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JP3720237B2 - 部分的シボ模様付け方法及び部分的シボ模様付け化材料 - Google Patents

部分的シボ模様付け方法及び部分的シボ模様付け化材料 Download PDF

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JP3720237B2 JP2000120368A JP2000120368A JP3720237B2 JP 3720237 B2 JP3720237 B2 JP 3720237B2 JP 2000120368 A JP2000120368 A JP 2000120368A JP 2000120368 A JP2000120368 A JP 2000120368A JP 3720237 B2 JP3720237 B2 JP 3720237B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容易に且つ意図的に制御した模様付けを行って部分的に光沢部分とシボ模様部分とを形成することができ、密着性にも優れたものとすることができる部分的シボ模様付け方法及び部分的シボ模様付け化材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙やフィルムの印刷物の表面加工による意匠性の追求や耐久性の向上は付加価値として認知され、益々多様化しているところである。特に印刷物についての新規な意匠性は、売れ行きを左右する重要な要因であり、視覚的に新規なものを求め、加工方法に種々の工夫を行っている。表面加工での単なる均一の光沢感やマット感だけでは意匠性に乏しく、本の表紙やCDのジャケットの人目を引くものとして部分的にメリハリを効かせた意匠を求められていた。
表面加工では、艶出しのビニール引きやPPフィルムをラミネートすることが代表的であり、光沢感や耐久性の大幅な向上になることから利用されてはいたが、均一な表面が主であり、部分的に意匠性の変化を持たせることが難しく、その解決が望まれていた。
【0003】
一方、フィルムや紙の印刷物に紫外線硬化性樹脂の表面コーティング加工を行う場合、例えば特公昭64−10272号公報や特公平7−37172号公報には、シリコーン化合物やフッ素化合物を配合した下塗り用インキを部分的に塗工し、その上から上塗り用のインキを塗工し、部分的にハジキ現象を生じさせて凹凸模様を形成する加工法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の表面コーティング加工では、ハジキ現象の再現性が低く、意図的に制御できないため、下塗り用インキの塗工部分が不均一な柄の凹凸模様となり、意匠性が低いものであった。
また、そのハジキ部分での下塗り用インキと上塗り用インキの密着性が著しく低く、上塗り用インキが容易に剥がれてしまい、そのため耐久性が損なわれるものであった。
そこで、本発明は、紫外線硬化性樹脂による表面コーティングにおいて光沢面に意図的な模様で部分的にシボ模様を付けることができる方法を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に鑑み鋭意検討の末に見出されたもので、紙又はプラスチックシートの印刷物の表面装飾として、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含有してなると共に、平均粒径が0.1〜10μmである無機又は有機系の粒子であるマット剤を含有してなる紫外線硬化性の下塗り液を一つ一つの網点の径を100μm〜2mmし、単位面積あたり20〜80%面積密度で塗布し、さらに紫外線硬化性の上塗り液を全面に塗布することにより、部分的に光沢部分とシボ模様部分とを形成することを特徴とする部分的シボ模様付け方法及び部分的シボ模様付け化粧材料に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる下塗り液は、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂組成物であって、シリコーン化合物やフッ素化合物等の材料(撥水撥油剤)が配合されると共に、平均粒径が0.1〜10μmである無機又は有機系の粒子であるマット剤が配合されている。
【0007】
このマット剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、シリコーンパウダー、ビーズ状樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ−アルキド樹脂、架橋スチレン、フェノール樹脂、超高分子量ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、ウレタンビーズ、バルーン材、ゴム系の粒子等を使用することができるが、特にシリコーンパウダー、ビーズ状樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ−アルキド樹脂、架橋スチレン、フェノール樹脂、超高分子量ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダーを使用することが望ましい。
そしてこのようなマット剤を、下塗り液中に1.5〜30重量%含有させることが望ましい。このマット剤が1.5重量%未満では微細さが不充分であり、30重量%より多い場合は塗布が難しい。
尚、このマット剤の平均粒径は、前述のように0.1〜10μmであるが、これより細かすぎても大きすぎても密着性の向上に寄与しない。
【0008】
また、撥水撥油剤としては、下塗り液の表面張力を上塗り液の表面張力よりも小さくするものであって、シリコーン化合物やフッ素化合物を用いるが、シリコーン化合物としてはシリコーンオイルと称されているジメチルシラン化合物やジフェニルシラン化合物が代表的である。また、フッ素化合物としては、HFC−134a、HCFC−141b等が挙げられる。ワックス系の材料を併用するようにしても良い。
そして、このようなシリコーン化合物又はフッ素化合物を、下塗り液中に1.0〜15重量%含有させることが望ましい。
ワックス系の材料を併用する場合には、シリコーン化合物又はフッ素化合物を0.5〜14.5重量%、ワックス系材料を0.5〜14.5重量%、併せて1.0〜15重量%含有させることが望ましい。
【0009】
さらに、このような下塗り液を部分的に且つ微細な不連続模様に塗布するのであるが、部分的とは、紙又はプラスチックシートの印刷物の図柄等に応じて適宜に塗工部分を選択すれば良いことを示し、微細な不連続模様とは、模様が平面的に繋がっていないことを示し、具体的には微細な無数の点が形成されるような網点などがこれに相当する。このような不連続模様形成のための刷版作製は写真製版やデジタル製版にて行うことが望ましい。
この微細な不連続模様は、粗すぎても細かすぎても問題があり、デザインサイドの要求にもよるが適度に制御できることが望ましい。より具体的には網点において一つ一つの網点の径を100μm〜2mm程度とし、単位面積あたり20〜80%程度の面積密度で形成されるようにする。より望ましい面積密度としては30〜70%とする。この網点の径が100μmより小さいと充分なハジキ効果が現れず、2mmよりも大きいと視覚的な面白さが損なわれる。また、面積密度が20%より小さいとハジキ部分が少なくて充分なハジキ効果が現れず、80%よりも広いと平滑に塗布した場合と同様に不均一にハジキが生ずるものとなる。
【0010】
また、この下塗り液の塗布は、専らオフセット印刷にて行うが、特にそれに限定するものではなく、各種コーティング機による塗工でも、各種印刷機による印刷でも良い。さらにその後に全面に塗布する上塗り液の塗布についても同様であり、公知のどのような手法を用いても良い。
【0011】
本発明においては、前述の下塗り液を部分的に且つ微細な不連続模様に塗布した後、紫外線硬化性の上塗り液を全面に塗布するので、下塗り液を塗布していない部分は光沢部分となり、下塗り液を微細な不連続模様に塗布した部分はシボ模様部分となる。
即ち下塗り液に、前述のようにシリコーン化合物等が配合されているので、上塗り液を塗布した際にハジキ現象が生ずるが、下塗り液は微細な不連続模様に形成されているため、再現性に優れたハジキ現象となる。例えば下塗り液の塗布部分が無数の微細な点となる網点を例にすると、上塗り液はハジキ現象にて点と点との間に保持されるようになる。しかも下塗り液にはマット剤が配合されているので、所謂親和性を示して上塗り液を完全にハジクのではなく極めて薄い上塗り液の塗布膜が点の上に形成されるものとなる。要するにハジキ現象を、下塗り液を微細な不連続模様に形成した効果と、下塗り液中のマット剤の親和性効果との相乗効果によってハジキ現象を再現性に優れたものとするのである。こうして従来にはない新規な意匠性を有するシボ模様が形成されるのである。
そして、上塗り液は、下塗れ液が塗布されていない部分は勿論、塗布されている部分においてもマット剤の密着向上効果により、優れた密着性を示すものとなる。
【0012】
尚、本発明における上記以外の構成については、何ら限定するものではなく、例えば紙又はプラスチックシートの印刷物については、その印刷インクは油性、大豆油インキでも良いし、紫外線硬化性インクでも良い。
【0013】
【実施例】
〔実施例1〕
A2コート紙に油性インキを用いて柄を印刷して印刷物を作製しておき、下塗り液を塗工するための製版を、印刷物の柄の、シボ模様とするところに合わせて作成した。
製版は、写真製版によって均一な網点による不連続模様を形成したものであって、一つ一つの網点の径を300μmとし、単位面積あたり50%程度の面積密度で形成されるようにした。
この製版により、東洋インキ(株)製のFDOマットOPニスAC−G(ロ)+上塗りOPニス=5:5の混合物を用い、1μm部分的に塗工し、紫外線ランプを80W/cmで、10m/分の速度で硬化を行った。尚、この上塗り液中には、無機系のマット剤が15重量%、ジメチルシラン(シリコーンオイル)とワックスとが各3.75重量%含有されている。
次に、上塗り液として、荒川塗料(株)製ハイグロスUV−900−Eを、ロールコーターで5g/m2全面に塗工し、紫外線ランプを120W/cmで10m/分の速度で硬化した。
得られた材料は、下塗り液を微細な不連続模様に塗工した部分のみが製版の柄にあったシボ模様となり、下塗り液を塗工していない部分は光沢部分となり、その光沢度は87あり、シボ模様部分も光沢部分も密着性が良好な新規の意匠性を有する部分的シボ模様付け化材料とすることができた。
【0014】
〔実施例2〕
前記実施例1と同様の印刷物に、前記実施例1と同様の下塗り液を塗工した。尚、製版は、デジタル製版によって均一な網点による不連続模様を形成したものであって、一つ一つの網点の径を800μmとし、単位面積あたり70%程度の面積密度で形成されるようにした。そして、上塗り液として東洋インキ(株)製のFDPCA80ワニスを、ロールコーターで6g/m2全面に塗工した以外は、全て前記実施例1と同様にしてコーティングを行った。
得られた材料は、下塗り液を微細な不連続模様に塗工した部分のみが製版の柄にあったシボ模様となり、下塗り液を塗工していない部分は光沢部分となり、その光沢度は88あり、シボ模様部分も光沢部分も密着性が良好な新規の意匠性を有する部分的シボ模様付け化材料とすることができた。
【0015】
〔比較例1〕
下塗り液を単に部分的に(部分的ベタ)塗工した以外は、全て前記実施例1と同様にしてコーティングを行った。
得られた材料は、下塗り液を塗工していない部分は光沢部分となり、その光沢度は83あったが、下塗り液を部分的ベタ塗工したところは不均一な大きな柄の凹凸模様となり、意匠性は低いものであった。
【0016】
〔比較例2〕
下塗り液としてマット剤が全く配合されていない東洋インキ(株)製の上塗りOPニスのみを用いた以外は、全て前記実施例1と同様にしてコーティングを行った。
得られた材料は、下塗り液を塗工していない部分は光沢部分となり、その光沢度は84あったが、下塗り液を微細な不連続模様に塗工した部分は、シボ模様の粗さが大きく、密着性が悪いものであった。
【0017】
以上本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、シリコーン化合物やフッ素化合物を配合した下塗り液を部分的に塗布(塗工)し、その上から上塗り液を塗布(塗工)した際に生ずるハジキ現象を、下塗り液中にマット剤を配合すると共に、下塗り液を微細な不連続模様に塗布することにより、再現性に優れたもの(ハジキ)に制御することができる。そして、得られた材料は、新規なシボ模様が形成され、しかも高い密着性を有して耐久性に優れたものとなる。
したがって、本発明は、意匠性に富んだ商品価値の高い材料を提供することができるものである。

Claims (5)

  1. 紙又はプラスチックシートの印刷物の表面装飾として、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含有してなると共に、平均粒径が0.1〜10μmである無機又は有機系の粒子であるマット剤を含有してなる紫外線硬化性の下塗り液を一つ一つの網点の径を100μm〜2mmし、単位面積あたり20〜80%面積密度で塗布し、さらに紫外線硬化性の上塗り液を全面に塗布することにより、部分的に光沢部分とシボ模様部分とを形成することを特徴とする部分的シボ模様付け方法。
  2. マット剤は、下塗り液中に、1.5〜30重量%含有されることを特徴とする請求項1に記載の部分的シボ模様付け方法。
  3. シリコーン化合物又はフッ素化合物は、下塗り液中に1.0〜15重量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の部分的シボ模様付け方法。
  4. 下塗り液の微細な不連続模様形成のための刷版作製を写真製版やデジタル製版にて行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の部分的シボ模様付け方法。
  5. 紙又はプラスチックシートの印刷物の表面装飾として、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含有してなると共に、マット剤を含有してなる紫外線硬化性の下塗り液を一つ一つの網点の径を100μm〜2mmし、単位面積あたり20〜80%面積密度で塗布し、さらに紫外線硬化性の上塗り液を全面に塗工することにより、部分的に光沢部分とシボ模様部分とを形成したことを特徴とする部分的シボ模様付け化粧材料
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