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JP3760429B2 - 2駆動系流体圧チャック - Google Patents

2駆動系流体圧チャック Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2個の駆動系を有する流体圧チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流体圧チャックは、把持するワークが平面視円形または正方形のように中心から外周までの距離が等しい場合には、互いに直交する方向に設けた2組の把持手段を1つの駆動系で駆動することによって、把持するワークの位置決めをすることができる。
しかしながら、ワークが平面視楕円形または長方形のように中心から外周までの距離に長短がある場合は、これらの把持手段を1つの駆動系によって駆動すると、一方の把持手段がワークの長径または長辺を把持すると駆動系が停止して、他方の把持手段がワークの短径または短辺を把持できないために、ワークの位置決めをすることができない。
したがって、平面視楕円形または長方形のようなワークの位置決めする場合には、流体圧チャックを2駆動系として、2組の把持手段を個別に駆動させる必要がある。
【0003】
図4及び図5は既提案の2駆動系流体圧チャックを示し、この流体圧チャック1は、逆カップ状の第1のシリンダ部材2と第2のシリンダ部材3、及びボディ4とフィンガガイド5を備え、これらの部材は連結ボルト等の周知の手段によって一体に組み付けられている。
第1のシリンダ部材2に形成された第1の流体圧シリンダ7には第1のピストン7aが、第2のシリンダ部材3に形成された第2の流体圧シリンダ8には第2のピストン8aが、いずれも気密に摺動可能に挿入されており、第1のピストン7aの第1のロッド9は、これと同心の第2のピストン8a及び第2のロッド10の中心を気密に貫通してフィンガガイド5内に突出し、中空円筒状の第2のロッド10はボディ4の中心孔を気密に貫通している。
また、第1のシリンダ部材2には第1のピストン7aで区画された一対のシリンダ室に圧縮空気を給排するポート11a,11bが、第2のシリンダ部材3には第2のピストン8aで区画された一対のシリンダ室に圧縮空気を給排するポート12a,12bが、それぞれ開設されている。
【0004】
第1のロッド9における第2のロッド10から突出する部分の外周面には第1係止凹溝9a,9aが、第2のロッド10の先端近くの外周面には第2係止凹溝10a,10aが、互いに直交する方向に形成されている。
また、ボディ4の第1係止凹溝9aと対向する面には、フィンガガイド5側が開口する切欠き溝14,14が、第2係止凹溝10aと対向する面には、フィンガガイド5側が開口するスリット15,15が、それぞれ形成されており、切欠き溝14,14に第1ピン14a,14aが、スリット15,15に第2ピン15a,15aが(いずれも1個のみ図示)、それぞれ設けられている。
【0005】
フィンガガイド5の直径方向の溝5a,5aには第1フィンガ16,16が、これと直交する直径方向の溝5b,5bには第2フィンガ17,17が、それぞれ半径方向に移動可能に設けられており、フィンガ16と17の上面に第1係止凹部16aと第2係止凹部17aがそれぞれ形成されている。
また、屈曲部が上記ピン14aに枢支された第1レバー18は、その両端が係止凹溝9aと係止凹部16aとに揺動可能に係止され、屈曲部が上記ピン15aに枢支された第2レバー19は、その両端が係止凹溝10aと係止凹部17aとに揺動可能に係止されている。
【0006】
図4はポート11b,12bから圧縮空気が供給された状態を示し、ピストン7aと8aがいずれも図において下動して、レバー18と19がいずれも外向きに回動しているので、第1フィンガ16,16及び第2フィンガ17,17は開放状態にある。
この状態において、ポート11aから圧縮空気を供給してポート11bから圧縮空気を排出すると、第1のピストン7aが図において上動して第1レバー18,18が互いに内向きに揺動するので、これによって中心に向いて移動する第1フィンガ16,16が、図示を省略しているワークの一方の径または辺を把持する。この場合、第2の流体圧シリンダ8は作動しないので、第2フィンガ17,17は開放状態を保持している。
次いで、ポート12aから圧縮空気を供給してポート12bから圧縮空気を排出すると、第2のピストン8aが上動して第2レバー19,19が互いに内向きに揺動するので、第2フィンガ17,17がワークの他方の径または辺を把持する。この場合、第1の流体圧シリンダ7は作動しないので、第1フィンガ16,16はワークを把持した状態を保持している。
したがって、流体圧シリンダ7と8によって、フィンガ16,16と17,17を個別に開閉することができるので、ワークが平面視楕円形または長方形の場合であっても、その位置決めをすることができる。
【0007】
しかしながら、上記既提案の流体圧チャック1は、第1レバー18の揺動と第2のロッド10のストロークとの干渉をなくすために、第1のロッド9の軸方向長さを長くする必要があるので、流体圧チャック1全体の軸方向長さが長くなるという問題がある。また、ロッド9と10の外周面に背向する係止凹溝9a,9aと10a,10aを設けているために、これらのロッドに必要な強度を持たせるためにはその径を大きくする必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、コンパクトな2駆動系流体圧チャックを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記課題を解決するため、本発明の2駆動系流体圧チャックは、対向する2個のフィンガを有し互いに直交する方向に設けられた第1、第2の把持手段と、これらの把持手段と直交する方向でかつ同心に設置された第1、第2の流体圧シリンダとを備え、これらの流体圧シリンダによって第1、第2の把持手段のフィンガを個別に開閉させる2駆動系流体圧チャックにおいて、上記第1の流体圧シリンダの第1のロッドが、第2の流体圧シリンダ及び第2のロッドを気密に貫通するとともに、先端に上記第1の把持手段の2個のフィンガを開閉させるための第1カム部材を備え、上記第2のロッドが、先端に上記第2の把持手段の2個のフィンガを開閉させるための第2カム部材と、第1カム部材が通る軸方向のスリットとを備え、上記第1のロッドのストロークで作動する第1カム部材によって第1の把持手段のフィンガを開閉させ、第2のロッドのストロークで作動する第2カム部材によって第2の把持手段のフィンガを開閉させることを特徴としている。
【0010】
また、同様の課題を解決するため、上記2駆動系流体圧チャックにおいて、第1、第2の把持手段におけるワークの把持力を異なるものとしたことを特徴としている。
【0011】
第1の流体圧シリンダに圧力流体を給排すると第1のロッドが所定の方向に移動するので、該ロッドに設けた第1カム部材により第1の把持手段の一対のフィンガを閉鎖してワークを把持することができ、第2の流体圧シリンダに圧力流体を給排すると第2のロッドが所定の方向に移動するので、該ロッドに設けた第2カム部材により第2の把持手段の一対のフィンガが閉鎖して、第1の把持手段と直交する方向からワークを把持することができる。
したがって、第1、第2の流体圧シリンダへの圧力流体の給排によって、互いに直交する方向に配設した第1、第2の把持手段が個別に作動してワークを把持するので、ワークの形状が平面視楕円形や長方形であってもその位置決めをすることができる。
上記第1、第2の流体圧シリンダへの圧力流体の供給及び排出は同時に行うことができ、この場合も第1、第2の把持手段が個別に作動するので、一方の把持手段がワークを把持しても、他方の把持手段が引き続き作動してワークを把持するために、ワークの位置決めをすることができる。
【0012】
この流体圧チャックは、第1、第2の把持手段を構成する第1、第2フィンガが、第1、第2のロッドの放射方向に設けたカム部材によって開閉することと、第2のロッドの軸方向に設けたスリットにより第1のロッドに設けた放射方向のカム部材が第2のロッドのストロークの支障とならないこととによって、これらのロッドの軸方向長さを短くできるので、2駆動系流体圧チャックをコンパクトにすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は本発明の実施例を示し、この2駆動系流体圧チャック21は、逆カップ状の第1のシリンダ部材22と、中空円筒状の第2のシリンダ部材23と、環状のフィンガガイド24とを備え、これらの部材はそれぞれ複数本の連結ボルト25aと25bによって一体に組み付けられており、第1のシリンダ部材22と第2のシリンダ部材23との間は、仕切り板26によって気密に区画されている。
【0014】
第1のシリンダ部材22に形成された第1の流体圧シリンダ28には第1のピストン28aが、第2のシリンダ部材23に形成された、第1の流体圧シリンダと同心の第2の流体圧シリンダ29には環状の第2ピストン29aが、それぞれ気密に摺動可能に挿入されいる。
また、第1のシリンダ部材22には、第1のピストン28aで区画された一対のシリンダ室に圧縮空気を給排するポート30a,30bが、第2のシリンダ部材23には、第2のピストン29aで区画された一対のシリンダ室に圧縮空気を給排するポート31a,31bが、それぞれ開設されている。
【0015】
基端が第1のピストン28aに螺着された第1のロッド33は、仕切り板26及び後記する中空円筒状の第2のロッド34の中心孔を気密に貫通し、フィンガガイド24内に位置する先端に、放射方向に突出する一体または別体に形成した第1カム部材35,35が設けられている。
また、基端が第2のピストン29aの中心孔に螺着された中空円筒状の第2のロッド34は、フィンガガイド24内に位置する先端に、放射方向に突出する一体または別体に形成した第2カム部材36,36が、これらのカム部材と直交する方向に第1カム部材35,35が通る一対のスリット37,37(1個のみ図示)が、それぞれ形成されている(図3参照)。このスリット37は下側が開口し、第2のピストン29aと第2のロッド34が下動位置にあっても、第1のピストン28aと第1のロッドが上動できる軸方向長さを備えている。
ピストン28a,29aば共に下動位置にあるときは、これらのカム部材35,35及び36,36はいずれも同一平面上にあり、先端近くの両側面に内向きに傾斜するカム溝35a,35aと36a,36aがそれぞれ形成されている。そして、上記実施例においては、第1のピストン28aの受圧面積が第2のピストン29aの受圧面積より若干小さくされている。
【0016】
フィンガガイド24の直径方向には、下方が開口する断面T字形の第1ガイド溝39,39と第2ガイド溝40,40が、互いに直交する方向に形成されている。
そして、第1ガイド溝39,39に第1の把持手段41を構成する第1フィンガ42,42が、第2ガイド溝40,40に第2の把持手段43を構成する第2フィンガ44,44が、いずれも脚部をガイド溝から下方に突出させた状態で半径方向に移動可能に挿入されている。これらのフィンガ42と44は同形で、かつガイド溝39,40と同様に断面T字形に形成されており、カム部材35,36の先端と対向する面に、これらのカム部材の先端部が挿入される挿入溝45aと、カム溝35a,36aと同角度で傾斜してこれらに係止する係止突部45bとが形成されている。
【0017】
フィンガガイド24の下面中央部には、ロッド33と34の下面を覆うカバー46がねじによって取付けられており、その外周に、フィンガ42,44の内方部分が遊挿される4個の切欠き溝46aが形成されている。
そして、ロッド33と34は、第1カム部材35,35がスリット37,37を通る状態でピストン28aと29aに組み付けられている。
また、フィンガ42と44は、フィンガガイド24のガイド溝39と40に半径方向に移動に挿入され、係止突部45bとカム溝35a,36aの係止によってガイド部材35と36の先端に組み付けられる。
第1図中の符号47は、フィンガ42と44に、図示を省略している指先を取付けるためのねじ孔、符号48は、ピストン28a,29aとロッド33,34とを螺合させる治具の挿入孔である。
【0018】
図1はポート30b,31bからそれぞれ圧縮空気が供給されている状態を示し、ピストン28a,29a及びロッド33,34が図における下動位置にあるので、第1フィンガ42,42及び第2フィンガ44,44はいずれも開放状態にある。
この状態において、ポート30aから圧縮空気を供給するとともにポート30bから圧縮空気を排出すると、第1のピストン28aと第1のロッド33が図1において上動するので、カム溝35aと係止突部45bとによって第1フィンガ42,42が中心側に移動して、ワーク(図示省略)の対向する一方の径または辺を把持する。この場合第2の流体圧シリンダ29は作動しないので、第2フィンガ44,44は開放状態を保持している。
【0019】
次いで、ポート31aから圧縮空気を供給するとともにポート31bから圧縮空気を排出すると、第2のピストン29aと第2のロッド34が図において上動するので、カム溝36aと係止突部45bとによって第2フィンガ44,44が中心側に移動して、ワークの対向する他方の径または辺を把持する。この場合第1の流体圧シリンダ28は作動しないので、第1フィンガ42,42はワークを把持した状態を維持している。
したがって、ワークを直交する2方向から把持して、その位置決めをすることができる。
【0020】
上記実施例は、第2のロッド34に第1カム部材35,35が通る軸方向のスリット37,37を設けたので、第1のロッド33の上下動位置に関係なく第2のロッド34を上下動することができる。また、第2のピストン29aの受圧面積を第1のピストン28aの受圧面積より若干大きくして、第2フィンガ44,44によるワークの把持力を第1フィンガ42,42の把持力若干より大きくしたので、第1フィンガ42,42がワークを把持していても、第2フィンガ44,44によって、第1フィンガ42,42による把持方向と直交する方向の位置決めをすることができる。
しかしながら、第1、第2の流体圧シリンダ28と29を同時に駆動してワークを把持することもできる。この場合は、いずれか一方のフィンガがワークの長径または長辺を把持しても、他方のフィンガが引き続き移動してワークの短径または短辺を保持するので、ワークの位置決めをすることができる。
【0021】
上記実施例は、第1、第2の流体圧シリンダ28と29によって、第1フィンガ42,42と第2フィンガ44,44を個別に駆動するので、平面視楕円形や長方形のワークの位置決めをすることができる。
また、第2のロッド34に第1のロッド33の第1カム部材35,35が通るスリット37,37を設けたことにより、レバーの揺動によってフィンガを開閉させるものに比べてロッド33と34の軸方向長さを短くできるので、流体圧チャック21をコンパクトなものにすることができる。
さらに、ロッド33と34に係止溝部を設ける必要がないので、ロッドの加工が容易でしかも小径にすることができる。
【0022】
なお、上記実施例における第1と第2は説明の便宜上付したものであって、図1における下側の流体圧シリンダを第1の流体圧シリンダとし、上側の流体圧シリンダを第2の流体圧シリンダとすることができるが、いずれにせよ、ワークの短径または短辺を把持する側の流体圧シリンダの把持力を、長径または長辺を把持する側の流体圧シリンダの把持力より大きくすることが好ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明の2駆動系流体圧チャックは、第1と第2のロッドの先端にそれぞれ設けたカム部材にとって一対のフィンガを開閉させることと、第2のロッドに第1のロッドのカム部材を通すための軸方向のスリットを設けたこととによって、これらのロッドの軸方向長さを短くできるので、2組の把持手段を個別に作動させる2駆動系流体圧チャックをコンパクトなものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のA−O−B断面図である。
【図2】実施例の裏面図である。
【図3】要部の斜視図である。
【図4】図5のC−O−D断面図である。
【図5】既提案の流体圧シリンダの裏面図である。
【符号の説明】
21 流体圧チャック
28,29 流体圧シリンダ
33,34 ロッド
35,36 カム部材
37 スリット
41,43 把持手段
42,44 フィンガ

Claims (2)

  1. 対向する2個のフィンガを有し互いに直交する方向に設けられた第1、第2の把持手段と、これらの把持手段と直交する方向でかつ同心に設置された第1、第2の流体圧シリンダとを備え、これらの流体圧シリンダによって第1、第2の把持手段のフィンガを個別に開閉させる2駆動系流体圧チャックにおいて、
    上記第1の流体圧シリンダの第1のロッドが、第2の流体圧シリンダ及び第2のロッドを気密に貫通するとともに、先端に上記第1の把持手段の2個のフィンガを開閉させるための第1カム部材を備え、
    上記第2のロッドが、先端に上記第2の把持手段の2個のフィンガを開閉させるための第2カム部材と、第1カム部材が通る軸方向のスリットとを備え、
    上記第1のロッドのストロークで作動する第1カム部材によって第1の把持手段のフィンガを開閉させ、第2のロッドのストロークで作動する第2カム部材によって第2の把持手段のフィンガを開閉させる、
    ことを特徴とする2駆動系流体圧チャック。
  2. 第1、第2の把持手段におけるワークの把持力を異なるものとした、
    ことを特徴とする請求項1に記載した2駆動系流体圧チャック。
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