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JP3632047B2 - 水溶性多糖類を顆粒化する方法 - Google Patents

水溶性多糖類を顆粒化する方法 Download PDF

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JP3632047B2
JP3632047B2 JP19739494A JP19739494A JP3632047B2 JP 3632047 B2 JP3632047 B2 JP 3632047B2 JP 19739494 A JP19739494 A JP 19739494A JP 19739494 A JP19739494 A JP 19739494A JP 3632047 B2 JP3632047 B2 JP 3632047B2
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starch
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祥三 菅野
公一 横山
奈津子 東泉
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Matsutani Chemical Industries Co Ltd
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Matsutani Chemical Industries Co Ltd
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  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は水溶性多糖類を顆粒化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルファー化澱粉やグアーガムのような水溶性多糖類は、食品用のみならず、紙、繊維、塗料等の工業用の分野で増粘、結合、保水、乳化安定等を目的として、水に溶解、或いはコロイド状で分散した液状で使用されているが、貯蔵中の腐敗やハンドリングの容易さ等から通常粉末で流通するケースが多い。
【0003】
粉末状では、▲1▼粉立ちがおこりやすくてロスが大きい、▲2▼流動性が悪くて容器から取り出しにくくなったり、容器に付着しやすい、▲3▼水、又は熱水に投入すると、ダマになったり、液面に浮遊して分散、溶解が悪い等の問題がある。これらの問題を解決する為に、水溶性多糖類を造粒して顆粒状にすることが行われている。
【0004】
一般に顆粒化は、水溶性多糖類に水又は結合剤を含有する水を噴霧して、転動造粒、押出造粒、流動層造粒等を施して顆粒化しているが、水を使用している為乾燥工程が必要であった。
【0005】
例えば、食品に利用しようとする試みとして、水溶性多糖類の溶解性、特に熱湯に対する溶解性を改善する為に、水溶性多糖類としてα−化小麦粉、α−化ワキシーコーンスターチ及びα−化ポテトスターチの1種または2種以上を、親油性界面活性剤を含有する食用硬化油にて処理し、次いで澱粉性原料の分散性を改良するため、デキストリン、乳糖、粉飴等を添加し、その後加湿して集塊化した後乾燥する即席顆粒状ポタージュスープが特開昭49−66862号に開示されている。しかしこの方法では、顆粒化には乾燥という工程が欠かせないものであった。
【0006】
このように水溶性多糖類を顆粒化することによって、粉末状の欠点を除去することはできるが、従来の方法では乾燥という工程が必須であり、工業的に望ましくなく、又それだけコスト高の要因となるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、水溶性多糖類をコストも安く容易に顆粒化できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明者等は、上記の課題について鋭意研究を続けた結果、水溶性多糖類40〜100重量%及び難水溶性素材0〜60重量%からなる原料混合物100重量部に、グリセリン50〜100重量%とDE20〜35の澱粉分解物0〜50重量%からなる結合剤1〜10重量部を添加し、混合するのみで水溶性多糖類を容易に顆粒化出来ることを見いだし、本発明を完成することになった。
【0009】
【発明の作用】
本発明でいう水溶性多糖類とは、グルコースやガラクトースのような単糖類から構成される多糖類の内、冷水に溶解するかコロイド状に分散する特性を有するものである。具体的には澱粉、加工澱粉及び小麦粉等の穀粉を、ドラムドライヤーやエクスツルーダー等で処理したアルファー化澱粉(加工澱粉も含む)やアルファー化穀粉等のようにアルファー化澱粉を含有するものばかりでなく、その他酸や酵素等で分解して得られるDE15以下の澱粉分解物、天然或いは醗酵で生産されるグアーガム、カラギーナン、トラガントガム、キサンタンガム等の多糖類、CMC、HES、CMS、HPS、HES、HPS等のようにセルロース、澱粉等をベースとして冷水に溶解するように高度に変性したもの等が含まれる。
【0010】
これらを粉末状で水に溶解させようとするとダマが発生しやすく、CMSの様な高度に変性したものではこのダマが一時的なもので長時間放置しておくと徐々に解消していくのであるが、アルファー化澱粉やグアーガム等のようなものはいつまでもダマが残るので、このタイプの水溶性多糖類は顆粒化する意義がより顕著になる。
【0011】
また、難水溶性素材とは、構成成分が澱粉のように冷水に溶解したり膨潤しない物質が大部分をしめ、グルテンのように冷水に溶解したり、膨潤する物質を20%以上含有しない素材を意味し、具体的にはコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の各種澱粉及びそれらを原料としてエーテル化、エステル化、酸処理、酸化処理等をした加工澱粉、結晶セルロース、小麦粉、大麦粉、米粉等の穀粉、α−含水乳糖や抹茶等をあげることができる。
【0012】
本発明は水溶性多糖類又はこれと難水溶性素材からなる原料に、結合剤を添加して混合するのみで水溶性多糖類を容易に顆粒化することを要旨としているが、原料中の水溶性多糖類の割合が40重量%未満では顆粒化しにくくなるので水溶性多糖類が40〜100重量%、難水溶性素材が0〜60重量%からなる原料に、グリセリン50〜100重量%とDE20〜35の澱粉分解物0〜50重量%からなる結合剤を添加して顆粒化する。
【0013】
尚、原料に対する結合剤の添加量は、水溶性多糖類と難水溶性素材の比率、或いは結合剤中のグリセリンと該澱粉分解物の比率等によっても変わるが、原料100重量部に対して1重量部未満では顆粒化しにくく、10重量部を越えると塊状物が発生して顆粒状態が悪くなるので、1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。
【0014】
このように、原料混合物や結合剤の組成が上記範囲内で顆粒化が実施されると、粉末状の水溶性多糖類がもつ流動性、粉立ち、或いは溶解性が改善され、原料が水溶性多糖類のみであり、且つ結合剤がグリセリンのみからなる場合でも、約3カ月間は顆粒に格別の変化もみられない製品が得られる。しかし原料中の水溶性多糖類と結合剤中のグリセリンの割合を極端に多くして顆粒化したものをより長期に保存すると、保存中にブロッキングをおこす傾向がみられる。
【0015】
これに対して、結合剤中のグリセリンの比率を極端に高くしても、原料中の難水溶性素材の割合を増やすことにより、長期保存におけるブロッキングの問題は解消される。その際、難水溶性素材の割合が15重量%未満では長期保存におけるブロッキング防止効果が弱く、50重量%を越えると顆粒状であるが顆粒が多少不均一になるので、水溶性多糖類50〜85重量%、難水溶性素材15〜50重量%の原料を顆粒化することによって、均一な顆粒状で保存期間が少なくとも6カ月の間にはブロッキングをおこさなくすることができる。
【0016】
本発明に使用する結合剤について、グリセリンは市販品なら特に問題はないが、グリセリンと併用される澱粉分解物は、タピオカ澱粉や馬鈴薯澱粉等の各種澱粉、或いはそれにエーテル化、エステル化、酸化等の処理をした加工澱粉を、酸及び/又は酵素で加水分解して製造されるもので、DEが低いと結合力が弱くなり、DEが高くなるとブロッキングを防止する効果が弱くなるので、DE20〜35のものが好ましく、これに水素添加したものも利用できる。
【0017】
結合剤中のグリセリンとDE20〜35の澱粉分解物の比率は、グリセリンが50重量%未満では、結合力が不足して顆粒化しにくくなるので、グリセリン50〜100重量%、DE20〜35の澱粉分解物0〜50重量%の割合で原料に添加する。原料中の水溶性多糖類の割合が極端に高くなってもブロッキングをおこさないでより長期の保存を可能にするためには、結合剤中のDE20〜35の澱粉分解物の割合を増加させて、原料に添加することが必要になる。その際、結合剤中該澱粉分解物の比率が、15重量%未満では長期の保存中におけるブロッキング防止効果が弱く、40重量%を越えると顆粒状であるが顆粒が多少不均一になるので、グリセリン60〜85重量%、DE20〜35の澱粉分解物15〜40重量%の割合の結合剤を添加して顆粒化すると、造粒中の顆粒粒子の形状を安定化できて保存期間を6カ月以上にすることができる。
【0018】
本発明は、水溶性多糖類を顆粒化するに際し、水溶性多糖類又はこれと難水溶性素材からなる原料を、グリセリンとDE20〜35の澱粉分解物を使用して、混合するのみで顆粒化することが出来る。以下にその一般的な方法を示す。
【0019】
適当な撹拌装置を具備する混合機に、アルファー化澱粉等の水溶性多糖類40〜100重量部、澱粉等の難水溶性素材0〜60重量部を投入して混合するが、溶解性の改善や食品の場合には、味や旨味をつける目的で通常使用されている冷水に容易に溶解し、粘性の低い物質、例えば、食塩、塩化カリウム等の塩類、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸、グルコース、砂糖、マルトース等の糖類、野菜類エキス、畜肉類エキス、魚介類エキス、酵母エキス等のエイス分や各種アミノ酸等を必要に応じて添加してもよい。これらの物質は、添加量が多くなりすぎると顆粒化はできても長期に保存するとブロッキングがおこりやすくする傾向があるので、水溶性多糖類と難水溶性素材の混合物に対して、概ね30%程度までにとどめておくことが好ましい。
【0020】
次に上記の原料にグリセリン50〜100重量%、DE20〜35の澱粉分解物0〜50重量%かからなる結合剤を1〜10重量部を添加するが、この際結合剤は液状で使用することが好ましく、DE20〜35の澱粉分解物をグリセリンに溶解するか、分散して使用する。結合剤の添加は、混合物を撹拌しながら少量ずつ滴下または噴霧して行うが、粘性が強い場合は適宜加温して粘性を低下させておくことが望ましい。
【0021】
結合剤の添加が終了すると、顆粒化は混合によって容易に実施できる。その際、顆粒化する方式としては、低速撹拌で均一化と顆粒化を同時に行わす方法と高速撹拌で均一化してから顆粒化する方法の何れかでなされるが、高速撹拌のみでは顆粒化がうまくいかない傾向がある。ここでは、撹拌速度が20〜100rpm程度なら低速撹拌、撹拌速度が500rpmを越えるなら高速撹拌と定義し、混合装置の容量や羽根の形状によっても異なるが、低速撹拌のみの場合は20〜60分、均一化の高速撹拌は発熱等の好ましくない現象による品質劣化等を防止する為に1〜5分程度にし、顆粒化の低速撹拌は10〜30分程度で終了させる。このような混合に適する装置としては、低速撹拌にはニーダー、ナフタミキサー、ヘンシエルミキサー等の通常の混合機を使用し、高速撹拌をする場合には、フードプロセッサー(株クイジナート)、ハイスピードミキサー(株河田)等を利用できるが、同様な機能のあるものならこれらに限定されない。
【0022】
【実施例】
以下に本発明の詳細を実施例でもって説明するが、これらの例において部は重量部を示し、顆粒の評価は次のようにして行った。
【0023】
<顆粒状態> ◎;均一な顆粒状である。○;顆粒状ではあるが、多少不均一である。△;顆粒状物の他に塊状物及び/又は粉状物を含む。x;顆粒状の部分が殆どなく、大部分は粉末状である。
【0024】
<ブロッキング耐性> 内層0.04mmのポリエチレン一層、外層を3層のクラフト紙からなる紙袋に5kgの試料を包装シールし、温度30℃、湿度60%よりなる恒温、恒湿室に入れ、試料の状態を見る。◎;ブロッキングがない。○;ごく一部の粒子がブロッキングしているようににみえるが、軽い振動ですぐほぐれる。△;部分的にブロッキングが見られる。x;かなりのブロッキングが見られる。
【0025】
<溶解性> 30℃の水400mlを撹拌し、試料8gを投入し5分間撹拌した時のダマの発生を見る。◎;100rpmの撹拌でダマの発生がなく分散又は溶解する。○;200rpmの撹拌でダマの発生がなく分散又は溶解する。△;200rpmの撹拌でダマが一部発生する。x;200rpmの撹拌でダマがかなり発生する。
【0026】
【実施例1】
ホバートミキサー(HOBART社、CANADA)に水溶性多糖類としてマツノリンM(松谷化学工業製のアルファー化澱粉)、難水溶性食品素材として馬鈴薯澱粉を投入し、20分間、80rpmで撹拌して得た原料混合物100部に、グリセリン4部を少量ずつ滴下し、その後同じ撹拌速度で30分間撹拌して顆粒化を行った。使用した材料の割合と顆粒としての評価を表1に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0003632047
【0028】
【実施例2】
水溶性多糖類としてマツノリンMを使用し、グリセリンとパインデックス#3(松谷化学工業製のDE約25の澱粉分解物)を添加し、実施例1に準じて顆粒化を実施した。使用した材料の割合と評価を表2とに示したが、結合剤の比率は、グリセリンとパインデックスの重量比率である。
【0029】
【表2】
Figure 0003632047
【0030】
【実施例3】
フードプロセッサー(クイジナート社製DLC−7S型)に、グアールガム80部とα−含水乳糖20部を投入し、1000rpmで撹拌しながらグリセリン4.5部を滴下し、滴下終了後1分間混合してからホバートミキサーに移し、20分間混合して均一な顆粒状物を得た。この顆粒状物は溶解時にダマの発生もなく、6カ月間の保存でもブロッキングが発生しなかった。
【0031】
【実施例4】
水溶性多糖類としてパインデックス#100(松谷化学工業製のDE約4.5の澱粉分解物)100部を使用し、75重量%のグリセリンと25重量%のパインデックス#3からなる結合剤5部を添加して、実施例1に準じて顆粒化を行って均一な顆粒状物を得た。この顆粒状物は溶解時にダマの発生もなく、6カ月間の保存でもブロッキングが発生しなかった。
【0032】
【実施例5】
水溶性多糖類としてパインデック#2(松谷化学工業製のDE約11の澱粉分解物)を50部、難水溶性素材として抹茶50部(市販の煎茶を300メッシュ以下に粉砕)、渋味を緩和する甘味剤として砂糖15部を混合し、結合剤としてグリセリン3部を使用し、実施例1に準じて顆粒化することにより6ケ月を越える長期保存をしてもブロッキングのない顆粒状煎茶となった。この顆粒状煎茶3gを70℃の水50mlに投入、軽く混ぜるだけで微粒子の煎茶が容易に湯中に分散した。

Claims (5)

  1. 水溶性多糖類100重量部にグリセリンからなる結合剤1〜10重量部を添加し、混合することを特徴とする水溶性多糖類を顆粒化する方法。
  2. 水溶性多糖類の60重量%以下を難水溶性素材で置換した請求項1に記載の水溶性多糖類を顆粒化する方法。
  3. 結合剤としてグリセリンの50重量%以下をDE20〜35の澱粉分解物で置換したものを使用する請求項1に記載の水溶性多糖類を顆粒化する方法。
  4. 水溶性多糖類50〜85重量%、難水溶性素材15〜50重量%からなる原料混合物を使用する請求項2に記載の水溶性多糖類を顆粒化する方法。
  5. 結合剤がグリセリン60〜85重量%及びDE15〜25の澱粉分解物15〜40重量%からなる請求項3に記載の水溶性多糖類を顆粒化する方法。
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