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JP4557442B2 - 自動2輪車 - Google Patents

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JP4557442B2
JP4557442B2 JP2001024977A JP2001024977A JP4557442B2 JP 4557442 B2 JP4557442 B2 JP 4557442B2 JP 2001024977 A JP2001024977 A JP 2001024977A JP 2001024977 A JP2001024977 A JP 2001024977A JP 4557442 B2 JP4557442 B2 JP 4557442B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異形断面を有する管材から構成されて、前端がヘッドパイプとの接続部とされるメインパイプを備える自動2輪車に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術として、特開平9−254854号公報に開示された車体フレームを備えた自動二輪車が知られている。この車体フレームは、ヘッドパイプと、該ヘッドパイプから後斜め下方に延びる左右1対のアルミニウム製のメインパイプとを備える。押出成形により成形され、縦長の「日」字状の断面形状を有するパイプで構成されるメインパイプは、後方に向かって細くなるように、その後寄りの下面が浅い角度で斜めに切り落とされて、前半部分が断面積が後半部分よりも大きくなるテーパ管状に形成され、切り落とされることによって形成された開口部には、該開口部を塞ぐためのエンジン懸架ブラケット等の車体フレームの構成部材が溶着される。そして、これによって、メインパイプの軽量化と高剛性化との両立を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、メインパイプをテーパ管状にするために、押出成形されたメインパイプの後寄りの部分を切り落とす工程が必要となるため、テーパ管状のメインパイプの生産性およびコスト削減の点で改善の余地があった。
さらに、メインパイプには、切り落とされることで形成された開口部を塞ぐために、車体フレームの構成部材が溶着されるため、メインパイプの後半部分の剛性が大きくなって、メインパイプ全体の剛性が高くなりすぎ、乗り心地性が低下する難点があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、自動2輪車において、押出成形により成形されて、剛性が長手方向に異なる管材から構成されるヘッドパイプを使用することにより、コスト削減を図ると共に、乗り心地性の向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本願の請求項1記載の発明は、管材から構成されて、前端がヘッドパイプとの接続部とされるメインパイプを備える自動2輪車において、前記管材は、管壁と、対向する管壁部を内側空間内で連結する連結壁とが押出成形により一体成形されたものであり、前記メインパイプの、前記接続部を含む前部は、1または2以上の前記連結壁を有する管材部分で構成され、前記メインパイプの後部の少なくとも一部は、前記前部における前記連結壁の数よりも少ない数の前記連結壁を有しているか、もしくは前記連結壁を有していない管材部分で構成される自動2輪車である。
【0006】
この請求項1記載の発明によれば、ヘッドパイプとの接続部を含む前部は、1または2以上の連結壁を有していることから高剛性となり、メインパイプの後部は、前部に成形された連結壁の数よりも少ない数の連結壁を有しているか、もしくは連結壁を有していないことから比較的低剛性となるので、接続部は高剛性となって、作用する荷重やモーメントに対する強度が確保される一方、後部は比較的低い剛性であることにより、弾性力を利用して適度なしなりが生じるようにできるので、自動2輪車の乗り心地性が向上する。
【0007】
また、メインパイプを構成する管材は、必要となる剛性の大きさに応じて連結壁の数が異なる管材部分から構成され、しかもその連結壁は管壁と共に押出成形により一体成形されるので、連結壁の数が異なることにより剛性が長手方向に異なる管材の生産性が向上すると共に、そのコストを削減できて、ひいては自動2輪車のコスト削減ができる。
【0011】
なお、この明細書において、重合するとは、重ね合わせることを意味する。また、管材の「断面」とは、管材の押出方向または長手方向と直交する平面での断面を意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図25を参照して説明する。
図1ないし図10は、本発明の第1実施例を示し、図1は、本発明に係る自動2輪車Vの概略左側面図である。自動2輪車Vには、ヘッドパイプ1に回動自在に支持されたフロントフォーク2の上端にハンドルバー3が設けられ、その下端に前輪4が軸支される。前端部がヘッドパイプ1に接続された左右1対のメインパイプ5は、左右対称に左右方向に拡がりながら車体の後方斜め下方に延びて、その後端部寄りがクロスパイプ(図示されず)により連結される。両メインパイプ5の後端部には、左右1対のピボットプレート6がそれぞれ接続され、両ピボットプレート6に支持されたピボット軸7には、後輪9を軸支したリヤフォーク8が上下方向に揺動自在に支持される。内燃機関10は、その前部が左右1対のエンジンハンガ11を介して支持され、その後部が両ピボットプレート6を介して、両メインパイプ5に支持される。
【0013】
なお、以下の実施例において、「上下、前後、左右」は、車両を基準としたときの「上下、前後、左右」を意味するものとする。
【0014】
各メインパイプ5は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の、図2に図示される押出成形により成形された管材20に、曲げ加工等の諸加工を施して構成される。断面形状が長手方向に変化する管材20は、上下方向で対向する第1管壁部(上管壁部)21aおよび第2管壁部(下管壁部)21bと、左右方向で対向する第3管壁部(第1側管壁部)21cおよび第4管壁部(第2側管壁部)21dからなる管壁21を有し、その管壁21は、長手方向に一定の肉厚を有し上下方向に長いほぼ長方形の閉断面を有する。
【0015】
各メインパイプ5には、フロントフォーク2やピボット軸7等から上下方向の荷重が作用するため、ヘッドパイプ1との接続部5aを有する各メインパイプ5の前部には、前記荷重、該荷重に基づく曲げモーメントおよび捩りモーメントが作用するので、該接続部5aを含むメインパイプ5の前部は高い剛性が必要となる部分である。そのため、管材20の内側空間内には、第3管壁部21cおよび第4管壁部21dを連結する2つの連結壁22,23が、第1管壁部21aおよび第2管壁部21bの間に上下方向の間隔をおいて、補強壁として成形される。
【0016】
それゆえ、各メインパイプ5の前部を構成する管材20の前部は、両連結壁22,23を有する管材部分24であり、該管材部分24では、断面形状が「目」字状とされて、断面において、内側空間が相互に独立した3つの部分空間に区画される。また、各メインパイプ5の後部を構成する管材20の後部は、連結壁22,23が成形されていない管材部分25であり、そこでは、管材20の管壁21により単一の内側空間が形成される。
【0017】
次に、図3ないし図9を参照して、管材20を押出成形する手段について説明する。先ず、図3を参照すると、押出成形装置30は、管材20の素材31(ビレット)であるアルミニウムまたはアルミニウム合金が収容されるコンテナ32、管材押出成形用ダイス33、素材31をコンテナ32から押し出すダミーブロック34、およびラムが発生する力をダミーブロック34に伝達するステム35を備える。そして、管材押出成形用ダイス33は、コンテナ32に対して固定された固定オスダイス36と、固定オスダイス36に重合して固定される固定メスダイス37と、固定メスダイス37に重合すると共に、重合面に沿って摺動自在とされる可動ダイス39とを備え、これらのダイス36,37,39が素材31の押出方向A0に順次配置される。そして、相互に結合されて一体化された固定オスダイス36と固定メスダイス37とが固定ダイス38を構成し、また可動ダイス39は、押出方向A0と交差する方向、この第1実施例では直交方向である設定方向に、固定ダイス38に対して前記重合面に沿って、駆動装置40により移動される。なお、41は、固定オスダイス36に複数個設けられて、後述する開口部50に素材31を導く流路である。
【0018】
図4ないし図9を参照すると、固定メスダイス37には、図9(A)に図示されるように、押出方向A0と直交する直交平面へ前記設定方向を投影したときの方向である第1方向A1(この第1実施例では、設定方向は、押出方向A0と直交する方向であるので、第1方向A1は設定方向と一致する。)に平行な長辺を有するほぼ長方形の断面を有する貫通孔42が形成され、該貫通孔42の周壁面43は押出方向A0と平行に形成される。図4を参照すると、貫通孔42内には、固定オスダイス36に支持部36a,36bを介して一体成形により設けられて、第1方向A1に並んで配置される第1子コア44aと第2子コア44bとから構成される固定コア44が、周壁面43との間に空隙を形成して配置される。周壁面43は、断面において長方形の平行な短辺を形成して第1方向A1で対向する第1周壁面部43aおよび第2周壁面部43bと、平行な長辺を形成して、断面上(すなわち、前記直交平面上)で第1方向A1と直交する第2方向A2で対向する第3周壁面部43cおよび第4周壁面部43dを有する。
【0019】
断面がほぼ正方形で第1方向A1での1対の辺が第1,第2周壁面部43a,43bと平行な第1子コア44aは、第1方向A1で第1周壁面部43aとの間および第2方向A2で第3,第4周壁面部43c,43dとの間に、それぞれ所定幅t1の空隙d1,d3,d4を形成し、断面がほぼ長方形で、第1方向A1での1対の長辺が、第1,第2周壁面部43a,43bと平行で、かつ第1子コア44aの前記1対の辺と等しい長さの第2子コア44bは、第2方向A2で第3,第4周壁面部43c,43dとの間にそれぞれ前記所定幅t1の空隙d5,d6を形成し、第1方向A1で第2周壁面部43bとの間に前記所定幅t1よりも大きな所定幅t2の空隙d2を形成する。さらに、第1,第2子コア44a,44bの間には、第1方向A1で所定幅t1を有し、かつ第2方向A2に所定幅t1で連続して延びて空隙d5,d6に連続するコア間空隙d7が形成される。そして、これら空隙d1〜d7を含んで貫通孔42内に配置される第1,第2子コア44a,44bと周壁面43との間に形成される空隙により固定ダイス孔45が構成される。
【0020】
一方、可動ダイス39は、固定メスダイス37の貫通孔42と同一形状の貫通孔46を有し、該貫通孔46内に配置される可動コア47を構成する第1子コア47aと第2子コア47bとが、図4ないし図8に図示されるように、可動ダイス39の一部から延びて、固定オスダイス36の両支持部36a,36bおよび固定メスダイス37に形成された各支持孔に摺動自在に嵌合して第1方向A1に直線状に延びる棒状の連結部材39aに支持部47a1,47b1を介して一体に固定される。なお、支持部36bおよび第2子コア44bに形成されて、第2子コア44bの端面で開口する空洞36cは、支持部47b1の移動を許容するためのものである。そして、図9(B)を参照すると、貫通孔46内での第1,第2子コア47a,47bの配置は、固定ダイス38のそれを第1方向A1で180度回転させたものに相当し、第1,第2子コア47a,47bと周壁面48を構成する第1,第2,第3,第4周壁面部48a,48b,48c,48dとの間に形成される各空隙d8〜d13、および第1,第2子コア47a,47bとの間に形成されるコア間空隙d14の形態および幅も、固定ダイス38のそれと同様に設定される。そして、これら空隙d8〜d13を含んで貫通孔46内に配置される第1,第2子コア47a,47bと周壁面43との間に形成される空隙により可動ダイス孔49が構成される。
【0021】
そして、図10の(A)に図示されるように、両貫通孔42,46の周壁面43,48が一致する状態で固定ダイス38および可動ダイス39が位置決めされて、固定ダイス38と可動ダイス39とが重合面で重合されたとき、固定コア44と可動コア47との重合部分では両者が面接触し(図4参照)、さらに固定ダイス孔45および可動ダイス孔49の押出方向A0での重なりにより開口部50が形成され、この開口部50が素材31の流出通路を形成する。開口部50は、所定幅t1を有するほぼ長方形の形状であって、管材20の管壁21を形成するための開口部である管壁用開口部51と、管壁用開口部51に第2方向A2での両端で連続すると共に、第1方向A1で所定幅t1を有して第2方向A2に連続して直線状に延び、管材20の内側空間内に形成される中間壁としての連結壁22,23を形成するための開口部である中間壁用開口部52とを有する。
【0022】
具体的には、管壁用開口部51は、第1管壁用開口部51aと、第1管壁用開口部51aと第1方向A1で対向する第2管壁用開口部51bと、第3管壁用開口部51cと、第3管壁用開口部51cと第2方向A2で対向する第4管壁用開口部51dとからなる。一方、中間壁用開口部52は、コア間空隙d7により規定されて第3,第4管壁用開口部51c,51dに連続する第1中間壁用開口部52aと、コア間空隙d14により規定され、第1中間壁用開口部52aに対して平行にかつ第1方向A1で間隔をおいて形成されて第3,第4管壁用開口部51c,51dに連続する第2中間壁用開口部52bとからなる。ここで、両第2子コア44b,47bの、断面における第1方向A1での長さである短辺の長さは、第2子コア47bの第1中間壁用開口部52a側の辺が、第1中間壁用開口部52aとの間に第1方向A1での所定間隔H1を形成するように、また第2子コア44bの第2中間壁用開口部52b側の辺が、第2中間壁用開口部52bとの間に第1方向A1での所定間隔H2を形成するようにそれぞれ設定される。そして、子のだ1実施例では等しい値に設定されるこれら所定間隔H1,H2は、成形される管材20の断面形状が長手方向に変化するとき、管材20の特定の部分に必要とされる剛性の大きさの観点から、連結壁22,23の成形が不要となる部分の、第1方向A1での幅に応じて適宜設定される。
【0023】
次に、図2,図9および図10を参照して、前述の管材押出成形用ダイス33を使用した押出成形装置30により、管材20を成形する方法について説明する。なお、図10において、固定ダイス38および可動ダイス39を異なるハッチングで示し、白抜きで示される部分は開口部50を示し、両ハッチングが重なる部分は、固定ダイス38および可動ダイス39が重合する部分を示す。また、図9および図10においては、空洞36cは省略してある。
【0024】
先ず、図10(A)に図示される状態から、押出速度に対する可動ダイス39の移動速度の速度比を所定速度比に設定し、ラムにより開口部50から素材31を押し出しつつ、駆動装置40が可動ダイス39を重合面に沿って設定方向の一方(図10では上方)に連続的に移動させる。これにより、管壁用開口部51により成形される所定幅t1の肉厚の管壁21と、第1,第2中間壁用開口部52a,52bにより成形される所定幅t1の肉厚の連結壁22,23とを有する管材20が成形される(図2参照)。可動ダイス39の移動量が増加するにつれて、開口部50の形状は図10(B)に図示されるように、両第2子コア44b,47b同士の重なり部分の第1方向A1での幅が増加し、第1方向A1で対向する第1周壁面43aおよび第2周壁面48bの間の幅が減少して、第1方向A1で対向する第1,第2管壁部用開口部51a,51bの間の最大間隔が減少して、管材20の押出方向A0での断面形状が変化する。そのため、図2に図示されるように、管材20の第1方向A1(上下方向)での管壁21の幅および両連結壁22,23の第1方向A1での間隔が徐々に狭くなる一方で、この(A)から(B)に至るまでの可動ダイス39の移動量では、第1,第2中間壁用開口部52a,52bは所定幅t1で開いた状態が維持され、所定幅t1に対応する一定の肉厚を有する連結壁22,23が管材20の長手方向(押出方向A0)に延びて形成される。
【0025】
さらに、前記所定速度比で、素材31が押し出されつつ、可動ダイス39がさらに移動すると、図10(C)に図示されるように、第1中間壁用開口部52aが第2子コア47bにより、また第2中間壁用開口部52bが第2子コア44bによりそれぞれ同時に閉られた状態になり(図4の二点鎖線で示される可動ダイス39の位置参照)、可動ダイス39のそれ以上の移動量では両中間壁用開口部52a,52bの閉状態が維持される。なお、第2子コア47bが第1中間壁用開口部52aを、また第2子コア44bが第2中間壁用開口部52bを閉じ始めた直後から図10(C)に至るまでは、連結壁22,23の肉厚が所定幅t1からゼロになる肉厚変化部が成形される。
【0026】
両中間壁用開口部52a,52bの閉状態開始時点における管材20の第1方向A1での幅、すなわち第1方向A1で対向する管壁21の1対の管壁部である第1管壁部21aと第2管壁部21bとの間の幅は、第2方向A2で対向する管壁21の1対の管壁部である第3管壁部21cと第4管壁部21dとを連結する連結壁22,23による剛性の増加が不要となるときの幅として、管材20の使用箇所に応じて適宜設定される。
【0027】
その結果、図2に図示されるように、第2管壁部21bは、押出方向A0に平行である第1管壁部21aに対して、第1管壁部21aに徐々に近づくように傾斜するテーパ壁となって、管材20は、第2方向A2での幅、すなわち左右方向での管材20の外径が長手方向に等しく、第1方向A1での幅、すなわち上下方向での管材20の外径が、長手方向に押出開始端(前端)20aから押出終了端(後端)20bに向かうにつれて徐々に小さくなるテーパ管となる。しかも、第1方向A1での幅が大きい前部は、2つの連結壁22,23を有する管材部分24であり、後部は連結壁22,23を有していない管材部分25であるため、長手方向において、成形される連結壁の数が異なる管材20となる。
【0028】
次に、前述のように構成された第1実施例の作用および効果について説明する。
自動2輪車Vのヘッドパイプ5との接続部5aを含む前部は、2つの連結壁22,23を有する管材部分24から構成されることから高剛性となり、メインパイプ5の後部は、連結壁を有していない管材部分25から構成されることから比較的低剛性となるので、接続部5aは高剛性となって、作用する荷重やモーメントに対する強度が確保される一方、後部は必要な剛性を確保した上で比較的低い剛性であることにより、弾性力を利用して適度なしなりが生じるようにできるので、自動2輪車Vの乗り心地性が向上する。しかも、管材20がテーパ管であることから、メインパイプ5の後部を構成する管材部分25に比べて外径の大きい管材部分24がメインパイプ5の前部を構成するので、前部での剛性が一層増加する。
【0029】
メインパイプ5を構成する管材20は、必要となる剛性大きさに応じて連結壁の数が異なる管材部分24,25から構成され、しかもその連結壁22,23は管壁21と共に押出成形により一体成形されるので、連結壁の数が異なることにより剛性が長手方向に異なる管材20の生産性が向上すると共に、そのコストを削減できて、ひいては自動2輪車Vのコスト削減ができる。
【0030】
押出成形装置30において、開口部50から素材31を押し出しつつ、固定ダイス38に対して可動ダイス39を設定方向に移動させることにより、管壁21の幅が変化する第1方向A1と直交する第2方向A2で対向する第3管壁部21cおよび第4管壁部21dを連結する連結壁22,23が成形されるため、高剛性の管材20が容易に成形される。
【0031】
連結壁22,23は、管材20の高剛性が必要となる部分のみに成形されるため、連結壁が管材の長手方向の全長に渡って成形されるものに比べて、重量増を抑制できる。
【0032】
両中間壁用開口部52a,52bは、両第2子コア44b,47bによりそれぞれ可動ダイス39の移動量に応じて所定幅t1を維持する開状態と、閉状態を維持する状態にされるため、管材20の幅が第1方向A1に変化する場合、特に管材20の幅が第1方向A1に大きくなる場合にも、連結壁22,23は、管材20の内側空間内で、長手方向に所定幅t1に対応した一定の肉厚を有するものとすることができるので、連結壁22,23を形成したことによる管材20の重量増を抑制できる。
【0033】
次に、図11ないし図13を参照して、本発明の第2実施例を説明する。この第2実施例では、管材は図13に図示される形状の管材60であり、該管材60を製造するための押出成形装置30に関して、第1実施例とは、可動ダイス39の第2子コア47bの第1方向A1での幅のみが相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、同一の符号を使用した。
【0034】
図11に図示されるように、第2実施例において、第2子コア47bの第1方向A1での幅は、固定ダイス38の第2子コア44bの第1方向A1での幅よりも大きく設定される。したがって、図12(A)に図示されるように、両貫通孔42,46の周壁面43,48が一致するように固定ダイス38および可動ダイス39が位置決めされた状態では、第2子コア47bと第1中間壁用開口部52aとの間の第1方向A1での所定間隔H1が、第1実施例に比べて小さくなる。この状態から、開口部50から素材31を押し出しつつ、駆動装置40が可動ダイス39を重合面に沿って設定方向の一方(図12では上方)に連続的に移動させと、管壁用開口部51により成形される所定幅t1の肉厚の管壁61と、両中間壁用開口部52a,52bにより成形される所定幅t1の肉厚の2つの連結壁62,63とを有する管材60が成形される(図13参照)。
【0035】
可動ダイス39の移動量が増加して、図12(B)に図示される状態になると、図13に図示されるように、管材60の第1方向A1での管壁61の幅および両連結壁62,63の第1方向A1での間隔が徐々に狭くなると同時に、両第2子コア44b,47b同士の重なり部分の第1方向A1での幅が増加して、第1中間壁用開口部52aが第2子コア47bにより閉られた状態になり、可動ダイス39のそれ以上の移動量では第1中間壁用開口部52aの閉状態が維持される一方で、第2中間壁用開口部52bは所定幅t1で開いた状態が維持される。そのため、(A)から(B)に至る前の可動ダイス39の移動量では、両中間壁用開口部52a,52bは所定幅t1で開いた状態が維持され、所定幅t1に対応する一定の肉厚を有する連結壁62,63が管材60の長手方向に延びる部分が成形され、第2子コア47bが第2中間壁用開口部52bを閉じ始めた直後から図12(B)に至るまでは、連結壁62の肉厚が所定幅t1からゼロになる肉厚変化部が成形される。
【0036】
さらに、素材31が押し出されつつ、可動ダイス39がさらに移動すると、図12(C)に図示されるように、第2中間壁用開口部52bが第2子コア44bにより閉られた状態になり、可動ダイス39のそれ以上の移動量では第2中間壁用開口部52bの閉状態が維持される。
【0037】
その結果、図13に図示されるように、管材60は、その管壁61が第1実施例と同様のテーパ管となり、しかも第1方向A1での幅が大きい前部での、2つの連結壁62,63を有する管材部分64、およびその後方での1つの連結壁63を有する管材部分65と、後部での連結壁62,63を有していない管材部分66とからなるため、長手方向において成形される連結壁の数が異なる管材となる。なお、両中間壁用開口部52a,52bの閉状態開始時点は、第1実施例と同様に、管材60の特定の部分に必要とされる剛性の大きさの観点から、管材60の使用箇所に応じて適宜設定される。
【0038】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様の作用および効果が奏されるほか、長手方向に異なる長さで延びる連結壁62,63を有する管材60は、2つの連結壁62,63を有する管材部分64、1つの連結壁63を有する管材部分65、連結壁を有していない管材部分66から構成されるので、管材60の剛性の大きさが第1実施例に比べて緩やかに低くなる管材が得られ、メインパイプ5の中央寄り部分での剛性を高めることができる。
【0039】
次に、図14および図15を参照して、本発明の第3実施例を説明する。この第3実施例では、管材は図15に図示される形状の管材70であり、該管材70を製造するための押出成形装置30に関して、第1実施例とは、固定コア44および可動コア47のみが相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1実施例の部材と同一の部材または対応する部材については、同一の符号を使用した。
【0040】
図14に図示されるように、第3実施例において、コア間空隙d7が貫通孔42の第1方向A1でのほぼ中央に位置するように、第1実施例に比べて、固定コア44の第1子コア44aの第1方向A1での幅が大きくされる。一方、可動コア47は、単一のコアから構成される。
【0041】
そして、両貫通孔42,46の周壁面43,48が一致するように固定ダイス38および可動ダイス39が位置決めされた状態では、可動コア47とコア間空隙d7により規定される中間壁用開口部との間に第1方向A1での所定間隔が形成されて、前記中間壁用開口部が所定幅t1で開いた状態にある。この状態から、第1実施例と同様に、開口部から素材31を押し出しつつ、可動ダイス39が重合面に沿って設定方向の一方に連続的に移動させられると、図15に図示されるように、管壁用開口部により成形される所定幅t1の肉厚の管壁71と、中間壁用開口部により成形される所定幅t1の肉厚の連結壁72とを有する管材70が成形される。
【0042】
可動ダイス39の移動量が増加すると、前記中間壁用開口部が可動コア47により閉られた状態になり、可動ダイス39のそれ以上の移動量では前記中間壁用開口部の閉状態が維持される。その結果、図15に図示されるように、管材70は、その管壁71が第1実施例と同様のテーパ管となり、しかも第1方向A1での幅が大きい前部での、1つの連結壁72を有する管材部分73と、後部での連結壁72を有していない管材部分74とからなるため、長手方向において成形される連結壁の数が異なる管材となる。
【0043】
この第3実施例によれば、管材70の前部の剛性の大きさが第1実施例に比べてやや低くなる点を除いて、第1実施例と同様の作用および効果が奏される。
【0044】
次に、図16ないし図22を参照して、本発明に関連する第1参考例を説明する。この第1参考例では、管材は、連結壁を有する前記第1〜第3実施例とは異なり、図16に図示されるように、管材120の外径および管壁121の肉厚が長手方向に異なる管材である。すなわち、管材120において、メインパイプ5の前部を構成する管材120の前部は、管材120の後部に比べて上下方向に幅、すなわち上下方向での外径が大きくされると共に、第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が後部の第1,第2管壁部121a,121bの肉厚よりも大きい管材部分122であり、メインパイプ5の後部は、管材部分122に比べて、上下方向での外径が小さく、第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が小さいテーパ部123である。
【0045】
以下、図17ないし図21を参照して、管材120を押出成形する手段について説明する。なお、第1実施例と同じ部材または対応する部材については説明を省略または簡略にし、同じ符号を付した。先ず、図17を参照すると、押出成形装置30は、管材120の素材31、コンテナ32、管材押出成形用ダイス133、ダミーブロック34およびステム35を備える。そして、管材押出成形用ダイス133は、コンテナ32に対して固定された固定オスダイス136と、固定オスダイス136に重合して固定される固定メスダイス137と、固定メスダイス137に重合すると共に、重合面に沿って摺動自在とされる可動ダイス139とを備え、これらのダイス136,137,139が素材31の押出方向A0に順次配置される。そして、相互に結合されて一体化された固定オスダイス136と固定メスダイス137とが固定ダイス138を構成し、また可動ダイス139は、設定方向に固定ダイス138に対して前記重合面に沿って、駆動装置40により移動される。
【0046】
図18ないし図21を参照すると、固定メスダイス137には、図21に図示されるように、第1方向A1に平行な長辺を有するほぼ長方形の断面を有する貫通孔142が形成され、該貫通孔142の周壁面143は押出方向A0と平行に形成される。図18を参照すると、貫通孔142内には、固定オスダイス136に支持部136aを介して設けられ固定コア144が、周壁面143との間に空隙を形成して配置される。周壁面143は、断面において長方形の平行な短辺を形成して第1方向A1で対向する第1周壁面部143aおよび第2周壁面部143bと、平行な長辺を形成して、第2方向A2で対向する第3周壁面部143cおよび第4周壁面部143dからなる。断面がほぼ長方形で、第1方向A1での1対の短辺が貫通孔42の短辺と平行な固定コア144は、第1方向A1で第1,第2周壁面部143a,143bとの間に所定幅t3の空隙d15,d16を形成し、第2方向A2で第3,第4周壁面部143c,143dとの間に、所定幅t3よりも小さな所定幅t4の空隙d170,d18を形成する。そして、これら空隙d15〜d18を含んで貫通孔142内に配置される固定コア144と周壁面143との間に形成される空隙により固定ダイス孔145が構成される。
【0047】
一方、可動ダイス139は、図21において括弧内の符号で示されるように、固定メスダイス137の貫通孔143と同一形状の貫通孔146を有し、該貫通孔146内に配置される固定コア144と同一形状の可動コア147が、図18ないし図20に図示されるように、可動ダイス139の一部から延びて、固定オスダイス136の支持部136aおよび固定メスダイス137に形成された各支持孔に摺動自在に嵌合して設定方向に直線状に延びる棒状の連結部材139aに支持部147eを介して一体に固定される。
そして、可動コア147の断面形状および貫通孔146内での配置は、固定ダイス138のそれと同様であり、したがって貫通孔146の周壁面148を構成する第1,第2,第3,第4周壁面部148a,148b,148c,148dと可動コア147との間に形成される各空隙d19〜d22の形態および幅も、固定ダイス138のそれと同様に設定される。そして、これら空隙d19〜d22を含んで貫通孔146内に配置される可動コア147と周壁面148との間に形成される空隙により可動ダイス孔149が構成される。
【0048】
そして、図22の(A)に図示されるように、両貫通孔142,146の周壁面143,148が一致する状態で固定ダイス138および可動ダイス139が位置決めされて、固定ダイス138と可動ダイス139とが重合面で重合されたとき、固定コア144と可動コア147との重合部分では両者が面接触し(図18参照)、さらに固定ダイス孔145および可動ダイス孔149の押出方向A0での重なりにより開口部150が形成され、この開口部150が素材31の流出通路を形成する。この開口部150は、固定ダイス孔145および可動ダイス孔149と同様に、所定幅t3および所定幅t4を有するほぼ長方形の形状であって、管材120の管壁121を形成するためのものであり、第1周壁面部143aと可動コア147との間の第1方向A1での空隙により規定される第1管壁用開口部150aと、第2周壁面部148bと固定コア144との間の第1方向A1での空隙により規定され、第1管壁用開口部150aと第1方向A1で対向する第2管壁用開口部150bと、第3管壁用開口部150cと、第3管壁用開口部150cと第2方向A2で対向する第4管壁用開口部150dとからなる。それゆえ、断面において、第1管壁用開口部150aおよび第2管壁用開口部150bが、長方形の第2方向A2と平行な2つの辺を形成し、第3管壁用開口部150cおよび第4管壁用開口部150dが、長方形の第1方向A1と平行な2つの辺を形成する。
【0049】
次に、図16、図21および図22を参照して、前述の管材押出成形用ダイス133を使用した押出成形装置130により、管材120を成形する方法について説明する。なお、図22において、固定ダイス138および可動ダイス139を異なるハッチングで示し、白抜きで示される部分は開口部150を示し、両ハッチングが重なる部分は、固定ダイス138および可動ダイス139が重合する部分を示す。また、図21および図22においては、空洞136bは省略してある。
【0050】
先ず、図22(A)に図示される状態から、押出速度に対する可動ダイス139の移動速度の速度比を所定速度比に設定し、開口部150から素材31を押し出しつつ、駆動装置40が可動ダイス139を重合面に沿って設定方向の一方(図22では上方)に連続的に移動させる。これにより、第1,第2管壁用開口部150a,150bにより、所定幅t3の肉厚の第1,第2管壁部121a,121bが形成され、第3,第4管壁用開口部150c,150dにより、所定幅t3の肉厚の第3,第4管壁部121c,121dが形成される(図16参照)。このとき、第3,第4周壁面部143c,143d,148c,148dにより規定される管材120の第2方向A2での幅は一定に保たれる。
【0051】
可動ダイス139の移動量が増加するにつれて、開口部150の形状は図22(B)に図示されるように、管材120の第1方向A1での外径を規定する固定ダイス138の第1周壁面部143aと可動ダイス139の第2周壁面部148bとの間の第1方向A1での幅が減少する一方で、両コア144,147を合わせたときの第1方向A1での幅、すなわち管材120の第1方向A1での内径を規定する固定コア144の第2端面144bと可動コア147の第1端面147aとの間の第1方向A1での幅が増加し、管材120の押出方向A0での断面形状が変化する。このとき、第1,第2管壁用開口部150a,150bの第1方向A1での幅は、所定幅t3よりも小さく所定幅t4よりも大きい。
【0052】
さらに、前記所定速度比で、素材31が押し出されつつ、可動ダイス39がさらに移動すると、図22(C)に図示されるように、両コア144,147を合わせたときの第1方向A1での幅がさらに増加すると共に、固定ダイス138の第1周壁面部143aと可動ダイス139の第2周壁面部148bとの間の第1方向A1での幅がさらに減少して、第1,第2管壁用開口部150a,150bの第1方向A1での幅が、所定幅t4とほぼ等しくなる。(このときの状態の可動ダイス139の位置が、図18において二点鎖線で示されている。)
その結果、図16に図示されるように、第2管壁部121bは、押出方向A0に平行である第1管壁部121aに対して、第1管壁部121aに徐々に近づくように傾斜するテーパ壁となって、管材120は、第2方向A2での幅、すなわち左右方向での管材120の外径が長手方向に等しく、第1方向A1での幅、すなわち上下方向での管材120の外径が、長手方向に押出開始端(前端)120aから押出終了端(後端)120bに向かうにつれて徐々に小さくなるテーパ管となる。そして、管材120の前部では、第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が第3,第4管壁部121c,121dの肉厚よりも大きく、後方に行くにつれて第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が徐々に減少して後端で第3,第4管壁部121c,121dの肉厚とほぼ等しくなる。それゆえ、管材120の前部は、第1方向A1での幅が後部よりも大きく、かつ第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が、後部の第1,第2管壁部121a,121bの肉厚よりも大きい管材部分122であり、管材120の後部は、管材120がテーパ管であことから管材部分122もテーパ管となっているにしても、第1方向A1での幅および第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が、管材部分122よりも小さいテーパ部123となる。
【0053】
また、管材120の第1方向A1での内径は、押出開始端120aから押出終了端120bに向かうにつれて徐々に大きくなり、断面が直線部を有する長円形状の内側空間の断面積が大きくなる。なお、図22(C)に図示される状態から、可動ダイス139を設定方向の他方(図22では下方)に移動させると、前述したものとは押出開始端および押出終了端が逆となった管材120が得られることは明らかである。
【0054】
次に、前述のように構成された第1参考例の作用および効果について説明する。
自動2輪車Vのヘッドパイプ5との接続部5aを含む前部は、メインパイプ5の、テーパ部123から構成される後部よりも、上下方向(第1方向A1)での外径が大きく、かつ第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が大きい管材部分122から構成されていることから高剛性となり、メインパイプ5の後部は、メインパイプ5の前部よりも外径が小さく、かつ第1,第2管壁部121a,121bの肉厚が小さいことから比較的低剛性となるので、接続部5aは高剛性となって、作用する荷重やモーメントに対する強度が確保される一方、後部は必要な剛性を確保した上で比較的低剛性であることにより、弾性力を利用して適度なしなりが生じるようにできるので、自動2輪車Vの乗り心地性が向上する。
【0055】
また、メインパイプ5を構成する管材120は、必要となる剛性の大きさに応じて外径および管壁121の肉厚が異なる部分から構成され、しかも外径および管壁121の肉厚が長手方向に異なる管材120が押出成形により成形されるので、管壁121の肉厚および外径が異なることにより剛性が長手方向に異なる管材120の生産性が向上すると共に、そのコストを削減できて、ひいては自動2輪車のコスト削減ができる。
【0056】
押出成形装置30において、開口部150から素材31を押し出しつつ、可動ダイス139を設定方向に移動させることにより、第1周壁面部43aと第2周壁面部48bとで規定される管材20の第1方向A1での幅が増加すると共に、第1管壁用開口部50aおよび第2管壁用開口部50bの第1方向A1での幅が増加するので、第1方向A1での幅が長手方向に増加する部分では、第1方向A1で対向する第1,第2管壁部21a,21bの肉厚も増加する一方、第3,第4周壁面部43c,43d,48c,48dにより規定される管材20の第2方向A2での幅は一定である。その結果、第1方向A1での幅が長手方向に増加する前部では、第1方向A1で対向する第1,第2管壁部21a,21bの肉厚が増加することで、高剛性とされて、高い剛性が必要となる一部分のみが高剛性を有すると共に、第2方向A2での幅は一定に保たれることでコンパクト化が可能な管材20が、押出成形により容易に成形される。
【0057】
可動ダイス39の設定方向への移動により、管材20の第1方向A1での幅、すなわち管材20の第1方向A1で外径が増加すると同時に、第1管壁用開口部50aの内側にある可動コア47の第1端面47aと第2管壁用開口部50bの内側にある固定コア44の第2端面44bとの間の第1方向A1での幅、すなわち管材20の第1方向A1での内径が減少するので、管材20の外径の増加と内径の減少により、管材20の外径の増加に対する第1,第2管壁部21a,21bの肉厚の増加の割合を大きくすることができて、第1方向A1への管材20の大型化を抑制したうえで、一部分のみがより高い剛性を有する管材20が得られる。また、管材20の押出終了端20bは、所定幅t4の肉厚で内径が大きくなるので、押出終了端に向かうにつれて管材の第1方向A1での外径のみが減少して所定幅t4の肉厚となるものと比べて、高剛性となる。
【0058】
次に、図23ないし図25を参照して、本発明の第2参考例を説明する。この第2参考例では、管材は図25に図示される形状の管材170であり、該管材170を製造するための押出成形装置30に関して、第1参考例とは、固定ダイス138および可動ダイス139の貫通孔およびコアが相違し、その他は基本的に同一の構成を有するものである。そのため、同一の部分についての説明は省略または簡略にし、異なる点を中心に説明する。なお、第1参考例の部材と同一の部材または対応する部材については、同一の符号を使用した。
【0059】
図23(A)を参照すると、固定メスダイス137に形成される貫通孔152の周壁面153は、断面において、第1方向A1で対向する一端部がほぼ円弧状の第1周壁面部153aと、他端部が第2方向A2と平行な直線状の第2周壁面部153bと、第2方向A2で対向する互いに平行な直線状の第3周壁面部153cおよび第4周壁面部153dからなる。また、固定オスダイス136に支持部136aを介して設けられて、貫通孔152内に周壁面153との間に空隙を形成して配置される固定コア154は、断面において、第1方向A1で第1周壁面部153aと対向する直線状の第1端面154aと、第1方向A1で第2周壁面部153bと対向するほぼ円弧状の第2端面154bと、第2方向A2で対向する互いに平行な直線状の第3端面154cおよび第4端面154dとからなる。そして、第1方向A1で、第1周壁面部153aと第1端面154aとの間および第2周壁面部153bと第2端面154bとの間に、それぞれ第2方向A2で変化する所定幅t5,t6の空隙d23,d24が形成され、第2方向A2で、第3周壁面部153cと第3端面154cとの間および第4周壁面部153dと第4端面154dとの間に、それぞれ第1方向A1で一定の所定幅t7の空隙d25,d26が形成される。そして、これら空隙d23〜d26を含んで貫通孔152内に配置される固定コア54と周壁面153との間に形成される空隙により固定ダイス孔155が構成される。
【0060】
一方、可動ダイス139は、図23(B)を参照すると、固定メスダイス137の貫通孔152および固定コア154を、それぞれ180度反転させた断面形状の貫通孔156および可動コア157を有する。そして、周壁面158を構成する第1,第2,第3,第4周壁面部158a,158b,158c,158dと可動コア157の第1,第2,第3,第4端面157a,157b,157c,157dとの間に形成される各空隙d27〜d30の形態および所定幅t8〜t10も、固定ダイス138のそれと同様に設定される。そして、これら空隙d27〜d30を含んで貫通孔156内に配置される可動コア147と周壁面158との間に形成される空隙により可動ダイス孔159が構成される。
【0061】
そして、図24の(A)に図示されるように、第1方向A1で第1,第2周壁面部153a,158a;153b,158bの端部同士、および第3,第4周壁面部153c,158c;153d,158d同士が一致するように固定ダイス138および可動ダイス139が位置決めされて、固定ダイス138と可動ダイス139とが重合面で重合されたとき、固定コア154と可動コア157との重合部分では両者が面接触し、さらに固定ダイス孔155および可動ダイス孔159の押出方向A0での重なりにより開口部160が形成され、この開口部160が素材31の流出通路を形成する。開口部160は、第1方向A1と平行な2つの直線部を有すると共に所定の幅を有するほぼ長円形の形状であり、第1周壁面153aと可動コア157の第1端面157aとの間の第1方向A1での空隙により規定される第1管壁用開口部160aと、周壁面158bと固定コア154の第2端面154bとの間の第1方向A1での空隙により規定され、第1管壁用開口部160aと第1方向A1で対向する第2管壁用開口部160bとが、ほぼ長円形の弧状部を形成し、第3管壁用開口部160cと、第3管壁用開口部160cと第2方向A2で対向する第4管壁用開口部160dとが、平行な2つの直線部を形成し、それぞれ、第1,第2管壁用開口部160a,160bに、第1方向A1での両端で連続する。
【0062】
次に、図24および図25を参照して、前述の管材押出成形用ダイス133を使用した押出成形装置30により、管材170を成形する方法について説明する。
先ず、図24(A)に図示される状態から、開口部160から素材31を押し出しつつ、駆動装置40が可動ダイス139を重合面に沿って設定方向の一方(図24では上方)に連続的に移動させると、第1,第2管壁用開口部160a,160bとにより、管壁171の、第2方向A2に変化する肉厚の第1,第2管壁部171a,171bが形成され、第3,第4管壁用開口部160c,160dにより、第1方向A1に一定の所定幅t7の肉厚の第3,第4管壁部171c,171dが形成される(図25参照)。このとき、第3,第4周壁面部153a,158a;153b,158bにより規定される管材170の第2方向A2での幅は一定に保たれる。
【0063】
可動ダイス139の移動量が増加するにつれて、開口部160の形状は図24(B)に図示されるように、管材170の第1方向A1での外径を規定する固定ダイス138の第1周壁面部153aと可動ダイス139の第2周壁面部158bとの間の第1方向A1での幅が減少する一方で、両コア154,157を合わせたときの第1方向A1での幅、すなわち管材170の第1方向A1での内径を規定する固定コア154の第2端面154bと可動コア157の第1端面157aとの間の第1方向A1での幅が増加し、管材170の押出方向A0での断面形状が変化する。このとき、第1,第2管壁用開口部160a,160bの第1方向A1での幅は、所定幅t7よりも大きい。
【0064】
さらに、素材31が押し出されつつ、可動ダイス139がさらに移動すると、図24(C)に図示されるように、両コア154,157を合わせたときの第1方向A1での幅がさらに増加すると共に、固定ダイス138の第1周壁面部153aと可動ダイス139の第2周壁面部158bとの間の第1方向A1での幅がさらに減少して、第1,第2管壁用開口部160a,160bの第1方向A1での幅が、所定幅t7とほぼ等しくなる。
【0065】
その結果、図25に図示されるように、押出方向A0に対して平行である第1管壁部171aに対して、第2管壁部171bが徐々に近づくように傾斜するテーパ壁となるため、管材170は、第2方向A2での幅が長手方向に等しく、第1方向A1での幅が、長手方向に押出開始端(前端)170aから押出終了端(後端)170bに向かうにつれて徐々に小さくなる、ほぼ長円形断面のテーパ管となる。そして、第1方向A1での幅が後部よりも大きい前部は、第1,第2管壁部171a,171bの肉厚が第3,第4管壁部171c,171dの肉厚よりも大きく、後方に行くにつれて第1,第2管壁部171a,171bの肉厚が徐々に減少して後端で第3,第4管壁部171c,171dの肉厚とほぼ等しくなる。それゆえ、管材170の前部は、第1方向A1での幅が後部よりも大きく、かつ第1,第2管壁部171a,171bの肉厚が、後部での第1,第2管壁部171a,171bの肉厚よりも大きい管材部分172であり、管材170の後部は、第1方向A1での幅および第1,第2管壁部171a,171bの肉厚が、管材部分172よりも小さいテーパ部173となる。
そして、この第2参考例によれば、第1参考例と同様の作用および効果が奏される。
【0066】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記第1〜第3実施例において、固定ダイス孔45および可動ダイス孔49のうち、少なくとも一方のダイス孔に3以上の子コアを配置することにより、3つ以上の連結壁を有する管材とすることもできる。また、管材押出成形用ダイスが複数のコア間空隙を有する場合は、そのうちの1つがコアにより閉状態にされることがないようにすることもできる。
【0067】
前記第1〜第3実施例では、中間壁は第2方向A2で対向する1対の管壁部を連結する連結壁であったが、固定コア44の複数の子コア同士、そして可動コア47の複数の子コア同士を、それぞれ第2方向A2での中間位置で接続することにより、中間壁が、前記1対の管壁部を連結することなく、該1対の管壁部の中間部分において第2方向A2で分離され、その部分に長手方向に延びる空隙を形成するものであってもよい。
【0068】
前記各実施例では、固定ダイス38はコンテナ32に対して固定されていたが、固定ダイスをコンテナ32に対して移動自在に構成して、両ダイスを可動ダイスとすることにより、両ダイスを駆動装置によりそれぞれ反対方向に移動させて、管材の、第1方向A1で対向する管壁部が長手方向に傾斜するテーパ壁となるようにすることもできる。
【0069】
前記各実施例では、管材の第1方向A1での幅が、押出開始端から長手方向に連続的に単調に減少するものであったが、長手方向に増減するものであってもよい。また、素材31が押し出されている途中で前記速度比を変更することにより、テーパ部の傾斜角度が異なる部分を有する管材を成形できるうえ、連結壁の長手方向での長さも調整できる。さらに、速度比をゼロとして、一定断面を有する部分を成形することもでき、このようにすることで、例えば管材の前部に一定断面の管材部分を成形し、管材の後部に、長手方向に後端に向かって、該管材部分から第1方向A1での幅(外径)が徐々に小さくなると共に、管壁の肉厚も徐々に減少するテーパ壁を有するテーパ部を成形することもできる。
【0070】
前記設定方向は、押出方向A0と直交する方向とされたが、押出方向A0と直交しない平面状にある方向であってもよい。また、固定ダイス孔と可動ダイス孔の第1方向A1での幅は等しくなくてもよい。
【0071】
第1参考例では、固定コア144および可動コア147は同一形状であったが、両コア144,147のいずれか一方、例えば固定コア144の第1方向A1での幅を小さくした(図22(A)での二点鎖線B1で示される)とき、また、両貫通孔143,148のいずれか一方、例えば可動ダイス139の貫通孔148の第1方向A1での幅を大きくした(図22(A)での二点鎖線B2で示される)とき等、両貫通孔143,148および両コア144,147のうちの少なくとも1つの第1方向A1での幅を適宜設定することにより、図24(A)の状態から可動コア147が移動したとき、移動量が小さいときは、第1管壁用開口部150aのみの第1方向A1での幅が減少し、その後可動コア147がさらに移動したとき、第2管壁用開口部150bの第1方向A1での幅が減少し始めるようにすることもできる。
【0072】
前記両参考例では、第1,第2管壁用開口部150a,150b;160a,160bの第1方向A1での幅は等しく設定されたが、異なるように設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、管材により構成されるメインパイプを備えた自動2輪車の概略左側面図である。
【図2】図1のメインパイプを構成する管材の斜視図である。
【図3】図2の管材を成形する押出成形装置の要部断面図である。
【図4】図3の押出成形装置の管材押出成型用ダイスの要部拡大断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図4のVII−VII線断面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線断面図である。
【図9】(A)は、固定ダイスにおける固定ダイス孔および固定コアの位置関係を、(B)は、可動ダイスにおける可動ダイス孔および可動コアの位置関係を、それぞれ説明する平面図である。
【図10】固定ダイスと可動ダイスとを重合して、可動ダイスを移動させたときの固定ダイスおよび可動ダイスの位置関係を説明する平面図である。
【図11】本発明の第2実施例を示し、第1実施例の図9に対応する図である。
【図12】第2実施例の、第1実施例の図10に対応する図である。
【図13】第2実施例における管材の斜視図である。
【図14】本発明の第3実施例を示し、第1実施例の図9に対応する図である。
【図15】第3実施例における管材の斜視図である。
【図16】 本発明に関連する第1参考例における管材の斜視図である。
【図17】図16の管材を成形する押出成形装置の要部断面図である。
【図18】図17の押出成形装置の管材押出成型用ダイスの要部拡大断面図である。
【図19】図17のIXX−IXX線断面図である。
【図20】図17のXX−XX線断面図である。
【図21】図18の固定ダイスにおける固定ダイス孔および固定コアの位置関係と、可動ダイスにおける可動ダイス孔および可動コアの位置関係とを、それぞれ説明する平面図である。
【図22】固定ダイスと可動ダイスとを重合して、可動ダイスを移動させたときの固定ダイスおよび可動ダイスの位置関係を説明する平面図である。
【図23】 本発明に関連する第2参考例を示し、(A)は、固定ダイスにおける固定ダイス孔および固定コアの位置関係を、(B)は、可動ダイスにおける可動ダイス孔および可動コアの位置関係を、それぞれ説明する平面図である。
【図24】 第2参考例の、第1参考例の図22に対応する図である。
【図25】 第2参考例における管材の斜視図である。
【符号の説明】
1…ヘッドパイプ、2…フロントフォーク、3…ハンドルバー、4…前輪、5…メインパイプ、6…ピボットプレート、7…ピボット軸、8…リヤフォーク、9…後輪、10…内燃機関、11…エンジンハンガ、
20…管材、21…管壁、21a〜21d…管壁部、22,23…連結壁、24,25…管材部分、
30…押出成形装置、31…素材、32…コンテナ、33…管材押出成形用ダイス、34…ミーブロック、35…ステム、36…固定オスダイス、37…固定メスダイス、38…固定ダイス、39…可動ダイス、40…駆動装置、41…流路、42…貫通孔、43…周壁面、43a〜43d…周壁面部、44…固定コア、45…固定ダイス孔、46…貫通孔、47…可動コア、48…周壁面、49…可動ダイス孔、50…開口部、51…管壁用開口部、52…中間壁用開口部、
60…管材、61…管壁、62,63…連結壁、64,65,66…管材部分
70…管材、71…管壁、72…連結壁、73,74…管材部分、
120…管材、121…管壁、122…管材部分、123…テーパ部、
133…管材押出成形用ダイス、136…固定オスダイス、137…固定メスダイス、138…固定ダイス、139…可動ダイス、142…貫通孔、143…周壁面、143a〜143d…周壁面部、144…固定コア、145…固定ダイス孔、146…貫通孔、147…可動コア、148…周壁面、149…可動ダイス孔、150…開口部、150a〜150d…管壁用開口部、
152…貫通孔、153…周壁面、154…固定コア、155…固定ダイス孔、156…貫通孔、157…可動コア、158…周壁面、159…可動ダイス孔、160…開口部、
170…管材、171…管壁、172…管材部分、173…テーパ部、
V…自動2輪車、A0…押出方向、A1…第1方向、A2…第2方向、d15〜d30…空隙。

Claims (1)

  1. 管材から構成されて、前端がヘッドパイプとの接続部とされるメインパイプを備える自動2輪車において、
    前記管材は、管壁と、対向する管壁部を内側空間内で連結する連結壁とが押出成形により一体成形されたものであり、前記メインパイプの、前記接続部を含む前部は、1または2以上の前記連結壁を有する管材部分で構成され、前記メインパイプの後部の少なくとも一部は、前記前部における前記連結壁の数よりも少ない数の前記連結壁を有しているか、もしくは前記連結壁を有していない管材部分で構成されることを特徴とする自動2輪車。
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