JP3743134B2 - 反射防止膜形成用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の放射線を用いるリソグラフィープロセスにおける微細加工に有用で、特に集積回路素子の製造に好適な反射防止膜形成用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路素子の製造方法においては、より高い集積度を得るために、リソグラフィープロセスにおける加工サイズの微細化が進んでいる。このリソグラフィープロセスは、基板上にレジスト組成物を塗布、乾燥してレジスト膜を形成し、このレジスト膜に縮小投影露光装置(ステッパー)等によってマスクパターンを転写し、適当な現像液で現像することによって、所望のレジストパターンを形成する方法である。しかしながら、前記基板上にアルミニウム、アルミニウムーシリコン合金やアルミニウムーシリコンー銅合金、ポリシリコン、タングステンシリサイドのような反射率の高い膜が存在すると、前記リソグラフィプロセスにおいてレジスト膜に照射した放射線を表面で反射する。このため、露光工程でハレーションが生じて微細なレジストパターンを再現性よく形成できないという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、基板上にレジスト膜を形成する前に基板から反射した放射線を吸収する性質のある反射防止膜を形成する方法が提案されている。このような反射防止膜としては、真空蒸着、CVD、スパッタリング等の方法により形成されるチタン膜、二酸化チタン膜、チッ化チタン膜、酸化クロム膜、カーボン膜、またはαーシリコン膜等の無機膜が知られている。しかしながら、これらの無機系反射防止膜は、導電性を有するため、集積回路の製造には使用できなかったり、反射防止膜の形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の特別の装置を必要とする等の欠点があった。
【0004】
このようなことから、前記無機系反射防止膜の欠点を補うために、例えばポリアミド酸(共)重合体またはポリスルホン(共)重合体と染料からなる有機系反射防止膜(例えば、特開昭59−93448号公報)が提案されている。この反射防止膜は、導電性がなく、また適当な溶剤に溶解するために、特別の装置を必要とせずに、レジストと同様の方法によって基板上に塗布することができる。
【0005】
しかしながら、ポリアミド酸(共)重合体またはポリスルホン(共)重合体と染料からなる反射防止膜は、レジストと僅かながら混じり合う、インターミキシングと呼ばれる現象が起こるため、抜け不良、裾引きといったレジストパターン形状の劣化を招く等の問題がある。また、集積回路の微細化に伴い、今後更にレジストの薄膜化が求められている。ところが、前記反射防止膜はエッチングレートが低いために、前記レジストパターンをマスクとして下層反射防止膜を除去するドライエッチングで工程において、長時間のガスプラズマの照射を必要とする。このため、薄膜で塗布されたレジスト層もまた同時にエッチングされ、結果として著しいレジスト層の膜減りを招く。このようなレジストパターンをマスクとしたアルミニウム膜のような薄膜のパターニングを行っても、現像直後の高い精度を有するレジストパターンを前記薄膜に転写することが困難になる。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明の目的は、前記従来の諸問題を克服し、リソグラフィプロセスにおいて反射防止効果が高く、インターミキシングを生じることがなく、かつエッチングレートが高く、高解像度及び高精度等のレジストパターンを形成することが可能な反射防止膜形成用組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の反射防止膜形成用組成物は、(a−1)カルボン酸およびカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種と、(a−2)多価アルコールとを反応することにより得られる(A)アルキド樹脂と、
(B)溶剤と
を含有することを特徴とするものである。
このような反射防止層形成用組成物を用いるレジストパターンの形成方法は、基板上に前記組成物を塗布して反射防止層を形成する工程と、この反射防止層上にレジストを塗布してレジスト膜を形成する工程と、このレジスト膜に所定パターン形状に放射線を照射して露光する工程と、現像する工程と、得られたレジストパターンから露出する反射防止膜部分を除去する工程と、を具備する。
【0008】
本発明に係わる反射防止膜形成用組成物により所望の基板上に形成した反射防止膜は、反射防止効果が高く、かつこの上に形成されるレジストとのインターミキシングを防止することができ、さらに高いエッチングレートを有する。したがって、表面にアルミニウム膜のような反射率の高い膜が形成され基板上にレジスト膜を形成するに先立って本発明の反射防止膜形成用組成物を塗布して反射防止膜を形成し、前記レジスト膜を露光、現像処理することによって、前記レジスト塗布工程での反射防止膜とのインターミシングおよび前記露光工程での前記反射率の高い膜からの反射によるハレーションを防止できるため、高精度のレジストパターンを前記基板上に形成することが可能になる。また、パターニングされる下地層を露出させるためにレジストパターンをマスクとして前記反射防止膜をドライエッチングにより除去する際、前記反射防止膜は高いエッチング性を有するため、この反射膜の除去過程で前記レジストパターンが膜減りするのを防ぐことができる。その結果、現像処理直後の高精度のレジストパターンを基板上に残存させることが可能になる。したがって、前記レジストパターンをマスクとして反射率の高い膜のような下地層を選択的にエッチングすることにより現像直後の高精度のレジストパターンを前記下地層に再現性よく転写することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる反射防止膜用組成物を詳細に説明し、本発明の目的、構成、及び効果が明らかにする。
反射防止膜用組成物
本発明の反射防止膜用組成物は、(a−1)カルボン酸およびカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種と、(a−2)多価アルコールとを反応することにより得られる(A)アルキド樹脂と、(B)溶剤とを含有する。
【0010】
(A)アルキド樹脂:
前記アルキド樹脂は、前記(a−1)カルボン酸およびカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種からなる酸成分(以下、「酸成分(a−1)」ともいう)と(a−2)多価アルコールからなるアルコール成分(以下、「アルコール成分(a−2)」ともいう)を原料として製造することができる三次元網状構造の熱硬化性ポリエステル樹脂である。アルキド樹脂は、塗料や成形材料用途に広く利用されている。このような酸成分とアルコール成分の組み合わせにより各種のアルキド樹脂の製造が可能であり、そのポリスチレン換算重量平均分子量は100〜5000であることが好ましい。
【0011】
前記アルキド樹脂を製造する際に用いられる酸成分(a−1)としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族カルボン酸類及びそれらの酸無水物類;マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、テトラブロモフタル酸等の芳香族カルボン酸類およびそれらの酸無水物類;メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ナジック酸、メチルナジック酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリアルキルテトラヒドロフタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸、ヘッド酸等の脂環族カルボン酸類およびそれらの酸無水物類等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、好ましいものとしては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、ナジック酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびこれらの酸無水物等を挙げることができる。
前記アルキド樹脂を製造する際に用いられるアルコール成分(a−2)としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、マンニット等の脂肪族多価アルコール類;ヒドロキノン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の多価フェノール類;ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール等の芳香族多価アルコール類等が挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、好ましいものとしてはエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール等を挙げることができる。
【0012】
前記アルキド樹脂は、前記酸成分(a−1)あるいはアルコール成分(a−2)と反応しうる反応基を有する放射線を吸収しうる染料(以下反応性染料と略記する)をアルキド樹脂骨格内に組み込むことが好ましい。このような反応性染料を骨格に組み込んだアルキド樹脂を有する反射防止膜形成用組成物は、反射防止効果をより一層向上することができる。
前記反応性染料としては、例えば、9−アントラセンメタノール、1,2,10−アントラセントリオール、1,8,9−アントラセントリオール、2,6−ジヒドロキシアントラキノン、アントラルフィン、9−ヒドロキシフェナントレン、1−ナフトール、2−ナフトール、ナフタレンジオール等の芳香族アルコール類;9−アントラセンカルボン酸、アントラキノン−2−カルボン酸、フェナントレン−9−カルボン酸、ナフタレン酢酸、1.4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物1,4,8,5−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、1−フルオレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;アントラルミン、2−アミノナフタレン等の芳香族アミン類;フルオレノンオキシム、アントラセニルベンジルケトオキシム、メチル−α−ナフチルケトオキシム等の芳香族オキシム類;9−アントラアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、好ましい反応性染料としては、9−アントラセンメタノール、アントラフィン、9−アントラセンカルボン酸、フルオレノンオキシム、9−アントラアルデヒド等を挙げることができる。これらの反応性染料の使用量は、前記酸成分およびアルコール成分の総重量に対して、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
前記アルキド樹脂を製造する際には、塗布性、耐熱性等を改良する目的で、不飽和単量体を共重合成分として用いることを許容する。
【0013】
このような不飽和単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、0−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、0−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、0−アセトキシスチレン、、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン等の置換スチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系化合物;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル系化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、ジメチルビニルメタクリロイルオキシメチルシラン等の不飽和基含有不飽和カルボン酸エステル;2−クロロエチルビニルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸アリル等のハロゲン含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有ビニル系化合物;(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド等のアミド基含有ビニル系化合物;2−メタクロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクロイルオキシエチルマレイン酸等のカルボキシル基含有ビニル系化合物;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、9−ビニルカルバゾール等のビニルアリール系化合物等が挙げられる。これらの不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その使用量は、酸成分(a−1)およびアルコール成分(a−2)の総重量に対して通常、80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。
前記アルキド樹脂を製造する際には、機械的特性、耐薬品性等を改良する目的で、各種変性剤を添加することを許容する。これら変性剤としては、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リシノレン酸等の高級脂肪酸類;フェノール、フェニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、t−ブトキシフェノール等のフェノール類;アビエチック酸、レボピマリック酸、デキストラピマリック酸、ヒドロアビチック酸等のロジン類等が挙げられる。これらは単独あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
【0014】
前記アルキド樹脂は、前記酸成分(a−1)、アルコール成分(a−2)、必要に応じて配合される反応性染料および各種添加剤を混合し、加熱することによって製造される。その際、配合される全成分中の、(i)水酸基の総量と、(ii)カルボキシル基およびカルボン酸無水物基の総量とが好ましくは(i):(ii)=1モル:0.9〜1.1モル、特に好ましくは1モル:1モルになる割合で配合される。前記(i)と(ii)とのモル比が大きく異なると、生成するアルキド樹脂の分子量が小さくなり、好ましくない。
【0015】
前記アルキド樹脂を製造する際の反応温度は、通常、80℃〜300℃である。この反応時間は、反応温度によって種々選択されるが、通常、30分〜72時間である。また、アルキド樹脂の製造には触媒を用いても良く、例えば、酸化鉛等の鉛化合物;水酸化リチウム、リシノレイン酸リチウム等のリチウム化合物;酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ナフテン酸カルシウム等のカルシウム化合物等が用いられる。この中で、特に鉛化合物及びリチウム化合物が触媒活性が高く好ましい。添加量は、通常アルコール成分に対し0.1〜0.15重量%添加される。これ以上の触媒の添加は、反応時間を短縮することには寄与しないばかりか、反応生成物が着色してしまうため、好ましくない。
【0016】
(B)溶剤:
前記(B)成分の溶剤としては、反射防止膜材料を溶解しうる溶剤、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエテルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸nーブチル、乳酸nーイソブチル等の乳酸エステル類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸n−アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシー3ーメチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルnーアミルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を適宜選択して使用する。これらのうち、好ましい溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶剤は、単独でまたは2種類以上を混合して使用される。
前記溶剤の配合量は、固形分濃度が0.01〜70重量%程度、好ましくは0.05〜60重量%、さらに好ましくは0.1〜50重量%である。
【0017】
その他の成分:
本発明の反射防止膜形成用組成物は、前記(A)成分であるアルキド樹脂と(B)成分である溶剤の他に放射線吸収性化合物としての染料を別途添加することを許容する。この染料としては、例えば油溶性染料、分散染料、塩基性染料、メチン系染料、ピラゾール系染料、イミダゾール系染料、ヒドロキシアゾ系染料等の染料;ビクシン誘導体、ノルビクシン、スチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体等の蛍光増白剤;ヒドロキシアゾ系染料、チヌビン234(チバガイギー社製)、チヌビン1130(チバガイギー製)等の紫外線吸収剤;アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体等の芳香族化合物等が挙げられる。中でも好ましい染料は、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体等の芳香族化合物である。これらの放射線吸収性化合物の配合量は、反射防止膜形成用組成物の固形分100重量部当たり、通常、100重量部以下、好ましくは、50重量部以下である。
本発明の反射防止膜形成用組成物には、本発明の所望の効果を損なわない限り、前記染料の他に各種添加剤を配合することができる。
前記添加剤としては、界面活性剤、硬化剤等を挙げることができる。
【0018】
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、ぬれ性、現像性等を改良する作用を有するものである。このような界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、市販品としては、例えばオルガノシロキサンポリマーである、KP341(商品名、信越化学工業製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体であるポリフローNo.75、同No.95(商品名、共栄社油脂化学工業製)、エフトップEF101、同EF204、同EF303、同EF352(商品名、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F172、同F173(商品名、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431、同FC135、同FC93(商品名、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(商品名、旭硝子製)等が挙げられる。これらの界面活性剤の配合量は、反射防止膜組成物の固形分100重量部当たり、通常、15重量部以下、好ましくは、10重量部以下である。
【0019】
前記硬化剤としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート等のイソシアナート類;エピコート812、同815、同826、同828、同834、同836、同871、同1001、同1004、同1007、同1009、同1031(商品名:油化シェルエポキシ製)、アラルダイト6600、同6700、同6800、同502、同6071、同6084、同6097、同6099(商品名:チバガイギー製)、DER331、同332、同333、同661、同644、同667(商品名:ダウ製)等のエポキシ類;サイメル300、同301、同303、同350、同370、同771、同325、同327、同703、同712、同701、同272、同202、マイコート506、同508(商品名:三井サイアナミッド製)等のメラミン系硬化剤、サイメル1123、同1123ー10、同1128、マイコート102、同105、同106、同130(商品名:三井サイアナミッド製)等のベンゾグアナミン系硬化剤;サイメル1170、同1172(商品名:三井サイアナミッド製)等のグリコールウリル系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤の配合量は、反射防止膜組成物の固形分100重量部当たり、通常、5000重量部以下、好ましくは、1000重量部以下である。
また、その他の添加剤として保存安定剤、消泡剤、接着助剤等を配合することもできる。
【0020】
使用方法:
次に、本発明に係わる反射防止膜形成用組成物を使用するレジストパターンの形成方法は、1)基板上に反射防止膜形成用組成物を塗布し、しかる後ベークして反射防止膜を形成する工程、2)この反射防止膜上にレジスト組成物を塗布し、しかる後ベークしてレジスト膜を形成する工程、3)レジスト膜に露光用マスクを介して放射線を照射して露光する工程、4)現像する工程、及び5)反射防止膜をエッチングする工程、を具備する。この方法を以下に詳述する。
【0021】
(第1工程)
まず、基板上に反射防止膜形成用組成物を所定の膜厚、例えば100〜5000オングストロームとなるように、回転塗布、流延塗布ロール塗布等の方法により塗布する。つづいて、ベークして反射防止膜組成物を熱硬化させる。この際のベーク温度は、例えば90〜350℃程度である。
【0022】
(第2工程)
前記基板上にの反射防止膜を形成した後、前記反射防止膜上にレジストを所定の膜厚となるように塗布し、プレベークしてレジスト膜中の溶剤を揮発させて、レジスト膜を形成する。この際のプレベークの温度は、使用されるレジストの種類等に応じて適宜調製されるが、通常、30〜200℃程度、好ましくは、50〜150℃である。
【0023】
前記レジスト膜の形成工程においては、適当な溶液中に各レジストを固形分濃度が例えば5〜50重量%となるように溶解した後、例えば孔径0、2μm程度のフィルターでろ過して、レジスト溶液を調製し、このレジスト溶液を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の方法により、例えばシリコンウエハー、アルミニウムで被覆したウエハー等の基板の反射防止膜上に塗布する。なお、前記レジスト溶液は、市販のものをそのまま使用できる。
前記レジストとしては、例えばアルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト、アルカリ可溶性樹脂と感放射線性架橋剤とからなるネガ型レジスト、感放射線性酸発生剤を含有するポジ型またはネガ型の化学増幅型レジスト等を挙げることができる。
【0024】
(第3工程)
前記レジスト膜に露光用マスクを通して放射線を照射する(以下「露光」という)。レジストの種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等の適当な放射線を、用いることができる。これらの放射線のうち、好ましいのは、遠赤外線であり、特に、KrFエキシマレーザー(248nm)及びArFエキシマレーザー(193nm)が本願の組成物には好適に用いられる。
【0025】
(第4工程)
前記露光後のレジスト膜を現像する。その後、洗浄、乾燥することにより、所望のレジストパターンを形成する。この工程中、解像度、パターン形状、現像性等を向上させるため、露光後、現像前ににベーキングを行ってもよい。
前記レジストパターンの形成に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、nープロピルアミン、ジエチルアミン、ジーnープロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4,3,0)−5−ノナン等を溶解したアルカリ性水溶液を挙げることができる。また、これらの現像液には、水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、および界面活性剤を適量添加することもできる。
【0026】
(第5工程)
最後に、前記レジストパターンをマスクとして露出する反射防止膜を例えば酸素プラズマ等のガスプラズマを用いてドライエッチングを行い、基板加工用のレジストパターンを得る。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
各実施例及び比較例で使用したレジストの種類は下記のとおりである。
【0028】
<レジストの種類>
KrF用ポジ型レジスト(商品名KrF K2G、日本合成ゴム(株)製)
反射防止膜形成用組成物の性能評価は、下記の要領で行った。
【0029】
<反射防止膜の性能評価>
ノッチング防止効果:深さ0.2μmおよび径2μmのホールパターンを有するアルミニウム基板上に、反射防止膜形成用組成物を塗布し、スピンコートした後、ホットプレート上で90℃で1分、200℃で2分間ベークして膜厚0.1μmの反射防止膜を形成した。その後、該反射防止膜上にレジストを0.7μmにスピンコートしてレジスト膜を形成し、80℃のホットプレート上で2分間ベークした。次いで、ホールパターンの中央部に(株)ニコン製ステッパーNSR2005EX8A(波長248nm)を用いて、0.5μm幅のラインアンドスペースパターンを1対1の線幅で形成する露光時間(以下「最適露光時間」という。)だけ露光を行った。次いで、100℃のホットプレート上で、2分間ベーキングを行った後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、25℃で1分間現像し、水洗、乾燥してレジストパターンを形成した。
このようなレジストパターンの形成工程において、最適露光時間におけるパターンの反射による「えぐれ」の深さ(以下、「ノッチング深さ」という。)を調べた。
0.5μm幅のラインパターンに対するノッチング深さの割合が、10%より小さいときを反射防止効果が「優」、10〜20%であるときを反射防止効果が「良」、20%を超えるときを反射防止効果が「不良」と判定した。
【0030】
解像度:アルミニウム基板の代わりに4インチのシリコンウエハーを用いた以外は、前記ノッチング防止効果の評価と同様にして、反射防止膜およびレジスト膜の形成、プレベーク、露光および現像を行い、解像された最小のレジストパターンの寸法を、走査型電子顕微鏡を用いて測定した。
インターミキシング防止効果:アルミニウム基板の代わりに4インチのシリコンウエハーを用いた以外は、前記ノッチング防止効果の評価と同様にして、反射防止膜およびレジスト膜の形成、プレベーク、露光および現像を行い、基板との接点におけるレジスト膜の裾引きの程度を走査型電子顕微鏡を用いて調べた。
定在波防止効果:アルミニウム基板の代わりに4インチのシリコンウエハーを用いた以外は、前記ノッチング防止効果の評価と同様にして、反射防止膜およびレジスト膜の形成、プレベーク、露光および現像を行い、レジスト膜の定在波の有無を走査型電子顕微鏡を用いて調べた。
エッチングレート:アルミニウム基板の代わりに4インチのシリコンウエハーを用いた以外は、前記ノッチング防止効果の評価と同様にして、反射防止膜およびレジスト膜の形成、プレベーク、露光および現像を行い、酸素プラズマによるドライエッチング(圧力15Pa、RF電力300W、エッチングガス 酸素)の速度を測定し、反射防止膜とレジスト膜とのエッチング速度比(反射防止膜のエッチング速度/レジスト膜のエッチング速度)を求めた。
【0031】
(合成例1)
温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、シクロヘキサンジカルボン酸無水物15部、グリセリン6部、9−アントラセンメタノール5部を加え、200℃で1時間攪拌し、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(1)を得た。
(合成例2)
合成例1におけるシクロヘキサンジカルボン酸無水物15部をナジック酸無水物16部とした以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(2)を得た。
(合成例3)
合成例1におけるシクロヘキサンジカルボン酸無水物15部をマレイン酸無水物9部とした以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(3)を得た。
(合成例4)
合成例1におけるシクロヘキサンジカルボン酸無水物15部をフタル酸無水物15部とした以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(4)を得た。
(合成例5)
合成例1におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール6部とした以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(5)を得た。
【0032】
(合成例6)
合成例2におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール6部とした以外は、合成例2と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(6)を得た。
(合成例7)
合成例3におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール6部とした以外は、合成例3と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(7)を得た。
(合成例8)
合成例4におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール6部とした以外は、合成例4と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(8)を得た。
(合成例9)
合成例1におけるグリセリン6部をグリセリン9部とした以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(9)を得た。
(合成例10)
合成例9におけるシクロヘキサンジカルボン酸無水物15部をナジック酸無水物16部とした以外は、合成例9と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(10)を得た。
【0033】
(合成例11)
合成例9におけるシクロヘキサンジカルボン酸無水物15部をマレイン酸無水物9部とした以外は、合成例9と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(11)を得た。
(合成例12)
合成例9におけるシクロヘキサンジカルボン酸無水物15部をフタル酸無水物15部とした以外は、合成例9と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(12)を得た。
(合成例13)
合成例9におけるグリセリン9部をペンタエリトリトール7部とした以外は、合成例9と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(13)を得た。
(合成例14)
合成例10におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール7部とした以外は、合成例10と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(14)を得た。
(合成例15)
合成例11におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール7部とした以外は、合成例11と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(15)を得た。
【0034】
(合成例16)
合成例12におけるグリセリン6部をペンタエリトリトール7部とした以外は、合成例12と同様の操作を行うことにより、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(16)を得た。
(合成例17)
温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、シクロヘキサンジカルボン酸無水物30部、グリセリン15部、9−アントラセンカルボン酸10部を加え、200℃で1時間攪拌し、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(17)を得た。
(合成例18)
温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、シクロヘキサンジカルボン酸無水物30部、ペンタエリスリトール18部、9−アントラセンカルボン酸30部を加え、200℃で1時間攪拌し、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(18)を得た。
(合成例19)
温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、マレイン酸酸無水物20部、グリセリン15部、9−アントラセンカルボン酸10部を加え、200℃で1時間攪拌し、重量平均分子量1000のアルキド樹脂(19)を得た。
【0035】
(実施例1〜8)
合成例1〜8で得られた樹脂10部を、シクロヘキサノン90部に溶解し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、反射防止膜組成物を調製した。つづいて、前述したようにレジストパターンの形成および反射防止膜の性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例9〜16)
合成例9〜16で得られた樹脂10部とディスパース・イエロー9 10部をシクロヘキサノン90部に溶解し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、反射防止膜組成物を調製した。つづいて、前述したようにレジストパターンの形成および反射防止膜の性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例17〜19)
合成例17〜19で得られた樹脂10部を、シクロヘキサノン90部に溶解し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、反射防止膜組成物を調製した。つづいて、前述したようにレジストパターンの形成および反射防止膜の性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
反射防止膜形成用組成物を使用しなかった以外は、各実施例と同様にしてレジストパターンの形成および反射防止膜の性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
前記表1から明らかなように本発明の反射防止膜形成用組成物を用いて反射防止膜を形成し、この上にレジストパターンを形成する実施例1〜19は比較例1に比べてノッチング防止効果、解像度、インターミキシング防止効果、定在波、エッチング性のすべての点で優れていることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述しように本発明に係わる反射防止膜形成用組成物を用いて形成された反射防止膜は、反射防止効果が高く、かつレジストとインターミキシングを生じることがなくエッチングレートが高いため、ポジ型およびネガ型レジストと協働して、解像度、精度等に優れたレジストパターンをもたらすことができる。したがって、本発明の反射防止膜組成物は特に高集積度の集積回路の製造に寄与するところが大である。
Claims (2)
- (a−1)カルボン酸およびカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種と、(a−2)多価アルコールとを反応することにより得られる(A)アルキド樹脂と、
(B)溶剤と
を含有することを特徴とするリソグラフィープロセスにおける微細加工に用いる反射防止膜形成用組成物。 - 基板上に請求項1に記載の組成物を塗布して反射防止膜を形成する工程と、
この反射防止膜上にレジストを塗布してレジスト膜を形成する工程と、
このレジスト膜に所定パターン形状に放射線を照射して露光する工程と、
前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンから露出した反射防止膜を除去する工程と
を含むレジストパターンの形成方法。
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