JP3849244B2 - 繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は土木建築分野における各種建造物に利用される構造用鋼材に関し、特に地震による繰返しの大変形を受けた場合に、応力集中部から発生する延性き裂に対して高い進展抵抗が要求される建造物への利用に適した構造用鋼材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築分野における耐震設計法では、鋼材の塑性変形によって地震のエネルギーを吸収することにより、建築物の崩壊を防ごうとする設計がなされているが、このような建築物に適用される鋼材には優れた塑性変形能が要求されており、特開昭55−119152号公報、特開昭63−223123号公報、特開平1−1156422号公報、特開平3−115524号公報等では、降伏比を低下させることにより一様延び特性を向上させた鋼材が提案されている。またJIS・G3136の建築構造用圧延鋼材においても降伏比を80%以下とすることが規定されているように、耐震性向上に関する鋼材面からの対応としては、低降伏比による塑性変形能の向上が中心となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、1995年1月の阪神淡路大地震では多くの鉄骨構造物が甚大な被害を受けたが、鉄骨建築物の柱梁接合部や、門型橋脚の隅角部等の破壊では、脆性的な破壊の前に延性き裂の進展が認められた例が報告されている。これは、地震による繰返しの変形を受けることにより、柱梁接合部や門型橋脚の隅角部等の形状不連続部(応力集中部)で延性き裂が発生、進展したために、不安定破壊を生じやすくなったことが原因といえるが、阪神大震災が極めて大きな地震であったことに起因する、今までには見られなかった新しい破壊形態といえる。このことは、たとえ低降伏比で伸び特性の高い鋼材を用いていたとしても、応力集中部から延性亀裂が発生進展する場合は、その塑性変形能力が十分に発揮される前に不安定破壊を生じてしまうことを意味している。
【0004】
応力集中部を有する鋼材が大変形を受けた場合に、応力集中部から延性亀裂が発生することは、日本建築学会構造系論文報告集、No.454、119〜125頁(1994年発行)にも指摘されており、延性き裂の発生特性は鋼材の一様伸び特性に依存することがわかっている。しかし、延性き裂発生抵抗が高い鋼材でも応力集中が厳しくなれば容易に延性き裂が発生してしまうことから、上記したような破壊を防ぐためには、応力集中部からの延性き裂発生後のき裂進展抵抗及びその後の不安定破壊に対する抵抗が高い鋼材が必要となるといえる。
【0005】
本発明の目的は、上記した問題点を解決するために、地震で生じる繰返しの大変形下においても、き裂進展抵抗及びその耐不安定破壊特性が優れた構造用鋼材及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いている。
【0007】
(1)本発明の鋼材は、質量%で、C:0.08〜0.2%と、Si:0.01〜0.5%と、Mn:0.1〜2%と、Al:0.001〜0.1%と、S:0.005%以下とを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つ金属組織は、パーライト面積分率が10%以上のフェライト+パーライト組織であり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする、繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材である。
(2)本発明の鋼材は、鋼成分として、質量%でさらに、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:1%以下、Mo:0.6%以下、Nb:0.06%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、及びCa:0.005%以下の群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材である。
【0008】
(3)本発明の製造方法は、質量%で、C:0.08〜0.2%と、Si:0.01〜0.5%と、Mn:0.1〜2%と、Al:0.001〜0.1%と、S:0.005%以下とを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を1050〜1180℃の温度に加熱し、900℃以下での累積圧下率50%以上、圧延終了温度650〜850℃で熱間圧延を行った後、空冷することを特徴とする、繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材の製造方法である。
(4)本発明の製造方法は、鋼成分として、質量%でさらに、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:1%以下、Mo:0.6%以下、Nb:0.06%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、及びCa:0.005%以下の群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(3)に記載の繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、繰返しの変形を受ける鋼材のき裂進展特性について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。
応力集中部からのき裂発生特性は素材の一様伸びによってほぼ決まるが、フェライト+パーライト鋼におけるき裂進展は、主に介在物やフェライト+パーライト界面でのボイドの発生・連結により起こる。このとき、ボイドの発生場所となるパーライトが多量にかつ微細分散していれば、き裂先端部近傍でのボイドの生成量が増え、変形エネルギーがボイドの発生・連結に消費されるとともに、き裂の進展経路に多くの分岐を生じるため、き裂進展速度が低下する。
【0010】
また、パーライトが少ない場合でも、フェライト結晶粒径が微細で、パーライト間の平均距離が短ければ同様の効果が得られ、き裂進展速度を小さくすることが可能となるものである。
【0011】
このような特性を有する鋼材を得るためには、C含有量を一定値以上に高めた鋼を用いて、低温で一定量以上の圧下率で圧延を行えばよく、パーライト面積率が高くかつ微細分散した組織となり、き裂進展抵抗の高い鋼材が得られるものである。
【0012】
0.15%C−0.25%Si−1.4%Mn−0.01%Nb鋼を用いて、図1に示した環状切欠を有する丸棒試験片により標点間平均歪で±1%×7回の繰返し引張圧縮変形を加えた時のき裂発生状況を図2に示す。切欠底1から長さ約0.65mmのき裂2が進展していることが確認できる。図3は0.15%C−0.25%Si−1.4%Mn−0.01%Nb鋼でパーライト面積分率及びフェライト結晶粒径の異なる供試鋼についての、繰返し数と切欠底からのき裂進展量との関係であるが、パーライト面積分率が多い場合またはフェライト結晶粒径が小さい場合に同一回数でのき裂進展量が少なくなっていることがわかる。
また、硫化物系介在物を多く含有する鋼材では、繰返しの変形を受けた場合、き裂先端近傍以外でも硫化物系介在物を起点としたボイドが発生・成長するため、不安定破壊を起こしやすいことが判明した。
【0013】
図4はS量の異なる鋼材(0.15%C−0.25%Si−1.4%Mn−0.01%Nb鋼)を用いて、図1の環状切欠丸棒試験片により繰返し引張圧縮試験を行った結果であり、S含有量と不安定破壊を生ずるまでの繰返し数を示したものである。S含有量が多い場合は少ない繰返し数で不安定破壊を生じており、き裂進展抵抗を高めると同時に、S系介在物を低減し、不安定破壊に対する抵抗を高めることが重要であることがわかる。
【0014】
以上の知見に基づき、本発明者は、S含有量を低減した鋼を用いて、金属組織が一定値以上のパーライト面積分率を有するフェライト+パーライト鋼となるように、低温で一定量以上の圧下率で圧延を行うようにして、き裂進展抵抗を高めると同時に、不安定破壊に対する抵抗を高める繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材及びその製造方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、鋼組成、金属組織および製造条件を特定することにより、地震で生じる繰返しの大変形下においても、き裂進展抵抗及びその耐不安定破壊特性が優れた構造用鋼材を提供することができる。
【0015】
以下に本発明の成分添加理由、成分限定理由、金属組織の限定理由及び製造条件の限定理由について説明する。
(1)成分組成範囲
C:0.08〜0.2%
Cは鋼材の強度を確保するために必要な元素であるが、0.08%未満ではパーライト面積分率が少なくなりすぎるため、十分な延性き裂進展抵抗が得られない。また、0.2%を越えて添加すると溶接性を損ねるので、その含有量は0.08〜0.2%である。
Si:0.01〜0.5%
Siは鋼材の強度を高めるとともに製鋼過程における脱酸剤として必要であるが、0.01%未満ではその効果が不十分であり、0.5%を越えて添加すると溶接部の靭性を劣化させるので、その含有量は0.01〜0.5%である。
【0016】
Mn:0.1〜2%
Mnは鋼材の強度を高めるために添加されるが、0.1%未満では強度が不足し、2%を越えて添加すると中心偏析が多くなり板厚中央の靭性が劣化するため、その含有量は0.1〜2%である。
Al:0.001〜0.1%
Alは脱酸剤として必要であるが、0.001%未満では脱酸が不十分であり、0.1%を越えて添加されると連鋳スラブの表面疵の原因となるため、その含有量は0.001〜0.1%である。
S:0.005%以下
Sは硫化物系介在物を生成する元素であるが、地震により繰返しの変形を受ける場合は、硫化物系介在物を核としてボイドが発生成長するため、不安定破壊を助長する。不安定破壊に対する抵抗を高めるためにはS含有量を厳しく制限する必要があるが、0.005%以下では問題ないので、その含有量の上限は0.005%である。
【0017】
本発明では上記の合金元素のほかに、鋼材の強度・靭性を高めるためにCu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Caのうちの1種または2種以上を含有してもよいが、以下にその成分の限定理由を述べる。
【0018】
Cu:0.5%以下
Cuは強度・靭性の向上に有効な元素であるが、0.5%を越えて添加すると熱間加工性が低下するので、その含有量は0.5%以下である。
Ni:0.5%以下
Niは靭性の向上に極めて有効な元素であるが、また非常に高価な元素であることから0.5%を越えて添加するとコスト的に不利になるため、その含有量は0.5%以下である。
Cr:1%以下
Crは強度向上に有効な元素であるが、1%を越えて添加すると溶接性が低下するので、その含有量は1%以下である。
Mo:0.6%以下
MoもCrと同様に強度向上に有効な元素であるが、0.6%を越えて添加すると溶接性が低下するだけでなく、コスト的にも不利になるため、その含有量は0.6%以下である。
Nb:0.06%以下
NbはNb(C,N)として微細析出し強度上昇に寄与する元素であるが、0.06%を越えて添加されると溶接部の靭性が低下するため、その含有量は0.06%以下である。
V:0.1%以下
VはVCとして析出し強度向上に寄与するが、0.1%を越えて添加してもその効果が飽和するので、その含有量は0.1%以下である。
【0019】
Ti:0.1%以下
TiはTiNを形成し、溶接部の組織粗大化を抑制しHAZ靭性の向上に寄与する元素であり微量の添加で大きな効果が得られるが、0.1%を越えて添加されると逆に溶接性が低下するため、その含有量は0.1%以下である。
【0020】
Ca:0.005%以下
Caは硫化物系介在物の形状を制御することにより、靭性を向上する元素であるが、0.005%を越えて添加すると鋼の材質に悪影響を及ぼすため、その添加量は0.005%以下である。
【0021】
(2)金属組織
フェライト+パーライト鋼においては、パーライトは繰返し大変形を受ける場合のボイドの発生起点となり、パーライト面積分率が大きいほどき裂先端近傍でのボイドの発生量が多くなるため、変形エネルギーがボイドの発生・連結に消費されるとともに、き裂の進展経路に多くの分岐を生じ、き裂進展速度が低下する。
【0022】
本発明の鋼材の金属組織は、パーライト面積分率が10%以上のフェライト+パーライト組織であり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下である。
【0023】
フェライト結晶粒径が微細で、パーライト間の平均距離が短くなれば、き裂進展経路の分岐がより頻繁に起こり、き裂進展速度を小さくすることが可能である。しかし、フェライト平均結晶粒径が10μmを超えるとその効果は得られない。また、フェライト平均結晶粒径が10μm以下の場合はパーライト面積分率が10%以上であれば、十分なき裂進展抵抗が得られる。
【0024】
上記の成分組成範囲及び金属組織に調整することにより、地震で生じる繰返しの大変形下においても、き裂進展抵抗及びその耐不安定破壊特性が優れた構造用鋼材を得ることが可能になる。
【0025】
このような特性の鋼材は、以下の製造方法により製造することができる。
(3)鋼材製造工程
(製造方法)
上記した成分組成を有する鋼片(スラブ)を1050〜1180℃の温度に加熱し、900℃以下での累積圧下率50%以上、圧延終了温度650〜850℃で熱間圧延を行った後、空冷する。
【0026】
a.鋼片加熱温度:1050〜1180℃
加熱温度が1050℃未満であると、Al,Nb等の炭窒化物形成元素の固溶量が少ないため、圧延中に析出する炭窒化物量が少なくなり十分な強度が得られないだけでなく、再結晶温度が上昇するために圧延による組織の微細化が不十分となる。また、加熱温度が1180℃より高いと、組織が粗大化するだけでなく靭性が劣化するため、加熱温度は1050〜1180℃である。
【0027】
b.900℃以下での累積圧下率:50%以上,圧延終了温度:650〜850℃
900℃を超える温度では、再結晶を生じやすく組織が粗大化し、900℃以下でも、累積圧下率が50%未満となる場合は、組織が十分に微細化せず、高いき裂進展抵抗が得られない。また、圧延終了温度が850℃を超えると、冷却過程で組織が粗大化してしまい、高いき裂進展抵抗が得られず、650℃未満になると加工歪により靭性が劣化する。よって、900℃以下の累積圧下率は50%以上,圧延終了温度は650〜850℃である。
【0028】
c.圧延後の空冷
圧延後空冷を行う理由は、圧延後の組織をフェライト−パーライト組織とするためである。ただし、冷却過程での粒成長を抑制する目的で、ベイナイト変態を生じない範囲で、空冷以上の冷却速度で冷却を行うことも可能である。
以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証する。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
表1に示した成分の鋼(本発明鋼:No.1〜13、比較鋼:No.14〜19)を溶製し、熱間圧延により板厚25mmの板にした。そして、これらの鋼板の板厚1/4付近のミクロ観察を行い、200倍で10視野の写真を撮影し、画像解析によってパーライト面積分率及びフェライト平均結晶粒径を測定した。次にこれらの素材の板厚1/4位置より、図1に示したような応力集中係数3.8の切欠を有する試験片を採取した。そして、疲労試験機を用いて、標点間の平均歪で±1%×10回(引張側で終了)の繰返し引張圧縮変形を加えた。なお、試験温度は全て室温で行った。その後、試験片を液体窒素で冷却し脆性的に破断させ、断面のSEM写真からき裂進展量を求めた。
【0030】
これらの結果を表1にまとめて示した。ただし、繰返し数10回以前に不安定破壊を生じたものについては破断までの回数を示した。本発明鋼であるNo.1〜13はいずれも不安定破壊を生じておらず、また、繰返し数10回でのき裂進展量が0.6mm以下であることから、き裂進展抵抗と不安定破壊に対する抵抗がともに高いことがわかる。一方、比較鋼であるNo.14〜17はいずれもパーライトの面積分率またはフェライト平均結晶粒径が本発明範囲から外れており、繰返し数10回でのき裂進展量が大幅に上昇している。また、比較鋼No.18,19はS含有量が本発明範囲を越えているため、繰返し数10回以前に不安定破壊を生じている。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例2)
表2に示した成分の鋼(本発明鋼:A〜L、比較鋼:M〜O)を溶製し、表3に示した種々の方法で圧延し、鋼板とした(本発明例:A1,B1,B2,C1,C2,D1,E1〜H1,H2,I1,J1,K1,L1、比較例:D2〜D4,J2〜J5,M1〜O1)。そして、これらの鋼板の板厚1/4付近のミクロ観察を行い、200倍で10視野の写真を撮影し、画像解析によってパーライト面積分率及びフェライト平均結晶粒径を測定した。次にこれらの素材の板厚1/4位置より、図1に示したような応力集中係数3.8の切欠を有する試験片を採取した。そして、疲労試験機を用いて、標点間の平均歪で±1%×10回(引張側で終了)の繰返し引張圧縮変形を加えた。なお、試験温度は全て室温で行った。その後、試験片を液体窒素で冷却し脆性的に破断させ、断面のSEM写真からき裂進展量を求めた。
【0033】
これらの結果を表3にまとめて示した。ただし、繰返し数10回以前に不安定破壊を生じたものについては破断までの回数を示した。本発明例(A1,B1,B2,C1,C2,D1,E1〜H1,H2,I1,J1,K1,L1)はいずれも不安定破壊を生じておらず、また、繰返し数10回でのき裂進展量が0.35mm以下であることから、き裂進展抵抗と不安定破壊に対する抵抗がともに高いことがわかる。
【0034】
一方、比較例D2〜D4,J2〜J5,M1は成分または圧延条件が本発明範囲から外れているため、パーライト面積分率が低いかまたはフェライト結晶粒径が大きくなるため、繰返し数10回でのき裂進展量が大幅に上昇している。また、比較例N1,O1はS含有量が本発明範囲を越えているため、繰返し数10回以前に不安定破壊を生じている。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】
以上に示したように、本発明によれば鋼組成、金属組織及び製造条件を特定することにより、繰返し大変形下において応力集中部からき裂が発生進展する場合の、き裂進展抵抗及び不安定破壊に対する抵抗が高い鋼材を提供することが可能であり、高い耐震性能を要求される建造物の利用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る切欠丸棒試験片の形状を示す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る切欠丸棒試験片の切欠底からの亀裂発生状況を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る切欠丸棒試験片(パーライト面積分率及びフェライト結晶粒径を変えた場合)の繰返し引張圧縮回数とき裂進展量との関係を示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る切欠丸棒試験片のS含有量と不安定破壊を生ずるまでの繰返し引張圧縮回数との関係を示す図。
【符号の説明】
1…切欠底
2…き裂
Claims (4)
- 質量%で、C:0.08〜0.2%と、Si:0.01〜0.5%と、Mn:0.1〜2%と、Al:0.001〜0.1%と、S:0.005%以下とを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つ金属組織は、パーライト面積分率が10%以上のフェライト+パーライト組織であり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする、繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材。
- 鋼成分として、質量%でさらに、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:1%以下、Mo:0.6%以下、Nb:0.06%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、及びCa:0.005%以下の群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材。
- 質量%で、C:0.08〜0.2%と、Si:0.01〜0.5%と、Mn:0.1〜2%と、Al:0.001〜0.1%と、S:0.005%以下とを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を1050〜1180℃の温度に加熱し、900℃以下での累積圧下率50%以上、圧延終了温度650〜850℃で熱間圧延を行った後、空冷することを特徴とする、繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材の製造方法。
- 鋼成分として、質量%でさらに、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Cr:1%以下、Mo:0.6%以下、Nb:0.06%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、及びCa:0.005%以下の群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項3に記載の繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材の製造方法。
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