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JP7415295B2 - 衝撃吸収部材およびダンパ装置 - Google Patents

衝撃吸収部材およびダンパ装置 Download PDF

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JP7415295B2 JP2020057511A JP2020057511A JP7415295B2 JP 7415295 B2 JP7415295 B2 JP 7415295B2 JP 2020057511 A JP2020057511 A JP 2020057511A JP 2020057511 A JP2020057511 A JP 2020057511A JP 7415295 B2 JP7415295 B2 JP 7415295B2
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Description

本発明は、衝撃吸収部材およびダンパ装置に関する。
例えば自動車などの各種の車両に設置されるステアリング装置には、ダンパ装置が設けられる。例えば、特許文献1には、シャフトの端部に装着され、シャフトの外径よりも大きな外径を有するラックエンドと、ラックエンドの軸方向端面に対して軸方向に対向するストッパ部と、シャフトの軸方向において、ラックエンドとストッパ部との間に配置される衝撃吸収部材とを具備するダンパ装置が開示されている。
特開2018-96410号公報
特許文献1に記載されたダンパ装置では、弾性体が保持プレートを介してラックエンドに圧縮されると、大径収容部、保持プレートおよびリングプレートに囲まれた空間内において、圧縮された弾性体が充満する。これにより、当該空間を画定する各種部品に過剰な負荷がかけられることで、ダンパ装置の耐久性が低下するおそれがある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ダンパ装置の耐久性が低下することを抑制することにある。
本発明のひとつの態様に係る衝撃吸収部材は、軸方向に移動するシャフトの外周面から張り出す環状面を有する鍔状部と、前記シャフトを収容する筒状のハウジングの内周面から前記シャフト側へ張り出す環状の受部との間に配置される衝撃吸収部材であって、前記環状面と前記受部との間において前記シャフトを包囲し、前記ハウジングの内周面に対向する環状の弾性体と、前記弾性体に設けられ、前記環状面に対向する環状体であって、前記弾性体よりも剛性が高い環状体と、を具備し、前記環状体は、前記環状面に対向する支持部と、前記支持部における前記弾性体との対向面から前記弾性体に入り込む突起部と、を有する。
本発明のひとつの態様に係るダンパ装置は、軸方向に移動するシャフトの外周面から張り出す環状面を有する鍔状部と、前記シャフトを収容する筒状のハウジングの内周面から前記シャフト側へ張り出す環状の受部と、前記鍔状部と前記受部との間に配置される衝撃吸収部材と、を具備し、前記衝撃吸収部材は、前記環状面と前記受部との間において前記シャフトを包囲し、前記ハウジングの内周面に対向する環状の弾性体と、前記弾性体に設けられ、前記環状面に対向する環状体であって、前記弾性体よりも剛性が高い環状体と、有し、前記環状体は、前記環状面に対向する支持部と、前記支持部における前記弾性体との対向面から前記弾性体に入り込む突起部と、を有する。
本発明によれば、ダンパ装置の耐久性が低下することが抑制される。
第1実施形態に係るステアリング装置の構成例を示す断面図である。 図1の領域E1を拡大して示す断面図である。 衝撃吸収部材の構成例を示す斜視図である。 衝撃吸収部材の構成例を示す断面図である。 従来のダンパ装置の衝撃吸収部材が衝撃を吸収する様子を示す断面図である。 従来のダンパ装置の衝撃吸収部材が衝撃を吸収する様子を示す断面図である。 本実施形態の衝撃吸収部材が衝撃を吸収する様子を示す断面図である。 本実施形態の衝撃吸収部材と従来の衝撃吸収部材の変位と反力の関係を表すグラフである。 第2実施形態に係る衝撃吸収部材の構成例を示す断面図である。 第2実施形態に係る衝撃吸収部材の構成例を示す断面図である。 第2実施形態に係る衝撃吸収部材の構成例を示す断面図である。 第2実施形態に係る衝撃吸収部材の変位とばね定数の関係を示すグラフである。 変形例に係る衝撃吸収部材の構成例を示す断面図である。
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るステアリング装置22の構成例を示す断面図である。ステアリング装置22は、例えば自動車などの車両において、運転者の操舵を補助する電動パワーステアリング装置である。ステアリング装置22は、ダンパ装置20と、操舵機構24と、転舵機構26と、ハウジング34と、操舵補助装置28とを有する。ダンパ装置20については、後述する。ステアリング装置22は、転舵シャフト40を軸方向に移動させることによって、転舵輪48を転舵させる装置である。なお、前述した「転舵」とは、転舵シャフト40が軸方向に移動することによって、車両の進行方向が変わることを意味する。また、「軸方向」とは、転舵シャフト40の延在方向である。前述した「転舵」と「軸方向」の定義は、以下の説明においても同様である。
操舵機構24は、ステアリングホイール30と、ステアリングシャフト32とを有する。ステアリングホイール30は、運転者の運転操作により回転するハンドルであり、ステアリングシャフト32に回転可能に支持される。ステアリングホイール30は、運転者の運転操作によって加えられたトルク(運転者がステアリングホイール30を回す回転力)をステアリングシャフト32に伝達する。
ステアリングシャフト32は、ハウジング34に保持された状態において、回転可能に構成される。ステアリングシャフト32は、ステアリングホイール30の回転に追随して回転する。図1に示すように、ステアリングシャフト32のうち一方の端部には、ステアリングホイール30が連結される。また、ステアリングシャフト32のうち他方の端部には、ピニオンギア36が形成される。
転舵機構26は、転舵シャフト40を有する。転舵シャフト40の両端部には、転舵輪48が連結される。転舵シャフト40には、図1に示すように、軸方向に沿ってラックギア38が設けられる。転舵シャフトは、「シャフト」の一例である。ラックギア38は、ピニオンギア36と噛合う。即ち、ラックギア38は、ピニオンギア36と共にラックアンドピニオン機構を構成する。これにより、転舵シャフト40は、ステアリングシャフト32の回転に追随して軸方向に移動する。
図1に示すように、転舵シャフト40の両端部には、ボールジョイント42が設けられる。ボールジョイント42は、後述するボールスタッド92(図2参照)を有する。ボールジョイント42には、タイロッド44が揺動可能に連結される。タイロッド44には、ナックルアーム46を介して転舵輪48が連結される。転舵輪48は、転舵シャフト40の軸方向の移動により転舵される車輪である。
ハウジング34は筒状の筐体であり、転舵シャフト40を収容する。ハウジング34は、図示を省略した車体に固定される。ハウジング34は、図1に示すように、第1筐体部64と第2筐体部66とを有する。第1筐体部64の内径は、転舵シャフト40の径よりも若干大きい。第1筐体部64には、図1に示すように、挿通部68が一体的に形成される。第2筐体部66は、第1筐体部64と一体的に形成される。第2筐体部66の内径は、転舵シャフト40の径よりも十分に大きい。第2筐体部66には、ボールねじ機構50と、伝達機構54とが収容される。
操舵補助装置28は、ボールねじ機構50と、電動モータ52と、伝達機構54と、トルクセンサ70と、ECU(Engine Control Unit)72とを有する。
トルクセンサ70は、ステアリングシャフト32に設けられる。トルクセンサ70は、配線76を介して、ECU72と電気的に接続される。配線76は、例えば、ワイヤーハーネスである。トルクセンサ70は、ステアリングシャフト32の回転量に応じた信号をECU72に出力する。ECU72および電動モータ52は、ケース74に収容される。ケース74は、図1に示すように、第2筐体部66の近傍の位置に配置され、ハウジング34に固定される。
ECU72は、トルクセンサ70から取得した信号に基づいて、運転者からステアリングホイール30に加えられたトルク(運転者がステアリングホイール30を回す回転力)を検出する。ECU72は、当該トルクに基づき、電動モータ52の回転数を制御する。電動モータ52のトルクは、伝達機構54に伝達される。
操舵補助装置28は、電動モータ52のトルクを、伝達機構54を介してボールねじ機構50に伝達する。ボールねじ機構50は、当該トルクを軸方向に転舵シャフト40を移動させる力に変換する。これにより、転舵機構26に転舵輪48を転舵させる補助力が付与される。従って、運転者がステアリングホイール30を操作して、車両を転舵させる際の負荷が軽減される。
次に、本実施形態のダンパ装置20について説明する。図2は、図1の領域E1を拡大して示す断面図である。ダンパ装置20は、鍔状部84と、受部98と、衝撃吸収部材10とを有する。なお、ダンパ装置20は、転舵シャフト40の両端部に設けられるが、以下の説明では、転舵シャフト40のうち一方の端部に設けられるダンパ装置20を代表して説明する。
鍔状部84は、転舵シャフト40のうち一方の端部に装着されたスタッドエンドである。鍔状部84の外径は、図2に示すように、転舵シャフト40の径よりも大きい。鍔状部84は、転舵シャフト40の外周面から径外方へ張り出す環状面84aを有する。「径外方」とは、転舵シャフト40の中心軸Cに直交し、中心軸Cから離れる方向である。また、以下の説明では、転舵シャフト40の中心軸Cに直交し、ハウジング34側から中心軸Cへ向かう方向を「径内方」とする。さらに、以下の説明では、転舵シャフト40の中心軸Cに直交する方向を「径方向」とする。
転舵シャフト40のうち一方の端部には、図2に示すように、筒状の凹部86が設けられる。凹部86の内周面には、図示を省略した雌ねじが形成される。また、鍔状部84は、環状面84aから突出する凸部88を有する。凸部88は、円柱状に構成される。凸部88の外周面には、図示を省略した雄ねじが形成される。凸部88の外周面に形成される雄ねじは、凹部86の内周面に形成される雌ねじと噛合う。即ち、凸部88は、凹部86に螺合する。これにより、転舵シャフト40のうち一方の端部に鍔状部84が連結される。
鍔状部84は、図2に示すように、開口部90を有する。開口部90は、ボールスタッド92側に開口する有底孔である。開口部90は、鍔状部84のうち凸部88とは反対側に設けられる。開口部90は、ボールスタッド92のうち一方の端部に設けられる球形部92aを収容する。球形部92aは、図2に示すように、緩衝材94を介して開口部90に収容される。ボールスタッド92は、中心軸Cを中心として揺動可能である。
受部98は、ハウジング34の内周面から径内方へ突出する環状の構造体であり、ハウジング34と一体的に形成される。受部98は、転舵シャフト40の外周面を包囲する。受部98の内径は、転舵シャフト40の径よりも若干大きい。受部98は、環状面98aを有する。環状面98aは、受部98のうち鍔状部84側に位置する端面である。
ハウジング34には、図2に示すように、収容部96が設けられる。収容部96は、環状面98aと、ハウジング34の内周面とにより画定される筒状の空間である。収容部96は、鍔状部84を収容する。収容部96の内径は、鍔状部84の外径よりも大きい。
図3は衝撃吸収部材10の構成例を示す斜視図であり、図4は衝撃吸収部材10の構成例を示す断面図である。衝撃吸収部材10は、図3に示すように、中心軸Cを中心とした環状の構造体である。衝撃吸収部材10は、軸方向において、鍔状部84の環状面84aと、受部98の環状面98aとの間に配置される。本実施形態の衝撃吸収部材10は、転舵シャフト40の軸方向の移動に伴って、鍔状部84の環状面84aが受部98の環状面98aに直接当接することを防止する部材である。
衝撃吸収部材10は、図2および図4に示すように、弾性体12と、環状体11とを有する。弾性体12は、転舵シャフト40の外周面を包囲する環状の部材である。弾性体12は、軸方向に沿って収容部96に押し込まれ、受部98の環状面98aに当接する。環状面98aに当接している状態において、弾性体12は、ハウジング34の内周面に対向する。弾性体12の外径は、収容部96の内径と同等である。弾性体12は、例えば、熱硬化性または熱可塑性のエラストマーからなるゴムである。あるいは、弾性体12は、加硫ゴムであってもよい。
環状体11は、図2に示すように、弾性体12に設けられ、転舵シャフト40の外周面を包囲する。環状体11は、弾性体12から露出する。環状体11は、軸方向において、鍔状部84の環状面84aに対向する。
環状体11は、弾性体12に埋め込まれるプレート材である。環状体11は、弾性体12に接着されることによって、弾性体12に固定される。衝撃吸収部材10は、弾性体12と環状体11とが加硫接着することにより構成される。あるいは、弾性体12に環状体11が固定された状態である衝撃吸収部材10の製造方法は特に限定されないが、例えば、インサート成型法が用いられる。環状体11は、弾性体12よりも剛性が高い材料からなる。当該材料は、特に限定されないが、典型的には鉄などの金属材料である。
環状体11は、図4に示すように、支持部111と、突起部112とを有する。支持部111は、鍔状部84の環状面84aに平行であり、径方向に沿って平坦な環状体である。図2に示すように、支持部111は、軸方向において、環状面84aに対向する。
突起部112は、図4に示すように、支持部111のうち弾性体12との対向面10Sから弾性体12に入り込む突起である。突起部112は、転舵シャフト40の中心軸Cを中心として環状に構成される。当該「入り込む」とは、突起部112が弾性体12を押圧することによって弾性体12を変形させつつ、弾性体12に食い込むことを意味する。「入り込む」の定義は、以下の説明においても同様である。突起部112は、環状体11のうち、支持部111の表面から弾性体12に入り込む部分である。突起部112は、図4に示すように、先端部112aとR部112bとを有する。先端部112aは、環状体11のうち最も弾性体12に入り込む曲面を含む領域である。R部112bは、環状体11のうち先端部112aと支持部111との間の領域であり、曲面を有する。環状体11が金属板である場合、突起部112は、図4に示すように、当該金属板の表面から張り出し、屈曲している部分である。突起部112は、例えば、金属板をプレス成型することによって形成される。これにより、低コストで環状体11を作成することができる。従って、衝撃吸収部材10を製造する上での製造コストが抑えられる。
図5および図6は、従来のダンパ装置201の衝撃吸収部材101が衝撃を吸収する様子を示す断面図である。図7は、本実施形態のダンパ装置20の衝撃吸収部材10が衝撃を吸収する様子を示す断面図である。従来のダンパ装置201は、鍔状部841と、受部981と、衝撃吸収部材101とを有する。ダンパ装置201は、衝撃吸収部材101を除き、ダンパ装置20と同様の構成である。従来の衝撃吸収部材101は、図5および図6に示すように、環状体110と弾性体121とを有する。環状体110は、転舵シャフト401の外周面を包囲する環状の平板材である。環状体110は、図5および図6に示すように、弾性体121に入り込む突起がない構成である。この点は、本実施形態の環状体11と異なる。
従来の衝撃吸収部材101においては、転舵シャフト401が軸方向に移動すると、図5に示すように、鍔状部841が環状体110に当接する。そして、転舵シャフト40が軸方向にさらに移動すると、鍔状部841が環状体110を軸方向に押圧する。環状体110は、鍔状部841から軸方向に押圧されながら、弾性体121を軸方向に押圧する。これにより、弾性体121は、図6に示すように、環状体110と受部981とに挟持されることによって変形する。この際、鍔状部841とハウジング341の内周面と受部981により囲まれた空間S1内において圧縮された弾性体が充満し、空間S1を画定する各種部品に弾性体121が与える反力が急激に上昇する。これにより、空間S1を画定する各種部品(鍔状部841および受部981など)に対して、圧縮された弾性体121から過剰な負荷がかけられることによって、ダンパ装置201の耐久性が低下するおそれがある。
一方、本実施形態の衝撃吸収部材10では、図7に示すように、環状体11の突起部112が弾性体12に入り込んでいる。これにより、鍔状部84が環状体11を介して弾性体12を軸方向に押圧すると、弾性体12のうち突起部112とハウジング34との間の部分12bと、弾性体12のうち突起部112と転舵シャフト40の外周面との間の部分12aとが局所的に圧縮されることによって、部分12aと部分12bの剛性が、弾性体12のうち部分12aおよび部分12bを除く部分の剛性と比較して一時的に高くなり、弾性体12が鍔状部84を押し返す反力が向上する。従って、鍔状部84に押圧されても、鍔状部84とハウジング34の内周面と受部98とにより画定される空間S2内において過剰に変形することなく鍔状部84を押し返す十分な反力が弾性体12に生じる。これにより、空間S2を画定する各種部品(鍔状部84および受部98など)に対して、圧縮された弾性体12から過剰な負荷がかけられることが抑制される。従って、ダンパ装置20の耐久性が低下することが抑制される。
図8は、本実施形態の衝撃吸収部材10と従来の衝撃吸収部材101の変位と反力の関係を表すグラフである。ここで、図8に示す「反力」とは、衝撃吸収部材が鍔状部を押圧する押圧力であり、「変位」とは、ハウジング34に対する転舵シャフト40の移動量である。図8を参照すると、非線形領域E2内において、衝撃吸収部材10のほうが衝撃吸収部材101よりも反力が高いことわかる。つまり、衝撃吸収部材10と衝撃吸収部材101は、変位が同じであっても、非線形領域E2内においては、衝撃吸収部材10のほうが鍔状部を押し返す反力が高いことがわかる。換言すると、非線形領域E2内において、衝撃吸収部材10と衝撃吸収部材101とで同じ反力を生じさせる変位を比較すると、衝撃吸収部材101よりも衝撃吸収部材10のほうが、変位が少ない。これは、弾性体12には、弾性体121より変形せずとも、弾性体121と同じ反力が生じることを意味する。よって、弾性体12は、空間S2内で大きく変形せずとも弾性体121と同じ反力が得られる。従って、本実施形態のダンパ装置20は、従来のダンパ装置201よりも耐久性の低下が抑制されるという、前述した作用効果が得られる。
B:第2実施形態
図9~図11は、第2実施形態に係る衝撃吸収部材102の構成例を示す断面図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図9~図11において、環状体11と弾性体12との境界線のうち黒い太線で表現される範囲は環状体11と弾性体12とが相互に接着される範囲を意味し、実線で表現される範囲は環状体11と弾性体12とが相互に接着されない範囲を意味する。
第2実施形態の衝撃吸収部材102においては、環状体11の表面のうち先端部112aの表面は弾性体12に接着されず、支持部111の表面は弾性体12に接着される。以下、衝撃吸収部材102において、環状体11の表面のうち先端部112aの表面が弾性体12に接着されず、支持部111の表面が弾性体12に接着される、具体的な構成例についていくつか説明する。
(具体例1)
図9は、具体例1に係る衝撃吸収部材102の断面図である。具体例1における衝撃吸収部材102は、図9に示すように、環状体11の表面のうち、支持部111の表面とR部112bの表面の全部が弾性体12に接着され、先端部112aの表面が弾性体12に接着されない。
(具体例2)
図10は、具体例2に係る衝撃吸収部材102の断面図である。具体例2における衝撃吸収部材102は、図10に示すように、環状体11の表面のうち、支持部111の表面とR部112bの表面の一部が弾性体12に接着され、R部112bの表面の他の一部と先端部112aの表面が弾性体12に接着されない。
(具体例3)
図11は、具体例3に係る衝撃吸収部材102の断面図である。具体例3における衝撃吸収部材102は、図11に示すように、環状体11の表面のうち、支持部111の表面が弾性体12に接着され、R部の表面の全部と先端部112aの表面が弾性体12に接着されない。この構成によれば、弾性体12は、鍔状部84から環状体11を介して軸方向に押圧されると、径方向に膨らむ。そして、受部98と支持部111との間において、弾性体12のうち部分12a(弾性体12のうち突起部112と転舵シャフト40の外周面との間の部分)および部分12b(弾性体12のうち突起部112とハウジング34との間の部分)が局所的に圧縮される。これにより、部分12aおよび部分12bの剛性が向上し、弾性体12が鍔状部84を押し返す反力が向上する。
図12は、第2実施形態に係る衝撃吸収部材102の変位とばね定数の関係を示すグラフである。ここで、図12に示す「変位」とは、ハウジング34に対する転舵シャフト40の移動量であり、「ばね定数」とは、衝撃吸収部材102が鍔状部84を押圧する押圧力を、当該変位で除した値である。また、「規定ストローク量」とは、具体例1~具体例3に係る衝撃吸収部材102のばね定数を測定する際に基準となる、ハウジング34に対する転舵シャフト40の移動量である。
図12を参照すると、変位が規定ストロークに到達した際の具体例1~具体例3のばね定数を比較すると、具体例1から具体例3の順に、ばね定数が大きいことがわかる。即ち、R部112bのうち弾性体12に接着される面積が小さいほど、ばね定数が大きくなることがわかる。換言すると、R部112bのうち弾性体12に接着される面積が小さくなるに従って、弾性体12が鍔状部84を押し返す反力が向上するといえる。
C:変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の態様に限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、前述の態様では、ステアリング装置22が電動式のパワーステアリング装置であることを前提として説明したが、本発明は、例えば、油圧式のパワーステアリング装置に適用されてもよい。
また、前述の態様のボールねじ機構50の循環方式は、エンドデフレクタ式であるがこれに限られず、例えば、リターンチューブ式、エンドギャップ式、こま式、または、リターンプレート式の循環方式が採用されてもよい。
図13は、変形例に係る衝撃吸収部材10の構成例を示す断面図であり、衝撃吸収部材10を分解して示す図である。変形例に係る衝撃吸収部材10に含まれる弾性体12は、図13に示すように、溝12Tを有する。溝12Tは、転舵シャフト40の中心軸Cを中心として環状に構成される。溝12Tの表面の形状は、環状体11のうち弾性体12側に位置する表面の形状と同等である。溝12Tは、図13に示すように、開口部12Taと凹部12Tbとを有する。開口部12Taは、溝12Tのうち径方向に沿って平坦な部分である。開口部12Taの径方向の寸法D1は、支持部111の径方向の寸法111Dと同等である。凹部12Tbは、開口部12Taに連通し、開口部12Taから軸方向に沿って形成される。凹部12Tbの径方向の寸法D2は、突起部112の径方向の寸法112Dと同等である。
前述の態様では、突起部112が弾性体12を押圧することによって弾性体12を変形させつつ、弾性体12に食い込む。ただし、変形例に係る衝撃吸収部材10においては、支持部111が開口部12Taに嵌り込み、突起部112が凹部12Tbに嵌り込む。
D:補足
前述の態様の衝撃吸収部材10,102は典型的には車両用の衝撃吸収部材である。ただし、本発明の用途は特に限定されず、前述の衝撃吸収部材10,102が使用可能な産業用機器全般に適用されてよい。
加えて、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
衝撃吸収部材…10,101,102、環状体…11,110、弾性体…12,121、転舵シャフト…40,401、ハウジング…34,341、鍔状部…84,841、環状面…84a,98a、受部…98,981、支持部…111、突起部…112、先端部…112a、R部…112b。

Claims (6)

  1. 軸方向に移動するシャフトの外周面から張り出す環状面を有する鍔状部と、前記シャフトを収容する筒状のハウジングの内周面から前記シャフト側へ張り出す環状の受部との間に配置される衝撃吸収部材であって、
    前記環状面と前記受部との間において前記シャフトを包囲し、前記ハウジングの内周面に対向する環状の弾性体と、
    前記弾性体に設けられ、前記環状面に対向する環状体であって、前記弾性体よりも剛性が高い環状体と、を具備し、
    前記環状体は、
    前記環状面に対向する支持部と、
    前記支持部における前記弾性体との対向面から前記軸方向に突出して前記弾性体に入り込む突起部とを含み、
    前記弾性体は、
    前記突起部の先端部と前記受部との間に位置する部分を含む
    ことを特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 前記支持部の表面は、前記弾性体に接着され、
    前記突起部の先端部の表面は、前記弾性体に接着されない
    ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収部材。
  3. 前記突起部は、前記先端部と前記支持部との間の領域であるR部をさらに有し
    前記R部および前記先端部は、前記弾性体に接着されない
    ことを特徴とする請求項2に記載の衝撃吸収部材。
  4. 前記環状体は、金属板であり、
    前記突起部は、前記金属板の表面から前記軸方向に張り出し、屈曲している
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材。
  5. 前記弾性体は、さらに、
    前記突起部と前記ハウジングの内周面との間の部分と、
    前記突起部と前記シャフトの外周面との間の部分とを含む
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の衝撃吸収部材。
  6. 軸方向に移動するシャフトの外周面から張り出す環状面を有する鍔状部と、
    前記シャフトを収容する筒状のハウジングの内周面から前記シャフト側へ張り出す環状の受部と、
    前記鍔状部と前記受部との間に配置される衝撃吸収部材と、を具備し、
    前記衝撃吸収部材は、
    前記環状面と前記受部との間において前記シャフトを包囲し、前記ハウジングの内周面に対向する環状の弾性体と、
    前記弾性体に設けられ、前記環状面に対向する環状体であって、前記弾性体よりも剛性が高い環状体と、有し、
    前記環状体は、
    前記環状面に対向する支持部と、
    前記支持部における前記弾性体との対向面から前記軸方向に突出して前記弾性体に入り込む突起部とを含み、
    前記弾性体は、
    前記突起部の先端部と前記受部との間に位置する部分を含む
    ことを特徴とするダンパ装置。
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