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JP3714244B2 - 半透過・反射型電気光学装置の製造方法、半透過・反射型電気光学装置、および電子機器 - Google Patents

半透過・反射型電気光学装置の製造方法、半透過・反射型電気光学装置、および電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過・反射型電気光学装置、それを用いた電子機器、および半透過・反射型電気光学装置の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、半透過・反射型電気光学装置の画素構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置などの電気光学装置は、各種機器の直視型の表示装置として用いられている。このような電気光学装置のうち、例えば、画素スイッチング用の非線形素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型の液晶装置では、図16および図17に示すように、電気光学物質としての液晶50を挟持するTFTアレイ基板10および対向基板20のうち、TFTアレイ基板10の方には、画素スイッチング用のTFT(薄膜トランジスタ/Thin Film Transistor)30と、このTFT30に電気的に接続するITO膜などの透明導電膜からなる画素電極9aとが形成されている。
【0003】
また、液晶装置のうち、反射型のものでは、対向基板20の側から入射してきた外光を対向基板20の方に向けて反射するための光反射膜8aが透光性の画素電極9aの下層側に形成されており、図17および図18に矢印LAで示すように、対向基板20側から入射した光をTFTアレイ基板10側で反射し、対向基板20側から出射された光によって画像を表示する(反射モード)。
【0004】
但し、反射型の液晶装置において、光反射膜8aで反射された光の方向性が強いと、画像をみる角度で明るさが異なるなどの視野角依存性が顕著に出てしまう。そこで、液晶装置を製造する際、層間絶縁膜4、あるいはその表面に形成した表面保護膜(図示せず)の表面に、アクリル樹脂などといった感光性樹脂を800nm〜1500nmの厚さに塗布した後、フォトリソグラフィ技術を用いて、光反射膜8aの下層側のうち、光反射膜8aと平面的に重なる領域に、感光性樹脂層からなる凹凸形成層13aを所定のパターンで選択的に残すことにより、光反射膜8aの表面に凹凸パターン8gを付与している。また、このままでは、凹凸パターン8gに凹凸形成層13aのエッジがそのまま出てしまうので、凹凸形成層13aの上層にもう1層、流動性の高い感光性樹脂層からなる上層絶縁膜7aを塗布、形成することにより、光反射膜8aの表面にエッジのない、なだらかな形状の凹凸パターン8gを付与している。
【0005】
また、反射型の液晶装置のうち、透過モードでの表示も可能な半透過・反射型の液晶装置では、光反射膜8aに対して、画素電極9aと平面的に重なる領域には光透過窓8dが形成されている。この光透過窓8dは、従来、例えば、図16に示すように、各画素毎に矩形形状に1つ形成され、この光透過窓8dに相当する領域は、凹凸形成層13aが全面に形成されているか、凹凸形成層13aが一切形成されていないため、平坦面である。
【0006】
このように構成した半透過・反射型の液晶装置において、TFTアレイ基板10の側にバックライト装置(図示せず)を配置し、このバックライト装置から出射された光をTFTアレイ基板10の側から入射させれば、図18に矢印LB1、LB2で示すように、光反射膜8aに向かう光は、光反射膜8aで遮られて表示に寄与しないものの、図17および図18に矢印LB0で示すように、光反射膜8aが形成されていない光透過窓8dに向かう光は、光透過窓8dを介して対向基板20側に透過し、表示に寄与する(透過モード)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半透過・反射型の液晶装置では、光反射膜8aおよび光透過窓8dの面積によって、反射モードでの表示光量、および透過モードでの表示光量が完全に規定されているため、一方のモードでの表示の明るさを高めると、他方のモードでの表示の明るさが犠牲になってしまい、双方のモードで表示の明るさを向上させることができないという問題点がある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、反射モードおよび透過モードのいずれにおいても表示光量の増大を図ることのできる半透過・反射型電気光学装置、それを備えた電子機器、および半透過・反射型電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、電気光学物質を保持する基板上には、所定パターンに形成された第1の透光性材料からなる凹凸形成層と、該凹凸形成層の上層側に形成された第2の透光性材料からなる上層絶縁膜と、該上層絶縁膜の上層側に形成された光反射膜と、前記上層絶縁膜の上層側で前記光反射膜の上層あるいは下層に形成された透光性電極とを有し、前記反射膜には光透過窓が部分的に形成された半透過・反射型電気光学装置において、前記光透過窓は、前記凹凸形成層を構成する複数の凸部のうちの少なくとも一部の凸部、あるいは複数の凹部のうちの少なくとも一部の凹部と重なる位置に複数、形成され、前記第1の透光性材料および前記第2の透光性材料は、前記基板の裏面側から入射した光を前記光透過窓に向けて屈折させるレンズ機能を前記凹凸形成層と前記上層絶縁膜との界面に付与する屈折率をそれぞれ有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、電気光学物質を保持する基板上には、所定パターンに形成された第1の透光性材料からなる凹凸形成層と、該凹凸形成層の上層側に形成された第2の透光性材料からなる上層絶縁膜と、該上層絶縁膜の上層側に形成された光反射膜と、前記上層絶縁膜の上層側で前記光反射膜の上層あるいは下層に形成された透光性電極とを有し、前記反射膜には光透過窓が部分的に形成された半透過・反射型電気光学装置の製造方法において、前記光透過窓を、前記凹凸形成層を構成する複数の凸部のうちの少なくとも一部の凸部、あるいは複数の凹部のうちの少なくとも一部の凹部と重なる位置に複数、形成し、かつ、前記第1の透光性材料および前記第2の透光性材料として異なる屈折率の透明材料を用いることにより、前記基板の裏面側から入射した光を前記光透過窓に向けて屈折させるレンズ機能を前記凹凸形成層と前記上層絶縁膜との界面に付与することを特徴とする。
【0011】
本発明を適用した半透過・反射型電気光学装置では、光反射膜が形成されているので、反射モードでの表示を行うことができるとともに、光反射膜に光透過窓が部分的に形成されているので、透過モードでの表示を行うこともできる。ここで、光反射膜の下層側には、その表面に凹凸パターンを付与するための凹凸形成層が第1の透光性材料で形成され、この凹凸形成層の上層には第2の透光性材料からなる上層絶縁膜が形成されている。そこで、本発明では、これら2つの透光性材料として屈折率の異なるものを用いるとともに、凹凸形成層を構成する凸部あるいは凹部と重なる位置に光透過窓を形成することにより、基板の裏面側から入射した光を光透過窓に向けて屈折させるレンズ機能を凹凸形成層と上層絶縁膜との界面に付与してある。従って、基板の裏面側から入射した光のうち、従来なら光反射膜に向かうため透過モードでの表示に寄与しなかった光も、一部が光透過窓を抜けて表示に寄与することになる。それ故、光透過窓の面積を拡大させなくても、透過モードでの表示光量を増大させることができるので、反射モードでの表示の明るさを犠牲にすることなく、透過モードでの表示の明るさを向上することができる。
【0012】
本発明において、前記光透過窓は、例えば、前記複数の凸部のうちの少なくとも一部の凸部と重なる位置に形成されている場合があり、この場合、前記凸部については丸みをもって上方に膨らむ凸レンズ形状で形成し、かつ、前記第1の透光性材料としては、前記第2の透光性材料と比較して大きな屈折率の透光性材料を用いる。
【0013】
本発明において、前記複数の凸部を丸みをもって上方に膨らむ凸レンズ形状を有するように形成するにあたっては、例えば、前記第1の透光性材料としての透光性の感光性樹脂を用いて前記凹凸形成層を所定パターンで形成した後、当該感光性樹脂を加熱し、溶融させる。
【0014】
また、本発明において、前記光透過窓は、前記複数の凹部のうちの少なくとも一部の凹部と重なる位置に形成されている場合があり、この場合、前記凹部は、丸みをもって下方に凹む凹レンズ形状を有し、かつ、前記第1の透光性材料としては、前記第2の透光性材料と比較して小さな屈折率を有する透光性材料を用いればよい。
【0015】
本発明において、前記複数の凹部を丸みをもって下方に凹む凹レンズ形状を有するように形成するにあたっては、例えば、前記第1の透光性材料としての透光性の感光性樹脂を用いて前記凹凸形成層を所定パターンで形成した後、当該感光性樹脂を加熱し、溶融させる。
【0016】
本発明において、前記第1の透光性材料および前記第2の透光性材料としては、例えば、透光性の感光性樹脂を用いることができる。
【0017】
本発明において、前記透光性電極は、前記光反射膜の上層に形成されていることが好ましい。このように構成すると、対向基板の対向電極と、透明画素電極とを同一の透光性材料で形成するだけで、電気光学物質が分極配向するのを防止することができる。
【0018】
本発明において、前記電気光学物質は、例えば、液晶である。
また、本発明による半透過・反射型電気光学装置は、電気光学物質を保持する基板上には、所定パターンに形成された第1の透光性材料からなる凹凸形成層と、該凹凸形成層の上層側に形成された第2の透光性材料からなる上層絶縁膜と、該上層絶縁膜の上層側に形成された光反射膜と、前記上層絶縁膜の上層側で前記光反射膜の上層あるいは下層に形成された透光性電極とを有し、前記反射膜には光透過窓が部分的に形成された半透過・反射型電気光学装置において、
前記光透過窓は、前記凹凸形成層が形成する複数の凸部のうちの少なくとも一部の凸部、あるいは複数の凹部のうちの少なくとも一部の凹部と重なる位置に複数、形成され、
前記第1の透光性材料および前記第2の透光性材料は、それぞれ異なる屈折率を有していることを特徴とする。従って、該屈折率を任意に選択する事により、基板の裏面側から入射した光のうち、従来なら光反射膜に向かうため透過モードでの表示に寄与しなかった光の屈折角を任意に制御する事が可能となるので、一部が光透過窓を抜けて表示に寄与することになる。それ故、光透過窓の面積を拡大させなくても、透過モードでの表示光量を増大させることができるので、反射モードでの表示の明るさを犠牲にすることなく、透過モードでの表示の明るさを向上することができる。
【0019】
本発明を適用した電気光学装置は、モバイルコンピュータや携帯電話機などといった電子機器の表示装置として用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(電気光学装置の基本的な構成)
図1は、本発明を適用した電気光学装置を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図1のH−H′断面図である。図3は、電気光学装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。なお、本形態の説明に用いた各図では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0022】
図1および図2において、本形態の電気光学装置100は、シール材52によいて貼り合わされたTFTアレイ基板10と対向基板20との間に、電気光学物質としての液晶50が挟持されており、シール材52の形成領域の内側領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101、および実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104の間をつなぐための複数の配線105が設けられており、更に、周辺見切り53の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路が設けられることもある。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が形成されている。また、データ線駆動回路101、及び走査線駆動回路104等は、シール材52と重なってもよいし、シール材52の内側領域に形成されてもよい。
【0023】
なお、データ線駆動回路101および走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、たとえば、駆動用LSIが実装されたTAB(テープ オートメイテッド、ボンディング)基板をTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群に対して異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。なお、電気光学装置100では、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略してある。また、電気光学装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板20において、TFTアレイ基板10の各画素電極(後述する。)に対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
【0024】
このような構造を有する電気光学装置100の画面表示領域においては、図3に示すように、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素電極9a、およびこの画素電極9aを駆動するための画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2・・・Snを供給するデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2・・・Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2・・・Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2・・・Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、・・・Snは、図2に示す対向基板20の対向電極21との間で一定期間保持される。
【0025】
ここで、液晶50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶50の部分を通過する光量が低下し、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶50の部分を通過する光量が増大していく。その結果、全体として電気光学装置100からは画素信号S1、S2、・・・Snに応じたコントラストを持つ光が出射される。
【0026】
なお、保持された画素信号S1、S2、・・・Snがリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60を付加することがある。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量60により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い電気光学装置100が実現できる。なお、蓄積容量60を形成する方法としては、図3に例示するように、蓄積容量60を形成するための配線である容量線3bとの間に形成する場合、あるいは前段の走査線3aとの間に形成する場合もいずれであってもよい。
【0027】
(TFTアレイ基板の構成)
図4は、本形態の電気光学装置に用いたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図5は、電気光学装置の画素の一部を図4のA−A′線に相当する位置で切断したときの断面図である。
【0028】
図4において、TFTアレイ基板10上には、複数の透明なITO(Indium Tin Oxide)膜からなる画素電極9aがマトリクス状に形成されており、これら各画素電極9aに対して画素スイッチング用のTFT30がそれぞれ接続している。また、画素電極9aの縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3a、および容量線3bが形成され、TFT30は、データ線6aおよび走査線3aに対して接続している。すなわち、データ線6aは、コンタクトホールを介してTFT30の高濃度ソース領域1dに電気的に接続し、走査線3aは、その突出部分がTFT30のゲート電極を構成している。なお、蓄積容量60は、画素スイッチング用のTFT30を形成するための半導体膜1の延設部分1fを導電化したものを下電極とし、この下電極41に容量線3bが上電極として重なった構造になっている。
【0029】
このように構成した画素領域のA−A′線における断面は、図5に示すように、TFTアレイ基板10の基体たる透明な基板10′の表面に、厚さが300nm〜500nmのシリコン酸化膜(絶縁膜)からなる下地保護膜11が形成され、この下地保護膜11の表面には、厚さが30nm〜100nmの島状の半導体膜1aが形成されている。半導体膜1aの表面には、厚さが約50〜150nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜2が形成され、このゲート絶縁膜2の表面に、厚さが300nm〜800nmの走査線3aが形成されている。半導体膜1aのうち、走査線3aに対してゲート絶縁膜2を介して対峙する領域がチャネル領域1a′になっている。このチャネル領域1a′に対して一方側には、低濃度ソース領域1bおよび高濃度ソース領域1dを備えるソース領域が形成され、他方側には低濃度ドレイン領域1cおよび高濃度ドレイン領域1eを備えるドレイン領域が形成されている。
【0030】
画素スイッチング用のTFT30の表面側には、厚さが300nm〜800nmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜4が形成され、この層間絶縁膜4の表面には、厚さが100nm〜300nmのシリコン窒化膜からなる表面保護膜(図示せず)が形成されることがある。層間絶縁膜4の表面には、厚さが300nm〜800nmのデータ線6aが形成され、このデータ線6aは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。層間絶縁膜4の表面にはデータ線6aと同時形成されたドレイン電極6bが形成され、このドレイン電極6bは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。
【0031】
層間絶縁膜4の上層には、第1の感光性樹脂からなる凹凸形成層13aが所定のパターンで形成され、この凹凸形成層13aの表面には、第2の感光性樹脂からなる上層絶縁膜7aが形成されている、また、上層絶縁膜7aの表面には、アルミニウム膜などからなる光反射膜8aが形成されている。従って、光反射膜8aの表面には、凹凸形成層13aの凹凸が上層絶縁膜7aを介して反映されて凹凸パターン8gが形成されている。
【0032】
光反射膜8aの上層にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、光反射膜8aの表面に直接、積層され、画素電極9aと光反射膜8aとは電気的に接続されている。また、画素電極9aは、感光性樹脂層7aおよび層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。
【0033】
画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜12が形成されている。この配向膜12は、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
【0034】
なお、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁膜2と同時形成された絶縁膜(誘電体膜)を介して容量線3bが上電極として対向することにより、蓄積容量60が構成されている。
【0035】
なお、TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b、および低濃度ドレイン領域1cに相当する領域に不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を有していてもよい。また、TFT30は、ゲート電極(走査線3aの一部)をマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度のソースおよびドレイン領域を形成したセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0036】
また、本形態では、TFT30のゲート電極(走査線3a)をソース−ドレイン領域の間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにデュアルゲート(ダブルゲート)、あるいはトリプルゲート以上でTFT30を構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域の接合部でのリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することが出来る。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造或いはオフセット構造にすれば、さらにオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。
【0037】
(凹凸パターンの構成)
図6は、図5に示す電気光学装置において、TFTアレイ基板に形成した凹凸パターン、および光透過窓の周辺を拡大して示す説明図である。
【0038】
このように構成したTFTアレイ基板10において、光反射膜8aの表面には、凸部8bおよび凹部8cを備えた凹凸パターン8gが形成されており、本形態では、図4に示すように、凸部8b、およびそれを構成する凹凸形成層13aが円形の平面形状を有するものとして表してある。但し、凸部8bおよび凹凸形成層13aの平面形状については、円形に限らず、楕円形、あるいは六角形や角形などといった多角形など、種々の形状のものを採用することができる。
【0039】
このような凹凸パターン8gを構成するにあたって、本形態のTFTアレイ基板10では、図5に示すように、光反射膜8aの下層側のうち、凹凸パターン8gの凸部8bに相当する領域に、透光性の第1の感光性樹脂(第1の透光性材料)からなる凹凸形成層13aが所定のパターンで選択的に残されており、その上層側に形成される光反射膜8aの表面に凹凸パターン8gを付与している。本形態において、凹凸形成層13aは、丸みをもって上方に膨らんだ凸レンズ形状を有している。
【0040】
また本形態では、凹凸形成層13aの上層にもう1層、流動性の高い透光性の第2の感光性樹脂(第2の透光性材料)からなる上層絶縁膜7aを塗布、形成することにより、光反射膜8aの表面になだらかな形状の凹凸パターン8gを付与している。
ここで、凹凸形成層13aを構成する第1の感光性樹脂の屈折率n1と、上層絶縁膜7aを構成する第2の感光性樹脂の屈折率n2は異なる値とする。従って、外部から入射した光は、凹凸形成層13aと上層絶縁膜7aとの界面において直進せず、いずれかの方向にその進路が曲げられることになる。
【0041】
[第1の実施の形態]
まず、凹凸形成層13aを構成する第1の感光性樹脂の屈折率n1は、上層絶縁膜7aを構成する第2の感光性樹脂の屈折率n2と比較して大きい場合の実施例について説明する。本形態においては、凹凸形成層13aは、丸みをもって上方に膨らんだ凸レンズ形状を有している。従って、凹凸形成層13aと上層絶縁膜7aとの界面は、集光レンズとして機能する。
【0042】
さらに本形態では、光反射膜8aにおいて、画素電極9aと平面的に重なる領域には、凹凸パターン8gの多数の凸部8b(凹凸形成層13aが厚く形成されている領域)のうち、一部の凸部8bの中央部分と重なる領域に対して、凹凸形成層13aよりもやや小さめの開口からなる円形の光透過窓8dが形成されている。従って、光透過窓8dに相当する部分には、ITOからなる画素電極9aは存在するが、光反射膜8aが存在しない。
【0043】
(対向基板の構成)
図5において、対向基板20では、TFTアレイ基板10に形成されている画素電極9aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23が形成され、その上層側には、ITO膜からなる対向電極21が形成されている。また、対向電極21の上層側には、ポリイミド膜からなる配向膜22が形成され、この配向膜22は、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
【0044】
(本形態の作用・効果)
このように構成した半透過・反射型の電気光学装置100では、画素電極9aの下層側に光反射膜8aが形成されているため、図5に矢印LAで示すように、対向基板20側から入射した光をTFTアレイ基板10側で反射し、対向基板20側から出射された光によって画像を表示する(反射モード)。
【0045】
また、TFTアレイ基板10の裏面側に配置されたバックライト装置(図示せず)から出射された光のうち、光反射膜8aが形成されていない光透過窓8dに向かう光は、矢印LB0で示すように、光透過窓8dを介して対向基板20側に透過し、表示に寄与する(透過モード)。
【0046】
また、本形態では、光反射膜8aの下層側には、その表面に凹凸パターン8gを付与するための凹凸形成層13aが屈折率がn1の第1の感光性樹脂で形成され、この凹凸形成層13aの上層には、屈折率がn2(n1>n2)の第2の感光性樹脂からなる上層絶縁膜7aが形成され、かつ、凹凸パターン8gの凸部8bと重なる位置に光透過窓8dが形成されている。このため、凹凸形成層13aと上層絶縁膜7aとの界面は、TFTアレイ基板10の裏面側から入射した光を光透過窓8dに向けて屈折させるレンズ機能を備えている。
【0047】
従って、TFTアレイ基板10の裏面側から入射した光のうち、従来なら光反射膜8aに向かうため透過モードでの表示に寄与しなかった光も、図6に矢印LB1、LB2で示すように、光透過窓8dを抜けて表示に寄与することになる。それ故、光透過窓8dの面積を拡大させなくても、透過モードでの表示光量を増大させることができるので、反射モードでの表示の明るさを犠牲にすることなく、透過モードでの表示の明るさを向上することができる。
【0048】
(TFTの製造方法)
このような構成の電気光学装置100の製造工程のうち、TFTアレイ基板10の製造工程を、図7ないし図11を参照して説明する。図7、図8、図9、図10、および図11はいずれも、本形態のTFTアレイ基板10の製造方法を示す工程断面図であり、いずれの図においても、図4のA−A′線における断面に相当する。
【0049】
まず、図7(A)に示すように、超音波洗浄等により清浄化したガラス製等の基板10′を準備した後、基板温度が150℃〜450℃の温度条件下でプラズマCVD法により、基板10′の全面に厚さが300nm〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護膜11を形成する。このときの原料ガスとしては、たとえばモノシランと笑気ガスとの混合ガスやTEOSと酸素、あるいはジシランとアンモニアを用いることができる。
【0050】
次に、下地保護膜11の表面に島状の半導体膜1a(能動層)を形成する。それには、基板温度が150℃〜450℃の温度条件下で、基板10′の全面に、アモルファスのシリコン膜からなる半導体膜をプラズマCVD法により30nm〜100nmの厚さに形成した後、半導体膜に対してレーザ光を照射してレーザアニールを施し、アモルファスの半導体膜を一度溶融させた後、冷却固化過程を経て結晶化させる。この際には、各領域へのレーザ光の照射時間が非常に短時間であり、かつ、照射領域も基板全体に対して局所的であるため、基板全体が同時に高温に熱せられることがない。それ故、基板10′としてガラス基板などを用いても熱による変形や割れ等が生じない。次に、半導体膜の表面にフォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、このレジストマスクを介して半導体膜をエッチングすることにより、島状の半導体膜1aを形成する。なお、半導体膜1aを形成するときの原料ガスとしては、たとえばジシランやモノシランを用いることができる。前記結晶化は、固相成長法、或いはフラッシュランプやタングステンランプを用いたRTA(Rapid Thermal Anneal)法等で行ってもよい。また、前記アモルファス半導体膜を成膜した後、島状にパターニングしてから、前記に方法で、島状のアモルファス半導体膜を結晶化させてもよい。
【0051】
次に、図7(B)に示すように、350℃以下の温度条件下で、基板10′の全面に厚さが50nm〜150nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜2を形成する。このときの原料ガスは、たとえばTEOSと酸素ガスとの混合ガスを用いることができる。ここで形成するゲート絶縁膜2は、シリコン酸化膜に代えてシリコン窒化膜であってもよい。
【0052】
次に、図示を省略するが、所定のレジストマスクを介して半導体膜1aの延設部分1fに不純物イオンを打ち込んで、容量線3bとの間に蓄積容量60を構成するための下電極を形成する。
【0053】
次に、図7(C)に示すように、走査線3a(ゲート電極)および容量線3bを形成する。それには、スパッタ法などにより、基板10′の全面にアルミニウム膜、タンタル膜、モリブデン膜、またはこれらの金属のいずれかを主成分とする合金膜からなる導電膜を300nm〜800nmの厚さに形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、このレジストマスクを介して導電膜をドライエッチングする。
【0054】
次に、画素TFT部および駆動回路のNチャネルTFT部(図示せず)の側には、走査線3a(ゲート電極)をマスクとして、約0.1×1013/cm2 〜約10×1013/cm2 のドーズ量で低濃度の不純物イオン(リンイオン)を打ち込んで、走査線3aに対して自己整合的に低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cを形成する。ここで、走査線3aの真下に位置しているため、不純物イオンが導入されなかった部分は半導体膜1aのままのチャネル領域1a′となる。
【0055】
次に、図7(D)に示すように、走査線3a(ゲート電極)より幅の広いレジストマスク555を形成して高濃度の不純物イオン(リンイオン)を約0.1×1015/cm2 〜約10×1015/cm2 のドーズ量で打ち込み、高濃度ソース領域1dおよびドレイン領域1eを形成する。
【0056】
これらの不純物導入工程に代えて、低濃度の不純物の打ち込みを行わずにゲート電極より幅の広いレジストマスクを形成した状態で高濃度の不純物(リンイオン)を打ち込み、オフセット構造のソース領域およびドレイン領域を形成してもよい。また、走査線3aをマスクにして高濃度の不純物を打ち込んで、セルフアライン構造のソース領域およびドレイン領域を形成してもよいことは勿論である。
【0057】
なお、図示を省略するが、このような工程によって、周辺駆動回路部のNチャネルTFT部を形成する。また、周辺駆動回路のPチャネルTFT部を形成する際には、画素部およびNチャネルTFT部をレジストで被覆保護して、ゲート電極をマスクとして、約0.1×1015/cm2 〜約10×1015/cm2 のドーズ量でボロンイオンを打ち込むことにより、自己整合的にPチャネルのソース・ドレイン領域を形成する。この際、NチャネルTFT部の形成時と同様、ゲート電極をマスクとして、約0.1×1013/cm2 〜約10×1013/cm2 のドーズ量で低濃度の不純物(ボロンイオン)を導入して、ポリシリコン膜に低濃度領域を形成した後、ゲート電極より幅の広いマスクを形成して高濃度の不純物(ボロンイオン)を約0.1×1015/cm2 〜約10×1015/cm2 のドーズ量で打ち込んで、LDD構造(ライトリー・ドープト・ドレイン構造)のソース領域およびドレイン領域を形成してもよい。また、低濃度の不純物の打ち込みを行わずに、ゲート電極より幅の広いマスクを形成した状態で高濃度の不純物(リンイオン)を打ち込み、オフセット構造のソース領域およびドレイン領域を形成してもよい。これらのイオン打ち込み工程によって、CMOS化が可能になり、周辺駆動回路の同一基板内への内蔵が可能となる。
【0058】
次に、図8(E)に示すように、走査線3aの表面側にCVD法などにより、厚さが300nm〜800nmのシリコン酸化からなる層間絶縁膜4を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、このレジストマスクを介して層間絶縁膜4をエッチングしてコンタクトホールを形成する。層間絶縁膜4を形成するときの原料ガスは、たとえばTEOSと酸素ガスとの混合ガスを用いることができる。
【0059】
次に、図8(F)に示すように、層間絶縁膜4の表面側にデータ線6aおよびドレイン電極6bを形成する。それには、アルミニウム膜、タンタル膜、モリブデン膜、またはこれらの金属のいずれかを主成分とする合金膜からなる導電膜をスパッタ法などで300nm〜800nmの厚さに形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、このレジストマスクを介して導電膜にドライエッチングを行う。
【0060】
次に、図8(G)に示すように、データ線6aおよびドレイン電極6bの表面側、あるいはその表面に表面保護膜を形成した後、スピンコート法などを用いて、ポジタイプの第1の感光性樹脂13を塗布する。
【0061】
次に、図9(H)に示すように、露光マスク200を介して第1の感光性樹脂13を露光する。ここで、露光マスク200では、図5を参照して説明した凹凸パターン8gの凹部8cに相当する領域が透光部210になっている。
【0062】
次に、図9(I)に示すように、第1の感光性樹脂13に現像を施して、第1の感光性樹脂13のうち、露光された部分を除去する。その結果、第1の感光性樹脂13は、凹凸パターン8gの凸部8bに相当する領域に残される。
【0063】
このようにして現像した後、第1の感光性樹脂13に対して加熱処理を行って、第1の感光性樹脂13を溶融させる。その結果、図9(J)に示すように、第1の感光性樹脂13は、丸みをもって上方に膨らんだ感光性樹脂層13aとなる。なお、凹凸形成層13aは、TFT30の形成領域にも残されるので、凹凸形成層13aには、画素電極9aとドレイン電極6bとを電気的に接続するためのコンタクトホールを形成する。
【0064】
次に、図10(K)に示すように、第2の感光性樹脂からなる上層絶縁膜7aを形成する。この際、上層絶縁膜7aには、画素電極9aとドレイン電極6bとを電気的に接続するためのコンタクトホールを形成する。
【0065】
次に、図10(L)に示すように、上層絶縁膜7aの表面にアルミニウムなどの金属膜8を形成した後、その表面に、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジストマスク556を形成し、このレジストマスク556を介して金属膜8をパターングし、図10(M)に示すように、光反射膜8aを形成する。この際、凹凸形成層13aが残された多数の凸部のうちの一部の凸部に重なる領域に光透過窓8dを形成する。このようにして形成した光反射膜8aでは、下層側の凹凸形成層13aの表面形状が上層絶縁膜7aを介して反映されるので、光反射膜8aの表面には、エッジのない、なだらかな凹凸パターン8aが形成される。
【0066】
次に、図11(N)に示すように、光反射膜8aの表面側に厚さが40nm〜200nmのITO膜9をスパッタ法などで形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスク557を形成し、このレジストマスク557を介してITO膜9にエッチングを行って、図11(O)に示すように、画素電極9aを形成する。
【0067】
しかる後には、図5に示すように、画素電極9aの表面側にポリイミド膜(配向膜12)を形成する。それには、ブチルセロソルブやn−メチルピロリドンなどの溶媒に5〜10重量%のポリイミドやポリアミド酸を溶解させたポリイミド・ワニスをフレキソ印刷した後、加熱・硬化(焼成)する。そして、ポリイミド膜を形成した基板をレーヨン系繊維からなるパフ布で一定方向に擦り、ポリイミド分子を表面近傍で一定方向に配列させる。その結果、後で充填した液晶分子とポリイミド分子との相互作用により液晶分子が一定方向に配列する。
【0068】
[第2の実施の形態]
なお、上記形態では、光透過窓8dを凹凸パターン8gの凸部8bと重なる位置に形成するとともに、凹凸形成層13aを屈折率がn1の第1の感光性樹脂で形成し、この凹凸形成層13aの上層に、屈折率がn2(n1>n2)の第2の感光性樹脂からなる上層絶縁膜7aを形成したが、図12に示すように、光透過窓8dを凹凸パターン8gの凹部8cと重なる位置に形成するとともに、凹凸形成層13aを屈折率がn1の第1の感光性樹脂で形成し、この凹凸形成層13aの上層には、屈折率がn2(n1<n2)の第2の感光性樹脂からなる上層絶縁膜7aを形成した構成であってもよい。
【0069】
このように構成した場合も、凹凸形成層13aと上層絶縁膜7aとの界面は、TFTアレイ基板10の裏面側から入射した光を光透過窓8dに向けて屈折させるレンズ機能を有することになる。従って、TFTアレイ基板10の裏面側から入射した光のうち、従来なら光反射膜8aに向かうため透過モードでの表示に寄与しなかった光も、図12に矢印LB1で示すように、光透過窓8dを抜けて表示に寄与することになる。それ故、光透過窓8dの面積を拡大させなくても、透過モードでの表示光量を増大させることができるので、反射モードでの表示の明るさを犠牲にすることなく、透過モードでの表示の明るさを向上することができる。なお、その他の構成は、前記した実施の形態と共通しているため、共通する機能を有する部分には同一符号を付して図12に示すことにして、それらの説明を省略する。
【0070】
また、上記形態では、画素スイッチング用のアクティブ素子としてTFTを用いた例を説明したが、アクティブ素子としてMIM(Metal Insulator Metal)素子などの薄膜ダイオード素子(TFD素子/Thin Film Diode素子)を用いた場合も同様である。
【0071】
[電気光学装置の電子機器への適用]
このように構成した半透過・反射型の電気光学装置100は、各種の電子機器の表示部として用いることができるが、その一例を、図18、図19、および図20を参照して説明する。
【0072】
図18は、本発明に係る電気光学装置を表示装置として用いた電子機器の回路構成を示すブロック図である。
【0073】
図18において、電子機器は、表示情報出力源70、表示情報処理回路71、電源回路72、タイミングジェネレータ73、そして液晶装置74を有する。また、液晶装置74は、液晶表示パネル75および駆動回路76を有する。液晶装置74としては、前述した電気光学装置100を用いることができる。
【0074】
表示情報出力源70は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といったメモリ、各種ディスク等といったストレージユニット、デジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ73によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路71に供給する。
【0075】
表示情報処理回路71は、シリアル−パラレル変換回路や、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路76へ供給する。電源回路72は、各構成要素に所定の電圧を供給する。
【0076】
図19は、本発明に係る電子機器の一実施形態であるモバイル型のパーソナルコンピュータを示している。ここに示すパーソナルコンピュータ80は、キーボード81を備えた本体部82と、液晶表示ユニット83とを有する。液晶表示ユニット83は、前述した電気光学装置100を含んで構成される。
【0077】
図20は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機90は、複数の操作ボタン91と、前述した電気光学装置100からなる表示部とを有している。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明では、光反射膜が形成されているので、反射モードでの表示を行うことができるとともに、光反射膜に光透過窓が部分的に形成されているので、透過モードでの表示を行うこともできる。ここで、光反射膜の下層側で凹凸形成層を形成する第1の透光性材料、および上層絶縁膜を構成する第2の透光性材料として、屈折率の異なるものを用いるとともに、凹凸形成層を構成する凸部あるいは凹部と重なる位置に光透過窓を形成することにより凹凸形成層と上層絶縁膜との界面で入射した光の進路が屈折により曲げられる。従って、前記第1の透光性材料、および第2の透光性材料の屈折率を任意に選択する事により、凹凸形成層と上層絶縁膜との界面にレンズ機能を付与する事が可能となる。従って、基板の裏面側から入射した光のうち、従来なら光反射膜に向かうため透過モードでの表示に寄与しなかった光も、一部が光透過窓を抜けて表示に寄与することになる。それ故、光透過窓の面積を拡大させなくても、透過モードでの表示光量を増大させることができるので、反射モードでの表示の明るさを犠牲にすることなく、透過モードでの表示の明るさを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電気光学装置を対向基板の側からみたときの平面図である。
【図2】図1のH−H′線における断面図である。
【図3】電気光学装置において、マトリクス状の複数の画素に形成された素子などの等価回路図である。
【図4】本発明に係る電気光学装置のTFTアレイ基板の各画素の構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電気光学装置を、図4のA−A′線に相当する位置での切断した断面図である。
【図6】本発明に係る電気光学装置において、TFTアレイ基板の凹凸パターンおよび光透過窓の説明図である。
【図7】(A)〜(D)は、本発明に係るTFTアレイ基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】(E)〜(G)は、本発明に係るTFTアレイ基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】(H)〜(J)は、本発明に係るTFTアレイ基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】(K)〜(M)は、本発明に係るTFTアレイ基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図11】(N)、(O)は、本発明に係るTFTアレイ基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図12】本発明を適用した別の電気光学装置において、TFTアレイ基板の凹凸パターンおよび光透過窓の説明図である。
【図13】本発明に係る電気光学装置を表示装置として用いた電子機器の回路構成を示すブロック図である。
【図14】本発明に係る電気光学装置を用いたモバイル型のパーソナルコンピュータを示す説明図である。
【図15】本発明に係る電気光学装置を用いた携帯電話機の説明図である。
【図16】従来の電気光学装置のTFTアレイ基板に形成された各画素の構成を示す平面図である。
【図17】従来の電気光学装置の断面図である。
【図18】従来の電気光学装置のTFTアレイ基板に形成した凹凸パターンおよび光透過窓の説明図である。
【符号の説明】
1a 半導体膜
2 ゲート絶縁膜
3a 走査線
3b 容量線
4 層間絶縁膜
6a データ線
6b ドレイン電極
7a 上層絶縁膜
8a 光反射膜
8b 凹凸パターンの凸部
8c 凹凸パターンの凹部
8d 光透過窓
8g 光反射膜表面の凹凸パターン
9a 画素電極
10 TFTアレイ基板
11 下地保護膜
13 第1の感光性樹脂
13a 凹凸形成層
20 対向基板
21 対向電極
23 遮光膜
30 画素スイッチング用のTFT
50 液晶
60 蓄積容量
100 電気光学装置
100a 画素

Claims (9)

  1. 電気光学物質を保持する基板上に、第1の透光性材料からなる凹凸形成層を所定パターンに形成する工程と、
    該凹凸形成層の上層側に、第2の透光性材料からなる上層絶縁膜を、前記凹凸形成層の所定パターンを反映して形成する工程と、
    該上層絶縁膜の上層側に、前記凹凸形成層の所定パターンを前記上層絶縁膜を介して反映した形状を有し、部分的に光透過窓を有する光反射膜を形成する工程と、
    前記上層絶縁膜の上層側で前記光反射膜の上層あるいは下層に透光性電極を形成する工程とを有し、
    前記光透過窓は、前記凹凸形成層が形成する複数の凸部のうち少なくとも一部の凸部、あるいは複数の凹部のうち少なくとも一部の凹部と重なる位置に複数形成され、かつ、
    前記凹凸形成層と前記上層絶縁膜とは異なる屈折率を有する透明材料で形成され、
    前記凹凸形成層及び前記上層絶縁膜は、前記基板の裏面側から入射した光を前記光透過窓に向けて屈折させるレンズ機能を前記凹凸形成層と前記上層絶縁膜との界面に付与する屈折率をそれぞれ有している
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記複数の凸部を丸みをもって上方に膨らむ凸レンズ形状を有するように形成するとともに、
    前記第1の透光性材料として、前記第2の透光性材料と比較して大きな屈折率の透光性材料を用い、
    前記光反射膜には、前記複数の凸部のうちの少なくとも一部の凸部と重なる位置に前記光透過窓を形成する
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記複数の凸部を丸みをもって上方に膨らむ凸レンズ形状を有するように形成するにあたっては、
    前記第1の透光性材料としての透光性の感光性樹脂を用いて前記凹凸形成層を所定パターンで形成した後、当該感光性樹脂を加熱し、溶融させる
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  4. 請求項1において、
    前記複数の凹部を丸みをもって下方に凹む凹レンズ形状を有するように形成するとともに、
    前記第1の透光性材料として、前記第2の透光性材料と比較して小さな屈折率の透光性材料を用い、
    前記光反射膜には、前記複数の凹部のうちの少なくとも一部の凹部と重なる位置に前記光透過窓を形成する
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  5. 請求項4において、
    前記複数の凹部を丸みをもって下方に膨らむ凹レンズ形状を有するように形成するにあたっては、
    前記第1の透光性材料としての透光性の感光性樹脂を用いて前記凹凸形成層を所定パターンで形成した後、当該感光性樹脂を加熱し、溶融させる
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記第2の透光性材料として感光性樹脂を用いる
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記透光性電極を前記光反射膜の上層に形成する
    ことを特徴とする半透過・反射型電気光学装置の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の半透過・反射型電気光学装置の製造方法で製造された半透過・反射型電気光学装置。
  9. 請求項8に記載の半透過・反射型電気光学装置を備えた電子機器。
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