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JP3764565B2 - 熱型赤外線検出器 - Google Patents

熱型赤外線検出器 Download PDF

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JP3764565B2
JP3764565B2 JP25430997A JP25430997A JP3764565B2 JP 3764565 B2 JP3764565 B2 JP 3764565B2 JP 25430997 A JP25430997 A JP 25430997A JP 25430997 A JP25430997 A JP 25430997A JP 3764565 B2 JP3764565 B2 JP 3764565B2
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秀次 高田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、キャンとステムとよりなる容器内にサーモパイルよりなる感温素子を設けた熱型赤外線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
物体の温度を非接触で測定する温度測定装置の一つに、導電体で形成された容器内にサーモパイルよりなる感温素子を設けた熱型赤外線検出器がある。この熱型赤外線検出器は、図に示すように、二種の熱電材料を接続した複数の熱電対を直列に接続したサーモパイルよりなる感温素子51を設け、この感温素子51の冷接合部をヒートシンク52に熱的に接続するとともに、容器53の底面部53aに絶縁部材54を介して支持される正リードピン55および負リードピン56とで絶縁状態で支持されるヒートシンク57を設け、接地リードピン58をハンダ58aを介して導電体の前記容器53に設け、この容器53に、例えば、フッ化カルシウムで構成される赤外線透過性窓59を接着して、感温素子51の温接合部において測定対象である物体から放射されている赤外線を検出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように構成した従来の熱型赤外線検出器においては、入射赤外線Aにより赤外線透過性窓59から発生する熱を逃がし切れないから、この熱によって放射される赤外線も、赤外線透過性窓59を透過した赤外線とともに検出される。よって、出力誤差が大きく、また、視野特性が悪かった。
【0004】
更に、赤外線透過性窓59はフッ化カルシウムで構成されているから、赤外線透過性窓59と容器53とが電気的に結合されず、赤外線透過性窓59と容器53との間に電気的導通が無く、そのため、電磁気に対するシールド性が悪く、電気的なノイズを受け易かった。したがって、長期間にわたって安定に動作する熱型赤外線検出器を得ることができなかった。
【0005】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、入射赤外線により赤外線透過性窓から発生する熱を効率よく逃がすことができるとともに、電気的なノイズを受け難い熱型赤外線検出器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、第1の赤外線透過性窓が電気的導通可能に結合されたキャンと、電気的に絶縁された状態で上下に貫設された信号取り出し用のリードピンを有するステムとからなる容器内に、上下2つのヒートシンクに挟まれた状態で、サーモパイルよりなる感温素子がその冷接合部を前記両ヒートシンクと熱的に結合するようにして配置されてなる熱型赤外線検出器において、前記ステムは銅製であるとともに、下側のヒートシンクは銅製で椀状に形成され、この椀状下側のヒートシンクを伏せた状態にしてその側部の開放側下端部が前記ステムの上面に良熱伝導性接着剤により固着され、かつ、上側のヒートシンクは銅製でその中央部に穴を有するドーナツ状に形成され、この上側のヒートシンクの上面には、良熱伝導性半導体を母材とし、この母材の両面に前記第1の赤外線透過性窓を通過した入射赤外線のうち、特定波長の赤外光のみを透過させて感温素子の受光部に至らせる波長選択性多層膜を形成している第2の赤外線透過性窓が前記上側のヒートシンクの中央部の穴を覆う状態で良熱伝導性接着剤により固着され、さらに、少なくとも前記下側のヒートシンクおよびリードピンを熱的に結合したことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細について図を参照しながら説明する。
【0008】
図1〜図3は、この発明の第1の実施形態を示し、まず、図1において、1は下部側が開放された筒状のキャン2と、このキャン2の下方開口側を閉塞する板状のステム3とからなる容器で、両者2,3は、例えば圧接(または溶接)によって接合され、これにより容器1が封止されている。
【0009】
前記キャン2は、例えば厚さ0.3mm程度の銅板をプレス加工によりハット状に形成したもので、その外面は鏡面あるいは光沢めっきが施されている。そして、このキャン2の上面中央部には、当該部分を適宜の大きさだけ矩形状に切除して形成された開口に、シリコン、ゲルマニウム等の熱伝導性が良好な半導体を母材とする赤外線透過性窓(第1の赤外線透過性窓)4が、前記母材の両面にコーティング膜を有する状態で、はんだa付けすることにより形成されている。そして、半導体を母材としているので、電気伝導性が良好である。なお、5はキャン2の開放下端部に形成される鍔部である。
【0010】
前記ステム3は、例えば厚さ1mm程度の銅板からなる。そして、このステム3には、2本の信号取り出し用のリードピン6が貫設され、その貫通部7はリードピン6とステム3を電気的に絶縁するためにガラス溶着が施されている。bはそのガラス溶着部である。また、8はステム3の下面に適宜の手法で固着されるアース用リードピンである。
【0011】
9は感温素子で、図2、図3に示すように、二種の熱電材料10,11を接続した複数の熱電対を直列に接続したサーモパイルよりなり、例えばポリエチレン系樹脂よりなる薄い絶縁基板12上に、冷接合部13が外側に、温接合部14が内側にそれぞれ位置するように形成されてなるものである。15は信号取り出しリードである。そして、感温素子9の温接合部14を含む絶縁基板12上の領域には、感温素子9の受光部Rが形成されている。この受光部Rは、例えば、金黒あるいは銀黒の蒸着膜で構成される。
【0012】
16は前記感温素子9を保持する下側のヒートシンクで、例えば厚さ0.4mm程度の銅板をプレス加工によって底部に穴16aを有する状態で椀状に形成し、これを伏せた状態にしてステム3の上面に当接載置したもので、その側部17の開放側下端部はエポキシ樹脂など熱伝導性に優れた接着剤18によって固着されている。そして、このヒートシンク16の上部平面部19上に、絶縁基板12上に形成された感温素子9が穴16aを覆う状態で載置される。
【0013】
20は、前記第1の赤外線透過性窓4を透過した赤外線を透過させる第2の赤外線透過性窓で、シリコン、ゲルマニウム等の熱伝導性が良好な半導体を母材とし、この母材の両面に波長選択性多層膜を形成して構成されている。これにより、第2の赤外線透過性窓20を特定波長の赤外光のみが透過する。第2の赤外線透過性窓20は、例えば、8μmカットオンフィルタである。
【0014】
21は前記第2の赤外線透過性窓20を前記第1の赤外線透過性窓4に臨むようにして保持する上側のヒートシンクで、銅よりなり、ドーナツ状に形成されている。第2の赤外線透過性窓20は上側のヒートシンク21の上面cに熱伝導性接着剤(例えば、エポキシ樹脂)によって固着されている。
【0015】
そして、感温素子9は、上下2つのヒートシンク21,16に挟まれた状態で冷接合部13を両ヒートシンク21,16と熱的に結合するようにして配置されている。つまり、感温素子9はそれの上側を上側のヒートシンク21の底部内環状面21aに密着するようにして固着され、底部内環状面21aから下方へ至る段差mを介して底部外環状面21bに絶縁基板12がヒートシンク16の上部平面部19とにより密着している。
【0016】
更に、上側のヒートシンク21の穴22の径Dが、感温素子9の受光部Rの径dの1.5倍以下に設定されている。
【0017】
而して、第1の赤外線透過性窓4を通過した入射赤外線のうち、特定波長の赤外光のみが第2の赤外線透過性窓20を透過して受光部Rに至る。この際、入射赤外線による第2の赤外線透過性窓20の発生する熱を上下2つのヒートシンク21,16に効率良く逃がすことができ、前記熱によって放射される赤外線が無くなるので、入射赤外線のうち第2の赤外線透過性窓20を透過した特定波長の赤外光だけに感温素子9が感応する。よって、視野特性の良好な熱型赤外線検出器を得ることができる。
【0018】
また、第1の赤外線透過性窓4の母材であるシリコン、ゲルマニウム等の半導体と導電体の容器1がハンダaを介して電気的に結合されるので、電磁気に対するシールド性を向上でき、電気的なノイズを受けることはない。よって、長期間にわたって安定に動作する熱型赤外線検出器を得ることができる。
【0019】
また、下側のヒートシンク16およびリードピン6は熱的に結合されている。
【0020】
【0021】
この発明は、上述の実施例に限られるものではなく、種々の変形して実施することができる。例えば、キャン2をアルミニウムやフェルニコなどの鉄系合金で形成してあってもよい。
【0022】
また、ヒートシンク16,30の表面に厚さ数μm程度の電気的絶縁コーティングを施すようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
この発明は、上下2つのヒートシンクと2つの赤外線透過性窓とを熱的に結合して入射赤外線による第2の赤外線透過性窓の発生する熱を上下2つのヒートシンクに効率良く逃がすことができ、第2の赤外線透過性窓の発生する熱によって放射される赤外線の感温素子への入射を防止できる。
【0024】
このように感温素子は、物体から放射されている赤外線のうち、第1の赤外線透過性窓から第2の赤外線透過性窓を透過してきた赤外線だけに感応するため、出力誤差を軽減でき、かつ、視野特性の良好な熱型赤外線検出器を得ることができる。
【0025】
また、第1の赤外線透過性窓の母材である半導体と導電体の容器が電気的に結合されるので、電磁気に対するシールド性を向上でき、電気的なノイズを受けることはない。よって、長期間にわたって安定に動作する熱型赤外線検出器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の熱型赤外線検出器の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】 前記熱型赤外線検出器の分解斜視図である。
【図3】 前記熱型赤外線検出器で用いる感温素子の構成を概略的に示す平面図である。
【図4】 従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…容器、2…キャン、3…ステム、4,20…赤外線透過性窓、6…リードピン、9…感温素子、13…冷接合部、16,21…ヒートシンク、22…穴、R…感温素子の受光部。

Claims (4)

  1. 第1の赤外線透過性窓が電気的導通可能に結合されたキャンと、電気的に絶縁された状態で上下に貫設された信号取り出し用のリードピンを有するステムとからなる容器内に、上下2つのヒートシンクに挟まれた状態で、サーモパイルよりなる感温素子がその冷接合部を前記両ヒートシンクと熱的に結合するようにして配置されてなる熱型赤外線検出器において、前記ステムは銅製であるとともに、下側のヒートシンクは銅製で椀状に形成され、この椀状下側のヒートシンクを伏せた状態にしてその側部の開放側下端部が前記ステムの上面に良熱伝導性接着剤により固着され、かつ、上側のヒートシンクは銅製でその中央部に穴を有するドーナツ状に形成され、この上側のヒートシンクの上面には、良熱伝導性半導体を母材とし、この母材の両面に前記第1の赤外線透過性窓を通過した入射赤外線のうち、特定波長の赤外光のみを透過させて感温素子の受光部に至らせる波長選択性多層膜を形成している第2の赤外線透過性窓が前記上側のヒートシンクの中央部の穴を覆う状態で良熱伝導性接着剤により固着され、さらに、少なくとも前記下側のヒートシンクおよびリードピンを熱的に結合したことを特徴とする熱型赤外線検出器。
  2. 前記第1の赤外線透過性窓とキャンがハンダで接合され、前記キャンとステムは圧接または溶接によって接合され、前記下側のヒートシンクおよびステムを熱的に結合している請求項1に記載の熱型赤外線検出器。
  3. 前記上側のヒートシンクの穴の径が、前記感温素子の受光部の径の1.5倍以下に設定されている請求項1または請求項2に記載の熱型赤外線検出器。
  4. 前記第1の赤外線透過性窓は、半導体を母材とし、その母材の両面に赤外線を透過するコーティング膜を形成して構成されている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱型赤外線検出器。
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