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JP3770753B2 - 受信信号の復調方法及び無線通信装置 - Google Patents

受信信号の復調方法及び無線通信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号拡散(スペクトル拡散)方式の通信システムに関し、更に詳しくは、符号拡散されたQPSK変調受信信号の復調方法、およびこれを利用した無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、米国、香港、韓国などでは、スペクトル拡散方式を適用したセルラ移動通信システム(IS−95)が実用化されている。この分野では、例えば、初期同期捕捉の高速化、RAKE受信用パス検索等の柔軟性などの利点から、デジタルマッチドフィルタ(以下、マッチドフィルタ:MFと言う)のスペクトル拡散受信機への適用が有望となっている。しかしながら、マッチドフィルタを使用したスペクトル拡散受信機を広く普及させるためには、同期捕捉回路部における消費電力の低減、回路規模の縮小、LSI価格の一層の低減が必要となる。
【0003】
スペクトル拡散通信において、送信信号をQPSK(Quadrature Phase Sift Keying)変調した場合、各受信機は、QPSK信号の復調機能をもった逆拡散器を備える必要がある。QPSK変調受信信号のI成分(I:In phase)をDi、Q成分(Q:Quadrature phase)をDq、逆拡散器で使用されるI成分の拡散符号(チップ列)をCi、Q成分の拡散符号をCqとした場合、元の信号を復調するためには、演算式
Si+jSq=(Di+jDq)(Ci−jCq)
における実数部Siと虚数部Sqに着目して、逆拡散された信号間に次式で表される演算を施せば良い。
実数部: Si=DiCi+DqCq ....(数1)
虚数部: Sq=DqCi−DiCq ....(数2)
すなわち、スペクトル拡散QPSK信号は、受信信号Di、Dqと拡散符号Ci、Cqとの乗算結果に上記演算式(数1)、(数2)を満足する加算と減算を施す逆拡散器によって復調できる。
【0004】
図8〜図10は、マッチドフィルタを使用してスペクトル拡散QPSK信号を復調する従来の逆拡散器の回路構成の1例を示す。
逆拡散器は、マッチドフィルタ部61と、QPSK復調部62と、累算部63とから構成される。上記マッチドフィルタ部61は、受信信号Di(t)またはDq(t)と拡散符号Ci(t)またはCq(t)がそれぞれ異なった組み合わせで時系列的に入力される4個の受信信号シフト型マッチドフィルタ610(610a〜610d)からなる。また、QPSK復調部62は、上記(数1)の演算を行う加算器621と、(数2)の演算を行う減算用の加算器622とからなり、累算部63は、それぞれ上記加算器621、622の出力を所定のシンボル期間にわたって累算する2つの累算レジスタ630a、630bからなる。
【0005】
マッチドフィルタ610aから出力される相関値DiCiと、マッチドフィルタ610dから出力される相関値DqCqを加算器621で加算し、加算出力を累算レジスタ630aで数シンボル期間にわたって累算することによって、(数1)で示されるI成分の復調出力Si(t)(=DiCi+DqCq)が得られる。また、マッチドフィルタ610bから出力される相関値DqCiから、マッチドフィルタ610cから出力される相関値DiCqを加算器622で減算(符号反転後に加算)し、累算レジスタ630bで数シンボル期間にわたって累算することによって、Q成分の復調出力Sq(t)(=DqCi−DiCq)が得られる。
【0006】
図9は、一方の入力端子に拡散符号のチップレートの4倍のレートでオーバーサンプリングされた符号付き4ビット幅の受信信号Rx(t)が供給され、他方の入力端子に1ビット幅の逆拡散符号PN(t)がチップレートで供給される受信信号シフト型マッチドフィルタ610の構成を示す。
上記マッチドフィルタ610は、受信信号Rx(t)を順次にシフトし、チップ位置と対応する16本のタップTap0〜Tap15から受信信号をサンプリングレートで並列的に出力する入力レジスタ部611と、拡散符号PN(t)を保持し、各チップの係数を16本のタップから並列的に出力する係数レジスタ部613と、上記入力レジスタ611と係数レジスタ613の出力を各タップ毎に乗算するための16個の乗算器を有する乗算部612と、上記各乗算器の出力を全加算して相関値Corr(t)として出力する加算部614とから構成される。
【0007】
上記係数レジスタ613は、拡散符号PN(t)を順次にシフトする16段のシフトレジスタと、該シフトレジスタの各段からロード信号Wcのタイミングでチップ係数をラッチするチップレジスタC0〜C15とからなる。尚、上記係数レジスタ613の記号Tで示すブロックは、拡散符号PN(t)がチップレートでシフトされることを意味し、入力レジスタ部611の記号4Dで示すブロックは、受信信号Rx(t)がサンプリングレート、すなわち、チップレートの4倍の速度でシフトされることを意味している。
逆拡散符号PN(t)は、上記係数レジスタ部613のチップレジスタC0〜C15に保持された拡散符号の各チップ係数毎に、入力レジスタ611の各タップからサンプリングレートで出力される受信信号と乗算される。この時、受信信号Rx(t)が4ビット幅であれば、16タップ分の加算を行う加算部614の出力Corr(t)は8ビット幅となる。尚、受信信号Rx(t)の拡散比Gpがタップ数16に等しい場合、上記チップレジスタC0〜C15に保持された同一のチップ列でもって、数シンボル期間の入力信号を繰り返して逆拡散する。拡散比Gpがタップ数16を超えている場合は、16チップ期間毎にロード信号Wcを発生し、チップレジスタC0〜C15に保持される係数値を周期的に更新する。
【0008】
図10は、累算部630aの構成を示す。他方の累算レジスタ部630bもこと同じ構成となっている。
累算レジスタ部630aは、16段のシフトレジスタ6302aと、上記シフトレジスタ6302aの出力信号と入力信号とを累算するための加算器6301aとから構成される。上記シフトレジスタ6302aの各段は、記号4Dで示すように、それぞれ4段のシフトレジスタからなり、チップレートの4倍の速度で入力信号をシフト動作する。上記シフトレジスタの各段は、累算動作の開始時点で初期値0にリセットされる。
上記累算レジスタ部630aは、QPSK復調部62の出力信号を所定のシンボル期間にわたって累算し、その結果を出力端子OUTに出力する。すなわち、マッチドフィルタ610のタップ数と同じシフト段数(この例では、タップ数の4倍の段数)を持つシフトレジスタ6302aによって加算器6301aの出力信号を順次に蓄積しておき、入力信号INと上記シフトレジスタの最終段の出力との加算を繰り返すことによって、各チップ区間毎(この例ではオーバーサンプル区間毎)に、QPSK信号の復調結果を累積できるように構成されている。
【0009】
上述したマッチドフィルタ610では、入力レジスタ611のタップTap0〜Tap15から出力されるチップパターンと係数レジスタ613か出力される拡散符号(C0〜C15)のチップパターンとが一致したタイミングで、相関値Corr(t)が最大となり、その他のタイミングでは、相関値Corr(t)が0または小さな値となる。この相関値の変化はシンボル周期で繰り返され、QPSK復調部62の出力信号も上記相関値と同様の変化を繰り返すため、上記累算レジスタ630aの各段には、各チップ区間毎の相関値Corr(t)が複数シンボル期間にわたって累積される。
【0010】
従って、上記累算レジスタ630aからは、受信信号の位相が拡散符号のチップパターンに一致したチップ区間でピーク値を示す周期性のある出力信号OUTが得られるため、上記ピーク値を検出したタイミングで逆拡散符号の移相を開始することによって、同期捕捉を達成できる。尚、累算レジスタ630aの入力信号INを9ビット幅とし、相関値を4シンボル期間にわたって累算したとすると、累算レジスタの出力OUTは11ビット幅となる。
然るに、上述した受信信号シフト型マッチドフィルタ610を使用する逆拡散器は、マッチドフィルタのタップ(Tap0〜Tap15)と同数のシフト段数をもつ累算レジスタ630a、630bをマッチドフィルタの外部に備える必要がある。
【0011】
図11は、本願と同一の出願人が特願平9−205774号で出願した巡回累算型マッチドフィルタを用いた逆拡散器を示す。
この逆拡散器は、マッチドフィルタ部91とQPSK復調部92とからなり、QPSK復調部92の後に累算部を接続する必要がない。マッチドフィルタ部91は、それぞれ内部に累算器を備える4個の巡回累算型マッチドフィルタ910(910a〜910d)からなっており、これらのマッチドフィルタから出力される相関値DiCi、DqCq、DqCiおよびDiCqをQPSK復調部92の加算器921と922で加減算処理することによって、(数1)で示されるI成分の復調信号Si(t)(=DiCi+DqCq)と、(数2)で示されるQ成分の復調信号Sq(t)(=DqCi−DiCq)を得ている。
【0012】
図12は、上記巡回累算型マッチドフィルタ910の基本的な構成を示す。
巡回累算型マッチドフィルタ910は、乗算部101と、拡散符号用係数レジスタ部102と、巡回累算部103とから構成される。以下の動作説明では、逆拡散器が拡散比Gp=64のスペクトル拡散通信に適用され、上記乗算部101には、受信信号Rx(t)がチップレートのk(k=4)倍のサンプリングレートで入力されるものと仮定する。
上記受信信号Rx(t)は、乗算部101において、係数レジスタ部102が保持するmチップの拡散符号PN(t)と個別に乗算される。これらの乗算結果は、乗算部101のm個のタップから並列的に出力され、巡回累算部103で巡回的に累算される。上記巡回累算部103で乗算結果がGp/m=4巡回した時点で、1シンボル分の相関値Corr(t)が得られる。
【0013】
上記係数レジスタ部102は、ラッチ信号Lcj(j=0〜15)によって制御されるm段(m=16)の係数レジスタC0〜C15からなる。これらの係数レジスタには、ラッチ信号Lc0〜Lc15を順次に与えることにより、拡散符号PN(t)のチップ係数を1チップずつ順次に設定する。すなわち、j番目の係数レジスタCj(j=0〜15)は、ラッチ信号Lcjの入力タイミングで拡散符号PN(t)のチップ係数を取り込み、次のラッチ信号Lcjを受ける迄、上記チップ係数の値を保持する。係数レジスタCjは、m×k=64動作クロック(オーバーサンプリング・クロック)毎に次のラッチ信号Lcjを受ける。
【0014】
上記乗算部101は、上記各係数レジスタC0〜C15に設定された拡散符号PN(t)の値、すなわち、各チップの係数値と受信信号Rx(t)とを乗算するためのm個(m=16)の乗算器MPY0〜MPY15を有し、各乗算器の演算結果は、m本(m=16)のタップ出力Tap0(t)〜Tap15(t)として巡回累算部103に供給される。
上記巡回累算部103は、上記各タップ出力Tap0(t)〜Tap15(t)と対応したm個(m=16)のサブ累算レジスタ1300〜1315と加算器ADD0〜ADD15を有し、これらの累算レジスタと加算器は、上記タップ出力を巡回的に累算するために環状に接続されている。また、逆拡散復調結果を示す相関値Corr(t)を所定のタイミングで外部に出力するために、最終段のサブ累算レジスタ1315にはスイッチ回路133が接続されている。
【0015】
上記巡回累算部103において、各加算器ADDj(j=0〜15)は、乗算部101からチップレートの4倍の頻度で供給されるタップ出力Tapj(j=0〜15)と、それぞれの前段に位置するサブ累算レジスタ13j−1(j=00〜15)から出力される累算結果Accj'(t)とを加算し、加算結果Accj(t)をそれに付随するサブ累算レジスタ10jに入力している。従って、初段の加算器ADD0からは、Acc0(t)=Tap0(t)+Acc15'(t)が出力され、2番目の加算器ADD1からは、Acc1(t)=Tap1(t)+Acc0'(t)が出力される。以下、同様にして、加算器ADD2〜ADD15は、加算結果Acc2(t)〜Acc15(t)を出力し、それぞれに付随するサブ累算レジスタに入力する。
【0016】
各サブ累算レジスタ13j(j=00〜15)は、サンプリング係数kに等しい段数の縦列接続シフトレジスタ132からなる。この例では、受信信号がチップレートの4倍のレートでオーバーサンプリングされているため、累算結果Accj(t)は、各サブ累算レジスタ13jで4動作クロック時間だけ遅延され、Accj'(t)(j=0〜15)として出力される。従って、Accj'(t)=Accj(t−4)の関係にあり、t=0で受信された信号Rx(0)に対してPN(0)で逆拡散復調処理を開始した信号は、m個(m=16)のサブ累算レジスタ1300〜1315をGp/m=4回、巡回的に通過し、この間に累算処理が繰り返される。この場合、受信信号Rx(t)が4ビット幅であれば、16タップ分の加算と4回の繰り返し累算によって、相関値Corr(t)は10ビット幅となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例によれば、図8に示した受信信号シフト型マッチドフィルタを使用する逆拡散器の場合、各マッチドフィルタ610からタップ出力の完全和が出力された後に累算を行うようにしているため、累算部63の手前でQPSK合成することによって、累算器630の必要個数を2個で済ませることができた。しかしながら、各マッチドフィルタ610には、受信信号Rx(t)をシフトするためのシフトレジスタ611が必要であり、マッチドフィルタ部の回路規模が大きくなると言う問題があった。
一方、図11に示した巡回累算型マッチドフィルタ910を用いる逆拡散器の場合、各巡回累算型マッチドフィルタの内部に累算部が形成されているため、QPSK変調用の逆拡散器を構成するためには、結果的に4個の累算器が必要となり、全体として回路規模が増大するという問題があった。
【0018】
本発明の目的は、逆拡散器の回路規模を小型化できる符号拡散QPSK変調信号の復調方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、回路規模の小型化と消費電力の低減が可能な符号拡散QPSK変調方式の無線通信装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、拡散符号の各チップ毎にQPSKの復調(合成)演算を行い、複数のチップで並列的に生成されたQPSK復調結果をチップシーケンスに沿って巡回的に累算することによって、受信信号と拡散符号との相関信号を得るようにしたことを特徴とする。
【0020】
すなわち、本発明のQPSK変調信号の復調方法および無線通信装置では、時系列的に入力される符号拡散QPSK変調信号のI成分受信信号Di(t)とQ成分受信信号Dq(t)をI成分拡散符号CiとQ成分拡散符号Cqでチップ毎に逆拡散することによって、それぞれ受信信号と拡散符号との異なる組み合わせに対応した複数系列の逆拡散結果を上記各チップ毎に生成し、上記複数系列の逆拡散結果を所定の組み合わせで演算することによって、QPSK変調信号のI成分とQ成分の復調値を上記各チップ毎に生成し、上記I成分およびQ成分のチップ毎の復調値をそれぞれの拡散符号のチップシーケンスに従って巡回的に累算することを特徴とする。
【0021】
更に詳述すると、本発明のQPSK変調信号の復調方法は、
(a)QPSK変調信号のI成分拡散符号Ciの少なくとも一部のチップ列と、Q成分拡散符号Cqの少なくとも一部のチップ列とを保持しておき、上記保持された各チップ列と、それぞれ時系列的に入力される符号拡散QPSK変調信号のI成分受信信号Di(t)およびQ成分受信信号Dq(t)を演算し、上記拡散符号のチップ毎に、乗算結果DqCi(t)、DiCi(t)、DqCq(t)、DiCq(t)を生成するステップと、
(b)上記拡散符号のチップ毎に、上記DiCi(t)とDqCq(t)と加算することによって、QPSK変調信号のI成分の部分値を生成し、上記DqCi(t)からDiCq(t)を減算することによって、QPSK変調信号のQ成分の部分値を生成するステップと、
(c)上記I成分の部分値とQ成分の部分値を、それぞれの拡散符号チップ列のシーケンス順に巡回的に累算するステップとからなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の無線通信装置は、拡散符号発生器と、符号拡散QPSK変調の受信信号を上記拡散符号発生器から発生した拡散符号で逆拡散して送信信号を復調するための受信回路と、上記拡散符号発生器からの拡散符号の発生を上記受信信号に同期させるための同期捕捉回路とからなり、上記同期捕捉回路が、最終段の出力を初段に戻すように循環的に縦続接続された複数段のマッチドフィルタからなり、上記各マッチドフィルタが、
時系列的に入力される符号拡散QPSK変調信号のI成分受信信号Di(t)とQ成分受信信号Dq(t)に、I成分用およびQ成分用の拡散符号における特定チップ位置の拡散符号Ci、Cqを乗算し、演算結果DqCi(t)、DiCi(t)、DqCq(t)およびDiCq(t)を並列的に生成するための手段と、
上記演算結果DiCi(t)とDqCq(t)とからQPSK変調信号のI成分に相当する部分復調値を生成し、上記DqCi(t)とDiCq(t)とからQPSK変調信号のQ成分に相当する部分復調値を生成するための手段と、
上記I成分およびQ成分の部分復調値を前段または最終段のマッチドフィルタから供給されるI成分およびQ成分の累算復調値とそれぞれ加算し、加算結果を次段または初段のマッチドフィルタにI成分およびQ成分の累算復調値として供給するための手段とからなることを特徴とする。
【0023】
本発明の無線通信装置の他の特徴は、上記同期捕捉回路が、上記拡散符号発生器から供給される拡散符号Ciの少なくとも一部のチップ列を保持する第1のレジスタ回路と、上記拡散符号発生器から供給される拡散符号Cqの少なくとも一部のチップ列とを保持する第2のレジスタ回路と、上記保持された拡散符号Ci、Cqの各チップ列と、それぞれ時系列的に入力される符号拡散QPSK変調信号のI成分受信信号Di(t)およびQ成分受信信号Dq(t)とを乗算し、上記拡散符号のチップ毎に、乗算結果DqCi(t)、DiCi(t)、DqCq(t)およびDiCq(t)を生成する複数の乗算器群と、上記拡散符号のチップ毎に、上記DiCi(t)とDqCq(t)とを加算することによってQPSK変調信号のI成分の部分復調値を生成し、各部分復調値を拡散符号チップ列のシーケンス順に巡回的に累算する第1の巡回累算回路と、上記拡散符号のチップ毎に、上記DqCi(t)からDiCq(t)を減算することによってQPSK変調信号のQ成分の部分復調値を生成し、各部分復調値を拡散符号チップ列のシーケンス順に巡回的に累算する第2の巡回累算回路とからなる構成にある。
【0024】
更に具体的に言うと、上記第1、第2のレジスタ回路は、チップシーケンス順に配置された複数のレジスタ領域と、前記拡散符号発生器から供給される拡散符号CiまたはCqを上記各レジスタ領域にチップ単位で順次に格納するラッチ信号供給回路とからなり、上記各乗算器群は、それぞれ上記第1、第2のレジスタ回路のレジスタ領域数と対応した複数個の乗算器からなり、上記各乗算器が、上記レジスタ領域に保持された拡散符号と前記I成分受信信号Di(t)またはQ成分受信信号Dq(t)との乗算結果を時系列的に出力する。
また、上記第1、第2の巡回累算回路は、上記各乗算器群の複数の乗算器と対応した複数の加算器または減算器と、上記各加算器または減算器の演算結果を一時的に保持した後、次段の加算器または減算器に供給する複数のレジスタとからなり、最終段のレジスタは、該レジスタの出力を外部回路、または初段の加算器または減算器に選択的に転送するための切り替えスイッチを備える。
【0025】
本発明の好ましい実施例によれば、上記第1、第2の巡回累算回路を構成する各レジスタは、複数の記憶領域と、データの書き込みと読み出しを行うべき記憶領域を循環的に選択するための手段からなり、上記各記憶領域に書き込まれた前記加算器または減算器の演算結果が、所定時間後に読み出されて次段の加算器または減算器に出力されることを特徴する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、QPSK復調機能を有する本発明による逆拡散器の1実施例を示す構成図である。
本実施例の逆拡散器は、縦続接続された複数段のマッチドフィルタMF0〜MF15からなり、各マッチドフィルタ毎に、受信信号の逆拡散と、QPSK復調のための部分加算および累算を行い、その結果を次段のマッチドフィルタに巡回することを特徴とする。
【0027】
マッチドフィルタMF0〜MF15は、それぞれI相用拡散符号Ci(t)とQ相用拡散符号Cq(t)の各チップ列における特定位置のチップと対応しており、初段のマッチドフィルタMF0は拡散符号Ci0とCq0、次段のマッチドフィルタMF1は拡散符号Ci1とCq1、以下、同様にして、最終段のマッチドフィルタMF15は拡散符号Ci15とCq15を用いて、それぞれ受信信号Di(t)とDq(t)とを逆拡散する。各マッチドフィルタMFj(j=0〜15)は、互いに同一の構成を有し、同様の動作を繰り返しているため、初段のマッチドフィルタMF0について、その構成と動作を説明する。
【0028】
マッチドフィルタMF0は、4個の乗算器MII、MQI、MIQ、MQQからなる乗算部と、加算器12aと12bからなるQPSK復調部と、加算器13a、13bおよび累算レジスタ14a、14bからなる累算部とからなる。
乗算器MII、MQI、MIQ、MQQは、それぞれ受信信号Diと拡散符号Ci0、DqとCi0、DiとCq0、DqとCq0を乗算し、乗算結果DiCi0(t)、DqCi0(t)、DiCq0(t)、DqCq0(t)をQPSK復調部に送り込む。
【0029】
乗算器MIIの出力DiCi0(t)と乗算器MQQの出力DqCq0(t)は、加算器12aで互いに加算された後、累算部の加算器13aで前段のマッチドフィルタ(この場合は、最終段のマッチドフィルタMF15)の出力と加算される。この結果、I成分の部分的な復調出力として、
Si0(t)=(DiCi0(t)+DqCq0(t))+Si15(t)
が得られ、これが累算レジスタ14aに入力される。
【0030】
乗算器MQIの出力DqCi0(t)と乗算器MIQの出力DiCq0(t)は、加算器12bで互いに加算された後、累算部の加算器13bで前段のマッチドフィルタ(この場合は、最終段のマッチドフィルタMF15)の出力と減算(符号反転後に加算)される。これによって、Q成分の部分的な復調出力として、
Sq0(t)=(DqCi0(t)−DiCq0(t))+Sq15(t)
が得られ、これが累算レジスタ14bに入力される。
【0031】
次段以降の各マッチドフィルタMF1〜MF15も上記MF0と同様に動作し、I成分の部分的な復調出力として、
Si1(t)=(DiCi1(t)+DqCq1(t))+Si0(t)
Si2(t)=(DiCi2(t)+DqCq2(t))+Si1(t)
……
Si15(t)=(DiCi15(t)+DqCq15(t))+Si14(t)
を生成し、Q成分の部分的な復調出力として、
Sq1(t)=(DqCi1(t)−DiCq1(t))+Sq0(t)
Sq2(t)=(DqCi2(t)−DiCq2(t))+Sq1(t)
……
Sq15(t)=(DqCi15(t)−DiCq15(t))+Sq14(t)
を生成する。
【0032】
上記動作説明から明らかなように、本実施例の逆拡散器は、従来のmタップのマッチドフィルタにおいて、各タップ毎にQPSK復調のための部分加算と累算を行い、その結果を次タップに巡回している。例えば、1シンボル(あるいは数シンボル)期間にわたる巡回的累算が終了した時点で、最終段マッチドフィルタMF15の出力回路に接続されたスイッチ15a、15bを切り替えることによって、復調結果示す相関値Si(t)S、q(t)を外部に取り出す。
【0033】
上記構成によれば、巡回型累算レジスタが14aと14bの2系列で済むため、図11、図12に示した従来の逆拡散器に比較して、回路規模を縮小できる。また、各マッチドフィルタMF0〜MF15には、受信信号Di(t)、Dq(t)を並列的に供給すれば済むため、従来の受信信号シフト型のマッチドフィルタに比較しても、回路規模を小型化できる。尚、上記実施例では、16タップの逆拡散回路を示したが、本発明の逆拡散回路は、同一構成のマッチドフィルタを循環的に接続した構成となっているため、要求タップ数に応じた個数のマッチドフィルタを接続することによって、任意タップ数の逆拡散器を容易に形成ができる。
【0034】
図2は、本発明による逆拡散器の他の実施例を示す。
図12で説明した従来の巡回型マッチドフィルタとの比較を容易にするために、ここでも、逆拡散器が拡散比Gp=64のスペクトル拡散通信システムに適用され、受信信号Dq(t)、Di(t)は、チップレートの4倍(k=4)でオーバ−サンプリングされて逆拡散器に供給されるものとする。
本実施例の逆拡散器は、m(m=16)タップのマッチドフィルタを形成しており、I相用とQ相用の2個の拡散符号係数レジスタ102a、102bと、係数レジスタ102aに接続された第1、第2の乗算部101a、101bと、係数レジスタ102bに接続された第3、第4の乗算部101c、101dと、I相用とQ相用の2個の巡回累算部103a、103bとから構成される。
【0035】
図1に示した実施例と同様、本実施例の逆拡散器も、該巡回累算部でQPSK復調を行うことによって係数レジスタを2つの乗算部で共通使用し、QPSK信号の逆拡散に必要な巡回型係数レジスタの個数を2個に削減している。
【0036】
係数レジスタ部102a、102bは、それぞれラッチ信号Lcj(j=0〜15)でラッチ制御されるm個(m=16)の係数レジスタC0〜C15からなる。係数レジスタ部102aの各係数レジスタCj(j=0〜15)は、それぞれのラッチ信号Lcjの発生タイミングでI相用の拡散符号係数Ci(t)をラッチし、次のラッチ信号が与えられる迄、これを保持する。これと同様に、係数レジスタ部102bの各レジスタCj(j=0〜15)も、それぞれのラッチ信号Lcj(j=0〜15)の発生タイミングでQ相用の拡散符号係数Cq(t)をラッチする。上記各レジスタCjには、m×k(=64)動作クロック毎にラッチ信号Lciが与えられる。従って、レジスタCjにラッチされた1つの拡散符号係数で、mチップ期間の受信信号Dq(t)、Di(t)を逆拡散した時点で、上記レジスタCjに新たな拡散符号係数が設定される。
【0037】
第1の乗算部101aは、係数レジスタ部102aの係数レジスタC0〜C15と対応したm個(m=16)の乗算器MQI0〜MQI15からなり、各乗算器MQIj(j=0〜15)は、Q相の受信信号Dq(t)と上記各係数レジスタCj(j=0〜15)に保持された拡散信号Cij(j=0〜15)とを乗算し、乗算結果DqCij(t)を各タップから出力する。
第2の乗算部101bは、係数レジスタ部102aの係数レジスタC0〜C15と対応したm個(m=16)の乗算器MII0〜MII15からなり、各乗算器MIIj(j=0〜15)は、I相の受信信号Di(t)と上記各係数レジスタCj(j=0〜15)に保持された拡散信号Cij(j=0〜15)とを乗算し、DiCij(t)を各タップから出力する。
【0038】
第3の乗算部101cは、係数レジスタ部102bの係数レジスタC0〜C15と対応したm個(m=16)の乗算器MQQ0〜MQQ15からなり、各乗算器MQQj(j=0〜15)は、Q相の受信信号Dq(t)と上記各係数レジスタCj(j=0〜15)に保持された拡散信号Cqj(j=0〜15)とを乗算し、DqCqj(t)を各タップから出力する。
第4の乗算部101dは、係数レジスタ部102bの係数レジスタC0〜C15と対応したm個(m=16)の乗算器MIQ0〜MIQ15からなり、各乗算器MIQj(j=0〜15)は、I相の受信信号Di(t)と上記各係数レジスタCj(j=0〜15)に保持された拡散信号Cqj(j=0〜15)とを乗算し、DiCqj(t)を各タップから出力する。
【0039】
I相用の巡回累算部103aは、上記第2、第3の乗算部101bと101cから供給されたタップ出力DiCij(t)とDqCqj(t)に基いて、各タップ毎にQPSKの復調を行い、復調結果をGp/m=4回巡回的に累算してI相の相関値Si(t)を出力する。これと同様に、Q相用の巡回累算部103bは、上記第1、第4の乗算部101aと101dから供給されたタップ出力DqCij(t)とDiCqj(t)に基いて、各タップ毎にQPSKの復調を行い、復調結果をGp/m=4回巡回的に累算してQ相の相関値Sq(t)を出力する。
【0040】
I相用の巡回累算部103aは、図3に示すように、各タップと対応して、加算器ADDj(j=0〜15)とサブ累算レジスタ14j(j=00〜15)を有し、各加算器ADDjは、第2、第3の乗算部101b、101cから供給される乗算結果DiCij(t)、DqCqj(t)と、前段のサブ累算レジスタ14(j−1)の出力Acc(j−1)a'(t)とを加算し、加算結果Accja(t)をサブ累算レジスタ14jに入力している。すなわち、巡回累算部102aにおける第jタップの加算器出力Accja(t)は、次式で表される。
Accja(t)=DiCij(t)+DqCqj(t)+Acc(j−1)a'(t)上記巡回累算部103aにおいて、初段の加算器ADD0には、最終段のサブ累算レジスタ1415の出力Acc15a'(t)が入力されている。従って、各タップ毎に行われたQPSKの復調結果は、環状に接続された各タップ毎の加算器とサブ累算レジスタを通過することによって巡回的に累算される。尚、図3では、加算器ADDj(j=0〜15)が3入力の加算器として表記されているが、DiCij(t)とDqCqj(t)を加算するための2入力加算器と、これに前段サブ累算レジスタの出力を加算するための2入力加算器とに分けてもよい。
【0041】
最終段のサブ累算レジスタ1415には、所定のタイミングで、復調結果の初段加算器ADD0への循環を止め、逆拡散復調結果の相関値として外部に出力するためのスイッチ15aが設けてある。また、上記各サブ累算レジスタ14jは、最終段1415に示すように、オーバーサンプリング・レートで動作する4段のレジスタからなっており、各タップの復調結果Accja(t)は、4動作クロック期間(=1チップ期間)遅延して、次のタップの加算器ADD(j+1)に到達する。
【0042】
Q相用の巡回累算部103bも、図4に示すように、各タップと対応して、加算器ADDj(J=0〜15)とサブ累算レジスタ14j(j=00〜15)を有する。各加算器ADDjは、第1の乗算部101aから供給される乗算結果DqCij(t)から、第4の乗算部101dから供給される乗算結果DiCqj(t)を減算し、これに前段のサブ累算レジスタ14(j−1)の出力Acc(j−1)b'(t)を加算し、加算結果Accjb(t)をサブ累算レジスタ14jに入力している。すなわち、Q相用の巡回累算部102bは、第jタップの加算器Accjで次式の出力を得ている。
Accjb(t)=DqCij(t)−DiCqj(t)+Acc(j−1)b'(t)Q相用の巡回累算部103bは、加算器Acc0〜Acc10が乗算結果の一方から他方を減算する点を除いて、構造的にはI相用の巡回累算部103aと同一である。
【0043】
上記構成によって、巡回累算部103a、103bでは、t=0における入力信号Di(t)、Dq(t)を起点として逆拡散復調処理を開始すると、各タップ毎の復調結果は、1シンボル期間内に、m個(m=16)のサブ累算レジスタからなる巡回累算回路をGp/m=4回、後続タップの復調結果との累積を繰り返しながら巡回する。復調結果が少なくとも上記巡回累算回路を一巡した時、各巡回累算部103a、103bの出力は、それぞれ数1、数2の演算式を満足している。従って、適当なタイミング、例えば、1シンボル期間が経過したタイミングでスイッチ15a、15bを切り替えることよって、巡回累算部103aからはI相の復調相関値Si(t)、巡回累算部103bからはQ相の復調相関値Sq(t)をそれぞれ外部に取り出すことができる。
【0044】
本実施例のように、逆拡散器のタップ数(m=16)が拡散比(Gp=64)よりも小さい場合、係数レジスタ部102a、102bに設定された拡散符号の各係数で照合(乗算)できる範囲は、受信信号Di、Dqの1シンボル分のチップシーケンスの一部分に過ぎない。従って、逆拡散の開始時点で、拡散符号Ci(t)、Cq(t)の先頭と受信信号Di、Dqのシンボルの先頭位置との移相が上記照合範囲(16チップ分)を超えていた場合は、上記復調相関値Si(t)、 Sq(t)に所定閾値以上のピークは現れない。この場合は、受信信号に対する移相を前回よりも上記照合範囲だけシフトした状態で拡散符号Ci(t)、Cq(t)を発生し、上述した復調動作を繰り返すことにより、最大でGp/m回の再試行で同期を捕捉できる。
【0045】
図5は、巡回累算部103(103a、103b)のサブ累算レジスタ14jとして適用されるレジスタ構造の1例を示す。
累算レジスタブロック14は、オーバーサンプリング数k(k=4)と同数の4個のレジスタ141(r0〜r3)と、これらのセレクタの出力を選択するためのセレクタ142とからなる。上記レジスタ141のうち、データの書き込み/読み出し対象となるレジスタは、4進カウンタ143で発生するラッチタイミングLr0〜Lr3によって順次に切り替えられ、上記ラッチタイミングで特定されたレジスタの出力がセレクタ142で選択されて、次のタップ出力される。尚、上記4進カウンタ143は、各巡回累算部103内の複数の累算レジスタ1400〜1415で共用される。
【0046】
上記累算レジスタブロック14を巡回累算部103bの最初の累算レジスタ1400に適用した場合、加算器Acc0の累算結果ACC0b(t)は、ラッチタイミングLr0〜Lr3で特定された何れかのレジスタr0〜r3に書き込まれる。この時、上記特定レジスタから、それまで保持されていた4クロック前の累算結果が出力され、セレクタを介して、出力ACC0b'(t)として次のタップに出力される。
ラッチタイミングLr0〜Lr3でレジスタr0〜r3を順次に切り替え、各レジスタで、新たなデータの書き込みに同期して前データを読み出すことによって、上記累算レジスタブロック14を入力データが4タイミング後に出力される4段のシフトレジスタとして機能させることができる。上記構成によれば、各レジスタ142(r0〜r3)は、4タイミングに1回の割合で書き込み/読出し動作すればよいため、縦続接続された各段のレジスタが常時動作する一般的なシフトレジスタ構成に比較して、消費電力を大幅に低減できる。
【0047】
図6は、上記本発明の逆拡散器を適用した無線端末装置(移動端末)の1例を示す。
移動端末は、内部バス30に接続された処理装置21と、上記処理装置21が実行する各種のプログラムおよびデータを記憶するためのメモリ22と、ユーザインタフェースとして、文字情報を表示するための表示装置23と、テンキーその他のファンクションキーを含む入力装置24と、音声符号化復号化回路25に接続されたマイクロフォン26およびスピーカ27と、外部の記憶装置やコンピュータ装置と接続するためのインターフェイス回路28とを備える。また、上記内部バス30に接続して送信回路31と、受信回路32A、32Bと、電源制御回路33とを有し、上記送信回路31と受信回路32A、32Bは、無線部33を介してアンテナ34に接続されている。
【0048】
CDMA(Code Division Multiple Access)の無線通信システムでは、無線基地局から各移動端末に向かう下り方向の無線区間と、各移動端末から無線基地局に向かう上り方向の無線区間に、それぞれ固有の拡散符号が割り当てられた複数のチャネルが形成される。送信回路31は、各移動端末からの発信を基地局に通知するための上り方向の共通制御チャネルと、着信通知後の接続制御情報の送受信に使用される個別制御チャネルと、ユーザ情報を送信するために各移動端末に割り当てられる上りトラフィックチャネルとに共用され、これらのチャネルの切り替えは、処理装置21から信号線41に与えるチャネル(拡散符号)指定信号に応じて、スペクトル拡散に使用する拡散符号を切り替えることによって行なわれる。送信回路31を共通または個別の制御チャネルとして使用する時は、処理装置21から出力された制御信号が、バス30、セレクタ35を介して上記送信回路に供給され、これらの制御信号が、各制御チャネルに割り当てられた特定の拡散符号で符号拡散される。一方、上記送信回路31をトラフィックチャネル用として使用する時は、音声符号化復号化回路25で符号化されたマイクロフォン26からの音声信号が、セレクタ35を介して上記送信回路31に供給され、上記トラフィックチャネルの特定の拡散符号で符号拡散されたPQSK変調信号が、無線部33を介してアンテナ34から送信される。
【0049】
受信回路32Aは、例えば、セル情報、同期情報、あるいは他の制御チャネルで使用すべき拡散コードなど、無線通信システムの制御に不可欠なシステム情報を全ての移動端末に共通に送信するために使用される下り方向の第1共通制御チャネルに専用の回路である。また、受信回路32Bは、各端末への着信通知や個別制御チャネルの割り当て制御に使用される下り方向の第2共通制御チャネルと、基地局との間での接続制御に使用される個別制御チャネルと、基地局から端末へのユーザ情報の送信に使用されるトラフィックチャネルとに共用される。受信回路32Aにおけるチャネルの特定と、受信回路32Bにおけるチャネルの切り替えは、送信回路31と同様、処理装置21から信号線43に与えるチャネル(拡散符号)指定信号に応じて、スペクトル拡散に使用する拡散符号を切り替えることによって行なわれる。
【0050】
図7は、上記受信回路32Bの基本的な構成を示す。受信回路32Aもこれと同様の構成となっている。
受信回路32Bは、逆拡散に使用するI相用、Q相用の拡散符号を発生するための拡散符号発生器50iおよび50qと、前述した本発明の逆拡散器からなる同期捕捉回路51と、信号無線部33から入力される受信信号Di(t)、Dq(t)を上記拡散符号発生器から出力された拡散符号Ci、Cqを使用して逆拡散するための逆拡散回路53とを含む。
【0051】
上記拡散符号発生器50i、50qは、処理装置21から供給される制御信号43aに応じて、拡散符号を発生する。上記同期捕捉回路51は、信号無線部33から入力される受信信号Di(t)、Dq(t)を上記拡散符号発生器から出力された拡散符号Ci、Cqを使用して逆拡散し、QPSK復調の相関値Si(t)、Sq(t)を出力する。同期捕捉(逆拡散)動作の開始と、スイッチ15の切り替えによる相関値Si(t)、Sq(t)の送出は、処理装置21から供給される制御信号43cによって制御される。上記同期捕捉回路51の出力は、ピーク検出回路52に入力され、所定の閾値を超えるピークが検出された時、上記ピーク検出回路52から出力される同期捕捉信号43bによって、拡散符号発生器50i、50qが拡散符号の移相動作を開始する。
【0052】
同期が捕捉されると同期追跡モードに移り、逆拡散回路53が、上記拡散符号発生器50i、50qから出力された拡散符号Ci、Cqを使用して受信信号Di(t)、Dq(t)を逆拡散し、QPSK復調信号を出力する。上記QPSK復調信号は、検波回路54で所定の復調処理を受けた後、誤り訂正復号器55で誤り訂正され、誤り訂正復号器55の出力は、受信バッファ56を介して、インタフェース回路57に供給される。送信回路32Bが制御チャネル用として動作中は、受信信号は内部バス30に出力され、トラフィックチャネル用として動作中は、音声符号復号化回路25に出力される。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、符号拡散QPSK信号を少数の累算部と簡単なマッチドフィルタで復調できるため、逆拡散器の回路規模の小型化と消費電力の低減が可能であり、特に電池駆動の携帯用無線端末において有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による逆拡散器および同期捕捉回路の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明による逆拡散器および同期捕捉回路の第2の実施例を示す図である。
【図3】図2に示した巡回累算部103aの具体的回路構成の1例を示す図である。
【図4】図2に示した巡回累算部103bの具体的回路構成の1例を示す図である。
【図5】図3、図4に示した巡回累算部に適用される累算レジスタの1実施例を示す図である。
【図6】本発明による逆拡散器および同期捕捉回路の応用例を示す無線通信装置の1実施例を示す図である。
【図7】図6に示した受信回路32Bの詳細構成を示す図である。
【図8】受信信号シフト型マッチドフィルタを用いた従来の逆拡散器の構成を示す図である。
【図9】図8の逆拡散器に適用される受信信号シフト型マッチドフィルタ810の構成を示す図である。
【図10】図8の逆拡散器に適用される累算レジスタ630aの構成を示す図である。
【図11】巡回累算型マッチドフィルタを用いた従来の逆拡散器の構成の1例を示す図である。
【図12】図11の逆拡散器に適用される巡回累算型マッチドフィルタ910の構成を示す図である。
【符号の説明】
MF0〜MF15:マッチドフィルタ、
101:乗算部、 MQI、MII、MQQ、MIQ:乗算器、
102:係数レジスタ部、C0〜C15:係数レジスタ、103:巡回累算部、
12、13、ADD0〜ADD15:加算器、
14、1400〜1415:累算レジスタ、15a、15b:出力切換スイッチ、50:拡散符号発生器、51:同期捕捉回路、52:ピーク検出回路、
53:逆拡散回路。

Claims (13)

  1. 時系列的に入力される受信信号のI成分Di(t)とQ成分Dq(t)を拡散符号のI成分CiとQ成分Cqでチップ毎に逆拡散することによって、それぞれ受信信号と拡散符号との異なる組み合わせに対応した複数系列の逆拡散結果を上記各チップ毎に生成し、上記複数系列の逆拡散結果を所定の組み合わせで演算することによって、受信信号のI成分とQ成分の復調値を上記各チップ毎に生成し、上記I成分およびQ成分のチップ毎の復調値をそれぞれの拡散符号のチップシーケンスに従って巡回的に累算することを特徴とする符号拡散された受信信号の復調方法。
  2. 前記受信信号のI成分Di(t)、Q成分Dq(t)の逆拡散に適用される拡散符号のI成分CiとQ成分Cqの各チップの係数値を所定周期で順次に更新し、前記I成分およびQ成分のチップ毎の復調値を少なくとも1シンボル期間にわたって巡回的に累算することを特徴とする請求項1に記載の受信信号の復調方法。
  3. 前記受信信号のI成分Di(t)とQ成分Dq(t)をそれぞれオーバーサンプリングして供給し、各チップ期間に前記I成分とQ成分の復調値を複数回生成することを特徴とする請求項1に記載の受信信号の復調方法。
  4. 前記受信信号は、QPSK変調方式で変調されて送信された信号であることを特徴とする受信信号変調方式。
  5. 拡散符号のI成分Ciの少なくとも一部のチップ列と、Q成分Cqの少なくとも一部のチップ列とを保持しておき、上記保持された各チップ列と、それぞれ時系列的に入力される受信信号のI成分Di(t)およびQ成分Dq(t)を演算し、上記拡散符号のチップ毎に、乗算結果DqCi(t)、DiCi(t)、DqCq(t)、DiCq(t)を生成するステップと、
    上記拡散符号のチップ毎に、上記DiCi(t)とDqCq(t)と加算することによって、受信信号のI成分の部分値を生成し、上記DqCi(t)からDiCq(t)を減算することによって、受信信号のQ成分の部分値を生成するステップと、
    上記I成分の部分値とQ成分の部分値をそれぞれの拡散符号チップ列のシーケンス順に巡回的に累算するステップとからなることを特徴とする符号拡散された受信信号の復調方法。
  6. 時系列的に入力される受信信号のI成分Di(t)とQ成分Dq(t)を拡散符号のI成分CiとQ成分Cqでチップ毎に逆拡散することによって、それぞれ受信信号と拡散符号との異なる組み合わせに対応した複数系列の逆拡散結果を上記各チップ毎に生成するための手段と、
    上記複数系列の逆拡散結果を所定の組み合わせで演算することによって、上記各チップ毎に、受信信号のI成分復調値とQ成分復調値とを生成するたの手段と、
    チップ毎に生成された上記I成分復調値とQ成分復調値をそれぞれの拡散符号チップシーケンスに従って巡回的に累算するための手段とからなる符号拡散変調用の逆拡散器を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  7. 請求項6記載の無線通信装置であって、上記受信信号はQPSK変調方式によって変調されて送信される信号であることを特徴とする無線通信装置。
  8. 拡散符号発生器と、変調された受信信号を上記拡散符号発生器から発生した拡散符号で逆拡散して送信信号を復調するための受信回路と、上記拡散符号発生器からの拡散符号の発生を上記受信信号に同期させるための同期捕捉回路とを有する無線通信装置において、
    上記同期捕捉回路が、最終段の出力を初段に戻すように循環的に縦続接続された複数段のマッチドフィルタからなり、上記各マッチドフィルタが、
    時系列的に入力される受信信号のI成分Di(t)とQ成分Dq(t)に、I成分用およびQ成分用の拡散符号における特定チップ位置の拡散符号Ci、Cqを乗算し、演算結果DqCi(t)、DiCi(t)、DqCq(t)およびDiCq(t)を並列的に生成するための手段と、
    上記演算結果DiCi(t)とDqCq(t)とから受信信号のI成分に相当する部分復調値を生成し、上記DqCi(t)とDiCq(t)とから受信信号のQ成分に相当する部分復調値を生成するための手段と、
    上記I成分およびQ成分の部分復調値を前段または最終段のマッチドフィルタから供給されるI成分およびQ成分の累算復調値とそれぞれ加算し、加算結果を次段または初段のマッチドフィルタにI成分およびQ成分の累算復調値として供給するための手段とからなることを特徴とする無線通信装置。
  9. 請求項8記載の無線通信装置であって、上記受信信号はQPSK変調方式によって変調されて送信される信号であることを特徴とする無線通信装置。
  10. 送信信号の拡散符号のI成分CiとQ成分Cqを発生するための拡散符号発生器と、受信信号を上記拡散符号発生器から発生した拡散符号のI成分Ci、Q成分Cqで逆拡散して送信信号を復調する受信回路と、上記拡散符号発生器からの拡散符号のI成分Ci、のQ成分Cqの発生を上記受信信号に同期させるための同期捕捉回路とを有する無線通信装置において、上記同期捕捉回路が、
    上記拡散符号発生器から供給される拡散符号のI成分Ciの少なくとも一部のチップ列を保持する第1のレジスタ回路と、上記拡散符号発生器から供給される拡散符号のQ成分Cqの少なくとも一部のチップ列とを保持する第2のレジスタ回路と、
    上記保持された拡散符号のI成分Ci、のQ成分Cqの各チップ列と、それぞれ時系列的に入力される受信信号のI成分Di(t)およびQ成分Dq(t)とを乗算し、上記拡散符号のチップ毎に、乗算結果DqCi(t)、DiCi(t)、DqCq(t)およびDiCq(t)を生成する複数の乗算器群と、
    上記拡散符号のチップ毎に、上記DiCi(t)とDqCq(t)とを加算することによって受信信号のI成分の部分復調値を生成し、各部分復調値を拡散符号チップ列のシーケンス順に巡回的に累算する第1の巡回累算回路と、
    上記拡散符号のチップ毎に、上記DqCi(t)からDiCq(t)を減算することによって受信信号のQ成分の部分復調値を生成し、各部分復調値を拡散符号チップ列のシーケンス順に巡回的に累算する第2の巡回累算回路とからなることを特徴とする無線通信装置。
  11. 前記第1、第2のレジスタ回路が、それぞれチップシーケンス順に配置された複数のレジスタ領域と、前記拡散符号発生器から供給される拡散符号CiまたはCqを上記各レジスタ領域にチップ単位で順次に格納するラッチ信号供給回路とからなり、
    前記各乗算器群が、それぞれ上記第1、第2のレジスタ回路のレジスタ領域数と対応した複数個の乗算器からなり、上記各乗算器は、上記レジスタ領域に保持された拡散符号と前記I成分受信信号Di(t)またはQ成分受信信号Dq(t)との乗算結果を時系列的に出力することを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
  12. 前記第1、第2の巡回累算回路が、前記各乗算器群の複数の乗算器と対応した複数の加算器または減算器と、上記各加算器または減算器の演算結果を一時的に保持した後、次段の加算器または減算器に供給する複数のレジスタとからなり、最終段にレジスタは、該レジスタの出力を外部回路、または初段の加算器または減算器に選択的に転送するための切り替えスイッチを備えることを特徴する請求項11に記載の無線通信装置。
  13. 前記第1、第2の巡回累算回路を構成する各レジスタが、複数の記憶領域と、データの書き込みと読み出しを行うべき記憶領域を循環的に選択するための手段からなり、上記各記憶領域に書き込まれた前記加算器または減算器の演算結果が、所定時間後に読み出されて次段の加算器または減算器に出力されることを特徴する請求項12に記載の無線通信装置。
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