JP3622215B2 - 新規ポリシロキサンとその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、一般式
【0002】
【化8】
で示される有機官能基として3−グリシドキシプロピル基と3−メタクリロキシプロピル基を併せ持つ、しかも常温で安定なシラノール基xを0.05ないし0.8個含むブロックコポリマーであるオルガノポリシロキサンおよびその製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、シランカップリング剤はガラス強化FRP用途に1947頃より実用化されダウコニング社のプルードマン(E.P.Plueddemane)等により応用展開がはかられたシラン化合物である。現在でも主として熱硬化樹脂とフィーラ間に作用して耐熱水強度向上や電気特性のダウンを抑えるバインダーとして広く使用されている。最近では、強度向上目的以外に繊維処理剤としてヌメリ感や反発弾性を与える薬剤としての使い方やプラスチックマグネット製造時に添加されて配向性と強度向上目的で使われている。またビニルシランカップリング剤ではポリエチレンの簡便な架橋剤として電線被覆に適応されている。
3−グリシドキシプロピル基を有するシランカップリング剤はエポキシ樹脂コンパウンドに添加されてIC封止剤の特性維持に効果的に使われたり、プラスチックレンズの染色タイプのハードコート剤にも使われている。
他方、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランのシランカップリング剤はガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂複合材(FRP)のバインダーとして無くてはならない物である。また、アクリル樹脂シリカ配合人造大理石の製造にも必要不可欠なカップリング剤として利用されている。
最近発表された共加水分解物にはテトラメトキシシランと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが試作されているが、本発明とは異なってアルコキシ基を相当量残した極低粘度のオイルである。これは、いわゆるポリマー化シランカップリング剤としての展開を模索するものであり、構造的にも機能的にも全く似て否なるものである。
また、従来ポリメチルシロキサン主鎖にペンダントとしてアルコキシ基を持たせたものも提案されているが、いずれも有機樹脂との相溶性の問題が大きなネックとなり応用展開がはかられないままである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
オルガノ官能性アルコキシシランカップリング剤同志であってトリアルコキシシランとアルキルジアルコキシシランの組み合わせにて共加水分解してアルコキシ基を残留させず、シラノール基に変換させる為にはシラン総モル数の少なくとも3倍モルの水、好ましくは3.5倍モル以上の水を反応させる必要がある。この為には使用する親水性溶媒は添加される水を充分溶解し得る量が必要である。かかる条件を満たしS520の如く酸触媒のみでは加水分解が長期間かかるシランカップリング剤では有機錫化合物の様な縮合触媒を添加する事で解決し得る事を見いだした。本発明に関わる反応原料の内の3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランはこれ単独での加水分解速度は常温で30分以内にモノマー消失する早さである。S520との混合で加水分解をスタートさせると(一括仕込)、得られたオイルの粘度は、三官能シラン/二官能シランモル比が8/1と三官能シラン含有率が高くても2000cp以下(25℃)と本発明の約3万cpと比べ著しく低い。本発明ではこれを前述した二段加水分解縮合反応方法にて解決した。以上の説明から明らかなように、本発明の目的は上述した新規なオルガノポリシロキサンとその製造法を提供することである。本発明では従来より提案されてきた残留アルコキシ基を利用するのでなく、架橋性、反応性に富み、かつ常温では安定なシラノール基を含み三次元構造を含む3−グリシドキシプロピル基及び3−メタクリロキシプロピル基官能性のオルガノポリシロキサンを提供する。このシラノール基はメチル系ポリマーとの縮重合やポリシロキサン架橋による硬化物を得る事も可能である。含有するエポキシ基は勿論通常のポリマー化反応をさせる事が出来るし、エポキシ樹脂との良相溶性から従来のオルガノポリシロキサンでは出来なかった均質なポリマー化が出来るので新たな需要を創設可能である。また、含有せるメタクリロキシ基はPMMA等メタクリル樹脂との共重合が可能で、本発明のオルガノポリシロキサンの相溶性の良さから従来のオルガノポリシロキサンでは出来なかった均質なポリマー化が出来るので新たな需要を創設可能である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)ないし(4)の各構成を有する。
(1)式〔化9〕で示されるブロックコポリマーであるオルガノポリシロキサン
【化9】
(ここで、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、n,mはいずれも3以上の正の整数であり、nとmの比は2/1ないし1/8であり、Xは0.05ないし0.8で末端基はシラノール基である)。
(2)式〔化10〕で示される3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン
【化10】
と式〔化11〕で示される3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン
【化11】
とを親水性溶媒、有機錫縮合触媒および酸加水分解触媒の存在下に、シラン総モルの3〜4倍モルの水を加えて加水分解および縮合反応せしめることを特徴とする式〔化12〕で示されるオルガノポリシロキサンの製造法
【化12】
(ここで、RおよびR1 は炭素数1〜8のアルキル基であり、R 2 は炭素数1〜8のアルキル基またはセルソルブであり、n,mはいずれも3以上の正の整数であり、nとmの比は2/1ないし1/8であり、Xは0.05ないし0.8で末端基はシラノール基である)。
(3)式〔化13〕で示される3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン
【化13】
を親水性溶媒、酸加水分解触媒の存在下にシラン総モルの3〜4倍モルの水を加えて加水分解させ、ひきつづき該反応混合物に式〔化14〕で示される3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン
【化14】
および有機錫縮合触媒を加えて縮合反応(以下、二段加水分解縮合反応という)を行なわせることを特徴とする式〔化15〕で示されるオルガノポリシロキサンの製造法
【化15】
(ここで、RおよびR1 は炭素数1〜8のアルキル基であり、R 2 は炭素数1〜8のアルキル基またはセルソルブであり、n,mはいずれも3以上の正の整数であり、nとmの比は2/1ないし1/8であり、Xは0.05ないし0.8で末端基はシラノール基である)。
(4)3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランが3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランまたは3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランであり、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランが3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランまたは3−メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シランである前記第2項に記載の製造法。
【0006】
本発明の構成と効果につき以下に詳述する。本発明の構成成分である3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランと3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランの仕込モル比が2対1を越える場合には生成したオルガノポリシロキサンはオイルとゲルの混合物となる。2対1以下の二官能シランカップリング剤を少なくしたモル比で加水分解縮合反応させると、通常の操作で単離した反応物は常温でオイル状態を呈する。該ゲル生成の要因としては、赤外(IR)吸収分析と核磁気共鳴(NMR)分析の結果を考え合わせると、シラノール基xが1.5個以上になるとゲル化を生じる事実があるがその原因は現時点では不明である。3−グリシドキシプロピル基を含むジアルコキシのシランカップリング剤としては、アルキル基RはC1 〜C8 の飽和炭化水素基が適応されるが、特に好適にはC1 〜C2 の飽和炭化水素基が使用出来る。2つのアルコキシ基もC1 〜C8 の飽和アルコールより製造したものが適当で、特に好適にはその加水分解速度よりメトキシ基あるいはエトキシ基が挙げられる。すなわち3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ株式会社製サイラエースS520)や3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学社製CFシランKBE402)等の市販品が利用出来る。
【0007】
他方、3−メタクリロキシプロピル基を持つトリアルコキシシランカップリング剤としては、アルコキシ基はC1 〜C8 の飽和アルコールより製造したもの、あるいはセルソルブより製造したものが適当で、特に好適にはその加水分解速度よりメトキシ基あるいはメトキシエトキシ基が挙げられる。すなわち3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ株式会社製サイラエースS710)や3−メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン(ヒュルス・アメリカ製M8558)等の市販品が利用出来る。
【0008】
次に加水分解触媒としての酸であるが、触媒量の酸があればよく酸濃度は特に規定しない。例えば希釈した酸を規定量の水の分だけ添加する方法もある。酸の種類としては酢酸等の有機酸や塩酸、硫酸等の無機酸あるいは強酸性イオン交換樹脂のいずれも使用出来るが好ましくは加水分解速度の早い無機酸が推奨される。
【0009】
シラノール縮合触媒として作用する広範な種類の物質のいずれもが本発明に用いる事が出来る。かかる物質には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫の様な有機錫化合物、あるいはナフテン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸及びナフテン酸コバルトの如き金属カルボキシレート、チタニウムエステル及びキレートが挙げられる。好ましい化合物は有機錫化合物で特に錫カルボキシレート、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテートがある。縮合触媒量は触媒量であれば特に規定しないが一般的にはシラン総量の0.05%以下で行われる。
【0010】
加水分解を充分行わせる為の水の量はシラン総モルに対して3〜4倍モル、好ましくは3.5倍モル以上の添加が必要である。反応溶媒としては親水性溶媒単独でもよいが、親水性溶媒の混合溶媒や親油性と親水溶媒の混合溶媒も適応出来る。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ターシャリブタノール、ジアセトンアルコール等の親水性溶媒、あるいはキシレン/アルコール、トルエン/アルコール等の混合溶媒も使用できる。
【0011】
本発明によるオルガノポリシロキサンの製造では特に前述(3)の二段加水分解縮合反応方法が特に発明の重要な位置を占めている。すなわち、2種の原料シランを混合状態で酸加水分解触媒と有機錫縮合触媒を加えて加水分解縮合反応させる(一括反応法)と仕込みモル比の違いが反応速度の違いとなり、エポキシシラン例えばS520とメタクリルシラン例えばS710の加水分解割合が反応時間経過で違うし仕込みモル比で違う結果となっている事がガスクロマグラフィー(GC)での反応追試チェックで確認された。この様にして一括仕込みの反応方法で得られたオイルの粘度は、三官能シラン/二官能シランモル比が8/1と三官能シラン含有率が高くても2000cp以下(25℃)と低い。
S520の如きジアルコキシのシランカップリング剤は加水分解時間がトリアルコキシシランであるS710に比べ著しく長く2日間で40%弱が加水分解したに過ぎない程である。これを早めるには前記した縮合触媒添加が有効である事を見いだした。
一方のS710の加水分解時間は室温下で30分以内と早い。本発明ではかかる事実にかんがみ、S710を酸触媒下に規定量の水で加水分解後に縮合触媒と規定モルのS520を加えて共加水分解縮合反応せしめる。この二段加水分解縮合反応によれば室温条件にて3〜5数時間で反応を完結出来る。従ってポリマーの構造形態はブロックコポリマーをとる事が予想される。
【0012】
更に本発明では共加水分解縮合反応させたオルガノポリシロキサンを常温にて安定なシラノール基を有し、仕込モル相当のエポキシ酸素量とメタクリロキシプロピル基を併せ持つ新規化合物を単離する事に成功した。単離には使用した有機溶媒を低温で親水性溶媒、中温で親油性溶媒及びこれら溶媒の水共沸混合物として留去せしめる。残った水を除くためにバス温140〜150℃で加熱乾燥する。
【0013】
本発明で得られたオルガノポリシロキサンオイルの溶解性の測定はガラスサンプル管に本発明の油状オルガノポリシロキサンのサンプル100mgを採り、これに1mlの各溶媒を加えて肉眼観察により溶け易さを判定する方法で行った。その結果は易溶、溶解、微溶、難溶、不溶の5段階表示で行った。本発明によるオルガノポリシロキサンオイルはトルエン、アルコール等の多くの溶剤に溶ける。この特性はメチル系シリコーンオイルに無い性質である。
【0014】
本発明のオルガノポリシロキサンは一般に次の(a)及び(b)の様な手段で上記の一般式で示されるものである事を確認出来る。
(a)赤外吸収スペクトル(IR)の解析
3450cm−1付近のSi−OHの特徴的吸収、3000cm−1〜2900cm−1付近のCH結合に基づく数本の吸収、1720cm−1の−C=CCOO−吸収,1640cm−1付近のC=C吸収、1100cm−1〜1000cm−1付近のSi−O−Siのブロードな吸収が現れる。3450cm−1付近の吸収ピークと1720cm−1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比はシラノール基含有率の相対値の指標となる。すなわち、この値が1.0以下であれば常温で安定なシラノール基を有したオイルである。この値が1.0以上では数十℃の加熱で樹脂状態の固体を呈するオルガノポリシロキサンポリマーである。
(b) 1H−核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)
本発明のオルガノポリシロキサン中の水素原子の個数や結合様式、更に重水素置換により(Si)−OHである確認、水素原子の比から(Si)−OHの個数を知る事が出来る。実施例1で得られたオルガノポリシロキサンの構造式は下記〔化16〕の如く(なお、n=2、m=1)でシグナルの関係は表1に示した。
【0015】
【化16】
【0016】
【表1】
【0017】
粘度データーの測定は東京計器(株)製回転粘度計‘VISCONIC’を用いて25℃恒温で行った。本発明の実施例1〜実施例3のオルガノポリシロキサンでは粘度は約200cp〜8000cpの範囲でS520/S710のモル比に比例的に変化した。すなわちS710のモル比が高い程粘度が高くなる。S520/S710のモル比が4/1以上では一部ゲル化が生じる。
赤外吸収(IR)ではシラノールに基づく3450cm−1吸収ピークとC=CCOO−に基づく1720cm−1吸収ピークの強度につきlogI0 /I吸光光度で両ピークの比をとると、モル比(1/0)〜1/8〜1/2の範囲ではS520比率が多くなるにつけ(0.31)〜0.23〜0.17と相対シラノール量が減少する。しかしながらモル比1/1〜2/1では0.5前後に跳ね上がる。これ以上のモル比例えば4/1、8/1では反応物の殆どがゲル体である。このゲル体は前述の吸光度比1.0以上を示す。
【0018】
【発明の効果】
本発明のオルガノポリシロキサンは、後述した実施例において証明されている如く、ポリマー中に常温にて安定なシラノール基を3−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシランと3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランの二段加水分解縮合反応により有し、かつ仕込み原料の有機官能基であるエポキシ基及びメタクリロキシ基を有するマルチファンクショナルな反応性オルガノポリシロキサンである。そして、この2つの有機官能基の比率は仕込み原料比でほぼ自由に変える事が出来る。本発明のオルガノポリシロキサンは大抵のメチル系ポリシロキサンが有機溶媒や有機樹脂に溶解ないし親和性を持つていないのに対して本発明のオルガノポリシロキサンは多種類の有機溶媒に溶解する。また多種類の有機樹脂に親和性を示す。これら特徴より変性シリコーンオイルとしての用途は勿論、その他離型剤、剥離紙用シリコーン、パーソナルケア用シリコーン、塗料添加剤、シリコーン粘着剤、接着シール材、変性シリコーンシラント他広範囲の用途に展開出来る有用なものである。また、2種類以上のポリマーで構成されるポリマーアロイやブレンドに於いて、異種樹脂同志の界面に作用して混練を容易ならしめたり、ポリマー間のカップリングも期待される。本発明を更に具体的に説明する為に以下実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
【実施例1】
3−グリシドキシプロピルメチルポリシロキサン、シラノール基含有3−メタクリロキシプロピルポリシロキサン共重合オイルの合成;S520/S710=2/1(モル)
1Lの三口フラスコにチッソ(株)社製のS710の62gを採り、反応溶剤としてトルエン/メタノール=60/40の混合溶媒500mlを加える。加水分解触媒として塩酸を触媒量とシラン総モルに対して3.5倍モルの水48mlを加えて常温下に30分間攪拌反応せしめる。ガスクロマトグラフィー(GC)にてS710のピークの消失を確認する。チッソ社製S520の110gと縮合触媒としてジブチル錫ジラウレートの0.05gを添加し、常温にて攪拌下に3〜5時間加水分解縮合反応させる。GCにてS520及びこれのオリゴマーピーク消失を確認して反応終了とする。ウオーターバスにて加温し強攪拌下でメタノール及び共沸溶剤を留去する。残留液を300mlフラスコに移し、オイルバスにて加温し強攪拌下で残留トルエン及び塩酸を含む水を留去せしめる。こうして得られた油状オルガノポリシロキサンは123gで理論収率の98%、無色透明粘性液体である。粘度は250センチポイズ(25℃)であった。IRチャート及びNMRチャートを図1、図2に示した。なおNMRで1.93ppmのシグナルがOHに基づく成分を含む事の証明は図3に示した重水素置換により確認した。IR及びNMRの結果解析より得られた油状オルガノポリシロキサンの構造式は以下の如くであり、示性式は(C 7 H 14 O 3 Si) 2 ・(C 7 H 11.8 O 3.9 Si) 1 である。
【0020】
【化17】
【0021】
肉眼観察による溶け易さの判定結果は、トルエンに易溶、アセトン、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、クロロホルム、エタノール、イソプロパノールに溶解、但しアルコールには溶解が若干遅い、n−ヘキサンに難溶、水に不溶であった。
前記、3450cm−1付近の吸収ピークと1720cm−1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比は0.25であった。
【0022】
【実施例2】
3−グリシドキシプロピルメチルポリシロキサン、シラノール基含有3−メタクリロキシプロピルポリシロキサン共重合オイルの合成;S520/S710=1/1、1/2、1/4(モル)
実施例1と同様に二段加水分解縮合反応にて製造する。但し仕込量は一段目のS710とN/10HCl溶液及び二段目のS520を表2に示した。二段目にS520と同時に加える有機錫縮合触媒はモル比によらず0.05g一定とした。トルエン/メタノール=60/40の混合溶媒50mlもモル比によらず一定とした。GCにてS710のモノマー及びオリゴマー消失確認してから、二段目のS520原料とヂブチル錫ジラウレート縮合触媒を添加した。
【0023】
【表2】
【0024】
GCにてS520モノマーとオリゴマー消失確認する、S520添加後、室温にて数時間(通常4〜6時間)の反応時間が必要である。反応終了後、乾燥窒素気流にて溶媒を揮散せしめる、次いで乾燥濾紙に分離した塩酸を含む水玉を吸収させる。ヘアードライヤーの熱風にて残留するトルエンを臭気がしない状態に揮散させてから120℃乾燥オーブン中に1時間入れて乾燥せしめる。こうして得られた油状オルガノポリシロキサンは無色透明粘性液体であった。得られた油状オルガノポリシロキサンの粘度(25℃)、IR3450cm −1 /1720cm−1吸収ピークの吸光度比の結果を表3にNMRシグナル解析の結果を表4に示した。なおNMRでメチレン基に重なった1.93ppmのシグナルがOHに基づく事の証明は、各々のモル比につき実施例1同様重水素置換により確認した。S520/S710の仕込モル比1/1、1/2、1/4で得られた油状オルガノポリシロキサンのNMRチャートを図4、図5、図6に、IRチャートを図7、図8、図9に示した。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【実施例3】
3−グリシドキシプロピルメチルポリシロキサン、シラノール基含有3−メタクリロキシプロピルポリシロキサン共重合オイルの合成;S520/S710=1/8
実施例1と同様に二段加水分解縮合反応にて製造する。但し仕込量は一段目のS710の4.96gとN/10HCl溶液1.42ml、トルエン/メタノール=60/40の混合溶媒50ml及び二段目のS520の0.55gと有機錫縮合触媒0.05gである。GCにてS710のモノマー及びオリゴマー消失確認してから、二段目のS520原料とヂブチル錫ジラウレート縮合触媒を添加した。GCにてS520モノマーとオリゴマー消失確認する、S520添加後、室温にて数時間(通常4〜6時間)の反応時間が必要である。反応終了後、乾燥窒素気流にて溶媒を揮散せしめる、次いで乾燥濾紙に分離した塩酸を含む水玉を吸収させる。ヘアードライヤーの熱風にて残留するトルエンを臭気がしない状態に揮散させてから120℃乾燥オーブン中に1時間入れて乾燥せしめる。こうして得られた油状オルガノポリシロキサンは無色透明粘性液体であった。粘度は28,900センチポイズ(25℃)であった。IRチャート及びNMRチャートを図10、図11に示した。なおNMRでメチレン基に重なった1.93ppmのシグナルがOHに基づく事の証明は重水素置換により確認した。IR及びNMRの結果解析より得られた油状オルガノポリシロキサンの構造式は以下の如くであり、示性式は(C7H14O3Si)1・(C7H11.08O3.54Si)8 である。
【0028】
【化18】
【0029】
肉眼観察による溶け易さの判定結果は、トルエン、アセトン、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、クロロホルム、エタノール、イソプロパノールに溶解、但しアルコールには溶解が若干遅い、n−ヘキサンに難溶、水に不溶であった。前記、3450cm−1付近の吸収ピークと1720cm−1付近の吸収ピークとの吸光度(logI0 /I)比は0.23であった。
【図面の簡単な説明】
図1〜図11は、本発明の実施例で得られた赤外吸収図又はNMRチャートである。
【図1】赤外吸収図である。
【図2】NMRチャートである。
【図3】NMRチャートである。
【図4】NMRチャートである。
【図5】NMRチャートである。
【図6】NMRチャートである。
【図7】赤外吸収図である。
【図8】赤外吸収図である。
【図9】赤外吸収図である。
【図10】赤外吸収図である。
【図11】NMRチャートである。
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