JP3626635B2 - プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリアシャフトの偏心回転を利用してプラテン上の用紙と印字ヘッドとの間のギャップ(以下、ヘッドギャップという)を設定するようにしたプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドットインパクトプリンタでは、印字品質の向上や用紙・インクリボン等の損傷防止を図る上で、印字ヘッドのヘッドギャップを正しく設定することが極めて重要である。ところが、印字ヘッドのヘッドギャップは、印字を行おうとする用紙の厚みによって変動してしまう。そこで、従来、印字ヘッドの印字面(ニードルが突出する面)とプラテンとの間の間隔を可変自在とした上で、印字ヘッドのヘッドギャップを自動調整し得るようにしたヘッドギャップ調整機構が実用化されている。
【0003】
このようなヘッドギャップの自動調整は、一般的に、ステッピングモータで印字ヘッドを駆動制御して前進又は後退させるという制御の下、まず、印字しようとする用紙をセットした上で印字ヘッドを前進させてその印字面を用紙を介してプラテンに押し付け、続いてその位置から所定のヘッドギャップが確保される位置まで印字ヘッドを後退させることにより行う。つまり、印字ヘッドの印字面を用紙を介してプラテンに押し付けた後、所定のヘッドギャップが確保されるように印字ヘッドを後退させるようにステッピングモータを駆動制御する、という制御によってヘッドギャップの自動調整がなされる。
【0004】
ここで、印字ヘッドの印字面とプラテンとの間の間隔を可変自在とする構造としては、代表的には、ラック&ピニオン機構を用いて印字ヘッドを移動させる構造のものと、印字ヘッドを搭載するヘッドキャリアを保持するキャリアシャフトを偏心回転させて印字ヘッドを移動させる構造のものとが従来から用いられている。ラック&ピニオン機構を用いて印字ヘッドを移動させる構造のものでは、ステッピングモータのステップ数と印字ヘッドの移動量とがリニアな関係になるため、高精度なヘッドギャップ調整を容易に行うことが可能となる。しかし、このような構造のものでは、構造の複雑化、部品点数及び重量の増加、それらに伴うコストの上昇という不都合がある。これに対し、キャリアシャフトを偏心回転させて印字ヘッドを移動させる構造のものは、その構造上、ステッピングモータのステップ数と印字ヘッドの移動量とがリニアな関係にならないという問題を持ちながら、構造が簡単で安価であるという利点を持つために広く普及している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
印字ヘッドの印字面とプラテンとの間の間隔を可変する構造として、キャリアシャフトを偏心回転させて印字ヘッドを移動させる構造のものでは、前述した通り、ステッピングモータのステップ数と印字ヘッドの移動量とがリニアな関係にならない。このため、用紙の厚みによって印字ヘッドのヘッドギャップが変動してしまうという問題がある。そこで、従来、どの厚みの用紙に対しても不都合が生じない程度に、プラテンに押し付けられた印字ヘッドを後退させる際の戻し量を用紙厚に応じて微妙に調整する、ということが行われている。
【0006】
しかし、一般的には、従来のヘッドギャップ自動調整機構を用いた場合の用紙枚数と設定されるヘッドギャップとの関係を例示する図9のグラフのように、理想のヘッドギャップに対して、薄い用紙に適合するヘッドギャップは狭く、厚い用紙に適合するヘッドギャップは広くなってしまうような傾向がある。ここで、図9は、従来のヘッドギャップ自動調整機構を用いた場合の用紙枚数と設定されるヘッドギャップとの関係を例示するグラフである。このような現象は、
(1)キャリアシャフトを偏心回転させた場合のエキセントリックカーブ
(2)用紙の枚数
(3)印字ヘッドの印字面が用紙に押し当てられる角度
等の要因によって生ずるものと推定される。以下、各要因について説明する。
(1)キャリアシャフトを偏心回転させた場合のエキセントリックカーブ
ステッピングモータを駆動源としてキャリアシャフトを偏心回転させて印字ヘッドを移動させた場合、ステッピングモータの単位ステップ数に対する印字ヘッドの変位量は、ある位置で最大となり、その位置の前後で徐々に変位量が少なくなる。このような印字ヘッドの変位量をエキセントリックカーブという。図9に例示するグラフでは、用紙3枚(3P)のステッピングモータの単位ステップ数に対する印字ヘッドの変位量が最大となる設定となっている。このため、エキセントリックカーブだけを考慮した場合には、用紙3枚の時に理想のヘッドギャップとなり、その前後ではヘッドギャップが狭くなる変化を示すはずである。これに対し、実際には、図9にも示すように、用紙の枚数が増えれば増える程ヘッドギャップが広くなる傾向を示す。これは、上述した(2)用紙の枚数、(3)印字ヘッドの印字面が用紙に押し当てられる角度が影響するためと推定される。もっとも、用紙枚数と印字ギャップとの間の変化量は一定でなく、用紙3枚以下になると変化量が大きくなる。つまり、用紙2枚(1P)及び用紙1枚(1P)のときには、ヘッドギャップが急激に狭くなる。例えば、用紙1枚のときには、用紙枚数と印字ギャップとの間の変化量が一定であるとした場合に対し、lの分だけヘッドギャップが狭くなっている。このような変化は、エキセントリックカーブの影響である。
(2)用紙の枚数
ヘッドギャップ自動調整機構は、前述した通り、用紙を介してプラテンに印字ヘッドの印字面を押し付け、その位置から所定のヘッドギャップが維持されるように印字ヘッドを後退させることにより行う。この際、用紙と用紙との間には空気が入り込むため、用紙の枚数が増えれば増える程、用紙を介して印字ヘッドの印字面をプラテンに押し当てたときの印字ヘッドの位置が現実の印字位置よりも後退位置に位置することになる。このため、用紙の枚数が増えれば増える程、現実に必要とされるヘッドギャップよりもヘッドギャップが広くなる傾向が生ずる(図9のグラフ参照)。
(3)印字ヘッドの印字面が用紙に押し当てられる角度
キャリアシャフトの偏心回転を利用したヘッドギャップ調整機構では、その構造上、ヘッドギャップの量に応じて印字ヘッドの印字面とプラテンとの間の角度が変化する。これに対し、印字ヘッドをプラテンに押し当てた場合、プラテン側の構造物は撓みによって変形し、このときの変化量は印字ヘッドの印字面とプラテンとの間の角度に影響を受ける。一般的には、用紙枚数が少なくなる程、プラテン側の構造物の撓み量が大きくなるような傾向を示す。このため、用紙を介して印字ヘッドの印字面をプラテンに押し当てた後にヘッドギャップ量が一定となるように印字ヘッドを後退させると、用紙枚数が少ない場合にはヘッドギャップが小さくなり、用紙枚数が増える程ヘッドギャップが広がる傾向を示す(図9のグラフ参照)。
【0007】
本発明の目的は、用紙の枚数に拘らず、ヘッドギャップを一定量に自動調整することである。
【0008】
本発明の目的は、スプリングのバネ定数の設定を容易にすることである。
【0009】
本発明の目的は、構造を簡単にすることである。
【0010】
本発明の目的は、装置を小型化することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のプリンタの発明は、印字ヘッドと、プラテンと、プラテンと平行に設けられて偏心回転するキャリアシャフトと、プラテンと平行に設けられた位置決めレールと、キャリアシャフトと位置決めレールとにスライド自在に取り付けられ、キャリアシャフトの回転によって印字ヘッドの印字面がプラテンに当接する位置と所定のギャップを形成する位置とに変位自在に印字ヘッドを搭載するヘッドキャリアと、ステッピングモータを駆動源としてキャリアシャフトを回転駆動するシャフト駆動機構と、印字ヘッドの印字面をプラテンに当接させ、その位置から所定のギャップを形成するために印字ヘッドをプラテンから離反させるようにステッピングモータを駆動制御する制御手段と、印字ヘッドの印字面がプラテンに近接する方向へのキャリアシャフトの回転を抑制する方向への力を付与し、キャリアシャフトの回転途中でバネ定数が高くなるように変化するスプリングと、を具備する。ここで、「印字ヘッドの印字面」というのは、印字ヘッドそのものの印字面だけでなく、印字ヘッドをプラテンに近接させることによってプラテンに当接する構造物まで含む広い概念である。例えば、プラテンに対して印字ヘッドと一体であるリボンガイドが当接するように構成されているような場合には、プラテンに当接するリボンガイドが印字面を構成する。
【0012】
したがって、シャフト駆動機構によってキャリアシャフトを回転させることで印字ヘッドがプラテンに対して近接離反する。そこで、制御手段によってステッピングモータを駆動制御し、印字ヘッドの印字面をプラテンに当接させ、その位置から所定のギャップを形成するために印字ヘッドをプラテンから離反させることでギャップを形成することができる。この際、スプリングにより、印字ヘッドの印字面がプラテンに近接する方向へのキャリアシャフトの回転が抑制され、しかも、スプリングのバネ定数はキャリアシャフトの回転途中で高くなる。このようにバネ定数を変化させる位置は、例えば、請求項2記載の発明のように、キャリアシャフトの回転に伴う印字ヘッドの変位量が最大となる位置である。これにより、プラテンに印字ヘッドが押し当てられるに際し、プラテンと印字ヘッドの印字面との間の用紙枚数が少ない程、スプリングによるキャリアシャフトの回転抑制力が増大する。このため、例えば、プラテン側の構造物の撓みによる変形量が用紙の枚数に拘らず一定化しやすくなる等の理由により、用紙の枚数に拘らず、ギャップが一定に自動調整される。
【0013】
ここで、キャリアシャフトの回転途中でスプリングのバネ定数が高くなるようにするためには、例えば、請求項3記載の発明のように構成すれば良い。つまり、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、スプリングは、キャリアシャフトの回転に対して、第一のバネ定数で抑制力を付与すると共に第一のバネ定数で抑制力を付与する途中から第二のバネ定数で抑制力を付与することによってキャリアシャフトの回転途中でバネ定数を高く変化させる。そして、第一のバネ定数で抑制力を付与すると共に第一のバネ定数で抑制力を付与する途中から第二のバネ定数で抑制力を付与するためには、例えば、請求項4記載の発明のように構成すれば良い。つまり、請求項4記載の発明は、請求項3記載のプリンタにおいて、スプリングは、キャリアシャフトの回転に対して、第一のバネ定数で抑制力を付与するコイルスプリングと、このコイルスプリングの作用途中から第二のバネ定数で抑制力を付与するトーションコイルスプリングとによって形成されている。したがって、請求項4記載の発明によれば、印字ヘッドの印字面がプラテンに近接する方向へのキャリアシャフトの回転に対し、コイルスプリングは第一のバネ定数で抑制力を付与し、コイルスプリングは第一のバネ定数で抑制力を付与している途中からトーションコイルスプリングが第二のバネ定数で抑制力を付与する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図9に基づいて説明する。
【0015】
図1は印字部の平面図、図2ないし図4は印字部の側面図である。まず、図示しないプリンタのハウジングの内部には、図1ないし図4に示すような印字部1が内蔵されている。この印字部1は、図1に片側だけ示す一対のフレーム2に、平型のプラテン3に沿ってインパクトドットプリンタヘッドである印字ヘッド4がスライド自在に設けられて形成されている。
【0016】
つまり、一対のフレーム2には、プラテン3と平行にキャリアシャフト5と位置決めレール6とが取り付けられている。これらのプラテン3とキャリアシャフト5との取り付け位置は、図1ないし図4より明らかなように、プラテン3に対して位置決めレール6の方がキャリアシャフト5よりも遠い位置である。そして、それらのキャリアシャフト5と位置決めレール6とには、ヘッドキャリア7がスライド自在に取り付けられ、このヘッドキャリア7には印字ヘッド4が搭載され、この印字ヘッド4の印字面8がプラテン3に対面するように位置付けられている。ここで、キャリアシャフト5とヘッドキャリア7との間は、ヘッドキャリア7のリング状部分にキャリアシャフト5が嵌合する嵌合構造となっており、位置決めレール6とヘッドキャリア7との間は、ヘッドキャリア7の後部に取り付けられた一対のローラ9が平板状の位置決めレール6を挟み込むような構造となっている。
【0017】
また、ヘッドキャリア7には、印字ヘッド4の先端部分に位置させて、印字ヘッド4の図示しないニードルを通過させるための図示しないニードル孔が形成されたリボンガイド10が固定されている。したがって、本実施の形態のプリンタでは、そのリボンガイド10が印字ヘッド4の印字面8を構成する。このようなリボンガイド10は、印字ヘッド4の先端部と僅かな隙間を開けてヘッドキャリア7に取り付けられている。ヘッドキャリア7には、また、図示しないインクリボンを引出自在に収納するリボンカートリッジ11が着脱自在に取り付けられている。このリボンカートリッジ11は、内部に収納するインクリボンを印字ヘッド4とリボンガイド10との間に導く構成となっている。
【0018】
次いで、キャリアシャフト5は、フレーム2に対して偏芯して回転するように取り付けられている。そこで、本実施の形態のプリンタは、キャリアシャフト5を回転させることで、プラテン3と印字ヘッド4との間のヘッドギャップを調整するように構成されている。一方のフレーム2には、そのためのシャフト駆動機構12が設けられている。つまり、一方のフレーム2には、その回転軸13aの方向をキャリアシャフト5と同一方向に向けてステッピングモータ13が固定されており、このステッピングモータ13の回転がそのステッピングモータ13の回転軸13aに固定されたモータギヤ14、アイドルギヤとして機能する第一アジャストギヤ15、及びキャリアシャフト5の一端に固定された第二アジャストギヤ16を介してキャリアシャフト5に伝達されるように構成されている。図2ないし図4中、キャリアシャフト5が反時計方向に回転することによって印字ヘッド4がプラテン3に近接し、キャリアシャフト5が時計方向に回転することによって印字ヘッド4がプラテン3から離反する。
【0019】
また、第二アジャストギヤ16は、その半周程度にのみギヤを有する半月ギヤであり、その端部とフレーム2との間にはキャリアシャフト5が図2ないし図4中の時計方向に回転するように第二アジャストギヤ16を引っ張るスプリングとしてのコイルスプリング17が掛け渡されている。さらに、フレーム2に対して相対移動がない位置には第二アジャストギヤ16を貫通する位置に位置させてピン18が立設されており、第二アジャストギヤ16にはその所定範囲内の回転動作に対してピン18が障害とならないように長孔19が形成されている。つまり、長孔19は、第二アジャストギヤ16の回転に伴うピン18との間の相対軌跡上に形成されている。そして、第二アジャストギヤ16には、長孔19に位置付けられて第二アジャストギヤ16の回動途中でピン18と係合する位置にスプリングとしてのトーションコイルスプリング20が設けられている。このようなトーションコイルスプリング20が作動するのは、3枚以下の用紙Pに適合するヘッドギャップを自動設定するに際してである。そして、トーションコイルスプリング20が作動し始める開始点は、キャリアシャフト5の回転に伴う印字ヘッド4の変位量が最大となる位置である。この位置は、第二アジャストギヤ16の回転中心C1 とキャリアシャフト5の回転中心C2 とを結ぶ直線が印字ヘッド4の進行方向に対して直角となる位置である(図5参照)。この位置でキャリアシャフト5の回転に伴う印字ヘッド4の変位量が最大となるのは、図5に示すように、第二アジャストギヤ16の回転中心C1 とキャリアシャフト5の回転中心C2 とを結ぶ直線が印字ヘッド4の進行方向に対して直角となる所定範囲角θ2 における印字ヘッド4の変位量bと、θ2 と同一の角度であるが第二アジャストギヤ16の回転中心C1 とキャリアシャフト5の回転中心C2 とを結ぶ直線が印字ヘッド4の進行方向に対して直角とならない所定範囲角θ1 における印字ヘッド4の変位量aとを比較すると、変位量aよりも変位量bの方が長くなることから理解される。つまり、エキセントリックカーブの影響である。したがって、本実施の形態のプリンタでは、コイルスプリング17及びとトーションコイルスプリング20からなるスプリングのバネ定数は、キャリアシャフト5の回転に伴う印字ヘッド4の変位量が最大となる位置で変化することになる。
【0020】
図6は、用紙P枚数とキャリアシャフト5の回転負荷との関係(コイルスプリング17のバネ定数及びトーションコイルスプリング20のバネ定数)を示すグラフである。図6に示すように、キャリアシャフト5の図2ないし図4中の反時計方向の回転に対する回転負荷、つまり、印字面8がプラテン3に近接する方向へのキャリアシャフト5の回転を抑制する方向への力は、キャリアシャフト5の回転当初位置(用紙P8枚〜3枚に適合する位置)、コイルスプリング17のみによって生じている。これに対し、キャリアシャフト5の回転が進んだ位置(用紙P2枚〜1枚に適合する位置)では、トーションコイルスプリング20によってもキャリアシャフト5の回転に対する回転負荷が加わる。
【0021】
本実施の形態のプリンタは、各部を制御するマイクロコンピュータを内蔵する。このマイクロコンピュータは、ROMにファームウエアとして格納する制御プログラムに従い、RAMをワークエリアとして用いつつ、CPUによって各部を集中的に制御し、印字動作、ヘッドギャップ自動調整動作を実行する。したがって、このようなマイクロコンピュータによって実行されるステッピングモータ13の駆動制御により、ヘッドギャップの自動調整を行う制御手段の機能が実行される。
【0022】
このような構成において、本実施の形態のプリンタは、実際の印字に際して、まず、ヘッドギャップの自動調整を実行する。このようなヘッドギャップの自動調整動作としては、まず、印字ヘッド4は、プラテン3に対して離反したホームポジションに位置つけられる。そして、印字面8とプラテン3との間に搬送されようとする用紙Pの先端が図示しないペーパタイミングセンサによって検出されると、図示しない用紙Pの搬送用のモータは、印字面8とプラテン3との間に用紙Pがセットされるとその搬送を停止する。この状態で、駆動手段によってステッピングモータ13が駆動制御され、図2ないし図4中の反時計方向にキャリアシャフト5を回転駆動する。これにより、ホームポジションに退避していた印字ヘッド4がリボンガイド10と共にプラテン3に近接し、リボンガイド10に形成された印字面8が用紙Pを介してプラテン3に当接するとステッピングモータ13によるキャリアシャフト5の回転駆動が停止される。用紙Pを介在させたプラテン3に対する印字面8の当接は、ステッピングモータ13の脱調により検出される。もっとも、その検出手法としては、周知である各種の検出手法を用いることができる。こうして、用紙Pを介してプラテン3に印字面8が押し当てられた状態から、今度はステッピングモータ13が逆方向に所定ステップ数だけ回転駆動され、これによってキャリアシャフト5が図2ないし図4中の時計方向に回転駆動され、印字ヘッド4がプラテン3から離反する方向に後退させられる。この際の印字ヘッド4の後退量は、印字面8と用紙Pとの間に所定の印字ギャップを形成するための量である。
【0023】
ここで、リボンガイド10に形成された印字面8が用紙Pを介してプラテン3に当接する場合のキャリアシャフト5の回転量は、用紙の厚み(枚数)に応じて変動する。図2は、厚紙(用紙P4枚〜8枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙Pに印字面8を押し付けた状態を示す印字部1の側面図である。図3は、薄紙(用紙P3枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙Pに印字面8を押し付けた状態を示す印字部1の側面図である。図4は、図3よりも更に薄い薄紙(用紙P1枚〜2枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙Pに印字面8を押し付けた状態を示す印字部1の側面図である。図2ないし図4より明らかなように、厚紙(用紙P4枚〜8枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙Pに印字面8を押し付けた場合、コイルスプリング17だけがキャリアシャフト5に回動負荷を与え、第二アジャストギヤ16の回転がトーションコイルスプリング20の作動位置にまで至らない(図2参照)。これに対し、薄紙(用紙P3枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙Pに印字面8を押し付けた場合には、コイルスプリング17だけがキャリアシャフト5に回動負荷を与えることに変わりはないが、第二アジャストギヤ16の回転がトーションコイルスプリング20の作動位置にまで至っている(図3参照)。そして、より薄い薄紙(用紙P1枚〜2枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙Pに印字面8を押し付けた場合には、コイルスプリング17だけでなくトーションコイルスプリング20もキャリアシャフト5に回動負荷を与える。
【0024】
本実施の形態のプリンタでは、コイルスプリング17及びトーションコイルスプリング20という二つのスプリングがキャリアシャフト5に回転負荷を与える結果、ヘッドギャップ量が用紙Pの厚み(枚数)に依存性を示さず、ヘッドギャップ量をどのような厚み(枚数)の用紙Pに対しても理想的なヘッドギャップ量に調整することが可能となる。これは、用紙Pの枚数が少なくなると、プラテン3上の用紙Pに印字面8を押し当てた場合、その押し当て角度等が影響してプラテン3側の撓み量が増大し、どうしてもヘッドギャップ自動調整後のヘッドギャップが狭くなりがちであるのに対し、プラテン3上の用紙Pに印字面8を押し当てるに際してコイルスプリング17又はコイルスプリング17及びトーションコイルスプリング20がキャリアシャフト5に回転負荷を与えるとプラテン3側の撓み量の増大が抑制される等の理由による。
【0025】
ここで、図7は、コイルスプリング17のみが作動した場合を想定する用紙Pの厚み(枚数)と設定されるヘッドギャップとの関係を示すグラフである。コイルスプリング17だけがキャリアシャフト5に回転負荷を付与する構成であると、より薄い薄紙(用紙P1枚〜2枚)に対するヘッドギャップ調整量が狭小化しやすい(図7中のl)。これは、図5を用いて説明したエキセントリックカーブの影響である。これに対し、本実施の形態のプリンタでは、より薄い薄紙(用紙P1枚〜2枚)に対するヘッドギャップの調整のために用紙Pを介してプラテン3に印字面8を押し当てる際には、コイルスプリング17だけでなくトーションコイルスプリング20もキャリアシャフト5に回転負荷を与える。これにより、図8に示すように、用紙Pの厚み(枚数)に拘らず、設定されるヘッドギャップ量が理想的な一定量に調整される。
【0026】
【発明の効果】
請求項1記載のプリンタの発明は、印字ヘッドと、プラテンと、プラテンと平行に設けられて偏心回転するキャリアシャフトと、プラテンと平行に設けられた位置決めレールと、キャリアシャフトと位置決めレールとにスライド自在に取り付けられ、キャリアシャフトの回転によって印字ヘッドの印字面がプラテンに当接する位置と所定のギャップを形成する位置とに変位自在に印字ヘッドを搭載するヘッドキャリアと、ステッピングモータを駆動源としてキャリアシャフトを回転駆動するシャフト駆動機構と、印字ヘッドの印字面をプラテンに当接させ、その位置から所定のギャップを形成するために印字ヘッドをプラテンから離反させるようにステッピングモータを駆動制御する制御手段と、印字ヘッドの印字面がプラテンに近接する方向へのキャリアシャフトの回転を抑制する方向への力を付与し、キャリアシャフトの回転途中でバネ定数が高くなるように変化するスプリングと、を具備するので、プラテンに印字ヘッドが押し当てられるに際し、プラテンと印字ヘッドの印字面との間の用紙枚数が少ない程、スプリングによるキャリアシャフトの回転抑制力を増大させることができ、したがって、例えば、プラテン側の構造物の撓みによる変形量が用紙の枚数に拘らず一定化しやすくなる等の理由により、用紙の枚数に拘らず、ギャップを一定に自動調整することができる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプリンタにおいて、スプリングのバネ定数は、キャリアシャフトの回転に伴う印字ヘッドの変位量が最大となる位置で変化するので、印字ヘッドの変位量が最大となる位置よりも用紙枚数が少なくなる位置にキャリアシャフトが回転する位置では急激にギャップが狭くなるのに対し、印字ヘッドの変位量が最大となる位置からスプリングのバネ定数が高くなるように変化するために、印字ヘッドの変位量が最大となる位置よりも用紙枚数が少なくなる位置で生じやすいギャップの峡小化を防止することができる。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、スプリングは、キャリアシャフトの回転に対して、第一のバネ定数で抑制力を付与すると共に第一のバネ定数で抑制力を付与する途中から第二のバネ定数で抑制力を付与することによってキャリアシャフトの回転途中でバネ定数を高く変化させるので、第一のバネ定数と第二のバネ定数とを別個に考慮してスプリングのバネ定数を設定することができ、したがって、スプリングのバネ定数の設定を容易化することができる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のプリンタにおいて、スプリングは、キャリアシャフトの回転に対して、第一のバネ定数で抑制力を付与するコイルスプリングと、このコイルスプリングの作用途中から第二のバネ定数で抑制力を付与するトーションコイルスプリングとによって形成されているので、第一のバネ定数を持つコイルスプリングと第二のバネ定数を持つトーションコイルスプリングとを別個に考慮してスプリングのバネ定数を設定することができ、したがって、スプリングのバネ定数の設定を容易化することができる。また、トーションコイルスプリングは小型で構造も簡単なので、装置の構造の簡略化及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す印字部の平面図である。
【図2】厚紙(用紙4〜8枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙に印字面を押し付けた状態(コイルスプリングのみ作動)を示す印字部の側面図である。
【図3】薄紙(用紙3枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙に印字面を押し付けた状態(コイルスプリングのみ作動)を示す印字部の側面図である。
【図4】図3よりも更に薄い薄紙(用紙1〜2枚)に適合するヘッドギャップを設定するために用紙に印字面を押し付けた状態(コイルスプリング及びトーションコイルスプリング共に作動)を示す印字部の側面図である。
【図5】スプリングにおけるバネ定数変化点を説明するための概念図である。
【図6】用紙枚数とキャリアシャフト回転負荷との関係(コイルスプリングのバネ定数及びトーションコイルスプリングのバネ定数)を示すグラフである。
【図7】コイルスプリングのみが作動した場合を想定する用紙枚数と設定されるヘッドギャップとの関係を示すグラフである。
【図8】コイルスプリング及びトーションコイルスプリングが作動した場合の用紙枚数と設定されるヘッドギャップとの関係を示すグラフである。
【図9】従来のヘッドギャップ自動調整機構を用いた場合の用紙枚数と設定されるヘッドギャップとの関係を例示するグラフである。
【符号の説明】
3 プラテン
4 印字ヘッド
5 キャリアシャフト
6 位置決めレール
7 ヘッドキャリア
8 印字面
12 シャフト駆動機構
13 ステッピングモータ
17 スプリング、コイルスプリング
20 スプリング、トーションコイルスプリング
Claims (4)
- 印字ヘッドと、
プラテンと、
前記プラテンと平行に設けられて偏心回転するキャリアシャフトと、
前記プラテンと平行に設けられた位置決めレールと、
前記キャリアシャフトと前記位置決めレールとにスライド自在に取り付けられ、前記キャリアシャフトの回転によって前記印字ヘッドの印字面が前記プラテンに当接する位置と所定のギャップを形成する位置とに変位自在に前記印字ヘッドを搭載するヘッドキャリアと、
ステッピングモータを駆動源として前記キャリアシャフトを回転駆動するシャフト駆動機構と、
前記印字ヘッドの前記印字面を前記プラテンに当接させ、その位置から所定のギャップを形成するために前記印字ヘッドを前記プラテンから離反させるように前記ステッピングモータを駆動制御する制御手段と、
前記印字ヘッドの前記印字面が前記プラテンに近接する方向への前記キャリアシャフトの回転を抑制する方向への力を付与し、前記キャリアシャフトの回転途中でバネ定数が高くなるように変化するスプリングと、
を具備するプリンタ。 - 前記スプリングのバネ定数は、前記キャリアシャフトの回転に伴う前記印字ヘッドの変位量が最大となる位置で変化する請求項1記載のプリンタ。
- 前記スプリングは、前記キャリアシャフトの回転に対して、第一のバネ定数で抑制力を付与すると共に第一のバネ定数で抑制力を付与する途中から第二のバネ定数で抑制力を付与することによって前記キャリアシャフトの回転途中でバネ定数を高く変化させる請求項1又は2記載のプリンタ。
- 前記スプリングは、前記キャリアシャフトの回転に対して、第一のバネ定数で抑制力を付与するコイルスプリングと、このコイルスプリングの作用途中から第二のバネ定数で抑制力を付与するトーションコイルスプリングとによって形成されている請求項3記載のプリンタ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP18467899A JP3626635B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | プリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP18467899A JP3626635B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | プリンタ |
Publications (2)
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