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JP3729407B2 - 縫製装置及び縫製装置の針棒位置変更制御プログラム - Google Patents

縫製装置及び縫製装置の針棒位置変更制御プログラム Download PDF

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JP3729407B2
JP3729407B2 JP2002228444A JP2002228444A JP3729407B2 JP 3729407 B2 JP3729407 B2 JP 3729407B2 JP 2002228444 A JP2002228444 A JP 2002228444A JP 2002228444 A JP2002228444 A JP 2002228444A JP 3729407 B2 JP3729407 B2 JP 3729407B2
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  • Textile Engineering (AREA)
  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部を備えた縫製装置及び縫製装置の針棒位置変更制御プログラムに関し、特に、針棒位置変更操作手段が操作された場合に、カセット装着部への糸カセットの装着の有無で異なる針棒位置変更制御を行うようにした技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、糸駒を収容した糸カセットをカセット装着部に着脱自在に装着し、その糸カセットから延びる糸を上糸として使用するようにしたカセット着脱式の縫製装置が考えられる。カセット装着部に装着する糸カセットから導出される糸が、糸調子機構の1対の糸調子皿の間に掛けられ、この糸調子皿から下流側に延びる糸が天秤に掛けられ、この天秤から下流側に延びる糸が針棒に装着された縫針の針穴に通されてセットされる。
【0003】
このカセット着脱式の縫製装置において、カセット装着部に装着する糸カセットから導出される糸を縫針の針穴に通す糸通し機構を備えることが望ましい。もし糸通し機構を備えた場合には、この糸通し機構により針穴への糸通しを可能にするために、針棒上下動機構により上下動される針棒を上停止位置に停止させた状態で、糸通し機構を作動させる必要がある。
【0004】
一方、本願出願人は、糸カセットをカセット装着部に装着する動作に連動して作動する糸搬送機構と糸通し機構を備え、その糸搬送機構と糸通し機構により、糸カセットから導出される糸を自動的に縫針の針穴に通すようにした縫製装置(例えば、特願2002-91558号参照)を出願している。糸搬送機構が、糸カセットから導出される糸を引っ掛けて縫針の針穴付近まで運び、糸通し機構が、糸搬送機構で運ばれてきた糸を引っ掛けて針穴に通すようになっている。
【0005】
この縫製装置では、糸カセットをカセット装着部に装着する動作に連動して糸通し機構が作動するため、糸通し機構により針穴への糸通しを可能にするためには、前記のように針棒を上停止位置に停止させた状態で、糸カセットをカセット装着部に装着する必要がある。
【0006】
ところで、針棒が上停止位置に停止しているときに、縫製装置への加工布のセット・セットオフを行い、針棒が下停止位置に停止しているときに、縫製装置にセットされた加工布に縫針が刺さってこれらの位置関係が保持され、縫針を中心に加工布を回転させ縫い方向等を変更することができる。従来の縫製装置において、針上下キーを設け、この針上下キーを操作することにより、針棒位置が上停止位置と下停止位置とに交互に切り換わるものは実用に供されている。また、針棒が所定の高さ以上ないと、糸通し機構が動作しないミシンもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、カセット着脱式の縫製装置において、糸通し機構を備えた場合には、この糸通し機構により針穴への糸通しを可能にするために、使用者が針棒の位置を見ながら、主軸プーリを操作する等して針棒を上停止位置に移動させて停止させることは難しく熟練を要する面があり、針棒が上停止位置以外の位置に停止しているのに、糸通し機構を作動させてしまって糸通しが失敗し、場合によっては、糸通し機構等が破損する虞もある。また、針棒の高さが所定以上ないと糸通し機構が動作しない構成では、適切な高さに針棒が達するまで何度も試行錯誤の操作を行い、作業能率が低下する虞がある。
【0008】
本願出願人が出願している、糸カセットをカセット装着部に装着する動作に連動して作動する糸通し機構を備えた縫製装置では、針棒を上停止位置に停止させた状態で、糸カセットをカセット装着部に装着する必要があるが、上記と同様の問題がある他、糸通しが失敗すると、糸カセットのカセット装着部への装着、場合によってはその為の糸掛け準備等をやり直す必要が生じて非常に面倒である。
【0009】
カセット着脱式の縫製装置において、前記の針上下キーを含む構成の適用が考えられるが、針上下キーを操作する度に常に針棒の位置が上停止位置と下停止位置とに交互に切り換わるため、糸通し作業前に針上下キーを操作して、針棒が下停止位置に停止していても、その状態で、糸通し機構を作動させてしまう(本願出願人の縫製装置では、糸カセットをカセット装着部に装着してしまう)虞がある。
【0010】
つまり、使用者が針上下キーを操作して、針棒を上停止位置に確実に停止させるためには、その針棒の位置確認が必要となり、また場合によっては、針上下キーを2回も操作して、針棒を上停止位置に変更させなければならないため、その分使用者の負荷が大きくなって面倒になる。尚、縫製上の使い勝手をよくするためには、従来と同様に、針上下キーを操作して、針棒の位置を上停止位置と下停止位置とに交互に切り換えるようにすることが望ましい。
【0011】
本発明の目的は、針棒位置変更操作手段が操作された場合、糸カセットがカセット装着部に装着されている場合には、針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて針棒を上停止位置と下停止位置の何れかに変更させ、糸カセットがカセット装着部に装着されていない場には、針棒位置に関わらず針棒を上停止位置へのみ変更させ、糸カセットの装着を良好に行うことができて使い勝手のよい、縫製装置及び縫製装置の針棒位置変更制御プログラムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の縫製装置は、針棒を上下動させる針棒上下動機構と、この針棒上下動機構を介して前記針棒の上下方向位置を変更する為に操作される針棒位置変更操作手段と、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部とを備えた縫製装置において、前記カセット装着部への前記糸カセットの装着の有無を検出するカセット検出手段と、前記針棒位置変更操作手段が操作された場合に、前記カセット検出手段の検出結果に基づいて、前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されている場合には、前記針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて前記針棒を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させ、前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されていない場合には、前記針棒位置に関わらず前記針棒を上停止位置に変更させるように、前記針棒上下動機構を制御する針棒位置変更制御手段とを備えたものである。
【0013】
この請求項1の縫製装置では、カセット検出手段により、カセット装着部への糸カセットの装着の有無が検出され、針棒位置変更操作手段が操作された場合、このカセット検出手段の検出結果に基づいて、針棒位置変更制御手段により針棒上下動機構が制御されて針棒位置の変更が行われる。その際、カセット装着部に糸カセットが装着されている場合には、針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて、針棒が上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更され、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合には、針棒位置に関わらず針棒が上停止位置に変更される。
【0014】
針棒が上停止位置のときに、縫製装置への加工布のセット・セットオフを行う空間が縫針の下方にあり、針棒が下停止位置のときに、縫製装置へセットされた加工布に縫針が刺さってこれらの位置関係が保持される。この針棒位置の上停止位置と下停止位置との切り換えについて、カセット装着部に糸カセットが装着されている場合には、使用者が針棒位置変更操作手段を一回操作する毎に交互に行われる。一方、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合には、針棒を下停止位置に変更する必要も少なくなく、使用者が針棒位置変更操作手段を一回操作するだけで、針棒位置に関わらず針棒が上停止位置に切り換えられる。
【0015】
請求項2の縫製装置は、請求項1の発明において、前記針棒位置変更制御手段は、前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置が上停止位置の場合には、前記針棒を一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に変更させるものである。この請求項2の縫製装置では、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置が上停止位置の場合には、針棒位置変更操作手段が操作されると、針棒が一旦下停止位置に変更されてから上停止位置に確実に変更される。即ち、針棒が下停止位置を経由して上停止位置に至る。
【0016】
請求項3の縫製装置は、請求項1又は2の発明において、前記カセット装着部に前記糸カセットを装着する際に、この糸カセットから導出される糸を針棒に装着された縫針の針穴に通す糸通し機構を設け、前記上停止位置は、糸通し機構を作動させて糸通し可能な位置であるものである。この請求項3の縫製装置では、カセット装着部に糸カセットを装着する前に、針棒位置変更操作手段を操作することにより、針棒が上停止位置に変更され、それから、カセット装着部に前記糸カセットを装着すると、その際に糸通し機構が正常に作動し、この糸通し機構により糸カセットの糸が針穴に通される。
【0017】
請求項4の縫製装置の針棒位置変更制御プログラムは、針棒を上下動させる針棒上下動機構と、この針棒上下動機構を介して前記針棒の上下方向位置を変更する為に操作される針棒位置変更操作手段と、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部と、このカセット装着部への前記糸カセットの装着の有無を検出するカセット検出手段とを備えた縫製装置における、前記針棒の位置を変更させる制御をコンピュータに実行させる為の針棒位置変更制御プログラムであって、前記針棒位置変更操作手段が操作された場合に、前記カセット検出手段の検出結果に基づいて前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されている場合に、前記針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて前記針棒を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させる第1ルーチンと、前記針棒位置変更操作手段が操作された場合に、前記カセット検出手段の検出結果に基づいて前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置に関わらず前記針棒を上停止位置に変更させる第2ルーチンとを備えたものである。
【0018】
この縫製装置の針棒位置変更制御プログラムは、針棒を上下動させる針棒上下動機構と、この針棒上下動機構を介して針棒の上下方向位置を変更する為に操作される針棒位置変更操作手段と、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部と、このカセット装着部への糸カセットの装着の有無を検出するカセット検出手段とを備えた縫製装置のコンピュータに適用される。
【0019】
そして、第1ルーチンにおいて、針棒位置変更操作手段が操作された場合に、カセット検出手段の検出結果に基づいてカセット装着部に糸カセットが装着されている場合に、針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて針棒が上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更され、第2ルーチンにおいて、針棒位置変更操作手段が操作された場合に、カセット検出手段の検出結果に基づいてカセット装着部に糸カセットが装着されていない場合に、針棒位置に関わらず針棒が上停止位置に変更される。この針棒位置変更制御プログラムを適用した縫製装置は、請求項1と同様の作用を奏する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部を備えた家庭用ミシンに、本発明を適用した場合の一例である。
【0021】
図1〜図4に示すように、家庭用のミシンMは、水平なベッド面を有するベッド部1と、ベッド部1の右端部分に立設された脚柱部2と、脚柱部2の上部からベッド部1と対向するように左方へ延びるアーム部3と、アーム部3の左端部分に設けられた頭部4とを有する。頭部4には、糸カセット10が着脱自在に装着されるカセット装着部5が設けられ、カセット装着部5に装着された糸カセット10から導出される糸11が上糸として使用される。
【0022】
アーム部3(の頭部4)には、縫製開始スイッチ、縫製終了スイッチ、等々の操作スイッチ類6(図15参照)が設けられている。また、アーム部3には、画面を正面に向けた液晶ディスプレイ7が設けられ、その液晶ディスプレイ7の表面にタッチパネル8(図15参照)が設けられている。
【0023】
図2、図4、図9、図10に示すように、頭部4には、針棒12、天秤13、カセット装着部5に装着する糸カセット10から導出される糸11の糸調子を調節する糸調子機構14、カセット装着部5に装着された糸カセット10を取り外すために操作される取外操作部材15aを含むカセット取外機構15、カセット装着部5に糸カセット10を装着する際にそのカセット装着動作に連動して作動する糸搬送機構16A及び糸通し機構16B及び糸掛け機構17、針棒12を上下動させる針棒上下動機構18、針棒12を揺動させる針棒揺動機構19、天秤駆動機構等が設けられている。
【0024】
糸搬送機構16Aは、カセット装着部5に糸カセット10装着する際に、糸カセット10から導出される糸11を引っ掛けて針棒12に装着された縫針12aの針穴12b付近まで運んでくる機構であり、糸通し機構16Bは、カセット装着部5に糸カセット10を装着する際に、糸カセット10から導出され糸搬送機構16Aで針穴12b付近まで運ばれてきた糸11を針穴12bに通す機構である。糸掛け機構17は、カセット装着部5に装着する糸カセット10から導出される糸11を針棒12の針棒糸案内H(図12参照)に糸掛けする機構である。
【0025】
図3、図4に示すように、カセット装着部5に装着された糸カセット10から導出される糸11は、糸調子機構14の1対の糸調子皿41,42の間の糸調子軸40(図11等参照)に上側から掛けられ、その糸調子軸40から下流側へ延びる糸11が天秤13に掛けられ、天秤13から下流側へ延びる糸11が針棒12に装着された縫針12aの針穴12bに通されて縫製可能にセットされる。
【0026】
ベッド部1にはボビン装着部(図示略)が設けられ、このボビン装着部に装着されたボビン(図示略)から延びる糸が下糸として使用される。また、ベッド部1には、釜機構(図示略)が設けられている。上糸と下糸を縫製可能にセットした状態で、ミシンモータ9(図15参照)が駆動されると、針棒上下動機構18により針棒12が上下動され、これに同期して釜機構が駆動されて、その釜機構によりベッド部1の針板1aよりも下側に下降した縫針12a付近の上糸11が引っ掛けられ、その上糸11と下糸とが交絡して縫目が形成される。
【0027】
ここで、糸カセット10について説明する。図5〜図8に示すように、糸カセット10は、カセット本体10と、カセット本体20に枢着された開閉部材21とを有し、これらの内部に糸供給源である糸駒22を収容する糸収容部23が形成されている。開閉部材21には糸立棒24が取り付けられ、開閉部材21を前側へ開くと(図7参照)、糸立棒24への糸駒22の着脱が可能になり、糸駒22が糸立棒24に装着された状態で、開閉部材21を閉めるとその糸駒22が収容部23に収容される。
【0028】
糸駒22からは糸11が上側へ延びて収容部23外に導出され、そこから、カセット本体20と開閉部材21の左端間の糸経路25を通って、糸カセット10の左下端部の糸掛け部26aに導かれてそこに掛けられ、そこから右方へ延びて仕切壁27の下端部の糸掛け部26bと糸カセット10の右下端部の糸掛け部26cに掛けられ、そこから前方へ延びてから糸掛け部26dに掛けられてUターンし、左方へ延びて糸保持部28に保持されて、更に左方へ延びる糸11は、糸保持部28の左側の刃29で切断され糸掛け部26eに掛けられる。
【0029】
以上のように糸11をセットした糸カセット10は、カセット装着部5に装着された状態のものでなく、カセット装着部5に装着するために準備された状態のものである。さて、この糸カセット10の右端部分には、後方と下方を開口した天秤ガイドスペース30がほぼ上下全長に亙って形成され、糸カセット10の下端部分の中央部分に下方を開口した糸調子スペース31が形成され、これらのスペース30,31が仕切壁27により仕切られている。
【0030】
カセット装着部5には糸カセット10を下降させて挿入していくが、その際に、天秤ガイドスペース30に天秤13とこの天秤13をガイドする天秤ガイド13a(図2等参照)が下側から入り込み、糸調子スペース31に糸調子機構14の糸調子軸40と1対の糸調子皿41,42が下側から入り込む。尚、糸調子軸40等が糸カセット10と干渉しないように、カセット本体20の後壁下端部に切欠き20aが形成されている。糸カセット10をカセット装着部5に少し挿入したところで、先ず、天秤ガイドスペース30に入り込んだ天秤13に、糸11の糸掛け部26b,26cの間の糸部分11aが引っ掛かる。
【0031】
その後、糸カセット10をカセット装着部5に挿入していくと、前記糸部分11aが掛かった天秤13に対して糸掛け部26a,26bが下降していくが、この糸部分11aよりも下流側の糸11は糸保持部28に保持された状態が維持されるため、糸収容部23の糸駒22から糸11が引き出されていって、例えば、糸カセット10を2/3程度挿入したときの糸部分11aは図1、図2のような山型になる。糸カセット10をカセット装着部5に装着すると、図3、図4に示すように、糸掛け部26a,26bの間の糸部分11bが、糸調子スペース31に入り込んだ1対の糸調子皿41,42の間の糸調子軸40に引っ掛かる。
【0032】
糸調子機構14について説明する。図11に示すように、糸調子機構14は、フレーム(図示略)に固定されて後方へ延びる糸調子軸40と、糸調子軸40に固定的に外嵌された前糸調子皿41と、前糸調子皿41に面接触可能に糸調子軸40に外嵌された後糸調子皿42と、糸調子軸40に外装されて後糸調子皿42を前方の前糸調子皿41に付勢する圧縮コイルバネからなる糸調子バネ42aとを有し、1対の糸調子皿41,42を開閉させるパルスモータ44(図15参照)を含む開閉機構部43(図10参照)が設けられている。
【0033】
開閉機構部43は、パルスモータ44の他に複数のギヤ部材やリンク部材を有し、少なくとも糸カセット10をカセット装着部5に装着する際に糸調子皿41,42を開放し、糸カセット10をカセット装着部5に装着すると糸調子皿41,42を閉じ、また、糸カセット10をカセット装着部5から取り外す際に糸調子皿41,42を開放する。尚、パルスモータ44は、針棒揺動機構19のモータとして兼用されている。
【0034】
糸搬送機構16Aについて説明する。図9、図12に示すように、糸搬送機構16Aは、針棒台60(図13参照)が枢着されたフレームに設けられ、糸カセット10から導出される糸11を引っ掛ける糸掛け部材50と、糸掛け部材50を待機位置(図9参照)から姿勢を変化させつつ下降させて糸掛け位置(図示略)→糸運び位置(図14参照)へと移動させる糸掛け駆動機構部55を有する。
【0035】
糸掛け部材50は前後1対の糸掛け板51を有し、前記糸掛け位置において、糸カセット10から導出される糸11の天秤13よりも下流側部分が、1対の糸掛け板51に亙ってピンと張った状態に引っ掛けられ、前記糸運び位置において、糸掛け部材50の上下方向位置は針棒12の位置に対して位置決めされ、1対の糸掛け板51の間に縫針12aが位置して、糸11が針穴12bに接近する。
【0036】
糸通し機構16Bについて説明する。図13、図14に示すように、糸通し機構16Bは針棒台60に設けられ、針棒12の左側において針棒台60に上下動可能に支持された糸通し軸61及びスライダガイド軸62と、これら糸通し軸61とスライダガイド軸62の上端部分に上下動自在に外嵌された糸通しスライダ63と、糸通し軸61の下端部に取り付けられたフック機構部64を有する。尚、針棒12は針棒台60に上下動可能に支持され、この針棒台60の上端部がフレームに枢支されて、針棒12と糸通し機構16Bは一体的に揺動する。
【0037】
糸通し軸61の上部に上下2本のピン65a,65bが突出され、上側のピン65aが糸通しスライダ63に形成された螺旋的な係合溝63aに係合し、下側のピン65bが針棒12に外嵌固着された係合部材12cに上側から係合可能になっている。糸通し軸61には糸通し軸61に対してスライダ63を上方へ付勢する圧縮コイルバネ66が外装され、通常、ピン65aは係合溝63aの下端部に係合している。
【0038】
また、スライダガイド軸62には糸通しスライダ63を上方へ付勢する圧縮コイルバネ67が外装され、通常、糸通し軸61と糸通しスライダ63は上限位置に位置している。図14に示すように、フック機構部64は、針穴12bを貫通可能で先端に糸掛部68aを有する糸通しフック68と、糸通しフック68の両側に位置する2枚のガイド部材69と、糸通しフック68の糸掛け部68aに係合可能なワイヤ69aとを有する。
【0039】
糸カセット10がカセット装着部5に装着されていないときには、糸通し機構16Bは図13に示す状態になっているが、糸カセット10をカセット装着部5に装着していくと、糸通しスライダー63が下降し、最初は、糸通し軸61も一体的に下降する。そして、糸通し軸61は、そのピン65bが針棒12の係合部材12cに上側から係合すると下方への移動が禁止されて停止し、針棒12に対する糸通し軸61の上下方向位置が位置決めされる。
【0040】
その後、糸通し軸61に対して糸通しスライダー63が下降するため、ピン65aが糸通しスライダ63の螺旋的な係合溝63aを上側へと係合していって、糸通し軸61が回動される。このとき、フック機構部64は、縫針12a付近に位置しており、しかも、前記糸搬送機構16Aにより糸カセット10から導出される糸11も縫針12a付近に運ばれ、縫針12aの手前に張られた状態で保持されている。
【0041】
即ち、糸通し軸61が回動されると、図14(a)に示すように、フック機構部64の糸通しフック68が針穴12bを貫通して、図14(b)に示すように、糸通しフック68の先端の糸掛け部68aにより糸11が引っ掛けられてから、糸通し軸61が前記と逆方向に回動されると、糸通しフック68が針穴12bから抜けて、針穴12bに糸11が通される。尚、このとき、針棒糸案内Hにも糸11は糸掛け機構17によって掛けられる。
【0042】
ここで、針棒12を所定の上停止位置に停止させた状態で、糸搬送機構16Aと糸通し機構16Bを作動させた場合に、針穴12bに糸11を確実に糸通しできるようになっている。即ち、針穴12bに糸11を確実に糸通しできるように、糸カセット10をカセット装着部5から取り外した状態で、針棒12を上停止位置に停止させておき、この状態で、糸カセット10をカセット装着部5に装着して、糸搬送機構16A及び糸通し機構16Bを作動させる必要がある。
【0043】
さて、針棒上下動機構18は、ミシンモータ9で回転駆動される主軸9a(図10参照)の回転力をクランク機構部等18a(図10参照)を介して針棒12に伝達して針棒12を上下動させる機構であり、主軸9aが一回転すると針棒12を上下に一往復させるように構成してある。
【0044】
図1、図3に示すように、頭部4の前面部には、針棒上下動機構18を介して針棒12の上下方向位置を変更する為に操作される針棒位置変更操作手段としての針上下キー77(所謂、NPキー)が設けられ、針棒12が停止している場合に針上下キー77が操作されると、そのスイッチ操作が有効となって、カセット装着部5への糸カセット10の装着の有無、及び、針上下キー77の操作時の針棒位置に応じて、針棒上下動機構18が駆動されて、針棒5が所定の上停止位置又は下停止位置に変更される。
【0045】
上記の針棒位置の変更に必要な、ミシンモータ9により回転駆動される主軸9aの角度を検出する主軸角検出センサ71(図15参照)と、カセット装着部5への糸カセット10の装着の有無を検出するカセット検出手段としてのカセット検出スイッチ72(図15参照)とが設けられている。
【0046】
主軸角検出センサ71は、例えば、主軸9aに固定されたエンコーダディスクと、このエンコーダディスクを挟むように設けられたフォトインタラプタを有するエンコーダからなる。カセット検出スイッチ72は、例えば、リミットスイッチからなり、カセット装着部5の下端付近部に取り付けられ、カセット装着部5に糸カセット10が装着されるとONになり、カセット装着部5から糸カセット10が所定距離上昇されるとOFFになる。
【0047】
また、アーム部3の右部には下糸巻き軸を有する糸巻き機構(図示略)が設けられ、この下糸巻き軸が待機位置と下糸巻き位置の何れかに切り換えられる。下糸巻き軸が下糸巻き位置に切り換えられた状態で、ミシンモータ9が作動すると、その駆動力は針棒上下動機構18に伝達されなくなり、糸巻き機構に伝達されて糸巻き軸が回転する。
【0048】
糸巻き軸に取り付けられたボビンは、下糸巻き軸と一体的に回転し、そのボビンに、所定の装着部に装着された糸供給源(例えば、糸カセット10に収容された糸駒13)から糸を引き出して下糸として巻き付けることができる。この下糸巻き軸の位置(待機位置又は下糸巻き位置)を検出する下糸巻き切換検出スイッチ73(図15参照)が設けられている。
【0049】
次に、ミシンMの制御系について説明する。図15に示すように、ミシンMの制御装置70は、CPU70a、ROM70b、RAM70c、入力インターフェース70d、出力インターフェース70eを有する。入力インターフェース70dに、操作スイッチ類6、タッチパネル8、主軸角検出センサ71、カセット検出スイッチ72、下糸巻き切換検出スイッチ73、針上下キー77が電気的に接続され、出力インターフェース70eに、ミシンモータ9、パルスモータ44、液晶ディスプレイ7、ランプ類74を夫々駆動する為の駆動回路75a〜75dが電気的に接続されている。
【0050】
図16に示すように、ROM70bには、ミシンMの制御プログラムが格納されており、その制御プログラムは、縫製する為の縫製制御プログラム、カセット装着部5に糸カセット10を着脱する為のカセット着脱制御プログラム、針棒の上下方向位置を変更する為の針棒位置変更制御プログラムを備えている。
【0051】
針棒位置変更制御では、針上下キー77が操作された場合に、カセット検出スイッチ72の検出結果に基づいて、カセット装着部5に糸カセット10が装着されている場合には、針上下キー77の操作時の針棒位置に応じて針棒12を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させ、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていない場合には、針棒位置に関わらず針棒12を上停止位置に変更させるように、針棒上下動機構18を制御し、特に、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていない場合に、その操作時の針棒位置が上停止位置の場合には、針棒12を一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に変更させるように構成してある。尚、一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に変更とは、針棒12が下停止位置を経由して上停止位置に至ることである。このとき、下停止位置では針棒12の移動方向が反転するが、特に針棒12が所定時間、下停止位置に停止している訳ではない。
【0052】
次に、制御装置70が針棒位置変更制御プログラムに基づいて実行する制御について、図17、図18のフローチャートに基づいて説明する。但し、フローチャート中のSi(i=1、2、3・・・)は各ステップを示す。
【0053】
図17に示すように、この制御は、1msec毎のインターバル割り込みにより開始され、下糸巻き軸が下糸巻き位置でないとき(S1;No、縫製可能状態)S2へ移行し、ミシンモータ9が停止中のとき(S2;Yes )S3へ移行し、針上下キー77が操作されてONになると(S3;Yes )S4へ移行する。下糸巻き軸が下糸巻き位置のとき(S1;Yes )、ミシンモータ9が停止中でないとき(S2;No)、針上下キー77が操作されないとき(S3;No)、夫々S9へ移行する。
【0054】
S4において、ミシンモータ駆動開始処理(S4)が実行されると、ミシンモータ9により針棒上下動機構18が駆動されて針棒12が上下動を開始するが、その時、カセット検出センサ72の検出結果に基づいて、カセット装着部5への糸カセット10の装着の有無が判定され(S5)、糸カセット10が装着状態のとき(S5;Yes )、主軸角度が上停止位置角度であるときには(S6;Yes )、下停止指令フラグが設定されて(S7)S9へ移行する。
【0055】
ここで、主軸角度は、針棒12(縫針12a)が上限位置となる針上位置の主軸の角度を0度(360度)として、前述のエンコーダからなる主軸角検出センサ71からの情報に基づいて演算される。そして、前記上停止位置角度として、例えば、20度〜50度が予め設定されている。また、糸カセット10が装着状態でないとき(S5;No)、或いは、糸カセット10が装着状態であっても、主軸角度が上停止位置角度でないときには(S5;Yes 、S6;No)、上停止指令フラグが設定されて(S8)S9へ移行する。尚、前記下停止位置角度として、例えば、200度〜230度が予め設定されている。
【0056】
次に、S9のその他のインターバル処理(S9)の後、図18に示すように、ミシンモータ9が動作中のときに(S10;Yes )、主軸角度が下停止位置角度か否か判定される(S11)。そして、主軸角度が下停止位置角度のとき(S11;Yes )、下停止指令フラグが設定されているときには(S12;Yes )、ミシンモータ駆動停止処理(S13)が実行されて、ミシンモータ9が停止して針棒12が下停止位置に停止する。
【0057】
一方、主軸角度が下停止位置角度でないとき(S11;No)、主軸角度が上停止位置角度であるときに(S14;Yes )、上停止指令フラグが設定されているときには(S15;Yes )、ミシンモータ駆動停止処理(S13)が実行されて、ミシンモータ9が停止して針棒12が上停止位置に停止する。尚、S13の後、或いは、S10,S12,S14,S15でNo判定の後に、その他のインターバル処理(S16)が実行されて終了する。
【0058】
以上の制御により、針上下キー77を操作した時に、カセット装着部5への糸カセット10の装着の有無と、針棒位置に基づいて、図19に示すように針棒の位置が変更される。尚、制御装置70及びこの制御装置が実行する図17、図18のフローチャートで示す制御が本発明の針棒位置変更制御手段に相当し、S3〜S8、S10〜S15のステップ等が本発明の第1ルーチンに相当し、S3〜S5、S8、S10、S11、S14、S15等が本発明の第2ルーチンに相当する。
【0059】
ミシンMの作用・効果について説明する。カセット装着部5に糸カセット10を装着するために、その糸カセット10から導出される糸11を前述のように所定の糸掛けを行って準備し、その準備後、糸カセット10をカセット装着部5に装着していく。すると、糸通し機構16Bと糸搬送機構16Aが連動して作動し、針棒12が少なくとも上停止位置に停止していれば、糸通し機構16Bと糸搬送機構16Aにより、糸カセット10から導出される糸11が針棒12に装着された縫針12aの針穴12bに通される。尚、糸カセット10がカセット装着部5の最下位置まで挿入されていると、カセット検出センサ72がONになる。
【0060】
しかし、糸カセット10をカセット装着部5に装着する際、針棒12が上停止位置に停止しているとは限らず、針棒12が上停止位置以外の位置に停止している状態で糸カセット10の装着を行って糸通し機構16Bを作動させると、針穴12bへの糸通しが失敗する虞があり、そうなると、糸カセット10をカセット装着部5に装着し直さなければならないし、糸カセット10における糸掛けの準備もやり直さなければならないため、使用者の負荷が大きくなって面倒である。
【0061】
そこで、カセット装着部5に糸カセット10を装着する前に、針上下キー77を1回操作すると、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていないため、針棒12がどこの位置にあっても上停止位置に確実に変更され、その後、カセット装着部5に糸カセット10を装着することにより、糸カセット10から導出される糸11を針穴12bに確実に通すことができ、糸通しが失敗し糸通し機構16B等が破損する虞も防止できる。カセット装着部5に糸カセット10が装着されている場合には、針上下キー77を1回操作する度に、その操作時の針棒12の位置に応じて、針棒12を上停止位置と下停止位置とに交互に切り換えることができるため、前述のように縫製上の使用勝手が非常によくなる。
【0062】
以上のように、カセット装着部5への糸カセット10の装着の有無で異なる適切な針棒12の位置変更制御を行うことができ、使い勝手の非常によいものとなり、特に、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていない場合には、針上下キー77を1回操作するだけで、針棒12を上停止位置に簡単・確実に変更でき、カセット装着部5への糸カセット10の装着に備えて簡単に準備できる。また、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていない場合に、針上下キー77の操作時の針棒位置が上停止位置の場合には、針棒12を一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に確実に変更でき、使用者も針棒12の上停止位置への変更がなされたことを明確に知ることができる。尚、カセット装着部5に糸カセット10が装着されている場合に上下キー77が操作されれば、その操作毎に針棒12の停止位置が切り換わるように、制御装置70はミシンモータ9を制御するので、従来の使い方も可能である。
【0063】
次に、前記実施の形態を部分的に変更した変更形態について説明する。
【0064】
1]前記実施の形態では、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていない場合に、針棒位置が上停止位置の場合には、針上下キー77が操作されると、ミシンモータ9により主軸9aが駆動されて、針棒12を一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に変更させるようにしてあるが、針上下キー77が操作されても、主軸9aが駆動されることなく、即ち、針棒12を移動させないようにして上停止位置に停止したままの状態を維持するようにしてもよい。
【0065】
この場合、図20に示すように、針上下キー77が操作されると(S3;Yes )、糸カセット10がカセット装着部5に装着されているか否か判定され(S5)、糸カセット10が装着されていない場合に(S5;No)、更に、主軸角度が上停止位置角度であるときには(S30;Yes )、既に糸通しが可能な位置に針穴12bはあるので、ミシンモータ9を駆動せずに、その他のインターバル処理(S9)を行う。また、主軸角度が上停止位置角度でないときには(S30;No)、ミシンモータ駆動開始処理(S32)及び上停止指令フラグ設定(S34)が行われる。尚、糸カセット10がカセット装着部5に装着されている場合(S30;Yes )、ミシンモータ駆動開始処理(S36)及び停止指令フラグ設定のためのステップ(S6〜S8)が行われる。
【0066】
2]前記実施の形態では、カセット装着部5に糸カセット10が装着されている場合、針上下キー10が操作されると、その操作時の針棒位置が下停止位以外の位置の場合には、全て上停止位置に変更されるようになっているが、針棒12が下停止位置から上停止位置へ至る間の位置(下停止位置と上停止位置を含まない位置)のときには、針棒12を上停止位置に変更し、針棒12が上停止位置から下停止位置へ至る間の位置(下停止位置と上停止位置を含まない位置)のときには、針棒12を下停止位置に変更するようにしてもよい。
【0067】
この場合、図21に示すように、S6のNo判定の後に、主軸角度が下停止位置角度と上停止位置角度の間の角度(例えば、201度〜19度)か否かのステップ;S25を挿入し、主軸角度が下停止位置角度と上停止位置角度の間の角度のときには(S25;Yes )、上停止指令フラグが設定され(S8)、主軸角度が上停止位置角度と下停止位置角度の間の角度でないときには(S25;No)、下停止指令フラグが設定され(S7)、その後の、停止制御において、前述のような針棒位置に停止変更させることが可能になる。
【0068】
3]頭部4のカセット装着部5の近傍にLED等の報知部を設け、針棒12が上停止位置に停止していて、カセット装着部5への糸カセット装着部10の装着が可能な場合、この報知部が点灯してその旨を報知するようにし、また、針棒12が上停止位置に停止していない場合には、報知部が消灯して、糸カセット10の装着が不可能な旨を報知するようにしてもよい。
【0069】
4]前記実施形態の糸カセットは一例を開示したものにすぎず、適用可能な糸カセットとして、例えば、糸駒等に糸を巻いた糸供給源ではなく、糸を塊状にした糸供給源を収容部に収容して使用する糸カセットとしてもよい。また、糸収容部を覆う壁を少なくとも1つ省略し、糸立棒等の保持部に糸駒等を保持して収容するようにしてもよい。
【0070】
5]制御装置70のROM70bに格納されている、針棒位置変更制御プログラムは、前記ミシンMと同等のミシンに適用できるものであり、この針棒位置変更制御プログラムを、インターネット等の通信手段を介して、或いは、CDやMDやFD等の記録媒体に記録してその記録媒体と共にユーザー等に供給してもよい。尚、第1,第2ルーチンに相当するものは前述の通りである。
【0071】
6]上述した実施の形態では、カセット装着部5に糸カセット10が装着されていない場合に、その操作時の針棒位置が上停止位置の場合には、針棒12の移動方向が反転する下停止位置において特には停止させないが、あえて停止させて所定時間経過後に自動的に上昇を開始して上停止位置に移動させてもよい。
【0072】
7]その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能である。
【0073】
【発明の効果】
請求項1の縫製装置によれば、針棒位置変更操作手段が操作された場合に、このカセット検出手段の検出結果に基づいて針棒上下動機構を制御して針棒位置を変更する針棒位置変更制御手段により、カセット装着部に糸カセットが装着されている場合、通常の縫製装置と同様に、針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて針棒を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させ、また、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合、前記針棒位置に関わらず針棒を上停止位置に変更させるので、カセット装着部への糸カセットの装着の有無で異なる適切な針棒の位置変更制御を行うことができ、使い勝手の非常によいものとなり、特に、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合には、針棒位置変更操作手段を1回操作するだけで、針棒を上停止位置に簡単・確実に変更でき、カセット装着部への糸カセットの装着に備えて簡単に準備することができる。
【0074】
請求項2の縫製装置によれば、針棒位置変更制御手段は、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置が上停止位置の場合には、針棒を一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に確実に変更でき、使用者も針棒の上停止位置への変更がなされたことを明確に知ることができる。
【0075】
請求項3の縫製装置によれば、カセット装着部に糸カセットを装着する際に、この糸カセットから導出される糸を針棒に装着された縫針の針穴に通す糸通し機構を設け、上停止位置は、糸通し機構を作動させて糸通し可能な位置であるので、カセット装着部に糸カセットを装着する前に、針棒位置変更操作手段を操作して針棒を上停止位置に変更させ、その状態で、カセット装着部に糸カセットを装着すると、その際、糸通し機構により糸カセットから導出される糸を針棒に装着された縫針の針穴に確実に通すことが可能になる。
【0076】
請求項4の縫製装置の針棒位置変更制御プログラムによれば、針棒上下動機構、針棒位置変更操作手段、カセット装着部、カセット検出手段を備えた縫製装置のコンピュータに適用されて、第1ルーチンにおいて、針棒位置変更操作手段が操作された場合に、カセット検出手段の検出結果に基づいて、カセット装着部に糸カセットが装着されている場合に、針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて針棒を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させ、第2ルーチンにおいて、カセット装着部に糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置に関わらず針棒を上停止位置に変更させることができる。この針棒位置変更制御プログラムを適用した縫製装置は、請求項1と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るミシン(糸カセット装着途中状態)の正面図である。
【図2】ミシン(糸カセット装着途中状態)の頭部を切り欠いた正面図である。
【図3】ミシン(糸カセット装着状態)の正面図である。
【図4】ミシン(糸カセット装着状態)の頭部を切り欠いた正面図である。
【図5】糸カセットの正面図である。
【図6】糸カセットの背面図である。
【図7】糸カセット(開閉部材開放状態)の左側面図である。
【図8】糸カセットの底面図である。
【図9】ミシンの頭部内の前側の正面図である。
【図10】ミシンの頭部内の前側の正面図である。
【図11】糸調子機構の糸調子皿等の平面図である。
【図12】糸搬送機構の左側面図である。
【図13】糸通し機構の(a)は左側面図(b)は正面図である。
【図14】糸通し機構の作動説明図であり(a)は糸通しフックが針穴を貫通した状態(b)は糸通しフックが針穴から抜けて糸が通された状態を示す。
【図15】ミシンの制御系のブロック図である。
【図16】制御装置のROMに格納されているプログラムを示す図表である。
【図17】針棒位置変更制御を含むフローチャートの前半である。
【図18】針棒位置変更制御を含むフローチャートの後半である。
【図19】針棒位置と糸カセットの装着有無に応じた針棒の変更位置を示す図表である。
【図20】変更形態に係る針棒位置変更制御を含むフローチャートである。
【図21】別の変更形態に係る針棒位置変更制御を含むフローチャートである。
【符号の説明】
M ミシン
5 カセット装着部
10 糸カセット
12 針棒
12a 縫針
12b 針穴
16B 糸通し機構
18 針棒上下動機構
22 糸駒
23 糸収容部
70 制御装置
72 カセット検出スイッチ
77 針上下キー

Claims (4)

  1. 針棒を上下動させる針棒上下動機構と、この針棒上下動機構を介して前記針棒の上下方向位置を変更する為に操作される針棒位置変更操作手段と、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部とを備えた縫製装置において、
    前記カセット装着部への前記糸カセットの装着の有無を検出するカセット検出手段と、
    前記針棒位置変更操作手段が操作された場合に、前記カセット検出手段の検出結果に基づいて、前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されている場合には、前記針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて前記針棒を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させ、前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されていない場合には、前記針棒位置に関わらず前記針棒を上停止位置に変更させるように、前記針棒上下動機構を制御する針棒位置変更制御手段と、
    を備えたことを特徴とする縫製装置。
  2. 前記針棒位置変更制御手段は、前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置が上停止位置の場合には、前記針棒を一旦下停止位置に変更させてから上停止位置に変更させることを特徴とする請求項1に記載の縫製装置。
  3. 前記カセット装着部に前記糸カセットを装着する際に、この糸カセットから導出される糸を針棒に装着された縫針の針穴に通す糸通し機構を設け、
    前記上停止位置は、前記糸通し機構を作動させて糸通し可能な位置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の縫製装置。
  4. 針棒を上下動させる針棒上下動機構と、この針棒上下動機構を介して前記針棒の上下方向位置を変更する為に操作される針棒位置変更操作手段と、糸供給源を収容する糸収容部を有する糸カセットが着脱自在に装着されるカセット装着部と、このカセット装着部への前記糸カセットの装着の有無を検出するカセット検出手段とを備えた縫製装置における、前記針棒の位置を変更させる制御をコンピュータに実行させる為の針棒位置変更制御プログラムであって、
    前記針棒位置変更操作手段が操作された場合に、前記カセット検出手段の検出結果に基づいて前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されている場合に、
    前記針棒位置変更操作手段の操作時の針棒位置に応じて前記針棒を上停止位置から下停止位置に又は下停止位置から上停止位置に変更させる第1ルーチンと、
    前記針棒位置変更操作手段が操作された場合に、前記カセット検出手段の検出結果に基づいて前記カセット装着部に前記糸カセットが装着されていない場合に、前記針棒位置に関わらず前記針棒を上停止位置に変更させる第2ルーチンと、
    を備えたことを特徴とする縫製装置の針棒位置変更制御プログラム。
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