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JP3784183B2 - インクジェット方式用インク受容層付記録シートおよびそのインク受容層形成用塗布液 - Google Patents

インクジェット方式用インク受容層付記録シートおよびそのインク受容層形成用塗布液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、PET、ポリ塩化ビニルなどの樹脂製フィルムシート、紙、鋼板、布等の印刷に用いられるシート上にインク受容層が形成されたインクジェット用受容層付記録シートに関する。さらに詳しくは、印刷に際して、滲みがなく、濃度が一様に、かつ鮮明に印刷することが可能であり、かつ、耐水性、耐候性、耐退色性に優れ、しかも充分な強度を有する印刷物を得ることが可能なインクジェット用受容層付記録シートに関する。
【0002】
また本発明は、前記のインク受容層を形成するためのインク受容層形成用塗布液にも関する。
【0003】
【発明の技術的背景】
インクジェット方式による印刷は、従来の多色印刷やカラー写真方式と同様の画質の印刷が可能であり、高速化、多色化が容易で、かつ印刷枚数の少ない場合に従来の印刷方式に比較して低コストであることなどから、種々の用途に急激に普及している。
【0004】
このようなインクジェット方式による印刷では、基材シート上にポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーをコーティングしてインク受容層を形成した記録用シートに、水性のインクを用いて印刷を行うため、耐水性に劣り、高湿度環境下や水濡れした場合に画質が低下するという問題があった。また使用される記録用シートのインクの吸収性が充分でないため、鮮明で高精度の画像が得られないという問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、基材シート上に、シリカおよびアルミナなどの微粒子を含むインク受容層が形成された記録用シートが提案されている。たとえば、特開昭62−149475号公報には、平均粒子径が1〜50μmのシリカなどの球状粒子を含むインク受容層が形成された記録用シートが記載されている。また、特公平3−24906号公報には、カチオン性水和アルミニウム酸化物含むインク受容層を有する記録媒体が記載されている。特公平4−19037号公報には、カチオン性コロイダルシリカを含む受理層を有する記録媒体が記載されている。特開平4−115984号公報には、基材上に擬ベーマイトアルミナからなる層を設け、さらにその層の上に多孔性シリカからなる層を設けた記録用シートが記載されている。特開平6−55829号公報には、基材上に平均粒子径が2〜50μm、平均細孔直径が8〜50nm、細孔容積が0.8〜2.5cc/gの多孔性シリカ粒子の層を有し、かつその上層にアルミナゾルを乾燥して得られる擬ベーマイト多孔質層を有する記録用シートが記載されている。
【0006】
これらの記録用シートは、ほとんどが染料系インクによる印刷を対象としたものであって、染料系インクは耐候性に劣るため、印刷物が紫外線または酸素、オゾンなどとの接触により変色したり脱色するなどの欠点がある。このような問題は特に屋外において使用される場合に顕著であった。
【0007】
このため、インクジェット印刷方式でも耐候性に優れた顔料系インクが使用されるようになっている。しかしながら、顔料粒子は、通常10〜500nmの粒子径を有する粒子であり、従来のインク受容層はこのような大きな粒子を効果的に吸収できる細孔を持たないため、顔料粒子がインク受容層に吸収されずインク受容層表面に残存してたり、耐水性が不十分であったり、磨耗によって顔料粒子が除かれ色落ちするという問題があった。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、印刷に際して、滲みがなく、濃度が一様に且つ鮮明に印刷できるなど印字特性に優れ、耐水性、耐候性、耐退色性に優れ、しかも充分な強度を有するインクジェット用受容層付記録シートを提供することを目的としている。
【0009】
特にインクジェット方式による高速印刷に好適で、また染料系インクだけでなく顔料系インクにも使用可能であり、大型カラープリンター用白色PET、アート紙等の記録用シート、シート自体に吸収性がなく透明性を必要とする記録用シートなどにも好適に使用できるインクジェット用受容層付記録シートを提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、前記のインク受容層を形成するためのインク受容層形成用塗布液を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係るインクジェット方式用インク受容層付記録シートは、
基材シート上に、シリカ、シリカ・アルミナの複合酸化物、シリカ・アルミナ・マグネシアの複合酸化物からなる酸化物粒子を含むインク受容層が形成されてなり、インク受容層が、3.4〜2000nmの範囲の細孔径を有し、かつ3.4〜30nmの細孔径の細孔容積が . 5〜1 . ml/gであり、30〜2000nmの細孔径の細孔容積が . 2〜1 . ml/gである。
【0012】
前記酸化物粒子の平均粒子径が2〜1000nmの範囲にあり、かつ酸化物粒子が、表面が疎水化された疎水性酸化物粒子と表面が疎水化されていない親水性酸化物粒子との混合物からなる凝集粒子であり、一次粒子の平均粒子径が 2 100nm の範囲にあり、
さらに、酸化物粒子に対して、5〜60重量%の量でバインダーを含む。
【0013】
前記混合物中の疎水性酸化物粒子/親水性酸化物粒子の重量比が0.01〜9の範囲にあることが好ましい。
【0014】
本発明に係る塗布液は、前記した本発明にかかるインクジェット用受容層付記録シートのインク受容層形成用の塗布液であって、
シリカ、シリカ・アルミナの複合酸化物、シリカ・アルミナ・マグネシアの複合酸化物からなる酸化物粒子とバインダーとが、水および/または有機溶媒からなる分散媒に分散され、該酸化物粒子の平均粒子径が2〜1000nmの範囲にあり、
かつ酸化物粒子が、表面が疎水化された疎水性酸化物粒子と表面が疎水化されていない親水性酸化物粒子との混合物であり、かつ疎水性酸化物粒子および親水性酸化物粒子がそ
れぞれ、凝集粒子であり、一次粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にあり、
さらに、酸化物粒子に対して、5〜60重量%の量でバインダーを含む。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るインクジェット用受容層付記録シートについて説明する。
インクジェット用受容層付記録シート
本発明に係るインクジェット用受容層付記録シートは、基材シートと、基材シート上に形成されたインク受容層とからなる。
【0016】
基材シート
まず、本発明に用いられる基材シートについて説明する。本発明に用いられる基材シートとしては、特に限定されないが、PET、ポリ塩化ビニルなどの樹脂製フィルムシート、各種紙、鋼板、布等が用いられる。
【0017】
インク受容層
次に、本発明の受容層について説明する。前記基材シート上に形成されるインク受容層は、酸化物粒子とバインダーとから構成される。
【0018】
酸化物粒子
本発明で使用する酸化物粒子としては、平均粒子径が2〜1000nm、好ましくは5〜500nmの範囲にあるものが好ましい。酸化物粒子の平均粒子径が2nmよりも小さいと、インク受容層の細孔径が30nm以上の細孔を形成できず、顔料系インクの顔料粒子を受容層に吸収する速度が遅くなったり、吸収できないことがある。また、酸化物粒子の平均粒子径が1000nmを越えると、インク受容層の強度が低下したり、透明性が低下し、コントラストが低下したり、滲みが生じるなどの問題がある。このような平均粒子径は、粒子を水に分散して撹拌した後、動的光散乱法(Pacific Scientific社製:Nicomp Model 370)によって測定される。なお、本発明で用いる酸化物粒子の形状は特に限定されるものではないが、特に球状以外の形状であることが好ましい。
【0019】
本発明で使用する酸化物粒子は、通常、受容層形成時に一次粒子に分散しない程度に凝集した凝集粒子(二次粒子)である。このような凝集粒子を構成する一次粒子としては、平均粒子径が2〜100nmの範囲であるものが望ましい。なお、一次粒子の平均粒子径は、BET法によって測定した比表面積から、一次粒子を球と仮定した時の直径として計算して算出される。なお、本発明で使用するこのような凝集粒子の中には、凝集がほぐれて一次粒子化したものが含まれていてもよい。
【0020】
本発明では、酸化物粒子として、表面が疎水化された酸化物粒子(疎水性酸化物粒子)と表面が疎水化されていない酸化物粒子(親水性酸化物粒子)の混合物を使用することが好ましい。このような混合物中の疎水性酸化物粒子/親水性酸化物粒子の重量比が0.01〜9、好ましくは0.02〜5の範囲であることが望ましい。混合比が前記範囲をはずれると、平均粒子径が前記範囲にあっても上記細孔容積および細孔径分布を有するインク受容層が得られないことがある。
【0021】
また、親水性粒子と疎水性粒子を混合して用いると、双方が互いに配位した新たな凝集粒子が形成されると考えられ、このような粒子はバインダーへの分散性に優れるため、インク受容層を形成する際に、不均一な収縮による割れが発生しない。さらに、疎水性粒子が配合されているため、インク受容層に水の吸着あるいは侵入が起こりにくくなり、インク受容層の耐水性が向上する。
【0022】
また、酸化物粒子表面の疎水化方法は特に限定されないが、たとえば上記親水性酸化物粒子を、モノメチルシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのカップリング剤で処理するなどの方法が挙げられる。
【0023】
シリカ粒子あるいはシリカを含有する複合酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する場合、シランカップリング剤の量は、シリカ粒子、あるいはシリカを含有する複合酸化物粒子中のシリカのモル数に対するシランカップリング剤のモル数の比が0.05〜0.9の範囲であることが好ましい。また、シリカ粒子あるいはシリカを含有する複合酸化物粒子以外の酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する場合、酸化物粒子のモル数に対するシランカップリング剤のモル数の比が0.05〜0.5の範囲であることが好ましい。
【0024】
本発明では、このような親水性酸化物粒子として、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛などの酸化物粒子が使用される。このうち、特にシリカ粒子が好ましい。
【0025】
また、酸化物粒子として、シリカ・アルミナ、シリカ・ジルコニア、シリカ・酸化亜鉛、シリカ・マグネシア、シリカ・チタニア、シリカ・アルミナ・マグネシア、粘土鉱物などのシリカを成分として含有する複合酸化物粒子を用いることができる。
【0026】
これらの酸化物粒子は、公知の方法で製造することが可能であり、たとえば金属アルコキシド、金属塩、またはこれらの混合物を熱分解する方法、または加水分解する方法によって得ることができる。得られた酸化物粒子は、必要に応じて粉砕処理されてもよい。
【0027】
バインダー
本発明で使用されるバインダーとしては、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、その他親水性ポリマーなどの有機化合物を使用することができる。さらにこれらを変成して使用することもできる。
【0028】
これらのバインダーは、単独または組み合わせて使用してもよい。
【0029】
バインダーの使用量は、バインダーの種類によっても異なるが、酸化物粒子の5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%であることが好ましい。バインダー量が5重量%未満では、インク受容層と基材シートとの接着力が不足してインク受容層が剥離しやすく、またインク受容層の強度が不十分であり、60重量%を越える場合はインクの受容量が低下したり、耐水性が低下することがある。
【0030】
また本発明に係るインク受容層は、上記酸化物粒子およびバインダーの他に、酸化防止剤、セルロース類などの有機ポリマー、バイオ繊維、無機ポリマー、無機微粒子などを含んでいてもよい。
【0031】
インク受容層形成方法
基材シート上にインク受容層を形成する方法としては公知の方法が採用でき、基材の種類によって好ましい方法を採用すればよい。
【0032】
具体的には、後述するインク受容層形成用塗布液を、スプレー法、ロールコーター法、ブレードコーター法、バーコーター法、カーテンコーター法などで、基材シート上に塗布した後、乾燥することによって形成することができる。
【0033】
また、基材シートはあらかじめプライマー処理して用いてもよい。このようにして形成されたインク受容層は、一般的に3.4〜2000nm の範囲の細孔径を有し、かつ3.4〜30nmの細孔径の細孔容積が0.5〜1.5ml/gであり、30〜2000nmの細孔径の細孔容積が0.2〜1.2ml/gである。
【0034】
インク受容層の3.4〜30nmの細孔径の細孔容積が0.2ml/g未満であると、インクの吸収容量が小さいための滲みが生じ、鮮明で高精度の画像が得られないことがある。またインク受容層の細孔容積が1.8ml/gより大きいと、染料の定着性が低下したり、インク受容層の強度が低くなることがある。
【0035】
また、インク受容層の30〜2000nmの細孔径の細孔容積が0.1ml/g未満であると、顔料系インクを充分吸収することができないために、顔料粒子がインク受容層表面に残存し、磨耗によって剥離し、印刷物が色落ちすることがある。また、インク受容層の細孔容積が、1.5ml/gより大きいと、顔料粒子の定着性が低下したり、印字後顔料粒子の多くがインク受容層の下部(基材表面近傍)に集まるため画像が鮮明さに欠けることがある。
【0036】
基材シート上に形成されるインク受容層の厚さは、シートの厚さ、印刷物の用途、印刷用インクの種類などによって、任意に選定することができるが、通常5〜100μmの範囲にあることが望ましい。インク受容層の厚さが5μm未満では、インクの吸収容量が不足して、滲みが生じたり、また、インクの使用量を減じた場合は色彩が低下することがある。また、インク受容層の厚さが100μmより大きいものは、一回の塗工で得ることが困難であり、複数回の塗工を行うことは経済性の点で問題となるほか、塗工して乾燥する際にひび割れが生じたり剥離することがある。
【0037】
本発明では、基材シート上に形成されたインク受容層の細孔容積は、以下のような水銀圧入法によって測定される。具体的には、作製したインクジェット用受容層付記録シート約0.2〜0.3gを測定セル(0.5cc容積)に挿入し、QUANTA CHROME社製AUTOSCAN-60 POROSIMETERを用いて、水銀接触角を130°とし、水銀表面張力を473dyn/cm2として、測定レンジを「高圧」に設定し、細孔分布を測定する。次いで、測定した細孔分布から3.4〜30nmおよび30〜2000nmの範囲の細孔容積を求め、記録用シート中の受容層の重量から、受容層1gあたりの細孔容積を求める。
【0038】
[インク受容層形成用塗布液]
本発明に係るインク受容層形成用塗布液は、前記した本発明にかかるインクジェット用受容層付記録シートのインク受容層形成用の塗布液であって、
酸化物粒子と、バインダーとが、水および/または有機溶媒とからなる分散媒に分散されている。
【0039】
このような酸化物粒子は、平均粒子径が2〜1000nmであり、好ましくは5〜500nmの範囲にあるものが望ましい。また、本発明で使用される酸化物粒子は、表面が疎水化された疎水性酸化物粒子と表面が疎水化されていない親水性酸化物粒子との混合物である。このような疎水性酸化物粒子および親水性酸化物粒子は、それぞれ凝集粒子であることが好ましい。このような酸化物粒子およびバインダーとしては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0040】
有機溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノール、ブタノールなどを単独または組み合わせて使用することができる。塗布液中の酸化物粒子の濃度は、塗布方法によって適宜選択されるが、好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%の範囲にあることが望ましい。また、バインダー量は、酸化物粒子の5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%であることが好ましい。
【0041】
また本発明に係る塗布液は、インク受容層と基材シートとの接着性を向上させたり、インク受容層の強度、耐候性を向上させたり、またインク受容層の細孔構造を調節することを目的として、酸化防止剤、セルロース類などの有機ポリマー、バイオ繊維、無機ポリマー、無機微粒子などを含有していてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明のインクジェット用受容層付記録シートは、インク受容層が特定の細孔構造を有するため、インクの吸収速度が速く、インク受容層の強度が強く、優れた耐水性、耐候性、耐熱性を有している。また、このようなインクジェット用受容層付記録シートは印刷方式によらず各種のインクを用いて印刷した場合にも印字特性に優れ、鮮明な印刷が可能である。特に、顔料系インクの印刷に好適である。
【0043】
また、このようなインクジェット用受容層付記録シートを用いて得られた印刷物は、耐水性、耐候性に優れている。さらに、本発明のインク受容層形成用塗布液を用いることによって、前記のような優れた特性を有するインク受容層を形成することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0045】
【実施例1】
金属酸化物粒子の調製
SiO2濃度5重量%の水ガラス溶液に、濃度5重量%の硫酸を加えてゲルを生成させ、ゲルを濾過洗浄して固形分濃度10重量%のシリカヒドロゲルのケーキを得た。これを、ブタノールに重量比が1:1となるように混合して撹拌した後、濾過し、200℃で乾燥して親水性シリカ粒子を得た。
【0046】
上記シリカ粒子を固形分濃度が10重量%となるように、水とエタノールの重量比が1:1の混合溶媒に分散させ、これにメチルトリメトキシシランを、シリカ粒子に対し、モル比が0.15となるように加えて処理し、濾過した後、200℃で乾燥して疎水性シリカ粒子を得た。
【0047】
インク受容層形成用塗布液の調製
上記で得た親水性シリカ粒子を固形分濃度15重量%となるように水に分散させた分散液80重量部と、疎水性シリカ粒子を固形分濃度15重量%となるようにイソプロピルアルコールに分散させた分散液20重量部と、濃度10重量%のポリビニルアルコール水溶液37.5重量部とを混合して表1に示す塗布液を調製した。このような塗布液中の酸化物粒子の平均粒子径は160nmであり、酸化物粒子を構成する一次粒子の平均径は7nmであった。
【0048】
記録用シートの作製
次いで、この塗布液をバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥後、140℃で加熱処理して記録用シートを作製した。インク受容層の厚さは30μmであった。また、受容層の細孔容積は、前記した水銀圧入法によって測定した。
【0049】
得られた記録用シートについて、下記のように印刷を施し、評価した。結果を表2に示す。
[印刷]
得られた記録用シートに、顔料インクを用いてインクジェットプリンター(GRAPHTEC社製:masterjet)により2cm四方のべた塗りのパターンWを印刷した。色はマゼンタ、ブラック、シアンおよびイエローを使用し、出力の変更により濃度を変えて印刷した。
[濃度]
濃度はカラー反射濃度計(日本電色工業製:KRD-2200)により測定した。なお、濃度は1.2以上あれば特に問題がなく使用できる。
[滲み]
各印刷ドットの形状を顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
【0050】
完全に円形であり滲みのないもの:○
上記以外のもの :×
[乾燥速度]
顕微鏡観察により、色の異なる2つのドットが重なったものについて色の混合状態を観察し、以下の基準で評価した。
【0051】
色の混合が認められないもの:○
色の混合が認められるもの :×
[耐水性]
印刷片を水に浸漬して顔料の溶出を観察し、以下の基準で評価した。
【0052】
滲みおよび顔料の溶出が認められないもの:○
滲みまたは顔料の溶出が認められるもの:×
[色落ち]
印刷部位を指で擦りあわせ、画質の変化および指への顔料の付着の有無を調べ、以下の基準で評価した。
【0053】
画質変化および顔料の付着のないもの:○
画質変化または顔料の付着のあるもの:×
【0054】
【実施例2】
金属酸化物粒子
親水性複合金属酸化物粒子としてシリカ・アルミナ(韓佛化学社製:チクソレックス427 平均粒子径800nm、一次粒子径45nm)を使用し、上記シリカ・アルミナ粒子を固形分濃度が10重量%となるように、水とエタノールの重量比が1:1の混合溶媒に分散させ、これにメチルトリメトキシシランを、シリカ・アルミナ・マグネシア中のシリカに対するモル比で0.2となるように加えて処理し、濾過した後200℃で乾燥して疎水性シリカ・アルミナ粒子を得た。
【0055】
インク受容層形成用塗布液の調製
上記親水性シリカ・アルミナ粒子を固形分濃度15重量%となるように水に分散させた分散液80重量部と、疎水性シリカ・アルミナ粒子を固形分濃度15重量%となるようにイソプロピルアルコールに分散させた分散液20重量部と、濃度10重量%のポリビニルアルコール水溶液37.5重量部とを混合して表1に示す塗布液を調製した。こうして調製した塗布液中の酸化物粒子の平均粒子径は810nmであり、酸化物粒子を構成する一次粒子の平均径は45nmであった。
【0056】
記録用シートの作製
次いで、この塗布液をバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥後、140℃で加熱処理して記録用シートを得た。インク受容層の厚さは同様に30μmであった。得られた記録用シートについて、実施例1と同様に印刷を施し、評価した。
【0057】
結果を表2に示す。
【0058】
【実施例3】
金属酸化物粒子の調製
SiO2濃度5重量%の水ガラス溶液と濃度5重量%の硫酸アルミニウム水溶液と濃度5重量%の炭酸マグネシウム水溶液を混合してゲルを生成させ、ゲルを濾過洗浄して固形分濃度10重量%のシリカ・アルミナ・マグネシアヒドロゲルのケーキを得た。これを、ブタノールに重量比が1:1となるように混合して撹拌した後、濾過し、200℃で乾燥して親水性シリカ・アルミナ・マグネシア粒子を得た。
【0059】
上記シリカ・アルミナ・マグネシア粒子を固形分濃度が10重量%となるように、水とエタノールの重量比が1:1の混合溶媒に分散させ、これにメチルトリメトキシシランを、シリカ・アルミナ・マグネシア中のシリカに対するモル比で0.5となるように加えて処理し、濾過した後、200℃ で乾燥して疎水性シリカ・アルミナ・マグネシア粒子を得た。
【0060】
インク受容層形成用塗布液の調製
上記で得た親水性シリカ・アルミナ・マグネシア粒子を固形分濃度15重量%となるよ
うに水に分散させた分散液80重量部と、疎水性シリカ・アルミナ・マグネシア粒子を固形分濃度15重量%となるようにイソプロピルアルコールに分散させた分散液20重量部と、濃度10重量%のポリビニルアルコール水溶液37.5重量部とを混合して表1に示す塗布液を調製した。こうして調製した塗布液中の酸化物粒子の平均粒子径は405nmであり、酸化物粒子を構成する一次粒子の平均径は18nmであった。
【0061】
記録用シートの作製
次いで、この塗布液をバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥後、140℃で加熱処理して記録用シートを得た。インク受容層の厚さは30μmであった。得られた記録用シートについて、実施例1と同様に印刷を施し、評価した。
【0062】
結果を表2に示す。
【0063】
【比較例1】
金属酸化物粒子
金属酸化物粒子としてアルミナゾル(触媒化成工業(株)社製:カタロイドAS−3 平均粒子径200nm、一次粒子径9nm)を用いた。
【0064】
インク受容層形成用塗布液の調製
上記アルミナゾルを固形分濃度15重量%となるように水に分散させた分散液100重量部と、濃度10重量%のポリビニルアルコール水溶液37.5重量部を混合して表1に示す塗布液を調製した。
【0065】
記録用シートの作製
次いで、この塗布液をバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥後、140℃で加熱処理して記録用シートを得た。インク受容層の厚さは同様に30μmであった。得られた記録用シートについて、実施例1と同様に印刷を施し、評価した。
【0066】
結果を表2に示す。
【0067】
【比較例2】
金属酸化物粒子
親水性金属酸化物粒子としてシリカゾル(触媒化成工業(株)社製:カタロイド SI−50 平均粒子径25nm)を用いた。
【0068】
インク受容層形成用塗布液の調製
上記シリカゾルを固形分濃度15重量%となるように水に分散させた分散液100重量部と、濃度10重量%のポリビニルアルコール水溶液37.5重量部とを混合して表1に示す塗布液を調製した。
【0069】
記録用シートの作製
次いで、この塗布液をバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥後、140℃で加熱処理して記録用シートを得た。しかし作製したインク受容層にはクラックがみられたため、上記のような評価は実施しなかった。
【0070】
【表1】
Figure 0003784183
【0071】
【表2】
Figure 0003784183

Claims (4)

  1. 基材シート上に、シリカ、シリカ・アルミナの複合酸化物、シリカ・アルミナ・マグネシアの複合酸化物からなる酸化物粒子を含むインク受容層が形成されてなり、インク受容層が、3.4〜2000nmの範囲の細孔径を有し、かつ3.4〜30nmの細孔径の細孔容積が . 5〜1 . ml/gであり、30〜2000nmの細孔径の細孔容積が . 2〜1 . ml/gであり、
    前記酸化物粒子の平均粒子径が2〜1000nmの範囲にあり、かつ酸化物粒子が、表面が疎水化された疎水性酸化物粒子と表面が疎水化されていない親水性酸化物粒子との混合物からなる凝集粒子であり、一次粒子の平均粒子径が 2 100nm の範囲にあり、
    さらに、酸化物粒子に対して、5〜60重量%の量でバインダーを含むことを特徴とするインクジェット方式用インク受容層付記録シート。
  2. 前記混合物中の疎水性酸化物粒子/親水性酸化物粒子の重量比が0.01〜9の範囲に
    あることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット方式用インク受容層付記録シート。
  3. 請求項1に記載のインクジェット用受容層付記録シートのインク受容層形成用の塗布液であって、
    シリカ、シリカ・アルミナの複合酸化物、シリカ・アルミナ・マグネシアの複合酸化物からなる酸化物粒子とバインダーとが、水および/または有機溶媒からなる分散媒に分散され、該酸化物粒子の平均粒子径が2〜1000nmの範囲にあり、
    かつ酸化物粒子が、表面が疎水化された疎水性酸化物粒子と表面が疎水化されていない親水性酸化物粒子との混合物であり、かつ疎水性酸化物粒子および親水性酸化物粒子がそれぞれ、凝集粒子であり、一次粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にあり、
    さらに、酸化物粒子に対して、5〜60重量%の量でバインダーを含むことを特徴とするインク受容層形成用塗布液。
  4. 前記混合物中の疎水性酸化物粒子/親水性酸化物粒子の重量比が、0.01〜9の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載のインク受容層形成用塗布液。
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