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JP3607608B2 - ノート型パソコンの液冷システム - Google Patents

ノート型パソコンの液冷システム Download PDF

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JP3607608B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示部と一体になったノート型パソコンに関し、特に、前記ノート型パソコン内の発熱体についての液冷技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の冷却装置についての従来技術は、電子機器内の発熱部材と金属筐体壁との間に金属板又はヒートパイプを介在させて発熱部材を熱的に金属筐体壁と接続することによって、発熱部材で発熱する熱を金属筐体壁で放熱するものであった。
【0003】
また、特開平7ー142886号公報には電子機器の発熱部材を液冷する技術が開示されており、これによると、電子機器内の半導体素子発熱部材で発生した熱を受熱ヘッドで受け取り、受熱ヘッド内の冷却液がフレキシブルチューブを通って表示装置の金属製筐体に設けられた放熱ヘッドに輸送されて、半導体素子発熱部材で発生した熱を冷却液を介して放熱ヘッドを通し金属製筐体から効率的に放熱する構造となっている。更に、前記公報には、熱輸送デバイスとしてヒートパイプを用いる例が開示されていて、金属製受熱板を介して半導体素子で発生する熱がヒートパイプに伝達され、更に、放熱面である金属製筐体の壁面に直接取り付けられたヒートパイプの他端に熱接続されて放熱される構造が開示されている。
【0004】
また、操作釦群やCPU等の電子回路群等を有するパソコン本体部と液晶ディスプレイ装置を有する表示部とからなるノート型パソコンの液冷システムの従来技術として、CPUで発生した熱を受熱ヘッドで受け取り、受熱ヘッドに接続したシリコン系フレキシブルチューブに冷却液を満たして熱伝達媒体とし、フレキシブルチューブを表示部に設けた放熱ヘッドに持ち来して循環経路を形成し、受熱ヘッドでCPU発生熱を受熱して放熱ヘッドで伝達熱を放熱する冷却システムが開示されている。即ち、公知技術は放熱ヘッドにおける局所的な放熱機構である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ノート型パソコンは、本体部に内蔵されたCPU,MPU等(以下、CPUと云う)から熱を発生するが、発生熱によって回路動作が不安定になったり、機構類の熱変形を引き起こす虞がある。特に、最近ではCPUの動作周波数が一層高くなるのに伴って発熱量の増大を来しており、この増大した発熱を効率良く外部に放熱することが望まれてきた。
【0006】
従来技術では、電子機器一般に関する冷媒液による冷却、ヒートパイプを使用した冷却等が開示されているが、ノート型パソコンについての冷却技術は前述したように、受熱ヘッドで発生熱を回収して表示部の放熱ヘッドで局所的に放熱する冷却システムが開示されているに過ぎないのが実状である。
【0007】
ノート型パソコンの発熱量増大に対しては、CPU近傍にファンを設けその送風容量を大くして対処することが考えられるが、これだとファンによる風切り音が騒音となったり、振動が発生してコンピュータ使用上で課題を生じ、また、CPU等の発熱体における放熱のための空冷用ヒートシンク(放熱板)のサイズを大きくして放熱容量をかせぐということも考えられるが、この対処策もノート型コンピュータの小型化の要請と相容れないものとなる。
【0008】
さらに、チップセットや表示コントローラでは、表示性能の高性能化やメモリアクセス性能の向上等の性能向上のための動作クロックアップが図られている。また、HDDでは、ディスクアクセス性能の向上のためスピンドルの回転数が高くなってきている。また、小型化のため電子部品の高集積化が進んでいる。上記のとおり、CPU以外でも発生熱量は増加の方向にあり、ノート型パソコンの内部の複数の発熱部で冷却が必要になってきた。
【0009】
本発明の目的は、ノート型パソコンに適用して有用な液冷技術を提供し、従来技術にない特有な放熱効果が得られる構成を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
【0011】
マザーボードに装着されたCPU及びチップセット、HDD、を有するパソコン本体部と、前記パソコン本体部に回動支持された表示部と、を備えたノート型パソコンの液冷システムにおいて、
前記CPUを含む少なくとも1つの発熱部に受熱ヘッドを固定し、
冷却液を満たしたチューブを前記受熱ヘッドに接続するとともに、前記表示部の液晶表示板と表示部筐体との間に前記チューブを持ち来して蛇行形状又はジグザグ形状に這わせ、
前記チューブ内を循環する冷却液を熱伝達媒体として、前記チューブの配設経路中で、前記発熱部での発生熱をチューブの一部で吸熱し、他部で放熱するノート型パソコンの液冷システム。
【0012】
また、マザーボードに装着されたCPU及びチップセット、HDD、を有するパソコン本体部と、前記パソコン本体部に回動支持された表示部と、を備えたノート型パソコンの液冷システムにおいて、
前記CPUを含む少なくとも1つの発熱部に受熱ヘッドを固定し、
冷却液を満たしたチューブを前記受熱ヘッドに接続するとともに、前記チップセットを含む少なくとも1つの発熱部に前記受熱ヘッド接続のチューブを縦続的に配設してそれぞれの発熱部からの発生熱を回収し、
前記表示部の液晶表示板と表示部筐体との間に前記チューブを持ち来して蛇行形状又はジグザグ形状に這わせ、
前記チューブ内を循環する冷却液を熱伝達媒体として、前記チューブの配設経路中で、前記発熱部での発生熱をチューブの一部で吸熱し、他部で放熱するノート型パソコンの液冷システム。
【0013】
また、マザーボードに装着されたCPU及びチップセット、HDD、を有するパソコン本体部と、前記パソコン本体部に回動支持された表示部と、を備えたノート型パソコンの液冷システムにおいて、
前記CPUを含む少なくとも1つの発熱部に受熱ヘッドを固定し、
冷却液を満たしたチューブを前記受熱ヘッドの相対向する側面から入出接続するとともに、
前記チューブが前記表示部の左右ヒンジ部を通して前記表示部の液晶表示板と表示部筐体との間に持ち来たされて蛇行形状又はジグザグ形状に這わされ、
前記チューブ内を循環する冷却液を熱伝達媒体として、前記チューブの配設経路中で、前記発熱部での発生熱をチューブの一部で吸熱し、他部で放熱するノート型パソコンの液冷システム。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係るノート型パソコンの液冷技術について、図面を用いて以下説明する。図1は、本発明の実施形態に係るノート型パソコンの液冷に関する全体構成を示すものである。図1によると、ノート型パソコンは、操作釦群を有するパソコン本体部1と、前記本体部1に回動支持される液晶表示板を有する表示部2と、から構成され、パソコン本体部1はケース等に支持されたマザーボード(制御回路基板)3が配置され、マザーボード3にはコンピュータを動作させるのに必要な各種電気・電子素子、集積回路、電子回路群等が搭載され、コンピュータの動作時に発熱源となるCPU4や電子素子例えばIC等のチップセット5等もこのマザーボード3上に配置されている。また、発熱源であるHDD(ハードディスクドライブ)6、バッテリ部7、CD−ROM部8も本体部内に収容されている。図1において、CPU4はW/J(受熱ヘッドとしてのウォータージャケット)の下に配されていて、CPU4から発生する熱を効率的に受熱ヘッドに熱伝達している。
【0015】
本発明の実施形態に関する液冷の基本的な構成は、パソコン本体部内に収容された最大の発熱源であるCPU4上に受熱ヘッド(W/J)10を固定して、CPU発生熱を受熱ヘッド内の冷却液で回収し、受熱ヘッド10に接続され且つ冷却液を充填したチューブ12が表示部2の左右ヒンジ14(図7参照)を通って表示部2の液晶表示板と表面カバー間に持ち来されて表面カバー又は筐体を通して熱放散されるものである。ここで、冷却液には真水又はエチレングリコールを含有する水等を使用する。
【0016】
図1において、パソコン本体部1内に配置された最大の発熱体であるCPU4のみに受熱ヘッド10を設置していて、他の発熱体であるチップセット5、HDD6等に対してはその上部にチューブを蛇行形状又はジグザグ形状に這わせる構造となっているが、この構造に限らず、発熱体の寸法及び発熱量を勘案して例えばチップセット5に受熱ヘッドを設置しても良い。
【0017】
また、受熱ヘッドに接続された冷却液充填のチューブは、液晶表示板の裏側(図1の図示構造において)で蛇行形状又はジグザグ形状に配置される循環経路を構成するものである。前記チューブは、シリコン系チューブあるいはゴム系のチューブだけでなく、Al、Mg、Cu、Ti、SUSなどの金属、またはそれらの合金でできたチューブであってもよい。特に金属、またはそれらの合金でできたチューブは、放熱効率が高く、液晶表示板の裏側に配置するのに適している。しかしながら、これらの金属、またはそれらの合金でできたチューブは、変形しづらく組み立て性が低下する場合もあり、この場合には、シリコン系チューブあるいはゴム系のチューブと組み合わせて、冷却液の循環経路を構成することも考えられる。
【0018】
そして、表示部背面の筐体に固定されて這った金属チューブがそれに当接している筐体又は表面カバーを通して外部に熱放散させるものである。ここで、外部への熱放散は、従来技術のような放熱ヘッドによる局部的な放熱ではなくて、表示部背後の筐体全面に這わせた金属チューブから放熱させるものである。従って、冷却液循環チューブとして放熱効率の良い材料を用いることの外に、表示部背後の筐体又は表面カバーも放熱効率の良い材料を用いる。この筐体は金属材料の外に放熱効率の良いプラスチック材料であっても良い。
【0019】
さらに、図12、図13に示すように表示部と筐体又は表面カバーとの間に熱拡散用の放熱板を設け、チューブをこれに当接して蛇行形状又はジグザグ形状に這わせるようにしてもよい。図12は、放熱板を設ける実施形態の概要を示す図であり、図13はこのときの表示部の断面を示す図である。液晶パネルの背部の筐体内側に熱拡散用の放熱板(図13で金属板に相当)を設け、この放熱板に当接するようにチューブを蛇行形状又はジグザク形状に配設する。放熱板を設けることにより表示部外側の面方向の熱拡散が容易になるので、筐体又は表面カバーの温度分布が均一になり、放熱効率が向上する。このとき、放熱板を筐体又は表面カバーに熱的に接続すると、なお放熱効率が向上する。また、放熱板の設置により放熱効率が向上するので、チューブの単位長当たりの放熱量が増え、当接するチューブの長さを短くできる。チューブ長が短くできれば、チューブに冷却液を循環させるときの循環抵抗も小さくなるので、冷却液のポンプ容量を小さくすることができ、装置の小型化・省電力化を図れる効果もある。なお、放熱板を筐体底部ケースに設け、この放熱板にチューブを配設しても同様の効果があるのは言うまでもない。
【0020】
図2には、CPU4上の受熱ヘッド(W/J)に接続されたチューブがパソコン本体部1の底面を蛇行形状又はジグザグ形状に這わせられることによって、本体部底面の筐体からも熱放散できることを示している。図2でチューブは前述した本体部底面を通った後に、表示部背面側に配設されることによって表示部の筐体からも熱放散されることが開示されている。
【0021】
本実施形態では、発熱量の多いCPUに受熱ヘッドを設置することは当然として、CPU以外の発熱体であるチップセット等にも受熱ヘッドを設置して複数の発熱体に順にチューブを配設して熱回収するものである。この場合における発熱体における熱回収の経路について、図3にその模式図を示す。
【0022】
発熱体の配列順序と冷却液の流れ方向の関係は、次の点から決められる。図3に示す本実施形態の発熱体は、CPU4とチップセット5とHDD6であり、それぞれの消費電力は一般的にCPU4:10〜30W、チップセット5:2〜3W、HDD6:1〜5W程度である。このうち、HDDについては、非アクセス時の省電力制御により、平均消費電力はさらに小さくなっている。一方、それぞれのデバイスの許容動作温度は、CPU4、チップセット5:70〜85℃、HDD6:55℃となっている。これらを考慮し、本来施形態では、図3(2)に示すように、冷却液は、ポンプ11で加圧されてHDD、チップセット、CPUの順に循環させる。このような循環順路の意味は、HDDの許容動作温度が他より低いため、これを満足するために、本体部底面部(図2参照)や表示部背面部(図1参照)で放熱されて温度の下がった冷却液をHDDの冷却に充当することである。先に述べたように、HDDの平均消費電力は小さいので、HDDの発生熱を吸熱した冷却液の温度上昇は小さく、つぎにチップセット、CPUの順にチューブを配設しても、冷却液と発熱体との温度差があるので、チップセットやCPUの発生熱を冷却液が吸熱することができる。ポンプ11は、耐熱性の観点から、図3(1)や図3(2)に示すように、発熱部の上流であって、本体底部面や表示部背面部に配設されたチューブの下流に配設するのが望ましい。つまり、ポンプ11を冷却液の循環路でもっとも温度の低い場所に配置する。
【0023】
また、図3(1)に示すように、つぎの条件を満たす場合には、上記で説明した図3(2)とは逆に、CPU、チップセット、HDDの順に冷却液を循環させてもよい。この場合、CPUやチップセットの発生熱を吸熱した冷却液の温度がHDDの許容動作温度を超えていないことが必要である。このため、図3(2)に示した先の実施形態に比べ、冷却液の最高温度を低くするために、放熱効率の高い冷却系が必要となるが、CPUの発生熱をチップセットやHDDを経由して、放熱することができる。
【0024】
次に、図4は、金属チューブによる熱吸収経路をパームレスト部に持ち来すことを示す図である。図4で、パームレスト位置に対応する筐体内部には発熱する部品、例えばHDD等が配設されていて、HDD等の発熱のためにパームレスト位置のケース表面が温度上昇し、パームレスト位置に当接している掌が熱く感じることがある。これを防止するために、パームレスト対応位置にチューブを配設して吸熱し、パームレスト位置のケースにおける温度上昇を防ごうとするものである。
【0025】
このように、本実施形態では、発熱源の発生熱を把握した上で全ての発熱源からの発生熱を冷却液で回収して、パソコン本体部内での局所的な高温部を無くして均一化した温度環境とし、装置の広範囲からの放熱を行うことに特徴を有している。
【0026】
次に、図5は本発明の実施形態に係る液冷技術における受熱ヘッドと冷却液の流れるチューブ配管の構造を示す。図5で、CPU等の発熱体に載置される受熱ヘッドとその出入口配管の配置を示しており、受熱ヘッドは熱伝達効率良くするためその全面に冷却液が流れるようにジグザグ形状の冷却液流通経路を形成している。そして、本実施形態においては、受熱ヘッドへの入口配管と出口配管は受熱ヘッドの中心に対して対称位置に設けられている(図5では出入の接続口は最も遠い点にある)。受熱ヘッドが正方形又は矩形の形状である場合、対向する側面であれば点対称位置でなくても当該側面のどの位置に配管接続口を設けても良く、この場合には受熱ヘッド内の冷却液が受熱ヘッド全面に巡回するような経路とする。
【0027】
次に、図14により本発明の実施形態に係るチューブの構造の一例を示す。本発明の液冷システムでは、チューブに冷却液が充填されているが、チューブにシリコン系材料を使用した場合には、長期間使用している間に、冷却液の水分がチューブを透過して液量が減少したり、チューブに気泡が混入することがある。特に、パソコンで使用している電子部品は耐湿性が低く、冷却液の水分による部品寿命や信頼性の低下の恐れがある。しかしながら、シリコン系チューブは、柔軟性に優れ組み立て性がよく、また、安価である特徴がある。このため、つぎのようにして、水分の透過を防止する。ひとつは、図14(1)に示すように、チューブ外表面に水分の非透過膜を被覆するようにする。これにより、冷却液の水分が透過するのを防止できる。非透過膜を被覆する代わりに、金属製の薄膜を施したり、グリース等の油脂を塗布してもよい。また別の方法として、図14(2)に示すように、金属パイプを接続するチューブ部に筒状の非透過フィルムを被せるようにしてもよい。この場合、チューブと非透過フィルムの隙間に冷却液の水分が透過するが、隙間の容積が小さいためすぐに飽和し、微量水分の透過ですますことができる。このような構造の採用により、シリコン系チューブの柔軟性を維持し、冷却液の水分蒸発を防止できる。
【0028】
また、図6には、発熱体から熱吸収した冷却液のチューブ配管が、表示部のヒンジ部(表示部がパソコン本体部に対して回動する回動箇所)の左右両側を通って表示部の液晶表示板背面に入り込む配管経路を開示している。
【0029】
図5と図6に示す本実施形態の構造の特徴について説明すると、まず、受熱ヘッドへの接続口配置が同一側面に存在する従来技術に比べて、本実施形態を示す図5の構造は、熱吸収した冷却液で温度上昇した出口配管の近くに入口配管が配置されていないものであり(出口配管と入口配管が離隔した位置に配置されている)、入口配管の冷却液は、出口配管からの熱影響を受けずに受熱ヘッドに供給されるので、受熱ヘッドで効率良く熱変換されることになる。
【0030】
更に、本発明の特徴の1つであるパソコン本体部の複数の発熱体を順に冷却するということに技術的関連を有するものとして、本実施形態ではパソコン表示部へのチューブ出入口が表示部のヒンジ両側に配置するという構成を採用しており、この構成を図6に示す。従来技術における単一の発熱体冷却であれば、パソコン表示部への出入口配管は、その発熱体に近い表示部の一側面にまとめて配置している(前記一側面がヒンジ部であるか否かは兎も角も)。このように配置した方が全体の配管長が短くなるという利点があるからであり、仮に、単一発熱体(例えば、CPU)が本体部の左上側に配置されていれば、入口配管を表示部ヒンジ部の左側に、出口配管を表示部ヒンジ部の右側に配置すると、出口配管のパソコン本体部における配置スペースを確保する必要があってパソコン小型化の観点で課題がある。この従来技術の構成、機能からすると、従来技術の受熱ヘッドへの出入口配管は受熱ヘッドの同一側面に配されて一側の表示部ヒンジ部に持ち来たらされるようになっていた。
【0031】
このように、本発明の実施形態では、受熱ヘッドからの出入口配管の配置が、複数発熱体への連続的な冷却技術と有機的に結合した特徴ある構成となっているのである。
【0032】
次に、図7、図8及び図9には、本実施形態に係る液晶表示部のヒンジ部とチューブとの関連構成を開示している。図7によると、液晶表示部はパソコン本体部に対して回動自在となるように複数箇所にヒンジ部を設けており、その最左側のヒンジ部が図示されている。冷却液の充填したチューブを表示部に持ち来して表示部で放熱する本実施形態の冷却システムではチューブ経路についてヒンジ部を利用したものである。そして、その利用の形態として、図7にはヒンジ部を中空の構造として、その中空部にチューブを貫通させる構造が示されている。このチューブ貫通構造によれば、表示部の回動動作に伴うチューブへの負荷が加わることはないものである。
【0033】
また、図9は図8に示すヒンジ構造を詳細に示した図であって、この図8と図9によれば、図7のチューブ貫通構造とは異なり、ヒンジ部へのチューブ差込構造を示している。ヒンジ部はその左右端がジョイントAとジョイントBとで構成されていて、且つジョイントAとB間に介在する手段によって回動自在機構を構成している。即ち、ジョイントA及びBは表示部の回動動作によっても回動しないものであり、更にジョイントAとB間でチューブに充填の冷却液が流通するように中空構造を形成している。図8に示すように、ヒンジ部の左右からチューブ端をジョイントAとBに差し込んで冷却液の漏れがないように適宜にチューブをジョイントに固定する。図8及び図9に示す構造によると、表示部を回動してもチューブへの回動負荷が加わることはない、連れ廻りしない構成である。
【0034】
次に、図10と図11は、本実施形態に関するチューブ内の冷却液を補充するリザーブタンクの構成とその詳細構造を示す図である。冷却液のリザーブタンクは図2に示すように液晶表示部の上方角部に配置し、チューブ内の冷却液循環経路(図10に流れ方向を矢印で示す)の途中に枝分かれしてリザーブタンクが接続されている。図10に示すように、冷却液の循環経路とリザーブタンクとの接続部分には逆流防止弁が設けられていて、チューブ内の循環経路からリザーブタンクには冷却液は流れずにリザーブタンクから循環経路には補充液が補給されるように構成されている。
【0035】
チューブ内の冷却液の不慮の漏れ、冷却液の蒸発等による冷却液の不足に対処するために、リザーブタンクを設置してリザーブタンク内に補充液を確保して随時循環経路に補給するものである。
【0036】
図11によると、リザーブタンク内の冷却液の不足を外部から補充する場合には、液晶表示部を立てた状態にして、リザーブタンクの上部に設けられたキャップを取り外して冷却液をリザーブタンクに補充する。更に、リザーブタンク内にどれ位の冷却液量が確保されているのを確認するために、リザーブタンクを透明材料で構成すると共にリザーブタンク設置個所に対応する筐体の一部を透明材料で構成する。このように構成することによって液晶表示部を直立した状態で外部からリザーブタンク内の液量が目視できる。また、リザーブタンク及び筐体を透明にして液量目視をすることの外に、液量目視の検出手段としてリザーブタンクのバイパス路を形成してバイパス路の液レベルを検知しても良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、ノート型パソコンにおける本体部に配設されたCPU等の高発熱源からの発生熱を効率良く外部に放散させることができると共に、CPUを含めたチップセットやHDDの発熱源からの発生熱も合わせて外部放散でき、本体部の全面で均一な温度環境を達成することができる。
【0038】
また、放熱効率の高い金属チューブを採用し且つこの金属チューブを表示部に這わせることによって、本体部での発生熱を表示部において外部放散することができる。
【0039】
また、CPU等に載置された受熱ヘッドのチューブ入出接続口を受熱ヘッドの相対向する側面に設けることによって、発熱源からチューブ内冷却液への熱変換効率を向上させると共に、表示部の左右に設けられた両ヒンジ部にチューブを通すチューブ循環経路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るノート型パソコンの液冷システムに関する全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るノート型パソコンの液冷に関する冷却液循環経路を示す図である。
【図3】本実施形態に係るノート型パソコンの冷却液循環経路と複数発熱体の関係を示す図である。
【図4】本実施形態に係るノート型パソコンの冷却液送給用チューブの引き回し経路を示す図である。
【図5】本実施形態に関する受熱ヘッドと冷却液送給用チューブの連結構造を示す図である。
【図6】本実施形態に係るノート型パソコンの冷却液送給用チューブと液晶表示部のヒンジ部との関連を示す図である。
【図7】本実施形態に関する液晶表示部のヒンジ部とチューブの関係を示す図である。
【図8】図7の詳細構造を示す図である。
【図9】液晶表示部のヒンジ部の分解詳細図である。
【図10】本実施形態に関するチューブ内の冷却液を補充するリザーブタンクを示す図である。
【図11】図10のリザーブタンクの詳細構造図である。
【図12】本実施形態に係る表示部背面に放熱板を設ける構成例の概略図である。
【図13】図12に示す構成例の断面図である。
【図14】冷却液の充填したチューブの詳細構造を示す図である。
【符号の説明】
1 ノート型パソコン本体部
2 液晶表示部
3 マザーボード
4 CPU
5 チップセット
6 HDD
7 バッテリ
8 CD−ROM部
10 受熱ヘッド(ウォータージェット;W/J)
11 ポンプ
12 チューブ
13 リザーブタンク
14 ヒンジ

Claims (11)

  1. マザーボードに装着されたCPU及びチップセット、HDD、を有するパソコン本体部と、前記パソコン本体部に回動支持された表示部と、を備えたノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記CPUを含む少なくとも1つの発熱部に受熱ヘッドを固定し、
    冷却液を満たしたチューブを前記受熱ヘッドに接続するとともに、前記表示部の液晶表示板と表示部筐体との間に前記チューブを持ち来して蛇行形状又はジグザグ形状に這わせ、
    前記チューブ内を循環する冷却液を熱伝達媒体として、前記チューブの配設経路中で、前記発熱部での発生熱をチューブの一部で吸熱し、他部で放熱する
    ことを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  2. 請求項1に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記表示部筐体の内側に熱拡散用放熱板を設け、
    前記表示部に持ち来されたチューブを前記熱拡散用放熱板に当接して這わせることを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  3. マザーボードに装着されたCPU及びチップセット、HDD、を有するパソコン本体部と、前記パソコン本体部に回動支持された表示部と、を備えたノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記CPUを含む少なくとも1つの発熱部に受熱ヘッドを固定し、
    冷却液を満たしたチューブを前記受熱ヘッドに接続するとともに、前記チップセットを含む少なくとも1つの発熱部に前記受熱ヘッド接続のチューブを縦続的に配設してそれぞれの発52熱部からの発生熱を回収し、
    前記表示部の液晶表示板と表示部筐体との間に前記チューブを持ち来して蛇行形状又はジグザグ形状に這わせ、
    前記チューブ内を循環する冷却液を熱伝達媒体として、前記チューブの配設経路中で、前記発熱部での発生熱をチューブの一部で吸熱し、他部で放熱する
    ことを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  4. 請求項3に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    複数の発熱部からの熱回収に際して、前記冷却液の送給は、許容動作温度の低い発熱部から許容動作温度の高い発熱部への順序付けとすることを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  5. 請求項3に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記チューブを前記パソコン本体部手前側のパームレスト部にも配設することを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  6. 請求項1に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記受熱ヘッドに接続されたチューブを前記パソコン本体部の底部筐体上に這わせてチューブ及び前記底部筐体を通して放熱することを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  7. マザーボードに装着されたCPU及びチップセット、HDD、を有するパソコン本体部と、前記パソコン本体部に回動支持された表示部と、を備えたノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記CPUを含む少なくとも1つの発熱部に受熱ヘッドを固定し、
    冷却液を満たしたチューブを前記受熱ヘッドの相対向する側面から入出接続するとともに、
    前記チューブが前記表示部の左右ヒンジ部を通して前記表示部の液晶表示板と表示部筐体との間に持ち来たされて蛇行形状又はジグザグ形状に這わされ、
    前記チューブ内を循環する冷却液を熱伝達媒体として、前記チューブの配設経路中で、前記発熱部での発生熱をチューブの一部で吸熱し、他部で放熱する
    ことを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  8. 請求項7に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記チップセットを含む少なくとも1つの発熱部に前記受熱ヘッド接続のチューブを縦続的に配設してそれぞれの発熱部からの発生熱を回収することを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  9. 請求項7又は8に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記チューブが前記ヒンジ部を通る構造は、前記ヒンジ部の中空部にチューブを貫通させるもの、又は中空部を有したヒンジ部の両端部に前記チューブを差し込むものであることを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  10. 請求項1、3又は7に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記チューブ内を循環する冷却液を補充するリザーブタンクを前記表示部の上方部に設けることを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
  11. 請求項10に記載のノート型パソコンの液冷システムにおいて、
    前記リザーブタンク内の補充液量が目視できる液量検出部を設けることを特徴とするノート型パソコンの液冷システム。
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