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JP2009037915A - 燃料電池スタックシステムおよび電子機器 - Google Patents

燃料電池スタックシステムおよび電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易的な構成で燃料または電解液を各燃料電池セルに均一に供給することができる燃料電池スタックシステムおよびこれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】燃料電極10と酸素電極20との間に、電解液F1を流通させる電解液流路30を設け、燃料電極10の外側に、燃料F2を流通させる燃料流路40を設ける。電解液流路30および燃料流路40を、燃料電池セル111の全部について直列接続する。すなわち、一つの燃料電池セル111の燃料流路40または電解液流路30の出口から出た燃料F2または電解液F1は、接続流路14C,24Cを介して次の燃料電池セル111の燃料流路40または電解液流路30の入口に入るようにする。なお、電解液流路30および燃料流路40は、少なくとも一方を、燃料電池セル111の少なくとも一部について直列接続すればよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、メタノールを直接燃料電極に供給して反応させる直接型メタノール燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell )などの燃料電池スタックシステムおよびこれを用いた電子機器に関する。
電池の特性を示す指標として、エネルギー密度と出力密度とがある。エネルギー密度とは電池の単位質量あたりのエネルギー蓄積量であり、出力密度とは電池の単位質量あたりの出力量である。リチウムイオン二次電池は、比較的高いエネルギー密度と極めて高い出力密度という二つの特徴を併せもっており、完成度も高いことから、モバイル機器の電源として広く採用されている。しかし、近年、モバイル機器は高性能化にともなって消費電力が増加する傾向にあり、リチウムイオン二次電池にも更なるエネルギー密度および出力密度の向上が求められている。
その解決策として、正極および負極を構成する電極材料の変更、電極材料の塗布方法の改善、電極材料の封入方法の改善などが挙げられ、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる研究が行われている。しかし、実用化に向けてのハードルはまだ高い。また、現在のリチウムイオン二次電池に使用されている構成材料が変わらない限り、大幅なエネルギー密度の向上を期待することは難しい。
このため、リチウムイオン二次電池に代わる、よりエネルギー密度の高い電池の開発が急務とされており、燃料電池はその候補の一つとして有力視されている。
燃料電池は、アノード(燃料電極)とカソード(酸素電極)との間に電解質が配置された構成を有し、燃料電極には燃料、酸素電極には空気または酸素がそれぞれ供給される。この結果、燃料電極および酸素電極において燃料が酸素によって酸化される酸化還元反応が起こり、燃料がもつ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて取り出される。
既に、さまざまな種類の燃料電池が提案または試作され、一部は実用化されている。これらの燃料電池は、用いられる電解質によって、アルカリ電解質型燃料電池(AFC;Alkaline Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC;Phosphoric Acid Fuel Cell )、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Electrolyte Fuel Cell )および固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell )などに分類される。このうち、PEFCは、他の型式のものと比較して低い温度、例えば30℃〜130℃程度の温度で動作させることができる。
燃料電池の燃料としては、水素やメタノールなど、種々の可燃性物質を用いることができる。しかし、水素などの気体燃料は、貯蔵用のボンベなどが必要になるため、小型化には適していない。一方、メタノールなどの液体燃料は、貯蔵しやすい点で有利である。とりわけ、DMFCには、燃料から水素を取り出すための改質器を必要とせず、構成が簡素になり、小型化が容易であるという利点がある。
DMFCでは、燃料のメタノールは、通常、低濃度または高濃度の水溶液として、もしくは純メタノールの気体の状態で燃料電極に供給され、燃料電極の触媒層で二酸化炭素に酸化される。このとき生じたプロトンは、燃料電極と酸素電極とを隔てる電解質膜を通って酸素電極へ移動し、酸素電極で酸素と反応して水を生成する。燃料電極、酸素電極およびDMFC全体で起こる反応は、化1で表される。
(化1)
燃料電極:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2
DMFC全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2
DMFCの燃料であるメタノールのエネルギー密度は、理論的に4.8kW/Lであり、一般的なリチウムイオン二次電池のエネルギー密度の10倍以上である。すなわち、燃料としてメタノールを用いる燃料電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を凌ぐ可能性を多いに持っている。以上のことから、DMFCは、種々の燃料電池のなかで最も、モバイル機器や電気自動車などのエネルギー源として使用される可能性が高い。
しかしながら、DMFCには、理論電圧は1.23Vであるにもかかわらず、実際に発電しているときの出力電圧は約0.6V以下に低下してしまうという問題がある。出力電圧が低下する原因は、DMFCの内部抵抗によって生じる電圧降下であって、DMFCには、両電極で生じる反応に伴う抵抗、物質の移動に伴う抵抗、プロトンが電解質膜を移動する際に生じる抵抗、更に接触抵抗などの内部抵抗が存在している。メタノールの酸化から電気エネルギーとして実際に取り出すことのできるエネルギーは、発電時の出力電圧と、回路を流れる電気量との積で表されるから、発電時の出力電圧が低下すると、実際に取り出すことのできるエネルギーはその分小さくなってしまう。なお、メタノールの酸化によって回路に取り出せる電気量は、メタノールの全量が化1に従って燃料電極で酸化されるなら、DMFC内のメタノール量に比例する。
また、DMFCには、メタノールクロスオーバーの問題がある。メタノールクロスオーバーとは、燃料電極側と酸素電極側とのメタノールの濃度差によってメタノールが拡散移動する現象と、プロトンの移動にともなって引き起こされる水の移動によって、水和したメタノールが運搬される電気浸透現象との二つの機構によって、メタノールが燃料電極側から電解質膜を透過して酸素電極側に到達してしまう現象である。
メタノールクロスオーバーが生じると、透過したメタノールは酸素電極の触媒層で酸化される。酸素電極側でのメタノール酸化反応は、上述した燃料電極側での酸化反応と同じであるが、DMFCの出力電圧を低下させる原因になる。また、メタノールが燃料電極側で発電に使われず、酸素電極側で浪費されるので、回路に取り出せる電気量がその分減少してしまう。更に、酸素電極の触媒層は白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒ではなく白金(Pt)触媒であることから、触媒表面に一酸化炭素(CO)が吸着されやすく、触媒の被毒が生じるなどの不都合もある。
このようにDMFCには、内部抵抗とメタノールクロスオーバーとによって生じる電圧低下、およびメタノールクロスオーバーによる燃料の浪費という二つの問題があり、これらはDMFCの発電効率を低下させる原因になっている。そこで、DMFCの発電効率を高めるために、DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究・開発や、DMFCの運転条件を最適化する研究・開発が精力的に行われている。
DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究では、電解質膜および燃料電極側の触媒などに関するものが挙げられる。電解質膜については、現在ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂膜(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)が一般的に用いられているが、これよりも高いプロトン伝導率と高いメタノール透過阻止性能とを有するものとして、フッ素系高分子膜、炭化水素系高分子電解質膜またはハイドロゲルベース電解質膜などが検討されている。燃料電極側の触媒に関しては、現在一般的に用いられている白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒よりも高活性な触媒の研究開発が行われている。
このような燃料電池の構成材料の特性向上は、燃料電池の発電効率を向上させる手段として的確である。しかしながら、上述した二つの問題を打破するような最適な触媒が見つからないと同様、最適な電解質膜も見つかっていないのが現状である。
一方、特許文献1では、電解質膜に代えて、液状の電解質(電解液)を用いることが記載されている。電解液は、酸素電極と燃料電極との間に静止している場合もあるが、酸素電極と燃料電極との間に設けられた流路を流れ、外部に出たのち再び流路内に戻され、循環するようになっている場合もある。
特開昭59−191265号公報 特開2006−164872号公報
しかしながら、電解液を用いる燃料電池は、複数の燃料電池セルを縦方向または横方向に積層した燃料電池スタックシステムを考えた場合、従来の固体電解質膜を有するものよりも作製が困難であると共に、安定発電させることが難しいという問題があった。なぜなら、電解液を用いる燃料電池は、従来の固体電解質膜を用いるものとは異なり、燃料と、液状の電解質である電解液という二種の流動体の供給が必要であり、更に、燃料電池スタックシステムを構成した場合には、各燃料電池セルに二種の流動体がほぼ均一に供給されなければ安定発電が行えないからである。
通常、燃料電池スタックシステムに流動体を流す場合、全ての燃料電池セルに繋がっている主の流路に対して流動体を送り込み、そこから各燃料電池セルに供給するようにしている。つまり、流動体の供給は、並列接続で行われている。しかし、流動体を各燃料電池セルに均一に供給することは非常に困難であった。
まず、各燃料電池セルの流路の幅および高さを100%均一に作製することは困難である。それに加えて、発電時に発生する二酸化炭素などが泡として流動体内に放出されることにより、流動体の流れを乱してしまうことから、様々な要因で各燃料電池セルの圧力損失が変化し、流動体が流れやすい燃料電池セルと流れにくい燃料電池セルとが必然的に現れてしまう。このような状況を回避し、流動体が流れやすい環境をつくるため、流路の高さに余裕を持たせる工夫などもあるが、その方法では燃料電池スタックシステムの厚みが増えてしまい、大型化してしまうことは言うまでもない。
ちなみに、特許文献2では、各燃料電池セルに対して個別のポンプおよびバルブを介して流動体を供給することが提案されている。しかし、この従来構造では、仮に30個の燃料電池セルで構成される燃料電池スタックシステムを想定し、各燃料電池に2個のポンプが必要とした場合、全体で60個のポンプが必要となる。よって、燃料電池スタックシステムの大半がポンプなどの供給用のデバイスに占められてしまうことになり、燃料電池スタックシステムが非常に大きなものとなってしまい、極めて非現実的である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易的な構成で燃料または電解液を各燃料電池セルに均一に供給することができる燃料電池スタックシステムおよびこれを用いた電子機器を提供することにある。
本発明による燃料電池スタックシステムは、複数の燃料電池セルを有するものであって、複数の燃料電池セルの各々は、対向配置された燃料電極および酸素電極と、少なくとも電解液を流通させる流路とを備え、流路は、複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されているものである。
ここに直列接続とは、一つの燃料電池セルの燃料流路または電解液流路の出口が、次の燃料電池セルの燃料流路または電解液流路の入口に接続されていることをいう。なお、並列接続とは、全ての燃料電池セルに繋がっている主の流路があり、その主の流路から各燃料電池セルの燃料流路または電解液流路の入口に分岐して接続されていることをいう。
本発明の燃料電池スタックシステムでは、流路が、複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されているので、ポンプまたはバルブ等の供給補機の数が少なくなり、構成が簡易となる。また、各燃料電池セル内における流動体の流れの不均一性または圧力損失の変化、内部特性などの影響が低減され、燃料または電解液が各燃料電池セルに均一に供給される。よって、発電の安定性が向上する。
本発明による電子機器は、複数の燃料電池セルを有する燃料電池スタックシステムを備えたものであって、燃料電池スタックシステムが、上記本発明の燃料電池スタックシステムにより構成されているものである。
本発明の電子機器では、上記本発明による安定発電可能な燃料電池スタックシステムを備えているので、燃料電池セルの数を増やしても安定発電が可能となり、消費電力の増大を伴う多機能化・高性能化にも対応可能となる。
本発明の燃料電池スタックシステムによれば、流路を、複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続するようにしたので、ポンプまたはバルブ等の供給補機の数を少なくし、構成を簡易とすることができる。また、各燃料電池セル内における流動体の流れの不均一性または圧力損失の変化、内部特性などの影響を低減し、燃料または電解液を各燃料電池セルに均一に供給することができる。よって、発電の安定性を向上させることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る燃料電池スタックシステムを有する電子機器の概略構成を表すものである。この電子機器は、小型から大型の電力を必要とする機器であり、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯情報機器)などのモバイル機器、ノート型PC(Personal Computer )、カメラまたは自動車であり、燃料電池システム1と、この燃料電池システム1で発電される電気エネルギーにより駆動される外部回路(負荷)2とを備えている。
燃料電池スタックシステム1は、例えば、燃料電池スタック110と、この燃料電池スタック110の運転状態を測定する測定部120と、測定部120による測定結果に基づいて燃料電池スタック110の運転条件を決定する制御部130とを備えている。この燃料電池スタックシステム1は、また、燃料電池スタック110に電解液F1として、例えば硫酸を供給する電解質供給部140と、燃料F2として、例えばメタノールを供給する燃料供給部150とを備えている。このように電解質を流動体として供給することにより、電解質膜が不要となり、温度や湿度に影響されることなく発電を行うことができると共に、電解質膜を用いる通常の燃料電池に比べてイオン伝導度(プロトン伝導度)を高めることができる。また、電解質膜の劣化や、電解質膜の乾燥によるプロトン伝導性の低下のおそれがなくなり、酸素電極におけるフラッディングや水分管理などの問題も解消できる。
燃料電池スタック110は、複数(図1では例えば四つ)の燃料電池セル111を縦方向(積層方向)に積層したものである。図2は、図1に示した燃料電池スタック110の二つの燃料電池セル111(111A,111B)の構成を表したものである。燃料電池セル111は、いわゆる直接型メタノールフロー型燃料電池(DMFFC;Direct Methanol Flow Based Fuel Cell)であり、燃料電極(アノード)10と酸素電極(カソード)20とが対向配置された構成を有している。燃料電極10と酸素電極20との間には、電解液F1を流通させる電解液流路30が設けられている。燃料電極10の外側、すなわち酸素電極20とは反対側には、燃料F2を流通させる燃料流路40が設けられている。
燃料電極10は、酸素電極20側から順に、触媒層11、拡散層12および集電体13を積層した構成を有し、外装部材14に収納されている。また、燃料電極10は、電解液F1と燃料F2とを隔てる分離膜としての機能も有しており、クロスオーバーを抑制し高エネルギー密度を得ることができるようになっている。酸素電極20は、燃料電極側から順に、触媒層21、拡散層22および集電体23を積層した構成を有し、外装部材24に収納されている。なお、酸素電極20には、この外装部材24を介して空気すなわち酸素が供給されるようになっている。
触媒層11,21は、触媒として、例えば、パラジウム(Pd),白金(Pt),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh)およびルテニウム(Ru)などの金属の単体または合金により構成されている。また、触媒層11,21には、触媒に加えて、プロトン伝導体およびバインダーが含まれていてもよい。プロトン伝導体としては、上述したポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)またはその他のプロトン伝導性を有する樹脂が挙げられる。バインダーは、触媒層11,21の強度や柔軟性を保つために添加されるものであり、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂が挙げられる。
拡散層12,22は、例えば、カーボンクロス,カーボンペーパーまたはカーボンシートにより構成されている。拡散層12,22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などにより撥水化処理が行われていることが望ましい。
集電体13,23は、例えばチタン(Ti)メッシュにより構成されている。
外装部材14,24は、例えば、厚みが2.0mmであり、チタン(Ti)板または耐酸性金属板などの一般的に購入可能な材料により構成されているが、材料は特に限定されない。なお、外装部材14,24の厚みは薄ければ薄いほうが望ましい。
電解液流路30および燃料流路40は、例えば、樹脂シートを加工することにより微細な流路を形成したものであり、燃料電極10に接着されている。なお、流路の本数は限定されない。また、流路の幅,高さおよび長さは特に限定されないものの、小さい方が望ましい。
電解液流路30および燃料流路40は、四つの燃料電池セル111の全部について直列接続されている。これにより、この燃料電池スタックシステム1では、簡易的な構成で燃料F2または電解液F1を各燃料電池セル111に均一に供給することができるようになっている。
具体的には、各燃料電池セル111には、外装部材24に電解液入口24Aおよび電解液出口24Bが設けられている。最初の燃料電池セル111Aの電解液入口24Aは、電解液供給部140(図2には図示せず、図1参照。)に連結されており、電解液出口24Bは、接続流路24Cを介して次の燃料電池セル111Bの電解液入口24Aに繋がっている。よって、最初の燃料電池セル111の電解液入口24Aと、最後の燃料電池セル111の電解液出口24Bとが電解液供給部140に接続され、それ以外の燃料電池セル111の電解液入口24Aは、一つ前の燃料電池セル111の電解液出口24Bに接続されている。これにより、すべての燃料電池セル111の電解液流路30が直列接続され、電解液供給部140から供給された電解液F1は最初の燃料電池セル111Aの電解液入口24Aから入り、電解液出口24Bから出て次の燃料電池セル111Bの電解液入口24Aに入り、同様にしてすべての燃料電池セル111を巡ったのち、最後の燃料電池セル111の電解液出口24Bから出て電解液供給部140に戻るようになっている。
また、各燃料電池セル111には、外装部材14に燃料入口14Aおよび燃料出口14Bが設けられている。最初の燃料電池セル111Aの燃料入口14Aは、燃料供給部150(図2には図示せず、図1参照。)に連結されており、燃料出口14Bは、接続流路14Cを介して次の燃料電池セル111Bの燃料入口14Aに繋がっている。よって、最初の燃料電池セル111の燃料入口14Aと、最後の燃料電池セル111の燃料出口14Bとが燃料供給部150に接続され、それ以外の燃料電池セル111の燃料入口14Aは、一つ前の燃料電池セル111の燃料出口14Bに接続されている。これにより、すべての燃料電池セル111の燃料流路40が直列接続され、燃料供給部150から供給された燃料F2は最初の燃料電池セル111Aの燃料入口14Aから入り、燃料出口14Bから出て次の燃料電池セル111Bの燃料入口14Aに入り、同様にしてすべての燃料電池セル111を巡ったのち、最後の燃料電池セル111の燃料出口14Bから出て燃料供給部150に戻るようになっている。
燃料入口14Aおよび燃料出口14Bと、電解液入口24Aおよび電解液出口24Bとは、例えば、樹脂製の継手でもよいし、接着性のある樹脂シートを貼り合わせて流路を形成したものでもよい。前者の場合、接続流路14C,24Cは例えばシリコーンチューブにより構成することができる。後者の場合、接続流路14C,24Cは、接着性のある樹脂シートを貼り合わせて流路を形成したものとすることができる。なお、電解液入口24Aおよび電解液出口24Bと、燃料入口14Aおよび燃料出口14Bとは、必ずしも外装部材24,14に分けて形成されている必要はなく、外装部材24Aまたは外装部材14Aのいずれか一方のみに設けられていてもよい。その場合、内部の流路構成により電解液F1を電解液流路30に、燃料F2を燃料流路40に振り分けるようにすることができる。
各接続流路24C,14Cには、分離室160が設けられている。接続流路24Cに設けられた分離室160は、電解液出口24Bから出てきた電解液F1には拡散してきた燃料(メタノール)、あるいは燃料電極10で発生した二酸化炭素の泡などが混ざっている可能性があるため、そのような二酸化炭素を除去し、または燃料を分離するものである。接続流路14Cに設けられた分離室160は、燃料出口14Bから出てきた燃料F2には燃料電極10で発生した二酸化炭素の泡などが混ざっている可能性があるため、その二酸化炭素を除去するものである。メタノール分離機構は、例えば、フィルター、またはメタノールを燃焼,反応もしくは蒸発により除去する機構により構成されている。二酸化炭素を除去する機構は、例えば、フィルター、または反応により除去する機構により構成されている。なお、分離室160は、必ずしも接続流路24C,14Cに設けなければならないわけではなく、各燃料電池セル111の上面,下面もしくは側面に設けられていてもよい。
燃料電池スタック110の複数の燃料電池セル111は、電気的に直列、または、仕様によっては並列に接続されている。燃料電池スタック110の繰り返し発電を行うことにより、燃料電池セル111の劣化は起きてしまう。また、必ず燃料電池セル111の特性には若干のばらつきが存在し、劣化しやすい燃料電池セル111と劣化しにくい燃料電池セル111とが現れてくる。よって、このような状況下でも燃料電池スタック110としての発電を継続して行うために、燃料電池スタック110は、劣化により発電にまったく貢献できない燃料電池セル111が現れると、その燃料電池セル111との電気的接続を切断し、次の燃料電池セル111に直接接続されるような電気回路構成になっていることが望ましい。
図1に示した測定部120は、燃料電池スタック110の動作電圧および動作電流を測定するものであり、例えば、燃料電池スタック110の動作電圧を測定する電圧測定回路121と、動作電流を測定する電流測定回路122と、得られた測定結果を制御部130に送るための通信ライン123とを有している。
図1に示した制御部130は、測定部120の測定結果に基づいて、燃料電池スタック110の運転条件として電解質供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御を行うものであり、例えば、演算部131、記憶(メモリ)部132、通信部133および通信ライン134を有している。ここで、電解質供給パラメータは、例えば、電解液F1の供給流速を含んでいる。燃料供給パラメータは、例えば、燃料F2の供給流速および供給量を含み、必要に応じて供給濃度を含んでいてもよい。制御部130は、例えばマイクロコンピュータにより構成することができる。
演算部131は、測定部120で得られた測定結果から燃料電池スタック110の出力を算出し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定するものである。具体的には、演算部131は、記憶部132に入力された各種測定結果から一定間隔でサンプリングしたアノード電位、カソード電位、出力電圧および出力電流を平均して、平均アノード電位、平均カソード電位、平均出力電圧および平均出力電流を算出し、記憶部132に入力すると共に、記憶部132に保存されている各種平均値を相互比較し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを判定するようになっている。
記憶部132は、測定部120から送られてきた各種測定値や、演算部131により算出された各種平均値などを記憶するものである。
通信部133は、通信ライン123を介して測定部120から測定結果を受け取り、記憶部132に入力する機能と、通信ライン134を介して電解液供給部140および燃料供給部150に電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定する信号をそれぞれ出力する機能とを有している。
図1に示した電解液供給部140は、電解液貯蔵部141と、電解液供給調整部142と、電解液供給ライン143とを備えている。電解液貯蔵部141は、電解液F1を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。電解液供給調整部142は、電解液F1の供給流速を調整するものである。電解液供給調整部142は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。
図1に示した燃料供給部150は、燃料貯蔵部151と、燃料供給調整部152と、燃料供給ライン153とを有している。燃料貯蔵部151は、燃料F2を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。燃料供給調整部152は、燃料F2の供給流速および供給量を調整するものである。燃料供給調整部152は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。なお、燃料供給部150は、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部(図示せず)を備えていてもよい。濃度調整部は、燃料F2として純(99.9%)メタノールを用いる場合には省略することができ、より小型化することができる。
この燃料電池スタックシステム1は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、触媒として例えば白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、燃料電極10の触媒層11を形成する。この触媒層11を、上述した材料よりなる拡散層12に熱圧着する。更に、上述した材料よりなる集電体13を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、燃料電極10を形成する。
また、触媒として白金(Pt)をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、酸素電極20の触媒層21を形成する。この触媒層21を、上述した材料よりなる拡散層22に熱圧着する。更に、上述した材料よりなる集電体23を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、酸素電極20を形成する。
次いで、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して電解液流路30および燃料流路40を作製し、燃料電極10の両側に熱圧着する。
続いて、上述した材料よりなる外装部材14,24を作製し、外装部材14には燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを設ける。
そののち、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路30を外側にして対向配置し、外装部材14,24に収納する。これにより図2に示した一つの燃料電池セル111が形成される。
同様にして複数の燃料電池セル111を作製して、縦方向に積層し、一つの燃料電池セルの電解液出口24Bを、接続流路24Cにより次の燃料電池セル111の電解液入口24Aに接続し、燃料出口14Bを、接続流路14Cにより次の燃料電池セル111の燃料入口14Aに接続する。また、各接続流路14C,24Cの途中には、分離室160を接続する。これにより燃料電池スタック110が形成される。
この燃料電池スタック110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、最初の燃料電池セル111の燃料入口14Aおよび最後の燃料電池セル111の燃料出口14Bと、燃料供給部150とを例えばシリコーンチューブよりなる燃料供給ライン153で接続する。また、最初の燃料電池セル111の電解液入口24Aおよび最後の燃料電池セル111の電解液出口24Bと、電解液供給部140とを例えばシリコーンチューブよりなる電解液供給ライン143で接続する。以上により図1に示した燃料電池スタックシステム1が完成する。
この燃料電池スタックシステム1では、各燃料電池セル111において、燃料電極10に燃料F2が供給され、反応によりプロトンと電子とを生成する。プロトンは電解液F1を通って酸素電極20に移動し、電子および酸素と反応して水を生成する。燃料電極10、酸素電極20および燃料電池セル111全体で起こる反応は、化2で表される。これにより、燃料であるメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて、燃料電池スタック110から電流が取り出され、外部回路2が駆動される。
(化2)
燃料電極10:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極20:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2
燃料電池セル111全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2
燃料電池スタック110の運転中には、測定部120により燃料電池スタック110の動作電圧および動作電流が測定され、その測定結果に基づいて、制御部130により、燃料電池スタック110の運転条件として上述した電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御が行われる。測定部120による測定および制御部130によるパラメータ制御は頻繁に繰り返され、燃料電池スタック110の特性変動に追従して電解液F1および燃料F2の供給状態が最適化される。
ここでは、電解液流路30および燃料流路40は、四つの燃料電池セル111の全部について直列接続されている。電解液供給部140から供給された電解液F1は、最初の燃料電池セル111Aの電解液入口24Aから入り、電解液出口24Bから出て次の燃料電池セル111Bの電解液入口24Aに入り、同様にしてすべての燃料電池セル111を巡ったのち、最後の燃料電池セル111の電解液出口24Bから出て電解液供給部140に戻る。また、燃料供給部150から供給された燃料F2は、最初の燃料電池セル111Aの燃料入口14Aから入り、燃料出口14Bから出て次の燃料電池セル111Bの燃料入口14Aに入り、同様にしてすべての燃料電池セル111を巡ったのち、最後の燃料電池セル111の燃料出口14Bから出て燃料供給部150に戻る。よって、各燃料電池セル111内における電解液F1または燃料F2の流れの不均一性または圧力損失の変化、内部特性などの影響が低減され、燃料F2または電解液F1が各燃料電池セル111に均一に供給される。よって、発電の安定性が向上する。
このように本実施の形態では、電解液流路30および燃料流路40を、複数の燃料電池セル111の全部について直列接続するようにしたので、ポンプまたはバルブ等の供給補機の数を少なくし、構成を簡易とすることができる。また、各燃料電池セル111内における電解液F1または燃料F2の流れの不均一性または圧力損失の変化、内部特性などの影響を低減し、燃料F2または電解液F1を各燃料電池セル111に均一に供給することができる。よって、発電の安定性を向上させることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
なお、上記実施の形態では、電解液流路30および燃料流路40が、複数の燃料電池セル111の全部について直列接続されている場合について説明したが、図3に示したように、燃料流路40および電解液流路30は、複数の燃料電池セル111のうちの一部、例えば燃料電池セル111A,111B,111Cについて直列接続され、燃料電池セル111Dについては並列接続されていてもよい。この場合、燃料F2Sおよび電解液F1Sは、燃料電池セル111A,111B,111Cについて直列に流通し、燃料F2Pおよび電解液F1Pは、燃料電池セル111Dについて並列に流通する。
また、図4および図5に示したように、電解液流路30および燃料流路40のうちの一方が、複数の燃料電池セル111の全部について直列接続されていてもよい。なお、図4は、電解液流路30が、複数の燃料電池セル111の全部について直列接続されている場合、図5は、燃料流路40が、複数の燃料電池セル111の全部について直列接続されている場合を表している。
更に、図6に示したように、燃料流路40は、複数の燃料電池セル111のうちの一部、例えば燃料電池セル111A,111B,111Cについて直列接続され、電解液流路30は、複数の燃料電池セル111の全部について並列接続されていてもよい。この場合、燃料F2Sは、燃料電池セル111A,111B,111Cについて直列に流通し、燃料F2Pは、燃料電池セル111Dについて並列に流通する。
加えて、図7に示したように、燃料流路40は、複数の燃料電池セル111の全部について並列接続され、電解液流路30は、複数の燃料電池セル111のうちの一部、例えば燃料電池セル111A,111B,111Cについて直列接続され、燃料電池セル111Dについては並列接続されていてもよい。この場合、電解液F1Sは、燃料電池セル111A,111B,111Cについて直列に流通し、電解液F1Pは、燃料電池セル111Dについて並列に流通する。
図3ないし図7に示した変形例においては、電解液流路30および燃料流路40の直列接続されている部分をできるだけ増やしたほうが好ましい。より簡易な構成とすることができると共に発電の安定性もより向上させることができるからである。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、以下の実施例では、図2に示したような二つの燃料電池セル111A,111Bよりなる燃料電池スタック110を作製し、特性を評価した。よって、以下の実施例においても、図1および図2を参照し、同一の符号を用いて説明する。
図2と同様の構成を有する燃料電池スタック110を作製した。まず、触媒として白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、燃料電極10の触媒層11を形成した。この触媒層11を、上述した材料よりなる拡散層12(E−TEK社製;HT−2500)に対して、温度150℃、圧力249kPaの条件下で10分間熱圧着した。更に、上述した材料よりなる集電体13を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、燃料電極10を形成した。
また、触媒として白金(Pt)をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、酸素電極20の触媒層21を形成した。この触媒層21を、上述した材料よりなる拡散層22(E−TEK社製;HT−2500)に対して、燃料電極10の触媒層11と同様にして熱圧着した。更に、上述した材料よりなる集電体23を、燃料電極10の集電体13と同様にして熱圧着し、酸素電極20を形成した。
次いで、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して電解液流路30および燃料流路40を作製し、燃料電極10の両側に熱圧着した。
続いて、上述した材料よりなる外装部材14,24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを設けた。
そののち、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路40を外側にして対向配置し、外装部材14,24に収納した。
このようにして二つの燃料電池セル111A,111Bを作製して、縦方向に積層し、電解液流路30および燃料流路40を二つの燃料電池セル111A,111Bについて直列接続した。すなわち、燃料電池セル111Aの電解液出口24Bを、シリコーンチューブよりなる接続流路24Cにより燃料電池セル111Bの電解液入口24Aに接続し、燃料電池セル111Aの燃料出口14Bを、シリコーンチューブよりなる接続流路14Cにより燃料電池セル111Bの燃料入口14Aに接続した。また、各接続流路14C,24Cの途中には、分離室160を接続した。これにより図2に示した燃料電池スタック110が完成した。
この燃料電池スタック110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、図1に示した燃料電池スタックシステム1を構成した。その際、電解液供給調整部142および燃料供給調整部152をダイアフラム式定量ポンプ(株式会社KNF社製)により構成した。燃料電池セル111Aの燃料入口14Aおよび燃料電池セル111Bの燃料出口14Bと、燃料供給調整部152のポンプとを、シリコーンチューブよりなる燃料供給ライン153で接続すると共に、燃料電池セル111Aの電解液入口24Aおよび燃料電池セル111Bの電解液出口24Bと、電解液供給調整部142のポンプとを、シリコーンチューブよりなる電解液供給ライン143に接続し、任意の流速で電解液F1および燃料F2が電解液流路30および燃料流路40にそれぞれ供給されるようにした。電解液F1としては1M硫酸を用い、流速は1.0ml/minとした。燃料F2としては5Mメタノールと1M硫酸との混合液を用い、流速は0.5ml/minとした。
(評価)
得られた燃料電池スタックシステム1について、電気化学測定装置(ソーラートロン社製、マルチスタット1480)に接続し、特性評価を行った。測定初期における開回路電圧(OCV;Open Circuit Voltage)および定電流1Aで発電させたときの各燃料電池セル111A,111Bおよび燃料電池スタック110の特性を調べた。その結果を図8および図9に示す。
図8は、測定初期におけるOCVを表したものである。約180秒間保持した状態であり、OCVは高い値を示し、上昇している。OCVの値が1.3V以上であることから、一つの燃料電池セルあたり0.65V以上となり、通常のDMFCのOCV(約0.4V〜0.5V)に比べてはるかに高い値を示している。これは、電解液F1を用いることで燃料クロスオーバーが抑えられているからであると考えられる。また、燃料電池スタック110のOCVの値が一つの燃料電池セル111A,111BのOCVの値の約2倍になっていることから、電解液流路30および燃料流路40を直列接続することには問題はないことが伺われた。
更に、図9から分かるように、定電流1Aでの燃料電池スタック110の特性は安定していた。すなわち、電解液流路30および燃料流路40を、複数の燃料電池セル111A,111Bについて直列接続すれば、発電の安定性を向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、燃料電極10,酸素電極20,燃料流路30および電解液流路40の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。例えば、燃料流路30は、上記実施の形態および実施例で説明したような樹脂シートを加工して流路を形成したもののほか、多孔質などのシートにより構成してもよい。
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、複数の燃料電池セル111を縦方向(積層方向)に積層して燃料電池スタック110を構成した場合について説明したが、本発明は、例えば図10に示したように、複数の燃料電池セル111を横方向(積層面内方向)に積層して燃料電池スタック110を構成する場合にも適用することができる。
更に、図11に示したように、燃料流路40と燃料電極10との間に気液分離膜50を設けるようにしてもよい。気液分離膜50は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリプロピレン(PP)などアルコールを液体の状態で透過させない膜により構成することができる。このような気液分離膜50を設けた場合、燃料である純メタノールは液体の状態で燃料流路40を流れる際に自然揮発し、気液分離膜50と接する面から気体Gの状態で気液分離膜50を通りぬけ、燃料電極10に供給される。よって、燃料が効率よく燃料電極10に供給され、反応が安定して行われる。また、燃料が気体の状態で燃料電極10に供給されるので、電極反応活性が高くなり、クロスオーバーも生じにくく、高負荷の外部回路2を有する電子機器においても高い性能が得られる。更に、燃料F2として純(99.9%)メタノールを用いることができ、燃料電池の特徴である高エネルギー密度特性を更に活かすことができると共に、燃料供給部150において、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部を省略することができ、より小型化することができる。
加えて、例えば、上記実施の形態および実施例において説明した各構成要素の材料および厚み、または燃料電池スタック110の発電条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の発電条件としてもよい。
更にまた、上記実施の形態では、燃料電極12に燃料供給部150から燃料F2を供給する場合について説明したが、燃料電極12を密閉型とし、必要に応じて燃料F2を供給するようにしてもよい。
加えてまた、例えば、燃料F2は、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他の液体燃料でもよい。電解液F1は、プロトン(H+ )伝導性を有するものであれば特に限定されず、例えば、硫酸のほか、リン酸またはイオン性液体が挙げられる。
更にまた、本発明は、液体燃料を用いる燃料電池に限らず、水素など液体燃料以外の物質を燃料として用いる燃料電池についても適用可能である。
更にまた、上記実施の形態および実施例では、酸素電極20への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
本発明の一実施の形態に係る燃料電池スタックシステムを備えた電子機器の概略構成を表す図である。 図1に示した燃料電池スタックの二つの燃料電池セルの構成を表す図である。 電解質流路および燃料流路の他の接続構成例を表す図である。 電解質流路および燃料流路の更に他の接続構成例を表す図である。 電解質流路および燃料流路の更に他の接続構成例を表す図である。 電解質流路および燃料流路の更に他の接続構成例を表す図である。 電解質流路および燃料流路の更に他の接続構成例を表す図である。 本発明の実施例の結果を表す図である。 本発明の実施例の結果を表す図である。 本発明の変形例に係る燃料電池スタックの二つの燃料電池セルの構成を表す図である。 本発明の変形例に係る燃料電池スタックの二つの燃料電池セルの構成を表す図である。
符号の説明
1…燃料電池スタックシステム、2…外部回路(負荷)、10…燃料電極、20…酸素電極、30…電解液流路、40…燃料流路、50…気液分離膜、110…燃料電池スタック、111,111A,111B,111C,111D…燃料電池セル、120…測定部、130…制御部、140…電解液供給部、150…燃料供給部、160…分離室

Claims (9)

  1. 複数の燃料電池セルを有する燃料電池スタックシステムであって、
    前記複数の燃料電池セルの各々は、対向配置された燃料電極および酸素電極と、少なくとも電解液を流通させる流路とを備え、
    前記流路は、前記複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されている
    ことを特徴とする燃料電池スタックシステム。
  2. 前記流路は、
    前記燃料電極および酸素電極の間に設けられ、電解液を流通させる電解液流路と、
    前記燃料電極の前記酸素電極とは反対側に設けられ、燃料を流通させる燃料流路と
    を有し、前記電解液流路および前記燃料流路のうち少なくとも一方は、前記複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されている
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池スタックシステム。
  3. 前記燃料流路は、前記複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続され、前記電解液流路は、前記複数の燃料電池セルの全部について並列接続されている
    ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池スタックシステム。
  4. 前記燃料流路は、前記複数の燃料電池セルの全部について並列接続され、前記電解液流路は、前記複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されている
    ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池スタックシステム。
  5. 前記燃料流路および前記電解液流路は、前記複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されている
    ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池スタックシステム。
  6. 前記電解液流路および前記燃料流路のうちの少なくとも一方は、前記複数の燃料電池セルの全部について直列接続されている
    ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池スタックシステム。
  7. 前記燃料あるいは前記電解液に含まれる二酸化炭素を除去し、または前記電解液に含まれる燃料を分離する分離室を備えた
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項6のうちいずれか1項に記載の燃料電池スタックシステム。
  8. 前記複数の燃料電池セルの各々は、前記燃料流路と前記燃料電極との間に気液分離膜を有する
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項7のうちいずれか1項に記載の燃料電池スタックシステム。
  9. 複数の燃料電池セルを有する燃料電池スタックシステムを備えた電子機器であって、
    前記複数の燃料電池セルの各々は、対向配置された燃料電極および酸素電極と、少なくとも電解液を流通させる流路とを備え、
    前記流路は、前記複数の燃料電池セルのうちの少なくとも一部について直列接続されている
    ことを特徴とする電子機器。
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