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JP3635026B2 - 硫酸リサイクル装置 - Google Patents

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JP3635026B2
JP3635026B2 JP2000354784A JP2000354784A JP3635026B2 JP 3635026 B2 JP3635026 B2 JP 3635026B2 JP 2000354784 A JP2000354784 A JP 2000354784A JP 2000354784 A JP2000354784 A JP 2000354784A JP 3635026 B2 JP3635026 B2 JP 3635026B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫酸リサイクル装置に関し、例えば、半導体製造工程のウェハプロセスに使用される硫酸のリサイクル装置等に好適に利用できる。
【0002】
【背景技術】
従来から、半導体製造工程のウェハプロセスにおいて、ウェハに塗布したレジストの剥離や、ウェハ表面に付着した有機物の除去を行うために、硫酸と過酸化水素水とを混合したウェハ洗浄液を多量に使用している。
使用後のウェハ洗浄廃液は、過酸化水素水の分解で生じた水により、その濃度が低下することから、再利用することが困難であり、しかも、その廃棄コストや回収コストが安価であることから、通常、そのまま廃棄処理されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように多量の物質を使用し、それを廃棄することを繰り返してきた結果、今日の環境問題が生じていることを考慮すると、廃棄コストが安価であるからといって、ウェハ洗浄廃液を廃棄処理することは、環境保護対策上好ましくない。
また、硫酸自体が強酸性の劇薬であるため、そのまま廃棄することはできず、中和処理、凝集沈殿処理等を行った後に廃棄する必要がある。このような事情から、硫酸の廃棄処理には、多量の薬品を必要とするという問題がある。
したがって、硫酸の廃棄量を低減することが環境保護対策上重要な課題であり、ウェハ洗浄後の濃度の低下した硫酸を濃縮して、再び同じ用途に利用可能な硫酸とする技術の開発が望まれている。
【0004】
本発明の目的は、ウェハ洗浄後の濃度の低下した硫酸を、再利用可能な濃度まで濃縮できる硫酸リサイクル装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る硫酸リサイクル装置は、硫酸および過酸化水素水を混合してなるウェハ洗浄液中の硫酸をリサイクルする硫酸リサイクル装置であって、少なくとも導入口および排出口の2つの開口部を有し、前記導入口から導入されたウェハ洗浄処理後のウェハ洗浄廃液中の硫酸を濃縮して濃縮硫酸とした後、この濃縮硫酸を前記排出口から排出する反応槽と、前記濃縮硫酸をウェハ洗浄処理槽へ送る供給装置と、を備え、前記反応槽の内部には、前記ウェハ洗浄廃液の進行方向を変える複数の仕切板が設けられたことを特徴とする。
【0006】
すなわち、本発明の硫酸リサイクル装置は、ウェハ洗浄廃液から、残留過酸化水素水および過酸化水素水の分解により生ずる水等を除去して、硫酸を濃縮するとともに、濃縮硫酸を再びウェハ処理槽に戻して、ウェハの洗浄に再利用する装置である。
【0007】
本発明における反応槽としては、ウェハ洗浄廃液を濃縮処理時に一時的に溜めておくことができ、かつ、濃縮条件下で硫酸、過酸化水素水に対する耐蝕性を有するものであればよい。このような反応槽の材質には、例えば、石英ガラスを使用することができる。濃縮硫酸をウェハ処理槽へ送る供給装置としては、例えば、圧力差により流体を送る装置であるポンプを用いることができる。この場合、反応槽からウェハ処理槽へ濃縮硫酸を直送することもできるが、濃縮時に加熱を行う場合もあり、濃縮硫酸が高温の場合もあることを考慮すると、反応槽とウェハ処理槽との間に冷却槽を設けておくのが好ましい。なお、ポンプとしては、回転ポンプ、ダイアフラムポンプ、その他種々のポンプを用いることができる。
また、反応槽の内部に仕切板を複数設ける際には、例えば、ウェハ洗浄液を上下に対流させながら、反応槽に設けられた排出口側に流せるような配置とすることが好ましい。すなわち、仕切板を3枚使用する場合には、反応槽の導入口側に位置する第1仕切板を反応槽の底面から離して設置し、この第1仕切板の隣に位置する第2仕切板を反応槽の底面に接触するように設置するとともに、その上面位置を第1仕切板のそれよりも低くし、排出口側に位置する第3仕切板を第1仕切板同様に底面から離して設置する。
このように設置することで、導入口から導入されたウェハ洗浄廃液は、第1仕切板の下面と反応槽の底面との隙間から第2仕切板側に移行し、移行したウェハ洗浄廃液が、第2仕切板の上面高さ以上に満たされると第3仕切板側に以降して第3仕切板と傾斜板との間に溜まることとなる。
【0008】
本発明によれば、ウェハ洗浄廃液中の硫酸を濃縮する反応槽と、得られた濃縮硫酸をウェハ処理槽へ送る供給装置とを備えている。したがって、ウェハ洗浄廃液中の水や過酸化水素水を濃縮除去することができるとともに、得られた濃縮硫酸を、ウェハ処理槽へ送り、再びウェハの洗浄に利用することができる。しかも、ウェハの洗浄から、ウェハ洗浄廃液中の硫酸の濃縮、そして濃縮硫酸の再利用までを連続的に行うことができ、非常に効率的である。これらにより、ウェハ洗浄処理コストも低減することができる。
【0009】
以上において、前記反応槽には、前記ウェハ洗浄廃液を加熱する加熱装置が設けられるとともに、加熱により前記ウェハ洗浄廃液から発生する気体を排気する排気口が形成され、この排気口には、前記気体を吸引する吸引装置が設けられていることが好ましい。
すなわち、加熱濃縮時にウェハ洗浄廃液中から水や過酸化水素水の蒸気が発生するが、これらの気体を自然拡散により外部に放出させるのではなく、積極的に反応槽に形成された排気口から吸引除去することで、硫酸の濃縮が迅速に行えるようになる。
【0010】
ここで、加熱装置としては、反応槽内のウェハ洗浄廃液を加熱できる装置であれば、その加熱方法等には特に限定はない。すなわち、反応槽を外部から加熱する装置でもよく、反応槽内部から加熱する装置でもよい。特に、直接ウェハ洗浄廃液を加熱できるタイプの加熱装置を用いることで、効率的に加熱が行え、硫酸の濃縮も迅速に行うことができる。このような加熱装置としては、例えば、タンタルやタングステン製のヒータの周囲を石英ガラス管で覆ったものを採用できる。
また、吸引装置としては、例えば、減圧を利用して気体を吸引する装置であるアスピレータ等を用いることができる。このようなアスピレータを用いることで反応槽内を減圧下にさらし、水、過酸化水素水の沸点を低下させることもでき、これらの除去を一層促進できる。
【0011】
また、反応槽の内側には、前記仕切板よりも反応槽の排出口側に設置され、前記濃縮硫酸を表面に沿って流す傾斜板が設けられていることが好ましい。
【0012】
このように設置することで、仕切板と傾斜板との間の濃縮硫酸が、傾斜板の上面高さ以上に溜まると、傾斜板の表面に沿って流れて排出口へ移行することとなる。したがって、ウェハ洗浄廃液をじっくりと加熱等することができ、十分な濃縮を行うことができる。
【0013】
しかも、傾斜板を設けて、その表面を濃縮硫酸が流れ落ちるようにしているから、排出口へ送られる際の濃縮硫酸の表面積が大きくなり、わずかに残留している水等の除去が一層進むこととなり、濃縮硫酸の質を向上させることができる。
なお、濃縮硫酸の濃度をより一層高め、その質を向上させるためには、傾斜板の表面に凹凸が形成されていることが好ましい。このように、表面に凹凸を形成することで、傾斜板の表面積が一層大きくなり、水等の除去が効率的に行えることとなる。
なお、仕切板および傾斜板の材質としては、高温の濃硫酸に対しても耐蝕性のある材質のものを使用することができ、例えば、反応槽同様に、石英ガラスを用いることができる。
【0014】
さらに、前記反応槽は、この反応槽の天井面に付着した水滴が、前記濃縮硫酸に混入することを防止する水滴収納槽を有することが好ましい。
水滴収納槽は、最終的な濃縮硫酸へ水が混入するのを防止するために、排出口の上方へ設けることが好ましく、前述の排気口が形成されている場合には、その下部を覆うように設けるのが理想的である。
このような水滴収納槽を設けることで、ウェハ洗浄廃液から一旦除去された水が、再び濃縮硫酸へ混入して濃度の低下を招くことを防止することができる。
【0015】
以上で説明したウェハ洗浄廃液の加熱濃縮により得られた濃縮硫酸には、硫酸が減った場合には、新しい硫酸を供給することが好ましい。
ここで、新しい硫酸を供給する手段としては、前述した供給装置と同様のポンプにより、硫酸リサイクル装置内に別途設けられた硫酸タンクから新しい硫酸くみ上げて供給する手段を採用することができる。
このように新しい硫酸を供給できる装置とすることで、ウェハ洗浄廃液から得られた濃縮硫酸の濃度が所望の値よりも低い場合に、その濃度を高めることができるようになる。
なお、このような装置を使用した場合でも、ウェハ洗浄廃液を全て廃棄処理するのに比べれば、新しい硫酸の使用量は、格段に少なくすることができる。
【0016】
さらに、前記反応槽内の加熱温度を150℃以上315℃以下とする構成が好ましく、180℃以上250℃以下がより好ましい。
加熱温度が315℃を越えると、反応槽として使用される部品の材質が高い耐火性の部材に制限されるとともに、蒸気の発生量が増加するため、装置が大型化、複雑化するといった不具合がある。加熱温度が150℃未満であると、硫酸濃縮効率(脱水効率)が悪く、所期の効果を達成することができない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1および図2には、第1実施形態に係る硫酸リサイクル装置1の概略構成が示されている。
硫酸リサイクル装置1は、反応槽10と、この反応槽10に取り付けられた加熱装置としての第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cと、吸引装置としてのアスピレータ30と、原料槽40と、濃度調節槽50と、冷却槽60と、供給装置としてのポンプ70を主要構成要素として備えている。
【0018】
反応槽10は、石英ガラスでできており、図1中左上面にウェハ洗浄廃液Aを導入する導入口12と、図1中右下面に濃縮硫酸Bを排出する排出口13と、図1中右上面に加熱によ発生する水蒸気等の気体を排気する排気口14との3つの開口部を備えている。なお、反応槽10は、その底面10Aおよび側面10Bの外側を保温材18で覆われている。
導入口12には、第1バルブ91を有するフッ素樹脂製の廃液注入管71が取り付けられ、この廃液注入管71を介してウェハ洗浄廃液Aを貯留しておく原料槽40と連結されている。
排出口13には、濃縮硫酸Bを濃度調節槽50へ送るフッ素樹脂製の濃縮硫酸排出管72が取り付けられている(図2参照)。
【0019】
排気口14には、排気管73が取り付けられている。この排気管73を介して反応槽10がアスピレータ30と連結されている。
排気管73の略中央部には、水冷式の冷却装置31が取り付けられている。この冷却装置31には、冷却水管31Aが取り付けられており、硫酸リサイクル装置1の外部から冷却水管31Aに導入された水は、冷却装置31内を流れた後、再び硫酸リサイクル装置1の外部へ排出されていく。
ここで、アスピレータ30には、吸気管30Aおよび脱気管30Bが取り付けられており、吸気管30Aを通じて硫酸リサイクル装置1の外部からアスピレータ30内に乾燥空気を取り入れつつ、脱気管30Bにより取り入れた乾燥空気および反応槽10内の脱気を行う。このアスピレータ30により、濃縮処理中の反応槽10内は、所定の減圧状態に維持されることとなる。
【0020】
また、排気管73は、冷却装置31よりもアスピレータ30側で分岐された側管73Aを有し、この側管73Aは、水等を溜めるトラップ槽32まで延びている。このトラップ槽32の底面には、第2バルブ92を有するドレン管74が取り付けられ、トラップ槽32に溜まった水等は、これを通じて外部へ排出されることとなる。なお、トラップ槽32には、2個の液面レベルセンサ85Aが取り付けられており、これらにより、内部の液量が一定範囲に保たれるように第2バルブ92の開き度合いが調節されている。
【0021】
反応槽10の内側には、図2に示されるように、導入口12側から排出口13側へ向かって、石英ガラス製の第1〜第3仕切板11A、11B、11Cが、この順に設置され、ウェハ洗浄廃液Aの進行方向を変化させるようにしている。
ここで、第1仕切板11Aは、反応槽10の底面10Aから所定間隔離して設置されている。また、第2仕切板11Bは、反応槽10の底面10Aとの間に隙間が生じないように設置されている。なお、第2仕切板11Bの上端位置は、第1仕切板11Aの上端位置よりも低く設定され、第1仕切板11Aと第2仕切板11Bとの間に移行したウェハ洗浄廃液Aが逆流しないようにされている。さらに、第3仕切板11Cは、第1仕切板11A同様に、底面10Aから所定間隔離して設置されている。
【0022】
第3仕切板11Cと、排出口13との間には、石英ガラス製の傾斜板16が設置されている。傾斜板16は、図3に示されるように、上端部がノコギリ刃状に形成された垂直壁16Aと、この垂直壁16Aと一体形成され、垂直壁16Aから排出口13側へ裾が広がるように延びた傾斜壁16Bとを備えている。これらの垂直壁16Aおよび傾斜壁16Bの表面には、その表面積を向上させる目的で、多数の凹凸16Cが形成されている。本実施形態では、凹凸16Cは、突起状に形成されているが、この形状は任意であり、突起状に限らず、横方向に複数本の溝が形成された波板状、上下方向に複数本の溝が形成された形状でもよい。
図2に戻って、反応槽10の内側面には、排気口14の下部を覆うようにして、反応槽10の右側上部壁面から張り出すように、石英ガラス製の水滴収納槽17が設けられている。
【0023】
さらに、反応槽10の天井面10Cを貫通するようにして、第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cが、その下端をウェハ洗浄廃液A内に浸るようにして取り付けられている。これら各ヒータ20は、タングステン製のヒータの周囲を石英ガラス管で覆ったものである。
ここで、第1ヒータ20Aは、前述の第1仕切板11Aと第2仕切板11Bとの間に設けられ、第2ヒータ20Bは、第2仕切板11Bと第3仕切板11Cとの間に設けられ、第3ヒータ20Cは、第3仕切板11Cと傾斜板16との間に設けられている。これらにより、各仕切板11および傾斜板16で仕切られた各空間内のウェハ洗浄廃液Aを、約180〜195℃まで加熱する。
【0024】
そして、第1仕切板11Aと第1ヒータ20Aとの間、第2仕切板11Bと第2ヒータ20Bとの間、第3仕切板11Cと第3ヒータ20Cとの間には、それぞれ2本の温度センサ80が取り付けられ、濃縮処理中のウェハ洗浄廃液Aの温度を検知している。
さらに、第1ヒータ20Aと第2仕切板11Bとの間、第3ヒータ20Cと傾斜板16との間には、それぞれ液面レベルセンサ85Bが取り付けられ、これらにより、反応槽10内のウェハ洗浄廃液Aがほぼ一定量に保たれるように、第1バルブ91の開き度合いを調節している。
【0025】
図1に戻って、原料槽40は、石英ガラスでできており、その下端中央付近には、前述の廃液注入管71が取り付けられ、これにより反応槽10と連結されている。また、原料槽40の内部には、硫酸リサイクル装置1の外部に設置されているウェハ処理槽100から延びるフッ素樹脂製の原料輸送管75が導入されている。この原料輸送管75には、第3バルブ93が設けられている。
さらに、原料槽40には、3個の液面レベルセンサ85Cが取り付けられており、これらにより、原料槽40内部のウェハ洗浄廃液Aの量が一定範囲に保たれるように、第3バルブ93の開き度合いを調節している。
【0026】
濃度調節槽50は、石英ガラスでできており、反応槽10の排出口13から延びたフッ素樹脂製の濃縮硫酸排出管72がその内部に導入されているとともに、下端からは、冷却槽60まで延びるフッ素樹脂製の濃縮硫酸注入管76が取り付けられている。この濃縮硫酸注入管76の略中央付近には、第4バルブ94が設けられている。
さらに、濃縮硫酸Bの濃度調節用の新しい硫酸を注入するフッ素樹脂製の硫酸注入管77の一端が、濃度調節槽50の内部に導入されている。この硫酸注入管77の他の一端は、硫酸リサイクル装置1の内部に設置された硫酸タンク101内に導入されている。硫酸注入管77の略中央部には、硫酸輸送ポンプ77Aおよび第5バルブ95が設けられている。これらにより、反応槽10で得られた濃縮硫酸の濃度が所定の濃度未満の場合に、硫酸タンク101から、硫酸輸送ポンプ77Aで硫酸をくみ上げ、硫酸注入管77を通じて濃度調節槽50に注入し、濃縮硫酸Bの濃度を所定値まで上昇させる。
なお、濃度調節槽50にも、2個の液面レベルセンサ85Dが取り付けられ、これらにより、濃度調節槽50内の濃縮硫酸Bの量が所定範囲に保たれるように、第1バルブ91および第5バルブ95の開き度合いを調節している。
【0027】
冷却槽60は、石英ガラスでできており、前述の濃縮硫酸注入管76がその内部に導入されるとともに、下端中央部からは、ウェハ処理槽100まで延びるフッ素樹脂製の硫酸輸送管78が取り付けられている。また、この硫酸輸送管78には、供給装置であるポンプ70が取り付けられるともに、さらにポンプ70とウェハ処理槽との間に第6バルブ96が取り付けられている。また、冷却槽60には、3個の液面レベルセンサ85Eが取り付けられており、これらにより、内部の濃縮硫酸Bの量がほぼ一定範囲に保たれるように、第4バルブ94の開き度合いが調節されている。
この冷却槽60内に貯留された濃縮硫酸Bは、ポンプ70に悪影響を与えない程度の温度まで空冷された後、ポンプ70により硫酸輸送管78を通じてウェハ処理槽100まで送られることとなる。
【0028】
なお、原料槽40、濃度調節槽50、冷却槽60には、排気ライン79が取り付けられており、各槽40、50、60内に発生した水蒸気等のガスを硫酸リサイクル装置1の外部に排出できるようにされている。
【0029】
以上のように構成された硫酸リサイクル装置1を用いた硫酸のリサイクルは、次のように行う。
まず、硫酸リサイクル装置1に、ウェハ処理槽100を接続する。この際の接続は、前述の原料輸送管75により行い、原料輸送管75の一端をウェハ処理槽100に連結するとともに、他の一端を原料槽40の内部に導入することで行う。なお、原料輸送管75のウェハ処理槽100側には、適宜フィルタ75Aを設けておく。
ウェハ処理槽100で硫酸と過酸化水素水とを、重量比で約85:15の割合で混合したウェハ洗浄液Cを調整し、このウェハ洗浄液Cを約145℃に加熱して、ウェハの洗浄を行う。
【0030】
洗浄後の硫酸濃度が低下したウェハ洗浄廃液Aを、原料輸送ポンプ75Bで原料槽40へ所定速度で送る。この際、原料槽40に設けられた3個の液面レベルセンサ85Cが、原料槽40内の液面レベルを検知し、ウェハ洗浄廃液Aの量を所定範囲に保つように第3バルブ93の開き具合を調節する。
原料槽40内に一旦貯留されたウェハ洗浄廃液Aは、ここから、反応槽10へ所定速度で注入されることとなる。ここでも、反応槽10内のウェハ洗浄廃液Aがほぼ一定量に保たれるように、液面レベルセンサ85Bにより液面レベルを検知しつつ、検知された液面レベルに応じて第1バルブ91の開き具合が調節されることとなる。
【0031】
反応槽10内に注入されたウェハ洗浄廃液Aは、先ず第1仕切板11Aの下端と反応槽10の底面10Aとの隙間から、第1仕切板11Aと第2仕切板11Bとの間に移行する。ここで、180〜195℃に加熱された第1ヒータ20Aによって、ウェハ洗浄廃液Aは徐々に加熱され、その内部に含有される水等が除去され始める。続いて、加熱されたウェハ洗浄廃液Aは、反応槽10の底面10Aから上方に対流して第2仕切板11Bの上端部から第2仕切板11Bと第3仕切板11Cとの間に移行する。ここで、同じく180〜195℃に加熱された第2ヒータ20Bにより、ウェハ洗浄廃液Aは、さらに加熱されて硫酸の濃縮が進行する。
【0032】
上述の段階的な加熱により硫酸の濃縮が進行したウェハ洗浄廃液Aは、第2仕切板11Bの上端側から底面10A側へ対流して、第3仕切板11Cの下端と反応槽10の底面10Aとの間の隙間から、第3仕切板11Cと傾斜板16との間に移行する。ここで、同じく180〜195℃に加熱された第3ヒータ20Cにより、ウェハ洗浄廃液Aは、さらに加熱が続けられて硫酸の濃縮が進行する。ここで濃縮が進行したウェハ洗浄廃液Aは、底面10A側から再び上方へ対流し、ノコギリ刃状に形成された傾斜板16の上端部から、傾斜板16の表面に形成された凹凸16C上を流れ、ここで最終的に95%程度の濃度まで濃縮された濃縮硫酸Bとなる。
このようにして得られた濃縮硫酸Bは、反応槽10の排出口13から濃縮硫酸排出管72を通じて、濃度調節槽50に送られる。
【0033】
以上の濃縮処理の間、反応槽10の排気口14に連結されたアスピレータ30により、反応槽10内は所定の減圧状態に保たれる。また、アスピレータ30で加熱により生じた水蒸気等を排気管73内へ吸引し、これを再び冷却装置31により冷却液化した後、側管73Aを通じてトラップ槽32へ貯留する。トラップ槽32に所定量以上に溜まった水等は、ドレン管74を通じて硫酸リサイクル装置1の外部へ排出される。なお、トラップ槽32まで吸引されずに排気口14付近で液化した水等は、反応槽10の内壁面を伝って下降し、水滴収納槽17に収納されることとなる。
また、濃縮処理中は、反応槽10に取り付けられた温度センサ80により、ウェハ洗浄廃液Aの温度を検知し続ける。
なお、図示はしていないが、反応槽10内のウェハ洗浄廃液Aには、窒素ガスを所定量バブリングさせ、積極的に水蒸気を追い出すようにしている。
【0034】
濃度調節槽50に送られた濃縮硫酸Bは、新しい硫酸を供給することにより濃度調節が行われる。すなわち、硫酸タンク101から新しい硫酸をくみ上げ、これを硫酸注入管77を通じて濃度調節槽50内に注入して濃縮硫酸Bと混合し、濃度を調節する。この際、液面レベルセンサ85Dにより全液量が所定量に保たれるように、第5バルブ95の開き具合が調節される。
この濃度調節槽50では、濃縮硫酸Bの濃度を約95%程度に調節する。
【0035】
濃度調節槽50で所定の濃度に調節された濃縮硫酸Bは、続いて、濃縮硫酸注入管76を通じて冷却槽60に送られ、ここで、約80℃程度の温度まで冷却される。この際、冷却槽60内に設けられた液面レベルセンサ85Eにより、内部の濃縮硫酸Bの量が所定範囲に保たれるように、第4バルブ94の開き具合が調節される。
ここで冷却された濃縮硫酸Bは、ポンプ70によって硫酸輸送管78を通じてウェハ処理槽100に送られ、過酸化水素水と混合されてウェハ洗浄液Cとして再生される。
【0036】
上述のような第1実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)ウェハ洗浄廃液A中の硫酸を濃縮する反応槽10と、得られた濃縮硫酸Bをウェハ処理槽100へ送るポンプ70とを備えている。したがって、ウェハ洗浄廃液Aに含有される水や過酸化水素水を除去することができるとともに、得られた濃縮硫酸Bを、ウェハ処理槽100へ送り、再びウェハの洗浄に利用することができる。しかも、ウェハの洗浄から、ウェハ洗浄廃液A中の硫酸の濃縮、そして濃縮硫酸Bの再利用までを連続的に行うことができ、非常に効率的である。これらにより、ウェハ洗浄処理コストも低減することができる。
(2)ウェハ洗浄廃液Aを加熱する第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cを備えているから、加熱によりウェハ洗浄廃液Aに含有される水等を気化させて除去することができ、濃縮操作をより迅速に行うことができる。
(3)導入口12から導入されたウェハ洗浄廃液Aを、各仕切板11および傾斜板16の間を上下に対流させながら濃縮処理を行っている。したがって、ウェハ洗浄廃液Aをじっくりと加熱することができ、硫酸を十分に濃縮することができるため、高濃度の濃縮硫酸Bを得ることができる。
【0037】
(4)傾斜板16を設けて、その表面を濃縮硫酸Bが流れ落ちるようにしているから、排出口13へ送られる際の濃縮硫酸Bの表面積が大きくなり、わずかに残留している水等の除去が一層進むこととなり、濃縮硫酸Bの質を向上させることができる。
(5)傾斜板16の表面に凹凸16Cが形成されているから、表面積が一層大きくなり、水等の除去をさらに効率的に行うことができる。
(6)水滴収納槽17が設けられているから、ウェハ洗浄廃液Aから一旦除去された水等が、再び濃縮硫酸Bへ混入して濃度の低下、質の悪化を招くことを防止することができる。
【0038】
(7)濃度調節槽50、硫酸タンク101、および硫酸輸送ポンプ77Aを設けて、新しい硫酸を供給して濃度調節を行える装置としている。したがって、反応槽10で得られた濃縮硫酸Bの濃度が所望の値よりも低い場合に、その濃度を硫酸リサイクル装置1内で容易に調節することができ、効率的である。また、このような装置を使用した場合でも、ウェハ洗浄廃液Aを全て廃棄処理するのに比べれば、新しい硫酸の使用量は、格段に少なくすることができる。
(8)冷却槽60を設けているから、濃縮処理後の高温の濃縮硫酸Bを所定温度まで冷却した後、ウェハ処理槽100へ輸送することができ、ポンプ70等に悪影響を及ぼすこともない。
(9)複数の液面レベルセンサ85B、85C、85D、85Eにより、反応槽10、原料槽40、濃度調節槽50、冷却槽60の液量を管理しているから、濃縮処理を所定速度で十分に行うことができるとともに、各層10、40、50、60内で、ウェハ洗浄廃液A、濃縮硫酸Bがオーバーフローすることを防止できる。
【0039】
(10)反応槽10内に第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cの3個の加熱装置を設けて、各仕切板11によって仕切られた各空間を個別に加熱しているから、効率よくウェハ洗浄廃液Aを加熱することができる。これにより、濃縮処理を速やかに行うことができる。
(11)反応槽10内に複数の温度センサ80を設けているから、ウェハ洗浄廃液Aの異常過熱によって硫酸が分解したり、反応槽10が腐蝕されるという問題を回避することができる。
(12)反応槽10の底面10A、側面10Bを保温材18で覆っているから、その断熱効果により、反応槽10内の温度を容易に所定範囲に維持できる。また、保温材18により、周囲の部材へ熱が伝わることを防止できる。
【0040】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図4から図6に基づいて説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同一構成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にする。
図4には、第2実施形態に係る硫酸リサイクル装置201の概略構成が示されている。
硫酸リサイクル装置201は、内部容量が5リットルの反応槽10と、この反応槽10に取り付けられた加熱装置としての第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cと、吸引装置としてのアスピレータ230と、内部容量が2リットルの原料槽40と、内部容量が5リットルの冷却槽260と、ポンプ70とを主要構成要素として備えている。
【0041】
反応槽10の導入口12には、第1バルブ91を有するフッ素樹脂製の廃液注入管71が取り付けられ、この廃液注入管71を介してウェハ洗浄廃液Aが原料槽40から反応槽10に導入される。この第1バルブ91が開放された状態では、ウェハ洗浄廃液Aが反応槽10に自動的に流下する。
反応槽10の排出口13には、濃縮硫酸Bを濃度調節槽250へ送る濃縮硫酸排出管72が取り付けられている。
反応槽10は排気管73を介してアスピレータ230と連結されている。排気管73の略中央部には、水冷式の冷却装置31が取り付けられている。この冷却装置31には、冷却水管231Aが取り付けられており、硫酸リサイクル装置1の外部から冷却水管231Aに導入された水は、冷却装置31内を流れた後、再び硫酸リサイクル装置1の外部へ排出されていく。
【0042】
アスピレータ230には、吸水管230Aおよび排水管230Bが取り付けられており、吸水管230Aに設けられた吸水ポンプ230Cを作動させることで、貯水タンク230D内の水がアスピレータ230を通る。このアスピレータ230により、濃縮処理中の反応槽10内は、吸引されて所定の減圧状態に維持されることとなる。
反応槽10から吸引された空気は、少量の硫酸が混合されているが、この硫酸はアスピレータ230および排水管230Bを通る水に混合されて貯水タンク230D内に蓄えられる。貯水タンク230Dには冷却水管231Aが接続されている。
【0043】
反応槽10の内側には、第1実施形態と同様に、導入口12側から排出口13側へ向かって、石英ガラス製の第1〜第3仕切板11A、11B、11Cが、この順に設置され、ウェハ洗浄廃液Aの進行方向を変化させるようにしている。
第3仕切板11Cと、排出口13との間には、第1実施形態と同様構造の傾斜板16が設置されている。
反応槽10の内側面には、反応槽10の壁面から張り出すように、石英ガラス製の水滴収納槽217が設けられている。この水滴収納槽217は、反応槽10の内壁周方向に沿って水平面内で連続形成されている。
【0044】
反応槽10の天井面10Cを貫通するようにして、第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cが、その下端をウェハ洗浄廃液A内に浸るようにして取り付けられている。これら各ヒータ20は、第1実施形態と同じ構造であるが、これらにより、各仕切板11および傾斜板16で仕切られた各空間内のウェハ洗浄廃液Aを、150℃以上315℃以下、好ましくは、180℃以上250℃以下の範囲で加熱する。
反応槽10の上部には、第1実施形態と同様に、複数の温度センサ80および液面レベルセンサ85Bが取り付けられ、さらに、排気圧力ゲージ280が取り付けられている。
【0045】
原料槽40は、第1実施形態と同様構造であるが、供給管241を通じて純水(DIW)が導入される。この純水はウェハ洗浄廃液Aや濃縮硫酸Bが流通するライン全体の洗浄のために使用される。
冷却槽260は、その内部に濃縮硫酸排出管72が導入されているとともに、下端には硫酸輸送管78が取り付けられている。この硫酸輸送管78には、ポンプ70が取り付けられるともに、さらにポンプ70とウェハ処理槽100との間に第6バルブ96が取り付けられている。ポンプ70の作動によって、濃度調節槽250の濃縮硫酸は硫酸輸送管78を通ってウェハ処理槽100に供給される。
【0046】
冷却槽260には複数の液面レベルセンサ85Eが取り付けられ、これらにより、内部の濃縮硫酸Bの量がほぼ一定範囲に保たれるように、第4バルブ94の開き度合いが調節されている。
冷却槽260の概略構成が図5に示されている。
図5において、冷却槽260は、それぞれ石英ガラスから形成された内側密閉容器261と、外側密閉容器262とを備えて構成されている。これらの容器261,262の間には所定の空間Sが形成されており、この空間Sには冷却水管231Aを介して冷却水が流通されることで、内側容器261の内部に収納された高温の濃縮硫酸が冷却される。
【0047】
図4に戻って、濃縮硫酸Bの濃度調節用の新しい硫酸を注入するフッ素樹脂製の硫酸注入管77の一端が、反応槽14の内部に導入されている。この硫酸注入管77の他の一端は、硫酸リサイクル装置201の内部に設置された硫酸タンク101内に導入されている。硫酸注入管77の略中央部には、硫酸輸送ポンプ77Aおよび第5バルブ95が設けられている。これらにより、反応槽10で得られた濃縮硫酸の濃度が所定の濃度未満の場合に、硫酸タンク101から、硫酸輸送ポンプ77Aで硫酸をくみ上げ、硫酸注入管77を通じて濃度調節槽50に注入し、濃縮硫酸Bの濃度を所定値まで上昇させる。
第2実施形態では、濃縮硫酸Bの濃度は、主に、反応槽10の内部の加熱温度、反応槽10に供給されるウェハ洗浄廃液Aの単位時間あたりの量から設定される。
【0048】
反応槽10の底部には2本の廃液供給管202の一端部がそれぞれ接続され、硫酸輸送管78から廃液供給管203が分岐され、これらの廃液供給管202,203の他端部は廃液タンク204に導入されている。
廃液供給管202,203には、それぞれバルブ205が設けられており、これらのバルブ205を操作することで、反応槽10および冷却槽260の内部にある濃縮硫酸が廃液として廃液タンク204に供給される。
また、廃液タンク204には液面センサ206が設けられている。
【0049】
原料槽40には、排気ライン79が取り付けられており、その内部に発生した水蒸気等のガスを硫酸リサイクル装置201の外部に排出できるようにされている。
硫酸リサイクル装置201を構成するポンプはバルブ207を介してポンプ駆動用エアーが供給され、バルブ、その他の駆動装置はバルブ208を介して駆動エアーが供給される。
【0050】
第2実施形態では、硫酸リサイクル装置201はケーシング210に収納されている。
このケーシング210の外観構成が図6に示されている。図6(A)はケーシング210の正面図であり、図6(B)はケーシング210の側面図である。
図6において、ケーシング210は、略箱状に形成されるとともに反応槽10、冷却槽260およびその他の構成部材が収納された本体210Aと、この本体210Aの下面に設けられたキャスタ210Bと、このキャスタ210Bに近接配置されたストッパ210Cとを備えて構成されている。ケーシング210内に収納された硫酸リサイクル装置201は、キャスタ210Bによって任意の場所に容易に搬送できることになり、ストッパ210Cにより、任意の場所に固定される。
【0051】
本体210Aの正面の中央部および左上部には、ケーシング210の内部が見えるようにするためにガラス等の透光性部材からなる窓211が2箇所設けられている。
本体210Aの右上部には硫酸リサイクル装置201を作動させるための装置、例えば、バルブ類、ポンプ類を操作するための操作パネル212が設けられている。この操作パネル212には硫酸リサイクル装置201の模式図、操作ボタン・スイッチ、他に、作業手順も表示される。
【0052】
第2実施形態の硫酸のリサイクルは、第1実施形態とほぼ同じであるが、相違点を中心に簡単に説明する。
まず、洗浄後の硫酸濃度が低下した所定温度、例えば、150℃のウェハ洗浄廃液Aを、原料輸送ポンプ75Bで原料槽40へ所定速度で送る。
原料槽40内に一旦貯留されたウェハ洗浄廃液Aは、ここから、反応槽10へ所定速度、例えば、10分あたり2リットルで注入されることとなる。ここで、反応槽10内のウェハ洗浄廃液Aがほぼ一定量に保たれるようにする。
【0053】
反応槽10内に注入されたウェハ洗浄廃液Aは、先ず第1仕切板11Aの下端と反応槽10の底面10Aとの隙間から、各仕切板11A〜11Cの間を移行するが、150℃以上315℃以下の範囲で加熱されたヒータ20A,20B,20Cによって徐々に加熱され、その内部に含有される水等が除去されて硫酸の濃縮が進行する。
このようにして得られた濃縮硫酸Bは、反応槽10の排出口13から濃縮硫酸排出管72を通じて、冷却槽260に送られ、ここで、約150℃程度の温度まで冷却される。この際、冷却槽60内に設けられた液面レベルセンサ85Eにより、内部の濃縮硫酸Bの量が所定範囲に保たれるように、第4バルブ94の開き具合が調節される。
ここで冷却された濃縮硫酸Bは、ポンプ70によって硫酸輸送管78を通じてウェハ処理槽100に送られ、過酸化水素水と混合されてウェハ洗浄液Cとして再生される。
【0054】
上述のような第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)(10)〜(12)と同様の作用効果を奏することができる他に、次の作用効果を奏することができる。
(13)水滴収納槽17が反応槽10の内壁周面に沿って設けられているから、ウェハ洗浄廃液Aから一旦除去された水等が、再び濃縮硫酸Bへ混入して濃度の低下、質の悪化を招くことをより効果的に防止することができる。
(14)硫酸タンク101および硫酸輸送ポンプ77Aを設け、新しい硫酸を必要に応じて供給して濃度調節を行った場合には、反応槽10で得られた濃縮硫酸Bの濃度が所望の値よりも低い場合に、その濃度を簡単に高くすることができる。
【0055】
(15)冷却槽260を設けているから、濃縮処理後の高温の濃縮硫酸Bを所定温度まで冷却した後、ウェハ処理槽100へ輸送することができ、ポンプ70等に悪影響を及ぼすこともない。
(16)冷却槽260を、内側密閉容器261と、外側密閉容器262とを備えて構成し、これらの容器261,262の間の空間Sに冷却水を流通させる構成としたから、流水により冷却効果が高くなるとともに、多量の冷却水で容器を浸す必要がないので、冷却槽260を小型化することができる。
【0056】
(17)反応槽10内の加熱温度を315℃以下としたから、反応槽として使用される部品の材質が高い耐火性の部材に制限されないので、装置が大型化、複雑化することを回避することができ、しかも、加熱温度を150℃以上としたので、硫酸濃縮効率(脱水効率)が高く、所期の効果を達成することができる。
(18)複数の液面レベルセンサ85C、85D、85Eにより、反応槽10、原料槽40、冷却槽260の液量を管理しているから、濃縮処理を所定速度で十分に行うことができるとともに、各層10、40、260内で、ウェハ洗浄廃液A、濃縮硫酸Bがオーバーフローすることを防止できる。
(19)アスピレータ230は、吸水管230Aおよび排水管230B内を流通する水によって反応槽10内の空気を吸引する構成であるため、吸引された空気に少量の硫酸が混合されていても、この硫酸は貯水タンク230D内の水に蓄えられることになる。そのため、硫酸が大気中に硫酸が放出されないので、環境上好ましい。
(20)キャスタ付きのケーシング210に硫酸リサイクル装置201を収納したので、装置全体の搬送が容易となる。
【0057】
【実施例】
次に、第2実施形態の効果を確認するための実施例について説明する。
この実施例は、容量5.5リットルの反応槽10の内部を所定の加熱温度(ヒータ温度)に設定し、容量3リットルの原料槽40から反応槽10に2リットルのテスト液を16分かけて供給する。反応槽10で所定時間加熱した後、このテスト液を2リットル、冷却槽260に送り、この冷却槽260からサンプルとしてサンプル容器に2リットル取り出す。以上の手順を20分で1サイクルとなるように繰り返す。
測定は98%濃度で比重が1.834の硫酸を基準とし、サンプル容器内の硫酸の比重を求め、サンプル容器の硫酸の濃度を求める。
テスト結果を次に示す。
【0058】
[実施例1]
テスト液;濃度83.5%で55℃の硫酸
ヒータ設定温度;190℃
設定温度到達まで40分
その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0003635026
【0060】
[実施例2]
テスト液;濃度81.7%で45℃の硫酸
ヒータ設定温度;190℃
設定温度到達まで45分
その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
Figure 0003635026
【0062】
[実施例3]
テスト液;濃度84.6%で55℃の硫酸
ヒータ設定温度;200℃
設定温度到達まで55分
その結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
Figure 0003635026
【0064】
[実施例4]
テスト液;濃度91.5%で120℃の硫酸
ヒータ設定温度;230℃
設定温度到達まで29分
その結果を表1に示す。
【0065】
【表4】
Figure 0003635026
【0066】
[実施例5]
テスト液;濃度85.2%で90℃の硫酸
ヒータ設定温度;230℃
設定温度到達まで37分
その結果を表5に示す。
【0067】
【表5】
Figure 0003635026
【0068】
以上の実施例から、ヒータ設定温度(加熱温度)を190℃〜230℃の範囲では、テスト液が濃縮されたことがわかる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、反応槽10内に、第1〜第3仕切板11A、11B、11Cを設けていたが、これに限定されない。すなわち、2枚以下の仕切板を設けてもよく、4枚以上の仕切板を設けてもよい。また、仕切板11の配置も限定されず、例えば、ウェハ洗浄液が反応槽内を水平方向に蛇行しながら排出口へ向かうように、2つの側壁間に、一方の側壁から所定間隔を空けるように設けられた仕切板を、互い違いに配置する構造でもよい。さらに、傾斜板16を設けていたがこれに限られない。すなわち、傾斜していない垂直な仕切板を用いることもできる。なお、仕切板、傾斜板は設けなくても構わない。
【0070】
前記各実施形態では、加熱装置としてヒータ20を設けていたが、設けなくともよい。例えば、減圧度を高めて常温で水や過酸化水素水を除去する装置でもよい。 また、反応槽10の排気口14の下を覆うように水滴収納槽17を設けていたが、設けなくともよい。また、水滴収納槽17を設ける位置は、前記実施形態のように少なくとも、排出口13の上方、かつ、排気口14の下部を覆うものであればよく、例えば、側面全周に亘って設けることもできる。
さらに、反応槽10における導入口12、排出口13、排気口14の位置は、前記実施形態の位置に限定されず、任意に設定することができる。
【0071】
前記各実施形態では、反応槽10の内部に、第1〜第3ヒータ20A、20B、20Cの3個のヒータを用いていたが、これに限定されない。すなわち、仕切板によって仕切られる空間の数等によって任意の数に設定することができる。また、加熱装置としては、前記実施形態のように内部から加熱するものに限定されず、外部から反応槽を加熱する装置を用いることもできる。
その他、温度センサ80、液面レベルセンサ85B等の数も、使用する反応槽に応じて適宜設定することができる。
【0072】
前記実施形態では、原料槽40を使用していたが、これは特に用いなくともよい。すなわち、ウェハ処理槽から、直接反応槽へウェハ洗浄廃液を注入するような構造を採用することもできる。
また、前記実施形態では、濃度調節槽50を設け、濃縮硫酸Bに新しい硫酸を注入して濃度調節を行っていたが、反応槽における濃縮処理のみで十分な濃度の濃縮硫酸が得られる場合には、濃度調節槽を特に設けなくともよい。
さらに、前記実施形態では、冷却槽60を設けていたが、特に設けなくてもよい。
【0073】
前記各実施形態では、反応槽10、原料槽40、濃度調節槽50、冷却槽60、冷却槽260、仕切板11、傾斜板16の材質に石英ガラスを用いていたが、これに限定されない。すなわち、高温の濃硫酸に接触しても腐蝕されない、その他の材質を採用することもできる。
また、前記各実施形態では、冷却装置31として水冷式のものを採用していたが、これに限定されず、空冷式の冷却装置を用いても構わない。
さらに、ポンプ70を用いていたが、これに限定されず、例えば、ダイアフラムポンプ等を使用することもできる。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造としてもよい。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、ウェハ洗浄廃液中の硫酸を濃縮する反応槽と、得られた濃縮硫酸をウェハ処理槽へ送る供給装置とを備えている。したがって、ウェハ洗浄廃液中の水や過酸化水素水を濃縮除去することができるとともに、得られた濃縮硫酸を、ウェハ処理槽へ送り、再びウェハの洗浄に利用することができる。しかも、ウェハの洗浄から、ウェハ洗浄廃液中の硫酸の濃縮、そして濃縮硫酸の再利用までを連続的に行うことができ、非常に効率的である。これらにより、ウェハ洗浄処理コストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る硫酸リサイクル装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の実施形態における反応槽を示す断面図である。
【図3】図1の実施形態における傾斜板を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る硫酸リサイクル装置を示す概略構成図である。
【図5】図4の実施形態における冷却槽を示す一部を破断した斜視図である。
【図6】(A)は図4の実施形態におけるケーシングを示す正面図であり、(B)はその側面図である。
【符号の説明】
1,201 硫酸リサイクル装置
10 反応槽
10C 天井面
11(11A、11B、11C) 仕切板
12 導入口
13 排出口
14 排気口
16 傾斜板
16C 凹凸
17 水滴収納槽
20(20A、20B、20C) 加熱装置としてのヒータ
30,230 吸引装置としてのアスピレータ
70 供給装置としてのポンプ
A ウェハ洗浄廃液
B 濃縮硫酸
C ウェハ洗浄液

Claims (7)

  1. 硫酸および過酸化水素水を混合してなるウェハ洗浄液中の硫酸をリサイクルする硫酸リサイクル装置であって、
    少なくとも導入口および排出口の2つの開口部を有し、前記導入口から導入されたウェハ洗浄処理後のウェハ洗浄廃液中の硫酸を濃縮して濃縮硫酸とした後、この濃縮硫酸を前記排出口から排出する反応槽と、前記濃縮硫酸をウェハ処理槽へ送る供給装置と、を備え、
    前記反応槽の内部には、前記ウェハ洗浄廃液の進行方向を変える複数の仕切板が設けられたことを特徴とする硫酸リサイクル装置。
  2. 請求項1に記載の硫酸リサイクル装置において、
    前記反応槽には、前記ウェハ洗浄廃液を加熱する加熱装置が設けられるとともに、加熱により前記ウェハ洗浄廃液から発生する気体を排気する排気口が形成され、
    この排気口には、前記気体を吸引する吸引装置が設けられていることを特徴とする硫酸リサイクル装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の硫酸リサイクル装置において、
    前記反応槽の内部には、前記仕切板よりも反応槽の排出口側に設置され、前記濃縮硫酸を表面に沿って流す傾斜板が設けられていることを特徴とする硫酸リサイクル装置。
  4. 請求項3に記載の硫酸リサイクル装置において、
    前記傾斜板の表面には、凹凸が形成されていることを特徴とする硫酸リサイクル装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の硫酸リサイクル装置において、
    前記反応槽は、この反応槽の天井面に付着した水滴が、前記濃縮硫酸に混入することを防止する水滴収納槽を有することを特徴とする硫酸リサイクル装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の硫酸リサイクル装置において、
    前記濃縮硫酸に新しい硫酸を供給することを特徴とする硫酸リサイクル装置。
  7. 請求項2から請求項6のいずれかに記載の硫酸リサイクル装置において、
    前記反応槽内の加熱温度を150℃以上315℃以下とすることを特徴とする硫酸リサイクル装置。
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