JP3877703B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を直接燃料電池に供給し、電力を発生させる燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、電極反応によって燃料(水素など)が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーとして取り出すものであり、反応生成物は原理的には水のみであるため、環境への悪影響が殆どない発電システムである。従来では、燃料として原料ガスを水素リッチガスまで改質したものが用いられていたが、かかる場合には、発電システムに改質装置を設けなければ成らず、装置が大型化する問題があった。そこで、装置の大型化を解消するため、液体燃料を直接燃料電池に供給し、電力を発生させる燃料電池が開発されている。
【0003】
以下、図4を参照してこの種の従来の燃料電池について説明する。液体を燃料とする直接液体燃料形燃料電池は、例えば固体高分子の陽イオン交換体を電解質膜102とし、当該電解質膜102の両側をアノード101とカソード103により挟持し、セルを構成している。
【0004】
両電極101、103は、それぞれ白金系の触媒が担持されたカーボンから成る触媒層104、105と、撥水処理を施したカーボンペーパーにカーボン粒子が充填されたガス拡散層106、107とが積層された構造とされている。
【0005】
以上の構成で、アノード101にはメタノール、DME(ジメチルエーテル)などの有機液体燃料を供給し、カソード103には酸化剤として空気を供給する。アノード101では有機燃料の電気化学的な酸化反応が生じ、プロトン(H+)が生成する。当該プロトンは、電解質膜102中を移動してカソード103に到達し、係る際に電子が外部回路に取り出され、電気エネルギーとして利用される。他方、カソード103では電解質膜102を介して移動してきたプロトンと空気中の酸素が反応し水が生成される。
【0006】
一般に、電解質膜102は、陽イオン交換体であるパーフルオロスルホン酸系高分子膜などが用いられる。当該電解質膜102がプロトン伝導性を持つためには、電解質膜102が十分に含水している必要がある。そこで、通常、プロトン伝導に必要な水分は液体燃料中の水分とカソード103側の反応生成水によって補給されている。
【0007】
しかしながら、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質膜では、アノード101に供給した燃料が未反応のまま電解質膜102を透過し、カソード103に移動するクロスオーバーと呼ばれる現象が生じる。このクロスオーバーした燃料はカソード103上で酸化されるため、電圧の低下を招き、電池の出力低下の原因となる。そのため、かかるクロスオーバーを消滅、若しくは、できる限り低減することが望まれている。
【0008】
そこで、上述した如きクロスオーバーの発生を抑制するため、従来では、電解質膜を無機膜と有機膜の2層構造にすることにより有機燃料であるメタノールのクロスオーバーを抑制するものがある(特許文献1を参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−106202号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した如き特許文献1に記載の燃料電池では、メタノール透過防止手段により、ある程度のメタノール透過抑制は期待できるが、大幅なメタノール透過量の低減を実現することは困難であった。また、かかる場合では、プロトン伝導性が低下する可能性があり、電力発生効率の低下を招く問題があった。
【0011】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、燃料電池のセルユニット内におけるクロスオーバーを低減すると共に、プロトン伝導性の向上を図ることができる燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池は、電解質膜の両面にアノード及びカソードをそれぞれ構成すると共に、アノードに液体燃料を供給し、カソードに酸化剤ガスを供給して液体燃料と酸化剤ガスとを反応させ、電力を発生させるものであって、アノードは、電解質膜側に複数の触媒層を備え、これら触媒層間には、プロトン伝導膜を介在させると共に、触媒層間を電気的に導通させるための導電体を設け、最外層を構成する最外側触媒層以外の触媒層及びプロトン伝導膜の周縁部は、液体非透過性で、且つ、気体透過性の被覆部材により囲繞することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明の燃料電池は、上記各発明において、各触媒層は、陽イオン交換体を含有していると共に、最外側触媒層以外の触媒層は、当該最外側触媒層と同等以上の割合の陽イオン交換体を含有していることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明の燃料電池は、上記各発明において、プロトン伝導膜は、各触媒層以上の大きさを有していることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、電解質膜の両面にアノード及びカソードをそれぞれ構成すると共に、アノードに液体燃料を供給し、カソードに酸化剤ガスを供給して液体燃料と酸化剤ガスとを反応させ、電力を発生させる燃料電池において、アノードは、電解質膜側に複数の触媒層を備え、これら触媒層間には、プロトン伝導膜を介在させたので、アノードに供給された液体燃料を、各触媒層にて段階的に酸化させることができ、最終的に液体燃料が電解質膜を透過してカソードに到達する、所謂クロスオーバーを著しく改善することができるようになる。これにより、クロスオーバーによりカソードにおいて液体燃料が酸化され、カソードの電位が低下する不都合を解消することができるようになる。
【0016】
また、アノードの各触媒層間には、プロトン伝導膜を介在させているため、当該プロトン伝導膜により、液体燃料供給側に位置する触媒層において生成された水と共に、電解質膜側に位置する触媒層へ透過する液体燃料の量を制限することができ、効率的に各触媒層において液体燃料を酸化させ、プロトンを生成することができるようになる。これにより、液体燃料の酸化によるプロトンの生成量が増加するため、効率的に液体燃料を発電に利用することができるようになる。
【0017】
特に、各触媒層間を電気的に導通させるための導電体を設けたので、最外側触媒層以外の触媒層においても、効果的に液体燃料の酸化反応を生起することができるようになる。これにより、電位の上昇を図ることができるようになる。
【0018】
また、最外層を構成する最外側触媒層以外の触媒層及びプロトン伝導膜の周縁部は、液体非透過性で、且つ、気体透過性の被覆部材により囲繞されているので、最外側触媒層以外の触媒層及びプロトン伝導膜内へ外部から液体燃料が浸入する不都合を回避することができるようになる。被覆部材は、気体透過性を有することから、触媒層において生成された二酸化炭素などの気体を効率的に外部に排出することができるようになる。
【0019】
請求項2の発明によれば、上記発明において、各触媒層は、陽イオン交換体を含有していると共に、最外側触媒層以外の触媒層は、当該最外側触媒層と同等以上の割合の陽イオン交換体を含有しているので、最外側触媒層において生成されたプロトンをも容易に透過させることができるようになり、効率的に各触媒層において液体燃料の酸化及びプロトンの透過を行うことができるようになる。
【0020】
請求項3の発明の如くプロトン伝導膜は、各触媒層以上の大きさを有していることにより、当該プロトン伝導膜を透過することなく各触媒層内の液体燃料が移動することを抑制することができ、上記クロスオーバーの発生を抑制することができるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。本実施例における燃料電池1は、メタノールやDME(ジメチルエーテル)などの液体有機燃料を図示しない燃料供給源から直接アノード2に供給し、空気中に含まれる酸素(酸化剤ガス)をカソード3に供給することにより、電力を発生させるダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)である。本実施例における燃料電池1の構成について図1を参照して説明する。図1は、燃料電池1の構成を示す要部組立図である。
【0022】
燃料電池1は、電解質膜7の両面にアノード(燃料極)2とカソード(空気極)3とが配されたセル10と、該セル10を挟持する一対のリブ付きセパレータ8、9などから構成される。
【0023】
これらセパレータ8、9は、緻密なカーボン板を加工した導電性を有する基板により構成されている。アノード側のセパレータ8には、複数本の溝によりアノードチャネル(燃料流路)11が形成されていると共に、カソード側のセパレータ9には、同じく複数本の溝によりカソードチャネル(空気流路)12が形成されている。
【0024】
そして、電解質膜7の外周部と、セパレータ8、9の外周部との間に、シール材としてのガスケット13、14を介在させた後、上記セル10をセパレータ8、9で両側から挟み付けることでセルユニット5を構成する。更に、係るセルユニット5を複数積層し、その積層されたセルユニット5の両端を図示しないエンドプレートにて挟持することで燃料電池1としている。
【0025】
また、上記セパレータ8、9の角隅部には、液体燃料又は反応ガスの供給・排出用のマニホールドを構成する貫通孔16、17、18、19が形成されている。このうち貫通孔17、19はセパレータ8のアノードチャネル11と連通し、貫通孔16、18はセパレータ9のカソードチャネル12と連通している。
【0026】
本実施例において、前記電解質膜7は、例えば、陽イオン交換体であるパーフルオロスルホン酸系高分子膜(例えば、商品名Nafion)により構成されており、電解質膜7の厚さは、例えば150μm程度であるものとする。また、電解質膜7は、前記アノード2及びカソード3よりも所定寸法分だけ、即ち、電池1自体の小型化を図る上で不都合を生じない程度だけ、大きく形成されているものとする。
【0027】
尚、本実施例において、電解質膜7は、陽イオン交換体として、Nafion(商品名)を使用しているが、これ以外にも、スルホン酸基、水酸基などを付与した含フッ素ポリマーや炭化水素系ポリマーや、ポリベンゾイミダゾールを始めとする塩基性官能基を有するポリマーやそれらの複合体を使用しても良いものとする。
【0028】
一方、アノード2は、図2に示す如く外方から電解質膜7側に向かって順にガス拡散層20と、第1の触媒層(最外側触媒層)21と、プロトン伝導膜22と、第2の触媒層23とが積層された構造とされている。ガス拡散層20は、撥水処理を施したカーボンペーパーにカーボン粒子が充填された層である。第1の触媒層21及び第2の触媒層23は、それぞれ白金系の触媒が担持されたカーボン、例えば白金−ルテニウム黒と、陽イオン交換体として例えばNafion(商品名)とを混合し、例えばスクリーン印刷法によって形成される層である。尚、各触媒層21、23は、それぞれ陽イオン交換体が5wt%乃至50wt%含有されているものとし、特に、第2の触媒層23には、第1の触媒層21に含有される陽イオン交換体と同等以上の割合の陽イオン交換体が含有されているものとする。
【0029】
プロトン伝導膜22は、プロトン伝導性を有する例えばNafion(商品名)により構成されており、当該膜22の厚さは、10μm乃至200μm、本実施例では、125μm程度であるものとする。また、プロトン伝導膜22は、各触媒層21、23と同等又は各触媒層21、23よりも大きく形成されているものとする。
【0030】
そして、第1の触媒層(最外層を構成する最外側触媒層)21以外の触媒層、即ち第2の触媒層23と、プロトン伝導膜22の周縁部は、図3に示す如く被覆部材24により囲繞されている。当該被覆部材24は、液体非透過性を持たせるため、撥水性材料により構成されていると共に、第2の触媒層23において生成された二酸化炭素などの気体を外部に放出するため、気体のみを透過する複数の図示しない透孔が形成されているものとする。尚、本実施例では、透孔としているが、被覆部材24自体を例えば、多孔質PTFE(例えば、ゴアテックス(商品名))や、超撥水性多孔質膜(例えば、フッ化表面処理を施した二フッ化エチレン)等の液体非透過性、且つ、気体透過性の材料にて構成しても良く、又は、被覆部材24の一部を生成ガス透過膜により構成しても良いものとする。
【0031】
更に、図3に示す如くこの被覆部材24の一部は、切り欠かれて形成されており、当該切り欠かれた部分には、第1の触媒層21と第2の触媒層23とを電気的に導通させるための導電ペースト25(導電体)が設けられている。
【0032】
他方、カソード3は、図2に示す如く外方から電解質膜7側に向かって順にガス拡散層26と、触媒層27とが積層された構造とされている。ガス拡散層26は、アノード2のガス拡散層20と同様に、撥水処理を施したカーボンペーパーにカーボン粒子が充填された層である。触媒層27は、アノード2の各触媒層21、23と同様に、白金系の触媒が担持されたカーボン、例えば白金−ルテニウム黒と、陽イオン交換体として例えばNafion(商品名)とを混合し、例えばスクリーン印刷法によって形成される層である。
【0033】
そして、セル10は、上述した如き各電極2、3にて電解質膜7を挟持し、更に、セパレータ8、9によりこれら電極2、3を挟持した状態で、ホットプレスにより密着成形することにより構成される。
【0034】
以上の構成により、燃料電池1は、セルユニット5の液体燃料供給用のマニホールドに液体燃料が供給され、酸化剤ガス供給用のマニホールドに空気が供給される。そして、液体燃料供給用のマニホールドに供給された液体燃料は、各アノードチャネル11に分配されアノード2に供給される。他方、酸化剤ガス供給用のマニホールドに供給された空気は、各カソードチャネル12からカソード3に供給される。そして、余剰のガスは、酸化剤ガス排出用のマニホールドから排出される。
【0035】
ここで、アノード2に供給された液体燃料は、先ず、ガス拡散層20において略均等に液体燃料が拡散された後、第1の触媒層21に浸透する。ここで、液体燃料は、第1の触媒層21の触媒により液体燃料を酸化させるアノード反応を生じる(化学式(1))。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- ・・・・(1)
【0036】
しかし、この第1の触媒層21では、従来の場合と同様にガス拡散層20から浸透してきた液体燃料の全てを酸化させることができない。本発明では、この第1の触媒層21の電解質膜7側にプロトン伝導膜22が設けられていることから、第1の触媒層21において生成された水と共に液体燃料がプロトン伝導膜22に移動する。尚、このとき、第1の触媒層21において生成されたプロトンもプロトン伝導膜22に移動する。ここで、プロトン伝導膜22は、第1の触媒層21において生成された水と共に移動する量の液体燃料しか浸透しないため、第2の触媒層23に透過する液体燃料の量を制限することができる。
【0037】
そして、プロトン伝導膜22を透過した液体燃料及びプロトンは、第2の触媒層23に移動する。係る第2の触媒層23においても、上記第1の触媒層21と同様にアノード反応が生じ、透過量が制限された液体燃料を酸化する。そして、液体燃料の酸化により生成されたプロトンと共に第1の触媒層21から移動したプロトンは電解質膜7に到達する。
【0038】
尚、かかる場合において、各触媒層21、23には、陽イオン交換体が5wt%乃至50wt%含有されていることから、容易にプロトンを透過させることができる。また、第2の触媒層23に含有される陽イオン交換体の割合は、第1の触媒層21に含有される陽イオン交換体の割合と同等以上であるため、第1の触媒層21において生成されたプロトンをも容易に透過させることができるようになり、効率的に各触媒層21、23において液体燃料の酸化及びプロトンの透過を行うことができるようになる。
【0039】
そして、アノード2において生成されたプロトンは、カソード3に供給された空気に含有された酸素(酸化剤ガス)と電解質膜7において酸化還元反応を生ずることで電力が発生する(化学式(2))。尚、ここで発電される電力は、発電制御を司る制御手段として図示しない制御装置により制御されるものとする。
3/2O2+6H++6e-→3H2O ・・・・(2)
【0040】
尚、各触媒層21、23における酸化反応において生成された電子は、各触媒層21、23間を導電ペースト25により電気的に導通させているため、触媒層23においても、効果的に液体燃料の酸化反応を生起することができるようになる。これにより、電位の上昇を図ることができるようになる。
【0041】
以上の構成により、本実施例によれば、アノード2に供給された液体燃料を、各触媒層21、23にて段階的に酸化させることができ、最終的に液体燃料が電解質膜7を透過してカソード3に到達する、所謂クロスオーバーを著しく改善することができるようになる。そのため、クロスオーバーによりカソード3において液体燃料が酸化され、カソード3の電位が低下する不都合を解消することができるようになる。
【0042】
また、アノード2の各触媒層21、23間には、プロトン伝導膜22を介在させているため、当該プロトン伝導膜22により、ガス拡散層20側に位置する触媒層、即ち、第1の触媒層21において生成された水と共に、電解質膜7側に位置する触媒層、即ち第2の触媒層23へ透過する液体燃料の量を制限することができ、効率的に各触媒層21、23において液体燃料を酸化させ、プロトンを生成することができるようになる。これにより、液体燃料の酸化によるプロトンの生成量が増加するため、効率的に液体燃料を発電に利用することができるようになる。
【0043】
特に、プロトン伝導膜22は、厚さが10μm乃至200μm、本実施例では、125μm程度のものを使用しているため、効果的に触媒層21、23間を移動する液体燃料の透過量を調整することができ、より一層、液体燃料の酸化によるプロトンの生成量を増加させることができるようになる。
【0044】
また、本実施例において、第2の触媒層23とプロトン伝導膜22の周縁部は、被覆部材24にて囲繞されているため、第2の触媒層23及びプロトン伝導膜22内に外部から液体燃料が浸入する不都合を回避することができるようになる。これによっても、カソード3に移行する液体燃料の透過量を抑制することができ、クロスオーバーの低減を図ることができるようになる。
【0045】
更に、この被覆部材24は、上述した如く複数の透孔が形成されているため、第2の触媒層23内において生成された二酸化炭素などの気体を排出することができるようになる。
【0046】
尚、上述した如くプロトン伝導膜22は、各触媒層21、23以上の大きさとされているため、プロトン伝導膜22を透過することなく触媒層23内に液体燃料が移動することを抑制することができ、上記クロスオーバーの発生を抑制することができるようになる。
【0047】
尚、本実施例では、第2の触媒層23とガス拡散層20間に第1の触媒層21のみが設けられているが、これ以外にも第1の触媒層21とガス拡散層20間に、2以上の触媒層と、各触媒層間にプロトン伝導膜を設けてもよいものとする。これにより、より一層カソード3へ透過する液体燃料の量を低減することができると共に、プロトン生成量の増加を図ることができるため、より一層効率的に発電を行うことができるようになる。
【0048】
尚、上記各実施例では、液体燃料としてメタノールやDMEを挙げているが、例えばプロパノールやブタノールなどの他の液体燃料であっても同様の効果を発揮するものとする。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、電解質膜の両面にアノード及びカソードをそれぞれ構成すると共に、アノードに液体燃料を供給し、カソードに酸化剤ガスを供給して液体燃料と酸化剤ガスとを反応させ、電力を発生させる燃料電池において、アノードは、電解質膜側に複数の触媒層を備え、これら触媒層間には、プロトン伝導膜を介在させたので、アノードに供給された液体燃料を、各触媒層にて段階的に酸化させることができ、最終的に液体燃料が電解質膜を透過してカソードに到達する、所謂クロスオーバーを著しく改善することができるようになる。これにより、クロスオーバーによりカソードにおいて液体燃料が酸化され、カソードの電位が低下する不都合を解消することができるようになる。
【0050】
また、アノードの各触媒層間には、プロトン伝導膜を介在させているため、当該プロトン伝導膜により、液体燃料供給側に位置する触媒層において生成された水と共に、電解質膜側に位置する触媒層へ透過する液体燃料の量を制限することができ、効率的に各触媒層において液体燃料を酸化させ、プロトンを生成することができるようになる。これにより、液体燃料の酸化によるプロトンの生成量が増加するため、効率的に液体燃料を発電に利用することができるようになる。
【0051】
特に、各触媒層間を電気的に導通させるための導電体を設けたので、最外側触媒層以外の触媒層においても、効果的に液体燃料の酸化反応を生起することができるようになる。これにより、電位の上昇を図ることができるようになる。
【0052】
また、最外層を構成する最外側触媒層以外の触媒層及びプロトン伝導膜の周縁部は、液体非透過性で、且つ、気体透過性の被覆部材により囲繞されているので、最外側触媒層以外の触媒層及びプロトン伝導膜内へ外部から液体燃料が浸入する不都合を回避することができるようになる。被覆部材は、気体透過性を有することから、触媒層において生成された二酸化炭素などの気体を効率的に外部に排出することができるようになる。
【0053】
請求項2の発明によれば、上記発明において、各触媒層は、陽イオン交換体を含有していると共に、最外側触媒層以外の触媒層は、当該最外側触媒層と同等以上の割合の陽イオン交換体を含有しているので、最外側触媒層において生成されたプロトンをも容易に透過させることができるようになり、効率的に各触媒層において液体燃料の酸化及びプロトンの透過を行うことができるようになる。
【0054】
請求項3の発明の如くプロトン伝導膜は、各触媒層以上の大きさを有していることにより、当該プロトン伝導膜を透過することなく各触媒層内の液体燃料が移動することを抑制することができ、上記クロスオーバーの発生を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃料電池の構成を示す要部組立図である。
【図2】 図1のセルユニットの概略断面図である。
【図3】 図1のセルユニットの概略平面図である。
【図4】 従来のセルユニットの概略断面図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 アノード(燃料極)
3 カソード(空気極)
7 電解質膜
20、26 ガス拡散層
21、23、27 触媒層
22 プロトン伝導膜
24 被覆部材
25 導電ペースト(導電体)
Claims (3)
- 電解質膜の両面にアノード及びカソードをそれぞれ構成すると共に、前記アノードに液体燃料を供給し、前記カソードに酸化剤ガスを供給して前記液体燃料と前記酸化剤ガスとを反応させ、電力を発生させる燃料電池において、
前記アノードは、前記電解質膜側に複数の触媒層を備え、これら触媒層間には、プロトン伝導膜を介在させると共に、
前記触媒層間を電気的に導通させるための導電体を設け、
最外層を構成する最外側触媒層以外の前記触媒層及び前記プロトン伝導膜の周縁部は、液体非透過性で、且つ、気体透過性の被覆部材により囲繞することを特徴とする燃料電池。 - 前記各触媒層は、陽イオン交換体を含有していると共に、前記最外側触媒層以外の前記触媒層は、当該最外側触媒層と同等以上の割合の陽イオン交換体を含有していることを特徴とする請求項1の燃料電池。
- 前記プロトン伝導膜は、前記各触媒層以上の大きさを有していることを特徴とする請求項1又は請求項2の燃料電池。
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