JP3778475B2 - テーパー付角パイプ部材の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動2輪車のリヤスイングアーム等に好適なテーパー付角パイプ部材の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動2輪車のリヤスイングアームには、縦長角形断面のテーパーパイプが使用されている。この製法の一例として、特開平2−286488号、同2−286489号に記載されたものがある。これらはいずれも、まず丸パイプの素管を形成し、この素管の周囲にダイスを回転させてつぶし成形する回転式スエージング加工によりテーパー管とし、最後にバルジ加工又は圧縮成形により角形断面にするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例のものは、丸パイプ素管から角パイプを得るまでに、回転式スエージング加工と、その後のバルジ加工又は圧縮成形との計2工程を必要とし、比較的加工工程が多くなるとともに、回転式スエージング加工を採用するため、長さ方向断面内における各壁部は肉厚変化を生じ得るが、横断面すなわち長さ方向と直交する断面内における各壁部は均一の肉厚である。したがって、横断面内における各壁部の肉厚を任意に設定して効率よく断面係数を確保することができない。
【0004】
一方、自動2輪車のリヤスイングアームでは、荷重のかかり方が上下、左右方向では異なるため、パイプ部材の横断面における上下と左右方向ではそれぞれ肉厚を異ならせるような自由な偏肉成形が望まれる。しかし、係る偏肉成形は前記従来の成形方法では不可能である。本願発明は、このような要請の実現を目的とする。なお、パイプ部材の上下左右とは横断面の長手方向を上下方向とし、これと直交する方向を左右方向として表現する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願のテーパー付角パイプ部材の製法に係る第1の発明は、角形断面の角パイプ素管を押し出す第1工程と、この角パイプ素管の少なくとも一部壁面を長さ方向へテーパー状に成形する第2工程よりなり、
前記第1工程では、前記角パイプ素管を構成する上下左右の各壁部のうち、少なくとも一部の壁部の肉厚を他の壁部よりも厚肉の壁部となるように押し出し成形し、
前記第2工程では、前記テーパ成形は、前記角パイプ素管の周囲を囲み、軸直交方向へ移動するように複数に分割されたダイスの内側空間内へ前記角パイプ素管を挿入し、かつこの角パイプ素管の内側へ予めテーパーを付けられた芯型を入れ、前記ダイスを軸直交方向へ移動させる非回転式スウェージングする、ことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明における第1工程において、角パイプ素管を、縦長角形断面で上下左右の各壁部のうち、少なくとも一部の壁面を他の壁部よりも厚肉となる任意の偏肉条件で成形することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、上記第2の発明において、上下の壁部を左右の壁部よりも厚肉にしたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、上記第1の発明において、テーパー成形する面の幅を、これと連続する非テーパー成形面との接続部側端部における幅W1から、他端部における幅W2に向って次第に幅狭になるようにしたことを特徴とする
【0010】
【発明の効果】
第1の発明は、角形断面の角パイプ素管を押し出す第1工程と、この角パイプ素管の少なくとも一部壁面を長さ方向へ非回転式スエージングでテーパー状に成形する第2工程よりなる。
このため、バルジ加工又は圧縮成形工程を削減できるので、成形工数を削減し、コストダウンを図ることができる。さらに、テーパーを非対称にでき、角パイプの角Rも比較的自由に設定できるから、フォークアームの形状の自由度が大きくなり、車体用部材として最適なものとなる。
そのうえ、非回転式スエージングによって角パイプ素管と同じ偏肉条件を維持したまま長さ方向へテーパー成形できる。
【0012】
第2の発明によれば、第1工程において、角パイプ素管を縦長角形断面で、その上下左右の各壁部のうち、少なくとも一部の壁部を予め他の壁部よりも厚肉となる任意の偏肉条件で成形すると、上下左右の各壁部ごとに肉厚を変化させて断面係数を効率よく確保することができる。
【0013】
第3の発明によれば、前記偏肉条件として上下の壁部を左右の壁部よりも厚肉とすれば、荷重のかかり方が上下方向で左右方向よりも大きくなるリヤスイングアームのような車体用パイプ部材に最適なものとすることができる。
【0014】
第4の発明によれば、テーパー成形する面をW1からW2(W1>W2)へと変化させることにより、各面をテーパー状に成形することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、自動2輪車のリヤスイングアームを製造する方法の第1実施例について説明する。図3は、本願発明によって製造されたリヤスイングアームを使用する自動2輪車の外形を示し、前輪1を下端に支持するフロントフォーク2の上端は、メインフレーム3の前端へ支持されている。
【0016】
メインフレーム3の後端部には、ピボット4によりリヤスイングアーム5の前端部が中上下方向へ揺動自在に支持され、リヤスイングアーム5とメインフレーム3側から延びるステー6との間にリヤクッション7が取付けられ、リヤスイングアーム5の後端には後輪8が支持されている。また、メインフレーム3から下方へ延びるエンジンハンガ9によりエンジンEが支持されている。
【0017】
図4はリヤスイングアーム5の平面図、図5は同側面図である。これらに示すように、リヤスイングアーム5は左右一対のフォークアーム部10、これら左右の各前端部を連結するクロスメンバ部11、その前方へ左右対をなして突出する軸受アーム部12、及びその前端部に設けられて左右のメインフレーム間に架け渡されたピボット軸を支持するための軸受13を備える。
【0018】
さらに、フォークアーム部10の後端部には後輪8の車軸を支持するためのエンドピース14が溶接され、かつその前方近傍で片側のフォークアーム部10にはチェーンガイドステー15が溶接で取付けられている。
【0019】
図5に明らかなように、フォークアーム部10は後方へ向って次第に細くなるテーパー状をなし、図6に明らかなように、横断面縦長の角形断面をなしている。
フォークアーム部10はアルミ合金又は鉄等適宜金属材料からなり、その上壁16及び下壁18が、左壁17及び右壁19よりも厚肉となるように偏肉成形されている。
【0020】
このようにすると、フォークアーム部10にとって好ましい断面係数条件に合致できる。すなわち、フォークアーム部10には後輪8から上下方向の大きな荷重が加わるため、特に上壁16及び下壁18の肉厚を厚くすることで効率よく断面係数を大きくすることができる。
【0021】
図1及び図2は、このフォークアーム部10を製造する方法を説明するための図である。図1中Aは第1工程を示し、まず、アルミ合金又は鉄等の適当な金属材料を熱間又は冷間押し出し成形により縦長断面の角パイプ素管20を成形する。
【0022】
横断面において長手方向を上下とした場合、上壁21及び下壁23が左壁22及び右壁24よりも厚肉になるように押し出し型を設定してある。但し、図のように上下と左右でそれぞれ同一肉厚とすることなく、それぞれをさらに肉厚を異ならせることも可能である。すなわち、押し出し成形により自由な偏肉成形ができる。また、当然ながら、長さ方向の断面では肉厚が均一となる。
【0023】
図2は第2工程を示す図であり、第1工程で得られた角パイプ素管20をダイスを回転させない非回転式スエージング加工により、一端側に向かって次第に細く絞る工程を示している。
【0024】
まず、一端側にテーパー部28aが形成された芯型28をダイス29の中心部に形成された成形空間29a内へ挿入する。成形空間29aの上部内壁面はテーパー部28aに対応するテーパー面29bになっている。
【0025】
ダイス29は角パイプ素管20の挿入方向と直交する方向の断面が略正方形をなす。このダイス29は、4分割された加圧ダイス29c乃至29fにより形成され、それぞれは略正方形をなして対角線方向へ移動自在である。
【0026】
ダイス29の外側には、これを円形に囲む回転ハウジング29gが設けられ、その円形壁面の全周には等間隔で複数の加圧ローラ29h(図2は一部のみ表示)が回転自在に取付けられ、モータによる回転ハウジング29gの回転により、各29c乃至29fの外側角部と接触又は非接触するようになっている。
【0027】
そこで、回転ハウジング29gを回転させるとともに、角パイプ素管20をダイス29と芯型28の隙間に挿入していくことにより角パイプ素管20の一端側がテーパーに加工される。これをダイス29から取外せば、テーパー付偏肉角パイプ部材26が得られる。このテーパー付偏肉角パイプ部材26は、横断面において角パイプ素管20と同じ偏肉条件を維持する。なお、軸方向断面では、絞り側が次第に肉厚となるように変化させることも可能である。
【0028】
このようにして得られたテーパー付偏肉角パイプ部材26は、適当な温度で適当な時間時効して強度を得るための熱処理(T6)が行われた後、必要な長さに整えるために後端が切断され、エンドピース14を取付けるためにその後端部に切り込み27を入れ、必要な曲げ加工、先端加工を施した後、クロスメンバ部11、エンドピース14、チェーンガイドステー15等を溶接することによりリヤスイングアーム5が得られる。
【0029】
このように、本方法によれば、任意な偏肉条件でテーパー付角パイプ部材を成形することが可能になる。しかも、この例ではテーパー部25を上壁21のみに形成したので、上壁21と下壁23の形状がテーパー付偏肉角パイプ部材26の長さ方向中心線に対して非対称になる。もちろん長さ方向中心線に対して対称にすることも可能である。
【0030】
したがって、上下左右の各壁部ごとに肉厚を変化させて断面係数を効率よく確保することが可能になり、また形状を非対称にでき、かつ角Rの設定も自由になるから形状の自由度が増し、車体用部材として最適なものとなる。
【0031】
また、このテーパー部25では細くなるに従って、内側角Rを徐々に小さくすることが可能である。小さくすることにより、スエージング時の材料の巻き込み等を押え、良好なフローとなる。これは、外側の角Rを変更しても同様の効果を得ることができる。
【0032】
その上、第1及び第2の計2工程で成形でき、前記従来法のように、バルジ加工又は圧縮成形工程を削減できるので、成形工数を削減し、コストダウンを図ることができる。しかも、本方法によれば、回転式スエージングで円筒をテーパーにし、その後角形状に成形する従来方法では不可能であった、通称、日の字又は目の字状断面であっても中型を分割することでテーパー形状に成形することが可能となる。
【0033】
図7乃至図14において第2実施例を説明する。図7は本実施例製品を適用したオフロード用自動2輪車の側面図、図8はその骨格部側面図、図10はリヤスイングアーム5の動きを図7と反対側(車体右側)から示す図、図11はリヤスイングアーム5の平面図、図12はその側面図である。
【0034】
さらに、図12はテーパー付偏肉角パイプ部材26の側面及び平面形状等を同時に示す図、図13及び図14はテーパー付偏肉角パイプ部材26側面に対する部品の取付構造を示す図である。なお、以下の説明では、第1実施例と共通する構造または機能部分について同一符号を用いる(以下の実施例でも同様)。
【0035】
まず、図7及び図8において、後輪8の車体左側には、後輪車軸30と同心にドリブンスプロケット31が取付けられ、他側である車体右側にはブレーキディスク32が取付けられている。ブレーキディスク32にはブレーキキャリパ33(図8)が摺接し、その上方にはマフラー34が位置する。
【0036】
マフラー34はエンジンEの排気チャンバ35と接続し、シートSを支持するシートレール36及びリヤステイ37へ支持されている。車体右側のフォークアーム部10における後部内方側面にはブラケットホルダ39が取付けられている。
【0037】
図9に示すように、ブレーキキャリパ33はフォークアーム部10のエンドピース14において、ブレーキディスク32と同心的に支持されているキャリパブラケット38の先端部へ取付けられており、キャリパブラケット38の下部はブラケットホルダ39へ支持されている。
【0038】
なお、マフラー34は、フォークアーム部10の上方へ揺動する限界位置(リヤサスペンションのボトム位置、図9中の仮想線)において、ブレーキキャリパ33と干渉しないように配設されている。
【0039】
図10及び図11に明らかなように、このリヤスイングアーム5は、第1実施例とほぼ同様の形状をなすが、図11に示すように、フォークアーム部10の絞り形状が異なっている。すなわち、図12に示すように、フォークアーム部10を構成するテーパー付偏肉角パイプ部材26は、上面側だけを絞ってあり、かつこの上面側は、テーパー部25を挟んで前側40と後側41が、上下方向の高さH1、H2を高低に異ならせる(H1>H2)二段になっている。
【0040】
また、前端部は内側へ向く斜めカット部42をなし、クロスメンバ部11の側面と長い溶接ラインを形成するようになっている。斜めカット部42の側面には前端側から切り込み43が形成され、クロスメンバ部11との溶接時に前端側の開口部をつぶしてクロスメンバ部11と密着するようになっている。前側40は、テーパー部25へ変化する部分で内側へ屈曲され、平面形状が略への字になっている。
【0041】
図12のAはテーパー付偏肉角パイプ部材26の側面図、Bは平面図、Cは後端側から示した図である。このテーパー付偏肉角パイプ部材26は第1実施形態と同様の方法で成形される。このように、テーパー部25により前側40よりも低い後側41を形成する理由は、図9に示したように、ブレーキキャリパ33がマフラー34と干渉せずにフォークアーム部10の揺動量を大きくすること、すなわちリヤサスペンションにおけるストローク量を可能な限り大きくするためである。
【0042】
また、上面側のみを絞ることにより、軸受け13と後輪車軸30の各中心とを結ぶリヤスイングアームの揺動中心線C1とフォークアーム部10の前側40部分における上下方向高さの中間部を通るパイプセンターラインC2とが差Dだけ相違し、パイプセンターラインC2が上方へオフセットされる。
【0043】
これにより、ブレーキキャリパ33が上方へ配置され、その部分だけマフラー34の容量を小さくする必要が生じるところ、本実施形態のように、低くした後側41を設けることによりこの問題を解決している。しかも、ブレーキキャリパ33の支持部はテーパー部25の後方に形成された一様断面を持つ平坦部である後側41になっており、この後側41を設けることでブレーキキャリパ33を効率よく配置できる。
【0044】
さらに、サスペンションリンクLKの位置も地上からより高く配置でき、その結果、グランドクリアランスも大きくなる。このため、大きなグランドクリアランスの確保とリヤサスペンションにおける大きなストローク量の確保を同時に実現できる。
【0045】
図13は、本製法のスエージング時に発生するバリ44の処理を示す。図中のAに示すフォークアーム部10の表面にはフォークアーム部10のパーティング部にバリ44が発生する。そこでBに示すようにこのバリ44と重なるブラケットホルダ39には、Cに拡大して示すように、凹部からなる逃げ部45を形成する。
【0046】
このようにすると、バリ44の処理を不要もしくは簡単にしても、バリ44によりブラケットホルダ39の取付面がフォークアーム部10から浮き上がるような事態を防止できる。したがって、バリ44の処理に要する手間が著減し、成形コストを低くすることができる。 図14は同様の構造をチェーンガイドステー15の取付部に適用したものである。
【0047】
図15乃至図17は第3実施例におけるテーパー付偏肉角パイプ部材26を示し、図15は前端側を手前にした斜視図、図16は図15の16−16線に沿う後端部の断面図、図17は図15の17A−17A線に沿う断面Aと、同17B−17B線に沿う断面Bを併設した図である。
【0048】
図15及び図16に示すように、テーパー付偏肉角パイプ部材26は略目の字形断面の角パイプを用いて非回転型ダイスを用いたスエージングで成形され、略上下にテーパー部25が形成されている。
【0049】
テーパー付偏肉角パイプ部材26の成形に先立って、パイプ素管は中空部内に長さ方向へ平行する上下二段の隔壁50、51が形成され、これにより中空部が上室52、中室53、下室54に区画されている。
【0050】
テーパー付偏肉角パイプ部材26の上下各面の幅は、前端から中央部までが一定(W1)であり、中央部から後端の幅(W2)へかけて徐々に狭くなっている(W1>W2)。
【0051】
肉厚は、前端側の各部で一定(T1)である。然し、中室53の側壁56の肉厚は後方へ向かって徐々に薄くなり、後端側はT2となる。一方、上室52及び下室54の側壁55、57の各肉厚は一定(T1)であるから、図16に明らかなように、後端側では中室53の側壁56のみが薄くなる(T2<T1)。
【0052】
この肉厚変化はテーパー付偏肉角パイプ部材26の成形時に形成される。これはテーパー部25はテーパー形成時に長さ方向へ延びるが、このときテーパーに形成される上室52及び下室54の側壁55、57は高さ方向が短くなるため肉厚を変化させなくとも延び分の肉を確保することができる。しかし、中間の側壁である中室53の側壁56は高さが不変で長さだけが延びるので、肉厚を薄くして延び分の肉を確保する必要があるためである。
【0053】
この側壁56の肉厚変化はテーパー形成時のスエージングにおける中型と外型の間隔により決定されるものであるが、外型の幅を小さくすることにより肉厚を薄くする方が、中型の幅を大きくして肉厚を薄くするよりも成形後の中型の抜けがスムーズになるので望ましい。
【0054】
本実施形態では、隔壁50、51の存在により側壁の肉が移動しにくくなるので、このように肉厚変化させることにより、スエージング加工でテーパー付偏肉角パイプ部材26を成形する際、側壁56の側壁55又は側壁57に対する境界部におけるクラックの発生を防止でき、成形性が向上する。
【0055】
図18乃至図20に基づいて第4実施例を説明する。本形態もこれまでと同様にして成形されたテーパー付偏肉角パイプ部材26を用いてリヤスイングアーム5を構成したものである。但し、本形態のフォークアーム部10は前端側の軸受アーム部12がフォークアーム部10本体部分と一体に形成されている点でこれまでと異なる。
【0056】
すなわち、左右のフォークアーム部10は、それぞれ前部をクロスメンバ部11よりも前方へ延出する軸受アーム部12とし、その先端でピボットパイプ60の両端へ溶接してある。
【0057】
図18及び図19中の符号61はクロスメンバ部11から上方へ突出するステー、62はステー61の上端と左右のエンドピース14間を連結する略U字形の補強パイプである。
【0058】
フォークアーム部10はそのテーパー付偏肉角パイプ部材26を図20にも示すように、前端側をテーパー部25とすることにより軸受アーム部12が形成され、その先端にはピボットパイプ60の外周へ当接するための弧状凹部63が形成されている。
【0059】
テーパー付偏肉角パイプ部材26の後部64側はストレートに形成され、ここにエンドピース14が嵌合後溶接されている。この場合後部64はテーパー付偏肉角パイプ部材26の形成時に中子を出入りするため大きな開口部を有するが、エンドピース14の嵌合部を大型にすることで対処できる。
【0060】
このように、テーパー付偏肉角パイプ部材26は、前後いずれか一方側から中子を出入りするため、他側にテーパー部25を形成することになり、前側を絞れば軸受アーム部12を容易に一体形成できる。
【0061】
図21はテーパー付偏肉角パイプ部材26を日の字形断面に形成した第5実施例を示す。図中のAは平面形状、Bは側面形状、Cは前端形状を示す。このように、中空部内の区画を任意にでき、Cに示す隔壁70に代えてDに示す変化形のように、リブ71にすることもできる。
【0062】
また、隔壁70及びリブ71の位置や数も任意であり、上下に設けることもできる。これは、従来の円筒パイプを回転式スエージングでテーパー化し、さらにこれを角パイプにする成形方法では不可能であり、本願発明により可能になったものである。
【0063】
図22及び図23は、テーパー付偏肉角パイプ部材26の上室80の上側後方部のみにテーパー部25を形成した第6実施例を示す。図22は、その斜視図であり、図23は図22の23矢示方向から見た背面図である。
【0064】
本実施例においても第3実施例と同様に、前端側では上室80の側壁82と下室81の側壁83の肉厚はT1で同じであるのに対し、後端側ではテーパー部25が形成される上室80の側壁82の肉厚T1より、テーパー部25が形成されない下室81の側壁83の肉厚T2の方が薄くなっている。
【0065】
これにより、隔壁84の存在によるスエージング加工でテーパー付偏肉角パイプ部材26を形成する際のクラックの発生を防止することができ、日の字形断面をなし、かつ上下の室を囲む側壁の肉厚が異なるテーパー付偏肉角パイプ部材26を容易に成形できる。なお、その際、外型の幅を小さくすることにより側壁83の肉厚を薄くする方が、成形後の中型の抜けをスムーズにする上で望ましいのは、第3実施形態と同様である。
【0066】
なお、本願発明の適用は、リヤスイングアーム5のみに限定されず、他の車体フレーム各部に適用可能である。例えば、図3において、メインフレーム3、ステー6及びエンジンハンガ9等テーパー付偏肉角パイプ部材を必要とする場所ならばどこでもよい。さらに、第2工程の成型方法としてロール鍛造や内外型を用いた鍛造等の方法を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 角パイプ素管及びテーパー付偏肉角パイプ部材を示す図
【図2】 第2工程を示す図
【図3】 自動2輪車の側面図
【図4】 リヤスイングアームの平面図
【図5】 同側面図
【図6】 図5の6−6線断面図
【図7】 第2実施例におけるオフロード用自動2輪車の側面図
【図8】 その骨格部側面図
【図9】 リヤスイングアームの動きを示す図
【図10】 リヤスイングアームの平面図
【図11】 その側面図
【図12】 そのパイプ部材の側面、平面及び後方視各形状を同時に示す図
【図13】 バリ処理を示す図
【図14】 別部品における図13同様のバリ処理を示す図
【図15】 第3実施例におけるパイプ部材の斜視図
【図16】 図15の16−16線断面図
【図17】 図15の17A−17A及び17B−17B線に沿う各断面図
【図18】 第4実施例に係るリヤスイングアームの平面図
【図19】 その側面図
【図20】 そのパイプ部材の側面及び平面形状を同時に示す図
【図21】 第5実施例におけるパイプ部材を示す図
【図22】 第6実施例におけるパイプ部材の斜視図
【図23】 その背面図
【符号の説明】
3:メインフレーム、5:リヤスイングアーム、10:フォークアーム部、16:上壁、17:左壁、18:下壁、19:右壁、20:角パイプ素管、25:テーパー部、26:テーパー付偏肉角パイプ部材
Claims (4)
- 角形断面の角パイプ素管を押し出す第1工程と、この角パイプ素管の少なくとも一部壁面を長さ方向へテーパー状に成形する第2工程よりなるテーパー付角パイプ部材の製法において、
前記第1工程では、前記角パイプ素管を構成する上下左右の各壁部のうち、少なくとも一部の壁部の肉厚を他の壁部よりも厚肉の壁部となるように押し出し成形し、
前記第2工程では、前記テーパ成形は、前記角パイプ素管の周囲を囲み、軸直交方向へ移動するように複数に分割されたダイスの内側空間内へ前記角パイプ素管を挿入し、かつこの角パイプ素管の内側へ予めテーパーを付けられた芯型を入れ、前記ダイスを軸直交方向へ移動させる非回転式スウェージングする、
ことを特徴とするテーパー付角パイプ部材の製法。 - 前記第1工程において、角パイプ素管を、縦長角形断面で上下左右の各壁部のうち、少なくとも一部の壁面を他の壁部よりも厚肉となる任意の偏肉条件で成形することを特徴とする請求項1記載のテーパー付角パイプ部材の製法。
- 前記上下の壁部を左右の壁部よりも厚肉にしたことを特徴とする請求項2記載のテーパー付角パイプ部材の製法。
- 前記テーパー成形する面の幅を、これと連続する非テーパー成形面との接続部側端部における幅W1から、他端部における幅W2に向って次第に幅狭になるようにしたことを特徴とする請求項1記載のテーパー付角パイプ部材の製法。
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