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JP3870046B2 - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

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JP3870046B2
JP3870046B2 JP2001236902A JP2001236902A JP3870046B2 JP 3870046 B2 JP3870046 B2 JP 3870046B2 JP 2001236902 A JP2001236902 A JP 2001236902A JP 2001236902 A JP2001236902 A JP 2001236902A JP 3870046 B2 JP3870046 B2 JP 3870046B2
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置及び記録方法に関し、特に画像を多階調で記録する記録装置及び記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
様々な記録方式のプリンタの中で、記録媒体に記録剤を付着することで記録媒体上にテキストや画像を形成するものがある。このような記録方式の代表例として、インクジェット記録装置がある。近年、インクジェット記録装置の性能が向上し、テキストばかりでなく、画像も記録されるようになってきた。
【0003】
インクジェット記録装置では、記録速度向上等のために、同一色同一濃度のインクを吐出可能な複数のインク吐出口(ノズル)を集積配列したノズル群を用い、さらに、このようなノズル群が、同一色で異なる濃度のインクや、異なる色についてそれぞれ配設されているのが通例である。また、同一色同一濃度のインクを吐出量を何段階かに変えて吐出可能としたものもある。
【0004】
これらのノズル群を設けたヘッドを、記録媒体に対して相対的に移動させつつノズルからインクを吐出させ、記録を行なう。
【0005】
ヘッドを記録媒体に対し、相対的に移動させる方法として、
(i)ノズル群は、X方向に略並行に配置され、記録媒体が停止している間に、X方向と直交する方向(Y方向)に記録ヘッドを移動させ、この間に記録を行い、その後記録媒体を間欠的にX方向に所定距離移動させ、ついで再度記録ヘッドをY方向に移動させ、以下、この動作を繰り返すことで記録を行なう、いわゆるスワスプリント方式
(ii)ノズル群を記録媒体のY方向の全幅分カバーするように固定して設け、記録媒体をX方向に一定速度で移動させる間に記録する、いわゆるフルマルチプリント方式
が実施されている。
【0006】
これらの方法で画像を記録する場合、画像を構成する単位として、画素が定義される。画素は、必ずしも、1つのドット(1つのノズルから1回のインク吐出によって記録媒体上に形成される部分)で構成されているとは限らず、一つの画素を複数のドットで形成するようにしても良い。複数のドットで形成する場合、略同じポイントに重ねて記録されても良いし、隣接するポイントに記録しても良い。いずれにせよ、予め決められた規則に従って決定される。記録すべき画像データは、画像処理手段によって、記録装置に適合した画像サイズになるように拡大補間、縮小等の処理をされる。次いで、それぞれの画素に対して、記録すべき色と濃度とが予め決められた規則に従って決定され、この決定に従って記録が実行される。前述のように、一つの画素は複数のドットで構成されても良いので、その場合は、一つの濃度とは限らず、異なる濃度のインクが選択され得る。吐出量可変のヘッドを使用している場合は、適宜吐出量すなわちドットのインク量を変えても良い。また、これらを組み合わせても良い。
【0007】
画像を記録する場合、画像データの階調を忠実に再現する方法として、ディザ法、誤差拡散法などの中間調処理法が行われる。さらに、ディザ法や誤差拡散法において、一つの画素の階調を多くすることで、より多くの階調を表現可能となる。このような記録方法の具体例は、特開平10−324002号公報に記載されている。
【0008】
すなわち、一つの色について、濃度の異なるインクを吐出可能なノズル群を用意しておき、これらのノズル群から、一つの画素に対して予め決められた限度内で選択的に複数回記録(以下重ね打ちと記述)することで、この画素で表現可能な濃度(記録OD値)の階調を多くすることができる。例えば、6種類の異なる濃度のインクを吐出可能なノズル群を用意し、600dpiの一つの画素を4回以内の重ね打ちを行なうとすると、50階調以上の表現が可能である。一つの画素を、隣接するポイント2×2で構成し、合計16回以内の重ね記録で構成するとすると、200階調以上の表現が可能である。濃度の異なるインクを吐出可能なノズル群を用意する変わりに、ノズルから吐出されるインクの量を可変とし、ドットのインク量を可変とすることで階調を表現しても良い。またこれらの組み合わせで階調を表現しても良い。
【0009】
これらの場合、表現しようとする画素の濃度(所望OD値)とインクの重ね記録の方法を対応させる規則を予め決めておき、この規則に従って実際の記録、すなわち、どのノズルでいつインクを吐出するか決定され、これに従って実際の記録制御手段により記録が行われる。
【0010】
一例としては、それぞれのインクで記録した場合の画素の記録OD値を測定しておき、この測定値によって、重ね打ちした場合の記録OD値を決定し、各重ね打ちパターンに対する画素の記録OD値を記述したテーブルを用意する。そして、記録すべき画素の所望OD値に近い記録OD値の重ね打ちのパターンを選択する。誤差拡散処理の場合は、記録すべき画素の所望OD値とテーブルの記録OD値との差を求め、これを誤差として隣接画素に振り分ける。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
世の中にはいろいろな画像が存在するが故に、プリンタに要求される特性も、用途や目的によってさまざまである。望ましくは、使用する用途に応じた、いろいろなプリンタを設計する場合に、記録特性を自由に設計できれば好ましい。
【0012】
特殊な記録特性を要求される例として、医療画像の例を述べる。
【0013】
医療画像等の一部の分野では、モノクロで記録されたモノクロ画像が依然として多数使用されている。その理由は、モノクロ画像の方が、人間の目の濃度分解能が高いため、濃度分解能が多く要求される分野においては、カラー画像よりも人間が認識できる情報量が多くなる為である。更に、記録媒体として、反射式のものをもちいるよりも、透過式のものを用いる方が、人間が認識できる濃度分解能が多くなることが知られている。一般的に、カラー画像に対する人間の目の濃度分解能は、8bit程度と言われているのに対し、モノクロ透過画像については、10乃至11bitといわれている。そして、医療用のX線写真やCT・MRI画像を透過メディアに記録されたものにおいては、実際に人間の濃度分解能限度まで読み取られ、診断の為の情報を提供している。このような高階調のモノクロ画像を記録するプリンタとして、画像信号に応じて変調されたレーザー光を銀塩フィルム上に照射し、このフィルムを現像処理することでフィルム上に画像を得るレーザーイメージャがある。このようなレーザーイメージャの場合、ある程度のマージンも見込んで12bitの濃度分解能で記録される場合が多い。しかしながら、このようなレーザーイメージャは高価であり、また、湿式の現像処理が必要であり、廃液処理や、メンテナンスが煩雑などの問題がある。湿式の現像処理を行なう変わりに、加熱することで現像処理を行なう、乾式銀塩方式のレーザーイメージャも存在するが、湿式に比較して画質が劣るという問題がある。
【0014】
他方、特開平10−324002号公報に記載のように、600dpiで50階調以上の濃度階調が可能なインクジェット方式で、更に誤差拡散処理を行なうことで、256階調の記録を行なうものも提案されている。特開平10−324002号公報では、256階調の記録例が示されている。入力画像データを256階調のかわりに4096階調とすれば、4096階調の記録が可能である。
【0015】
ここで、特開平10−324002号公報の記録ヘッドで使用するインクについて、以下の表1に示す。表1に示されるように使用するインクは6種類であり、濃度の高い方から順にA、B、C、D、E、Fとする。同時に、各インクA〜Fの染料濃度(%)及び透過濃度を示す。尚、各インクは染料及び溶媒からなり、溶媒には、界面活性剤、保湿剤等の各種添加剤が含まれている。これら添加剤は、記録ヘッドからの吐出特性、記録媒体上での吸収特性とを制御するものである。
【0016】
【表1】
Figure 0003870046
【0017】
これらのインクを用いて、同一画素に打ち込むインクの種類を最大4とした場合は、一つの画素で表すことのできる階調数は、6+6C2+6C3+6C4+1=57となる。尚、表1では、同一濃度になる組み合わせができないような染料濃度を持つインクが設定してある。また、この時の低濃度側4種のインクドット単独の濃度比は、低濃度側から1:2:4:8になっており、この57階調のうちから53階調を使用して画像を出力する。つまり、上述したように入力画像データ(4096階調)を53値化して画像を出力する。その時の各階調(53階調)を表現するためのインクの種類とその組み合わせを図19に示す。図中、No.の欄は各階調を示している。図中※で示した部分は、低濃度部分での濃度レベルの差が、高濃度部分と比較して小さくなるようにするために使用しない組み合わせを示している。インクA〜Fの欄において、○はそのインクを記録ヘッドから吐出することを示し、×はそのインクを記録ヘッドから吐出しないことを示している。また、d1[i](i=0〜52:整数)の欄は各階調を表現するインク濃度レベルを示している。また、th[i](i=1〜52:整数)の欄は入力画像データを53階調のいずれかの階調に決定するための閾値を示している。尚、閾値は、通常、インク濃度レベルd1[k−1]とインク濃度レベルdl[k]との間の中点のインク濃度レベルとして決定される。
【0018】
ここで各階調を示すインクの種類の組み合わせが組み合わせデータであり、その組み合わせデータに基づいて決定されるインク濃度レベルがインク濃度データである。
【0019】
そして、この53値のインク濃度レベル(d1[0]〜d1[57])と52値の閾値(th[1]〜th[52])を用いて、多値誤差拡散処理部で、入力画像データ(4096階調)を53値化する多値誤差拡散処理を行う。このように、上記公報記載の多値誤差拡散処理は、入力画像データを多値化するための閾値が複数、ここでは52値存在し、この点が通常の誤差拡散処理と大きく異なる。尚、ここでは、多値誤差拡散処理を用いて入力画像データの多値化を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、多値平均濃度保存法、多値ディザマトリックス法あるいはサブマトリックス法等の他の多値化の方法を用いて、入力画像データの多値化を行っても良い。
【0020】
次に、上記公報記載のインクジェット記録装置の記録制御の手順について、図20のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
図20は上記公報記載のインクジェット記録装置の記録制御の手順を示すフローチャートである。
【0022】
まず、ステップS1において、インク濃度データ・組み合わせデータ部に、インク濃度データ、組み合わせデータを含む記録ヘッドで使用するインクに関するデータを蓄積する。
【0023】
次に、ステップS2において、入力画像データを入力し、入力画像データが示す各画素について多値誤差拡散処理を行う。
【0024】
ここで、多値誤差拡散処理の詳細について、図21(a),(b)を参照して説明する。
【0025】
図21(a),(b)は上記公報記載の入力画像データと多値誤差拡散処理後に得られる53値化画像データの配置を示す模式図である。即ち、入力画像データが示す各画素ごとの4096濃度データ(0(黒)〜4095(透明))における画素の配置の一部を示す図である。
【0026】
図21(a)において、f(i,j)は多値化(53値化)しようとする注目画素(i,j)の4096濃度データレベルを有する。また、破線より上の各画素f(i−2,j−1)〜(i−1,j)は、既に多値化(53値化)処理が終了しており、B(i,j)は注目画素(i,j)の多値化(53値化)後の濃度データ("0","137.6",…,"4011.2","4080"の53個の値とする)を示している。また、注目画素(i,j)の多値化(53値化)後は、f(i,j+1),f(i,j+2),…と順次同様の多値化(53値化)処理を行う。
【0027】
まず、注目画素(i,j)の4096濃度データレベルf(i,j)は、閾値th[k]と比較演算する。
【0028】
th[k]≦f(i,j)<th〔k+1]…(1)
B(i,j)=dl[k]…(2)
そして、上記(1)式を満たすkを求め、(2)式により注目画素(i,j)の多値化(53値化)後の濃度データB(i,j)を決定する。
【0029】
続いて、図21(b)に示す誤差拡散マトリックスを用いて、上記の多値化処理で決定された濃度データB(i,j)と多値化処理前の4096濃度データレベルf(i,j)との間に生じた誤差errを、以下に示す(3)式によって演算する。
【0030】
err=f(i,j)−dl[k]…(3)
そして、演算された誤差errを、以下に示す(4)式に従って他の画素へ拡散する。
【0031】
f'(x,y)=f(x,y)+err×M(x−i,y−j)/31…(4)
このように、誤差errは、図21(b)に示すような誤差拡散マトリックスの配分に従い、各画素へ拡散され、以後、この拡散された誤差を含めた値f'(i,j)を用いて、同様に多値化(53値化)処理を行う。
【0032】
ステップS3において、データ分配部において、多値化(53値化)処理によって得られた濃度データB(i,j)に対応する上述した図19に示した組み合わせデータに基づいて、記録ヘッドに対するインク吐出制御データを生成する。例えば、濃度データB(i,j)=1036.8である場合、インクA,インクC,インクD,インクFが吐出されるように、インク吐出制御データを生成する。
【0033】
そして、ステップS4において、記録ヘッド・紙送り制御部において、インク吐出制御データに従って、記録ヘッドの駆動及び記録媒体の搬送を制御することにより階調画像が形成される。
【0034】
尚、上記公報では、600dpi相当のインクジェットヘッド(256ノズルマッチヘッド)を6個使用して、医療用階調画像(透過)を出力した。
【0035】
以上説明したように、上記公報記載の従来技術によれば、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に複数種類の濃淡インクを吐出できる記録ヘッドを設け、画像を形成する際には、画素を形成するインクドットを少なくとも1つ以上吐出して記録を行うことで、例えば、1つの記録ヘッドに多くの種類のインクを吐出できる記録ヘッドを新たに作成することなく、従来の記録ヘッドと同様の構成で記録する画像の階調数を増加させることができる。つまり、少なくとも新たな記録ヘッドを作成するような大幅なコストをかけることなく、階調数の多い良好な階調画像を得ることができる。
【0036】
この方式(4096階調)で実際にX線画像を記録したところ、良好な画質が得られた。しかしながら、画像の種類によっては、レーザーイメージャの画質に比較すると、いくつかの画質上の問題が発生した。その一例を以下に説明する。
【0037】
図22はこの方法により透明フィルム上に胸部X線画像を記録した例を示し、100はそのフィルムである。通常のX線写真では、肩の部分は、本来、滑らかに濃度が変わっているが、この例では、101に示す輪郭が現れた。これを本来輪郭のないところに輪郭が現れるという意味で、擬似輪郭と呼ぶ。このような擬似輪郭は、他にも、濃度が滑らかに変化する部分に現れた。この擬似輪郭が現れると、画像の品位が損なわれるばかりでなく、本来の目的である、画像診断にも悪影響を及ばす。
【0038】
このような擬似輪郭がなぜ発生するかについて、解析した結果、以下のような原因であることが判明した。
【0039】
一例として図19を参照し、濃度階調が3043から2974に変化する部分で考えると、この部分では、最初No.37の組み合せが主に使用され、次いでNo.36の組み合せが主に使用される。No.37とNo.36の組み合せを比較すると、No.37では、インクC、D、E、Fが使用され、No.36ではインクBが使用されていて、使用されているインクが大きく変わっていることがわかる。
【0040】
そして、No.37の組み合せが使用されるか、No.36の組み合せが使用されるかは、誤差拡散処理の結果で決定されるが、一般になだらかに階調が変化する部分で、徐々に切り替わるとは限らず、急に切り変わる。
【0041】
ところでインクは、表1にあるような濃度になるように調合するのであるが、実際には誤差が生じる。また、調合されたときには正しい値だったとしても、時間が経過すると、蒸発等により、若干変化する。実験によると、2〜3%の変化は通常起こり得、多い場合は5%程度変化する場合もある。その程度は、濃度変化を仮に3%とすると、例えばBインクだと、透過濃度で0.89×0.03=0.027程度である。すなわち、上記No.37からNo.36の移り変わりにおいて、インクC、D、E、Fが正しい値であったとしても、Bインクが3%変化したとすると、透過濃度で0.027の誤差が生じることを意味する。例えばある微小領域で、50%の画素で上記移り変わりがあると仮定すると、その領域の平均濃度で0.0135の誤差を生じる。
【0042】
他方、透過のフィルムに対し、人間の目の濃度分解能は10bit以上であり、これは、透過濃度に直すと、0.003である。よって、0.003以上の濃度差があると、これを輪郭として認識することになる。つまり、本来輪郭のないところであっても、0.003以上の濃度差があれば、輪郭として認識する。
【0043】
この数字0.003に対して、上述した濃度誤差である0.0135は十分大きい数字であり、この濃度誤差によって、容易に擬似輪郭が現れることになる。更に、ノズルによって吐出量にばらつきがある。均等にばらついていれば、ノズルの数が多いので、平均化効果により、全体としてのばらつきは少なくなるが、チップごとにばらつきに偏りがあると、これも濃度の誤差として現れることになる。
【0044】
もう一つの画質上の問題は、以下のようなことである。
【0045】
誤差拡散方式であると、最小記録OD値に比べて所望OD値が小さい場合、ある閾値までは、インクが打たれず、ある閾値に達した時に初めて最小記録OD値のインクが打たれる。そのため、透明から徐々に濃度が上がる部分で、あるところまで透明で、あるところから急に濃くなる、という現象(掃出し現象)が生じる。
【0046】
また、画質上の問題以外に、誤差拡散処理は記録しようとする画像が変わるたびに、画素ごとに計算が発生するため、処理時間がかかるという問題がある。特に、誤差を周囲の画素に振り分ける際に、掛け算や割り算が多数発生する。画質を向上するために、振り分ける画素を多くするとさらに計算は多くなる。高精細な画像に対応するために、画素の大きさを300dpiや600dpiのように小さくすると、画素数が多く、処理時間がかかる。特に、医療画像の場合、14×17インチの大判のフィルムに記録する場合が多いので、上記問題は深刻である。
【0047】
以上、極めて高いレベルの画質が要求される例を述べたが、画質はそれほどでもないが、高速に記録したい場合、できるだけ機構を簡素化して、しかも高画質が記録できる安価なプリンタが求められる場合もある。
【0048】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、記録画像の用途等に応じて出力特性を容易に変更可能で、高画質の画像を高速に記録できる記録装置及び記録方法を提供することである。
【0049】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明の記録装置は、同色系で濃度の異なる複数種のインク吐出する記録ヘッドを用い、画像データを構成する画素の濃度情報値に基づいて記録媒体上の画素に前記複数種のインクが重なるように吐出することで当該吐出される複数種のインクの組合せにより表現される濃度を有する画素を含む画像を記録する記録装置であって、複数段階の前記濃度情報値の夫々について前記画像データを複数のブロックに分割してなる各ブロックを構成する複数の画素各々について前記ブロック内の位置を表す番地情報前記画素に吐出すべきインクの組合せを表す組合せ情報を対応させたデータを格納したデータ格納部と、対象画素の濃度情報値および番地情報に基づき、前記データ格納部に格納されたデータを参照し、前記対象画素に吐出すべきインクの組合せ情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記組合せ情報に基づいて前記記録ヘッドから前記対象画素に対してインク吐出させる記録制御手段とを具備し、前記データ格納部に格納されたデータが示す前記複数段階の濃度情報値の内、同じ濃度情報値には、ある番地情報と別の番地情報とに対し異なるインクの組合せを表す異なる前記組合せ情報が対応する。
【0050】
また、本発明の記録方法は、同色系で濃度の異なる複数種のインク吐出する記録ヘッドを用い、画像データを構成する画素の濃度情報値に基づいて記録媒体上の画素に前記複数種のインクが重なるように吐出することで当該吐出される複数種のインクの組合せにより表現される濃度を有する画素を含む画像を記録する記録方法であって、複数段階の前記濃度情報値の夫々について前記画像データを複数のブロックに分割してなる各ブロックを構成する複数の画素各々の前記ブロック内の位置を表す番地情報前記画素に吐出すべきインクの組合せを表す組合せ情報を対応させたデータを格納したデータ格納部を参照し、対象画素の濃度情報値および番地情報に基づき前記対象画素に吐出すべきインクの組合せ情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得された前記組合せ情報に基づいて前記記録ヘッドから前記対象画素に対してインク吐出させる工程とを備え、前記データ格納部に格納されたデータが示す前記複数段階の濃度情報値の内、同じ濃度情報値には、ある番地情報と別の番地情報とに対し異なるインクの組合せを表す異なる前記組合せ情報が対応する。
【0051】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る実施形態のインクジェット記録装置の要部(記録部)を示す斜視図、図2は、図1をA方向から見た側面図、図3はキャリッジを上方向から見た部分詳細図、図4(a)はヘッドを図1の下側から見た部分詳細図、図4(b)はシートにインクが打ち込まれた状態を示す図、図5はキャリッジを下から見た部分詳細図である。
【0052】
図1乃至図5に示すように、501は画像を記録されるシート、502及び503と、504及び505とはそれぞれ対になってシートをX方向に搬送するローラで、505は、長手方向に所定間隔で膨出部506が配設され、506がシート501に接触する。507はモータ、508はモータ軸に取り付けられたプーリ、509及び510はローラ502,504の一端に取り付けられたプーリで、ベルト511によってプーリ508に結合されており、モータの回転によってローラ502,504が回転する。また、ローラ503,505は、不図示の付勢機構によりローラ502,504に押し付けられる方向に付勢され、これらの構成によりシートをX方向に搬送する。512は、複数のヘッド513a〜513rを搭載するキャリッジで、各ヘッドには図4(a)に示すように、多数のノズルがシート面に対面するよう配設されている。516,517は、キャリッジ512を摺動可能に保持するシャフトで、516はキャリッジ512に設けられた孔518を貫通し、また、キャリッジ512に設けられた突起部分519がシャフト517上に当接する構造になっている。これらの構成によって、ヘッド513のノズルの設けられた面が所定距離dでシートに対面する。520は、その1部をキャリッジ512に固定されたベルトで、モータ521の軸に取り付けられたプーリ522及び固定軸523に回転可能に取り付けられたプーリ524との間を結合している。これらの構成によって、モータ521の回転によりキャリッジがY方向及びその反対方向に移動可能となり、シートのY方向全域及び、キャリッジの待機位置である512a及びシートに関して512aと対象の位置に移動可能である。なお、ヘッドがシート上を移動する間、ノズル面とシートの間隔は、所定距離dに保たれるように構成されている。526a〜526rは、インクを入れたインクカートリッジで、ヘッド513a〜513rに装着され、ヘッドにインクを供給するようになっている。ヘッドカートリッジ526a〜526rは、ヘッド513a〜513rに対し、それぞれ着脱自在となっており、インクカートリッジのインクがなくなったら、取り外して新しいインクカートリッジを取り付けることでインクを補給できるようになっている。インクカートリッジは、18個用意されている。その内訳は、一例では黒の濃度の異なるもの8種類(薄い方から#1〜#8)とし、♯1〜♯4を1個、#5を2個、#6〜♯8を各4個である。525は、ローラ502,504間に設けられたシートガイドである。515は、シート上にノズルでインクを吐出した時にシート上に形成されるドットである。
【0053】
図6は記録制御手段のブロック図である。
【0054】
図6に示すように、1はスキャナ、X線撮影装置、X線CTスキャナ装置、MRI装置などの外部機器からの画像データを入力するための画像入力部で、記録しようとする画像の各画素に対する画像データ(CV値)が入力される。2は各種パラメータの設定および記録開始等を指示する各種キーを備えている操作部、3は記憶媒体中の各種プログラムに従って本記録装置全体を制御するCPUである。
【0055】
4は制御プログラムやエラー処理プログラムに従って本記録装置を動作させるためのプログラムなどを格納している記憶媒体(データ格納部)である。本記録装置の動作はすべてこのプログラムによる動作である。該プログラムを格納する記憶媒体4としては、ROM,FD,CD−ROM,HD,メモリカード,光磁気ディスクなどを用いることができる。
【0056】
記憶媒体(データ格納部)4において4aはガンマ変換処理で参照するためのガンマ補正変換テーブル、4bは後述のブロック内番地(4×4)指定テーブル、4cは後述の重ね打ちパターン振り分けテーブル、4dは、後述のCD値対記録OD値対応テーブル、4eは各種プログラムを格納しているプログラム群をそれぞれ示している。
【0057】
5は記憶媒体4中の各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリア及び画像処理時のワークエリアとして用いるRAMである。
【0058】
6は入力画像を格納するイメージメモリである。
【0059】
7は入力画像を元に、インクジェットで多階調を実現するための吐出パターンを作成する画像処理部、8は2値化された画像データを格納するビットプレーンメモリである。
【0060】
9は記録時に画像処理部で作成された吐出パターンに基づいてドット画像を形成するプリンタ部であり、図1に示した記録部を含む。10は本記録装置内のアドレス信号、データ、制御信号などを伝送するバスラインである。
[画像処理部の詳細]
次に、図7を参照して、図6に示す画像処理部7の詳細について説明する。
【0061】
尚、以下に述べるプロセスは、ハード(画像処理ボード)で実行するように構成することもできるし、ソフトで実行するように構成することもできる。ソフトで実行する場合には、画像処理部7は存在せず、制御プログラム群の中に画像処理プログラムを格納し、CPUの制御により、このプログラムが実行されることで以下のプロセスが実行される。
【0062】
ガンマ補正処理工程11では、画像入力部1で入力される画像データCVを、予め用意されたガンマ補正変換テーブル4aを用いて濃度を表す濃度データCD(階調値)に変換し、イメージメモリ6に格納する。この実施形態では、CD値のレベル分けを、12bitとしている。
【0063】
前段処理工程12では、イメージメモリの画像に対し、拡大補間処理、画像回転、フォーマッティングなどの処理を行なう。注目画素選択工程13では、イメージメモリ領域内のこれから処理をしようとする一画素(対象画素)を選択し、濃度データCDを得る。
【0064】
ブロック内番地参照工程14では、ブロック内番地指定テーブル4bを参照して、処理しようとする注目画素がブロック内の何番地であるかのデータを得る。
【0065】
重ね打ちパターン振り分けテーブル4cの該当CD値及び番地参照工程15では、該注目画素(対象画素)のCD値に対応する重ね打ちパターン振り分けテーブル4cを参照し、この重ね打ちパターン振り分けテーブル、注目画素のCD値及び注目画素の番地データを参照して該注目画素(対象画素)のインク組み合せを得る。
【0066】
インク分配処理工程16では、上述のように得られたインク組み合せに従い、各濃度のインクの吐出、不吐出の2値信号を決定し、更にこれを所定の規則により、各ヘッドの吐出、不吐出の2値信号を決定して、各ヘッド毎のビットプレーンに記録する。
【0067】
以上の処理を行うことにより、注目した一画素の処理が終了する。
【0068】
画像の濃度データCDをもとに、前記14、15、16の処理をある領域分の全画素数繰り返すことにより、異なる濃度を持つそれぞれのヘッドに対する各画素ごとの吐出、不吐出の2値信号d1,d2,d3,…が形成される。
【0069】
ここで、上記領域は、記録しようとする1ページ全領域とし、1ページ分のビットプレーンを完成させてから以下に記す記録のプロセスに移行しても良いし、1ページを何分の一かに分割し、分割した領域ごとにビットプレーンを完成させ、まずこの領域の記録を行なったのち、次の領域の処理に移っても良い。後者の場合、それぞれのビットプレーンを更に複数に分け、前の領域の記録プロセスを行なっている間に次の領域のビットプレーンを作成するようにしても良い。
【0070】
記録を行う場合には、図2で、不図示の手段によりシート501が図の左方向からローラ502,503の間に送り込まれる。ついでシートは、モータ507により、所定距離ずつ間欠的にX方向に送られる。シートが停止している間に、モータ521が回転し、キャリッジをY方向に一定の速度で移動させる。キャリッジ上のヘッドが、シートの上を通過する間に、図6,図7の記録制御手段により、画像信号に対応したノズル吐出指令信号が送られ、これに従って各ノズルから選択的に液滴が吐出される。ヘッドがシート上を通過して、シート上から離れた位置にある間にモータ507がシートを所定距離X方向に移動して停止し、ここで再びモーター507がシートを所定スピードで移動させ、同様に選択的に液滴を吐出させる。以下これを繰り返すことで、最終的にシート上に所望の画像が記録される。記録が終了したシートは、504,506にて図2の左方向に搬送され、ついで不図示の搬送手段で図2の左方向に排出される。
[各種テーブルの一例]
次に、記憶媒体4に格納されている各種テーブルについて、例をあげて説明する。
【0071】
図8は、1ページの画像をブロックに分けたものを示す図で、a1,a2,a3,…,b1,b2,b3,…,c1,c2,c3…,がブロックを示す。
【0072】
図9(a)〜(e)は、一つのブロックの画素構成の例で、(a),(b),(c),(d),(e)の順に、横×縦が、2×1、1×2、2×2、4×4、変則2×4の例を示す。図9(e)のように、必ずしも矩形でなくとも良い。図9(a)〜(e)で、A1,A2,A3,…は、ブロック内の画素に付けられた番地を示す。図のように、一定の規則により配列しても良いし、ランダムに配列しても良い。また、全てのブロックを同じ配列にしても良いし、ブロック毎に変えても良い。これらの規則をテーブルに表したものが、ブロック内番地指定テーブルである。テーブルを設ける代わりに、あるアルゴリズムを与え、これにより各画素の番地をきめても良い。以下の説明は、4×4の例で行なう。
【0073】
各画素の大きさは、さまざまなものがあるが、以下の説明では、600dpiとする。この場合、ブロックの大きさは2×2単位だと300dpi相当、4×4単位だと150dpi相当となる。
【0074】
図10A及び10Bは、重ね打ちパターン振り分けテーブルの一例である。CD値の欄に縦に並んでいる数字は、CD値を示す。横に並んでいるA1〜A16は、図9(d)のように構成されたブロック内における各画素の番地を示す。ブロック番地の下の数字のうち、網掛けでない部分の各CD値ごとに4つずつ縦に並んでいる数字は、該当CD値の該当ブロック番地に対して重ね打ちされるインクの種類名を示している。×は打たないことを意味する。ここでは、一つの画素に対して、4つまで重ね打ちできる場合を示している。この例では、インクの種類名は、#1〜#8の8種類であり、これらの記録OD値は0.012、0.024、0.048、0.096、0.144、0.192、0.384、0.768である。この例では、各画素の記録OD値は、重ね打ちされた記録OD値の合計で示される、いわゆる加成性が成り立つものとしている。また、この例では、各ヘッドから吐出されるインク量が実質的に同一の場合の例を述べる。インク量が可変の場合は、例えば0.048のインクが2単位量吐出される場合は、記録OD値が0.096になると考え、以下の説明を適用できる。A1〜A16の下の網掛けの数字は、その下に記されているインクの記録OD値の合計である。尚、この合計値は、説明のためだけであり、実際のテーブルには設ける必要はない。α1〜α4は、図9(d)のブロック内での、2×2のサブブロックである。すなわち、α1は第1サブブロック(A1,A5,A9,A13)、α2は第2サブブロック(A2,A6,A10,A14)、α3は第3サブブロック(A3,A7,A11,A15)、α4は第4サブブロック(A4,A8,A12,A16)を示し、下の数字は、各サブブロックを構成する画素の記録OD値の平均を示す。尚、サブブロックα1〜α4は必ずしも設けなくてもよい。
【0075】
ここで、CD=0(64のインクをすべての番地に4回づつ打つ)から、CD=4095(すべての番地にインクを打たない)まで、4096のCD値に対してテーブルが用意されている。(異なる組み合せは4096より少ないので、いくつかのCD値に対しては、A1〜A16番地までの使用インクの組み合せは同じになることがあるが、この場合にはCD値が異なっても、同じ記録OD値に打たれる)
以上の構成により、図7の重ね打ちパターン振り分けテーブルの該当CD値及び番地参照工程15において、処理中の注目画素のCD値、注目画素のブロック内番地及び図10A及び10Bのテーブルから、該当注目画素に対して重ね打ちすべきインクの組み合せを決定する。
【0076】
尚、図10A及び10Bのテーブルを以下のように、2つに別けても良い。すなわち、4回の重ね打ちをする各種インクの組み合せを1つのテーブルに作成し、それぞれの組み合せに名前をつける。そして、図10A及び10Bのテーブルは、各番地に、重ね打ちするインク名を記入するかわりに、上の組み合せ名を記入しておく。そして、該当画素のCD値と番地に対応して、この組み合せで重ね打ちを行なう。このように、テーブルを2つに分けることで、全体のテーブルのボリュームを減らすことができ、メモリの節約になる。
【0077】
上のテーブルで、各番地に配置する記録OD値のならべ方は、いろいろ考えられるが、例えば、a個の画素(A1,A2,…,Aa)の記録OD値DA1,DA2,…,DAaが、DA1≧DA2≧DA3≧…≧DAaとなるように並べる方法がある。これは設計する際に、わかりやすい。そして、a個の画素(DA1,A2,…,Aa)の配列を、図9(d)に示すように、番地の隣り合う画素は、隣接しないように配列すると、所望OD値が上がる(または下がる)場合に、ブロックの中で偏らずに、記録OD値が上がる(又は下がる)ようにすることができる。このようにすることによって、所望OD値が上がる(又は下がる)場合に、見た目にざらつきが少なく、なめらかに変化とて見えるようになる。
[多階調記録の原理]
次に、以上の構成と手順により、多階調記録が可能な理由を説明する。
【0078】
図10Bによれば、ある1つのブロック内の全画素が同じCD値、例えばCD=4092を示すとすると、このブロック内には、記録OD値0.012のインクが3回打ち込まれることになる。面積階調の原理によれば、このブロックの記録OD値は、A1〜A16までの各画素の記録OD値の平均となる。つまりブロックの記録OD値は、0.012×3/16となる。また、別の1つのブロック内の全画素がCD=4091を示すとすると、同様にそのブロックの記録OD値は0.012×4/16となる。0.012〜0.768の記録OD値のインクを4回まで使用可能なので、CD=0では記録OD値の平均は3.07(=最も濃いインクの記録OD値0.768×重ね打ちできる回数4)となる。よって、0.012/16刻みで0〜3.07まで、すなわち、4096段階(途中いくつかのCD値に対して同じ記録OD値に打たれる部分があるので、実際にはこれより若干少ない)の表現が可能になる。
【0079】
次に、第1サブブロックの画素がすべてCD=4092、第2サブブロックの画素が全てCD=4088である場合、図10Bによれば、第1サブブロック内のA1画素に対して記録OD値0.012のインクが1回使用され、第2サブブロック内のA2及びA6画素に対して記録OD値0.012のインクが2回使用されるので、結局のところ、第1サブブロックには記録OD値0.012のインクが1回、第2サブブロックには記録OD値0.012のインクが2回使用されることになる。すなわち、サブブロック単位では、おおむねCD値の差が4あれば、平均記録OD値が異なる。すなわち、サブブロック単位では、約1000階調の表現が可能である。同様に、各画素単位では、約256階調の表現が可能である。(いずれも、途中いくつかのCD値に対して同じ記録OD値に打たれる部分があるので、実際にはこれより若干少ない。)
[擬似輪郭対策]
次に、本発明により、擬似輪郭が消失する理由を説明する。ここでは、CD値が3043付近の例で説明するが、他の部分でも同様である。図10A及び10Bのテーブルで、CD値3043とCD値3044とを比較すると、16画素の中で、A7画素に対して打ち込むべきインクの組み合わせだけが異なっている。具体的には、♯7のインクの打ち込み回数が1回だけ増加し、#6のインクの打ち込み回数が2回減少している。仮に♯6のインクによる記録OD値が設計値通り、♯7のインクによる記録OD値が誤差3%だとすると、この16画素での平均の誤差は、0.384×0.03/16=0.00072となる。これは既に説明した人間の目の分解能(濃度差=0.003)よりも小さい値であり、輪郭としては認識されない。すなわち、擬似輪郭は発生しない。もちろん、例えばCD値3044から3039に急変する場所では、#7のインクの打ち込み回数が5回増加、#6のインクの打ち込み回数が10回減少しているので、上記と同じ誤差を仮定すると、誤差は0.384×0.03×5/16=0.0036となるが、このような場所ではもともと輪郭が見えるので、問題にならない。
【0080】
更に加えると、本発明者らは、階調がなだらかに変化する画像を記録する際に、従来のように濃度の異なる画素に一度に切り換えるのではなく、濃度の異なる画素を使用する比率を段階的に上昇させることにより、擬似輪郭として認識されにくくなることを見出した。
【0081】
図23は、濃度が1段階濃い画素に切り換わるパターンの例を示している。図23(a)のパターンは、従来から用いられているパターンであり、低い濃度の画素から1段濃い画素に一斉に切り換わる。このパターンでは、上述のように、図中点線で示した境界部分が輪郭として認識できない濃度差の上限が0.003である。
【0082】
一方、図23(b)のパターンは、1段濃い濃度の画素を使用する比率を、1/4,2/4,3/4,4/4の4つのステップで段階的に徐々に上昇させる。このパターンでは、図中点線で示した境界部分が輪郭として認識できない濃度差の上限は0.015である。
【0083】
また、図23(c)のパターンは、1段濃い濃度の画素を使用する比率を、1/16,2/16,…,16/16の16のステップで段階的に徐々に上昇させる。このパターンでは、図中点線で示した境界部分が輪郭として認識できない濃度差の上限は0.03である。
【0084】
このように、濃度の異なる画素の使用比率を段階的に上昇させることにより、境界の輪郭が見えにくくなる。
【0085】
従って、濃度が滑らかに変化する場合に、図23(c)のパターンで変化するように画素の出現パターンをコントロールすることで、最小濃度差が0.03以下であれば擬似輪郭を見えないようにできる。また、図23(b)のパターンで変化するように画素の出現パターンをコントロールすることで、最小濃度差が0.015以下で擬似輪郭を見えないようにできる。
【0086】
このことを換言すると、次のようになる。即ち、図23(b)のパターンは、濃度が滑らかに変化(階調値が1増加)する場合に、1段濃い濃度の画素が出現する確率が1/4ということである。また、図23(c)のパターンは、濃度が滑らかに変化(階調値が1増加)する場合に、1段濃い濃度の画素が出現する確率が1/16ということである。
【0087】
このように、濃度が滑らかに変化(階調値が1増加)する場合に、1段濃い濃度の画素が出現する確率をコントロールすることにより、擬似輪郭を見えないようにすることができる。
【0088】
尚、図10A及び10Bのテーブル作成については、目的に応じていろいろな方法が考えられる。4×4のブロック単位での階調をできるだけ多くするためには、ブロック内の各番地の画素の記録OD値の差を無視しても、いくつかのCD値に対して同じ記録OD値に打たれる部分を少なくし、平均記録OD値の段階をできるだけ多くする方が良い。2×2のサブブロック単位での階調をできるだけ多くするためには、ブロック内の各番地の画素の記録OD値の差は無視するが、一つのブロック内にあるサブブロックの平均記録OD値ができるだけ均一になるようにすると良い。また、できるだけ画像のざらつきを押さえるためには、階調の段階数を犠牲にしても、一つのブロック内の各画素の記録OD値をできるだけ近づけるのが良い。
[第2実施形態]
第2実施形態について、図11,図12,図13を参照して説明する。
【0089】
第2実施形態では、インクの種類は#1〜#7の7種類であり、その記録OD値は0.024、0.048、0.096、0.144、0.192、0.384、0.768である。7種類としたのは、説明の都合だけで、第1実施形態と同様、8種類でも良い。図11は、概略、図10A及び10Bと同じ構成であるが、CD値の代わりに記録OD値の欄を設け、A1からA16までの各画素の記録OD値の平均が記入されている。図12は、CD値と図11の記録OD値とを対応させるテーブルで、0〜4095のCD値に対して、それを表現するのに最適な記録OD値が図11の記録OD値のうちから選択されて記入されている。図13は、図7に対応する図で、図7と一部のみ異なっている。
【0090】
この例では、図13の重ね打ちパターン振り分けテーブルの該当CD値、該当番地参照15において、注目画素のCD値から、図12のCD値対記録OD値対応テーブルにより、記録OD値を決め、さらに図11のテーブルによりその記録OD値の行から該当番地の画素に対応する重ね打ちパターンを決定する。
【0091】
この方法によると、テーブルは一つ増えるが、テーブルの全体量を減らすことができ、メモリの節約になる。なお、濃淡記録を行なうことで形成される記録媒体上の濃度と前記濃度データとの対応関係を得るための手段として、図12のテーブルを設ける代わりに、CD値と記録OD値を対応させるアルゴリズム(例えば計算式)を用意し、これに従って対応させても良い。
【0092】
さらにこの方法によると、後述の第3実施形態のように、記録OD値を補正することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態について、図14(a),(b),図15,図16を参照して説明する。
【0093】
第1実施形態では加成性を前提にしている。我々の実験によると、透過メディアではほぼ加成性が成立するが、反射メディアの場合には加成性は成立しない。また、透過メディアでも、記録OD値が濃くなると、厳密には加成性が成り立たない。このような場合にも、以下のような補正方法を導入すれば、本発明が適用できる。
【0094】
すなわち、加成性が成立する仮想記録OD値(インク値)を想定し、実際の記録OD値とこのインク値とをグラフや関係式で対応づける。そして、インクを重ね打ちする場合には、まず、重ね打ちするインクの記録OD値から、前記対応によって、インク値を求め、重ね打ちするインクのインク値を合計する。ついで、再度前記対応により、重ね打ちした画素の記録OD値を求める。図14(a),(b)は、このような例のグラフである。横軸xはインク値に比例する値(反射メディアでは#8のインク値を1に換算した数字、透過メディアでは#8のインク値を32に換算した数字になっている)、縦軸yがOD値である。(a)が各種反射メディアについての結果、(b)が各種透過メディアについての結果である。インク値は、CD値に比例するから、図14(a),(b)に記入すると、直線で表される。記録OD値は、低濃度領域では、インク値とほぼ同じであるが、濃度があがるにつれてずれてくる。このような曲線は一般的にxの多項式で近似できる。一例として、透過メディアの場合で、y=ax+bx2+cx3+dx4と近似し、定数を求めたところ、a=0.94256、b=−0.14854、c=0.047632、d=−0.0062243が記録OD値に良い近似を与えることがわかった。
【0095】
尚、この例では、インクは#1〜#8まで8種類使用するが、そのインク値が、0.012、0.024、0.048、0.096、0.144、0.192、0.384、0.768になるようにしている。図15は、図11に対応するテーブルである。この例では、一部1画素に対して5回重ね打ち可能としている。図15で、各階調、各番地毎に、重ね打ちされるインク値の合計を求め、この値をxとして上の式を用いて補正した値yを、網掛け部分に記入してある。記録OD値の欄の数字は、右16画素の記録OD値の平均値である。図16は、図12に対応するテーブルで、各CD値に対し、図15のテーブルの中から、使用する行の記録OD値が記入してある。
【0096】
反射メディアの場合も、上の式で、適切な係数を求めれば、同様に補正が可能であり、この補正式を用いて、同様に記録することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態について、図17(a)〜(c),図18A及び18Bを参照して説明する。
【0097】
図17(a)〜(c)は、図8に対応する図で、4×4のブロックがA,Bの2種類あり、これらが、図17(c)のように配置されている。図18A及び18Bは、図10A及び10Bに対応する図で、図10A及び10Bと同様のテーブルで、ブロックAとブロックBがそれぞれ設けられている。β1〜β4は、ブロックB内での、2×2のサブブロックである。すなわち、β1は第1サブブロック(B1,B5,B9,B13)、β2は第2サブブロック(B2,B6,B10,B14)、β3は第3サブブロック(B3,B7,B11,B15)、β4は第4サブブロック(B4,B8,B12,B16)を示し、下の数字は、各サブブロックを構成する画素の記録OD値の平均を示す。尚、サブブロックβ1〜β4は必ずしも設けなくてもよい。
【0098】
ブロックAのテーブルとブロックBのテーブルは、略同じであるが、一部のみ異なっている(網かけ部分)。この例では、CD値の変化に対して、インクの切り替わりの割合がさらに少なくなっている。すなわち、図10A及び10Bでは、CD値の1の変化に対して、#7のインクの使用個数がブロック内で1個ずつ変化しているが、図18A及び18Bでは、CD値の1の変化に対して、#7のインクの使用個数が、ブロックA、ブロックBで交互に1個ずつ変化しており、その変化割合は1/2になっている。このため、ブロックAとブロックBをあわせた平均記録OD値で考えると、所望OD値と記録OD値の誤差は、前述の仮定のもとで、0.384×0.03/(16×2)=0.00036となり、図10A及び10Bの例よりもさらに小さくなる。
【0099】
ブロックの数は、2種類に限らず、例えば4種類、9種類などにすることもでき、その場合は、更に所望OD値と平均記録OD値の誤差を小さくできる。第4実施形態によれば、#8のインクのように濃いインクの場合や、インクの記録OD値変動が更に大きい場合に有効である。
[他の手段]
インクジェットの方式については、特に制限はない。本実施形態では、液体のインクを用いる例を述べたが、固形のインクを溶かして吐出するものでもよい。この場合は、インクの補給は固形インクを交換することになる。シートは反射、透過いずれでもよい。
【0100】
シートを間欠送りさせ、シートが停止している間にシート送り方向と直交する方向にヘッドを移動させて記録する本実施形態に止まらず、シートを定速で送り、シートの送り方向と直交する方向にシート幅をカバーするようにライン状の固定ヘッドを設け、シートが定速で送られる間に記録を行う方式でも良い。この場合は、それぞれ異なるインクについてシートの幅をカバーする長さのヘッドを装着しておく。
【0101】
インクの供給方式は、図1のようなカートリッジ方式に限らない。キャリッジ上とは別にインクタンクを設け、インクタンクからチューブでヘッドにインクを供給する方式でも良い。
【0102】
また、使用量の多いインクのみチューブ供給とし、それ以外はカートリッジ方式としても良い。
【0103】
なお、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0104】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0105】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0106】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0107】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0108】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0109】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0110】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0111】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0112】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0113】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0114】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0115】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0116】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0117】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した図7に示すフローチャートに対応するプログラムコード及び各種テーブルが格納されることになる。
【0118】
以上のように、本実施形態のようなテーブルを用いることで、画像特性を自由にコントロールすることができ、特に、実施形態として説明したように、CD値の変化に対する各インクの出現頻度をコントロールすることができる。すなわち、CD値の変化に対して、各インクの(特に濃いインクの)出現頻度を滑らかに変化させることにより、所望OD値と記録OD値の誤差があっても、擬似輪郭のない画像を得ることができる。
【0119】
誤差拡散処理でも、拡散の係数を変えることで、ある程度CD値の変化に対する各インクの出現頻度が変わるが、本実施形態のように、きめ細かく、しかも、全てのCD値にわたって自由に設定することはできない。
【0120】
誤差拡散では、誤差拡散処理時、計算が必要になるが、この例では、テーブルを参照するだけなので、処理時間が少なくて良い。各画素(600dpi)で表現できる階調数が誤差拡散と同じ場合には、誤差拡散の方が滑らかな画像が得られるが、本実施形態では、上述のように、処理時間が短くできるので、その分各表現できる階調数を増やすことができる。例えば、特開平10−324002号公報では、濃淡インクの種類を6種類、各画素で表現できる濃度は50種類程度であるが、上記実施形態では、濃淡インクの種類を8種類とし、各画素(600dpi)で表現できる濃度を256階調としている。この結果、画素2×2単位(300dpi)では、1000階調、画素4×4単位(150dpi)では、4000階調の表現を可能としている。この方法により、実際に胸部X線画像を記録したところ、擬似輪郭は軽減された。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録画像の用途等に応じて出力特性を容易に変更可能で、高画質の画像を高速に記録できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態のインクジェット記録装置の要部(記録部)を示す斜視図である。
【図2】図1をA方向から見た側面図である。
【図3】キャリッジを上方向から見た部分詳細図である。
【図4】(a)は、はヘッドを図1の下側から見た部分詳細図、(b)はシートにインクが打ち込まれた状態を示す図である。
【図5】キャリッジを下から見た部分詳細図である。
【図6】記録制御手段のブロック図である。
【図7】画像処理部のブロック図である。
【図8】画素をブロックに分割する例を示す図である。
【図9】ブロック番地指定テーブルの例を示す図である。
【図10A】第1実施形態の重ね打ちパターン振り分けテーブルを示す図である。
【図10B】第1実施形態の重ね打ちパターン振り分けテーブルを示す図である。
【図11】第2実施形態の重ね打ちパターン振り分けテーブルを示す図である。
【図12】CD値と図11の記録OD値とを対応させるテーブルを示す図である。
【図13】第2実施形態の画像処理部のブロック図である。
【図14】インク値対濃度のグラフである。
【図15】第3実施形態の重ね打ちパターン振り分けテーブルを示す図である。
【図16】CD値と図15の記録OD値とを対応させるテーブルを示す図である。
【図17】第4実施形態として画素を2ブロックに分割する例を示す図である。
【図18A】第4実施形態の重ね打ちパターン振り分けテーブルを示す図である。
【図18B】第4実施形態の重ね打ちパターン振り分けテーブルを示す図である。
【図19】入力画像データ(4096階調)を53値化して画像を出力する時の各階調(53階調)を表現するためのインクの種類とその組み合せのテーブルを示す図である。
【図20】従来のインクジェット記録装置の記録制御の手順を示すフローチャートである。
【図21】従来の入力画像データと多値誤差拡散処理後に得られる53値化画像データの配置を示す模式図である。
【図22】従来の方法により透明フィルム上に胸部X線画像を記録した例を示し、擬似輪郭の説明図である。
【図23】擬似輪郭の低減方法を説明する図である。
【符号の説明】
501 シート
512 キャリッジ
513a〜513r 記録ヘッド
514 ノズル
526a〜526r インクカートリッジ
1 画像入力部
2 操作部
3 CPU
4 記憶媒体
4a ガンマ補正変換テーブル
4b ブロック番地指定テーブル
4c 重ね打ちパターン振り分けテーブル
4d CD値対記録OD値対応テーブル
4e 制御プログラム群
5 RAM
6 イメージメモリ
7 画像処理部
8 ビットプレーンメモリ
9 プリンタ部
10 バスライン
20 画像
21 ブロック
22 画素
100 X線記録画像
101 擬似輪郭

Claims (12)

  1. 同色系で濃度の異なる複数種のインク吐出する記録ヘッドを用い、画像データを構成する画素の濃度情報値に基づいて記録媒体上の画素に前記複数種のインクが重なるように吐出することで当該吐出される複数種のインクの組合せにより表現される濃度を有する画素を含む画像を記録する記録装置であって、
    複数段階の前記濃度情報値の夫々について前記画像データを複数のブロックに分割してなる各ブロックを構成する複数の画素各々について前記ブロック内の位置を表す番地情報前記画素に吐出すべきインクの組合せを表す組合せ情報を対応させたデータを格納したデータ格納部と、
    対象画素の濃度情報値および番地情報に基づき、前記データ格納部に格納されたデータを参照し、前記対象画素に吐出すべきインクの組合せ情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記組合せ情報に基づいて前記記録ヘッドから前記対象画素に対してインク吐出させる記録制御手段とを具備し、
    前記データ格納部に格納されたデータが示す前記複数段階の濃度情報値の内、同じ濃度情報値には、ある番地情報と別の番地情報とに対し異なるインクの組合せを表す異なる前記組合せ情報が対応することを特徴とする記録装置。
  2. 前記データ格納部に格納されるデータは、前記ブロック内における番地の値が大となるに従って当該番地に対応する画素の記録濃度値が順次小さくあるいは同じとなるように前記ブロック内の各番地に対応する前記インクの組合せが定められていることを特徴とする請求項に記載の記録装置。
  3. 前記画像データは、外部機器から前記記録装置に入力される画像データであり、
    前記外部機器は、X線撮影装置、X線CTスキャナ装置およびMRI装置のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  4. 前記画像データは、外部機器である医用画像入力装置から前記記録装置に入力される医用画像データであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 前記複数種のインクは、濃度の異なる黒色系のインクであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  6. 前記複数種のインクを重ねることにより表現される色は、無彩色であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  7. 同色系で濃度の異なる複数種のインク吐出する記録ヘッドを用い、画像データを構成する画素の濃度情報値に基づいて記録媒体上の画素に前記複数種のインクが重なるように吐出することで当該吐出される複数種のインクの組合せにより表現される濃度を有する画素を含む画像を記録する記録方法であって、
    複数段階の前記濃度情報値の夫々について前記画像データを複数のブロックに分割してなる各ブロックを構成する複数の画素各々の前記ブロック内の位置を表す番地情報前記画素に吐出すべきインクの組合せを表す組合せ情報を対応させたデータを格納したデータ格納部を参照し、対象画素の濃度情報値および番地情報に基づき前記対象画素に吐出すべきインクの組合せ情報を取得する取得工程と、
    前記取得工程において取得された前記組合せ情報に基づいて前記記録ヘッドから前記対象画素に対してインク吐出させる工程とを備え、
    前記データ格納部に格納されたデータが示す前記複数段階の濃度情報値の内、同じ濃度情報値には、ある番地情報と別の番地情報とに対し異なるインクの組合せを表す異なる前記組合せ情報が対応することを特徴とする記録方法。
  8. 前記データ格納部に格納されるデータは、前記ブロック内における番地の値が大となるに従って当該番地に対応する画素の記録濃度値が順次小さくあるいは同じとなるように前記ブロック内の各番地に対応する前記インクの組合せが定められていることを特徴とする請求項に記載の記録方法。
  9. 前記番地の値が互いに連続する2つの画素は、前記ブロック内において互いに隣り合わないように配列されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の記録方法。
  10. 前記記録媒体は、加成性が成り立つ透明媒体であることを特徴とする請求項に記載の記録方法。
  11. 同色系で濃度の異なる複数種のインク吐出する記録ヘッドを用い、画像データを構成する画素の濃度情報値に基づいて記録媒体上の画素に前記複数種のインクが重なるように吐出することで当該吐出される複数種のインクの組合せにより表現される濃度を有する画素を含む画像を記録する記録装置を制御するプログラムが格納されたコンピュータ可読記憶媒体であって、
    前記プログラムが、
    複数段階の前記濃度情報値の夫々について前記画像データを複数のブロックに分割してなる各ブロックを構成する複数の画素各々の前記ブロック内の位置を表す番地情報前記画素に吐出すべきインクの組合せを表す組合せ情報を対応させたデータを格納したデータ格納部を参照し、対象画素の濃度情報値および番地情報に基づき前記対象画素に吐出すべきインクの組合せ情報を取得する取得工程のコードと、
    前記取得工程において取得された前記組合せ情報に基づいて、前記対象画素に吐出すべきインクに対応した2値データを生成する生成工程のコードとを有し、
    前記データ格納部に格納されたデータが示す前記複数段階の濃度情報値の内、同じ濃度情報値には、ある番地情報と別の番地情報とに対し異なるインクの組合せを表す異なる前記組合せ情報が対応することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
  12. 同色系で濃度の異なる複数種のインク吐出する記録ヘッドを用い、画像データを構成する画素の濃度情報値に基づいて記録媒体上の画素に前記複数種のインクが重なるように吐出することで当該吐出される複数種のインクの組合せにより表現される濃度を有する画素を含む画像を記録する記録装置を制御するプログラムであって、
    複数段階の前記濃度情報値の夫々について前記画像データを複数のブロックに分割してなる各ブロックを構成する複数の画素各々の前記ブロック内の位置を表す番地情報前記画素に吐出すべきインクの組合せを表す組合せ情報を対応させたデータを格納したデータ格納部を参照し、対象画素の濃度情報値および番地情報に基づき前記対象画素に吐出すべきインクの組合せ情報を取得する取得工程のコードと、
    前記取得工程において取得された前記組合せ情報に基づいて、前記対象画素に吐出すべきインクに対応した2値データを生成する生成工程のコードとを有し、
    前記データ格納部に格納されたデータが示す前記複数段階の濃度情報値の内、同じ濃度情報値には、ある番地情報と別の番地情報とに対し異なるインクの組合せを表す異なる前記組合せ情報が対応することを特徴とするプログラム。
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