JP3610185B2 - 通信装置及び通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ受信中にトレーニング信号のパターンが検出されると自動的にデータ受信から制御信号の通信へ移行するモードを有しているモデムを用いて画像データテキストデータ等のデータ通信を行う通信装置及び通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、モデムの伝送速度が速くなってきており、ファクシミリ等の通信装置においても、ITU−T勧告のV.34の28.8kbpsのモデムが実現可能となってきている。このような高速伝送を行うモデムを用いて、ファクシミリ通信を行う場合、V.34通信の画像データは連続するスーパーフレーム(280ms)で構成されている。その為に、画像信号の通信中に回線信号の瞬断が発生した場合、スーパーフレームの通信の同期を失い、そのスーパーフレームの通信の再同期を取るまでの時間のフレームの画像データを受信できなくなる。又、技術的にも再同期をとるための処理が複雑であるために、実質的に30ms以上の回線信号の瞬断が発生した場合には、再同期をとることができず、瞬断が発生した以降は、正常に画像データをできなくなってしまう。
【0003】
又、V.34モデムの中には、画像信号の受信中にトレーニング信号のパターンが検出されると自動的に画像信号の受信からトレーニング信号の受信へ移行するモードを有しているものがある。このモードを非動作状態とすると、モデムは、画像信号の受信中にトレーニング信号と同じ信号パターンが受信されても画像信号の受信からトレーニング信号の検出へ移行しないので、そのまま画像信号の受信を続行するので、信号の瞬断時に、画像信号を受信するチャネルのままで保持され、信号の瞬断が極めて短い時間であれば、その画像信号の受信中に再同期が取れるとそのまま画像信号の受信を行うことができる。しかし、上記モードを非動作状態にすると、画像信号の終わりに付加されている(画像信号のブロックの終わりに付加されている)ところのRCP信号(コントロールチャネルの信号通信へ移行するための信号)を検出した場合にのみ、コントロールチャネルの通信(制御信号の通信)へ移行する。この為に、画像信号の受信中に30ms以上の信号の瞬断が発生すると、モデムが発散してしまいRCP信号を検出できず、このためにコントロールチャネルの信号通信へ移行できず、後手順を行うことができず通信がエラー終了してしまう。
【0004】
又、上記モードを動作状態にすると、RCP信号が正常に受信され検出されなくても、画像信号の受信からコントロールチャネルの信号通信へ移行できるので、後手順を行うことができる反面、受信された画信号中にトレーニング信号と同じパターンが含まれていた場合、モデムは、画信号中のそのパターンをトレーニング信号と誤検出してしまい、モデム内のイコライザを初期状態にして発散してしまうために、それ以降の画像信号の受信ができなくなってしまう。又、信号の瞬断が発生した場合には、すぐに画像信号の受信からコントロールチャネルの信号通信へ移行してしまうために、通信途中でタイムアウトしてしまう場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、上述のV.34モデムのような高速伝送を行うモデムを用いて、データの通信を行う場合、従来のV.17モデムのような14.4kbps以下でデータ伝送するものに比べて、回線信号の瞬断の影響を受け易くなり、その為に通信エラーとなるケースが多くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述のV.34モデムのように高速伝送可能なモデムを用いてデータ通信を行う通信装置において、データ通信中に回線信号の集団が発生したような場合にも、データ通信から制御信号の通信へ適切に移行できるようにし、瞬断が発生しても通信を継続することが可能な通信装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
その為に、本発明では、上述のようなデータ受信中にトレーニング信号のパターンが検出されると自動的にデータ受信から制御信号の通信へ移行するモードを有しているモデムを用いて通信を行う通信装置において、前記モデムによるデータの受信状態を判別する判別手段と、前記判別手段により判別した前記モデムによるデータの受信状態に応じて前記モデムの前記モードを動作状態/非動作状態に選択的に切換える手段を設け、前記切換手段は、前記モデムによるデータ通信への移行に応じて前記モードを非動作状態に設定し、前記判別手段により前記モデムによるデータの受信状態が良好でないと判別すると、前記モードを動作状態に設定するようにし、これにより、データ通信中に信号の瞬断が発生してもデータ通信から制御信号の通信へ移行できるようにし、通信動作を継続できるようにしたものである。
【0008】
又、前記モードの切換手段を動作させるタイミングを制御するためのタイマ手段を更に設けたものである。
【0009】
又、前記タイマ手段をのカウント時間を任意に設定可能にしたものである。
【0010】
又、前記判別手段により、前記モデムによるデータの受信状態が良好であるか否かを判別し、その判別結果に従って前記モデムの前記モードを切換えるようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態のファクシミリ装置の構成を示したブロック図である。
【0014】
図中、1は、マイクロコンピュータ等により構成され、装置全体の制御を行うメイン制御部である。
【0015】
2は、メイン制御部1により実行される制御プログラムを格納したROM(リード・オンリー・メモリ)である。
【0016】
3は、オペレータにより設定可能なデータの格納や、メイン制御部1のワークエリアとして使用されるRAM(ランダムアクセスメモリ)である。
【0017】
4は、各種のキー(キーボード)及びそれらのキー入力構成、液晶表示器(LCD)、発光ダイオード(LED)等から構成される操作部である。
【0018】
5は、原稿の画像を光学的に読み取る読取部であり、原稿搬送機構やCCD等の読取センサなどより構成されている。
【0019】
6は、画像データを可視的に記録する記録部であり、インクジェット方式又は電子写真方式のプリンタ等から構成されている。
【0020】
7は、送信信号の変調/受信信号の復調を行うモデムであり、本実施の形態におけるモデムとしては、例えばITU−T勧告のV.8、V.34、V.21、V.17、V.29に準拠したロックウェル社製のR288Fを用いている。又、8は、公衆電話回線(PSTN)を接続するための網制御装置(NCU)であり、モデム7とNCU8より通信部9が構成されている。
【0021】
図2は、本実施の形態のメイン制御部1のマイクロコンピュータ(CPU)とモデム7の接続関係を示した図である。
【0022】
CPUとモデム7は、システムバスにより接続されており、CPUとモデム7間のデータの送受は、システムバスを介して実行される。モデム7には、CPUに対してモデムのステータスを通知するためのレジスタ7−1が設けられている。モデム7は、レジスタ7−1にモデムの動作状況を示す情報(例えばAx:モデムが画像信号受信前の再トレーニングシーケンス中であることを示す、8x:モデムがコントロールフェーズ中であることを示す)を書き込み、CPUがシステムバスを介してレジスタ7−1の情報を一定時間間隔で読み出し(例えば1ms)、読み出した情報を判定することによりモデム7の動作状況を認識(把握)する。
【0023】
又、モデム7は、画像信号の受信中にトレーニング信号のパターンが検出されると自動的に画像信号の受信からトレーニング信号の受信へ移行するモードを有しており、CPUは、かかるモードを動作状態/非動作状態に設定可能に構成されている。具体的には、モデム7には、RTDISレジスタ7−2が設けられており、CPUがRTDISレジスタ7−2に“1”(ON)を書き込むと、RTDISがON(イネーブル)となり、上記モードが非動作状態となる。又、CPUがRTDISレジスタ7−2に“0”(OFF)を書き込むと、RTDISがOFF(ディスイネーブル)となり、上記モードが動作状態となる。
【0024】
RTDISをONにして上記モードを非動作状態とすると、モデム7は、画像信号の受信中にトレーニング信号と同じ信号パターンが受信されても画像信号の受信からトレーニング信号の検出へ移行しないので、そのまま画像信号の受信を続行する。そして、V.34モードでの通信における信号の瞬断時に、画像信号を受信するチャネルのままで保持されるので、その画像信号の受信中に再同期が取れるとそのまま画像信号の受信を行うことができる。一方、モデム7のRTDISがONされていると、モデム7は、画像信号の終わりに付加されている(画像信号のブロックの終わりに付加されている)ところのRCP信号(コントロールチャネルの信号通信へ移行するための信号)を検出した場合にのみ、このRTDISを自動的にOFFしてコントロールチャネルの通信へ移行する。この為に、画像信号の受信中に信号の瞬断等によりモデム7が発散してしまいRCP信号を検出できないと、モデム7は、コントロールチャネルの信号通信へ移行できず、後手順を行うことができず通信がエラー終了してしまう。
【0025】
又、RTDISをOFFにして上記モードを動作状態にすると、RCP信号が正常に受信され検出されなくても、画像信号の受信からコントロールチャネルの信号通信へ移行できるので、後手順を行うことができる。一方、モデム7のRTDISがOFFされていると、受信された画信号中にトレーニング信号と同じパターンが含まれていた場合、モデム7は、画信号中のそのパターンをトレーニング信号と誤検出してしまい、モデム内のイコライザを初期状態にして発散してしまうために、それ以降の画像信号の受信ができなくなってしまう。又、信号の瞬断が発生した場合には、すぐに画像信号の受信からコントロールチャネルの信号通信へ移行してしまうために、通信途中でタイムアウトしてしまう場合がある。
【0026】
次に、上述のモデム7のRTDISがONに設定されていて、画像受信が正常に行われた場合の通信シーケンスについて説明する。
【0027】
図3は、正常な通信時の通信シーケンスを示した図である。図3に示す1段目の信号は、実際に回線に出力されている信号である。2段目の信号は送信機側のの送信動作状態を示したものであり、( )内に示す数字はその動作状態を示すステータスであり、この信号は受信機で認識することができる。3段目の信号は受信機側の受信動作状態を示したものであり、( )内に示す数字は同様にその動作状態を示すステータスである。4段目のRTDISは、上述した受信機側のモデム7のトレーニング信号の自動認識機能を動作状態/非動作状態に設定するための制御信号であり、このRTDISがON(イネーブル)であれば受信機側のモデム7は、トレーニング信号のパターン検出に応じたトレーニング信号の受信処理への移行を行わず、画像信号の終わりに付加されているRCP信号の検出によりコントロールチャネルの信号通信へ移行する。又、RTDISがOFF(ディスエーブル)であれば、トレーニング信号のパターン検出に応じたトレーニング信号の受信処理への移行を行う。通常、このRTDISは、ONに設定されている。
【0028】
図4は、受信機側のCPUの通信処理動作(ROMに格納されているプログラムに基づいて実行される処理)を示したフローチャートで示したものである。図4では、図3と同様に通信のコントロールフェイズ(84)からのフローチャートを示す。
【0029】
ステップS201では、コントロールフェーズ(84)に入りITU勧告に示されるT.30ハンドシェイクを行う。
【0030】
ステップS202では、PIX(画像)信号受信前に再トレーニングシーケンス(Ax)を実施する。
【0031】
ステップS203では、PIX信号(A3)の受信を開始する。
【0032】
ステップS204では、受信機側のモデム7のステータスがコントロールフェーズ(8x)に入っているかどうかを判断する。コントロールフェーズ(8x)に入っていればステップS208に進み、入っていなければステップS205に進む。ただし、RTDISがONの場合、モデム7は、画像信号の受信中の回線信号の瞬断の有無に拘らずステータスをコントロールフェーズ(8x)に設定しないない(コントロールフェーズの移行しない)ので、ステップS204の判定はNOとなる。他方、RTDISがOFFの場合、モデム7は、画像信号の受信中にトレーニング信号のパターンを検出する又は回線信号の瞬断を検出すると、自動的にコントロールフェーズに移行して、ステータスをコントロールフェーズ(8x)に設定する。その場合、ステップS204からステップS208に進むことになる。
【0033】
ステップS205では、PIX信号の終了信号であるRCP信号を受信したかどうかを判断し、これが受信されたならばステップS206に進む、受信されていなければステップS203に戻りPIX信号の受信を継続する。
【0034】
ステップS206では、モデム7にターンオフシーケンス(A0)を実施させる。
【0035】
そして、ステップS207に進み、モデム7をコントロールフェーズ(8x)に設定し、通信終了手順を実行させる。
【0036】
ステップS208では、タイマT2をスタートする。タイマT2はITU勧告V.34に規定されているタイマであり、命令検索を始めた時にスタートし、命令が受信されるかタイムアウトした時にリセットされる。また、このタイマT2は6±1秒と規定されている。
【0037】
そして、ステップS209では、ITU勧告に示されるV.34通信のハンドシェイクを行なう。このV.34通信のハンドシェイクが終了したならばステップS210に進み、終了していなければステップS212に進む。
【0038】
ステップS212では、タイマーT2がタイムアウトしていないかどうかを判断する。タイムアウトしていればステップS213に進み、通信はエラー終了し、回線は開放される。タイムアウトしていなければステップS209に戻り同様の処理を行なう。
【0039】
ステップS210では、次の原稿があるかどうかを判断し、原稿がある場合にはステップS202に戻り同様の処理を行い、原稿が無ければステップS211に進み回線を開放して通信は終了する。
【0040】
上述のフローにおいて、RTDISがONで通信が正常に実行された場合には、図3に示した様な通信シーケンスとなる。又、回線信号の瞬断等によりモデム7が発散してしまいRCP信号が正常に受信されない場合には、ステップS205でRCP信号の受信を検出できないので、最終的には通信はエラー終了してしまうことになる。
【0041】
又、上述のモデム7のRTDISがOFFに設定されていて、画像信号の受信中に回線上の信号の瞬断が発生した場合の通信シーケンスを、図5に示す。
【0042】
この図5に示している各信号も、図3で説明したものと同様である。図5に示すようにRTDISがOFFに設定されていて、瞬断等の要因によりPIX信号の同期が保持できなくなった場合、受信機側のモデム7は瞬断したその瞬間からコントロールフェーズ(8x)に移行してしまう。つまり、受信機側のモデム7は、コントロールフェーズ(8x)の制御信号(V.34通信の制御信号のSh信号、ALT信号、E信号)待ちになる。従って、CPUは、図4のステップS204からステップS208に進み、ステップS208でT2タイマをスタートさせる。しかし、図5に示すように送信機側はPIX信号送信中であるので、受信機側は、コントロールフェーズ(8x)の制御信号を受信することができない。この為、受信機側のモデム7は、回線信号が瞬断した時点からコントロールフェーズ(84)に移行してしまい、タイマーT2のタイムアウトまでに命令受信(Q信号)がなければ、その通信はエラー終了してしまうことになる。
【0043】
図6は、上述のモデム7のRTDISを画像信号の受信中にONに設定した場合の通信シーケンスを示した図である。この図6に示している各信号は、図3で説明したものと同様である。図6に示すようにRTDISがONの時に瞬断等の要因によりPIX信号(画像信号)の同期が保持できなくなった場合、受信機側はPIX信号の終了信号(RCP信号)を検出できなくなり、図4のフローチャートに示すように受信機側のCPUは、やはりステップS205から進むことができなくなる。つまり、受信機側のCPUは、コントロールフェーズ(8x)に入れず図4のステップS203とS205のループを繰り返す事になる。そして、送信機がPIX信号の送信を終了してコントロールフェーズ(84)まで進み、強制的に回線を断するまで、受信機は回線を補足したままであり、通信はエラー終了となる。
【0044】
そこで、本実施の形態では、画像信号の受信中に、上述のモデム7のRTDISのON・OFFを切換えて設定することにより、画像信号の受信中に、回線信号の瞬断が発生しても適切に画像信号の受信からコントロールチャネルの信号通信へ移行可能とする。
【0045】
図7は、本実施の形態の通信シーケンスを示した図である。この図7に示されている各信号は、上述の図3で説明したものと同様である。ここでは、RTDISはHiがON(イネーブル)でLowがOFF(ディスイネーブル)としている。
【0046】
図8、図9は、図7に示された本実施の形態のCPUの受信処理の制御動作を示したフローチャートである。図8、図9では、図7と同様に通信のコントロールフェーズ(84)からのフローチャートを示す。以下にその動作を説明する。
【0047】
ステップS601では、コントロールフェーズ(84)に入りITU勧告に示されるV.34通信のハンドシェイクを実行させる。
【0048】
ステップS602では、PIX(画像)信号受信前にモデム7に再トレーニングシーケンス(Ax)を実行させる。
【0049】
ステップS603では、PIX信号の受信(A3)をトリガとして、モデム7のRTDISをイネーブルに設定(RTDISを“1”に設定)し、ステップS604に進みPIX信号の受信(A3)を開始させる。
【0050】
ステップS605では、モデム7のステータスがコントロールフェーズ(8x)に入っているかどうかを判断する。コントロールフェーズ(8x)に入っていればステップS613に進み、入っていなければステップS606に進む。
【0051】
ステップS606では、モデム7からCPUに出力されるPIX信号(A3)のEQM(Eye Quality Monitor)値を入力し、その入力した値をチェックする。そして、何らかの要因でEQM値が正常値に比べて非常に大きく、モデム7によるPIX信号の復調が発散していると判断されたならば、すなわち瞬断等でPIX信号の復調のための同期が保持できなくなっている場合はステップS611に進み、正常であればステップS607に進む。ここでは、モデム7によるPIX信号の受信復調の状態(良否)判定にEQM値を用いているが、特にEQM値だけではなくCD(Career Detect)やFED(Fast Energy Detector)信号等を用いてもよい事はいうまでもない。
【0052】
ステップS607に進んだ場合は、モデム7から出力されるPIX信号の終了信号であるRCP信号を監視し、RCP信号を受信したならばステップS608に進み、RCP信号が受信されないならばステップS604に戻り上記と同様の処理を繰り返す。
【0053】
ステップS608では、モデム7のRTDISを上述のコントロールフェーズの制御信号を受信できるようにOFFに設定(RTDISを“0”に設定)する。
【0054】
ステップS606からステップS611に進むと、その瞬間にスタートするRTDISの制御タイマTrがタイムアウトしているかどうかを判断する。このタイマTrは任意の値が設定可能であるが、本実施の形態ではタイマTrを約1秒としている。そして、タイマTrがタイムアウトしてないならば、そのままステップS607に進み、タイムアウトしているならばステップS612に進む。
【0055】
ステップS612では、モデム7のRTDISをOFFにセットして、ステップS607に進む。すなわち、ステップS606でEQM値が正常でなく、モデム7によるPIX信号の受信復調が発散していると判断した場合は、ステップS611のルーチンに入り、任意の設定時間Tr経過後にモデム7のRTDISをOFFにセットする。そして、RTDISをOFFに設定することにより、モデム7(受信機側)は、PIX信号待ちのフェーズ(画像信号の受信)より、コントロール信号待ちのフェーズ(コントロールチャネルの信号通信)に切り替わる。従って、RCP信号が受信できない場合であっても、モデム7のステータスがコントロールフェーズ(8x)に移行したことを検出することにより、PIX信号受信のルーチンより抜けることが可能となる為、上述の図6で述べたように、PIX信号フェーズから抜けれなくなることはない。
【0056】
以上のように、CPUがモデム7のRTDISをPIX信号受信中に制御することにより、回線信号の瞬断等の要因によってモデム7がPIX信号の受信復調の同期が保持できなくなった場合も、その通信がエラー終了することなく、正常に継続することが可能となる。
【0057】
図10は、本実施の形態の通信シーケンスの一例を示した図であり、ここでは1ページのPIX信号受信中に2回の瞬断が発生した場合を示している。この図10に示した各信号は、上述の図3で説明したものと同様である。また、この通信シーケンスは、上述の図8、図9のフローチャートに示したCPUの処理により実行されるものである。以下に、図10の通信シーケンスについて説明する。
【0058】
まず、PIX受信中に1回目の瞬断が加わり、CPU(受信機側)は、ステップS606からステップS612に進み、モデム7のRTDISをOFFにセットして、PIX信号受信状態から抜ける条件としてコントロールフェーズのステータス(8x)を待つ状態となる。この時に再度回線信号の瞬断が加わった場合、上述の図5と同様に、受信機側のモデム7は瞬断したその瞬間からコントロールフェーズ(8x)に移行する。そして、CPUは、ステップS613に示すようにTxタイマをスタートさせる。このTxタイマは任意に設定可能である。本実施の形態では、約6秒に設定している。
【0059】
その後、CPUは、ステップS614に進み、モデム7(受信機側)のステータスが(84)に移行しているかどうかを判断する。モデム7のステータスが(84)に移行していれば、ステップS616に進み、モデム7のステータス(84)に移行していなかった場合、ステップS615に進む。
【0060】
ステップS615では、CPUはTxタイマがタイムアウトしているかどうかを判断する。すなわち、CPUは、このタイマTx内にコントロールフェーズ(8x)の各信号(Sh信号、*Sh信号、ALT信号、E信号)が順次受信されているかを判断する。タイムアウトしていなければステップS614に戻り、同様に繰り返す。タイムアウトしているならば、ステップS621に進み強制的に回線を開放する。つまり、2回目の瞬断後のPIX信号の残りのデータが、Txタイムアウト内であれば通信は正常に継続することができるが、それ以上であれば異常であると判断して通信を強制的に終了させる。
【0061】
ステップS616以降は、上述の図4に示したフローチャートのステップS208以降と同様である。
【0062】
以上のように、CPUがモデム7のRTDISをPIX信号受信中に制御すると共に、コントロールフェーズ(8x)ループ内にタイマを設けることにより、複数回の瞬断に対しても設定した時間内にコントロールフェーズ(8x)の信号を受信することができれば、正常に動作することを可能としている。
【0063】
次に、上述の制御信号受信中に瞬断等が発生した場合の制御例を説明する。
【0064】
上述の実施の形態では、モデム7がPIX信号中に同期が保持できなくなった場合について述べた。ここでは、コントロールフェーズ(8x)での制御信号(Sh信号、*Sh信号、ALT信号、E信号)が何らかの要因によって受信できなかった場合について述べる。
【0065】
図11は、コントロールフェーズ(8x)の制御信号が受信できなかった場合の通信シーケンスを示した図である。図11では、PIX信号通信以降を表している。図11に示す1段目の信号は、実際に回線に出力されている信号である。2段目の信号は送信機の送信動作状態を示したものであり、( )内に示す数字は送信機側のモデムの動作状態を示すステータスであり、これらの制御信号は受信機で受信され認識することができる。3段目の信号は送信機側が送信するQ信号を示している。4段目の信号は受信機側の受信動作状態を示したものであり、( )内に示す数字は同様に、受信機側のモデム7の動作状態を示すステータスである。
【0066】
図11に示すように、受信機及び送信機のモデムが共にコントロールフェーズ(8x)に入っている時に、何らかの要因で制御信号(Sh信号、*Sh信号、ALT信号、E信号)が受信できない場合にはITU勧告(V.34)に示されるリトレーン制御を実施する。しかし、この制御は、モデム7の内部タイマ(Tm)がある一定時間経過してタイムアウトしなければ実行されない。またこのタイマ値は固定値(約3.4秒)である為に、図11に示すように、送信機側は、第1のコントロールフェーズ(84)にて、受信機側がコントロールフェーズ(84)に移行していないにも関わらず、Q信号を3秒間隔で2回送信してしまう。すなわち、受信機は、リトレーンが発生した場合にはQ信号を必ず2回取り逃す為、最後のQ信号を外来ノイズ等で受信できなかった場合には、通信エラーになってしまう。
【0067】
そこで、本実施の形態では、図12に示すような制御を実施している。図12に示す各信号は、図11に示すものと同様である。
【0068】
本実施の形態では図12に示すように、何らかの要因でリトレーン制御を実施された場合、モデム7の内部タイマ(Tm)を任意に設定して、リトレーン制御に入るタイミングを早くしている。すなわち、送信機が2回目のQ信号を送出する前に、リトレーン制御を実施できるように、モデム内部タイマ(Tm)を設定している。本実施の形態では約2.1秒としている。従って、送信機はリトレーン後のコントロールフェーズ(84)にてQ信号を2回送信することが可能である為、もし、受信機が外来ノイズの影響で2回目のQ信号が受信できなくても、3回目のQ信号は受信することが可能となる。
【0069】
以上のように、モデム内部タイマ(Tm)を任意に設定し受信機のリトレーンタイミングを早くして、2回目のQ信号を受信可能にすることにより、通信エラーの確率を低減する事を可能としている。
【0070】
以上の説明したように、モデム7のRTDIS信号をPIX信号受信中に制御することにより、瞬断等の要因によってPIX信号同期が保持できなくなった場合も、通信をエラー終了することなく、正常に継続することを可能としている。
【0071】
また、RTDIS信号をPIX信号受信中に制御すると共に、コントロールフェーズ(8x)ループ内にタイマを設けることにより、複数回の瞬断に対しても正常に通信することを可能としている。
【0072】
又、本発明は、上述した実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
【0073】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、データ通信中に信号の瞬断が発生しても、データ通信から適切に制御信号の通信へ移行することが可能となり、通信を継続することができる。
【0074】
又、制御信号の通信中に、信号の瞬断が発生しても、適切に制御信号の通信を続行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のファクシミリ装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施の形態のファクシミリ装置におけるCPUとモデムの接続関係を示した図である。
【図3】正常な通信シーケンスの例を示した図である。
【図4】CPUによる受信処理を示したフローチャートである。
【図5】画像信号の通信中に信号の瞬断が発生した場合の通信シーケンスの例を示した図である。
【図6】画像信号の通信中に信号の瞬断が発生した場合の通信シーケンスの例を示した図である。
【図7】本実施の形態の画像信号の通信中に信号の瞬断が発生した場合の通信シーケンスの例を示した図である。
【図8】本実施の形態のCPUによる受信処理を示したフローチャートである。
【図9】本実施の形態のCPUによる受信処理を示したフローチャートである。
【図10】本実施の形態の画像信号の通信中に信号の手段が発生した場合の通信シーケンスの例を示した図である。
【図11】制御信号の通信中に信号の瞬断が発生した場合の通信シーケンスの例を示した図である。
【図12】本実施の形態の制御信号の通信中に信号の瞬断が発生した場合の通信シーケンスの例を示した図である。
【符号の説明】
1 メイン制御部(CPU)
2 ROM
3 RAM
4 操作部
5 読取部
6 記録部
7 モデム
8 NCU
9 通信部
10 通信装置本体
Claims (8)
- データ受信中にトレーニング信号のパターンが検出されると自動的にデータ受信から制御信号の通信へ移行するモードを有しているモデムを用いてデータ通信を行う通信装置において、
前記モデムによるデータの受信状態を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記モデムによるデータの受信状態に応じて前記モデムの前記モードを動作状態/非動作状態に選択的に切換える切換手段を有し、
前記切換手段は、前記モデムによるデータ通信への移行に応じて前記モードを非動作状態に設定し、前記判別手段により前記モデムによるデータの受信状態が良好でないと判別すると、前記モードを動作状態に設定することを特徴とする通信装置。 - 請求項1において、前記切換手段を動作させるタイミングを決定するためのタイマ手段を有することを特徴とする通信装置。
- 請求項2において、前記タイマ手段のカウント時間を任意に設定可能としたことを特徴とする通信装置。
- 請求項1において、前記モデムは、ITU−T勧告のV.34に準拠したモデムであることを特徴とする通信装置。
- ITU−T勧告のV.34に準拠したモデムを用いてデータ及び制御信号の通信を行い、データ受信の完了に応じて制御信号の通信へ移行する通信装置において、
前記制御信号の通信におけるリトレーン制御へ移行するタイミングを決定するためのタイマーと、
前記タイマーの値を勧告に規定されている時間よりも短い時間に設定し、短い時間間隔でリトレーン制御を実行させる手段を有することを特徴とする通信装置。 - データ受信中にトレーニング信号のパターンが検出されると自動的にデータ受信から制御信号の通信へ移行するモードを有しているモデムを用いてデータ通信を行う通信方法において、
前記モデムによるデータの受信状態を判別し、
前記判別された前記モデムによるデータの受信状態に応じて前記モデムの前記モードを動作状態/非動作状態に選択的に切換え、前記モデムによるデータ通信への移行に応じて前記モードを非動作状態に設定し、前記モデムによるデータの受信状態が良好でない場合に、前記モードを動作状態に設定することを特徴とする通信方法。 - 請求項6において、前記モデムは、ITU−T勧告のV.34に準拠したモデムであることを特徴とする通信方法。
- 請求項7において、前記制御信号の通信におけるリトレーン制御へ移行するタイミングを前記勧告に規定されている時間よりも短い時間に設定し、短い時間間隔でリトレーン制御を実行させることを特徴とする通信方法。
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