JP3764770B2 - ベローズの固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸縮可能なベローズの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、伸縮可能なベローズの端部は、プラスチックや金属製のバンド、クリップ、ワイヤー等により連結部材に固定されていた。
【0003】
例えば、図5に示す組み立て製品におけるベローズ101は、ハウジング102から突出するシャフト103を覆う筒状のベローズ本体104を有し、そのベローズ本体104は、そのハウジング102に対してシャフト103が軸方向相対変位することで軸方向に伸縮する。
そのハウジング102は、そのシャフト103の外周とベローズ本体104の内周との間に位置する筒状部102aを有する。
そのベローズ本体104の一端部104aは、その筒状部102aの外周にバンド106により締め付けられることで固定されている。
そのベローズ本体104の他端部104bは、そのシャフト103の外周にワイヤー107により締め付けられることで固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなベローズ101の固定構造では、ベローズ本体104の端部104a、104bは、外周にバンド106やワイヤー107を巻き付けるための部分を必要とする。そのため、ベローズ本体104の軸方向全長が大きくなってしまう。
また、ベローズ本体104の端部104a、104bをバンド106やワイヤー107により締め付けて固定する場合、均一に締め付けるのは困難なため、ベローズ本体104によるシール性を確保するには作業者の熟練を要する。
さらに、組み立て時にベローズ本体104の端部104aをバンド106により締め付ける際、その締め付け作業のためのスペースを確保するため、ハウジング102に上記のような筒状部102aを設ける必要があり、組み立て製品が大型化する。さらに、その筒状部102aとの干渉防止のため、ベローズ本体104の一端側では蛇腹部の山104′の高さ寸法差Hを小さくする必要があり、ベローズ本体104のストロークが短くなる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決することのできるベローズの固定構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、筒状のベローズ本体の一端部が連結される第1連結部材と、そのベローズ本体の他端部が連結される第2連結部材とが相対変位することにより、そのベローズ本体が軸方向に伸縮するように、そのベローズ本体を各連結部材に固定する構造であって、その筒状のベローズ本体の軸方向は両連結部材の相対変位方向であり、そのベローズ本体は両連結部材の一方向への相対変位により縮小されると共に他方向への相対変位により伸長されるものにおいて、そのベローズ本体は弾性変形可能とされ、少なくとも一方の連結部材に、ベローズ本体の端部が径方向外方へ移動するのを阻止可能な径方向阻止部が、内周面を有する周壁として設けられ、そのベローズ本体を軸方向において伸長させる方向へのベローズ本体の端部の移動方向を軸方向外方として、少なくとも一方の連結部材に、ベローズ本体の端部が軸方向外方へ移動するのを阻止可能な軸方向阻止部が、ベローズ本体との対向面を有する環状壁として設けられ、そのベローズ本体よりも剛性が大きくベローズ本体の端部を軸方向から押すように連結部材における前記周壁の内周面に圧入されるリング状部材により、その径方向阻止部と軸方向阻止部とにベローズ本体の端部が押し付けられることで、その端部が連結部材に固定され、そのリング状部材と連結部材との間に、その押し付けによるベローズ本体の端部の変形部分の逃げ込み空間が設けられていることを特徴とする。
本発明の構成によれば、ベローズ本体の端部を、バンドやワイヤー等により締め付けることなくリング状部材を連結部材に圧入するだけで、その連結部材に固定できる。すなわち、ベローズ本体の端部を、作業に熟練を要することなく連結部材に固定でき、また、ベローズ本体の端部は連結部材の径方向阻止部に押し付けられるので、ベローズ本体と連結部との間のシール性を確保することができる。また、そのベローズ本体の端部を弾性変形させて連結部の軸方向阻止部と径方向阻止部とに押し付けることで、ベローズ本体と連結部材との間のシール性をより向上でき、また、その端部の変形部分の逃げ込み空間が設けられることで、その端部の塑性変形によるシール性の低下を防止できる。
【0008】
そのリング状部材は、ベローズ本体の端部に一体化されると共に、ベローズ本体を介して連結部材に圧入されるのが好ましい。
これにより、ベローズ本体の連結部材への組み込みと同時にリング状部材を連結部材に圧入でき、組み立て作業を簡単化できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1に示すフォークリフトのパワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2の回転により揺動するピットマンアーム3を有し、そのピットマンアーム3はリレーロッド4を介して、車体(図示省略)に支持された電動アクチュエータ5の可動ロッド6に連結されている。その可動ロッド6は、車体に揺動可能に支持された揺動プレート7に連結され、その揺動プレート7にタイロッド8、ナックルアーム9を介して後車輪10が連結されている。また、そのリレーロッド4に操舵力の検知センサ11が設けられ、そのセンサ11により検知された操舵力の大きさと方向とに基づき、上記電動アクチュエータ5のモータ12を駆動する制御装置13が車体に搭載されている。そのモータ12の駆動により可動ロッド6が軸方向変位することにより、ステアリングホイール2の回転により後車輪10を操舵する際に、操舵力に応じた操舵補助力が付与される。
【0011】
図2に示すように、上記アクチュエータ5は、上記モータ12が取り付けられるハウジング(第1連結部材)21を有する。そのハウジング21の一端はボールジョイント22を介してフォークリフトの車体(図示省略)に連結される。
【0012】
そのハウジング21に、一対のテーパローラベアリング32a、32bを介してボールナット33が支持されている。そのボールナット33に、上記可動ロッド6に同軸状に一体化されるボールスクリュー(第2連結部材)31がボール34を介して嵌め合わされている。また、そのハウジング21に、そのモータ12の出力軸に連結されるピニオン35と、このピニオン35に噛み合う中間ギア36とが支持され、その中間ギア36に、そのボールナット33の外周に設けられた従動ギア37が噛み合う。これにより、そのモータ12の回転によりボールナット33が回転し、そのボールナット33の回転によりボールスクリュー31がハウジング21に対して軸方向に相対変位し、この変位により可動ロッド6が軸方向変位する。
【0013】
そのハウジング21は、本体41と、この本体41の一端を覆うカバー42と、その本体41の他端にねじ込まれるシリンダ43と、そのカバー42にねじ合わされるストッパー44とを有する。そのストッパー44により、上記各テーパローラベアリング32a、32bがボールナット33を介して本体41の内面に押し付けられることで、各テーパローラベアリング32a、32bの予圧調節と抜け止めがさなれる。そのストッパー44の外周にはロックナット45がねじ合わされる。そのストッパー44からボールスクリュー31の一端が突出し、その一端に上記可動ロッド6が連結される。そのシリンダ43に上記ボールジョイント22が連結される。
【0014】
そのストッパー44とボールスクリュー31との内外周間がベローズ50によりシールされ、その内外周間からハウジング21内に塵埃や泥水等が浸入するのが防止される。そのベローズ50は、そのストッパー44から突出するボールスクリュー31の外周を覆う筒状のベローズ本体51を有する。
【0015】
そのベローズ本体51は、ゴムや合成樹脂等の弾性変形可能な材料により成形され、一端部51aがストッパー44に連結され、他端部51bがボールスクリュー31に連結され、ボールスクリュー31がハウジング21に対して軸方向相対変位することで軸方向に伸縮する。
【0016】
そのベローズ本体51の他端部51bは、ボールスクリュー31の外周にワイヤー39により締め付けられることで固定されている。
【0017】
図3に示すように、そのベローズ本体51の一端部51aの外周は周方向に沿う面pとされ、軸方向外方側(図3において左方側)は径方向に沿う面qとされ、軸方向内方側はストッパー44への連結前は図中2点鎖線で示すように径方向外方に向かうに従い軸方向内方に向かう面rとされている。
【0018】
そのストッパー44は、ベローズ本体51の一端部51aにおける周方向に沿う面pに対して径方向に関して対向する周壁(径方向阻止部)44aと、径方向に沿う面qに対して軸方向に関して対向する環状壁(軸方向阻止部)44bとを有する。
その周壁44aは、その環状壁44b側の第1内周面44a′と、その環状壁44b側と反対側の第2内周面44b′とを有する。その第1内周面44a′の内径は、ベローズ本体51の一端部51aの外周径と略等しくされる。その第2内周面44b′は第1内周面44a′よりも内径が小さくされている。
その第1内周面44a′により、そのベローズ本体51の一端部51aが径方向外方へ移動するのを阻止できる。
その環状壁44bにおけるベローズ本体51との対向面44b′により、そのベローズ本体51の一端部51aが軸方向外方へ移動するのを阻止できる。
【0019】
その周壁44aの第2内周面44b′に、ベローズ本体51よりも剛性の大きな金属製のリング状部材61が圧入されている。このリング状部材61は、本体61aと、この本体61aの一端から径方向内方に突出する内向きフランジ61bと、その本体61aの他端から径方向外方に突出する外向きフランジ61cとを有し、その外向きフランジ61cはストッパー44の周壁44aの端面に接するものとされている。
【0020】
そのリング状部材61が内向きフランジ61bを介してベローズ本体51の一端部51aを軸方向から押すことで、その一端部51aは弾性変形して上記周壁44aの第1内周面44a′と環状壁44bの対向面44b′とに押し付けられる。その押し付けにより、その一端部51aはストッパー44に固定されている。
【0021】
また、そのリング状部材61の外周面と周壁44aの第1内周面44a′との間は、その押し付けによるベローズ本体51の一端部51aの変形部分の逃げ込み空間69とされている。
【0022】
上記第1実施形態の構成によれば、ベローズ本体51の一端部51aを、バンドやワイヤー等により締め付けることなくリング状部材61をハウジング21における周壁44aの第2内周面44b′に圧入するだけで、そのハウジング21に対して固定できる。すなわち、ベローズ本体51の一端部51aを、作業に熟練を要することなくハウジング21に固定できる。また、ベローズ本体51の一端部51aは周壁44aの第1内周面44a′に押し付けられるので、ベローズ本体51とハウジング21との間のシール性を確保することができ、さらに、そのベローズ本体51の一端部51aを弾性変形させて周壁44aの第1内周面44a′と環状壁44bの対向面44b′とに押し付けることで、ベローズ本体51とハウジング21との間のシール性をより向上できる。また、その一端部51aの変形部分の逃げ込み空間69が設けられることで、その一端部51aの塑性変形によるシール性の低下を防止できる。
【0023】
図4は本発明の参考用のベローズの固定構造を示す。上記第1実施形態との相違は、まず、リング状部材61′は本体61a′と、この本体61a′の一端の内向きフランジ61b′とから構成され、ベローズ本体51の一端部51aに内蔵され、そのベローズ本体51の一端部51aを介して周壁44aの内周面44a′に圧入されている。また、周壁44aには第1実施形態における第2内周面44a″は形成されず、逃げ込み空間69は設けられていない。また、ベローズ本体51の一端部51aの外周径は、ストッパー44への連結前は図中2点鎖線で示すように周壁44aの内周面44a′の内周径よりも大きくされている。その圧入によりベローズ本体51の一端部51aが周壁44aの内周面44a′と環状壁44bの対向面44b′とに押し付けられることで、その一端部51aがハウジング21に対し固定されている。他は上記実施形態と同様で、同一部分は同一符号で示す。
この構成によれば、ベローズ本体51のストッパー44への組み込みと同時にリング状部材61′をストッパー44に圧入でき、組み立て作業を簡単化できる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、ベローズ本体の各端部が固定される第1、第2連結部材は、相対変位するものであればパワーステアリング装置のアクチュエータ部分に限定されない。更に、第1リング状部材61、61′は金属に限らず、ベローズ本体51より剛性の大きな合成樹脂等であってもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、ベローズ本体の端部をバンドやワイヤー等により締め付けることなく連結部材に固定できるので、ベローズ本体の軸方向全長を短くでき、あるいは、軸方向全長が従来と同一であれば蛇腹部の山数を増やして伸縮ストロークを増加させることができる。また、作業者の熟練を要することなくベローズ本体によるシール性を確保することができ、安定した固定品質を確保できる。さらに、ベローズ本体の端部を連結部材に締め付ける必要がないため、その締め付け作業のためのスペースは不要になる。よって、連結部材を不必要に大型化する必要がないので、ベローズ本体と連結部材との組み立て製品を小型化でき、また、ベローズ本体の蛇腹部の山の高さ寸法を端部側で小さくする必要性をなくして伸縮ストロークの減少を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のパワーステアリング装置の構成説明図
【図2】本発明の第1実施形態の電動アクチュエータの断面図
【図3】本発明の第1実施形態のベローズの固定構造を示す要部の断面図
【図4】本発明の参考用のベローズの固定構造を示す要部の断面図
【図5】従来のベローズの固定構造を示す断面図
【符号の説明】
21 ハウジング(第1連結部材)
31 ボールスクリュー(第2連結部材)
44a 周壁(径方向阻止部)
44b 環状壁(軸方向阻止部)
51 ベローズ本体
51a 一端部
51b 他端部
61 リング状部材
69 逃げ込み空間
Claims (2)
- 筒状のベローズ本体の一端部が連結される第1連結部材と、そのベローズ本体の他端部が連結される第2連結部材とが相対変位することにより、そのベローズ本体が軸方向に伸縮するように、そのベローズ本体を各連結部材に固定する構造であって、その筒状のベローズ本体の軸方向は両連結部材の相対変位方向であり、そのベローズ本体は両連結部材の一方向への相対変位により縮小されると共に他方向への相対変位により伸長されるものにおいて、
そのベローズ本体は弾性変形可能とされ、
少なくとも一方の連結部材に、ベローズ本体の端部が径方向外方へ移動するのを阻止可能な径方向阻止部が、内周面を有する周壁として設けられ、
そのベローズ本体を軸方向において伸長させる方向へのベローズ本体の端部の移動方向を軸方向外方として、少なくとも一方の連結部材に、ベローズ本体の端部が軸方向外方へ移動するのを阻止可能な軸方向阻止部が、ベローズ本体との対向面を有する環状壁として設けられ、
そのベローズ本体よりも剛性が大きくベローズ本体の端部を軸方向から押すように連結部材における前記周壁の内周面に圧入されるリング状部材により、その径方向阻止部と軸方向阻止部とにベローズ本体の端部が押し付けられることで、その端部が連結部材に固定され、
そのリング状部材と連結部材との間に、その押し付けによるベローズ本体の端部の変形部分の逃げ込み空間が設けられていることを特徴とするベローズの固定構造。 - そのリング状部材は、ベローズ本体の端部に一体化されると共に、ベローズ本体を介して連結部材に圧入される請求項1に記載のベローズの固定構造。
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JP32230695A JP3764770B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | ベローズの固定構造 |
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