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JP3732769B2 - 磁気記録媒体、その製造方法、製造装置、および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、製造装置、および磁気記録再生装置 Download PDF

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JP3732769B2
JP3732769B2 JP2001260383A JP2001260383A JP3732769B2 JP 3732769 B2 JP3732769 B2 JP 3732769B2 JP 2001260383 A JP2001260383 A JP 2001260383A JP 2001260383 A JP2001260383 A JP 2001260383A JP 3732769 B2 JP3732769 B2 JP 3732769B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置などに用いられる磁気記録媒体、その製造方法、製造装置、および上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気記録媒体用の基板としては、アルミニウム合金等からなる金属基板が多く用いられている。金属基板は、通常、表面にテクスチャ加工が施されて用いられている。
テクスチャ加工は、基板表面に所定方向(通常は円周方向)に沿う凹凸を形成する加工であり、テクスチャ加工を施すことによって、基板上に形成される下地膜、磁性膜の結晶配向性を向上させ、磁性膜に磁気異方性をもたせ、熱揺らぎ耐性や分解能などの磁気特性を向上させることができる。
ところで、近年では、磁気記録媒体用の基板として、アルミニウム等からなる金属基板に代えて、ガラス、セラミックスなどからなる非金属基板が多く用いられてきている。非金属基板は、硬度が高いためヘッドスラップが生じにくく、しかも表面平滑性が高いためグライドハイト特性の点で有利である。
しかしながら、ガラス基板などの非金属基板には、表面に十分なテクスチャ加工を施すのが難しい問題がある。
【0003】
このため、ガラス、セラミックスなどからなる非金属基板上に、テクスチャ加工が容易な硬質膜を形成することが提案されている。
例えば特開平5−197941号公報には、非金属基板表面に、テクスチャ加工が容易な硬質膜であるNiP膜をスパッタ法により形成した磁気記録媒体が開示されている。
非金属基板表面に硬質膜を設けた磁気記録媒体を製造するには、スパッタ装置などの成膜装置内において基板上に硬質膜を形成した後、基板を一旦成膜装置から搬出し、テクスチャ加工装置を用いてテクスチャ加工を施し、次いで再び成膜装置内に搬入し下地膜や磁性膜の形成を行う方法が採られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の磁気記録媒体では、硬質膜に十分な表面平滑性をもたせることが難しく、磁気異方性の点で劣り、磁気特性が不十分となる不満があった。また製造工程が煩雑であるため製造コストが嵩む不満があり、容易に製造できる磁気記録媒体が要望されていた。
このほか、磁性膜に磁気異方性を与える技術としては、特開平5−143988号公報に記載された方法がある。この公報に記載された磁気記録媒体の製造方法は、下地層および磁気記録層をスパッタ法で形成するにあたり、スパッタ粒子の入射角を30〜65°とする方法である。
しかしながら、この方法によって得られた磁気記録媒体は、非磁性下地膜の優先的な配向面が(110)となり、磁性膜の優先的な配向面が(101)となるため磁気異方性が不十分となりやすく、磁気特性の点で満足できるものでなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁気特性に優れ、かつ容易に製造することができる磁気記録媒体、この磁気記録媒体を容易に製造することができる方法および装置、さらには磁気特性に優れた磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体は、磁性膜が、hcp構造を有し、かつ(110)に優先的に配向しており、非磁性下地膜が、bcc構造を有し、非金属基板と非磁性下地膜との間に、非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる配向調整膜が形成され、この配向調整膜が、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結晶構造を有し、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きいことを特徴とする。
非磁性下地膜は、bcc構造を有し、かつ配向面が(200)であることが望ましい。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる材料である、Cr、V、Nb、Mo、W、Taのうち1種または2種以上からなるものとすることができる。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる材料である、Crを主成分とする合金からなるものとすることができる。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる構成、すなわちCoTaまたはCoNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有する構成とすることができる。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる構成、すなわちCrTaまたはCrNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が15〜75at%である構成とすることができる。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる構成、すなわちNiTaまたはNiNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有する構成とすることができる。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる材料である、Fd3m構造を有する非磁性金属からなるものとすることができる。
配向調整膜は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる材料である、C15構造を有する非磁性金属からなるものとすることができる。
非金属基板と配向調整膜との間には、配向性向上膜を形成することができる。
配向性向上膜は、B2構造またはアモルファス構造を有する材料からなるものとすることができる。
配向性向上膜は、NiAl、FeAl、CoAl、CoZr、CoCrZr、およびCoCrCのうちいずれかを主成分とするものであることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、非金属基板と、その上に形成された非磁性下地膜、磁性膜および保護膜を基本構成とする磁気記録媒体において、磁性膜が、hcp構造を有し、かつ(110)に優先的に配向しており、非磁性下地膜が、bcc構造を有し、非金属基板と非磁性下地膜との間に、非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させ、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrを1より大きくする配向調整膜が設けられ、この配向調整膜が、アモルファス構造のNiP合金からなり、その表面に酸化膜または窒化膜が形成されている構成とすることができる。
本発明では、配向調整膜が、窒素または酸素を1at%以上含む構成とすることができる。
【0006】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、前記磁気記録媒体を製造する方法であって、配向調整膜を構成する材料からなる成膜粒子を放出源から放出させて被付着面に付着させることにより配向調整膜を形成し、この際、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定することを特徴とする。
配向調整膜には、酸化処理または窒化処理を施すのが好ましい。
配向調整膜を形成するにあたっては、成膜粒子の放出源としてスパッタリングターゲットを用いるスパッタ法を採用することができる。
本発明では、配向調整膜を形成するに際して、スパッタ法を採用し、酸素または窒素を含むスパッタガスを用いることによって酸化処理または窒化処理を行うことができる。
酸化処理または窒化処理は、配向調整膜の表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させることにより行うことができる。
本発明の磁気記録媒体の製造装置は、前記磁気記録媒体を製造する装置であって、配向調整膜を構成する材料からなる成膜粒子を放出し被付着面に付着させることにより配向調整膜を形成する放出源と、この放出源から放出された成膜粒子の方向を定める方向設定手段とを備え、この方向設定手段が、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定することができるようにされていることを特徴とする。
本発明の磁気記録再生装置は、前記磁気記録媒体と、この磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えていることを特徴とする。
なお、本明細書中において「配向調整膜」は、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させるように構成される。
また、本明細書中において「主成分」とは、その成分の含有率が50at%を越えるものをいう。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を示す一部断面図で、ここに示す磁気記録媒体は、非金属基板1上に配向調整膜2が形成され、その上に非磁性下地膜3、磁性膜4、保護膜5、潤滑膜6が順次形成されたものである。以下、非金属基板1および配向調整膜2を媒体基板Mという。
図1(b)は、図1(a)に示す磁気記録媒体の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真に基づいて作成した要部拡大図である。
【0008】
非金属基板1としては、ガラス、セラミックス、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなるものが用いられる。特に、耐久性、コストなどの観点からガラス基板を用いるのが好ましい。
ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスが使用可能であり、アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノケートガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。
セラミックス基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、それらの繊維強化物などが使用可能である。
【0009】
配向調整膜2は、直上に形成される非磁性下地膜3の結晶配向性を整え、さらにはその上に形成される磁性膜4の結晶配向性を調整し、磁性膜4の磁気異方性を向上させるためのものである。
配向調整膜2は、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させることができるように構成されている。
配向調整膜2の材料としては、非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる材料である、Cr、V、Nb、Mo、W、Taのうち1種または2種以上を挙げることができる。
【0010】
配向調整膜2の材料としては、Crを主成分とする(すなわちCrの含有率が50at%を越える)合金を用いることもでき、特にCrX(XはB、C、N、O、Si、Ti、V、Nb、Mo、Ta、Wのうち1種または2種以上)系合金を用いるのが好ましい。
CrX系合金を用いる場合、Xの含有率は、1at%以上、50at%未満とするのが好ましい。これは、Xの含有率を上記範囲とすることによって、非磁性下地膜3および磁性膜4の結晶配向性を高め磁気異方性を向上させることができるためである。
配向調整膜2の材料としては、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる材料であるCrRu(Ruの含有率が1〜30at%)を用いることもできる。
【0011】
配向調整膜2は、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる構成、すなわちCoTaまたはCoNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd3m構造(空間群(Space Group)表記)またはアモルファス構造を有する構成とするのが好適である。
また配向調整膜2は、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる構成、すなわちCrTaまたはCrNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が15〜75at%である構成とすることもできる。
また配向調整膜2は、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる構成、すなわちNiTaまたはNiNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有する構成とすることができる。
配向調整膜2がこれらCoTa、CoNb、CrTa、CrNb、NiTa、NiNbを主成分とするものである場合において、TaまたはNbの含有量を上記範囲とするのが好適であるとしたのは、この含有量が低すぎると保磁力が低くなりやすく、含有量が高すぎると磁性膜内の配向性が低下し保磁力が低くなるおそれがあるためである。
【0012】
また配向調整膜2は、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる材料、すなわちTaまたはNbを30at%以上含有する非磁性合金材料からなるものとすることもできる。
【0013】
配向調整膜2は、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に優先的に配向させる材料である、Fd3m構造を有する非磁性金属からなるものとするのが好ましい。
Fd3m構造を有する非磁性金属としては、CrX系合金のうち、CrNb系(70Cr30Nbなど)、CrTa系(65Cr35Taなど)、CrTi系(64Cr36Tiなど)等のC15構造(Skrukturbercht Symbol表記)を有する合金が好適である。
配向調整膜2に用いることができるFd3m構造金属としては、このほか、CoTa系(65Co35Taなど)、CoNb系(70Co30Nbなど)、WHf系(66W34Hf)、AlY系(67Al33Yなど)等のC15構造を有する合金がある。
また配向調整膜2に用いることができるFd3m構造金属としては、CoTa系(比較的Co含有率が小さいもの、例えば50Co50Taなど)、FeNb系(50Fe50Nbなど)等の合金を挙げることができる。
これらFd3m構造を有する材料を用いる場合には、配向調整膜2の形成時に酸化処理または窒化処理(後述)を行うことによってその結晶構造(Fd3m構造)を整えたものが好ましい。
配向調整膜2は、非磁性下地膜3の結晶配向性を調整するだけでなく、非磁性下地膜3、磁性膜4中の結晶粒を微細化する結晶粒微細化膜としても機能する。
【0014】
配向調整膜2には、窒素または酸素を1at%以上含有させるのが好ましい。
これは、窒素または酸素を1at%以上含有させることによって、非磁性下地膜3の結晶を、より正確に(200)に配向させ、磁性膜4の磁気異方性を高めることができるためである。
【0015】
図1(b)に示すように、配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが、非金属基板1に垂直な線2bに対して半径方向に傾いた結晶構造を有する。すなわち柱状微結晶粒2aの傾斜角度α1(垂直線2bに対する柱状微結晶粒2a軸方向の傾き)が0°を越え、90°未満となるようになっている。
柱状微結晶粒2aの傾斜角度α1は、10〜75°(好ましくは15〜75°、さらに好ましくは20〜75°、さらに好ましくは25〜55°)であることが好ましい。
傾斜角度α1が上記範囲未満である場合には、非磁性下地膜3、磁性膜4の結晶配向性が悪化し磁気異方性が低下する。また成膜装置の構成の点から、角度α1を上記範囲を越える範囲に設定するのは難しい。
傾斜角度α1は、10°以上、30°未満となる値とすることができる。また65°を越え、90°未満となる値とすることもできる。
また配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが周方向にほとんど傾いていないようにするのが好ましい。
【0016】
配向調整膜2の膜厚は2〜100nm(20〜1000Å)とするのが望ましい。この膜厚は、上記範囲未満であると磁性膜の磁気異方性が低下し、上記範囲を越えると製造効率が低下する。
【0017】
非磁性下地膜3は、従来公知の下地膜材料、例えばCr、V、Ti、Si、Ta、Ni、W、Mo、Nbのうち1種以上、またはこれらに結晶性を損なわない範囲で他の元素を添加した合金からなるものとすることができる。
なかでも特に、CrまたはCr合金(例えばCrTi系、CrW系、CrMo系、CrV系)を用いるのが好適である。
またこの材料としては、Ni50Al(Ni−50at%Al)等のB2構造を有する材料を用いることもできる。
また非磁性下地膜3は厚さ方向に均一な単層構造としてもよいし、2種類以上の層を複数積層させた多層構造としてもよい。
非磁性下地膜3の厚さは、1〜100nm(10〜1000Å)、好ましくは2〜50nm(20〜500Å)とするのが望ましい。
【0018】
非磁性下地膜3は、bcc構造を有する。
非磁性下地膜3は、配向面(非磁性下地膜3の表面における支配的な結晶面)を(200)とすると、磁性膜4の磁気異方性を高めることができるため好ましい。
また非磁性下地膜3の材料としてCrを用いた場合には、非磁性下地膜3の格子定数と磁性膜4の格子定数との差が大きくなるため、非磁性下地膜3と磁性膜4との間にCrX'(X'はMo、Ti、V、Ta、Wのうち1種以上)からなる中間膜を設け、格子の整合性の向上を図るのが好ましい。
【0019】
磁性膜4は、hcp構造を有し、かつ配向面が(110)とされている。
磁性膜4は、この構成によって、高い磁気異方性を得ることができる。
【0020】
磁性膜4には、Coを含む材料を用いるのが好ましい。この材料としては、例えばCr、Pt、Ta、B、Ti、Ag、Cu、Al、Au、W、Nb、Zr、V、Ni、FeおよびMoのうち1種以上を、Coに加えたCo合金を用いることができる。
上記材料の好適な具体例としては、CoPt系、CoCrPt系、CoCrPtTa系、CoCrPtB系、CoCrPtBTa系、CoCrPtTaCu系、CoCrPtTaZr系、CoCrPtTaW系、CoCrPtCu系、CoCrPtZr系、CoCrPtBCu系、CoCrPtBZr系、CoNiTa系、CoNiTaCr系、CoCrTa系等が利用できる。
また、Ag、Ti、Ru、C等の非磁性金属、この非磁性金属の化合物、酸化物(SiO2、SiO、Al23等)、窒化物(Si34、AlN、TiN、BN等)、フッ化物(CaF等)、炭化物(TiC等)などの非磁性母材中に磁性粒が分散したグラニュラー膜を採用することもできる。
【0021】
磁性膜4に、Bを含むCo合金(例えばCoCrB系合金、好ましくはCoCrPtB系合金)を用いる場合には、Co合金中のBの含有率は、1〜10at%(好ましくは2〜7at%、さらに好ましくは2.5〜6at%)とするのが好ましい。Bの含有率が上記範囲未満であると、保磁力が低くなることに加え、磁性結晶粒が大きくなりノイズが増大する。またこの含有率が上記範囲を越えると、磁性膜内の配向性が低下し保磁力が低くなるおそれがある。
Co合金中のCr含有率は、40at%以下(好ましくは5〜35at%、さらに好ましくは10〜25at%)とするのが好ましい。
Co合金中のPtの含有率は、1〜30at%(好ましくは3〜27at%、さらに好ましくは6〜25at%)とするのが好ましい。
磁性膜4は単層構造としてもよいし、2種類以上の層を複数積層させた多層構造としてもよい。
磁性膜4の厚さは、5〜30nm(50〜300Å)とすることができる。
【0022】
保護膜5の材料としては、従来公知のものを使用してよく、例えばカーボン、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ジルコニウム等の単一成分またはこれらを主成分とする材料を使用することができる。
保護膜5の厚さは、2〜10nm(20〜100Å)とするのが好ましい。
【0023】
潤滑膜6は、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系潤滑剤などからなるものとすることができる。
【0024】
上記構成の磁気記録媒体は、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きくなる(好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上となる)。
この比Hcc/Hcrが上記範囲未満であると、磁気記録媒体の磁気異方性が不足し、熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなどの磁気特性が不十分となる。
【0025】
次に、上記磁気記録媒体を製造する場合を例として、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態を説明する。
図2は、本発明の磁気記録媒体の製造装置の一実施形態を示すものである。
ここに示すスパッタ装置21は、非金属基板1上に配向調整膜2を形成するためのもので、成膜粒子を放出する放出源であるスパッタリングターゲット22と、このスパッタリングターゲット22から放出された成膜粒子の方向を定める方向設定手段である遮蔽板23とをチャンバ28内に備えている。
符号29はスパッタガス等をチャンバ28内に導入する導入経路であり、符号30はチャンバ28内のスパッタガス等を系外に導出する導出経路である。
【0026】
スパッタリングターゲット22は、上記配向調整膜2の構成材料からなるものであり、円板状に形成されている。
遮蔽板23は、スパッタリングターゲット22から放出された成膜粒子のうち、目的とする方向以外の方向に放出された成膜粒子を遮ることにより成膜粒子の方向を定めるためのもので、円板状に形成され、ほぼ中央部に、円形の成膜粒子通過口24が形成されている。
遮蔽板23は、スパッタリングターゲット22に対しほぼ平行に、スパッタリングターゲット22に対して所定の間隔をおいて設置されている。
遮蔽板23は、その軸線23aがスパッタリングターゲット22の軸線22aに対しほぼ一致するように設置されている。
また成膜粒子の入射角度の精度を高めるためには、遮蔽板23を可能な限り薄く形成するのが好ましい。例えば、外径2.5インチ(63.5mm)の非金属基板1を用いる場合には、遮蔽板23の厚さは1.5〜5mm(好ましくは2〜4mm)とするのが好ましい。
遮蔽板23には、耐熱性に優れ、不純物発生が少ない材料である金属材料(例えばステンレス、アルミニウム合金)を用いるのが好ましく、特に、付着した成膜粒子を除去する作業が容易であり、しかも安価であることからアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
【0027】
成膜粒子通過口24の内径は、放出された成膜粒子が非金属基板1の表面1aの配向調整膜形成領域1bに付着する際の成膜粒子の非金属基板1に対する入射角度αが10〜75°となるように設定されている。
この入射角度αとは、非金属基板1に対し垂直な線1cに対する角度をいう。
成膜粒子通過口24の内径は、成膜効率を低下させない範囲で小さくするのが好ましい。例えば、外径2.5インチ(63.5mm)の非金属基板1を用いる場合には、成膜粒子通過口24の内径は20mm以下(好ましくは15mm以下、さらに好ましくは7mm以下)とするのが好ましい。
【0028】
このスパッタ装置21を用いて配向調整膜2を形成するには、非金属基板1をチャンバ28内に搬入し、遮蔽板23のスパッタリングターゲット22側に対し反対側(図中左側)に非金属基板1を配置する。この際、非金属基板1はスパッタリングターゲット22、遮蔽板23に対しほぼ平行に配置する。
【0029】
次いで、アルゴンなどのスパッタガスを導入経路29を通してチャンバ28内に導入するとともに、スパッタリングターゲット22に給電し、成膜粒子をスパッタ法により放出させる。
この際、スパッタリングターゲット22の中央部からやや離れた位置の成膜粒子放出箇所25、25から放出された成膜粒子のうち、遮蔽板23中央部に向かったものは、成膜粒子通過口24を通過し、それ以外のものは遮蔽板23に遮られる。
【0030】
図2および図3に示すように、成膜粒子通過口24を通過した成膜粒子は、ターゲット22の中央部からやや離れた位置の放出箇所25から放出され、遮蔽板23中央部の通過口24を通過したものである(図2を参照)。
このため、成膜粒子の軌道26の基板1の表面1aへの投影線27は、非金属基板1の径方向に沿うものとなる(図3を参照)。
また、成膜粒子は基板1の周方向に均一に表面1aに付着する。
成膜粒子は、入射角度αが10〜75°となるように、被付着面である表面1aの環状の配向調整膜形成領域1bに付着する。
この入射角度αは、15〜75°(好ましくは20〜75°、さらに好ましくは25〜55°)とするのがさらに好適である。
この入射角度αが上記範囲未満である場合には、非磁性下地膜3、磁性膜4の結晶配向性が悪化し磁気異方性が低下する。また装置構成の点から入射角度αを上記範囲を越える範囲に設定するのは難しい。
また傾斜角度αは、10°以上、30°未満となる値とすることができる。また65°を越え、75°以下となる値とすることもできる。
【0031】
入射角度αを上記範囲に設定することによって、図1(b)に示すように、配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが、非金属基板1に垂直な線2bに対して半径方向に傾いた結晶構造を有するものとなる。
【0032】
配向調整膜2には、酸化処理または窒化処理を施すのが好ましい。
酸化処理または窒化処理を行うには、スパッタ装置21を用いて配向調整膜2を形成するに際し、導入経路29を通してチャンバ28に導入するスパッタガスとして、酸素または窒素を含むものを用いる方法を採ることができる。
酸素を含むスパッタガスとしては、酸素とアルゴンの混合ガスを用いることができる。窒素を含むスパッタガスとしては、窒素とアルゴンの混合ガスを用いることができる。
スパッタガス中の酸素または窒素の含有率は、1〜50vol%とすることができる。
【0033】
また本発明では、配向調整膜2を形成した後に、その表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させる方法によって酸化または窒化処理を行うこともできる。
酸素含有ガスとしては、空気、純酸素、水蒸気を用いることができる。また空気中の酸素含有率を増加させた酸素富化ガスを用いることもできる。
窒素含有ガスとしては、空気、純窒素、窒素富化ガスを用いることができる。
【0034】
配向調整膜2表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させる方法の具体例としては、上述のように、スパッタ装置21内において基板1上に配向調整膜2を形成した後、このスパッタ装置21のチャンバ28内に、導入経路29を通して酸素含有ガスまたは窒素含有ガスを導入する方法を挙げることができる。
酸素含有ガスまたは窒素含有ガス中の酸素または窒素含有率は、1〜100vol%とするのが好ましい。
酸素含有ガスまたは窒素含有ガスの使用によって、酸化処理または窒素処理を容易な操作で行うことができるようになる。
【0035】
この酸化処理または窒化処理によって、配向調整膜2は少なくとも表面付近が酸化または窒化される。
なお酸化処理または窒化処理を行うには、スパッタガスとして、酸素または窒素を含むものを用いて配向調整膜2を形成した後に、その表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させる方法を採ることもできる。
【0036】
非磁性下地膜3、磁性膜4の形成は、スパッタ法により行うことができる。
非磁性下地膜3を形成する際、配向調整膜2の影響下で成長する非磁性下地膜3は、優れた結晶配向性を有するものとなる。非磁性下地膜3は、bcc構造を有し、好ましくは配向面(非磁性下地膜3の表面における支配的な結晶面)が(200)となる。
非磁性下地膜3が優れた結晶配向性を有するものとなる結果、その上に形成される磁性膜4の結晶配向性が向上する。磁性膜4は、hcp構造を有し、かつ配向面が(110)となる。
【0037】
また保護膜5は、プラズマCVD法、スパッタ法などにより形成することができる。
潤滑膜6の形成には、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系液体潤滑剤などの潤滑剤を保護膜5上にディッピング法により塗布する方法を採用することができる。
【0038】
本実施形態の磁気記録媒体は、非金属基板1と非磁性下地膜3との間に、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に配向させる配向調整膜2が形成され、この配向調整膜2が、柱状微結晶粒2aが半径方向に傾いた結晶構造を有するので、非磁性下地膜3および磁性膜4の結晶配向性を向上させ、磁性膜4における周方向の磁気異方性を高めることができる。
【0039】
一般に、熱揺らぎ耐性は、結晶磁気異方性定数(Ku)が大きい媒体において良好となる。本実施形態の磁気記録媒体では、円周方向の磁気異方性が高められることにより結晶磁気異方性定数(Ku)が向上することから、熱揺らぎ耐性が高められると考えられる。
なお、熱揺らぎとは、記録ビットが不安定となり記録したデータの熱消失が起こる現象をいい、磁気記録装置においては、記録したデータの再生出力の経時的な減衰として現れる。
また再生出力ピークの半値幅を小さくし、再生出力の分解能を向上させることができる。従って、エラーレートの点で優れた磁気記録媒体を得ることができる。
また、磁気異方性を高めることによって、保磁力を向上させ、再生出力(S)を向上させることができる。このため、S/Nの向上を図ることができる。
さらには、非磁性下地膜3内の結晶粒を微細化し、下地膜3の影響下で成長する磁性膜4内の磁性粒を微細化、均一化することができるため、ノイズ(N)の低減を図ることができる。
このため、磁性膜4を薄膜化することによって、磁性粒の過度の成長を抑制し磁性粒を微細化することができ、さらなるノイズ低減が可能となる。よって、いっそうのS/Nの向上が可能となる。
従って、磁気記録媒体の磁気特性(熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなど)を向上させることができ、高記録密度化を図ることが可能となる。
【0040】
また上記構成の磁気記録媒体は、製造に際しテクスチャ加工を行うことなく磁気異方性を向上させることができるため、テクスチャ加工が不要となり、製造が容易となり製造コスト削減が可能となる。
またテクスチャ加工に起因して、配向調整膜2の表面形状が粗くなり媒体の表面平均粗さRaが大きくなることによるグライドハイト特性の低下を防ぐことができる。
【0041】
配向調整膜2を、bcc構造の非磁性下地膜3を(200)に配向させることができる材料である、Fd3m構造を有する非磁性金属からなるものとする場合には、非磁性下地膜3、磁性膜4における結晶配向性を向上させ、磁性膜4における磁気異方性を高めることができる。
【0042】
また上記実施形態の製造方法は、スパッタリングターゲット22から成膜粒子を放出させ、非金属基板1の表面1aに付着させることにより配向調整膜2を形成するにあたり、成膜粒子の軌道26の非金属基板1への投影線27が非金属基板1の径方向に沿い、かつ非金属基板1に対する入射角度αが10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定するので、hcp構造を有し、(110)に優先配向した磁性膜4における磁気異方性を高めることができる。
従って、磁気記録媒体の磁気特性(熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなど)を向上させることができ、高記録密度化を図ることが可能となる。
【0043】
また、製造に際しテクスチャ加工が不要となるため、製造が容易となり製造コスト削減が可能となる。またテクスチャ加工に起因して配向調整膜2の表面形状が粗くなり媒体の表面平均粗さRaが大きくなることによるグライドハイト特性の低下を防ぐことができる。
【0044】
また配向調整膜2の表面を酸化処理または窒化処理することによって、非磁性下地膜3の結晶を、より正確に(200)に配向させ、磁性膜4の磁気異方性をさらに高め、磁気記録媒体の磁気特性(熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなど)を向上させることができ、高記録密度化を図ることが可能となる。
【0045】
また上記製造方法では、配向調整膜2を形成するにあたって、成膜粒子の放出源としてスパッタリングターゲット22を用いるスパッタ法を採用するので、配向調整膜2を容易に形成することができる。
【0046】
また酸化処理または窒化処理を、酸素または窒素を含むスパッタガスを用いて配向調整膜2を形成する方法により行うことによって、配向調整膜2の形成と、酸化または窒素処理とを1つの工程で行うことができ、製造工程の簡略化が可能となる。従って、作業を容易にするとともに製造効率の向上を図ることができる。
【0047】
また酸化処理または窒化処理を、配向調整膜2の表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させることにより行う場合には、スパッタ装置21を用いて非金属基板1上に配向調整膜2を形成した後、得られた媒体基板Mをこのスパッタ装置21から搬出することなく、引き続きこのスパッタ装置21内において配向調整膜2表面の酸化または窒化処理を行うことができる。
従って、製造工程を簡略化し、作業の容易化および製造効率向上を図ることができる。
【0048】
また上記スパッタ装置21は、成膜粒子の放出源となるスパッタリングターゲット22と、放出された成膜粒子の方向を定める遮蔽板23を備えているので、非金属基板1に対する成膜粒子の入射方向を、正確に定めることができる。
このため、非磁性下地膜3および磁性膜4の結晶配向性を向上させ、磁性膜4における磁気異方性を確実に高めることができる。
【0049】
図4は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の例を示すものである。ここに示す磁気記録再生装置は、図1に示す構成の磁気記録媒体7と、磁気記録媒体7を回転駆動させる媒体駆動部8と、磁気記録媒体7に情報を記録再生する磁気ヘッド9と、ヘッド駆動部10と、記録再生信号処理系11とを備えている。記録再生信号処理系11は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド9に送ったり、磁気ヘッド9からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
【0050】
この磁気記録再生装置にあっては、磁気記録媒体の磁気異方性を高めることができるため、S/N、エラーレートの向上が可能となることから、高記録密度化が可能となる。また熱揺らぎ現象に起因するデータ消失などのトラブルを未然に防ぐことができる。
【0051】
また本発明では、配向調整膜を、アモルファス構造を有するNiP合金(以下、アモルファスNiP合金という)からなるものとすることもできる。
配向調整膜をアモルファスNiP合金からなるものとした磁気記録媒体としては、図1(a)に示す構造のものを例示できる。
この図を利用して本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を説明する。
本実施形態の磁気記録媒体では、配向調整膜2がアモルファスNiP合金からなるものとされ、そのNi含有率は、50〜90at%とするのが好ましい。
アモルファスNiP合金からなる配向調整膜2は、上記製造方法と同様にして形成することができる。
すなわち、アモルファスNiP合金からなるスパッタリングターゲット22と遮蔽板23を有するスパッタ装置21を用い、スパッタリングターゲット22からの成膜粒子を、入射角度αが10〜75°となるように非金属基板1の表面1aに付着させる。
【0052】
配向調整膜2を形成するに際しては、上述の方法に従って、酸素または窒素を含むスパッタガスを用いるか、または配向調整膜2表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させることによって、配向調整膜2に酸化処理または窒化処理を施す。これによって、配向調整膜2の少なくとも表面が結晶化する可能性がある。
この磁気記録媒体は、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きくなる(好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上となる)。
【0053】
この磁気記録媒体は、配向調整膜2がアモルファスNiP合金からなるものであり、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きくされているので、上記第1の実施形態の磁気記録媒体と同様に、非磁性下地膜3および磁性膜4の結晶配向性を向上させ、磁気異方性を高めることができる。
従って、磁気記録媒体の磁気特性(熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなど)を向上させることができ、高記録密度化を図ることが可能となる。
また製造に際しテクスチャ加工を行うことなく磁気異方性を高めることができるため、製造が容易となり製造コスト削減が可能となる。
【0054】
また、図5に示すように、本発明の磁気記録媒体では、非金属基板1と配向調整膜2との間に、スパッタ法などによって配向性向上膜12を設けることもできる。
配向性向上膜12は、配向調整膜2の配向性を調整するとともに、配向調整膜2の基板側からの剥離を防ぐためのもので、材料としては、例えばCr、Mo、Nb、V、Re、Zr、W、Tiのうち1種以上を主成分とする合金を使用することができ、なかでも特に、CrMo系、CrTi系、CrV系、CrW系などの合金や、Crの使用が好適である。
またB2構造またはアモルファス構造を有する材料を用いることもできる。
B2構造を有する材料としては、Ni50Al(Ni−50at%Al)、Co50Al(Co−50at%Al)、Fe50Al(Fe−50at%Al)等を挙げることができる。
アモルファス構造を有する材料としては、CuZr系、TiCu系、NbNi系、NiP系などの合金を用いることができる。
【0055】
配向性向上膜12の材料の好ましい具体例としては、NiAl、FeAl、CoAl、CoZr、CoCrZr、およびCoCrCのうちいずれかを主成分とするものを挙げることができる。
配向性向上膜12の膜厚は、200nm以下、例えば5〜200nmとするのが好ましい。200nmを越えると磁性膜4の磁気異方性を高める効果が低下する。
【0056】
ここに示す例の磁気記録媒体では、配向性向上膜12を設けることによって、配向調整膜2の初期成長時の配向性の乱れを防ぎ、非磁性下地膜3および磁性膜4の結晶配向性を向上させ、磁性膜4の磁気異方性をさらに高めることができる。
また非金属基板1から配向調整膜2が剥離するのを防ぐことができる。
【0057】
また本発明では、図6に示すように、配向調整膜を複数設けることもできる。ここに示す磁気記録媒体は、第1および第2の配向調整膜2c、2dを備えている。これら配向調整膜2c、2dに用いる材料やこれらの厚さは、図1に示す磁気記録媒体の配向調整膜2と同様とすることができる。なお配向調整膜の数は3以上とすることもできる。
【0058】
また、本発明では、図7に示すように、非磁性下地膜3と磁性膜4との間に、CoCrなどからなる非磁性中間膜13を設けることもできる。
非磁性中間膜13を設けることによって、磁性膜4の初期成長の乱れを抑制し、磁性膜4の配向性を向上させ、優れた磁気特性を得ることができる。
【0059】
図8は、本発明の磁気記録媒体の製造装置の他の実施形態を示すもので、ここに示すスパッタ装置31は、成膜粒子の放出源であるスパッタリングターゲット32が環状に形成され、遮蔽板33が、環状の外側遮蔽板33aと外側遮蔽板33aの開口部内に配設された円板状の内側遮蔽板33bとから構成されている点で図2に示すスパッタ装置21と異なる。
【0060】
遮蔽板33は、内側遮蔽板33bの外径が外側遮蔽板33aの内径よりも小さくなるように形成され、外側遮蔽板33aの内周縁と内側遮蔽板33bの外周縁との間に、成膜粒子が通過する成膜粒子通過スリット34が形成されている。
外側遮蔽板33aの内径と内側遮蔽板33bの外径は、放出された成膜粒子が、非金属基板1に付着する際の成膜粒子の非金属基板1に対する入射角度α’が10〜75°となるように設定されている。
【0061】
このスパッタ装置31を用いて配向調整膜2を形成する際には、スパッタリングターゲット32から放出されて成膜粒子通過スリット34を通過した成膜粒子が、非金属基板1に対する入射角度α’が10〜75°となるように非金属基板1の表面1aに付着する。
【0062】
また本発明では、非磁性下地膜3、磁性膜4を形成する際においても、スパッタ装置21、31を用いて、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定することもできる。
この方法によれば、磁性膜4の磁気異方性をさらに高めることができる。
【0063】
また本発明では、配向調整膜を形成する方法として、スパッタ法のほかに、真空蒸着法、ガス中スパッタ法、ガスフロースパッタ法、イオンビーム法などの物理蒸着法を用いることができる。
【0064】
【実施例】
以下、具体例を挙げて本発明を詳細に説明する。
(試験例1)
配向調整膜2を備えていないこと以外は図1(a)に示すものと同様の磁気記録媒体を以下のようにして作製した。
DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製3010)を用いたスパッタ法によって、非金属基板1(アモルファスガラス、直径65mm、厚さ0.635mm)上に、CrMo合金からなる非磁性下地膜3(厚さ30nm)、CoCrPtTa合金からなる磁性膜4(厚さ25nm)、カーボンからなる保護膜5(厚さ10nm)を形成した。次いで、ディッピング法によりパーフルオロエーテルからなる潤滑膜6を形成した。
成膜の際には、スパッタ装置のチャンバ内を真空到達度2×10-7Paとなるまで減圧した。また非金属基板1は200℃に加熱した。スパッタガスとしてはアルゴンを用いた。
【0065】
得られた磁気記録媒体の静磁気特性を、振動式磁気特性測定装置(VSM)を用いて測定した。また周方向の保磁力Hccと半径方向の保磁力Hcrの比(Hcc/Hcr)を測定し磁気異方性の指標とし、表1中に磁気異方性として示した。
また電磁変換特性を、GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて測定した。電磁変換特性の評価には、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を有する複合型薄膜磁気記録ヘッドを用い、記録条件を線記録密度350kFCIとして測定を行った。
熱揺らぎ耐性(熱減磁)については、スピンスタンドS1701MPを用い、70℃において記録密度40kFCIでの出力減少を測定した。また表中、PW50とは出力ピークの半値幅を示し、S/Nは記録再生出力とノイズの比を示す。試験結果を表1に示す。
【0066】
(試験例2〜17)
図1に示す磁気記録媒体を以下のようにして作製した。
スパッタ装置21を用いて、非金属基板1上に配向調整膜2を形成し、この際、成膜粒子の軌道26の非金属基板1への投影線27が非金属基板1の径方向に沿い、かつ非金属基板1に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定した。
配向調整膜2を形成する際には、窒素とアルゴンの混合ガス(窒素含有率20vol%)をスパッタガスとして用いた。そのほかの条件は試験例1に準じた。
得られた磁気記録媒体断面をTEMにより観察した結果、配向調整膜2が、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなったことが明らかになった。
試験結果を表1に併せて示す。
【0067】
(試験例18〜19)
配向調整膜2を形成する際に、遮蔽板23を用いず、成膜粒子の入射角度を限定しないこと以外は試験例2〜17に準じて磁気記録媒体を作製した。
試験結果を表2に示す。
【0068】
(試験例20〜30)
配向調整膜2を形成する際に、スパッタガスとして、窒素を表3に示す含有率となるようにアルゴンに添加した混合ガスを用いること以外は試験例2〜17に準じて磁気記録媒体を作製した。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験例26における配向調整膜2の窒素含有率をオージェ電子分光法で測定したところ、10at%であった。
試験結果を表3に示す。
【0069】
(試験例31〜39)
配向調整膜2の材料として表4に示すものを用いること以外は試験例2〜17に準じて磁気記録媒体を作製した。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験結果を表4に示す。
【0070】
(試験例40〜48)
配向調整膜2を形成する際に、スパッタガスとして、酸素を表5に示す含有率となるようにアルゴンに添加した混合ガスを用いること以外は試験例2〜17に準じて磁気記録媒体を作製した。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験例41における配向調整膜2の酸素含有率をオージェ電子分光法で測定したところ、4at%であった。
試験結果を表5に示す。
【0071】
(試験例49)
配向調整膜2を形成する際に用いるスパッタガスとしてアルゴンを用いること以外は試験例34に準じて磁気記録媒体を作製した。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験結果を表6に示す。
【0072】
(試験例50〜69)
配向調整膜2を形成した後、配向調整膜2を表6に示す曝露ガスに曝すこと以外は試験例49に準じて磁気記録媒体を作製した(試験例52、55、57、59、62、65、68では曝露を行わなかった)。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験結果を表6に示す。
【0073】
(試験例70〜90)
配向調整膜2を形成するに先だって、非金属基板1と配向調整膜2との間に配向性向上膜12を形成すること以外は試験例2〜17に準じて磁気記録媒体を作製した。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験結果を表7に示す。
【0074】
(試験例91〜115)
配向調整膜2および非磁性下地膜3の材料として表8に示すものを用いること以外は試験例2〜17に準じて磁気記録媒体を作製した。
試験例94、97、102、108、111、115については、配向調整膜2を形成する際に、表8に示す含有率となるように窒素をアルゴンに添加した混合ガスをスパッタガスとして用いた。
他の試験例では、スパッタガスとしてアルゴンを用いた。
配向調整膜2は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた結晶構造を有するものとなった。
試験結果を表8に示す。
【0075】
(試験例116〜127)
配向調整膜2および非磁性下地膜3の材料として表9に示すものを用い、かつ曝露ガスとして表9に示すものを用いること以外は試験例49〜69に準じて磁気記録媒体を作製した。
表中、角度限定無しとしたものは、配向調整膜2を形成する際に、遮蔽板23を用いず、成膜粒子の入射角度を限定しない製造方法を採った。試験結果を表9に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0003732769
【0077】
【表2】
Figure 0003732769
【0078】
【表3】
Figure 0003732769
【0079】
【表4】
Figure 0003732769
【0080】
【表5】
Figure 0003732769
【0081】
【表6】
Figure 0003732769
【0082】
【表7】
Figure 0003732769
【0083】
【表8】
Figure 0003732769
【0084】
【表9】
Figure 0003732769
【0085】
表1より、配向調整膜2を設けることによって、非磁性下地膜3および磁性膜4がそれぞれbcc構造、hcp構造を有するものとなり、非磁性下地膜3および磁性膜4の配向面がそれぞれ(200)、(110)となったことがわかる。
また磁気異方性が高く、磁気特性を向上させることができたことがわかる。
また試験例7〜9の比較、試験例11〜13の比較により、配向調整膜2を構成する材料としてCrXを用い、このXの含有率を50at%未満とすることによって、磁気特性向上効果を高めることができたことがわかる。
表2より、成膜粒子の入射角度を限定し、柱状微結晶粒2aが半径方向に傾いた結晶構造を有する配向調整膜2を形成することによって、優れた磁気特性向上効果を得ることができたことがわかる。
表3より、スパッタガスとして窒素を含有するものを用いて配向調整膜2表面を窒化処理する方法によれば、窒化処理を行わない方法に比べ、磁気異方性を同等またはそれ以上に高めることができたことがわかる。
表4より、配向調整膜2の材料として、表に示す単体金属を用いた場合でも優れた磁気異方性が得られたことがわかる。
表5より、スパッタガスとして酸素を含有するものを用いて配向調整膜2表面を酸化処理する方法によれば、酸化処理を行わない方法に比べ、磁気異方性を同等またはそれ以上に高めることができたことがわかる。
表6より、配向調整膜2形成後に、配向調整膜2表面を酸化または窒化処理する方法によれば、この処理を行わない方法に比べ、磁気異方性を同等またはそれ以上に高めることができたことがわかる。
また配向調整膜2に、CoTa、CoNb、NiNb、NiTaを用いた場合には、優れた静磁気特性が得られたことがわかる。
表7より、配向性向上膜12を形成した場合には、これを形成しない場合に比べ、磁気異方性を同等またはそれ以上に高めることができたことがわかる。
さらに、配向性向上膜12をB2構造を有する材料、またはアモルファス構造を有する材料で形成することにより、磁気異方性を高めることができたことがわかる。
表8より、配向調整膜2の材料として、Fd3m構造を有するCrX系合金を用いることにより、これ以外の結晶構造を有する材料を用いた場合に比べ、磁気異方性を同等以上に高めることができたことがわかる。
また配向調整膜2に、CoNb、NiTa、NiNbを用いた場合には、優れた静磁気特性が得られたことがわかる。
また試験例99〜115に示すように、配向調整膜2としてCrX系合金以外の非磁性金属材料でFd3m構造を有する材料を用いた場合にも優れた磁気異方性が得られたことがわかる。
表9より、配向調整膜2にNiP合金を用いた場合においても、優れた磁気異方性が得られたことがわかる。
また試験例118と試験例119の比較、試験例126と試験例127の比較により、配向調整膜2に酸化処理または窒化処理を行うことによって、優れた磁気特性を得ることができたことがわかる。
【0086】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体は、非金属基板と非磁性下地膜との間に、bcc構造の非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる配向調整膜が形成され、この配向調整膜が、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結晶構造を有するので、非磁性下地膜および磁性膜の結晶配向性を向上させ、磁性膜における磁気異方性を高めることができる。
従って、磁気記録媒体の磁気特性(熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなど)を向上させることができ、高記録密度化を図ることが可能となる。
また製造に際しテクスチャ加工を行うことなく磁気異方性を高めることができるため、製造が容易となり製造コスト削減が可能となる。
【0087】
また配向調整膜が、アモルファスNiP合金からなるものであり、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きくされた構成を採用することによって、非磁性下地膜および磁性膜の結晶配向性を向上させ、磁気異方性を高めることができる。
従って、磁気記録媒体の磁気特性を向上させ、高記録密度化を図ることできる。また製造に際しテクスチャ加工を行うことなく磁気異方性を高めることができるため、製造が容易となり製造コスト削減が可能となる。
【0088】
また本発明の磁気記録媒体の製造方法にあっては、配向調整膜を構成する材料からなる成膜粒子を放出源から放出させて被付着面に付着させることにより配向調整膜を形成し、この際、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定するので、非磁性下地膜および磁性膜の結晶配向性を向上させ、磁性膜における磁気異方性を高めることができる。
従って、磁気記録媒体の磁気特性(熱揺らぎ耐性、エラーレート、S/Nなど)を向上させることができ、高記録密度化を図ることが可能となる。
また製造に際しテクスチャ加工が不要となるため、製造が容易となり製造コスト削減が可能となる。
【0089】
本発明の製造装置にあっては、成膜粒子を放出する放出源と、放出された成膜粒子の方向を定める方向設定手段とを備え、この方向設定手段が、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定することができるようにされているので、非金属基板に対する成膜粒子の入射方向を正確に定めることができる。
このため、得られる磁気記録媒体の磁気異方性を高めることができ、S/N、エラーレートの向上が可能となることから、高記録密度化が可能となる。また熱揺らぎ現象に起因するデータ消失などのトラブルを未然に防ぐことができる。
【0090】
また本発明の磁気記録再生装置にあっては、磁気記録媒体の磁気異方性を高めることができるため、S/N、エラーレートの向上が可能となることから、高記録密度化が可能となる。また熱揺らぎ現象に起因するデータ消失などのトラブルを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す一部断面図である。(b)(a)に示す磁気記録媒体の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真に基づいて作成した要部拡大図である。
【図2】 本発明の磁気記録媒体の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態を説明する説明図である。
【図4】 本発明の磁気記録再生装置の一実施形態を示す一部断面図である。
【図5】 本発明の磁気記録媒体の他の実施形態を示す一部断面図である。
【図6】 本発明の磁気記録媒体のさらに他の実施形態を示す一部断面図である。
【図7】 本発明の磁気記録媒体のさらに他の実施形態を示す一部断面図である。
【図8】 本発明の磁気記録媒体の製造装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・非金属基板、1a・・・非金属基板表面(被付着面)、2・・・配向調整膜、2a・・・柱状微結晶粒、3・・・非磁性下地膜、4・・・磁性膜、7・・・磁気記録媒体、9・・・磁気ヘッド、22・・・スパッタリングターゲット、23・・・遮蔽板(方向設定手段)、26・・・成膜粒子の軌道、27・・・投影線、α、α'・・・入射角度、α1・・・柱状微結晶粒の傾斜角度

Claims (21)

  1. 非金属基板(1)と、その上に形成された非磁性下地膜(3)、磁性膜(4)および保護膜(5)を基本構成とする磁気記録媒体において、
    磁性膜が、hcp構造を有し、かつ(110)に優先的に配向しており、
    非磁性下地膜が、bcc構造を有し、
    非金属基板と非磁性下地膜との間に、非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させる配向調整膜(2)が形成され、
    この配向調整膜が、柱状微結晶粒(2a)が半径方向に傾いた結晶構造を有し、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 非磁性下地膜は、bcc構造を有し、かつ配向面が(200)であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 配向調整膜は、Cr、V、Nb、Mo、W、Taのうち1種または2種以上からなるものであることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 配向調整膜は、Crを主成分とする合金からなるものであることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  5. 配向調整膜は、CoTaまたはCoNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有することを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  6. 配向調整膜は、CrTaまたはCrNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が15〜75at%であることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  7. 配向調整膜は、NiTaまたはNiNbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有することを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  8. 配向調整膜は、Fd3m構造を有する非磁性金属からなるものであることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  9. 配向調整膜は、C15構造を有する非磁性金属からなるものであることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  10. 非金属基板と配向調整膜との間に、配向性向上膜(12)が形成されていることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  11. 配向性向上膜は、B2構造またはアモルファス構造を有する材料からなるものであることを特徴とする請求項10記載の磁気記録媒体。
  12. 配向性向上膜は、NiAl、FeAl、CoAl、CoZr、CoCrZr、およびCoCrCのうちいずれかを主成分とするものであることを特徴とする請求項10記載の磁気記録媒体。
  13. 非金属基板と、その上に形成された非磁性下地膜、磁性膜および保護膜を基本構成とする磁気記録媒体において、
    磁性膜が、hcp構造を有し、かつ(110)に優先的に配向しており、
    非磁性下地膜が、bcc構造を有し、
    非金属基板と非磁性下地膜との間に、非磁性下地膜を(200)に優先的に配向させ、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrを1より大きくする配向調整膜が設けられ、
    この配向調整膜は、アモルファス構造のNiP合金からなり、その表面に酸化膜または窒化膜が形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  14. 配向調整膜は、窒素または酸素を1at%以上含むことを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  15. 請求項2記載の磁気記録媒体を製造する方法であって、配向調整膜を構成する材料からなる成膜粒子を放出源(22)から放出させて被付着面(1a)に付着させることにより配向調整膜を形成し、この際、成膜粒子軌道(26)の被付着面への投影線(27)が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度(α)が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  16. 配向調整膜に、酸化処理または窒化処理を施すことを特徴とする請求項15記載の磁気記録媒体の製造方法。
  17. 配向調整膜を形成するにあたって、成膜粒子の放出源としてスパッタリングターゲット(22)を用いるスパッタ法を採用することを特徴とする請求項15記載の磁気記録媒体の製造方法。
  18. 配向調整膜を形成するに際し、スパッタ法を採用し、酸素または窒素を含むスパッタガスを用いることによって酸化処理または窒化処理を行うことを特徴とする請求項16記載の磁気記録媒体の製造方法。
  19. 酸化処理または窒化処理を、配向調整膜の表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させることにより行うことを特徴とする請求項16記載の磁気記録媒体の製造方法。
  20. 請求項2記載の磁気記録媒体を製造する装置であって、配向調整膜を構成する材料からなる成膜粒子を放出し被付着面に付着させることにより配向調整膜を形成する放出源と、この放出源から放出された成膜粒子の方向を定める方向設定手段(23)とを備え、この方向設定手段は、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が非金属基板の径方向に沿い、かつ非金属基板に対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定することができるようにされていることを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
  21. 請求項2記載の磁気記録媒体(7)と、この磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッド(9)とを備えていることを特徴とする磁気記録再生装置。
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