JP3703655B2 - タイミング信号発生回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイミング信号の遅延調整を行うタイミング信号発生回路に関し、例えば、半導体集積回路内でのタイミング信号の遅延調整を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
半導体回路では一般に、入力された各信号をクロックに同期させて各種の処理を行う。このため、スタティックな回路のみを使用する場合は特に問題ないが、速度向上等のためにプリチャージ回路を使用する場合には、往々にして、プリチャージ期間とその後の評価期間のタイミングがクロックとずれてしまうことから、タイミング調整用の独自のタイミング信号が必要になる。
【0003】
この種のタイミング信号を生成するタイミング信号発生回路の一つとして、図5に示すように、インバータチェーン51を利用して遅延調整を行う回路が知られている。図5の回路では、インバータの接続段数を切り替えることで、遅延時間の調整を行う。
【0004】
また、他のタイミング発生回路の一例として、ある回路Aが他の回路Bの出力が確定するタイミングを必要とする場合、回路Aのクリティカルパスと同等のダミー回路を設けて、タイミング信号を生成する回路が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したタイミング信号発生回路を半導体チップ内に設ける場合には、トランジスタを組み合わせて回路を形成する。ところが、トランジスタを組み合わせたトランジスタ論理回路は、印加電圧が高いほど、また、温度が低いほど、高速に動作するため、上述したインバータチェーン51の段数で遅延時間の調整を行うと、トランジスタの電圧特性や温度特性により、遅延時間が変化してしまう。
【0006】
また、ダミー回路をインバータチェーン51で構成する場合には、ダミー回路が模する対象回路(遅延対象回路)がトランジスタで同様に構成されていれば、トランジスタの電圧特性や温度特性は互いに相殺されるため、特に問題は起きない。しかしながら、インバータの接続段数が多い場合には、図6に示すように、出力信号のパルス幅が入力信号よりも狭くなってしまう。
【0007】
一方、遅延対象回路の遅延要因が主に配線遅延(RC遅延)である場合、配線遅延は電圧や温度が変化してもトランジスタほどは遅延時間が変化しないため、ダミー回路の遅延量と遅延対象回路の遅延量とに誤差が生じてしまう。したがって、ある条件で遅延が一致するようにダミー回路内のインバータ段数を調整しても、電圧や温度が変化すると、場合によっては、ダミー回路の遅延時間が遅延対象回路の遅延時間よりも短くなり、いわゆる信号のレーシングが起きる。
【0008】
信号のレーシングは、電圧や温度以外に、トランジスタを形成する際のプロセス条件によっても起こりうる。このため、インバータチェーン51によりタイミング信号を生成する場合には、遅延対象回路の遅延要因が主に配線遅延であれば、タイミングにかなりのマージンをとる必要がある。
【0009】
一方、遅延対象回路のクリティカルパスに基づいてダミー回路を生成し、ダミー回路の出力をタイミング信号として用いる場合、遅延対象回路とダミー回路は同じような傾向で遅延するため、インバータチェーン51を用いてダミー回路を生成するよりも安定に動作する可能性が高い。ところが、ダミー回路の場合、クリティカルパスをそのまま模するため、意図的に遅延を調整するのが難しい。
【0010】
図7はプロセッサ内部のオペランドバス上のオペランドと遅延クロックとのタイミング調整を行うタイミング信号発生回路のブロック図である。図7の回路は、遅延クロックラインL1に接続された複数のトライステートバッファ1a,1b,1cと、オペランドバスL2に接続された複数のトライステートバッファ2a,2b,2cと、各トライステートバッファ2a,2b,2cの入力端子に接続された複数の演算器3a,3b,3cと、遅延クロックラインL1上のクロックに同期させてオペランドバスL2上のオペランドを取り込んで演算する演算器3dとを備えている。
【0011】
遅延クロックラインL1に接続された複数のトライステートバッファ1a,1b,1cのうち、最も左側のトライステートバッファ1aはクロック信号を出力し、その他のトライステートバッファ1b,1cの出力は常にハイインピーダンス状態である。すなわち、最も左側のトライステートバッファ1a以外は、ダミー負荷を与えるためのダミー回路である。
【0012】
図7の回路の場合、遅延対象回路のクリティカルパスの遅延時間に合わせて遅延クロックラインL1のトライステートバッファの段数を定めるため、遅延クロックの遅延時間を意図的に調整するのが難しい。
【0013】
また、メモリ内のセンスアンプの動作タイミングを制御するタイミング信号発生回路の場合、メモリ内にはデータビット分のセンスアンプが設けられるため、タイミング信号発生回路の出力をバッファを介して各センスアンプに振り分けなければならない。このため、バッファを通過する分だけ信号が遅延してしまう。
【0014】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路を複雑化することなく、精度よくタイミング調整を行うことができるタイミング信号発生回路を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様によれば、遅延クロックライン上の遅延クロックに同期させて、オペランドバス上のオペランドを取り込んでその実行を行う演算器と、それぞれ異なるタイミングの前記遅延クロックを出力する複数の信号出力回路と、オペランドバス上のオペランドが確定した後に前記演算器が該オペランドの取り込みを行うように、いずれかの前記信号出力回路から出力された前記遅延クロックを選択して前記遅延クロックラインに供給するクロック遅延調整回路と、を備えることを特徴とするタイミング信号発生回路が提供される。
【0016】
本発明では、複数の信号出力回路のいずれかを選択するだけでタイミング信号の遅延時間を調整できるため、簡易な回路で、かつ精度よく遅延時間の調整を行うことができる。また、オペランドバス上のオペランドが確定した後に演算器がオペランドの取り込みを行うようにタイミング信号の遅延調整を行うため、演算器の動作を安定化させることができる。
【0017】
本発明では、対象回路のクリティカルパスに基づいて信号出力回路の選択を行うため、対象回路が正常動作するようにタイミング信号の遅延調整を行うことができる。
【0019】
本発明では、トライステートバッファの制御端子を制御するだけでタイミング信号の遅延調整を行うことができるため、回路構成が簡略になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るタイミング信号発生回路について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係るタイミング信号発生回路の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図1のタイミング信号発生回路は、図7の回路と同様に、遅延クロックラインL1に接続された複数のトライステートバッファ1a,1b,1cと、オペランドバスL2に接続された複数のトライステートバッファ2a,2b,2cと、各トライステートバッファ2a,2b,2cの入力端子に接続された複数の演算器3a,3b,3cと、遅延クロックラインL1上の遅延クロックに基づいてワンショットパルスを生成するパルス生成回路4と、ワンショットパルスに同期させてオペランドバスL2上のオペランドを取り込んで演算を行う演算器3dとを備えている。
【0026】
演算器3dは、ワンショットパルスがハイレベルのときにプリチャージ動作を行い、ローレベルのときに演算を行う。
【0027】
遅延クロックラインL1に接続された各トライステートバッファ1a,1b,1cの制御端子には、スイッチ5a,5b,5cが接続されている。スイッチ5a,5b,5cのいずれかが電源電圧端子に接続されると、対応するトライステートバッファはクロック信号を出力し、スイッチ5a,5b,5cのいずれかが接地端子に接続されると、対応するトライステートバッファの出力はハイインピーダンスになる。
【0028】
実際には、スイッチ5a,5b,5cのうちいずれか一つのみが電源電圧端子に接続されて、その他のスイッチは接地端子に接続される。これらスイッチ5a,5b,5cの切り替えにより遅延クロックの遅延時間の調整が行われる。この場合の遅延時間は、遅延クロックラインL1およびトライステートバッファの配線抵抗と配線容量とにより定まる。
【0029】
また、遅延クロックラインL1上には、外部クロックCLKがローレベルのときに遅延クロックラインL1をハイレベルに設定するトランジスタ6a,6b,6cが設けられている。同様に、オペランドバスL2上にも、外部クロックCLKがローレベルのときにオペランドバスL2をハイレベルに設定するトランジスタ7a,7b,7cが設けられている。
【0030】
図2は図1のタイミング信号発生回路のタイミング図である。以下、図2のタイミング図に基づいて、図1の回路の動作を説明する。
【0031】
図1の演算器3dは、プリチャージロジックで構成されており、パルス生成回路4から出力されたワンショットパルスがハイレベルからローレベルに変化する時点でオペランドを内部に取り込む。このため、ワンショットパルスがハイレベルからローレベルに変化する時刻の前に、オペランドバスL2上のオペランドがすでに確定していなければならない。
【0032】
図2(a)は図1のタイミング信号発生回路に外部から入力される外部クロックCLKのタイミングを示している。オペランドバスL2上のオペランドは、図2(b)の矢印y1に示すように、電圧や温度等により遅延時間が変動する。また、遅延クロックラインL1に接続されたトライステートバッファ1aがイネーブル状態のときは、演算器3dに入力される遅延クロックCLK1は図2(c)のような波形になる。このとき、演算器3dに入力されるワンショットパルスP1は図2(d)のような波形になる。
【0033】
一方、遅延クロックラインL1上のトライステートバッファ1bがイネーブル状態のときは、演算器3dに入力される遅延クロックCLK2は図2(e)のような波形になり、演算器3dに入力されるワンショットパルスP2は図2(f)のような波形になる。
【0034】
図2では、トライステートバッファ1aからクロックが出力される場合のオペランド確定時刻から遅延クロックの立ち下がりまでのマージンを矢印y2で表し、トライステートバッファ1bからクロックが出力される場合のオペランド確定時刻から遅延クロックの立ち下がりまでのマージンを矢印y3で表している。
【0035】
マージンy2,y3は、遅延クロックラインL1のRC遅延と、パルス生成回路4内の伝搬遅延とにより定まる。マージンy3の方がマージンy2よりも時間幅が短いため、マージンy3の時間幅で演算器3dが正常に演算を行うことができる場合には、スイッチ5a,5b,5cを切り替えて、トライステートバッファ1bからクロックを出力させるのが望ましい。
【0036】
このように、第1の実施形態では、遅延クロックラインL1に接続された複数のトライステートバッファ1a,1b,1cのいずれかを任意に選択して遅延クロックの遅延時間の調整を行うようにしたため、演算器3dで演算を行うのに最適なタイミングのワンショットパルスを生成することができる。したがって、演算器3dにオペランドが入力されてからかなり経過した後にワンショットパルスが入力されるような不具合や、オペランドが確定する前にワンショットパルスが入力されるような不具合を防止できる。
【0037】
また、第1の実施形態では、ダミー負荷を与えるために従来から設けられていたトライステートバッファ1a,1b,1cで構成されたダミー回路を、タイミング信号発生用として流用するため、新たに部品を追加することなく、タイミング調整を行うことができ、コストアップを抑制できる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、メモリセルアレイ内にダミー回路を設けてセンスアンプの駆動タイミングを調整するものである。
【0039】
図3は本発明に係るタイミング信号発生回路の第2の実施形態の概略構成を示す図である。図3のタイミング信号発生回路は、メモリセルアレイ11内に設けられる。メモリセルアレイ11内には、複数のワード線W1〜Wnとビット線B1〜Bmが配設され、各ワード線W1〜Wnおよびビット線B1〜Bmには複数のメモリセルが接続されている。
【0040】
縦横に隣接する複数のメモリセルは、セルブロック12を構成しており、各セルブロックの間にはそれぞれ、ダミー回路13a,13b,13cが設けられている。これらダミー回路13a,13b,13cは、センスアンプ17の駆動タイミングを設定するために用いられる。
【0041】
なお、図3は、3つのダミー回路13a,13b,13cを設ける例を示しているが、ダミー回路の数には特に制限はない。
【0042】
ダミー回路13a,13bのそれぞれは、対応するワード線に並列接続された複数のトランジスタ14で構成される。また、ダミー回路13cは、対応するビット線に並列接続された複数のトランジスタ15で構成される。各ダミー回路内のトランジスタ14,15の個数は、セルブロック内のトランジスタの個数に合わせて設定される。
【0043】
ダミー回路13a,13b内のワード線は、通常のワード線と同様にデコーダ16に接続され、デコーダ16からの信号により、いずれか一つのダミー回路13が選択される。例えば、図3のダミー回路13aは、メモリセルアレイ11内で最も伝搬遅延時間の長い経路、すなわちクリティカルパスである。このダミー回路13aのワード線をハイレベルにしたときにダミー回路13aを通過したデータがセンスアンプ17から正しく読み出せるように、センスアンプ17の駆動タイミングの設定が行われる。
【0044】
また、他のダミー回路13b内のワード線をハイレベルにしたときにもダミー回路を通過したデータがセンスアンプ17から読み出せるように、センスアンプ17の駆動タイミングの設定が行われる。
【0045】
このように、第2の実施形態は、メモリセルアレイ11内に複数のダミー回路13a,13b,13cを設け、各ダミー回路を通過したデータがいずれもセンスアンプ17から正常に出力されるように、センスアンプ17の駆動タイミングを定める。これにより、メモリセルアレイ11内のどのメモリセルから読み出されたデータも、センスアンプ17を介して正常に出力することができる。
【0046】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、トライステートバッファに接続されたスイッチ5a,5b,5cの選択を手動で行う例を説明したが、第3の実施形態は、スイッチ5a,5b,5cの選択を自動制御するものである。
【0047】
図4は本発明に係るタイミング信号発生回路の第3の実施形態の概略構成を示すブロック図である。図4では、図1と共通する構成部分には同一符号を付しており、以下では、相違点を中心に説明する。
【0048】
図4のタイミング信号発生回路は、遅延クロックラインL1に接続された複数のトライステートバッファのいずれか一つを選択するレジスタ8を有する。レジスタ8の出力は、各トライステートバッファ1a,1b,1cの制御端子にそれぞれ入力される。レジスタ8の出力がハイレベルのときに、対応するトライステートバッファはクロックを出力する。レジスタ8に設定される値は、例えば、不図示のプロセッサにより制御される。
【0049】
このように、第3の実施形態は、レジスタ8の出力によりトライステートバッファのいずれか一つを任意に選択できるようにしたため、遅延クロックの遅延時間をプログラマブルに切り替え制御することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、タイミング信号線に接続された複数の信号出力回路のいずれか一つを選択してタイミング信号の遅延調整を行うため、簡易かつ精度よくタイミング調整を行うことができる。
【0051】
特に、ダミー負荷を与えるために従来から設けられているダミー回路を信号出力回路として利用すれば、新たに部品を追加することなくタイミングの微調整を行うことができ、コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタイミング信号発生回路の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1のタイミング信号発生回路のタイミング図。
【図3】本発明に係るタイミング信号発生回路の第2の実施形態の概略構成を示す図。
【図4】本発明に係るタイミング信号発生回路の第3の実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図5】従来のタイミング信号発生回路の概略構成を示すブロック図。
【図6】図5のタイミング図。
【図7】プロセッサ内部のオペランドバス上のオペランドと遅延クロックとのタイミング調整を行うタイミング信号発生回路のブロック図。
【符号の説明】
1a,1b,1c,2a,2b,2c トライステートバッファ
3a,3b,3c,3d 演算器
4 パルス生成回路
Claims (3)
- 遅延クロックライン上の遅延クロックに同期させて、オペランドバス上のオペランドを取り込んでその実行を行う演算器と、
それぞれ異なるタイミングの前記遅延クロックを出力する複数の信号出力回路と、
オペランドバス上のオペランドが確定した後に前記演算器が該オペランドの取り込みを行うように、いずれかの前記信号出力回路から出力された前記遅延クロックを選択して前記遅延クロックラインに供給するクロック遅延調整回路と、を備えることを特徴とするタイミング信号発生回路。 - 前記複数の信号出力回路は、タイミング調整を行う対象である対象回路に対応して設けられ、
前記クロック遅延調整回路は、前記対象回路のクリティカルパスの遅延時間に基づいて前記複数の信号出力回路のいずれか一つを選択することを特徴とする請求項1に記載のタイミング信号発生回路。 - 前記複数の信号出力回路のそれぞれは、制御端子の論理により、出力端子から信号を出力するか、あるいは出力端子をハイインピーダンス状態にするかを切り替えるトライステートバッファを有し、
前記クロック遅延調整回路は、前記制御端子の論理を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載のタイミング信号発生回路。
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