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JP3795114B2 - ごみ焼却炉の排ガスの処理方法および装置 - Google Patents

ごみ焼却炉の排ガスの処理方法および装置 Download PDF

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JP3795114B2
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Mitsubishi Power Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はごみ焼却炉から排出される排ガス中のNOX 量を低減するごみ焼却炉の排ガス処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ごみを焼却するごみ焼却炉では、排出される排ガス中のNOX の濃度が急変し易く、そのため、NOX を効果的に低減することが困難である。図3に、従来採用されている排ガス処理方法を示す。
【0003】
図3は従来のごみ焼却炉の排ガス処理の系統図である。図3では、(a)、(b)、(c)の3種の系統図が示されている。図3の(a)は、例えば、特開昭58−45723号公報等で提案されている手段を示すものであり、ごみ焼却炉1、バグハウス(脱塵装置)2、および煙突3を備えた装置において、尿素又はアンモニア等の還元剤をごみ焼却炉1内に吹き込む無触媒脱硝法、即ち炉内脱硝方式であり、簡便な処理方法として用いられている。
【0004】
図3の(b)は、例えば、「第3回環境工学シンポジウム講演論文集(1993.7.2)」、「廃棄物学会第4回研究発表会講演論文集(1993.10.13)」に示される手段であり、ごみ焼却炉1、バグハウス2、および煙突3を備えた装置において、バグハウス2の後流に脱硝塔4を設け、この脱硝塔4によって脱硝を行なうことにより、温度165 〜260 ℃で50〜75%の初期脱硝率が得られる。
【0005】
図3の(c)は、例えば、特開平4−219124号公報等で提案されている手段を示すものであり、ごみ焼却炉1、バグフィルタ型反応装置5、および煙突3を備えた装置において、脱硝触媒をフィルタ部に含浸させた脱硝バグフィルタを用いる方式であり、この触媒を用いる方式では、煙道上流でアンモニアガス、又はアンモニア水を吹き込み、
4NO+4NH3 +O2 →4N2 +6H2O …………(1)
の反応によりNOX を還元除去している。
【0006】
NH3 を還元剤とする選択的接触還元法において、NOX のNH3 による還元反応は上記反応式による反応の外に次の2つの反応式による還元反応が知られている。
NO+NO2 +2NH3 →2N2 +3H2O …………(2)
6NO2 +8NH3 →7N2 +12H2O …………(3)
上記2つの反応式のうち、反応式(2)によって得られるNOX の除去効果は、NO/NO2 モル比が1以上のとき、反応式(1)の2倍の反応速度をもつ。このことから、例えば、特開平6−53211号公報に示されるように、廃ガス中のNO2 を還元してNOとして触媒に接触させ、窒素酸化物を除去する手段が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記図3の(a)に示す方法は、NOX 濃度の低減に限界があり、NOX の規制値が強化されつつある現状には対応できない。又、都市ごみ焼却炉の場合、炉内温度・ガス濃度分布が非常に大きく変動するため、還元剤の注入ポイントの選定が難しい。900 〜1050℃の高温領域に還元剤を一様に噴霧するようにすれば脱硝率は向上するという実験結果が得られているが、温度が高過ぎると還元剤のアンモニア化合物の燃焼によりNOX が発生し、又、温度が低過ぎると脱硝率は減少し、アンモニアリーク濃度が上昇するため、実際には脱硝剤/NOX 比率を大きくとれない。
【0008】
上記図3の(b)に示す方法は、現状の触媒の低温での活性が低く、脱硝率の向上のためには触媒使用量や温度を高くする必要がある。このため、反応塔4の圧損が増加し、誘引送風機の大型化が必要となる。これは、既設の装置に触媒脱硝装置を追加するために誘引送風機を交換する必要を生じさせる。
【0009】
上記図3の(c)に示す方法においても、脱硝率の向上には、触媒使用量や温度を高くする必要がある。しかし、バグフィルタとして使用されるガラス繊維織布やポリフェニレンスルフィド、ポリイミド等のフェルトの耐熱温度はおよそ200 〜250 ℃程度であり、高温化には限界がある。又、フィルタ圧損の増加に伴う諸問題は上記図3の(b)の方法の場合と同様に存在する。さらに、排ガス中の硫酸塩等により触媒が汚染され、触媒の活性面が閉塞して脱硝率が低下するという問題もある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、NOX を低温で効率よく低減することができ、既設装置にも容易に適用することができるごみ焼却炉の排ガス処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを脱硝処理装置に導入して排ガス中のNOxの量を低減するごみ焼却炉の排ガス処理方法において、前記脱硝処理装置の上流煙道又は当該脱硝処理装置内に硝酸アンモニューム水溶液を気化、分解させて生成されたNOを導入添加し、アンモニアなどの還元剤とともに排ガス中の窒素化合物と混合接触させ、低温で脱硝率を向上させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るごみ焼却炉の排ガス処理方法を説明する系統図である。この図で、10はごみ焼却炉、11は脱硝装置、12は排ガスを誘引する吸引ブロワー、13はごみ焼却炉10と脱硝装置11との間の煙道、14は脱硝装置11と吸引ブロワー12との間の煙道、15は脱硝装置11からの排ガスを冷却するガス冷却器である。16は硝酸アンモニューム水溶液を貯蔵する給液タンク、17は給液タンク16の液を送り出す送液ポンプ、18は送液ポンプ17からの液を加熱する給液加熱ヒータ、19は脱硝装置11の入口と出口のNOX 濃度を分析するNOX 分析計である。
【0013】
ごみ焼却炉10の作動中、給液タンク16中の硝酸アンモニューム水溶液は送液ポンプ17で吸い上げられ、給液加熱ヒータ18で加熱されて気化、分解され、脱硝装置11の上流の煙道13に導入される。導入された硝酸アンモニューム水溶液は180 〜250 ℃の低温条件でも触媒脱硝装置11内で接触還元脱硝反応を促進させる。
【0014】
上記の反応をさらに詳細に説明する。ごみ焼却設備の燃焼排ガス中のNOX は、そのほとんどがNOである。したがって、実際に前述の各反応式に従う脱硝を行ない、例えば反応式(2)による脱硝の脱硝率を向上させるためには排ガス中にNO2 を導入して触媒脱硝反応を生じさせる必要がある。本実施の形態では、この方法を参考にして、硝酸アンモニュームのようなNO、NO2 とは酸化数の異なるN2Oを生成する化合物に着目し、これらの水溶液を気化させながら触媒脱硝装置11の上流の煙道13中に導入し、前述の反応式(2)と類似する以下の反応によって、低温で脱硝率を向上させるものである。
【0015】
まず、NH4NO3(硝酸アンモニューム)は次に示す分解反応を生じ、N2O を生成する。
NH4NO3=N2O+2H2O+10kcal mol-1(at250 ℃)…(4)
この場合、硝酸アンモニュームの0.1 〜10%程度の水溶液を調整しておき、180 〜300 ℃の間、特に250 ℃付近で水溶液を加熱して気化、分解させ、脱硝装置11の上流の煙道13に導入するのが望ましい。
【0016】
発生したN2O は下記の反応式(5)又は(6)により触媒の存在下で脱硝反応を生じる。この反応は、反応熱(−ΔH)、活性化自由エネルギー(ΔG)から、ともに発熱反応であり、反応式(2)、(3)と同様の反応速度をもつ。
2NO+N2O+2NH3→3N2 +3H2O…………(5)
−Δ=214 kcal mol-1(発熱)、ΔG=−222 kcal mol-1
3N2O+2NH3→4N2 +3H2O…………(6)
−Δ=254 kcal mol-1(発熱)、ΔG=−246 kcal mol-1
特に、反応式(5)の反応により脱硝率の向上効果を得ることができる。
【0017】
なお、上記実施の形態の説明では、反応活性剤として硝酸アンモニュームを使用する例を挙げたが、このような硝酸アンモニュームを用いたN2O の生成の他に、例えば、次のような物質の使用も可能である。
(i)硝酸塩・亜硝酸塩の塩化スズ(II)・ナトリウムアマルガムでの還元
(ii)アンモニアの酸化、亜硝酸カリウムの飽和溶液+一酸化窒素の濃水酸化カリウム溶液より生じる硫酸カリウム・酸化二窒素(K2SO42O)を希酸処理する。
(iii)亜硝酸ヒドラジウムの分解(〔N25〕NO2→N2O+NH3+H2
(iv)アジ化水素酸と亜硝酸の反応(HN3+HNO2→N2+N2O+H2
(v)窒素と酸素の混合気体中での放電
又、上記実施の形態では、脱硝処理装置として脱硝装置11を例示して説明したが、これに限ることはなく、脱硝塔方式(ハニカム・板状・粒状脱硝触媒)、脱硝バグフィルタ方式(表面・内部基布担持法、触媒繊維製フィルタ方式、煙道投入法)の使用も可能であり、触媒の成分や形状、使用方法も適宜選択することができる。さらに、硝酸アンモニューム等の反応活性剤は煙道でなく脱硝処理装置内に導入してもよい。
【0018】
【実施例】
図1に示す実施の形態において、硝酸アンモニューム水溶液は、1.6 重量%に希釈されたものを用い、煙道には、煙道NOX 濃度と当量比0 〜1 で導入した。又、給液加熱ヒータ18の温度を300 〜400 ℃に設定して硝酸アンモニューム水溶液を加熱して気化・熱分解させた。排ガス中のNOX 濃度は平均200 ppmで、脱硝装置11内の温度は230 ℃であった。NH4NO3(硝酸アンモニューム)濃度を0 から200 ppmまで変化させながら NH3/(NO+NH4NO3)濃度比が1.2 となるようにNH3 を添加し、脱硝率の測定を行なった。この結果を図2に示す。
【0019】
図2で、横軸には硝酸アンモニューム/NO のモル比、縦軸には脱硝率がとってある。硝酸アンモニュームを添加していないとき(モル比=0 )、入口のNOX 濃度200 ppmに対して、出口のNOX 濃度は86ppmとなり、脱硝率は57%であった。硝酸アンモニュームを NH4NO3/NOモル比0.2 で導入したとき、入口のNOX 濃度は235 ppmに対して出口のNOX 濃度は79ppmとなり、脱硝率は66%となった。この時の脱硝効率が最も大きいことが判った。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、脱硝処理装置の上流煙道又は当該脱硝処理装置内に流体の反応活性剤を導入添加し、排ガス中の窒素化合物と混合接触させるようにしたので、低温条件で効率よく脱硝を行なうことができ、又、複雑な付帯設備は不要で、既設炉への適用も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るごみ焼却炉の排ガス処理方法を説明する系統図である。
【図2】排ガス中のNOに対するNH4NO3のモル比と脱硝率との関係を示す図である。
【図3】従来のごみ焼却炉の排ガス処理の系統図である。
【符号の説明】
10 ごみ焼却炉
11 脱硝装置
12 吸引ブロワー
13、14 煙道
15 ガス冷却器
16 給液ポンプ
17 送液ポンプ
18 給仕液加熱ヒータ
19 NOX 分析計

Claims (2)

  1. ごみ焼却炉から排出される排ガスを脱硝処理装置に導入して排ガス中のNOxの量を低減するごみ焼却炉の排ガス処理方法において、
    前記脱硝処理装置の上流煙道又は当該脱硝処理装置内に硝酸アンモニューム水溶液を気化、分解させて生成されたN を導入添加し、アンモニアなどの還元剤とともに排ガス中の窒素化合物と混合接触させ、低温で脱硝率を向上させる
    ことを特徴とするごみ焼却炉の排ガス処理方法。
  2. ごみ焼却炉から排出される排ガスが流れる煙道と前記煙道からの排ガスが導入される脱硝処理装置とが設けられたごみ焼却炉の排ガスの処理装置において、
    前記煙道又は当該脱硝処理装置内に硝酸アンモニューム水溶液を気化、分解して得られたN Oを供給する装置を設け、
    アンモニアなどの還元剤とともに排ガス中の窒素化合物と混合接触させ、低温で脱硝率を向上させる
    ことを特徴とするごみ焼却炉の排ガスの処理装置。
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