。酸の使用量は、通常、一般式(5)で表わされるハロゲン化メチルチオベンゾニトリルに対し、0.01〜1倍重量で充分である。
【0024】
この際、アルコール、特に低級アルコールを添加すると、加水分解反応がさらに円滑に進行する。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等を挙げることができる。アルコールの使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(5)で表わされるハロゲン化メチルチオベンゾニトリルに対して0.5〜10倍重量である。
【0025】
溶媒は、特に限定されるものではなく、無溶媒反応も可能であるが、例えば、ハロゲン化に用いた溶媒をそのまま使用することができる。溶媒を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(5)で表わされるハロゲン化メチルチオベンゾニトリルに対して0.1〜10倍重量である。
【0026】
反応温度は、通常、約20〜100℃、好ましくは約50〜90℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり収率低下の原因となる。反応時間は、通常、約1〜10時間の範囲である。
【0027】
このようにして生成したシアノチオフェノールは、常法により単離することができる。
【0028】
なお、加水分解工程を酸素存在下で行なうと、加水分解により生成したシアノチオフェノールの一部が酸化されて、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドも生成する。
【0029】
また、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドを得る場合、上述した加水分解後に酸化工程を加えることにより、容易に目的を達する。すなわち、加水分解後に酸化剤を加えればよい。
【0030】
酸化剤は、特に特殊なものは必要ではなく、通常知られているものが使用できる。酸化法としては、例えば、酸素酸化、空気酸化、塩素、臭素等によるハロゲン酸化、過酸化水素、過酢酸等の過酸化物による酸化、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等の次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩による酸化等を挙げることができる。
【0031】
このようにして生成したジシアノジフェニルジスルフィドは、晶析等により容易に単離することができる。
【0032】
以上のようにして得られる一般式(1)で表わされるシアノチオフェノールとしては、2−シアノチオフェノール、3−シアノチオフェノール、4−シアノチオフェノールが、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドとしては、3,3′−ジシアノジフェニルジスルフィド、2,2′−ジシアノジフェニルジスルフィド、4,4′−ジシアノジフェニルジスルフィドが挙げられる。これらの化合物は、特に単離することなく、反応液のまま、本発明の出発原料として使用することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に何等限定されるものではない。
【0034】
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた500ml四つ口フラスコに、4−シアノチオフェノール27.0g(0.2モル)、1,2−ジクロロエタン70gおよび水30gを仕込み、5℃で4時間かけて塩素99.4g(1.4モル)を吹き込んだ。反応終了後、有機層を分液し、溶媒の1,2−ジクロロエタンを留去した。得られた粗結晶を四塩化炭素により再結晶し、4−シアノベンゼンスルホニルクロリド37.4gを得た。4−シアノチオフェノールに対する収率は、92.8%であった。
【0035】
実施例2
出発原料を4,4′−ジシアノジフェニルジスルフィド26.8g(0.1モル)に変える以外は、実施例1と同様の操作を行ない、4−シアノベンゼンスルホニルクロリド37.8gを得た。4,4′−ジシアノジフェニルジスルフィドに対する収率は、93.8%であった。
【0036】
実施例3
撹拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた500ml四つ口フラスコに、4−メチルチオベンゾニトリル29.8g(0.2モル)およびモノクロロベンゼン100gを仕込み、25℃で4時間かけて塩素42.6g(0.6モル)を吹き込んだ。さらに、溶媒のモノクロロベンゼンを留去し、95%メタノール水溶液50gを加え、還流下で2時間撹拌して加水分解を終了した。なお、この際、加水分解により生成した4−シアノチオフェノールの一部が空気酸化されて、4,4′−ジシアノジフェニルジスルフィドも生成した。その後、水を加え、析出した結晶を濾過し、4−シアノチオフェノールと4,4′−ジシアノジフェニルジスルフィドの8:2の混合物23.8gを得た。4−メチルチオベンゾニトリルに対する収率は、88.3%であった。
【0037】
さらに、撹拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた500ml四つ口フラスコに、この混合物23.8g、1,2−ジクロロエタン70gおよび水30gを仕込み、5℃で4時間かけて塩素85.2g(1.2モル)を吹き込んだ。反応終了後、有機層を分液し、溶媒の1,2−ジクロロエタンを留去した。得られた粗結晶を四塩化炭素により再結晶し、4−シアノベンゼンスルホニルクロリド32.7gを得た。4−メチルチオベンゾニトリルに対する収率は、81.2%であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の方法は、医薬中間体等として有用なシアノベンゼンスルホニルクロリドの新規な製造方法を提供するものである。本発明の方法を採用すると、簡便なプロセスで、高収率で目的物が得られる。したがって、経済的、工業的価値が極めて大きい。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で表わされるシアノチオフェノール、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物を、水の存在下で塩素化剤と反応させる一般式(3)で表わされるシアノベンゼンスルホニルクロリドの製造方法であって、一般式(1)で表わされるシアノチオフェノール、一般式(2)で表わされるジシアノジフェニルジスルフィドまたはそれらの混合物が、一般式(4)で表わされるメチルチオベンゾニトリルをハロゲン化し、さらに加水分解して得られたものであることを特徴とするシアノベンゼンスルホニルクロリドの製造方法
    Figure 0003887757
  2. 塩素化剤が塩素である請求項1に記載の方法。
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