JP3874557B2 - 靱性に優れた快削非調質鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車部品のクランクシャフトや各種足回り部品等の素材として用いられる非調質鋼に関するものであって、Pbを添加しなくてもPb添加非調質鋼と同等以上の被削性及び一定レベルの靱性を有する快削非調質鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非調質鋼は焼入れ焼戻しの熱処理を省略することが可能であることから、近年、その需要が高まり、自動車部品のクランクシャフトや各種足回り部品等の素材として用いられている。現状では、その快削化を図る場合、快削元素としてPbを添加した非調質鋼が最も多く生産され使用されている。しかしながら、Pbは地球環境問題からその使用を抑制しようとする動きが出ている。そこで、これに対応するため、特開平9−25539号公報には、Pb非添加型の快削非調質鋼が開示されている(先行技術1という)。しかしながら、先行技術1では、特殊な元素であるNdを用いているため、低コスト化を考えた場合に不利であると共に、Pb添加鋼の最大の特徴である切り屑処理性に対する記述が見当たらない。また、特開平1−219148号公報には、Pb以外の快削性介在物としてBNを使用した非調質鋼が開示されている(先行技術2という)。しかしながら、先行技術1と同様、Pb添加鋼の最大の特徴である切り屑処理性に対する記述が見当たらないと共に、当該鋼材として一定レベルまで必要不可欠な靱性に対する記述も見当たらない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先行技術はいずれもPbを添加しない成分系の快削鋼である点において環境対策上有益なものであるが、上述した通り、快削鋼の被削性評価で極めて重要な項目である切り屑処理性についての評価に問題がある。また、先行技術1では製造コストが高くなること、そして先行技術2では靱性確保に問題がある。
【0004】
そこで、この発明は上記問題点を解決するために、Pbを添加しない快削鋼の製造を前提とし、当該快削鋼の化学成分には特殊で高価な添加元素を使用せず、従来快削鋼としては汎用的に用いられている成分元素の範囲内において、切り屑処理性を含む切削性に優れ、且つ、自動車部品のクランクシャフトや各種足回り部品等の素材に供される快削鋼として備えるべき鋼材特性の内、特に靱性を所定レベルに維持した、高品質の快削非調質鋼を開発することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から鋭意研究を重ねた結果、鋼の化学成分組成を適切に定めることにより、切削性の確保をBN析出物の生成とその分布の制御で行ない、そして靱性の確保をCu+Ni+Cr+Moの合計含有率の制限で、あるいは更にこの制限にTiN析出物の生成とその分布の制御の付加で行なえば、上記目的を達成し得る高品質の快削非調質鋼を製造することができる。更に、Ca+S系介在物の生成とその適切な分布により、切削性が一層向上した高品質の快削非調質鋼を製造することができることを見い出した。
【0006】
即ち、快削非調質鋼として所定の機械的性質を満たす基本的成分組成の鋼において、
(イ)Ti無添加鋼において、B及びN含有率のそれぞれ、並びに、B/Nの含有率比を適切な範囲内に制限し、且つ、Cu+Ni+Cr+Moの合計含有率に上限を設けた成分組成を設計する、及び、
(ロ)Ti添加鋼において、B、Ti及びN含有率のそれぞれ、並びに、B/(BNの析出物生成に対してTiN生成に消費されるNを差し引いた有効なN)の含有率比とを適切な範囲内に制限し、且つ、Cu+Ni+Cr+Moの合計含有率に上記(イ)よりも制限を緩和した上限を設けた成分組成を設計することにより、所期目標通り、靱性を確保し、切り屑処理性を含む切削性に優れた快削非調質鋼を得ることができるとの知見を得た。そして、適切なCa+S系介在物分布により切削性は一層向上する。
【0007】
この発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は次の通りである。請求項1記載の靭性に優れた快削非調質鋼は、
C :0.30〜0.55mass%、
Si:0.15〜0.40mass%、
Mn:0.80〜1.60mass%、
P :0.005〜0.050mass%、
S :0.040mass%以下、
Al:0.005〜0.035mass%、
V :0.04 〜0.15mass%、
Cu+Ni+Cr+Mo:0.45mass%以下、
B :0.0050〜0.0150mass%、及び、
N :0.008〜0.018mass%、
を含有し、Cu、Ni、CrおよびMoは、それぞれ不可避不純物であり、残部がFe及びCu、Ni、CrおよびMo以外の不可避不純物からなり、且つ、B/N:0.5〜1.5の範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0008】
請求項2記載の靭性に優れた快削非調質鋼は、
C :0.30〜0.55mass%、
Si:0.15〜0.40mass%、
Mn:0.80〜1.60mass%、
P :0.005〜0.050mass%、
S :0.040mass%以下、
Al:0.005〜0.035mass%、
V :0.04 〜0.15mass%、
Cu+Ni+Cr+Mo:0.60mass%以下、
B :0.0050〜0.0150mass%、
Ti:0.005〜0.020mass%、及び、
N :0.010〜0.020mass%、
を含有し、Cu、Ni、CrおよびMoは、それぞれ不可避不純物であり、残部がFe及びCu、Ni、CrおよびMo以外の不可避的不純物からなり、且つ、B/(N−Ti/3.42):0.5〜1.5の範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0009】
請求項2記載の靱性に優れた快削非調質鋼は、請求項1又は請求項2記載の発明において、
S :0.040〜0.08mass%、及び、
Ca :0.001〜0.003mass%
を含有することに特徴を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明は、自動車部品のクランクシャフトや各種足回り部品等の素材として用いるのに適した快削非調質鋼であり、その機械的性質として、引張強さ:800MPa 以上、絞り:30%以上、そしてシャルピー衝撃試験値:30J/cm2 以上を有し、疲労特性及び切削性に優れたものである。この発明の快削非調質鋼の化学成分組成を上述した通り限定する理由を説明する。
【0011】
(1)C:0.30〜0.55mass%
Cは、鋼の強度及び被削性に大きな影響を及ぼす重要な元素であり、C含有率が0.30mass%未満では十分な強度が得られない。一方、C含有率が0.55mass%を超えると、パーライト量が多くなり過ぎて、被削性が劣化する。従って、C含有率は、0.30〜0.55mass%の範囲内に限定する。
【0012】
(2)Si:0.15〜0.40mass%
Siは、鋼の脱酸に必要な元素であり、Si含有率が0.15mass%未満では十分な脱酸効果が得られない。一方、Si含有率が0.40mass%を超えると、フェライトが硬化して、被削性が劣化する。従って、Si含有率は、0.15〜0.40mass%の範囲内に限定する。
【0013】
(3)Mn:0.80〜1.60mass%
Mnは、鋼の強度及び靱性に大きな影響を及ぼす元素であり、Mn含有率が0.80mass%未満では、十分な強度が得られない。一方、Mn含有率が1.60mass%を超えると、十分な靱性が得られず、また切削性も低下する。従って、Mn含有率は、0.80〜1.60mass%の範囲内に限定する。
【0014】
(4)P:0.005〜0.050mass%
Pは、鋼中に不可避的に混入して含有される元素であり、P含有率が0.050mass%を超えると、十分な靱性が得られない。但し、P含有率は低すぎると切削性が劣化する傾向がある。また、P含有率を低下させるほど脱Pコストがかかる。従って、P含有率は0.005〜0.050mass%の範囲内に限定する。
【0015】
(5)S:0.040mass%以下、又は、
S:0.04〜0.08mass%、且つCa:0.001〜0.003mass%
Sは、鋼中に不可避的に混入して含有される元素であり、その含有率が0.040mass%を超えると、十分な靱性が得られない。従って、S含有率は0.040mass%以下に制限する。
【0016】
他方、Sは、Caと複合添加するとCa+S系介在物が生成し、適切量の分布により鋼の切削性向上効果を発揮する。なお、このCa+S系介在物の靱性低下作用はあまり大きくない。このCa+S系介在物生成による切削性の向上のためには、Sが0.04mass%未満でCaが0.001mass%未満では十分な効果が発揮されない。一方、Sが0.08mass%超えでCaが0.003mass%超えでは、この切削性向上効果が飽和し、また製造コストの上昇により不利となる。従って、切削性を一層向上させるときには、Sを0.04〜0.08mass%の範囲内で、且つCaを0.001〜0.003mass%の範囲内となるよう複合添加するのが望ましい。
【0017】
(6)Al:0.005〜0.035mass%
Alは鋼の脱酸に必要な元素であり、Alの脱酸作用としてはその含有率が0.005mass%未満では効果が不十分であり、一方0.035mass%を超えてもその効果は飽和する。従って、Al含有率は0.005〜0.035mass%の範囲内に限定する。
【0018】
(7)V:0.04 〜0.15mass%
Vは、析出強化元素であるが、V含有率が0.04mass%未満では十分な析出硬化が得られない。一方、その含有率が0.15mass%を超えると、Vの析出物が粗大化するために靱性が低下する。従って、V含有率は0.04〜0.15mass%の範囲内に限定する。
【0019】
(8)Cu+Ni+Cr+Mo:0.45mass%以下(Ti無添加鋼の場合)
Cu+Ni+Cr+Mo:0.60mass%以下(Ti添加鋼の場合)
Cu、Ni、Cr及びMoは、鋼の溶製過程で原料のスクラップから不可避的に混入する元素であり、特に、製鋼用電気炉において装入主原料に占めるスクラップ比率が高いので、これらトランプエレメントの混入量を制限するために、スクラップ品位の制限を要する。このように、製造コスト低減の観点からも、上記トランプエレメントの合計含有率の許容上限値の決定は重要となる。一方、本発明者等の試験によれば、これらトランプエレメントの合計含有率が0.45mass%を超えると、靱性を著しく劣化させる。また、切削性も劣化させる傾向にある。従って、Cu+Ni+Cr+Moの含有率は、0.45mass%以下に限定する。
【0020】
但し、後述するTiを所定量添加した鋼においては、TiN析出物により靱性の向上効果が発揮されるので、Cu+Ni+Cr+Moの含有率を、0.60mass%以下に制限を緩和することができる。また、上記制限を緩和しないときは、靱性に一層優れた快削非調質鋼が得られる。
【0021】
(9)B:0.0050 〜0.0150mass%
Bは、この発明において切削性向上のために重要な役割を果たす元素である。即ち、Bは切削性を向上させるBN析出物を生成させるために、Nの存在と共に必要な元素である。しかし、B含有率が0.0050mass%未満では、十分な量のBNを生成させることができない。一方、B含有率が0.0150mass%を超えると、靱性が低下する。従って、B含有率は0.0050〜0.0150mass%の範囲内にあることが必要である。
【0022】
ここで、上記含有率のBが切削性向上効果を発揮するのに十分な量のBNとして析出するためには、B含有率に応じて当該Bと結合し得る所定量のN含有率が存在することが必要である。これに必要なN含有率については、N含有率限定理由の項、及びB/N比の限定理由の項で説明する。
【0023】
(10)Ti:0.005〜0.020mass%
Tiは、この発明において、上述したCu+Ni+Cr+Moの合計含有率を、0.45mass%以下に限定することにより靱性の向上を図り、更に一層、靱性を向上させようとする場合に、重要な役割を果たす元素である。即ち、Tiは靱性を向上させるTiN析出物を生成させるために、Nの存在と共に必要な元素である。しかし、Ti含有率が0.005mass%未満では、十分な量のTiNを生成させることができないので靱性向上が不十分である。一方、Ti含有率が0.020mass%を超えると、粗大なTiNが多くなり、これが疲労破壊の起点となるために、疲労寿命が低下し、更に、切削性も劣化する傾向にある。従って、Ti含有率は、0.005〜0.020mass%の範囲内にあることが必要である。
【0024】
ここで、この含有率のTiが靱性向上効果を発揮するのに十分な量のTiNとして析出するためには、Ti含有率に応じて当該Tiと結合し得る所定量のN含有率が存在することが必要である。これに必要なN含有率については、N含有率限定理由の項、及びB/(N−Ti/3.42)比の限定理由の項で説明する。
【0025】
(11)N:0.008〜0.018mass%以下(Ti無添加鋼の場合)
N:0.010〜0.020mass%以下(Ti添加鋼の場合)
Nは、Bと結合してBN析出物を生成し、切削性を向上させると共に、Ti添加鋼にあっては、TiN析出物を生成し、靱性を向上させる重要な元素である。
【0026】
しかしながら、(イ)Ti無添加鋼においては、N含有率が0.008mass%未満では上記各析出物の生成量が十分でないので、各効果が十分に発揮されない。一方、N含有率が0.018mass%を超えると、靱性及び疲労特性を劣化させる。従って、N含有率は0.008〜0.018mass%の範囲内に限定する。
【0027】
これに対して、(ロ)Ti添加鋼においては、N含有率が0.010mass%未満では上記各析出物の生成量が十分でないので、各効果が十分に発揮されない。一方、N含有率が0.020mass%を超えると、靱性及び疲労特性を劣化させる。従って、N含有率は0.010〜0.020mass%の範囲内に限定する。
【0028】
(12)B/N:0.5〜1.5(Ti無添加鋼の場合)
B/(N−Ti/3.42):0.5〜1.5(Ti添加鋼の場合)
Ti無添加鋼の場合には、B含有率とN含有率との比であるB/Nは、切削性向上に効果的なBN析出物の生成量を決定する主要な因子である。これに対して、Ti添加鋼の場合には、鋼中Nは、Nとの親和力の大きいTiとの結合に消費される。よって、BNの生成に有効な含有率は、全N含有率からTiN生成に消費されるN含有率の化学量論値を差し引いた実効N含有率、N−Ti/{(Tiの原子量)/(Nの原子量)}、即ち、N−Ti/3.42で表わされる。従って、Ti添加鋼の場合には、B含有率と実効N含有率との比であるB/(N−Ti/3.42)が、切削性向上に効果的なBN析出物の生成量を決定する主要な因子となる。上記B/N又はB/(N−Ti/3.42)が、0.5未満ではBN生成量が十分に確保されないので切削性向上が十分でなく、一方、それらがが、1.5超えでは熱間加工性が劣化する。従って、B、N及びTiの含有率は、上述した各含有率の範囲内にあって、しかも、B/N又はB/(N−Ti/3.42)が、0.5〜1.5の範囲内に入るように限定する。
【0029】
【実施例】
次に、この発明を、実施例によって更に詳細に説明する。
表1に示す本発明の範囲内の化学成分組成を有する本発明例No.1〜13、並びに、本発明の範囲外の化学成分組成を有する比較例No.14〜27及び参考例No.28〜29を、真空溶解炉で溶製し、鋼塊に鋳造した後、それぞれを径80mmφの棒鋼に熱間圧延した。更に、本発明例No.1〜13、比較例No.14〜27及び参考例No.28については、1200℃に加熱した後、径70mmφまで熱間鍛造し、室温まで空冷した。参考例No.29のJIS S50C相当鋼については、上記と同一条件で熱間鍛造した後、焼入れ・焼戻しを行なった。
【0030】
【表1】
【0031】
上記のようにして本発明例、比較例及び参考例から製造された各棒鋼について、下記試験を行なった。
引張試験:JIS4号試験片を採取し、引張試験を行なった。
【0032】
疲労試験:小野式回転曲げ試験を行なった。
切削試験:
・表2に示す条件で、外周旋削試験は、超硬工具(材質P20)とハイス工具(材質SKH4)の2種類を用いて行ない、ドリル穴開け試験をハイスドリル(材質SKH4)で行なった。
【0033】
・切削性の評価については、超硬工具による外周試験では、横逃げ面磨耗量VBが0.2mmになる切削時間で工具寿命を評価し、ハイス工具による外削試験においては、切削不能になるまでの時間で工具寿命を評価した。
【0034】
・ドリル試験では、穴あけ総深さが1000mmで切削不能となる切削速度を求め、工具寿命(ドリル寿命速度)の指標とした。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
表3に、上記試験結果を示す。各特性値の目標値として、参考例No.28であるPb系非調質快削鋼をベースにし、引張強さ800MPa以上、疲労限400MPa以上、シャルピー衝撃値30J/cm2 以上、ドリル寿命速度55m/min以上とした。
【0038】
本発明例No.1〜13ではいずれも試験値は、上記目標値を満たしており、良好な特性を有する。これに対して、比較例No.14〜27及び参考例28〜29ではいずれも、少なくともいずれか一つの試験値が上記目標値を満たしていない。
【0039】
比較例No.14では、C含有率が本発明の下限値以下のため、引張強さが本発明例より低くなっている。また比較例No.15では、C含有率が本発明の上限値以上のため、絞り及び衝撃値が低く、切削性も劣る。
【0040】
比較例No.16では、Si含有率が本発明の上限値以上のため、絞り及び衝撃値が低く、切削性も劣る。
比較例No.17では、Mn含有率が本発明の下限値以下のため、引張強さが本発明例よりも低くなっている。比較例No.18では、Mn含有率が本発明の上限値以上のため、絞り及び衝撃値が低く、切削性も劣る。
【0041】
比較例No.19では、Cu+Ni+Cr+Mo含有率が本発明の上限値以上のため、衝撃値が低く、切削性も劣る。特に、本発明例No.1や本発明例No.3に比較して、衝撃値の低下が著しい。
【0042】
比較例No.20では、V含有率が本発明の下限値以下のため、引張強さ及び衝撃値が本発明例よりも低くなっている。比較例No.21では、V含有率が本発明の上限値以上のため、絞り及び衝撃値が低く、切削性が不良である。
【0043】
比較例No.22では、B含有率が本発明の下限値以下のため、切削性が不良である。比較例No.23では、B含有率が本発明の上限値以上のため、衝撃値が低下している。
【0044】
比較例No.24では、Ti含有率が本発明の上限値以上のため、疲労特性が劣化し、切削性も劣る。
比較例No.25では、S含有率が本発明の上限値以上のため、衝撃値が低下している。
【0045】
比較例No.26では、N含有率が本発明の下限値以下のため、切削性が不良である。
比較例No.27では、N含有率が本発明の上限値以上のため、衝撃値が低下しており、疲労特性も不良である。
【0046】
なお、上記試験で得られたデータに基づき、ドリル寿命速度とシャルピー衝撃値との関係を、図1にプロットした。本発明例は全て、ドリル寿命速度及びシャルピー衝撃値共に目標値を満たしている。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、自動車部品のクランクシャフトや各種足回り部品等の素材として用いられる非調質鋼を、Pbを添加しなくてもPb添加非調質鋼と同等以上の被削性及び一定レベルの靱性を有する快削非調質鋼を得ることができるので、地球環境維持に寄与する。また、高価で特別な元素を添加特殊で高価な添加元素を使用せずに、従来快削鋼として汎用的に用いられている成分元素で、切り屑処理性を含む切削性に優れており、靱性も望ましい所定レベルに維持された、高品質の快削非調質鋼が得られる。このような靱性に優れた快削非調質鋼を提供することがで、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例及び比較例の試験データより得られたドリル寿命速度とシャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- C :0.30〜0.55mass%、
Si:0.15〜0.40mass%、
Mn:0.80〜1.60mass%、
P :0.005〜0.050mass%、
S :0.040mass%以下、
Al:0.005〜0.035mass%、
V :0.04 〜0.15mass%、
Cu+Ni+Cr+Mo:0.45mass%以下、
B :0.0050〜0.0150mass%、及び、
N :0.008〜0.018mass%、
を含有し、Cu、Ni、CrおよびMoは、それぞれ不可避不純物であり、残部がFe及びCu、Ni、CrおよびMo以外の不可避不純物からなり、且つ、B/N:0.5〜1.5の範囲内にあることを特徴とする快削非調質鋼。 - C :0.30〜0.55mass%、
Si:0.15〜0.40mass%、
Mn:0.80〜1.60mass%、
P :0.005〜0.050mass%、
S :0.040mass%以下、
Al:0.005〜0.035mass%、
V :0.04 〜0.15mass%、
Cu+Ni+Cr+Mo:0.60mass%以下、
B :0.0050〜0.0150mass%、
Ti:0.005〜0.020mass%、及び、
N :0.010〜0.020mass%、
を含有し、Cu、Ni、CrおよびMoは、それぞれ不可避不純物であり、残部がFe及びCu、Ni、CrおよびMo以外の不可避的不純物からなり、且つ、B/(N−Ti/3.42):0.5〜1.5の範囲内にあることを特徴とする快削非調質鋼。 - 請求項1又は請求項2記載の発明において、
S :0.04〜0.08mass%、及び、
Ca:0.001〜0.003mass%
を含有することを特徴とする快削非調質鋼。
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