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JP3713479B2 - 平板投影装置および素子製造方法 - Google Patents

平板投影装置および素子製造方法 Download PDF

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JP3713479B2 JP2002322668A JP2002322668A JP3713479B2 JP 3713479 B2 JP3713479 B2 JP 3713479B2 JP 2002322668 A JP2002322668 A JP 2002322668A JP 2002322668 A JP2002322668 A JP 2002322668A JP 3713479 B2 JP3713479 B2 JP 3713479B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、
−放射線の投影ビームを供給する放射システムと、
−所望のパターンに従って前記投影ビームをパターン化するよう作用するパターン化手段を支持する支持構造体と、
−投影ビームのための真空ビーム通路を提供する真空室と、
−基板を保持する基板テーブルと、
−基板のターゲット部分上にパターン化されたビームを投影する投影システムとを含む平板投影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本明細書で使用されている「パターン化手段」という用語は基板のターゲット部分において形成すべきパターンに対応したパターン化した断面を送入されてくる放射線ビームに付与するために使用しうる手段を指すものと広義に解釈し、これに関連して「光弁」という用語も使用しうる。一般に、前記パターンは、例えば集積回路あるいはその他の素子(以下を参照)のようなターゲット部分に形成される素子の特定の機能層に対応する。そのようなパターン化手段の例は以下を含む。
−マスク。マスクの概念は平板印刷技術において周知であり、例えばバイナリ、交番位相シフト、および減衰位相シフト、並びに各種のハイブリッド・マスクタイプのようなマスクタイプを含む。放射線ビームにそのようなマスクを位置させることによって、マスクのパターンに従って、マスクに衝突する放射線を選択的に(透過マスクの場合は)透過を、(反射マスクの場合は)反射を発生させる。マスクの場合、支持構造体は一般にマスクテーブルであって、該マスクテーブルはマスクを送入されてくる放射線ビームにおける所望の位置に確実に保持でき、かつ希望に応じてビームに対して相対運動を可能にする。
−プログラム化可能なミラーアレイ。そのような素子の一例は粘弾性の制御層と反射面とを有するマトリックスアドレス可能な面である。そのような装置の背景にある基本原理は(例えば)反射面のアドレスされた領域が入射光線を回折光線として反射し、一方アドレスされない領域が入射光線を非回折光線として反射することである。適当なフィルタを使用することによって、前記の非回折光線は反射されたビームから濾過することが可能で、回折された光線のみを残しうる。このようにして、ビームはマトリックスアドレス可能な面のアドレスパターンに従ってパターン化されるようになる。適当な電子手段を使用して必要なマトリックスアドレス指定を実行することができる。そのようなミラーアレイに関するそれ以上の情報は、例えば、参考のために本明細書に含めている米国特許第5,296,891号および同第5,523,193号から収集しうる。プログラム化可能なミラーアレイの場合、前記支持構造体は、例えば必要に応じて固定あるいは可動としうるフレームあるいはテーブルとして実施すればよい。
−プログラム化可能なLCDアレイ。そのような構造の一例が、参考のために本明細書に含めている米国特許第5,229,872号に提供されている。前述のように、この場合の支持構造体は、例えば必要に応じて固定あるいは可動としうるフレームあるいはテーブルとして実施すればよい。
判り易くするために、本説明の残りにおいて、ある個所ではマスクおよびマスクテーブルを含む例に特に触れることがありうる。しかしながら、そのような場合に論じられる一般的な原理は前述したように広義のパターン化手段に関連して理解すべきである。
【0003】
例えば、集積回路(ICs)の製造において、平板投影装置が使用可能である。そのような場合、パターン化手段はICの個々の層に対応する回路パターンを発生させ、このパターンは、放射線に感応する材料(レジスト)の層をコーティングした基板(シリコンウエーファー)の(例えば1個以上のダイからなる)ターゲット部分上に形像しうる。一般に、単一のウエーファーは一時に一個ずつ投影システムを介して順次投影された隣接するターゲット部分の全体ネットワークを包含する。マスクテーブル上のマスクによってパターン化することを採用している現在の装置においては、二種類のタイプの機械の間の区分けをおこなうことができる。一方のタイプの平板投影装置においては、各ターゲット部分は一回の作業でターゲット部分上にマスクパターン全体を露出することによって照射される。そのような装置は一般にウエーファー・ステッパーと称されている。ステップ・アンド・スキャン装置と一般に称される代替的な装置においては、各ターゲット部分は所定の基準方向(「スキャン」方向)において、投影ビームの下でマスクパターンを徐々にスキャンし、一方前記の方向とは平行あるいは逆平行の基板テーブルを同期的にスキャンすることによって照射される。一般に、投影システムは倍率M(一般に<1)を有しているので、基板テーブルがスキャンされる速度Vはマスクテーブルがスキャンされる速度のM倍の係数である。本明細書に記載の平板印刷装置に関する更なる情報は参考のために本明細書に含めている米国特許第6,046,792号から収集しうる。
【0004】
平板投影装置を使用した製造工程において、(例えばマスクにおける)パターンは放射線感応材料(レジスト)の層によって少なくとも部分的に被覆されている基板上に形像される。この形像段階の前に、基板は、例えばプライミング、レジストコーティングおよびソフトベークのような各種の過程を処理すればよい。露出後、基板には、例えば露出後ベーク(PEB)、現像、ハードベークおよび形像された形成物の測定/検査のようなその他の過程を処理すればよい。このような配列の過程は、例えばICのような素子の個々の層をパターン化する基準として使用される。そのようなパターン化された層は次いで、例えば、エッチング、イオン注入(ドーピィング)、金属化、酸化、化学−機械的研磨等のような全て個々の層を仕上げするための各種の過程を処理すればよい。もしも数枚の層が必要とされるとすれば、全体の手順、あるいはその変形を新規の各層に対して繰り返す必要がある。最終的に、ある配列の素子が基板(ウエーファー)上にできる。次いで、これらの素子は、例えばダイシング、あるいはソーイングのような技術によって相互に分離され、その後個々の素子はピン等に接続されたキャリヤに実装することができる。そのような方法に関する更なる情報は参考のために本明細書に含めている、1997年のISBN0−07−067250−4である、マグローヒル出版社刊行のピータ・ファン・ザント(Peter van Zant)による「マイクロチップ製造:半導体処理に対する実用ガイド」(Microchip Fabrication:A Practical Guide to Semiconductor Processing)という名称の本から収集することができる。
【0005】
判り易くするために、投影システムは以下「レンズ」と称することがあるが、この用語は、例えば屈折光学装置、反射光学装置、および反射屈折光学装置を含む各種タイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈すべきである。本放射システムはまた、放射線の投影ビームを導き、成形し、あるいは制御するためのこれらの設計タイプのいずれかに従って作動する要素を含み、そのような要素はまた、集約して、あるいは単独に以下「レンズ」と称することがある。更に、平板装置は2個以上の基板テーブル(および/または2個以上のマスクテーブル)を有するタイプのものでよい。そのような「多段」装置において、追加のテーブルを並列に使用することができ、あるいは1個以上のテーブルを露出に使用している間に1個以上のテーブルにおいて準備段階を実行することができる。例えば、参考のために本明細書に含めている米国特許第5,969,441号および国際特許第WO98/40791号に複式段階の平板装置が記載されている。
【0006】
そのような平板装置において、典型的には、例えばある領域が大気圧であり、他の領域が真空であるような、気圧の異なる領域を本装置内に設けることが必要である。しかしながら、自在に運動しうるが、但し異なる圧力の領域を分離する要素を本装置内に設ける必要がある。従って、その要素の運動を許容するベアリングと、運動可能な要素によって分離された領域の間で差圧を保持する真空シールを有する装置を提供する必要がある。
【0007】
添付図面の中、図2(a)はそのような真空シールされたガスベアリング組立体を概略図示している。それは、真空を含む真空室12から大気圧のガス(気体)領域を分離しているスライダ10から構成されている。スライダ10と真空室12との間の境界にガスベアリング14が設けられている。このベアリングは、スライダ10を支持し、該スライダを極めて少ない摩擦で運動できるようにするガス(気体)のクッションを提供するようにガスがそこから汲み出される1個以上の孔あるいは溝から構成しうる。ガスがそこから汲み出される孔あるいは溝はガスが加圧された状態にあるランドによって分離しうる。スライダ10の運動は、例えば電磁アクチュエータすなわちモータのような手段(図示せず)によってもたらすことができる。
【0008】
差圧シール16もまた、スライダ10と真空室12との境界に設けられている。差圧シール16は、ガスが真空ポンプによって、そこを通して吸引される1個以上の一連の溝あるいは孔からなる。そのため、ガスベアリング14によって排出され、真空室12の内部の真空に向う方向に動くガスは差圧シール16によって掃引される。
【0009】
真空シールされたガスベアリング組立体に関するより詳しいことは、例えば、参考のために本明細書に含めている米国特許第4,191,385号に記載されている。
【0010】
そのような組立体に関わる一つの問題は、図2(b)に示すように、真空空間の外側の大気圧がスライダ10の上面の全体に亘って分布される力を加えるが、スライダ10の反対側においては、真空によって加えられるそれに対応する力がなく、代わりに図2(b)において大きな上向きの矢印で指示するガスベアリングにおける力があるのみであることである。このようは力の分布の結果、スライダ10がそれに加えられる大きな曲げ慣性のため変形しようとする。しかしながら、ガスベアリングにおける摺動面に対する精度の要件は高度であるため変形は許容しえない。図において、摺動面の間の空隙は尺度通りには示されていない。実際には、それは極めて小さいものであり、前記の面は高度の公差で平坦かつ平行でなければならない。その結果、従来の設計ではそれは極めて剛性のものであり、従って摺動面のどのような変形も阻止すべくスライダ10は極めて重いものとなる。この結果、そのために重いスライダ10を変位させるために大きな力を要するという問題を発生させる。
【0011】
基板テーブルあるいはマスクテーブルを構成するスライダを支持するために、平板装置において例えば前述のようなガスベアリング組立体が使用される場合、これらのテーブルは極めて迅速に運動する必要があり、かつ極めて頻繁に加速させる必要があるため、その結果、重量設計による多大の力と、重い質量とを必要とするという問題をもたらし、それは当該装置における多大なパワーの消失を意味する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題を少なくとも部分的に軽減することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この目的およびその他の目的は、本発明によると、本明細書の始まりの節において述べた平板投影装置であって、
−使用時ガスベアリングによって支持される可動部材であって、反対側の第1と第2の側を有し、前記第2の側が真空室の内部に露出される可動部材と、
−前記可動部材の前記第1と第2の側の少なくとも一部に亘って概ね均等なガス圧を提供するように前記可動部材の前記第1の側に設けられた圧力補正容器とを更に含むことを特徴とする平板投影装置によって達成される。
【0014】
可動部材の第1と第2の側の少なくとも一部に亘って概ね均等なガス圧を提供することによって前記可動部材に対する曲げ慣性を顕著に低減することが可能であり、そのため可動部材の剛性を下げ、より軽量化しながらも、依然として満足な作動を可能とするに必要なガスベアリングの摺動面上の公差を保持することができるようにする。ガス圧の均等性は、例えば一方の側の圧力は大雑把な真空であり、他方の側の圧力は超高真空であってよいが、但し双方の圧力とも大気圧に対しては基本的にゼロ圧であるというように、大気圧に対して相対的に判定することができる。
【0015】
圧力補正容器の内部は通路によって可動部材の第2の側の領域と連通していることが好ましい。このことによって、何ら追加の装置、ポンプ、圧力看視などを必要とすることなく圧力の均等性が容易に、受動的に達成できるようにする。
【0016】
圧力補正容器は少なくとも部分的に変形可能であることが好ましい。このことによって該容器を軽量化できる。
【0017】
前記圧力補正容器の少なくとも一つの壁は、使用時、可動部材がガスベアリングによって支持される領域の近傍において可動部材と接触することが好ましい。このことは、圧力補正容器に対する外圧によって可動部材に加えられる力がガスベアリングによって可動部材に加えられる力と概ね調和しており、従って可動部材に対するトルクすなわち曲げ慣性が概ね最小化されることを意味する。
【0018】
可動部材の第2の側に中空の部材が設けられ、前記可動部材および前記圧力補正容器を貫通して前記中空部材から開口が設けられることが好ましい。このことは、例えば、スライダのような可動部材の内部に空気を取り入れることが可能で、ケーブルをスライダから導出することが可能なことを意味する。前記圧力補正容器の内部を前記中空部材の内部から遮断するために前記開口の周りにベローを設けることが好ましい。ベローは圧力補正容器の内部を中空部材の内部とは異なる圧力に保つことができるようにする障壁を提供し、ベローであるので、圧力補正容器は依然として変形可能であり、重要なことはベローは変形するので可動部材に力を加えないことである。このように、圧力補正容器の変形はベローによって可動部材から切り離され、従って摺動面の変形が排除される。
【0019】
可動部材は基板テーブルあるいはマスクテーブルのxy座標位置決めのための変位を可能とするスライダでよく、あるいは可動部材は特定の軸線の周りの回転位置決めを行いうる、あるいは直線摺動および回転の双方を組み合わせることのできるロータでよい。
【0020】
圧力補正容器内、および前記真空室内の可動部材の第2の側におけるガス圧は大気圧より低いことが好ましく、より好ましくは該圧力は100Pa以下、あるいは実際にはこれよりも数倍、すなわち多数倍低い、例えば10-2 Pa(10-4 ミリバール)以下であり、好ましくは真空あるいは超高真空である。
【0021】
本発明の別の局面によると、
−放射線に感応する材料の層によって少なくとも部分的に被覆された基板を提供する段階と、
−放射システムを使用して放射線の投影ビームを提供する段階と、
−真空室内で投影ビームのための真空ビーム通路を提供する段階と、
−パターン化手段を使用して投影ビームの断面にパターンを付与する段階と、
−放射線感応材料の層のターゲット部分上にパターン化された放射線のビームを投影する段階とを含む素子製造方法であって、
ガスベアリングによって支持される可動部材であって、反対側の第1と第2の側を有し、前記第2の側が前記真空室の内部に露出される可動部材を提供する段階と、前記可動部材の第1の側において圧力補正容器を設ける段階と、前記可動部材の前記第1の側および前記可動部材の第2の側の少なくとも一部におけるガス圧を概ね均等にする段階とを含むことを特徴とする素子製造方法が提供される。
【0022】
本明細書ではICの製造における本発明による装置の使用を特に参照しているが、そのような装置はその他の多数の適用が可能であることを明確に理解すべきである。例えば、本発明による装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのための案内および検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッド、等の製造に採用しうる。当業者は、そのような代替的な適用に関連して、ここで使用する「レクチル」、「ウエーファー」、あるいは「ダイ」という用語はそれぞれ、より普遍的な「マスク」、「基板」、および「ターゲット部分」という用語に置き換えて検討すべきであることを認識している。
【0023】
本明細書において、紫外線(例えば、波長が365、248、193、157および126nm)およびEUV(例えば波長が5−20nmの範囲にある遠紫外線)を含む全てのタイプの電磁放射線、並びに例えばイオンビーム、あるいは電子ビームのような粒子ビームを網羅するべく「放射線」および「ビーム」という用語を使用している。
【0024】
本発明の実施例を添付の概略図を参照して、例示のみとして以下説明する。
【0025】
図において、対応する参照記号は対応する部分を指示する。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施例 1
図1は本発明による平板投影装置を概略図示する。本装置は以下を含む。
●(例えばUVあるいはEUV放射線、電子あるいはイオンである)放射線の投影ビームPBを供給する放射システムLA,IL;
●マスクMA(例えばレチクル)を保持するための第1の物体(マスク)ホルダを備え、マスクを物体PLに対して正確に位置決めするように第1の位置決め手段PMに接続された第1の物体テーブル(マスクテーブル)MT。
●基板W2(例えば、レジストをコーティングしたシリコンウエーファー)を保持する第2の物体(基板)ホルダを備え、基板を物体PLに対して正確に位置決めするために第2の位置決め手段P2Wに接続された第2の物体テーブル(基板テーブル)W2T;
●基板W3(例えば、レジストをコーティングしたシリコンウエーファ)を保持する第3の物体(基板)ホルダを備え、物体PLに対して基板を正確に位置決めするための第3の物体テーブル(基板テーブル)W3T;
●マスクMAの照射された部分を基板Wのターゲット部分C上に形像する投影システム(「レンズ」)PL(例えば、屈折あるいは反射屈折レンズ系、ミラー群、あるいはフィールドデフレクタのアレイ)。
【0027】
放射システムは放射線のビームを発生させる光源LA(例えば、ストレージリングあるいはシンクロトロンにおける電子ビームの通路の周りに設けられたアンデュレータあるいはウイッグラ(wiggler)、プラズマ源、電子あるいはイオン源、水銀ランプあるいはレーザ)を含む。このビームは照射システムILに含まれた各種の工学要素を横行するようにされ、そのためその結果得られたビームPBはその断面が所望の形状および強度分布を有する。
【0028】
ビームPBはその後、マスクテーブルMTにおけるマスクホルダに保持されたマスクMAに衝突する。マスクMAによって選択的に反射(あるいは透過)されるので、ビームPBは「レンズ」PLを通過し、該レンズはビームPBを基板W2,W3のターゲット部分Cに集光する。位置決め手段P2W,P3Wおよび干渉転位測定手段IFの助勢によって、基板テーブルW2T,W3Tは、例えばビームPBの通路において種々のターゲット部分Cを位置決めするように正確に運動することができる。同様に、位置決め手段PMおよび干渉転位測定手段IFは、例えばマスクMAがマスクライブラリから機械的に検索された後、あるいはスキャン運動の間、ビームPBの通路に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用することができる。従来技術においては、物体テーブルMT,W2Tの運動は一般に、図1には明確に示していない長いストロークのモジュール(粗い位置決め)および短いストロークのモジュール(微細な位置決め)の助勢によって実現されている。
【0029】
図示した装置は二種類のモードで使用することができる。すなわち、
●ステップモードにおいて、マスクテーブルMTは基本的に静止状態に保持され、マスクの像全体は一回の作業(すなわち、単一の「フラッシュ」)でターゲット部分Cに投影される。基板テーブルW2Tは、次いで異なるターゲット部分CがビームPBによって照射されうるようにXおよび(または)Y方向に移行される。
●スキャンモードにおいて、所定のターゲット部分Cが単一の「フラッシュ」で露出されないことを除いて、基本的に同じ手順が適用される。代わりに、マスクテーブルMTは所定方向(所謂「スキャン方向」、例えばY方向)に速度vで運動可能であり、そのため投影ビームPBはマスクの像の上をスキャンするようにされ、同時に基板テーブルW2Tが速度V=Mvで同じ方向あるいは反対方向に運動する。MはレンズPLの倍率(例えば、M=1/4あるいは1/5)である。このように、解像力について妥協する必要なく相対的に大きなターゲット部分Cを露出することが可能である。
【0030】
本発明による平板投影装置において、第1と第2の物体テーブルの少なくとも一方は図1に概略図示した真空室8に設けられている。
【0031】
図3(a)を参照すると、本発明の前述した実施例のマスクテーブルMTあるいは基板テーブルW2T,W3Tを運動させるために使用されるスライダ配置が断面図で概略図示されている。図2(a)に示すものに対応する部材は対応する参照記号で指示しているので、その説明は繰り返さない。本装置は可動部材、この場合スライダ10を含む。スライダ10の第1の側22には圧力補正容器20があり、その外側には、概ね大気圧でよい空気あるいはパージガスのようなガス(気体)が存在する。スライダ10の下方で、その第2の側において、減圧されたガスを入れた真空空間がある。スライダ10はエアベアリング14において支持されており、真空空間と外部のガスとの間の差圧は、双方共図2(a)を参照して先に述べたように、差圧シール16によって保持されている。
【0032】
スライダ10を貫通して通路26が設けられ、そのため圧力補正容器20の内部はスライダ10の第2の側24の領域にある真空空間と連通する。圧力均衡に達すると、圧力補正容器20の内部の圧力は真空空間の圧力と同じとなり、従ってこれも真空となる。圧力補正容器20の内部は、必ずしも通路26を設けることなく、代替的に独立したガス排出手段によって減圧排気してもよい。このことが有利な理由はガス放出によって圧力補正容器20に存在する何らかの汚染物がスライダ10の第2の側24の極めて汚染物に敏感な真空空間に到達しないことである。前述のいずれかの方法により、スライダ10の第1の側22および第2の側24の主要部分におけるガス圧が同じであり、従ってスライダ10に対して何ら大きな曲げ慣性がなく、そのためスライダは高度の剛性は必要でなく、より軽量とすることができる。本装置の上側部分には外部ガス圧が依然として存在することは勿論であるが、圧力補正容器の上側の壁28はその結果の力を圧力補正容器20の側壁30に伝達する。従って、スライダ10の第1の側22全体に亘り圧力が分配される代わりに、その圧力はスライダ10が側壁30と接触する箇所でスライダに集中する。側壁30は、それらがガスベアリング14の位置に対応するように位置決めされる。この結果、図3(b)に示すように、図3(b)において下向きの大きな矢印で示す、側壁30によってスライダ10に加えられる力は図3(b)において上向きの矢印で示す、ガスベアリング14からのスライダ10に対する力と調和する。
【0033】
使用時、エアベアリング14の上向きの力は本装置の上側部分に対する大気圧に対してのみならず、スライダ10および関連の要素の重量に対して反作用する必要がある。重力による力の作用から起因するスライダ10の重量は勿論スライダ10に亘って分配されるので、スライダ10に作用するある程度の曲げ慣性は依然として存在するが、これは本装置の固有のものであり、排除することは不可能であるが、スライダ10はその上側の面に作用する10Paのガス圧によって変形はしないので、スライダ10をより軽量にしうるという事実から低減される。
【0034】
図3(a)に示すように、圧力補正容器20の上側壁28は、該圧力補正容器20の内部に真空があるために補正されない、上側壁28に作用する外部のガス圧によって内方に弓なりになるという事実から変形可能なものとして示されている。圧力補正容器20が部分的に変形可能であることは、圧力補正容器20の剛性を減らし、より軽量にすることができるようにする上で有利である。圧力補正容器20の肝要な点はスライダ10に亘ってのガス圧による力の分布を変え、そのためそれらがスライダの第1の面22全体に亘って分配されるのではなく、圧力補正容器20の側壁30を通して伝達されるようにすることである。
【0035】
実施例 2
本発明の別の好適実施例が図4に示されている。図3(a)とは相違する特徴のみを説明する。これまでの図面においては、スライダ10は単純なビームとして概略例示してきたが、実際にはより望ましい形状が図4に示されており、図4においてはスライダの内側で空気あるいはその他のガスを取り入れ得るようにするためにスライダ10の下側に中空の部材が設けられている。中空部材32の内側からケーブルなどを導出するために、スライダ10を通して、かつ圧力補正容器20の上側壁32を通して開口34が設けられている。いずれかの所望のケーブル(図示せず)と共に中空部材32の内部へと開口34を通過しうる外部の大気から圧力補正容器20の内部の真空をシールするために開口34の回りにガス密のベロー36が設けられている。ベロー36は金属あるいはその他の適当な材料から作られ、コンチェルティーナの形態である。ベロー36は可揺性であるため、圧力補正容器の上側壁28は変形可能である。しかしながら、ベロー36の弾性はゼロあるいは極めて小さいので、垂直方向に圧縮されると、実際にはスライダ10の第1の側10には何ら力は伝達されない。このように、圧力補正容器20の上側壁28は、エアベアリング14によって提供される支持点から遠く離れた点においてスライダ10に力を伝達することなく変形可能とされ、かつ軽量とすることができる。圧力補正容器20の上側壁28における大気圧から発生する力の大部分は依然として、エアベアリング14と整合して位置した側壁30を介して伝達される。開口34の面積に大気圧を掛けたものと等しい小さい付加的な力がスライダ10に対して存在するが、この力は、中空の部材32の壁がスライダと接合されるところでスライダ10に作用し、依然として圧力補正容器20の上側壁28に対するガス圧の全体の力よりもはるかに小さい。
【0036】
本発明の特定の実施例を前述してきたが、本発明は説明した以外の方法で実施してもよいことが認められる。前記の説明は本発明を限定する意図のものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による平板投影装置を示す。
【図2(a)】スライドおよびその支持装置の概略断面図を示す。
【図2(b)】図2(a)に示すスライダに対する力を概略図示する。
【図3(a)】本発明を実施したスライダ装置の断面を概略図示する。
【図3(b)】図3(a)に示す力を概略図示する。
【図4】本発明によるスライダ装置の別の実施例を断面で概略図示する。
【符号の説明】
C ターゲット部分
IL 放射システム
IF 干渉転位測定手段
LA 放射源
MA マスク
MT マスクテーブル
PB 投影ビーム
PL レンズ
PM 位置決め手段
W 基板
WT 基板テーブル
10 スライダ
12 真空室
14 エアベアリング
16 差圧シール
20 圧力補正容器
22 スライダの第1の側
24 スライダの第2の側
26 通路
28 圧力補正容器の上壁
30 側壁
32 中空部材
34 開口
36 ベロー

Claims (11)

  1. −放射線の投影ビームを提供する放射システムと、
    −所望のパターンに従って投影ビームをパターン化するよう作用するパターン化手段を支持する支持構造体と、
    −投影ビームのための真空ビーム通路を提供する真空室と、
    −基板を保持する基板テーブルと、
    −前記基板のターゲット部分上にパターン化されたビームを投影する投影システムとを含む平板投影装置において、更に、
    −使用時にガスベアリングによって支持される可動部材であって、反対側の第1と第2の側を有し、前記第2の側が前記真空室の内部に露出される可動部材と、
    −前記可動部材の第1の側に設けられ、少なくとも部分的に変形可能である圧力補正容器とを含み、前記圧力補正容器の内部が通路を介して前記可動部材の第2の側と連通していることを特徴とする平板投影装置。
  2. −放射線の投影ビームを提供する放射システムと、
    −所望のパターンに従って投影ビームをパターン化するよう作用するパターン化手段を支持する支持構造体と、
    −投影ビームのための真空ビーム通路を提供する真空室と、
    −基板を保持する基板テーブルと、
    −前記基板のターゲット部分上にパターン化されたビームを投影する投影システムとを含む平板投影装置において、更に、
    −使用時にガスベアリングによって支持される可動部材であって、反対側の第1と第2の側を有し、前記第2の側が前記真空室の内部に露出される可動部材と、
    −前記可動部材の第1の側に設けられ、少なくとも部分的に変形可能である圧力補正容器とを含み、前記圧力補正容器内におけるガス圧が大気圧より低いことを特徴とする平板投影装置。
  3. 前記圧力補正容器内におけるガス圧が100Pa以下である請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記圧力補正容器内におけるガス圧が0.01Pa以下である請求項1または2に記載の装置。
  5. 前記可動部材及び圧力補正容器によって分離されて異なるガス圧にある二つの領域を有し、前記領域の一方が真空室の内部からなる領域を含んでいる請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記可動部材を前記ガスベアリングによって運動可能に支持できるようにしながら前記の二つの領域において異なるガス圧を維持するための差圧シールを含む請求項5に記載の装置。
  7. 前記圧力補正容器の少なくとも一つの壁が、使用時に前記可動部材が前記ガスベアリングによって支持されている領域の近傍において前記可動部材と接触するようになっている請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記可動部材の第2の側に中空の部材が設けられ、前記中空の部材の内部から前記可動部材および前記圧力補正容器を通る開口が設けられている請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
  9. 前記圧力補正容器の内部を前記中空の部材の内部から遮断するために前記開口の回りにベローが設けられている請求項8に記載の装置。
  10. 前記可動部材の第2の側におけるガス圧が大気圧より低くされている請求項1から9までのいずれか1項に記載の装置。
  11. −放射線に感応する層によって少なくとも部分的に被覆された基板を提供する段階と、
    −放射システムを使用して放射線の投影ビームを提供する段階と、
    −真空室内で投影ビームのための真空ビーム通路を提供する段階と、
    −投影ビームの断面においてパターンを付与するためにパターン化手段を使用する段階と
    −放射線のパターン化されたビームを放射線に感応する材料の層のターゲット部分に投影する段階とを含む素子製造方法において、
    ガスベアリングによって支持された可動部材であって、反対側の第1と第2の側を有し、前記第2の側が前記真空室の内部に露出される可動部材を提供する段階と、少なくとも部分的に変形可能である圧力補正容器を前記可動部材の第1の側に設ける段階と、前記可動部材の第1の側の前記圧力補正容器内のガス圧および前記可動部材の前記第2の側の少なくとも一部に亘るガス圧を概ね均等にする段階とを含むことを特徴とする素子を製造する方法。
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