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JP3726757B2 - 効果付与方法、効果付与装置およびプログラム - Google Patents

効果付与方法、効果付与装置およびプログラム Download PDF

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JP3726757B2
JP3726757B2 JP2002031044A JP2002031044A JP3726757B2 JP 3726757 B2 JP3726757 B2 JP 3726757B2 JP 2002031044 A JP2002031044 A JP 2002031044A JP 2002031044 A JP2002031044 A JP 2002031044A JP 3726757 B2 JP3726757 B2 JP 3726757B2
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部から供給される演奏情報に基づいて楽音を発生させる音源装置に用いられる効果付与方法、効果付与装置およびそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、音源装置においては演奏情報としてMIDI情報が用いられ、このMIDI情報によって発生する楽音の音高、音色または付与するエフェクトなどが制御される。 なお、エフェクトの制御は元々のMIDI規格では規定されていないため、システム・エクスクルーシブ・メッセージ等が用いられる。
このようなMIDIを用いた音源装置にはエフェクトの種類の少ない低級レベルのものからエフェクトの種類も格段に多い上級レベルのものまでその種類はさまざまである。したがって、機種間レベルが異なると、MIDI情報の互換性が取れなくなる場合がある。また、機種レベルが同程度であっても、付与可能なエフェクトの種類に関してはメーカーが異なる場合はもちろん、メーカーが同じでも仕様や製造年度が異なると、同様にMIDI情報の互換性が取れなくなる場合がある。
【0003】
このような不都合を緩和するために、特開平8−87270号公報においては、上級機種用に作成された高音、音色およびエフェクトに関する演奏情報を低級機種の音源装置で発生可能なデータに変換する技術が開示されている。すなわち、低級機種などにおいて、一部のエフェクトを備えていない場合、類似のエフェクトが代用のエフェクトとして用いられることになる。
【0004】
上記技術においては、エフェクトを指定するためにシステム・エクスクルーシブ・メッセージ等が用いられる。エクスクルーシブ・メッセージにはエフェクトの種類を指定するエフェクト制御データと、そのエフェクトの具体的動作を指定するエフェクト制御パラメータとが含まれる。
エフェクトの種類は2バイトのデータによって表現され、上位バイト(MSB)によって大きな分類が指定され、下位バイト(LSB)によってバリエーションが指定される。ここで、LSB=00Hであるエフェクトを基本エフェクトという。なお、エフェクト制御パラメータはいずれの分類においても「1」から「16」のパラメータ番号に対応する16個のパラメータ値(合計16バイト)から構成されている。ただし、その内容は分類によって異なっている。
【0005】
ここで、縦軸に上位バイト(MSB)の分類と横軸に下位バイト(LSB)のバリエーションとを用いてエフェクトの種類を指定した表をエフェクト対応リストという。最上位モデルのエフェクト対応リストを図3に、ローコストモデルのエフェクト対応リストを図4に各々示す。MSB=51H以上の値では、最上位モデルではエフェクトが存在するがローコストモデルではエフェクトが存在しない。
【0006】
また、基本エフェクトと同一分類のエフェクトは基本エフェクトに対して互換性のあるエフェクト制御パラメータが用いられる。たとえばMSB=4EHのエフェクトとして、図6にLSB=00Hの「AUTO WAH」、図7にLSB=01Hの「AUTO WAH+DISTORTION 」およびLSB=02Hの「AUTO WAH+OVERDRIVE」の各エフェクト制御パラメータを示す。
【0007】
これらの図において、左欄から、パラメータ番号、パラメータ名称、表示値、パラメータ値等が示されている。「AUTO WAH」のパラメータは「LFO Frequency」、「LFO Depth」、「Cutoff Frequency」、「Offset」、「Resonance」、「EQ Low Frequency」、「EQ Low Gain」、「EQ High Frequency」、「EQ High Gain」、「Dry/Wet Balance」、「Drive」である。一方、「AUTO WAH+DISTORTION 」または「AUTO WAH+OVERDRIVE」の各エフェクトは、それらに加えて「EQ Low Gain」、「EQ Mild Gain」、「LPF Cutoff」、「Output Level」の各パラメータを加えたものである。
【0008】
従って、「AUTO WAH+DISTORTION 」または「AUTO WAH+OVERDRIVE」のエフェクトが用意されていない場合でも、基本エフェクトである「AUTO WAH」により代用することによって、エフェクトを付与しない場合よりも楽曲の再現性向上が図られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、機種ごとに用意されるエフェクトは異なっており、機種によっては特定の分類に全くエフェクトが用意されない場合もある。
たとえば図3および図4を比較すれば、最上位モデル用に作成された曲データであって、MSB=56Hの「2WAY ROTARY SPEAKER」を選択した曲データをローコストモデルで再生した場合、対応するエフェクトは「NOEFFECT or THRU」となりエフェクトが付与されていない楽音信号が出力されることが判る。以下、同様にMSB=51H、52H、53H、57H、62H、63Hにおいてもエフェクトが付与されない。
【0010】
ここで、「ROTARY SPEAKER」とは回転スピーカーをシミュレートしたものであり、回転スピードを制御することが可能である。また、「2WAY ROTARY SPEAKER」とは「ROTARY SPEAKER」を並列した状態をシミュレートしたものである。
なお図において、「NO EFFECT or THRU」の項目は右下がりの斜線を用いて網掛けがしてあり、LSB=01H、02Hのエフェクトが基本エフェクトによって代用される場合には左下がりの斜線を用いて網掛けしている。
【0011】
しかし、基本エフェクトが存在しないエフェクトが指定された場合であっても、他の分類のエフェクトで代用可能な場合には、代用することが好ましい。たとえば図3において、MSB=56Hの「2WAY ROTARY SPEAKER」のエフェクトをMSB=45Hの「ROTARY SPEAKER」のエフェクトを用いて代用することが考えられる。以下同様に、MSB=52H、62H、63Hのエフェクトを他のエフェクト(「AUTO WAH」、「DISTORTION」)で代用することが好ましい。このように分類を越えてエフェクトが代用可能であるとすれば、例えば図5に示されるエフェクト対応リストを適用することが考えられる。
【0012】
しかし、その場合では当該他の分類のエフェクトは元々指定されたエフェクトに比較してエフェクト制御パラメータが異なるため、代用することが不可能であった。その理由を図8および図9を参照し説明する。なお、これらの図は各々「2WAY ROTARY SPEAKER」および「ROTARY SPEAKER」の各エフェクト制御パラメータを示す。これらの図において、左欄からパラメータ番号、パラメータ名称、パラメータ値の範囲が示されている。
【0013】
図8に示される「2WAY ROTARY SPEAKER」においては、「Rotor Speed」、「Drive Low」、「Drive High」、「Low/High Balance」等のパラメータが用いられている。一方、図9に示される「ROTARY SPEAKER」においては、「LFO Frequency」、「LFO Depth」等のパラメータが用いられている。
【0014】
したがって、エフェクト選択後にパラメータ番号2である「Drive Low」の指定に基づいて「LFO Depth」のパラメータ値が設定されることになりユーザが意図しないエフェクトが楽音信号に付与されてしまう問題点があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、低価格でありながらエフェクトの再現性が高い効果付与方法、効果付与装置およびプログラムを得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、かっこ内は例示である。
請求項1の効果付与方法にあっては、楽音信号に付与すべき効果(エフェクト)を指定する第1の選択命令(エフェクト制御データ)と当該効果にかかるパラメータである第1のパラメータ(エフェクト制御パラメータ)とを受信し、これらに応じて第2の選択命令と第2のパラメータとに基づいて楽音信号に効果を付与する効果付与方法であって、前記効果装置によって前記第1の選択命令にかかる効果(V DISTORTION HARD)を前記楽音信号に付与することが不可能であり、かつ、前記第1の選択命令にかかる効果に対してパラメータに互換性がある他の効果を前記楽音信号に付与することも不可能であることを条件として、パラメータに互換性が無い他の効果(DISTORTION)を指定する選択命令を前記第2の選択命令とし、かつ、前記第1のパラメータを所定の変換規則に従って変換した結果を前記第2のパラメータとして前記楽音信号に効果を付与する過程を有することを特徴とする効果付与方法を特徴とする。
さらに請求項2の効果付与方法にあっては、前記効果装置によって前記第1の選択命令にかかる効果(CHORUS1)を前記楽音信号に付与することが可能であることを条件として、前記第1の選択命令および前記第1のパラメータを、そのまま前記第2の選択命令および前記第2のパラメータとして前記楽音信号に効果を付与する過程と、前記効果装置によって前記第1の選択命令にかかる効果(AUTO WAH+DISTORTION)を前記楽音信号に付与することが不可能であり、かつ、パラメータに互換性がある他の効果(AUTO WAH)を付与することが可能であることを条件として、当該他の効果を指定する選択命令を前記第2の選択命令とし、かつ、前記第1のパラメータをそのまま前記第2のパラメータとして前記楽音信号に効果を付与する過程とをさらに有することを特徴とする。
さらに請求項3記載の効果付与装置にあっては、請求項1または2記載の効果付与方法を実行することを特徴とする。
さらに請求項4記載のプログラムにあっては、請求項1または2記載の効果付与方法を実行することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
1. 音源装置の構成
次に、本発明による一実施形態である音源装置の全体構成を図2を参照し説明する。
図において、1は音源部であり、ここで生成された楽音信号はミキサ2に入力される。音源部1は複数の発音チャンネルを有しており、同時に複数チャンネルの楽音信号を生成することが可能である。ミキサ2は、音源部1からの複数の楽音信号およびDSP3からの複数の楽音信号に対してミキシング処理を行い、その結果をDAC(D/A変換器)4を介してサウンドシステム5に出力する。ここで、DSP3は、複数のエフェクトブロックを有しており、各ブロック毎に入力された複数の楽音信号に対してエフェクトを付与することが可能である。なお、各ブロックは、付与するエフェクトの内容やエフェクト制御パラメータを他のブロックとは独立して設定可能である。サウンドシステム5は、供給される楽音信号を音声に変換する。なお、特にサウンドシステム5を介さずDAC(D/A変換器)4からの出力を増幅して出力してもよい。
【0017】
音源部1、ミキサ2、DSP3は、バスライン13に接続されており、CPU10によって制御されている。このバスライン13は、通信I/O部6、表示器7、操作子8、タイマ9、フラッシュROM11、RAM12に接続されている。
ここで、通信I/O部6は、MIDIインターフェース、USBインターフェース、ネットワークインターフェース等からなり、ここを介して、MIDI情報が伝送される。表示器7はLED、液晶パネル等から構成されている。操作子8はテンキー、スイッチ等である。タイマ9は、楽音を発生させるタイミングを生成する。CPU10においては、フラッシュROM11に記憶された制御プログラムに基づいて各種処理が行われ、音源部1、ミキサ2、DSP3等が制御される。フラッシュROM11は、電気的書換え消去可能なROMであり、制御プログラムを記憶すると同時に、一時使用のパラメータを記憶/消去することが出来る。RAM12はDSP3、CPU10で得られた処理データを一時的に記憶するものであり、レジスタ、フラグ、テーブル等として利用される。
【0018】
また、音源部1における楽音信号発生方式はいかなるものを用いてもよい。例えば、発生すべき楽音信号の音高に対応して変化するアドレスデータに応じて波形メモリに記憶した楽音信号波形サンプル値データを順次読み出すメモリ読み出し方式、または上記アドレスデータを位相角パラメータデータとして所定の周波数変調演算を実行して楽音信号波形サンプル値データを求めるFM方式、あるいは上記アドレスデータを位相角パラメータデータとして所定の振幅変調演算を実行して楽音信号波形サンプル値データを求めるAM方式等の公知の方式を適宜採用してもよい。
【0019】
2.事前設定
2.1 効果番号変換リストの作成
システム・エクスクルーシブ・メッセージによるエフェクト制御データが入力されると、本エフェクトが存在する場合、同じ分類の中に代用エフェクトが存在する場合、他の分類の中に代用エフェクトが存在する場合、およびエフェクトが存在しない場合に応じて最終的に付与されるエフェクトが決定される。この処理をCPU10を用いて実行するために、エフェクト制御データ中の効果番号を変換するための効果番号変換リストが予め作成される。
【0020】
ローコストモデルに対応する効果番号変換リストの一例を図11(a)に示す。このリストは音源装置内部に予めテーブルとしてフラッシュROM11に格納される。また、この効果番号変換リストは、先に説明した分類を越えるエフェクトの代替を必要に応じて行うために用いられ、効果番号変換リストには、原則として最終的に適用されるエフェクトのバリエーション(LSB値)が記憶されている。
【0021】
例えば、図5において、MSB=40Hでは基本エフェクト(LSB=00H)は「NO EFFECT or THRU」である。さらに、LSB=01Hまたは02Hである場合も基本エフェクトと同様である。したがって、効果番号変換リストのMSB=40Hにおけるすべてのバリエーション(LSB)にデータ「00H」が記憶される。
【0022】
MSB=41Hでは、最上位モデル、(図3)の場合と同様にLSB=00Hでは「CHORUS1」、LSB=01Hでは「CHORUS2」、LSB=02Hでは「CHORUS3」のエフェクトが選択される。最上位モデル用として送られた効果番号をローコストモデル用に変換する必要がなく、最上位モデルと同じ処理を行えばよい。かかる場合には、LSB=00Hでは「00H」、LSB=01Hでは「01H」、LSB=02Hでは「02H」が記憶される。
また、MSB=42Hにおいても効果番号を変換する必要がないため、同様にLSB=00Hでは「00H」、LSB=01Hでは「01H」、LSB=02Hでは「02H」が記憶される。
【0023】
MSB=45Hでは、最上位モデル(図3)のエフェクトはLSB=00Hでは「ROTARY SPEAKER」、LSB=01Hでは「DIST+ROTARY SPEAKER」、LSB=02Hでは「OVERDRIVE+ROTARY SPEAKER」である。一方、ローコストモデルにおいてはLSB=01H=02H共に、「ROTARY SPEAKER」の基本エフェクトが代理エフェクトとして選択される。
【0024】
したがって、図11(a)の効果番号変換リストもその分類のすべてのLSBについて「00H」が記憶される。同様に、MSB=49Hおよび前述のMSB=4EHにおいてもすべてのLSBに、「00H」が記憶される。このように本エフェクトを代理する、該本エフェクトと同じ分類のエフェクトを代理エフェクトという。
なお、前述の「AUTO WAH+DISTORTION 」または「AUTOWAH+OVERDRIVE」に対する「AUTO WAH」も代理エフェクトである。
【0025】
一方、MSB=51Hでは、最上位モデルのエフェクトはLSB=00H、01H、02H共に「HARMONIC ENHANCER」にされているが、ローコストモデルではLSB=00H、01H、02H共に、「NO EFFECT or THRU」にされている。
これは、他の分類のエフェクトでも代用することが出来ないことを意味する。かかる場合には、図11(a)の効果番号変換リストもすべてのLSBについて「FFH」が記憶される。この「FFH」は、「NO EFFECT or THRU」の意味である。MSB=53H、57Hにおいても同様に効果番号変換リストに「FFH」が記憶される。
【0026】
MSB=56Hでは、最上位モデルのエフェクトはLSB=00Hでは「2WAY ROTARY SPEAKER」、LSB=01Hでは「DIST+2WAY ROTARY SPEAKER」、LSB=02Hでは「OVERDRIVE+2WAY ROTARY SPEAKER」に設定されている。従来のローコストモデル(図4)ではLSB=00H、01H、02H共に、「NO EFFECT or THRU」であったが、本実施形態(図5)においては、他の分類であるMSB=45Hの「ROTARY SPEAKER」のエフェクトが代用される。このように、本エフェクトを代理する、該本エフェクトとは異なる分類のエフェクトを又代理エフェクトいう。
【0027】
このような又代理されるエフェクトに対しては、図11(a)の効果番号変換リスト内の対応するLSBについて「FEH」が記憶される。また、本実施形態においては、又代理されるエフェクトと又代理エフェクトとを対応づけるため、両者のMSBを対応づけた分類変換表もフラッシュROM11内に記憶される(図11(b))。この分類変換表によれば、MSB=56Hの「2WAY ROTARY SPEAKER」関係のエフェクトに対してMSB=45Hの「ROTARY SPEAKER」が又代理エフェクトとして指定されていることが解る。
同様にMSB=52Hの「TOUCH WAH1」はMSB=4EHの「AUTO WAH」のエフェクトで又代理され、MSB=63Hの「DUAL ROTOR SPEAKER1」はMSB=45Hの「ROTARY SPEAKER」の各エフェクトで又代理される。これらについて効果番号変換リストの対応するLSBには「FEH」が記憶され、分類変換表によって又代理エフェクトが規定される。
なお、「FEH」も「FFH」も対応するバリエーションのエフェクトは存在しないので誤判断の原因とならない。
【0028】
なお、図1にLSB=00Hにおける最上位モデルならびに本発明の一実施形態の各エフェクトを示す。ここで一実施形態内のかっこ内の値は最上位モデルの対応する分類(MSB)の値であり、図11における分類変換表の値に等しい。
【0029】
2.2 エフェクト制御パラメータの変更
ここで、前述したように互換性の無いパラメータを適用するとユーザの意図しないエフェクトが楽音信号に付与されるという問題点が発生するので、例えば「ROTARY SPEAKER」を又代理エフェクトとして適用する場合は図10に示すように、互換性の保てないパラメータをカットした新規のパラメータリストを作成し互換性を確保する必要がある。なお、このようにパラメータを変換するときの変換規則も効果番号変換リストと同様に事前にフラッシュROM11に記憶されているものである。
【0030】
ここで、「ROTARY SPEAKER」を又代理エフェクトとして適用する際の変換規則の具体例を図8から図10を参照し説明する。まず、 パラメータ番号6から9の「EQ Low Frequency」、「EQ Low Gain 」、「EQ High Frequency」、「EQ High Gain」は、「2WAY ROTARY SPEAKER」と「ROTARY SPEAKER」との各エフェクトで共通しているので、変換後のパラメータにおいてもそのまま用いられる。これに対し、「2WAY ROTARY SPEAKER」のエフェクトにおける「Drive Low」、「Drive High」、「Low /High Balance」、「Cross Over Frequency」、「Mic L−R Angle」の各パラメータは、「ROTARY SPEAKER」のエフェクトでは共通性が保てないので削除される。なお、パラメータ番号1における「Rotor Speed」と「LFO Frequency」は互換性があるので変換後のパラメータとしてそのまま用いられる。
また同様に、「AUTO WAH」、「DISTORTION」の各エフェクトについてもパラメータの変換規則が作成され、各変換規則に番号が付される。
【0031】
3.音源装置全体の動作
通信I/O部6を介して得られるMIDI情報の中にはノートオン、ノートオフ、ベロシティ、ピッチデータ、音色番号と共にシステム・エクスクルーシブ・メッセージが含まれている。その情報に基づき、CPU10による制御により音源部1が複数チャンネルの楽音信号を発生する。
【0032】
MIDI情報としてのノートオン信号が入力されると音源部1に発音チャンネルが確保され、ベロシティ、ピッチデータ、音色番号の各データに基づき発音処理が開始される。また、ノートオフ信号が入力されるとその発音チャンネルに対して消音処理が施され、消音後に当該発音チャンネルが解放される。一方、エフェクト付与にかかるシステム・エクスクルーシブ・メッセージが入力されると、エフェクト制御データとエフェクト制御パラメータに応じて、楽音信号にエフェクト処理が施される。なお、エフェクト制御データは、付与すべきエフェクトの効果番号と、DSP3のブロック番号とを含んでいる。
【0033】
具体的には、音源部1において生成された楽音信号がミキサ2を介して、DSP3に供給され、ここで楽音信号にエフェクトが付与される。さらに、DSP3の複数の出力がミキサ2に入力され、次にDAC4に入力されることにより、アナログ信号に変換され、サウンドシステム5から音声として出力される。
【0034】
4. エフェクトにかかるメッセージに対する処理
通信I/O部6を介してシステム・エクスクルーシブ・メッセージとしてエフェクト制御データおよびエフェクト制御パラメータが供給されると、CPU10においては上位モデル用のエフェクト制御データとエフェクト制御パラメータとを、各ブロックごとにローコストモデル用に変換する必要がある。以下、かかるメッセージが供給されたときの動作の詳細を説明する。
【0035】
4.1 エフェクト選択処理
まず、エフェクト制御データが供給されると図12に示すルーチンが呼び出される。図のステップSP101においてエフェクト選択処理が開始されることにより、変数(ブロック番号)bnにDSP3のブロック番号が、変数enにエフェクト制御データによって指定された効果番号が代入される。
【0036】
次にステップSP102において、フラッシュROM11に格納された効果番号変換リストに基づき、本エフェクト、代理エフェクト、および又代理エフェクトの有無が判定される。
以下、この判定結果に応じて処理が異なるため、場合を分けて説明する。
【0037】
(1)本エフェクトが存在する場合
本エフェクトが存在する場合は効果番号enのLSB値は、効果番号変換リスト内の対応する欄の値(00H、01Hまたは02H)に等しい値である。かかる場合は、処理はステップSP103に進む。
【0038】
ステップSP103においては、ブロック番号bnに対応する変数SEF(bn)にその本エフェクトの効果番号(=en)が代入される。そして、ステップSP104に進む。以下、変数SEF(bn)を「選択エフェクト」と呼ぶ。
次に、処理がステップSP104に進むと、ブロック番号bnに対応する変数EPR(bn)に「00H」が設定される。以下、変数EPR(bn)を「エフェクトパラメータ変換規則番号」と呼ぶ。この規則番号において値「00H」はパラメータの変更を行わないことを意味する。
次に、処理がステップSP111に進むと、DSPのブロックbnにSEF(bn)に応じたアルゴリズムと初期パラメータが設定される。以上のステップが完了すると本ルーチンの処理が終了する。
【0039】
(2)代理エフェクトが存在する場合
本エフェクトは存在しないが代理エフェクトが存在する場合は、効果番号変換リスト内のLSB=01H、02H等の値が「00H」に設定されている。かかる場合は、処理はステップSP105に進み、ブロック番号bnに対応する選択エフェクトSEF(bn)にその代理エフェクトの効果番号(=en)が代入される。
次に、処理がステップSP106に進むと、ブロック番号bnに対応するエフェクトパラメータ変換規則番号EPR(bn)に「00H」が設定される。これは代理エフェクトに対してはパラメータを変更する必要がないからである。
次に、処理がステップSP111に進むと、DSPのブロックbnにSEF(bn)に応じたアルゴリズムと初期パラメータが設定される。以上のステップが完了すると本ルーチンの処理が終了する。
【0040】
(3)又代理エフェクトが存在する場合
本エフェクトおよび代理エフェクトが存在しないが、又代理エフェクトが存在する場合は効果番号変換リストの値がFEHにされている。かかる場合は、処理はステップSP107に進む。
ステップSP107においては、ブロック番号bnに対応する変数SEF(bn)に該又代理エフェクトの効果番号の値が代入される。「2WAY ROTARY SPEAKER」が本エフェクトとして指定された場合の例にあっては、又代理エフェクトである「ROTARY SPEAKER」のMSB値45Hが代入される。
次に、処理がステップSP108に進むと、ブロック番号bnに対応するエフェクトパラメータ変換規則番号EPR(bn)に対応する変換規則の番号が代入される。
次に、処理がステップSP111に進むと、DSPのブロックbnにSEF(bn)に応じたアルゴリズムと初期パラメータが設定される。以上のステップが完了すると本ルーチンの処理が終了する。
【0041】
(4)使用可能なエフェクトが存在しない場合
本エフェクト、代理エフェクトおよび又代理エフェクトが何れも存在しない場合においては効果番号変換リストの値がFFHにされている。かかる場合は、処理はステップSP109に進む。
ステップSP109においては、ブロック番号bnに対応する選択エフェクトSEF(bn)に「00H」が代入される。そして、ステップSP110に進む。
次に、処理がステップSP110に進むと、ブロック番号bnに対応するエフェクトパラメータ変換規則番号EPR(bn)に「FFH」が設定される。ここで、値「FFH」はエフェクトが存在せずパラメータ値を変更する必要が無いことを意味する。
次に、処理がステップSP111に進むと、DSPのブロックbnにSEF(bn)に応じたアルゴリズムと初期パラメータが設定される。以上のステップが完了すると本ルーチンの処理が終了する。
【0042】
4.2 エフェクト制御パラメータ変更処理
上記のエフェクト選択処理が終了した後エフェクト制御パラメータが供給されることにより、指定された変換規則に基づいてエフェクト制御パラメータ変更処理が起動される。以下、この処理を図13を用いて説明する。
パラメータ変更処理が開始されるとステップSP201において、変数bnにDSPのブロック番号が、変数pnにエフェクト制御パラメータ番号が、変数pvにそのパラメータ値が各々代入される。
【0043】
次に、ステップ202においては、パラメータ変換規則番号EPR(bn)の値がFFHであるか否かが判断される。EPR(bn)=FFHであればエフェクト処理が行われないので処理が終了する。また、EPR(bn)=FFHでない場合においては、処理はステップSP203に進む。
【0044】
ステップSP203においては、EPR(bn)が00Hであるか否かが判断される。EPR(bn)=00Hでなければ、ステップSP203において「YES」と判定され、ステップSP204に進む。
【0045】
ステップSP204においては、EPR(bn)が示す番号のパラメータ変換規則に基づいて、パラメータ番号pnおよびパラメータ値pvが変換され、ステップSP205に進む。一方、EPR(bn)=00Hであれば、本エフェクトまたは代理エフェクトが存在するのでステップSP203において「NO」と判定され、処理は直接ステップSP205に進む。
【0046】
ステップSP205においては、選択エフェクトSEF(bn)に基づいてパラメータ番号pnがSEF(bn)で示されるパラメータに対応付けられ、必要に応じパラメータ値pvの値が変換される。次に、処理がステップSP206に進むと、DSPの各ブロックのパラメータがpvの値に設定され、終了する。
【0047】
以上のように、本実施形態における一連の変換処理により、指定された本エフェクトに対して、他の分類の類似するエフェクトを用いることが可能となる。したがって、上位機種用に作成された曲データをローコストモデルで再生しても、ローコストモデルによって可能な限りのエフェクトを楽音に付与することができ、曲データの再現性を高めることができる。
【0048】
5.変形例
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形が可能である。
上記実施形態は、音源装置内部のCPU10によりエフェクト制御データの選択およびエフェクト制御パラメータの変換を行った。しかし、パソコン等を用いてMIDI情報を入力し、エフェクト制御データの選択およびエフェクト制御パラメータの変換するためのプログラムを実行後、従来のローコストモデルの音源装置を用いて再生することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第一のパラメータを所定の変換規則に従って第二のパラメータに変換するから、第二の選択命令によって効果を選択することが可能になり低価格な装置によっても高い再現性を確保することができる。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の音源装置と最上位モデルのエフェクト対応リ
ストとの比較表である。
【図2】 本発明の一実施形態の音源装置のブロック図である。
【図3】 最上位モデルのエフェクト対応リストを示す図である。
【図4】 従来のローコストモデルのエフェクト対応リストを示す図である。
【図5】 本発明の一実施形態のエフェクト対応リストを示す図である。
【図6】 「AUTO WAH」のエフェクト制御パラメータを示す図である。
【図7】 「AUTO WAH+DISTORTION」および「AUTO WAH+OVERDRIVE」のエフェクト制御パラメータを示す図である。
【図8】 「2WAY ROTARY SPEAKER」のエフェクト制御パラメータを示す図である。
【図9】 「ROTARY SPEAKER」のエフェクト制御パラメータを示す図である。
【図10】 「2WAY ROTARY SPEAKER」の代用として「ROTARY SPEAKER」を用いた場合におけるパラメータ変換規則を示す図である。
【図11】 効果番号変換リストおよび分類変換表を示す図である。
【図12】 エフェクト選択処理のフローチャートである。
【図13】 パラメータ変更処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1…音源部、2…ミキサ、3…DSP、4…DAC、5サウンドシステム、6…通信I/O部、7…表示器、8…操作子、9…タイマ、10…CPU、11…フラッシュROM、12…RAM、13…バスライン

Claims (4)

  1. 楽音信号に付与すべき効果を指定する第1の選択命令と当該効果にかかるパラメータである第1のパラメータとを受信し、これらに応じて第2の選択命令と第2のパラメータとに基づいて楽音信号に効果を付与する効果付与方法であって、
    前記効果装置によって前記第1の選択命令にかかる効果を前記楽音信号に付与することが不可能であり、かつ、前記第1の選択命令にかかる効果に対してパラメータに互換性がある他の効果を前記楽音信号に付与することも不可能であることを条件として、パラメータに互換性が無い他の効果を指定する選択命令を前記第2の選択命令とし、かつ、前記第1のパラメータを所定の変換規則に従って変換した結果を前記第2のパラメータとして前記楽音信号に効果を付与する過程
    を有することを特徴とする効果付与方法。
  2. 前記効果装置によって前記第1の選択命令にかかる効果を前記楽音信号に付与することが可能であることを条件として、前記第1の選択命令および前記第1のパラメータを、そのまま前記第2の選択命令および前記第2のパラメータとして前記楽音信号に効果を付与する過程と、
    前記効果装置によって前記第1の選択命令にかかる効果を前記楽音信号に付与することが不可能であり、かつ、パラメータに互換性がある他の効果を付与することが可能であることを条件として、当該他の効果を指定する選択命令を前記第2の選択命令とし、かつ、前記第1のパラメータをそのまま前記第2のパラメータとして前記楽音信号に効果を付与する過程と
    をさらに有することを特徴とする請求項1記載の効果付与方法。
  3. 請求項1または2記載の効果付与方法を実行することを特徴とする効果付与装置。
  4. 請求項1または2記載の効果付与方法を実行することを特徴とするプログラム。
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